JP5688811B2 - 運転者状態推定装置 - Google Patents
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なお、本発明に係る運転者状態推定装置において推定対照となる運転者状態とは、運転者の覚醒に係る水準を表す覚醒度や、運転者が発揮している注意力・集中力に係る水準を含む、運転者に係る状態を包括して含む概念である。運転者状態のうち覚醒度は、後記するように、例えば、運転者が居眠り運転や飲酒運転を行っている際に、そのときの車両の挙動に基づいて推定することができる。
そこで、本発明に係る運転者状態推定装置の一実施形態について、後記する規範モデルという概念を用いて、運転者の覚醒度を推定する覚醒度推定装置を例示して説明する。
はじめに、本発明の前提となる覚醒度推定技術に係る原理について、図1および図2を参照して説明する。図1および図2は、本発明の前提となる覚醒度推定技術に係る原理の説明に供する概念図である。図3は、本発明の前提となる覚醒度推定技術の動作説明に供する図である。
なお、覚醒度は、前記したとおり、運転者状態の一態様である。このため、以下に述べる“覚醒度推定技術”は、“運転者状態推定技術”と読み替えることにより、運転者状態の推定用途にそのまま適用することができる。
したがって、本発明の前提となる覚醒度推定技術によれば、実操舵角と運転者モデル操舵角との差(残差)に基づいて運転者の覚醒度を推定することができる。
本発明の実施形態に係る覚醒度推定装置は、車両の運転開始時、または、後記する走行シーンの変化時を起点として所定時間が経過するまでの初期設定期間において、運転者モデルを用いて得られる“初期残差”が、運転者固有の特性をよく表すことに着目し、この“初期残差”と、初期設定期間の経過後に運転者モデルを用いて得られる“残差”との対比結果に基づいて運転者の状態を推定することにより、運転者状態に係る推定精度の向上を図ることを最も主要な特徴としている。
次に、本発明の実施形態に係る覚醒度推定装置11のブロック構成について、図4および図5を参照して説明する。図4は、本発明の実施形態に係る覚醒度推定装置11の概略構成を表すブロック図である。図5は、初期設定期間における残差のうち初期残差を選択的に設定する手順を表す説明図である。
なお、本発明の実施形態に係る覚醒度推定装置11は、本発明の“運転者状態推定装置”に相当する。
ただし、Kはゲイン係数、Tsは時間応答である。
[実操舵角]=[K/(1+Ts)]×[方位角偏差] 式(2)
[K/(1+Ts)]=[実操舵角]/[方位角偏差] 式(3)
なお、図3に示す理想モデルに係る入出力とは、運転者が行う実際の入出力を意味する。運転者モデルと対極をなすのは、当事者としての実際の運転者だからである。
初期設定期間において走行シーン同定部34で同定された走行シーンが関連付けられた残差に係る残差記憶部36の記憶内容は、初期残差設定部38によって適宜参照される。
初期残差設定部38で設定された初期残差は、残差変化率演算部40によって適宜参照される。
残差変化率演算部40で演算された初期残差に対する残差の変化率は、覚醒度推定部41へと送られる。
なお、覚醒度推定部41は、本発明の“運転者状態推定部”に相当する。
次に、本発明の実施形態に係る覚醒度推定装置11の動作について、図6A,図6Bおよび図7A,図7Bを参照して説明する。図6Aは、本発明の実施形態に係る覚醒度推定装置11の動作のうち、初期残差設定処理の流れを表すフローチャート図である。図6Bは、同覚醒度推定装置11の動作のうち、覚醒度推定処理の流れを表すフローチャート図である。図7Aは、平滑化ヨーレートの絶対値と走行シーンの属性情報との対応関係を表す説明図である。図7Bは、残差変化率に対する覚醒度の関係を対応付けて表す説明図である。
なお、平滑化ヨーレートの絶対値が7[deg/s]を超える場合とは、例えば、車両Caがクランク状の路地を走行しているケースや、駐車時などが相当する。かかる場合は、走行シーンの対象に含めて覚醒度を推定する要請がほとんどないと考えられる。このため、走行シーンの対象から除外している。
ここで、ステップS508で算出された“残差”を、ステップS505で同定された走行シーンに関連付けて記憶するとは、走行シーンの属性情報と、算出された“残差”の情報とを、相互に関連付けて記憶することを意味する。このようなデータ構造を採用したテーブルを、残差管理テーブルと呼ぶ。残差管理テーブルによれば、後記するように、初期設定期間において最小の値をとる“残差”を一意に特定することができる。
ここで、初期設定期間において最小の値をとる“残差”を、ステップS505で同定された走行シーンに対応する“初期残差”として設定するとは、走行シーンの属性情報と、最小の値をとる“残差”とを、相互に関連付けて記憶することを意味する。このようなデータ構造を採用したテーブルを、初期残差管理テーブルと呼ぶ。初期残差管理テーブルによれば、後記するように、ある走行シーンに対応付けられた初期残差を読み出すことができる。
ステップS511の初期残差設定処理が終了すると、ECU20は、一連の処理の流れを終了させる。
なお、ステップS501〜S508の処理ステップは、図6Aと共通である。このため、図6Bにおいて、ステップS501〜S508の処理ステップの説明を省略し、ステップS521から処理内容の説明を続ける。
本発明の実施形態に係る覚醒度推定装置11では、目標方位角取得部21は、運転者の目標方位角(操作目標値;ただし、括弧内には、対応する請求項の用語を記載する。以下、同じ。)を取得する。実方位角取得部23は、ヨーレートセンサ15で検知したヨーレートの積分値に基づいて、車両Caの実方位角(実動作量)を取得する。本発明の実操作量取得部として機能する操舵角センサ17は、運転者の実操舵角(実操作量)を取得する。
本発明の実施形態に係る覚醒度推定装置11によれば、覚醒度に係る推定精度の向上を図ることができる。
本発明の実施形態に係る覚醒度推定装置11によれば、初期残差として選択すべき残差の選定基準を明確にしたので、覚醒度推定に関するさらなる精度向上を期待することができる。
本発明の実施形態に係る覚醒度推定装置11によれば、覚醒度推定に関するより一層の精度向上を期待することができる。
なお、DGPS(Differential Global Positioning System)受信機を用いた衛星航法による測位機能を用いれば、測位精度を高めることができる。
以上説明した実施形態は、本発明の具現化例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
これらの各種機能部21、23、25、27、29、31、33、34、36、38、40、41、43は、ハードウェアによって構成してもよい。
13 撮像部
15 ヨーレートセンサ
17 操舵角センサ(実操作量取得部)
18 ステアリングホイール
19 スピーカ
20 ECU
21 目標方位角取得部(操作目標値取得部)
23 実方位角取得部(実動作量取得部)
25 方位角偏差算出部
27 運転者モデル作成部
29 バンドパスフィルタ
31 運転者モデル操舵角取得部(運転者モデル操作量取得部)
33 残差算出部
34 走行シーン同定部
36 残差記憶部
38 初期残差設定部
40 残差変化率演算部
41 覚醒度推定部(運転者状態推定部)
43 警報制御部
Claims (6)
- 車両を運転する運転者の状態を推定するための運転者状態推定装置であって、
前記運転者の操作目標値を取得する操作目標値取得部と、
前記車両の実動作量を取得する実動作量取得部と、
前記運転者の実操作量を取得する実操作量取得部と、
前記操作目標値および前記実動作量の差を運転者の入力とし、前記実操作量を運転者の出力として、当該運転者の入出力関係を定義した運転者モデルを作成する運転者モデル作成部と、
前記操作目標値および前記実動作量の差を前記運転者モデルに入力することで運転者モデル操作量を取得する運転者モデル操作量取得部と、
前記実操作量および前記運転者モデル操作量の差から求められる規範モデル誤差を算出する残差算出部と、
前記車両の運転開始時、または、当該車両の走行路の状況を含む走行シーンの変化時を起点として所定時間が経過するまでの初期設定期間において、前記残差算出部で算出された残差のうち、当該運転者において規範となる残差を初期残差として設定する初期残差設定部と、
前記残差算出部で算出された残差に基づいて前記運転者の状態を推定する運転者状態推定部と、
前記初期残差に対する前記残差の変化率を演算する残差変化率演算部と、
を備え、
前記運転者状態推定部は、前記初期設定期間の経過後において、前記初期残差設定部で設定された初期残差と前記残差算出部で算出された残差との対比結果である、前記残差変化率演算部で演算された前記初期残差に対する前記残差の変化率に基づいて、前記運転者の状態を推定する、
ことを特徴とする運転者状態推定装置。 - 請求項1に記載の運転者状態推定装置であって、
前記初期設定期間において前記残差算出部で算出された残差を記憶する残差記憶部をさらに備え、
前記初期残差設定部は、前記残差記憶部に記憶された残差のうち、最小の値をもつ残差を前記初期残差として設定する、
ことを特徴とする運転者状態推定装置。 - 請求項2に記載の運転者状態推定装置であって、
前記車両の実動作量、または、前記運転者の実操作量の少なくともいずれかに基づいて、予め定められる複数の前記走行シーンのなかから、当該車両の現在の走行シーンを同定する走行シーン同定部をさらに備え、
前記残差記憶部は、前記初期設定期間において前記残差算出部で算出された残差を、前記走行シーン同定部で同定された走行シーンに関連付けて記憶し、
初期残差設定部は、前記残差記憶部に記憶された、前記初期設定期間において前記走行シーン同定部で同定された走行シーンが関連付けられた残差のうち、最小の値をもつ残差を前記初期残差として設定する、
ことを特徴とする運転者状態推定装置。 - 請求項3に記載の運転者状態推定装置であって、
前記走行シーン同定部は、前記車両の実動作量、または、前記運転者の実操作量の少なくともいずれかに係る時系列データに対して経時的な平滑化処理を施し、当該平滑化処理後の前記車両の実動作量データまたは前記運転者の実操作量データ、および、前記複数の走行シーンの属性情報に基づいて、当該車両の現在の走行シーンを同定する、
ことを特徴とする運転者状態推定装置。 - 請求項3に記載の運転者状態推定装置であって、
前記走行シーン同定部は、前記車両のヨーレートセンサで検知された前記車両の実動作量に係る時系列データに対して経時的な平滑化処理を施し、当該平滑化処理後の実動作量データ、および、前記複数の走行シーンの属性情報に基づいて、当該車両の現在の走行シーンを同定する、
ことを特徴とする運転者状態推定装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の運転者状態推定装置であって、
前記操作目標値取得部は、撮像部により撮像し、または、ナビゲーション装置を介して得られる前記車両の進行方向に係る走行道路情報に基づいて、前記運転者の操作目標値を取得する、
ことを特徴とする運転者状態推定装置。
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