JP5687184B2 - 緻密質炭素薄板の製造方法及び炭素薄板 - Google Patents

緻密質炭素薄板の製造方法及び炭素薄板 Download PDF

Info

Publication number
JP5687184B2
JP5687184B2 JP2011289405A JP2011289405A JP5687184B2 JP 5687184 B2 JP5687184 B2 JP 5687184B2 JP 2011289405 A JP2011289405 A JP 2011289405A JP 2011289405 A JP2011289405 A JP 2011289405A JP 5687184 B2 JP5687184 B2 JP 5687184B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
thin plate
mass
carbon thin
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011289405A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013136495A (ja
Inventor
和人 松江
和人 松江
恭寛 秋山
恭寛 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Akechi Ceramics Co Ltd
Original Assignee
Akechi Ceramics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Akechi Ceramics Co Ltd filed Critical Akechi Ceramics Co Ltd
Priority to JP2011289405A priority Critical patent/JP5687184B2/ja
Publication of JP2013136495A publication Critical patent/JP2013136495A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5687184B2 publication Critical patent/JP5687184B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

本発明は、緻密質炭素薄板の製造方法、及び、該製造方法により製造される炭素薄板に関するものである。
ガス透過度の低い緻密質炭素薄板の製造方法として、従来、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の溶液を紙に含浸させ、樹脂液が含浸した紙の複数枚を積層し圧着して積層体とし、その積層体を焼成して炭化させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようにして得られる炭素薄板は、非晶質の炭素からなり、燃料電池のセパレータなど、ガス不透過性と電気伝導性が要請される用途に用いられている。特許文献1では、得られる炭素薄板の電気伝導性を高めるために、紙または樹脂液に、黒鉛粉末や炭素繊維を含有させることも提案している。
上記の製造方法では、焼成時の樹脂の分解によるガスの発生に伴い積層体において発泡し、得られる炭素薄板に多くの気孔が形成されて、ガス不透過性が不十分となるおそれがある。そこで、熱硬化性樹脂の溶液に、乾性油又はその構成脂肪酸を混合することが提案されている(特許文献2参照)。これにより、樹脂が変性して熱分解反応が穏やかとなり、気孔の形成が抑制されると考えられている。
また、炭素薄板のガス不透過性を高める目的で、紙の気孔に樹脂を十分に充填することを意図し、紙の平均気孔率、及び、紙に担持させる樹脂液の量を制御する方法も、提案されている(特許文献3参照)。更に、焼成時における亀裂の発生は、熱収縮の大きさに起因すると考え、樹脂液を含浸させる前の紙を、予め加熱してある程度収縮させておく方法も、提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、上記の従来技術では、焼成前の積層体の厚さはせいぜい1.5mm程度にとどまっており、焼成後(炭化後)に得られる炭素薄板の厚さは0.5mm未満であった。そのため、より厚さの大きい炭素薄板が要請されていた。単純には、樹脂液を含浸させた紙を積層する枚数を増加させることを想到し得るが、その場合は層間に空隙が形成され、或いは、層間で剥離が生じ易くなるなど、ガス不透過性が低下してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、ガス不透過性を損なうことなく、従来に比べて厚さの大きい炭素薄板を製造することができる緻密質炭素薄板の製造方法、及び、該製造方法により製造される炭素薄板の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる緻密質炭素薄板の製造方法は、「セルロース繊維を原料とする紙に、乾性油または乾性油の構成脂肪酸を混合したフェノール樹脂を含む混合溶液を含浸させ、含浸紙を得る含浸工程と、前記含浸紙を乾燥させ、乾燥処理後含浸紙とする乾燥工程と、前記乾燥処理後含浸紙の複数枚を積層し圧着して積層体を得る積層圧着工程と、前記積層体を非酸化性雰囲気で焼成し炭化させる炭化工程とを具備し、前記乾燥工程は、前記乾燥処理後含浸紙の質量から揮発分及び前記紙の質量を除いた固形分の質量の前記乾燥処理後含浸紙の質量に対する割合が25%〜55%で、且つ、揮発分の質量の前記乾燥処理後含浸紙の質量に対する割合が2.5%〜5.5%となるように行われる」ものである。
「セルロース繊維を原料とする紙」としては、木材パルプ、コウゾ、ミツマタ、麻、綿などの天然繊維、天然のセルロースの再生繊維(レーヨンなど)を原料とする紙を例示することができる。
「乾性油または乾性油の構成脂肪酸」における「乾性油」としては、桐油、アマニ油、ケシ油、シソ油、エゴマ油、ベニバナ油、ヒマワリ油を例示することができる。また、これらとフェノール樹脂を含む「混合溶液」は、有機溶媒で濃度及び粘度を調整した溶液を使用することができ、有機溶媒としては、トルエン、アセトン、エタノール等を使用することができる。なお、以下では、フェノール樹脂、及び、乾性油または乾性油の構成脂肪酸との混合により変性したフェノール樹脂を総称して、単に「樹脂」と称することがある。
「非酸化性雰囲気」は、アルゴンガス等の不活性ガス、窒素ガス、これらの混合ガス雰囲気、または、真空雰囲気とすることができる。
「固形分の質量の乾燥処理後含浸紙の質量に対する割合」(以下、「固形分割合」と称することがある)は、主に混合溶液中の樹脂固形分の割合に影響を受ける。混合溶液中の樹脂固形分の割合が大きい場合は、混合溶液の粘度が大きくなり、紙への含浸が不十分となりやすい(紙の内部まで混合溶液が十分に浸透しにくい)と共に、焼成時に樹脂の熱分解により発生するガス量が増加する。一方、混合溶液中の樹脂固形分の割合が小さい場合は、混合溶液の紙への浸透性は高くなるが、紙に担持される樹脂量が少なくなり、積層体における各層の緻密度が低くなると共に、層間の接着が不十分となりやすく、得られる炭素薄板のガス不透過性が不十分となる。
また、「揮発分の質量の乾燥処理後含浸紙の質量に対する割合」(以下、「揮発分割合」と称することがある)は、乾燥工程を経て残存する揮発分の割合であり、主に乾燥温度・乾燥時間や混合溶液中の有機溶媒の割合に影響を受ける。乾燥温度が高い場合は乾燥開始時に混合溶液の紙への浸透が進行するが揮発分割合が小さくなりやすく、乾燥温度が低い場合は揮発分が残存しやすい。混合溶液中の有機溶媒の割合が小さい場合は、混合溶液の粘度が大きくなりやすく、紙への含浸が不十分となりやすい。一方、混合溶液中の有機溶媒の割合が大きい場合は、混合溶液の紙への浸透性は高くなるが、乾燥処理後含浸紙に気孔が残存し易く、得られる炭素薄板のガス不透過性が不十分となりやすい。
本発明者らは、検討の結果、乾燥処理後含浸紙における固形分割合及び揮発分割合を、共に所定の範囲内とすることにより、紙に含浸する樹脂量を十分なものとし、積層体における層間の接着性を良好なものとして含浸紙の多数枚の積層を可能とすると共に、焼成時の発泡や膨れを抑制できることを見出し、本発明に至ったものである。そして、上記構成の本発明によれば、後述のように、従来の炭素薄板と同等以上のガス不透過性を有しながら、従来の炭素薄板に比べて厚さの大きい炭素薄板を製造することができる。
本発明にかかる緻密質炭素薄板の製造方法は、上記構成に加え、「前記積層圧着工程は、1.5MPa〜5.0MPaの圧力で行われる」ものとすることができる。
積層圧着工程における圧力が大きければ、積層体における層間の接着性を高めることができる反面、焼成時に樹脂の熱分解により発生するガスが層間から排出されにくくなり、積層体に膨れや層間剥離を生じ易いものとなる。本発明では、積層圧着工程における圧力を1.5MPa〜5.0MPaの範囲とすることにより、熱分解により発生するガスが排出される経路が残る程度に、積層体において層間を接着させる。これにより、焼成時の膨れや剥離が抑制され、ガス不透過性の高い炭素薄板を、高い収率(良品の得られる割合)で製造することができる。
本発明にかかる緻密質炭素薄板の製造方法は、上記構成に加え、「前記炭化工程は、3.2℃/hr以上の昇温速度で行われる」ものとすることができる。
炭化工程における昇温速度が大き過ぎると、樹脂の熱分解が急速に進行し、積層体に発泡や膨れが生じ易いため、炭素薄板の収率(製造数における良品数の割合)が低下するおそれがある。そのため、従来では炭化工程に数十日から数カ月をかけていた。これに対し、上述の構成を備える本発明では、炭化工程における昇温速度を3.2℃/hr以上という従来に比べて大きな昇温速度としても、発泡や膨れを抑制して高い収率で炭素薄板を製造することができ、生産効率が高い。なお、昇温速度を3.2℃/hr以上、3.6℃/hr以下の範囲とすれば、工業生産規模での生産効率を確保しつつ、極めて高い収率で炭素薄板を製造することができ、より好適である。
本発明にかかる緻密質炭素薄板の製造方法は、上記構成に加え、「前記炭化工程は、前記積層体を膨張黒鉛シート間に挟んだ状態で行われる」ものとすることができる。
膨張黒鉛シートは、層間化合物とした黒鉛を急激に加熱し、層間の物質をガス化して層間隔を押し広げ、その後圧延することにより得られる黒鉛シートであり、厚さ0.5mm〜2.0mmのものを好適に使用することができる。なお、上記の従来技術では、反り等を防止することを目的として、積層体を“黒鉛板”に挟んだ状態で焼成することを開示しているが、この黒鉛板は機械加工上の制約から厚さが5mm以上の板材とならざるを得ず、本発明の膨張黒鉛シートとは異なる。
膨張黒鉛シートは、面方向の熱伝導率が大きい。従って、積層体を膨張黒鉛シートに挟んだ状態で炭化することにより、積層体における温度分布を均一に近付けることができる。また、膨張黒鉛シートは滑り性に優れる。そのため、膨張黒鉛シート間に挟まれた積層体は、膨張黒鉛シートに沿って滑らかに収縮し易い。従って、上記構成の本発明によれば、炭化工程における積層体の反りやうねり等を抑制し、変形のない炭素薄板を高い収率で製造することができる。
本発明にかかる緻密質炭素薄板の製造方法は、上記構成に加え、「前記含浸工程は、前記紙として2質量%〜12質量%の炭素質フィラーを含有する紙を使用し、または、前記混合溶液から揮発分を除去した固形分に対する炭素質フィラーの割合が1質量%〜11質量%となる、炭素質フィラーを含有する前記混合溶液を使用して行われる」ものとすることができる。
「炭素質フィラー」としては、黒鉛粉末、炭素繊維、カーボンブラック等を使用可能である。
炭化工程を経て得られる炭素薄板のマトリクスは非晶質の炭素であり、炭素材料としては電気伝導率が高いとは言えない。そこで、炭素質フィラーを紙または混合溶液に含有させることにより、製造される炭素薄板の電気伝導性を高めることができる。ところが、含有させる炭素質フィラーの量が多くなると、製造される炭素薄板のガス不透過性が低下する傾向がある。本発明によれば、所定範囲の割合で炭素質フィラーを含有する紙、または、所定範囲の割合で炭素質フィラーを含有する混合溶液を紙に含浸させることにより、電気伝導性を高める作用効果を得つつ、実用的なガス不透過性を備える炭素薄板を製造することができる。
本発明にかかる緻密質炭素薄板の製造方法は、上記構成に加え、「前記炭化工程の後に、炭化した前記積層体を非酸化性雰囲気で1700℃〜2300℃で焼成し黒鉛化させる黒鉛化工程を具備する」ものとすることができる。
炭化工程を経て得られる非晶質炭素からなる炭素薄板を、更に1700℃〜2300℃で焼成することにより、非晶質炭素が黒鉛化し、電気伝導性の高い炭素薄板を製造することができる。ところが、黒鉛化した炭素の結晶が異常成長すると、ガス不透過性が低下すると共に、層間剥離が生じ易くなる。本発明では、黒鉛化の温度を2300℃を超えない温度とすることにより、ガス不透過性を損なうことなく電気伝導性が高められ、層間剥離の抑制された炭素薄板を製造することができる。
次に、本発明にかかる炭素薄板は、「非晶質炭素の炭素薄板であって、窒素ガス透過度が2×10−12cc/cm・sec〜4×10−7cc/cm・secで、厚さが1.6mm〜2.4mmである」ものである。
上述の含浸工程、乾燥工程、積層圧着工程、及び、炭化工程を具備する緻密質炭素薄板の製造方法により、後述のように、従来の炭素薄板と同等以上のガス不透過性を有しながら、従来の炭素薄板に比べて厚さの大きい本構成の炭素薄板を得ることができる。すなわち、既述のように、従来技術では、焼成前の積層体の厚さはせいぜい1.5mmにとどまっており、炭化工程を経て得られる炭素薄板の厚さは0.5mm未満であった。これに対し、上述の緻密質炭素薄板の製造方法によれば、従来に比べて厚さの大きい1.6mm以上の炭素薄板(非晶質炭素)を製造可能であり、少なくとも2.4mmの厚さの炭素薄板を実現できることが確認された。なお、上述の含浸工程、乾燥工程、積層圧着工程、及び、炭化工程を具備する緻密質炭素薄板の製造方法によって、従来技術と同程度の厚さの炭素薄板(非晶質炭素)を得ることができることは、もちろんである。
また、本発明にかかる炭素薄板は、「黒鉛化した炭素薄板であって、窒素ガス透過度が2×10−11cc/cm・sec〜8×10−7cc/cm・secで、厚さが1.5mm〜2.3mmである」ものである。
上述の含浸工程、乾燥工程、積層圧着工程、炭化工程、及び、黒鉛化工程を具備する緻密質炭素薄板の製造方法により、後述のように、従来の炭素薄板と同等以上のガス不透過性を有しながら、従来の炭素薄板に比べて厚さの大きい本構成の炭素薄板を得ることができる。すなわち、従来技術では、焼成前の炭素薄板の厚さがせいぜい1.5mm程度と小さいため、これを炭化させ、更に黒鉛化させた炭素薄板の厚さは0.4mm未満となってしまう。これに対し、上述の含浸工程、乾燥工程、積層圧着工程、炭化工程、及び、黒鉛化工程を具備する緻密質炭素薄板の製造方法によれば、従来に比べて厚さの大きい1.5mm以上の炭素薄板(黒鉛化)を製造可能であり、少なくとも2.3mmの厚さの炭素薄板を実現できることが確認された。なお、上述の含浸工程、乾燥工程、積層圧着工程、炭化工程、及び、黒鉛化工程を具備する緻密質炭素薄板の製造方法によって、従来技術と同程度の厚さの炭素薄板(黒鉛化)を得ることができることは、もちろんである。
以上のように、本発明の効果として、ガス不透過性を損なうことなく、従来に比べて厚さの大きい炭素薄板を製造することができる緻密質炭素薄板の製造方法、及び、該製造方法により製造される炭素薄板を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、説明する。第一実施形態の緻密質炭素薄板の製造方法(以下、単に「製造方法」と称する)は、セルロース繊維を原料とする紙に、乾性油または乾性油の構成脂肪酸を混合したフェノール樹脂を含む混合溶液を含浸させ、含浸紙を得る含浸工程と、含浸紙を乾燥させ、乾燥処理後含浸紙とする乾燥工程と、乾燥処理後含浸紙の複数枚を積層し圧着して積層体を得る積層圧着工程と、積層体を非酸化性雰囲気で焼成し炭化させる炭化工程とを具備し、乾燥工程は、乾燥処理後含浸紙の質量から揮発分及び紙の質量を除いた固形分の質量の乾燥処理後含浸紙の質量に対する割合が25%〜55%で、且つ、揮発分の質量の乾燥処理後含浸紙の質量に対する割合が2.5%〜5.5%となるように行われるものである。
より具体的に説明すると、含浸工程で混合溶液を含浸させる紙としては、市販のクラフト紙、リンタ紙、クラフト・リンタ混抄紙を例示することができる。
加えて、混合溶液を含浸させる紙として、紙の原料に炭素質フィラーを配合して抄紙することにより得られる、炭素質フィラーを含有する紙を使用することができる。炭素質フィラーとしては、黒鉛粉末、炭素繊維、カーボンブラック等を使用可能であり、黒鉛粉末及びカーボンブラックの場合は、粒子直径が20μm以下であることが望ましい。また、炭素繊維の場合は、繊維直径が20μm以下で、長さが3mm以下であることが望ましい。加えて、紙への炭素質フィラーの配合割合は、2質量%〜12質量%であることが望ましい。炭素質フィラーのサイズが大きい場合、あるいは、紙への炭素質フィラーの配合割合が大きい場合は、紙の組織の緻密性や均一性が低下し、紙に担持される混合溶液が不十分、不均一となり、ひいては、ガス不透過性が低下するおそれがある。一方、紙への炭素質フィラーの配合割合が小さい場合は、製造される炭素薄板の電気伝導性を高める効果を十分に発揮することができない。
含浸工程で紙に含浸させる混合溶液は、乾性油または乾性油の構成脂肪酸を混合したフェノール樹脂を、有機溶媒に溶解した溶液を使用する。有機溶媒としては、トルエン、アセトン、エタノール等を使用可能である。
また、紙に炭素質フィラーを含有させる場合に代替して、混合溶液に炭素質フィラーを含有させることもできる。この場合の炭素質フィラーとしては、上記と同様に、黒鉛粉末、炭素繊維、カーボンブラック等を使用可能であり、そのサイズは、黒鉛粉末及びカーボンブラックの場合は、粒子直径が20μm以下、炭素繊維の場合は、繊維直径が20μm以下で、長さが3mm以下であることが望ましい。また、炭素質フィラーを含有する混合溶液としては、混合溶液から揮発分を除去した固形分に対する炭素質フィラーの割合が1質量%〜11質量%となる混合溶液が望ましい。炭素質フィラーのサイズが大きい場合、紙の表面に付着する炭素質フィラーが増加し、焼成時に剥離しやすくなる。また、混合溶液における炭素質フィラーの割合が大きい場合は、紙に担持された混合溶液中の炭素質フィラー及び樹脂成分の分布がそれぞれ不均一となり易く、ガス不透過性が低下するおそれがある。一方、混合溶液における炭素質フィラーの割合が小さい場合は、製造される炭素薄板の電気伝導性を高める効果を、十分に発揮することができない。
なお、含浸工程では、紙に混合溶液を含浸させる操作に先立ち、紙を加熱乾燥して水分を十分に除去しておくことが望ましい。紙の水分除去が不十分であると、有機溶媒系の混合溶液が紙に含浸しにくいことに加え、紙の気孔に含浸した混合溶液の奥に水分が取り残され、その後に行われる積層圧着工程や炭化工程において、発泡、膨れ、層間剥離などを生じやすいものとなる。紙を乾燥させるための加熱は、100℃以上で230℃を超えない温度で行うことが望ましい。100℃以下では水分が蒸発しにくく、230℃を超えると紙のセルロース繊維が劣化し、最終的に製造される炭素薄板の機械的強度が低下するおそれがある。
含浸工程を経て得られた含浸紙は、乾燥工程において、110℃〜150℃の範囲の所定の温度に、一定に保持された乾燥機内で乾燥する。含浸工程における混合溶液の濃度(樹脂濃度)や紙への含浸量により、固形分割合が25%〜55%となるように調整すると共に、含浸工程における混合溶液の濃度(有機溶媒濃度)及び乾燥工程における乾燥温度や乾燥時間により、揮発分割合が2.5%〜5.5%となるように調整を行う。
固形分割合及び揮発分割合は、それぞれ以下の式により算出される。ここで、「揮発分」には、乾燥処理後含浸紙を更に加熱処理することにより除去される有機溶媒分、及び、紙に含浸した液中の未反応樹脂の重合反応が更なる加熱処理によって更に進行し、その重合反応の結果生じた水が蒸発する分が含まれる。そこで、以下では、揮発分を乾燥処理後含浸紙から除去する処理を行った後の含浸紙を「揮発分除去後含浸紙」と称する。なお、乾燥処理後含浸紙から揮発分を除去する処理は、乾燥処理後含浸紙を150℃で30分間加熱することにより行うことができる。
固形分割合=((揮発分除去後含浸紙の質量)−(紙の質量))×100/(乾燥処理後含浸紙の質量)
揮発分割合=((乾燥処理後含浸紙の質量)−(揮発分除去後含浸紙の質量))×100/(乾燥処理後含浸紙の質量)
乾燥工程を経た乾燥処理後含浸紙は、積層圧着工程で複数枚を積層し、加熱圧着して積層体とする。加熱温度は、常法に従い、圧着ヘッドの温度をスチーム加熱温度である130℃〜150℃とすることが好ましい。圧着圧力は、1.5MPa〜5.0MPaとする。圧力が小さ過ぎれば、積層された含浸紙同士の接着が弱いものとなる一方、圧力が大き過ぎれば積層された含浸紙同士の密着性が高すぎ、後に行われる炭化工程で、樹脂の熱分解により発生するガスがスムーズに排出されにくくなる。
炭化工程では、積層圧着工程を経て得られた積層体を、膨張黒鉛シートに挟み込んだ状態で焼成する。このとき、複数の積層体それぞれの間に膨張黒鉛シートを挟んで複数の積層体を積み重ね、更にその全体を外側から黒鉛板で挟んだ状態で、詰め粉に埋設し、焼成することができる。このように、熱伝導率の高い膨張黒鉛シートに積層体を挟み込むことにより、積層体における温度分布が均一化すると共に、滑り性の高い膨張黒鉛シートに沿って積層体が滑らかに収縮するため、積層体の反りや変形が抑制される。更に、複数の積層体全体が黒鉛板に挟み込まれ、詰め粉に埋設された状態で焼成されるため、積層体の反りや変形がより有効に抑制される。
炭化工程における焼成は、非酸化性雰囲気に保持した電気炉内で、常温から800℃まで昇温することにより行う。昇温速度は小さい方が樹脂の熱分解が穏やかとなり、発泡や膨れによる不良品の発生率が低下する一方、昇温速度が小さ過ぎれば、焼成のための所要時間(日数)が長く炭素薄板の製造効率が悪い。
含浸工程〜炭化工程を経て製造される非晶質炭素からなる炭素薄板は、後述の実施例に示すように、厚さ1.6mm〜2.4mmと、従来の炭素薄板より厚さが大きいにも関わらず、従来の炭素薄板と同程度以上のガス不透過性を備えている。
次に、第二実施形態の製造方法について説明する。第二実施形態の製造方法は、炭化工程までは第一実施形態の製造方法と同様であり、炭化工程の後に、炭化した積層体を非酸化性雰囲気で1700℃〜2300℃で焼成し黒鉛化させる黒鉛化工程を具備している。
黒鉛化工程では、炭化工程を経て得られた非晶質炭素からなる炭素薄板を、数枚〜10枚程度積み重ねて膨張黒鉛シートで挟み込む。これを一単位として、複数単位を積層し、全体を炭素板で挟み込んだ状態で、詰め粉に埋設し、焼成する。非晶質炭素となった炭素薄板は、炭化前の積層体に比べて高い熱伝導性を有するため、炭素薄板一枚ごとに黒鉛シートで挟み込むことまではしなくても、反りや変形を防止して、黒鉛化した炭素薄板を収率良く製造することができる。
黒鉛化工程における焼成は、非酸化性雰囲気に保持したアチソン炉などの電気炉内で、数時間から数十時間をかけて1700℃〜2300℃の範囲内の所定温度まで昇温して行う。焼成温度が2300℃を超えると、黒鉛の結晶が異常成長し、組織がポーラスとなってガス不透過性が低下するおそれがある。また、黒鉛の結晶における異方性に起因して、層間剥離が生じ易くなり、収率が低下するおそれがある。
含浸工程〜黒鉛化工程を経て製造される黒鉛化した炭素薄板は、上述のように厚さが大きいと共に、後述のように、高い電気伝導性を備えると共に、実用的なガス不透過性を備えている。
次に、本実施形態の製造方法の条件を上記のように定めた根拠について、具体的な検討結果を示して説明する。検討は、以下に示す36種類の試料を用いて行った。
試料1〜試料20では、紙として、クラフト・リンタ混抄紙(王子製紙製、米坪100g/m)を使用した。試料21〜試料36では、木材パルプ、水、及び、黒鉛粉末を含有する抄紙用の原液を調製後、丸網抄紙機を使用して、上記のクラフト・リンタ混抄紙と同程度の米坪100g/m〜120g/mの黒鉛粉混抄紙を抄紙した。黒鉛粉末としては、高炉レンガ用の人工黒鉛を平均粒子径14μmに粉砕したものを使用した。黒鉛粉混抄紙に対する黒鉛粉末の割合は、2質量%、5質量%、8質量%、12質量%、14質量%の5種類とした。ここで、黒鉛粉混抄紙に対する黒鉛の割合は、次式により算出した。
(黒鉛粉末の質量)×100/((針葉樹クラフトパルプ(NKP)の質量)+(黒鉛粉末の質量)+(アクリル系凝集剤の質量))
なお、黒鉛粉末の割合によらず、アクリル系凝集剤の割合は黒鉛粉混抄紙の3質量%とした。
クラフト・リンタ混抄紙、黒鉛粉混抄紙ともに、300mm×300mmに裁断した。裁断された紙を、230℃で加熱し水分を十分に除去した。
紙に含浸させる混合溶液(乾性油または乾性油の構成脂肪酸を混合したフェノール樹脂を含む混合溶液)としては、桐油とフェノールを混合してからホルマリンを加えて反応を進行させて得られた桐油変性フェノール樹脂を、トルエンで希釈して調製した。紙としてクラフト・リンタ混抄紙を使用した試料の内の試料1〜試料4、及び、紙として黒鉛粉混抄紙を使用した試料21〜試料26では、上記のように調製された混合溶液を、そのままの状態で含浸させた(含浸工程)。
一方、試料5〜試料20については、上記のように調製された混合溶液に黒鉛粉末を混合した混合溶液を含浸させた(含浸工程)。黒鉛粉末としては、上記と同一のもの(高炉レンガ用の人工黒鉛を平均粒子径14μmに粉砕した粉末)を使用した。混合溶液中の黒鉛粉末の割合は、混合溶液から揮発分を除去した固形分に対する黒鉛粉末の割合が1質量%、3質量%、8質量%、11質量%、13質量%となる5種類とした。ここで、混合溶液から揮発分を除去した固形分に対する黒鉛粉末の割合(質量%)は、次式により算出した。
(混合溶液50ml中の黒鉛粉末の質量)×100/(混合溶液50mlを150℃で1時間加熱した後の残存分の質量)
混合溶液を含浸させた含浸紙は、130℃に保持された乾燥機内で乾燥した(乾燥工程)。混合溶液の濃度、乾燥時間等の調整により、固形分割合、及び、揮発分割合の異なる試料を調製した。
乾燥処理後含浸紙を15枚〜26枚積層し、150℃の温度下で30分、所定の圧力で加圧し圧着して、厚さ2.6mm〜3.7mmの積層体とした(積層圧着工程)。
試料ごとに、紙の種類、黒鉛を添加した試料はその割合、固形分割合、揮発分割合、積層枚数、圧着圧力、及び、成形された積層体の厚さを、表1にまとめて示す。
Figure 0005687184
各試料について、積層体と膨張黒鉛シートを交互に重ねて積層体10個を積み重ね、更にその全体を、厚さ5mmの一対の黒鉛板で挟み、詰め粉に埋設した。その状態で約5g/cmの荷重をかけ、電気炉内に静置し、非酸化性雰囲気で常温から800℃まで加熱した(炭化工程)。昇温速度については、3.2℃/hrと、3.6℃/hrの二種類とした。ここで、膨張黒鉛シートとしては、TYK製グラファイトシート、厚さ0.8mmを使用した。
また、対比のために、膨張黒鉛シートに代替して厚さ5mmの黒鉛板を使用し、積層体と黒鉛板を交互に重ねて積層体10個を積み重ね、更にその全体を、厚さ5mmの一対の黒鉛板で挟み、その状態で詰め粉に埋設した試料についても、同じ荷重をかけ、昇温速度3.2℃/hrで常温から800℃まで加熱し焼成した。
炭化工程における積層体の挟み込みの態様、及び、昇温速度条件が相違する場合のそれぞれについて、焼成後に冷却した電気炉から取出した炭素薄板の外観を肉眼で観察し、反り、膨れ、剥離、亀裂等の発生のない良品の枚数を計数した。すなわち、炭化工程における、三つの条件A,B,Cの対比である。対比の結果を表2に示す。
条件A:積層体を膨張黒鉛シートで挟む、昇温速度3.2℃/hr
条件B:積層体を膨張黒鉛シートで挟む、昇温速度3.6℃/hr
条件C:積層体を黒鉛板で挟む、昇温速度3.2℃/hr
Figure 0005687184
試料1,3,5〜8,24,26,28,29では、何れの場合も全数が外観上良品であった。一方、試料11,14,20,31,36は、それぞれ全数に反り、膨れ、剥離、亀裂等の不良が発生した。条件によって良品の数が相違するその他の試料について、積層体を膨張黒鉛シート間に挟んだ点で同一条件であって、昇温速度の条件のみが相違する場合を比較すると(条件AとBとの対比)、昇温速度が小さい方(条件A)が良品の数が多い傾向があり、昇温速度の条件は同一であって積層体間の材料が膨張黒鉛シートか黒鉛板かで相違する場合を比較すると(条件AとCとの対比)、積層体間の材料が膨張黒鉛シートの方(条件A)が、良品の数が多かった。以上より、積層体を膨張黒鉛シート間に挟み、3.2℃/hr程度の昇温速度で焼成することにより、外観が良好な炭素薄板を高い収率で製造できると考えられた。また、昇温速度は3.2℃/hr〜3.6℃/hrの範囲であれば、炭素薄板の収率、製造効率ともに実用的な範囲内であと考えられた。
最も良品の割合が高かった条件Aによる炭化工程を経て得られた炭素薄板について、厚さを測定すると共に、ガス透過度、電気比抵抗、及び、三点曲げ強さについて、次の方法で試験を行った。ここで、ガス透過度は、石鹸膜流量計を用い、単位時間当たりの窒素ガスの透過量を、差圧0.1MPaの条件下で測定した。また、電気比抵抗は、炭素薄板から20mm幅の短冊状の試験片を切り出し、電極間距離50mm、電流1Aのときの電圧値より算出した。また、三点曲げ強さは、炭素薄板から20mm幅の短冊状の試験片を切り出し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1.5mm/minの条件で測定した。何れの試験も、20℃±3℃に保持された環境で行った。また、何れの試験も、三つの試験片について測定を行い、その平均値を算出した。上記の測定結果を、表1にあわせて示す。
表1から明らかなように、全数が外観上の不良品であった試料11,14,20,31,36を除き、何れの試料についても、従来の炭素薄板より厚さの大きい、厚さ1.6mm〜2.4mmの炭素薄板が得られた。
ただし、試料26は、測定した物性値のうちガス不透過性が不十分であった。それ以外の試料1〜10,12,13,15〜19,21〜25,27〜30,32〜35では、窒素ガス透過度は2×10−12cc/cm・sec〜4×10−7cc/cm・secであり、従来の炭素薄板と同程度の優れたガス不透過性を有しており、且つ、電気比抵抗も1.8×10−3Ω・cm〜5.3×10−3Ω・cmであり、従来の炭素薄板の電気比抵抗と同程度であった。加えて、三点曲げ強さも99MPa〜151MPaと、実用的な範囲であった。
以上の結果から、全数が外観上の不良品であった試料11,14,20,31,36、及び、物性値が不十分であった試料26が除外されて良品のみが製造できる条件を検討した結果、以下の条件が抽出された。
紙または含浸させる混合溶液に炭素を含有させない場合:
固形分割合=25質量%〜55質量%、且つ
揮発分割合=2.5質量%〜5.5質量%
また、紙または含浸させる混合溶液に炭素を含有させる場合、良品のみが製造されるために、上記範囲の固形分割合及び揮発分割合に加えて備えるべき条件として、以下の条件が抽出された。
紙の場合:紙に対する黒鉛粉末の割合=2質量%〜12質量%
混合溶液の場合:混合溶液から揮発分を除去した固形分に対する黒鉛粉末の割合=1質量%〜11質量%
次に、良品の非晶質炭素薄板(試料1〜10,12,13,15〜19,21〜25,27〜30,32〜35)を、黒鉛化した。この工程では、良品の炭素薄板3枚を1枚ずつ膨張黒鉛シート間に挟んで積み重ね、更にその全体を一対の厚さ5mmの黒鉛板で挟み、アチソン式黒鉛化炉にて加熱した(黒鉛化工程)。加熱温度は2300℃及び2500℃の二種類とし、常温からそれぞれ13時間及び15時間かけて昇温し黒鉛化した。なお、炉内温度は放射温度計で測定した。
焼成後に冷却した炉から取出した黒鉛化した炭素薄板の外観を肉眼で観察し、反り、膨れ、剥離、亀裂等の発生の有無を観察した。その結果、焼成温度が2300℃であった場合は、全数が外観上で良品であった。一方、焼成温度が2500℃であった場合は、全数に亀裂や割れ生じていた。
次に、黒鉛化した炭素薄板の良品(2300℃焼成)について、上記と同様の方法で、窒素ガス透過度、電気比抵抗、及び、三点曲げ強さの測定を行った。上記の測定結果及び黒鉛化した炭素薄板の厚さの測定結果を、表3に示す。
Figure 0005687184
表3を表1と対比すると明らかなように、電気比抵抗は1.2×10−3Ω・cm〜3.6×10−3Ω・cmであり、黒鉛化した試料の全てにおいて、電気比抵抗が非晶質炭素(炭化工程後、黒鉛化工程前)のときに比べて小さくなっていた。すなわち、黒鉛化によって電気伝導性が高くなった。一方、ガス不透過性については、黒鉛化によって低下する傾向が見られたが、それでも従来の炭素薄板と同程度のガス不透過性を有していた(窒素ガス透過度として、2×10−11cc/cm・sec〜8×10−7cc/cm・sec)。また、三点曲げ強さについても、黒鉛化によって僅かに低下する傾向が見られたが、それでも92MPa〜140MPaと実用的な範囲であった。
なお、炭化工程の後に全数が外観上良品であった試料1,3,5〜8,24,28,29について、3枚の炭素薄板(非晶質炭素)を、膨張黒鉛シート間に挟むことなく積み重ねて2300℃で焼成したところ、何れの試料もほぼ全数について、外観上良品の黒鉛化した炭素薄板が得られた。このことから、焼成時に膨張黒鉛シート間に挟むことにより反りや膨れ等の変形が抑制される作用は、黒鉛化工程よりも炭化工程において、より重要であると考えられた。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
特開昭60−161144号公報 特開昭60−231470号公報 特公平8−25817号公報 特開昭60−145952号公報

Claims (8)

  1. セルロース繊維を原料とする紙に、乾性油または乾性油の構成脂肪酸を混合したフェノール樹脂を含む混合溶液を含浸させ、含浸紙を得る含浸工程と、
    前記含浸紙を乾燥させ、乾燥処理後含浸紙とする乾燥工程と、
    前記乾燥処理後含浸紙の複数枚を積層し圧着して積層体を得る積層圧着工程と、
    前記積層体を非酸化性雰囲気で焼成し炭化させる炭化工程とを具備し、
    前記乾燥工程は、前記乾燥処理後含浸紙の質量から揮発分及び前記紙の質量を除いた固形分の質量の前記乾燥処理後含浸紙の質量に対する割合が25%〜55%で、且つ、揮発分の質量の前記乾燥処理後含浸紙の質量に対する割合が2.5%〜5.5%となるように行われる
    ことを特徴とする緻密質炭素薄板の製造方法。
  2. 前記積層圧着工程は、1.5MPa〜5.0MPaの圧力で行われる
    ことを特徴とする請求項1に記載の緻密質炭素薄板の製造方法。
  3. 前記炭化工程は、3.2℃/hr以上の昇温速度で行われる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の緻密質炭素薄板の製造方法。
  4. 前記炭化工程は、前記積層体を黒鉛シート間に挟んだ状態で行われる
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の炭素薄板の製造方法。
  5. 前記含浸工程は、前記紙として2質量%〜12質量%の炭素質フィラーを含有する紙を使用し、または、前記混合溶液から揮発分を除去した固形分に対する炭素質フィラーの割合が1質量%〜11質量%となる、炭素質フィラーを含有する前記混合溶液を使用して行われる
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の炭素薄板の製造方法。
  6. 前記炭化工程の後に、炭化した前記積層体を非酸化性雰囲気で1700℃〜2300℃で焼成し黒鉛化させる黒鉛化工程を具備する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の炭素薄板の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の炭素薄板の製造方法によって製造された非晶質炭素の炭素薄板であって、
    窒素ガス透過度が2×10−12cc/cm・sec〜4×10−7cc/cm・secで、厚さが1.6mm〜2.4mmであることを特徴とする炭素薄板。
  8. 請求項6に記載の炭素薄板の製造方法によって製造された黒鉛化した炭素薄板であって、
    窒素ガス透過度が2×10−11cc/cm・sec〜8×10−7cc/cm・secで、厚さが1.5mm〜2.3mmであることを特徴とする炭素薄板。
JP2011289405A 2011-12-28 2011-12-28 緻密質炭素薄板の製造方法及び炭素薄板 Active JP5687184B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011289405A JP5687184B2 (ja) 2011-12-28 2011-12-28 緻密質炭素薄板の製造方法及び炭素薄板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011289405A JP5687184B2 (ja) 2011-12-28 2011-12-28 緻密質炭素薄板の製造方法及び炭素薄板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013136495A JP2013136495A (ja) 2013-07-11
JP5687184B2 true JP5687184B2 (ja) 2015-03-18

Family

ID=48912595

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011289405A Active JP5687184B2 (ja) 2011-12-28 2011-12-28 緻密質炭素薄板の製造方法及び炭素薄板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5687184B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62105910A (ja) * 1985-11-05 1987-05-16 Toyo Carbon Kk 積層炭素材料
JPH02199010A (ja) * 1989-01-26 1990-08-07 Kawasaki Steel Corp 薄板状炭素材料の製造方法
JPH03277538A (ja) * 1990-03-27 1991-12-09 Osaka Gas Co Ltd 断熱材
JPH0825817B2 (ja) * 1990-11-16 1996-03-13 東海カーボン株式会社 ガラス状カーボン材の製造方法
JPH1059782A (ja) * 1996-08-19 1998-03-03 Showa Denko Kk 炭素賦形体の製造方法
JP3528507B2 (ja) * 1997-03-31 2004-05-17 新神戸電機株式会社 被研磨物保持材用積層板
JP4001673B2 (ja) * 1998-03-24 2007-10-31 東海カーボン株式会社 水処理用多孔質炭素電極

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013136495A (ja) 2013-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2958174B1 (en) Fuel cell gas diffusion layer and methods for producing the same
JP4471175B2 (ja) 多孔質カーボン電極基材およびその作成方法
Kwon et al. Effect of carbonization temperature on electrical resistivity and physical properties of wood and wood-based composites
KR101392227B1 (ko) 고분자 나노섬유를 포함하는 탄소섬유 웹
CN103387407B (zh) 一种用于高速列车受电弓滑板碳/碳-石墨复合材料的制备方法
CN111018554A (zh) 一种利用石墨烯制备超高功率石墨电极的方法
CN108610049B (zh) 各向同性石墨材料,其制造方法及其应用
WO2016121569A1 (ja) 多孔質炭素シートおよびその前駆体繊維シート
JP3356534B2 (ja) 電解質保持板及びその製造方法
JP6743805B2 (ja) 炭素シート、ガス拡散電極基材、および燃料電池
KR20190110351A (ko) 고강도 그래핀 복합섬유 및 이의 제조방법
JP2015174807A (ja) 炭素繊維系断熱材及びその製造方法
KR102078974B1 (ko) 열전도성이 우수한 카본페이퍼의 제조방법 및 이로부터 제조된 카본페이퍼
US10923732B2 (en) Method for producing roll-type gas diffusion layer having excellent spreading property
JP5687184B2 (ja) 緻密質炭素薄板の製造方法及び炭素薄板
JP2011195374A (ja) 多孔質炭素シートおよびその製造方法
JP2015010014A (ja) 炭素板材の製造方法及び炭素板材
JP3332980B2 (ja) 分極性電極材の製造方法
WO2015178453A1 (ja) 円筒状断熱材及びその製造方法
JP4936478B2 (ja) 炭素化布帛の製造方法及び炭素化布帛
JP2014105116A (ja) 膨張黒鉛複合シートの製造方法及び膨張黒鉛複合シート
JP2010228934A (ja) 薄板状成形体の加熱処理方法
JP2004111341A (ja) 燃料電池ガス拡散層用の炭素繊維織布または不織布の製造方法
TWI610887B (zh) 等方向性石墨材料,其製造方法及其應用
JPH03215362A (ja) 緻密炭素板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130902

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140331

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140415

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20140613

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140613

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5687184

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250