JP5686617B2 - オイルパルス発生器及びオイルパルス発生器を備えたオイルパルス回転工具 - Google Patents

オイルパルス発生器及びオイルパルス発生器を備えたオイルパルス回転工具 Download PDF

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この発明は、作動油が充填された筒状のケースに同軸で突設されたスピンドルに、油圧によって発生する衝撃トルクを付加し、該衝撃トルクの大きさを調整可能なトルク調整手段を備えたオイルパルス発生器、該オイルパルス発生器を備えたオイルパルス回転工具に関する。
例えば特許文献1には、衝撃トルクの大きさを調整する調整部材を、ライナに設けたオイル通路に配置したオイルパルス発生器が開示されている。特許文献1のオイルパルス発生器では、調整部材に雄ねじ、オイル通路に雌ねじをそれぞれ形成し、雄ねじと雌ねじとを螺合させ調整部材を回転移動させてオイルの流通する容積を増減させることで、オイルパルス発生器内のオイルの圧力が調整されている。
また特許文献2には、2つの部品間に締結するボルトの脱落を防止する構造として、一方の部品に形成した孔に対して、貫通孔を形成したボルト保持部材を支持リングで保持させて、前端部に雄ねじが形成されたボルトを前記貫通孔に挿入した後に、前記雄ねじを、他方の部品に形成した雌ねじ孔に螺合させることが開示されている。
特開2010−269427号公報 特開昭58−170913号公報
一般にオイルパルス発生器では、衝撃トルクの大きさを調整するために用いる調整部材が、誤ってオイル流路から抜けることを阻止するために、調整部材の軸方向と直交する方向に延びる抜け止めピンを、ライナの前方側でオイル流路内に突出させていた。このため、抜け止めピンのような調整部材とは別個の部材を用意した上で、ライナに別個の部材を挿通させる穴加工を行って、別個の部材をライナの外部からオイル流路内に突出させるように配置しなければならないという手間があった。
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、調整部材とは別個の部材をオイルパルス発生器に対して外部から取り付けなくても調整部材の抜け止めが可能なオイルパルス発生器、該オイルパルス発生器を備えたオイルパルス回転工具を提供することを目的とする。
請求項1の発明に係るオイルパルス発生器は、モータで回転駆動される筒状のケース内に、作動油が充填される圧力室を設けて、前記ケースの前方へ該ケースと同軸でスピンドルを突設させて、油圧によって発生して前記スピンドルに付加する衝撃トルクの大きさを調整可能なトルク調整手段を備えたオイルパルス発生器において、前記トルク調整手段は、前記スピンドル内に形成され、前記スピンドル内と前記圧力室とを連通させて前記作動油を移動可能とする連通路と、前記連通路内で進退動可能に設けられ、前記連通路内での位置決め操作によって前記スピンドル内と前記圧力室との連通状態を変化させる調整部材と、を備え、前記連通路の内面に、前記調整部材の抜け方向への移動を規制する抜け止め部を一体に形成し、前記スピンドルの後端側で前記連通路内に設けられた作動油供給通路を介し、前記スピンドル内と前記圧力室とを連通させ、前記調整部材を、前記スピンドルの後端部で前記連通路の内面に形成された第1の雌ネジ部に螺合する雄ネジ部を有し、回転操作によってネジ送り移動する軸体として、前記抜け止め部を、前記第1の雌ネジ部との間に前記雄ネジ部が嵌合可能な嵌合空間をおいて、前記第1の雌ネジ部よりも前記スピンドルの前端側で前記連通路の内面に形成され、前記雄ネジ部が螺合可能な第2の雌ネジ部として、前記雄ネジ部を前記第1の雌ネジ部に螺合させながら、前記連通路内での前記調整部材の前記回転操作によって、前記作動油供給通路の開放量を変化させ、前記雄ネジ部を前記第1の雌ネジ部に螺合させながら、前記回転操作によって、前記調整部材を前記連通路内で前記スピンドルの前端側へ前記ネジ送り移動して前記作動油供給通路を全開状態にしたときに、前記雄ネジ部が前記嵌合空間内で空回りすることに加えて前記第2の雌ネジ部に引っ掛かることを特徴とする。
請求項の発明に係るオイルパルス回転工具は、作動油を充填する圧力室が設けられてモータで回転駆動される筒状のケースと、油圧によって発生する衝撃トルクの大きさを調整可能なトルク調整手段とを有するオイルパルス発生器を、ハウジングに収容して、前記ケースの前方へ該ケースと同軸で突設させたスピンドルを、前記ハウジングで回転可能に軸支して、前記スピンドルに、前記衝撃トルクを付加するオイルパルス回転工具において、前記ハウジングに、請求項1に記載のオイルパルス発生器を収容したことを特徴とする。
請求項1の発明に係るオイルパルス発生器及び請求項の発明に係るオイルパルス回転工具によれば、スピンドル内と圧力室との連通状態を変化させるために調整部材を連通路内で進退動させるときに、連通路の内面に一体に形成した抜け止め部は、調整部材の抜け方向の移動を規制できる。よって、抜け止めピンのような調整部材とは別個の部材をオイルパルス発生器に対して外部から取り付けなくても、調整部材をオイルパルス発生器に抜け止めすることが可能になる。
請求項の発明によれば、連通路内で調整部材の雄ネジ部を第2の雌ネジ部に螺合させた上で、調整部材を、回転操作によってネジ送り移動させることで第2の雌ネジ部を通過させることができる。よって、抜け止め部(第2の雌ネジ部)を設けても連通路に対する調整部材の着脱支障は生じない。
さらに、前記雄ネジ部が、第2の雌ネジ部を通過して第1の雌ネジ部と抜け止め部に当たる第2の雌ネジ部との間に嵌合すると、雄ネジ部は空回りすると共に第2の雌ネジ部に引っ掛かることで調整部材が抜け方向へ移動することが規制される。これにより、調整部材を連通路に対して抜け止めできる。
本発明の実施形態のオイルパルスユニットを備えたオイルパルスドライバの要部縦断面図である。 調整部材を連通路に嵌入する前のオイルパルスユニットの要部縦断面図である。 第2の雌ネジ部によって調整部材の雄ネジ部の移動が規制される状態を示したオイルパルスユニットの要部縦断面図である。 調整部材が作動油供給通路を全閉状態にしたオイルパルスユニットの要部縦断面図である。
本発明の実施形態を図1ないし図4を参照しつつ説明する。図1に示すように、オイルパルスドライバ1は、本体ハウジング10と、ユニットケース20とを備えている。本体ハウジング10は、樹脂製の左右の半割ハウジングを組み付けて形成され、胴体部11とハンドル部12とを有する。胴体部11は、筒状に形成されてオイルパルスドライバ1の前後方向(図1の左右方向)に延設されている。この胴体部11の内部には、モータ30と遊星歯車減速機構40とが収容されている。モータ30は遊星歯車減速機構40と接続されている。なお、本体ハウジング10及びユニットケース20は、本発明のハウジングの一例である。
ハンドル部12は、オイルパルスドライバ1の側面視で略T字形状となるように胴体部11から連設されている。ハンドル部12の内部には、トリガ13を有するスイッチ14が収容されている。トリガ13が引かれることにより、モータ30は電力が供給されて駆動する。また、ユニットケース20は、胴体部11内の前方(図1の右側)に組み付けられている。ユニットケース20の内部には、オイルパルスユニット50が収容されている。オイルパルスユニット50は遊星歯車減速機構40と接続されている。なお、オイルパルスユニット50は本発明のオイルパルス発生器の一例である。
図1及び図2に示すように、オイルパルスユニット50は、ケース51と、ライナ52と、スピンドル53と、トルク調整手段60とを備えている。ケース51は、両端がキャップで閉じられた円筒形状を有し、ケース51の内部には、円筒形状のライナ52が固定されている。ライナ52内には、作動油が充填される圧力室52Aが設けられてスピンドル53が回転可能に軸支されている。スピンドル53の前端は、ケース51の前方へケース51と同軸で突出している。この前端は、ボールベアリング21によって回転可能に軸支されている。スピンドル53の前端面には、スピンドル53内でスピンドル53の前後方向に延びるビット挿入部54への挿入口が開口する。スピンドル53の前端には、操作筒55が進退可能に外装されて、ボール56が操作筒55によってビット挿入部54内に押し込まれる。このボール56によって、ビット挿入部54に挿入されたビットはスピンドル53に固定される。
オイルパルスドライバ1によってネジの締付作業を行うときは、トリガ13を引くことによりモータ30を回転させると、遊星歯車減速機構40を介して減速された回転力がオイルパルスユニット50に伝達されて、オイルパルスユニット50が回転駆動される。これにより、スピンドル53に装着したビットを回転させてネジ締めが可能になる。ネジの締付作業に伴ってスピンドル53への負荷が高まり、スピンドル53の回転がオイルパルスユニット50の回転よりも遅れるようになると、オイルパルスユニット50が油圧による衝撃トルクを発生させる。この衝撃トルクはスピンドル53へ断続的に与えられるため、ネジの増し締めが可能になる。なお、オイルパルスユニット50は本発明のオイルパルス発生器の一例であり、オイルパルスドライバ1は本発明のオイルパルス回転工具の一例である。
トルク調整手段60は、連通路61と、調整部材62と、抜け止め部としての第2の雌ネジ部63とを備えている。連通路61は、スピンドル53の後端側で作動油供給通路57を介して圧力室52Aに連通している。この連通路61は、ビット挿入部54に到達するまでスピンドル53内に前後方向へ延びるように形成されている。図2に示すように、連通路61の後端部の内面には、第1の雌ネジ部61Aが形成されている。
調整部材62は、一端側の外面に雄ネジ部62Aが設けられた軸体である。調整部材62の他端側に当たる軸体の頭部62Bには、回転用溝62Cが形成されている。回転用溝62Cは、ドライバーの先端を差し込んで調整部材62を回転させるために用いられる。また、軸体には、頭部62B側の位置にOリング62D、62Eが外装されている。調整部材62は、Oリング62D、62Eによって、連通路61内にシール状態を保ちながら進退動可能及び回転可能な状態で嵌入される。
第2の雌ネジ部63は、連通路61の内周面に形成されて第1の雌ネジ部61Aよりもスピンドル53の前端側に設けられている。第1の雌ネジ部61Aと第2の雌ネジ部63との間には、調整部材62の雄ネジ部62Aが嵌合可能な間隔(嵌合空間64)が置かれている。嵌合空間64は、連通路61の大径部に当たる。
次に、調整部材62を連通路61内に嵌入する動作を説明する。最初に調整部材62を、ビット挿入部54への挿入口からスピンドル53内のビット挿入部54と連通路61とへ順次挿入して、雄ネジ部62Aを第2の雌ネジ部63に到達させる。これに続き、雄ネジ部62Aを第2の雌ネジ部63に螺合させながらドライバーの先端を回転用溝62Cに差し込んで調整部材62を回転操作でネジ送り移動することで、雄ネジ部62Aが第2の雌ネジ部63を通過するまで調整部材62を連通路61内をスピンドル53の後端側へ前進させる。その結果、図3に示すように雄ネジ部62Aは嵌合空間64に嵌り込み、調整部材62は空回りする。雄ネジ部62Aは一度第2の雌ネジ部63を通過してしまえば第2の雌ネジ部63に引っ掛かるため、調整部材62は連通路61内でスピンドル53の前端側へ移動することが規制される。このため、調整部材62は連通路61から抜けることがない。なお、連通路61内におけるスピンドル53の前端側方向は、本発明の調整部材の抜け方向の一例である。
その後、調整部材62をスピンドル53の後端側へ連通路61内を摺動させて、雄ネジ部62Aを第1の雌ネジ部61Aに到達させる。これに続き、雄ネジ部62Aを第1の雌ネジ部61Aに螺合させながら調整部材62をドライバで回転操作して図4に示すように作動油供給通路57を全閉状態にする位置までネジ送り移動できる。
続いて、衝撃トルクの大きさを調整するために圧力室52Aの圧力を調整する動作を説明する。調整部材62は、連通路61内でドライバによる回転操作を行ってスピンドル53の前端側へのネジ送り量を調整して位置決めされることで作動油供給通路57の開放量を変化させる。これに伴って、圧力室52Aとスピンドル53(連通路61)内との連通状態を変化させることができる。以下に、調整部材62が作動油供給通路57を全開状態にするときの動作を説明する。
調整部材62の雄ネジ部62Aを、作動油供給通路57を開放する方向に回転操作することで、調整部材62は、ネジ送り移動してスピンドル53の前端側へ後退し図3に示すように作動油供給通路57を全開状態にする。これにより、作動油が作動油供給通路57を通じて圧力室52Aから連通路61内に移動した結果、圧力室52Aの圧力が低下する。図3に示した状態では、雄ネジ部62Aが嵌合空間64(図2、図4参照。)内で空回りすることに加えて第2の雌ネジ部63に引っ掛かることで、調整部材62の操作者は、作動油供給通路57の開放操作の限界位置を知ることができる。一方、図4に示すように作動油供給通路57の全閉状態では、作動油が圧力室52Aに全て充填されて圧力室52Aの圧力が上昇する。
<本実施形態の効果>
本実施形態のインパクトドライバ1及びインパクトドライバ1に備えられたオイルパルスユニット50では、スピンドル53内と圧力室52Aとの連通状態を変化させるために調整部材62を連通路61内で前進又は後退させるときに、第2の雌ネジ部63は、調整部材62が連通路61内でスピンドル53の前端側へ移動することを規制できる。よって、抜け止めピンのような調整部材62とは別個の部材をオイルパルスユニット50に対して外部から取り付けなくても、調整部材62をオイルパルスユニット50に抜け止めすることが可能になる。
また、雄ネジ部62Aを連通路61内で第2の雌ネジ部63に螺合させた上で、調整部材62を、回転操作によってネジ送り移動させることで第2の雌ネジ部63を通過させることができる。よって、調整部材62の抜け止めに当たる第2の雌ネジ部63を設けても、連通路61に対する調整部材62の着脱に支障は生じない。
さらに、雄ネジ部62Aが、第2の雌ネジ部63を通過して嵌合空間64に嵌り込むと、雄ネジ部62Aは空回りすると共に第2の雌ネジ部63に引っ掛かることで調整部材62がスピンドル53の前端側へ移動することが規制される。これにより、調整部材62を連通路61に対して抜け止めできる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。上述した実施形態では調整部材62の抜け止め部を連通路61の内周面に形成された第2の雌ネジ部63で構成したが、これに限らず、例えば抜け止め部は、連通路61の内周面に一体に形成したリング状の突起部で構成され調整部材62の頭部62Bが引っ掛かって連通路61内でスピンドル53の前端側へ移動することを規制するものであってもよい。また、上述した実施形態では本発明をオイルパルスドライバ1に適用した例を示したが、本発明をオイルパルスレンチ等に提供してもよい。
1・・オイルパルスドライバ、10・・本体ハウジング、20・・ユニットケース、30・・モータ、50・・オイルパルスユニット、51・・ケース、52A・・圧力室、53・・スピンドル、60・・トルク調整手段、61・・連通路、61A・・第1の雌ネジ部、62・・調整部材、62A・・雄ネジ部、63・・第2の雌ネジ部。

Claims (2)

  1. モータで回転駆動される筒状のケース内に、作動油が充填される圧力室を設けて、前記ケースの前方へ該ケースと同軸でスピンドルを突設させて、油圧によって発生して前記スピンドルに付加する衝撃トルクの大きさを調整可能なトルク調整手段を備えたオイルパルス発生器において、
    前記トルク調整手段は、
    前記スピンドル内に形成され、前記スピンドル内と前記圧力室とを連通させて前記作動油を移動可能とする連通路と、
    前記連通路内で進退動可能に設けられ、前記連通路内での位置決め操作によって前記スピンドル内と前記圧力室との連通状態を変化させる調整部材と、を備え、
    前記連通路の内面に、前記調整部材の抜け方向への移動を規制する抜け止め部を一体に形成し
    前記スピンドルの後端側で前記連通路内に設けられた作動油供給通路を介し、前記スピンドル内と前記圧力室とを連通させ、
    前記調整部材を、前記スピンドルの後端部で前記連通路の内面に形成された第1の雌ネジ部に螺合する雄ネジ部を有し、回転操作によってネジ送り移動する軸体として、
    前記抜け止め部を、前記第1の雌ネジ部との間に前記雄ネジ部が嵌合可能な嵌合空間をおいて、前記第1の雌ネジ部よりも前記スピンドルの前端側で前記連通路の内面に形成され、前記雄ネジ部が螺合可能な第2の雌ネジ部として、
    前記雄ネジ部を前記第1の雌ネジ部に螺合させながら、前記連通路内での前記調整部材の前記回転操作によって、前記作動油供給通路の開放量を変化させ、
    前記雄ネジ部を前記第1の雌ネジ部に螺合させながら、前記回転操作によって、前記調整部材を前記連通路内で前記スピンドルの前端側へ前記ネジ送り移動して前記作動油供給通路を全開状態にしたときに、前記雄ネジ部が前記嵌合空間内で空回りすることに加えて前記第2の雌ネジ部に引っ掛かることを特徴とするオイルパルス発生器。
  2. 作動油を充填する圧力室が設けられてモータで回転駆動される筒状のケースと、油圧によって発生する衝撃トルクの大きさを調整可能なトルク調整手段とを有するオイルパルス発生器を、ハウジングに収容して、前記ケースの前方へ該ケースと同軸で突設させたスピンドルを、前記ハウジングで回転可能に軸支して、前記スピンドルに、前記衝撃トルクを付加するオイルパルス回転工具において、
    前記ハウジングに、請求項1に記載のオイルパルス発生器を収容したことを特徴とするオイルパルス回転工具。
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