JP5686254B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に示すように、工具基体表面に、Cr、AlおよびSiを主成分とする金属成分と、C、N、O、Bから選択される少なくとも1種以上の元素とから構成される硬質層を1層以上被覆し、この硬質層の結晶構造をfccとすることによって、高温下においても皮膜硬度の劣化を抑制させた被覆工具が知られている。
また、特許文献2に示すように、工具基体表面に、下部層と上部層からなる硬質被覆層を蒸着形成し、下部層は薄層Aと薄層Bの交互積層からなり、また、上部層は薄層Aと薄層Cの交互積層からなり、前記薄層Aは、(Cr,Al)N層あるいは(Cr,Al,Si)N層のいずれか、前記薄層Bは、(Ti,Al)N層あるいは(Ti,Al,Si)N層のいずれか、また、前記薄層Cは、(Ti,Si)N層からなることにより、耐チッピング性、耐摩耗性を改善した被覆工具が知られている。
そこで、本発明者らは、AlTiN層を下部層とし、上部層として特定の組成、配向および構造の層を形成することにより、高温硬さと高靭性を備え、かつ、高温条件下での耐欠損性および耐摩耗性に優れることを見出したのである。
(ハ)0.2〜6.0μmの合計平均層厚を有し、かつ、
A層:
電子放出型走査電子顕微鏡を用い、工具基体表面に対し垂直な皮膜断面研磨面に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(111)面の法線がなす結晶角を測定し、前記測定結晶角のうち、0〜60度の範囲内にある測定傾斜角を025度ピッチ毎に区分するとともに、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで表した場合、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の60%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、組成式:(Al1−yCry)N(ここで、yはCrの含有割合を示し、原子比で、0.25≦y≦0.45である)を満足するAlとCrの複合窒化物層、
B層:
組成式:(Al1−xTix)N(ここで、xはTiの含有割合を示し、原子比で、0.25≦x≦0.55である)を満足するAlとTiの複合窒化物層、
C層:
電子放出型走査電子顕微鏡を用い、工具基体表面に対し垂直な皮膜断面研磨面に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(200)面の法線がなす結晶角を測定し、前記測定結晶角のうち、0〜60度の範囲内にある測定傾斜角を025度ピッチ毎に区分するとともに、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで表した場合、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、組成式:(Al1−yCry)N(ここで、yはCrの含有割合を示し、原子比で、0.25≦y≦0.45である)を満足するAlとCrの複合窒化物層、
A層、B層、C層の各層は、0.05〜1.5μmの一層平均層厚を有し、B層+A層+B層+C層を1積層周期とした1周期以上の積層構造を有する上部層とからなる硬質被覆層を備えた被覆工具は、高温硬さと高靭性を備え、かつ、高温条件下での耐欠損性および耐摩耗性に優れることを見出したのである。
つまり、本発明による(Al,Ti)N層は、単層でも十分な切削性能を示すが、より耐欠損性および耐摩耗性を向上させる観点から所定の配向を有する(Al,Cr)N層と組み合わせて被覆する。
AlCrを主成分とする硬質皮膜においては、結晶成長方位の配向性比率が切削性能に影響を及ぼすことが分かる。(111)配向性比率が60%を超える場合、皮膜の耐摩耗性が向上し、(200)配向性比率が45%を超えると耐欠損性が向上することが発明者らの研究により分かった。
そこで、(Al,Ti)N層と(111)配向性の(Al,Cr)N層と(200)配向性の(Al,Cr)N層との相互関係と膜の特性について鋭意研究したところ、
A層:(111)配向性の(Al1−yCry)N(0.25≦y≦0.45)
B層:(Al1−xTix)N(0.25≦x≦0.55)
C層:(200)配向性の(Al1−yCry)N(0.25≦y≦0.45)
としてA層、B層、C層の各層の一層平均層厚を0.05〜1.5μmとし、B層+A層+B層+C層を1積層周期とした1周期以上の積層構造からなる合計平均層厚0.2〜6.0μmの上部層をAlとTiの複合窒化物層を有する下部層と組み合わせることにより本発明を完成するに至った。
なお、前記成膜した(Al1−yCry)Nについての配向性は、電子放出型走査電子顕微鏡を用い、工具基体表面に対し垂直な皮膜断面研磨面に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(111)若しくは(200)面の法線がなす結晶角を測定し、前記測定結晶角のうち、0〜60度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度ピッチ毎に区分するとともに、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで表すことにより確認することができる。
「(1)炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、硬質被覆層が蒸着形成された表面被覆切削工具において、
前記硬質被覆層が、
(a)0.5〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Al1−xTix)N(ここで、xはTiの含有割合を示し、原子比で、0.25≦x≦0.55である)を満足するAlとTiの複合窒化物層からなる下部層と、
(b)0.2〜6.0μmの合計平均層厚を有し、かつ、
A層:電子放出型走査電子顕微鏡を用い、工具基体表面に対し垂直な皮膜断面研磨面に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(111)面の法線がなす結晶角を測定し、前記測定結晶角のうち、0〜60度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度ピッチ毎に区分するとともに、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで表した場合、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の60%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ、組成式:(Al1−yCry)N(ここで、yはCrの含有割合を示し、原子比で、0.25≦y≦0.45である)を満足するAlとCrの複合窒化物層、(以下、(111)配向性(Al,Cr)N層とする)
B層:組成式:(Al1−xTix)N(ここで、xはTiの含有割合を示し、原子比で、0.25≦x≦0.55である)を満足するAlとTiの複合窒化物層、
C層:電子放出型走査電子顕微鏡を用い、工具基体表面に対し垂直な皮膜断面研磨面に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(200)面の法線がなす結晶角を測定し、前記測定結晶角のうち、0〜60度の範囲内にある測定傾斜角を0.1度ピッチ毎に区分するとともに、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで表した場合、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、かつ、組成式:(Al1−yCry)N(ここで、yはCrの含有割合を示し、原子比で、0.25≦y≦0.45である)を満足するAlとCrの複合窒化物層、(以下、(200)配向性(Al,Cr)N層とする)
A層、B層、C層の各層は、0.05〜1.5μmの一層平均層厚を有し、B層+A層+B層+C層を1積層周期とした1周期以上の積層構造を有する上部層とすることを特徴とする表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
下部層を構成する(Al,Ti)N層の構成成分であるAl成分には硬質被覆層における高温硬さを向上させ、同Ti成分には高温強度を向上させる作用があるが、Tiの割合を示すx値がAlとの合量に占める割合(原子比、以下同じ)で0.25未満になると、所定の高温硬さを確保することができず、これが耐摩耗性低下の原因となり、一方、Tiの割合を示すx値が同0.55を越えると、相対的にAlの含有割合が減少し、高速重切削加工で必要とされる高温強度を確保することができず、耐摩耗性が低下することから、x値を0.25〜0.55と定めた。
このような硬質被覆層の下部層は、例えば、図1に概略説明図で示される物理蒸着装置の1種であるアークイオンプレーティング装置に基体を装入し、ヒーターで装置内を、例えば、500℃の温度に加熱した状態で、装置内に所定組成のAl−Ti合金からなるカソード電極(蒸発源)を配置し、アノード電極とカソード電極(蒸発源)との間に、例えば、電流:90Aの条件でアーク放電を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して、例えば、2Paの反応雰囲気とし、一方、前記基体には、例えば、−100Vのバイアス電圧を印加した条件で蒸着することに形成することができる。
その後、A層:(111)配向性(Al,Cr)N層とB層:(Al,Ti)N層とC層:(200)配向性(Al,Cr)N層とした場合、B層+A層+B層+C層を1積層周期とした1周期以上の交互積層構造からなる上部層を構成するが、このような交互積層構造からなる上部層は、例えば、以下の条件のアークイオンプレーティングによって形成することができる。
カソード電極: Al−Cr合金、Al−Ti合金
反応ガス: N2、
反応ガス圧力: 0.5〜15Pa、
バイアス電圧: −10〜−300V、
ここで、カソード電極をAl−Cr合金として、反応ガス圧力を2.0〜5.0Paとして形成した(Al,Cr)N層について、電子放出型走査電子顕微鏡を用い、工具基体表面に対し垂直な皮膜断面研磨面に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(111)面の法線がなす結晶角を測定し、前記測定結晶角のうち、0〜60度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度ピッチ毎に区分するとともに、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで表した場合、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の60%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すことを確認できた。
また、同様に、反応ガス圧力を0.5〜1.5Paまたは、7〜15Paとして形成した(Al,Cr)N層について、電子放出型走査電子顕微鏡を用い、工具基体表面に対し垂直な皮膜断面研磨面に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(200)面の法線がなす結晶角を測定し、前記測定結晶角のうち、0〜60度の範囲内にある測定傾斜角を0.1度ピッチ毎に区分するとともに、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで表した場合、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すことを確認できた。
上部層の積層構造を構成する(Al,Cr)N層の構成成分であるCr成分には硬質被覆層における高温硬さを向上させ、同Al成分には高温強度を向上させる作用があるが、Crの割合を示すy値がAlとの合量に占める割合(原子比、以下同じ)で0.25未満になると、所定の高温硬さを確保することができず、これが耐摩耗性低下の原因となり、一方、Crの割合を示すy値が同0.45を越えると、相対的にAlの含有割合が減少し、高速重切削加工で必要とされる高温強度を確保することができず、チッピングの発生を防止することが困難になることから、y値を0.25〜0.45と定めた。
上部層の積層構造を構成する(Al,Ti)N層の構成成分であるAl成分には硬質被覆層における高温硬さを向上させ、同Ti成分には高温強度を向上させる作用があるが、Tiの割合を示すx値がAlとの合量に占める割合(原子比、以下同じ)で0.25未満になると、所定の高温硬さを確保することができず、これが耐摩耗性低下の原因となり、一方、Tiの割合を示すx値が同0.55を越えると、相対的にAlの含有割合が減少し、高速重切削加工で必要とされる高温強度を確保することができず、耐摩耗性が低下することから、x値を0.25〜0.55と定めた。
また、A層:(111)配向性(Al,Cr)N層とB層:(Al,Ti)N層とC層:(200)配向性(Al,Cr)N層とした場合、B層+A層+B層+C層を1積層周期とした1周期以上の積層構造からなる硬質被覆層の上部層は、その合計平均層厚が0.2μm未満では、長期の使用に亘って十分な耐摩耗性を発揮することができず、一方、合計平均層厚が6.0μmを越えると、特に炭素鋼、合金鋼等の難削材の、大きな発熱を伴い、かつ、高負荷のかかる高速重切削加工では切刃部にチッピングが発生し易くなることから、その合計平均層厚を0.2〜6.0μmと定めた。
(b)まず、装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−1000Vの直流バイアス電圧を印加し、かつTiボンバード洗浄用カソード電極のTi合金とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、もって工具基体表面をTiボンバード洗浄し、
(c)次に、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して4Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極のAl−Ti合金とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させ、前記工具基体の表面に、表3に示される目標組成、目標層厚の単層としての下部層としての(Al,Ti)N層を0.5〜5μmの平均層厚で蒸着形成した後、前記カソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を停止し、
(d)ついで、装置内に反応ガスとして、窒素ガスを導入し、カソード電極のAl−Ti合金とアノード電極との間およびカソード電極のAl−Cr合金とアノード電極に100Aの電流を交互に流してアーク放電を発生させる。このようにして、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に表3に示される一層目標層厚の(Al,Ti)N層、(Al,Cr)N層を交互に蒸着形成することにより、
ISO・SEEN1203AFEN1に規定するスローアウエイチップ形状の本発明被覆工具1〜16(以下、本発明チップ1〜16という)をそれぞれ製造した。
次に、装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して4Paの反応雰囲気とすると共に、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−100Vの直流バイアス電圧を印加し、かつカソード電極のAl−Ti合金とアノード電極との間に120Aの電流を流してアーク放電を発生させ、前記工具基体の表面に、表4に示される目標組成、目標層厚の単層としての下部層としての(Al,Ti)N層を0.5〜5μmの平均層厚で蒸着形成した後、前記カソード電極(蒸発源)とアノード電極との間のアーク放電を停止し、
ついで、装置内に反応ガスとして、窒素ガスを導入し、カソード電極のAl−Ti合金とアノード電極との間およびカソード電極のAl−Cr合金とアノード電極に100Aの電流を交互に流してアーク放電を発生させる。このようにして、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に表4に示される一層目標層厚の(Al,Ti)N層、(Al,Cr)N層を交互に蒸着形成することにより、
ISO・SEEN1203AFEN1に規定するスローアウエイチップ形状の比較被覆工具1〜16(以下、比較チップ1〜16という)をそれぞれ製造した。
被削材:JIS・SCM440の板材、
切削速度: 350 m/min、
切り込み: 径方向(ae)100mm,軸方向(ap)3 mm、
一刃あたり送り(fz): 0.3 mm/tooth、
エアブロー
の条件(切削条件A)での合金鋼の乾式高送り切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、150m/min、ae:80mm,ap:1.5、fz:0.2mm/tooth )、
被削材:JIS・S50Cの板材、
切削速度: 400m/min、
切り込み: 径方向(ae)100mm,軸方向(ap)3mm、
一刃あたり送り(fz): 0.3mm/tooth、
エアブロー
の条件(切削条件B)での炭素鋼の乾式高速高送り切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、180m/min、ae:80mm,ap:1.5、fz:0.2mm/tooth )、
を行い、いずれの切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅0.2mmに達するまでの切削長を測定した。この測定結果を表5に示した。
なお、被覆チップばかりでなく、被覆エンドミル、被覆ドリルを作製し、同様な切削試験を行ったところ、被覆エンドミル、被覆ドリルについても、被覆チップの場合と同様な結果が得られた。
Claims (1)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、硬質被覆層が蒸着形成された表面被覆切削工具において、
前記硬質被覆層が、
(a)0.5〜5μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Al1−xTix)N(ここで、xはTiの含有割合を示し、原子比で、0.25≦x≦0.55である)を満足するAlとTiの複合窒化物層からなる下部層と、
(b)0.2〜6.0μmの合計平均層厚を有し、かつ、
A層:電子放出型走査電子顕微鏡を用い、工具基体表面に対し垂直な皮膜断面研磨面に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(111)面の法線がなす結晶角を測定し、前記測定結晶角のうち、0〜60度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度ピッチ毎に区分するとともに、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで表した場合、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の60%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、組成式:(Al1−yCry)N(ここで、yはCrの含有割合を示し、原子比で、0.25≦y≦0.45である)を満足するAlとCrの複合窒化物層、
B層:組成式:(Al1−xTix)N(ここで、xはTiの含有割合を示し、原子比で、0.25≦x≦0.55である)を満足するAlとTiの複合窒化物層、
C層:電子放出型走査電子顕微鏡を用い、工具基体表面に対し垂直な皮膜断面研磨面に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(200)面の法線がなす結晶角を測定し、前記測定結晶角のうち、0〜60度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度ピッチ毎に区分するとともに、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフで表した場合、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、0〜35度の範囲内の傾斜角区分に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、組成式:(Al1−yCry)N(ここで、yはCrの含有割合を示し、原子比で、0.25≦y≦0.45である)を満足するAlとCrの複合窒化物層、
A層、B層、C層の各層は、0.05〜1.5μmの一層平均層厚を有し、B層+A層+B層+C層を1積層周期とした1周期以上の積層構造を有する上部層とからなることを特徴とする表面被覆切削工具。
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