JP5685843B2 - 光導波路の製造方法および光導波路 - Google Patents
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Description
シリコンフォトニクス技術で使用されるシリコン導波路は、コアとクラッドとの間の屈折率の差が、従来の石英系導波路と比較して非常に大きいといった特徴があることから、従来の石英系導波路よりも導波路曲げ半径を大幅に縮小することができる。よって、導波路素子の小型化・高集積化が可能となる。
また、シリコンの熱光学係数は石英と比較して約20倍以上であることから、シリコンは、熱光学効果による屈折率の変化を石英に比べ少ない消費電力で実現でき、さらに、自由キャリアプラズマ分散効果によって、石英に比べて高速な屈折率の変化を得ることができる。
このようなシリコン導波路の特性を利用したPLCの高集積化に対する研究開発が盛んに行われている。
そこで、上記の光学結合損失を低減するため、導波光のスポットサイズを変換するスポットサイズ変換部を備えた光導波路(以下、「スポットサイズ変換導波路」という。)が研究開発されている。このようなスポットサイズ変換導波路に関連する技術として、例えば、特許文献1または特許文献2に記載されているような、一端が平面視テーパー状に形成された複数のシリコンコアを鉛直方向に重ねた光導波路構造が知られている。このような光導波路構造を用いた場合、光ファイバとの光学結合損失は、約0.5dBと低い損失であることが実験的に示されている(非特許文献1)。
具体的には、スポットサイズ変換箇所に新たに成膜したシリコンに対して、光学損失の原因とならないように高さが一定で均一となるように平面視テーパー状に、かつ、上下方向に接するように高精度なエッチング工程を実現させる必要がある。
そこで、本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、所望のシリコンコア形状を有するスポットサイズ変換導波路を、歩留まり良く、かつ、所望の導波路特性を発揮させるように作成する光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態にかかる光導波路の製造方法は、導波光のスポットサイズを変換する箇所(以下、「スポットサイズ変換部」という。)を備えた光導波路の製造方法であって、特に、基板上のシリコン層に形成された第1のコアの上面にクラッド層を形成した後に、このクラッド層を選択的に除去することにより形成した第1のトレンチにシリコンを堆積させて第2のコアを形成することで、所望の形状のスポットサイズ変換部を備えた光導波路を製造する製造方法である。
図1(A)に示すように、シリコン層10を選択的にエッチングすることにより、第1のコア11を形成する工程を実行する。
第1のコア11が形成されると、図1(B)に示すように、シリコン層10と第1のコア11とを覆う第1のクラッド層12を形成する工程を実行する。
第2のコア14が形成されると、図1(E)に示すように、第1のクラッド層12と第2のコア14とを覆う第2のクラッド層15を形成する工程を実行する。
図2(A)は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造されるスポットサイズ変換部を備えた光導波路の一例を上面から見た上面図である。また、図2(B)は、図2(A)に示した光導波路a-a'断面から見た断面図である。
本実施の形態にかかる光導波路の製造方法で製造された光導波路は、図2(A)および図2(B)に示すように、一端のコア幅が先端に向けて漸次的に細くなる第2のコア14と、一端のコア幅が先端に向けて漸次的に広くなる第1のコア11とが重なる領域を含んだスポットサイズ変換部を有するように形成されている。
したがって、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によってシリコンフォトニクス技術におけるスポットサイズ変換部を有する光導波路を製造することにより、コア材料であるシリコンに対して高さの異なる高精度なエッチング工程を必要とせず第2のコアを形成することができることから、容易に歩留まり良く所望の導波路特性を発揮するスポットサイズ変換部を有する光導波路を形成することができる。
本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法は、第1の実施の形態において説明した光導波路の製造方法において、特に、SOI基板上に少なくとも一端を平面視テーパー状に変化させた形状(以下、「テーパー形状」という。)を有する第1のシリコンコアと、この第1のシリコンコアのテーパー形状を有する一端と重なる領域を含む第2のシリコンコアとを備えるスポットサイズ変換部を有した光導波路の製造方法である。
図3〜図8は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法の各工程によって形成されるスポットサイズ変換部を有する光導波路の一例を示す図であり、特に、各工程によって形成される光導波路を上面から見た上面図を(A)で、この光導波路のa−a'断面から見た断面図を(B)で示す。以下、図3〜図8を参照して、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する。
具体的には、図3(A),(B)に示すように、一端が先端に向けて広がるテーパー形状を有するように選択的にシリコン層21をエッチングして溝21−1を形成することで、第1のシリコンコア21−2を形成する工程である。この工程によって形成された第1のシリコンコア21−2の一端のテーパー形状部分が、導波光のスポットサイズ変換部分となる。
具体的には、図4(A),(B)に示すように、シリコン層21上の第1のシリコンコア21−2および溝21−1に対して、シリコン酸化膜を所定の厚さに成膜することにより第1のクラッド層23を形成する。ここで、シリコン酸化膜の成膜は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって実現することができる。
具体的には、図5(A),(B)に示すように、第1のシリコンコア21−2の一端のテーパー形状に対応させて、先端に向かってトレンチの幅が狭くなるように第1のクラッド層23を選択的にエッチングすることにより第1のトレンチ24を形成する工程である。
また、第1のトレンチ24内に充填するシリコンは、例えば、ポリシリコンを第1のトレンチ24内に堆積させても良い。
具体的には、アモルファスシリコン25に応じたスラリーを用いて化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を行うことにより、図7(A),(B)に示すように、第1のトレンチ24から溢れたアモルファスシリコン25を除去して、第1のクラッド層23の表面と第1のトレンチ内に充填されたアモルファスシリコン25の表面とを同一の平坦な面とし、第2のシリコンコア26を形成する。
第2のクラッド層27が形成されることにより、スポットサイズ変換部を有した光導波路の構造を製造することができる。
具体的には、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によれば、図9の(A)に示すように、シリコン層21の第1のシリコンコア21−2上に配置されるテーパー形状の第2のシリコンコア26を2段にした構造や、図9(B),(C)に示すように、第2のシリコンコア26を多段にする構造も容易に実現できる。
このようなテーパー形状を有するシリコンコアを多段に重ねてコアの高さを段階的に変化させる構成では、第2のシリコンコア26のテーパー形状の先端部分のコア幅を数百nm程度まで広く形成した場合においても光学損失を十分に抑制することが可能である。
さらに、第2のシリコンコアを多段にするといったエッチングでは形成することの困難なシリコンコア形状を容易に作製できることから、導波路特性を維持し、かつ、光導波路の製造歩留まりを向上させたシリコンコア形状を多様に設計することができる。
本発明の第3の実施の形態にかかる光導波路の製造方法は、シリコンコアが3次元に配置された構造を有する光導波路の製造方法である。
本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される3次元に配置されたシリコンコアの構造の一例を、図10に示す。図10(A)は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造されるシリコンコアの構造の一例を上面から見た図であり、図10(B)は、本実施の形態にかかる製造方法によって製造されるシリコンコアをA−A’断面から見た図である。
また、図11(A)〜(D)は、本実施の形態にかかる製造方法によって製造される光導波路の3次元に配置されたシリコンコアの接合部について、図10に示すa−a’断面、b−b’断面、c−c’断面、d−d’断面それぞれから見た断面図である。
例えば、第1のシリコンコア31を形成する際にできた溝を含んだシリコン層上に成膜されたシリコン酸化膜を、第1のシリコンコア31の表面と同一の面となるようシリコン酸化膜を除去することにより実現する。また、第1のクラッド層34にトレンチを形成して第1のシリコンコア31を成膜し、第1のシリコンコア31の表面と第1のクラッド層34の正面とを同一の平坦な面とする工程を実行しても良い。
シリコンスラブ32が形成されると、このシリコンスラブ32上に第2のクラッド層35を形成する工程を実行する。
ここで、シリコンスラブ32は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンを所定の膜厚だけ成膜することにより形成でき、第2のクラッド層35は、シリコン酸化膜を所定の膜厚だけ成膜することにより形成できる。
ここで、トレンチ内に堆積させるシリコンは、例えば、アモルファスシリコンまたはポリシリコンとすることができ、堆積させたシリコンに応じたスラリーを用いたCMPを実行することで、第2のクラッド層35の表面とトレンチ内に充填されたシリコンの表面とを同一の平坦な面とすることができる。
よって、多段に積層されたシリコン層の間を導波光が低損失に移行することができる光導波路の製造歩留まりを向上させることができる。
本発明の第4の実施の形態にかかる光導波路は、第2の実施の形態において説明した光導波路の製造方法と第3の実施の形態において説明した光導波路の製造方法とを適宜繰り返して実施することにより製造される光導波路である。具体的には、SOI基板の単結晶シリコン層で形成した導波路と、このSOI基板上にアモルファスシリコンを成膜することにより形成される導波路とを接続した光導波路である。
本実施の形態にかかる光導波路の構成は、図12(A)に示すように、SOI基板40の単結晶シリコン層41に形成された先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状(以下、単に「テーパー形状」という。)を少なくとも一端に有する単結晶シリコンコア42と、図12(B),(C)に示すように、単結晶シリコンコア42とシリコンスラブ44とを接続するテーパー形状のアモルファスシリコンコア43と、図12(D),(E)に示すように、シリコンスラブ44とアモルファスシリコン層46とを接続するテーパー形状のアモルファスシリコンコア45と、これらを覆うクラッド層とから構成されている。
なお、アモルファスシリコンコア45は、シリコンスラブ44をエッチングストッパとして利用してクラッド層をエッチングして形成されるトレンチにアモルファスシリコンを堆積させることによって、容易に形成することができる。
その結果、図12(G)に示すように、SOI基板40の単結晶シリコン層41とアモルファスシリコン導波路47とをクラッド層を介して分離した構成とすることができる。
前記第2のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とが同一で平坦な面の上に形成されるシリコンスラブと、このシリコンスラブを覆う第2のクラッド層と、前記シリコンスラブを境界面として前記第2のクラッド層を選択的にエッチングして形成された第2のトレンチにシリコンを堆積した第3のコアと、前記第2のクラッド層と前記第3のコアとを覆う第3のクラッド層とをさらに備えることを特徴とする光導波路。
Claims (8)
- シリコン層を選択的にエッチングして第1のコアを形成する工程と、
前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層を形成する工程と、
前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して第1のトレンチを形成する工程と、
前記第1のトレンチ内にシリコンを堆積させて第2のコアを形成する工程と、
前記第2のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、
前記第2のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブの上面に第2のクラッド層を形成する工程と、
前記第2のクラッド層を選択的に除去して第2のトレンチを形成する工程と、
前記第2のトレンチ内にシリコンを堆積させて第3のコアを形成する工程と、
前記第3のコアと前記第2のクラッド層とを覆うシリコン層を形成する工程と
を備えることを特徴とする光導波路の製造方法。 - 請求項1に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のクラッド層の底面に接するシリコンを境界面として前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。 - 請求項2に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のコアを形成する工程は、SOI(Silicon on Insulator)基板の単結晶シリコン層を選択的にエッチングし、
前記第1のクラッド層を形成する工程は、前記単結晶シリコン層と前記第1のコアとを覆うシリコン酸化膜を成膜し、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記単結晶シリコン層を境界面として前記シリコン酸化膜をエッチングすることを特徴とする光導波路の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、
前記第2のコアを形成する工程は、
前記第1のトレンチ内にアモルファスシリコンを堆積する工程と、
堆積された前記アモルファスシリコンを化学機械研磨して、前記第1のトレンチ内に堆積した前記アモルファスシリコンの表面と前記第1のクラッド層との表面とを同一の平坦な面とする工程と
を備えることを特徴とする光導波路の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が広くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が広がる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第1のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。 - シリコン層を選択的にエッチングして第1のコアを形成する工程と、
前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層を形成する工程と、
前記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とを同一の平坦な面とする工程と、
前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、
前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブ上に第2のクラッド層を形成する工程と、
前記第2のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して第1のトレンチを形成する工程と、
前記第1のトレンチ内にシリコンを堆積させて第2のコアを形成する工程と、
前記第1のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第3のクラッド層を形成する工程とを備え、
前記第1トレンチを形成する工程は、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブを境界面として前記第2のクラッド層を選択的に除去する
ことを特徴とする光導波路の製造方法。 - 請求項6に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。 - 先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように基板上のシリコン層を選択的にエッチングして形成される第1のコアと、
前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層と、
前記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とが同一の平坦な面の上に形成されるシリコンスラブと、
このシリコンスラブを覆う第2のクラッド層と、
前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去して形成された第1のトレンチ内にシリコンを堆積させた第2のコアと、
前記第2のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第3のクラッド層と
を備えることを特徴とする光導波路。
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