JP5685761B2 - Cuを含まないZr基金属ガラス合金 - Google Patents

Cuを含まないZr基金属ガラス合金 Download PDF

Info

Publication number
JP5685761B2
JP5685761B2 JP2011018717A JP2011018717A JP5685761B2 JP 5685761 B2 JP5685761 B2 JP 5685761B2 JP 2011018717 A JP2011018717 A JP 2011018717A JP 2011018717 A JP2011018717 A JP 2011018717A JP 5685761 B2 JP5685761 B2 JP 5685761B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metallic glass
alloy
based metallic
temperature
glass alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011018717A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012158794A (ja
Inventor
張 偉
偉 張
井上 明久
明久 井上
Original Assignee
株式会社真壁技研
株式会社Bmg
株式会社Bmg
井上 明久
明久 井上
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社真壁技研, 株式会社Bmg, 株式会社Bmg, 井上 明久, 明久 井上 filed Critical 株式会社真壁技研
Priority to JP2011018717A priority Critical patent/JP5685761B2/ja
Publication of JP2012158794A publication Critical patent/JP2012158794A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5685761B2 publication Critical patent/JP5685761B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Description

本発明はCuを含まないZr基金属ガラス合金に関し、さらに詳しくは、大きなガラス形成能を有し、機械的な性質と耐蝕性に優れたZr、Ni、Al、Nb等からなる、Cuを含まないZr基金属ガラス合金に関する。
溶融状態の合金を急冷することにより、薄帯状、フィラメント状、粉粒体状など種々の形状を有する非晶質固体が得られることがよく知られている。この非晶質固体から、大きな急冷速度の得られる単ロール法、双ロール法、回転液中紡糸法、アトマイズ法などの種々の方法で薄帯を作製することができる。これまでにもFe系、Ti系、Co系、Zr系、Cu系、Pd系又はNi系について多くの非晶質合金が開発され、非晶質固体における優れた機械的性質、高い耐腐蝕性等の非晶質合金特有の性質が明らかにされてきた。
ガラス遷移を示し、過冷却液体領域(ΔTx)及び換算ガラス化温度(Tg/T)を有する非晶質合金は「金属ガラス合金」と呼ばれている。広い過冷却液体領域(ΔTx)及び大きな換算ガラス化温度(Tg/T)を有する金属ガラス合金は、結晶化に対する高い安定性を示して、優れた非晶質形成能を有することが知られている。そのような金属ガラス合金では、従来の非晶質合金のように薄帯、ファイバー、微粉末に限らず、金型鋳造法により直径又は厚さがmmオーダーのバルク状の非晶質合金材を作製することが可能である。
金属ガラス合金を加熱すると、結晶化する前に過冷却液体状態に遷移し、急激な粘性低下を示すことが知られている。このような過冷却液体状態では、合金の粘性が低下しているために閉塞鍛造などの方法により任意形状の非晶質合金形成体を作製することが可能である。したがって、広い過冷却液体領域及び大きな換算ガラス化温度を有する金属ガラス合金は、優れた加工性を備えていると言える。
中でも、Zr基金属ガラス合金は、ガラス形成能(GFA)が高く、結晶化に対する過冷却液体状態が安定であるので、新規な構造材料として期待されている(特許文献1、2及び非特許文献1、2参照)。
通常の銅製の金型を用いた金型鋳造法により、20mm以上の直径を有するZr−Cu−Al−Ni基金属ガラス合金(非特許文献3、4参照)、Zr−Ti−Cu−Ni−Be基金属ガラス合金(非特許文献5、6参照)、Zr−Cu−Al−Ag基金属ガラス合金(非特許文献7、8参照)を作製できることが報告されている。これらのZr基金属ガラス合金は、延性を示さない。
Cuを含有させたZr基金属ガラス合金は、Cuの含有量(12.5〜36at%)を増大した場合にはガラス形成能が高くはなるが、腐蝕性雰囲気である例えば塩素イオンを含有する溶液に対する耐蝕性が減少することが報告されている(非特許文献9、10参照)。
最近、本発明者等はCuを含有しないZr−Ni−Al基金属ガラス合金を見出した。この合金は、直径1cm以上の試料を作製でき、圧縮破断強度が1650MPa以上で、かつ延性を有していることを報告した(非特許文献11参照)。
特開平09−020968号公報 特開平11−061289号公報
W.L. Johnson, MRS Bull., 24, p.42, 1999 A. Inoue, Acta Mater., 48, p.279, 2000 A. Inoue, T. Zhang, Mater. Trans., JIM, 37, p.185, 2007 Y. Yokoyama, E. Mund, A. Inoue, Mater. Trans., 37, p.3190, 2007 A. Peker, W.L. Johnson, Appl. Phys. Lett., 63, p.2342, 1993 W. L. Johnson, Mater. Sci. Forum, 35, p.225, 1996 Q.S. Zhang, W. Zhang, A. Inoue, Scripta Mater., 61, p.241, 2009 W. Zhang, Q.S. Zhang, A. Inoue, J. Mater. Res., 23, p.1452,2008 M. Naka, K. Hashimoto, T. Masumoto, J. Non-Cryst. Solids, 30, p.29, 1978 C.L. Qin, W. Zhang, K. Asami, H. Kimura, X.M. Wang, A. Inoue, Acta Mater., 54, p.3713, 2006 Y.H. Li, W. Zhang, C. Dong, J.B. Qiang, A. Makino, A. Inoue, Intermetallics, 18, p.1851, 2010
従来のCuを含まないZr−Ni−Al基金属ガラス合金は、高いガラス形成能を有し、圧縮破断強度が1650MPa以上あり、かつ延性を有しているという優れた機械的な特性を備えるが、さらに耐蝕性を向上させることが要求されている。
本発明は上記課題に鑑み、大きな非晶質形成能を有し、優れた加工性、耐蝕性、機械的性質を兼ね備えた、Cuを含まないZr基金属ガラス合金を提供することを目的とする。
本発明者らは、Zr基金属ガラス合金について鋭意研究を行った結果、さらにNbやTaを添加し四元又は五元合金としたZr 100−x−y−zAlNiy−a(xは10≦x≦19、yは15≦y≦28、MはNb又はTaであり、zは0<z≦8、BはFe又はCoであり、aは0≦a≦8)基金属ガラス合金とすることによって、大きな非晶質形成能を有し、優れた加工性、機械的性質、耐蝕性を兼ね備えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記目的を達成するため、本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金は、Zr 100−x−y−zAlNiy−a(xは10≦x≦19、yは15≦y≦28、MはNb又はTaであり、zは0<z≦8、BはFe又はCoであり、aは0≦a≦8)で示される組成を有していることを特徴とする。
上記構成において、Cuを含まないZr基金属ガラス合金のΔTx=Tx−Tg(ここで、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)で表わされる過冷却液体領域の温度間隔Txは、好ましくは50K以上である。
本発明の前記Cuを含まないZr基金属ガラス合金の液相線温度(T1)に対するガラス遷移温度(Tg)の比で定義される換算ガラス化温度(Tg/T1)は、好ましくは0.54よりも大きい。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金のガラス遷移温度(Tg)と液相線温度(T1)との和に対する結晶化開始温度(Tx)の比であるγ値(γ=Tx/(Tg+T1))は、好ましくは0.38以上である。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金は、好ましくは、直径が2mm以上の棒状でなる。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金は、好ましくは、1650MPa以上の圧縮破断強度を有する。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金は、好ましくは、3mass%のNaCl溶液で分極特性を測定したときの腐蝕電位(Epit)が10mV以上である。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金は、好ましくは、1NのHCl溶液で分極特性を測定したときの腐蝕電位(Epit)が−80mV以上である。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金は、大きなガラス形成能を示し、機械的な強度が高いと共に延性を示し、かつ、HClやNaClに対して耐蝕性が高いという優れた特徴を有している。
本発明の実施例1で作製した母合金の外観を示す光学写真像である。 上記実施例1で作製した母合金のX線回折を測定した結果を示す図である。 上記実施例1で作製したZr基金属ガラス合金の外観を示す光学写真像である。 実施例1〜3,5及び比較例のZr基金属ガラス合金のX線回折を測定した結果を示す図である。 実施例1,2,5及び比較例1のZr基金属ガラス合金のDSC曲線を示す図である。 実施例1,2,5及び比較例5のZr基金属ガラス合金のDTA曲線を示す図である。 実施例1,2,5のZr基金属ガラス合金の圧縮試験における応力−歪み曲線の測定例である。 実施例1及び比較例2,4,5,6のZr基金属ガラス合金をHCl溶液中で測定した分極曲線である。 実施例1及び比較例2,4,5,6のZr基金属ガラス合金をNaCl溶液中で測定した分極曲線である。
以下、本発明の実施形態について説明する
本発明におけるCuを含まないZr基金属ガラス合金は、Zr 100−x−y−zAlNiy−aの組成式で示される四元又は五元合金である。ここで、xは10≦x≦19、yは15≦y≦28、MはNb又はTaであり、zは0<z≦8、BはFe又はCoであり、aは0≦a≦8である。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金において、Zr、Al、Niは本発明の合金の基幹となる元素群であり、特に非晶質を形成する基本となる元素である。
Alの組成xは10≦x≦19とする。Alの組成xが10よりも少ないと、ガラス形成能が高くなく、過冷却液体領域の温度間隔が狭いので、好ましくない。逆にAlの組成xが19を超えると、ガラス形成能が低下するので好ましくない。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金では、さらに第4の元素MとしてNb又はTaが添加されている。Nb又はTaが添加されることによって過冷却液体領域が広くなり、機械的な強度や耐蝕性が増大する。元素Mの添加割合zは0<z≦8である。zが8を超えると過冷却液体領域が狭くなり、非晶質形成能が低下するので好ましくない。Mの含量zが0<z≦8の範囲のときには、直径が約2mm以上の棒状の試料を作製することができる。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金が、Zr 100−x−y−zAlNiy−aからなる四元合金の場合には、Niの組成yは15≦y≦28とする。Niの組成yが、28を超えると過冷却液体領域が狭くなり、液相線温度T1が高くなり、非晶質形成能が低下するので好ましくない。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金では、さらに第5の元素BとしてFe又はCoが添加されてもよい。元素Bが添加される場合、元素Bの組成aは、0<a≦8である。aが8を超えると過冷却液体領域が狭くなり、液相線温度Tが高くなり、非晶質形成能が低下するので好ましくない。
上記の組成を有しているCuを含まないZr基金属ガラス合金は、過冷却液体領域における結晶化開始温度Txとガラス遷移温度Tgとの温度間隔ΔTx(=Tx−Tg)が50K以上101K以下となる。液相線温度Tに対するガラス遷移温度Tgの比(=Tg/T)で定義される換算ガラス化温度は0.54よりも大きくなる。
このとき、Cuを含まないZr基金属ガラス合金において、ガラス遷移温度Tgと液相線温度Tとの和に対する結晶化開始温度Txの比、即ちγ値(=Tx/(Tg+T))は、0.38以上となる。このγ値は、非晶質形成能と非晶質の安定性との総合的性質を示す数値である。
本発明における金属ガラス合金は直径が2mm以上の棒状に形成することができる。この金属ガラス合金は、圧縮破断強度が1650MPa以上の優れた機械的性質を有している。
ここで、「過冷却液体領域」とは結晶化に対する抵抗力、すなわち非晶質の安定性及び加工性を示すもので、本明細書では、例えば0.3K/秒〜0.7K/秒の加熱速度で示差走査熱量分析(DSC:Differential Scanning Calorimetry)を行うことで得られるガラス遷移温度Tgと結晶化温度Txの差で定義される値である。
「換算ガラス化温度」とは非晶質形成能を示すもので、本発明では、ガラス遷移温度Tgと合金液相線温度Tの比で定義されるものである。合金液相線温度Tは例えば0.3K/秒〜0.7K/秒の加熱速度で示差熱量分析(DTA:Differential Thermal Analysis)を行うことにより得られる値である。
以上のように、本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金は、従来の三元系のZr−Ni−Al基金属ガラス合金と比べて、Nb又はTaを添加することにより、特に、換算ガラス化温度(Tg/T)が0.54よりも大きく、γ値が0.38以上であり、優れた加工性と非晶質形成能を有し、かつ機械的性質が優れて耐蝕性が高い金属ガラス合金が得られる。
耐蝕性を電気化学的に測定するために分極特性を3mass%のNaCl溶液で評価した場合には、Cuを含まないZr基金属ガラス合金の腐蝕電位(Epit)は10mV以上となる。分極特性を1N(Nは規定)のHCl溶液で測定した場合には、Cuを含まないZr基金属ガラス合金の腐蝕電位(Epit)は−80mV以上となる。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金は、溶融状態から公知の単ロール法、双ロール法、回転液中紡糸法、アトマイズ法などの種々の方法で冷却固化させ、薄帯状、フィラメント状、粉粒体状の非晶質固体からなる板状とすることができる。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金は大きな非晶質形成能を有するため、さらに溶融金属を金型に充填鋳造することにより任意の形状の金属ガラス合金を得ることもできる。例えば、代表的な金型鋳造法においては、合金を石英管中でアルゴン雰囲気中に溶融した後、溶融金属を例えば0.01〜0.3kg・f/cmの噴出圧で銅製などの金型内に充填凝固させることで鋳造体としての金属ガラス合金を得ることができる。さらに、ダイカストキャスティング法及びスクイズキャスティング法などの製造方法を適用することもできる。
本発明におけるCuを含まないZr基金属ガラス合金では、その組成範囲において、直径が2mm以上から25mmの丸棒形状の金属ガラス合金が容易に得られる。金属元素より構成される合金は非晶質化することにより一般にその機械的性質が向上するが、本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金においては、塊状試料で1650MPaを超える圧縮破壊強度を持つものが容易に得られ、塑性伸びをも示した。
下記に示す幾つかの実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
合金の原料となる純度が99.5%のZr、Ni、Al、Nbを、高純度アルゴン雰囲気中でアーク溶解法を用いて溶融状態とし、母合金を作製した。その後、銅製の金型を用いた金型鋳造法により高純度アルゴン雰囲気中で棒状合金を作製した。具体的には、Zr56Ni25Al15Nbの母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中とした銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径18mm及び20mmの試料を作製した。
図1は、実施例1で作製した母合金の外観を示す光学写真像である。図1から明らかなように、母合金はその底部には結晶相があり、他の領域はガラス相である。ガラス相に点在している球状部は、後述するようにZrNiAl相とZrNiAl相である。
図2は母合金のX線回折を測定した結果を示す図である。図2において、縦軸はX線回折強度(任意目盛)を示し、横軸は角度(°)、即ち、X線の原子面への入射角θの2倍に相当する角度を示している。X線源は、CoのKα線である。
図2から明らかなように、母合金のガラス相は非常に幅の広い回折ピークであり、結晶からの回折を示す鋭い回折ピークが観察されないことから非晶質であることが分かる。
一方、球状部は、結晶からの回折を示す鋭い回折ピークが観察された。図の四角(◆)はZrNiAl相からの回折、図の三角(▽)はZrNiAl相からの回折を示している。
図3は、実施例1で作製したZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金の外観を示す光学写真像である。図から明らかなように、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金は良好な光沢を呈する平滑面を有しており、結晶相の析出に基づく凹凸部が全く観察されなかった。このことは、Zr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金が結晶化していないことを示している。
図4は、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金のX線回折を測定した結果を示す図である。図4において、縦軸はX線回折強度(任意目盛)を示し、横軸は角度2θ(°)を示している。X線源は、CuのKα線である。
図4から明らかなように、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金は非常に幅の広い回折ピークを有しており、結晶からの回折を示す鋭い回折ピークが全く観察されないことから非晶質であることが分かる。後述する実施例2のZr58Ni25Al15Nb基金属ガラス合金及び実施例3のZr54Ni25Al15Nb基金属ガラス合金も非晶質である。
実施例1で作製した試料の過冷却液体領域(ΔTx)の測定のために、0.67K/秒の加熱速度で示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、DSC6000)を用いてDSC測定を行った。
図5は、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金のDSC曲線を示す図である。図5の縦軸は熱量、横軸は温度(K)である。なお、通常のDSC曲線で相転移が起きる現象を調べる際には発熱反応が観測されるのに対し、金属ガラスでは吸熱反応が生起する過冷却液体領域を意識して、図中の縦軸方向における下向き矢印は吸熱を表現している。
図5から明らかなように、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは717Kであり、結晶化開始温度Txは795Kであった。これらの値より過冷却液体領域ΔTxを算出すると、78Kであった。
実施例1で作製した試料の換算ガラス化温度及びγ値の測定を0.33K/秒の加熱速度で示差熱量分析計(米国、TA社製、DSC6000)を用いてDTA測定を行った。
図6は、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金のDTA曲線を示す図である。図6の縦軸は熱量、横軸は温度(K)である。図6から明らかなように、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金の液相線温度Tは1271Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.564、γ値は0.400であった。
実施例1で作製した試料の機械的性質は、室温でインストロン型試験機(米国インストロン社製)を用いて測定した。
図7は、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金の圧縮試験における応力−歪み曲線の測定結果である。図7の縦軸は圧縮応力(Mpa)、横軸は歪みである。試料は直径2mmの棒である。
図7から明らかなように、最大圧縮応力、つまり圧縮破断強度(σc,y)は1847MPaであった。歪みが増加すると応力が増加している直線領域では弾性変形領域であり、この直線の傾きから求めたヤング率(E)は94GPaであった。歪み(ΔL/L)がほとんど変化しない塑性領域が比較的広いことから、延性がよいことが分かった。図から除荷時の応力が0となる歪み、所謂圧縮塑性歪(εc,p)が2.0%であることが分かる。そして、ポアソン比は0.36であった。
室温の大気中で実施例1の試料をNaCl溶液やHCl溶液に浸漬して、アノード分極曲線を測定することによって、試料の耐蝕性を評価した。
図8は、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金をHCl溶液中で測定した分極曲線である。図8の横軸は電位(V)であり、縦軸は電流密度(A/cm)である。測定温度は298Kである。HCl溶液の濃度は1N(規定)である。
図8から明らかなように、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金の腐蝕電位(Epit)は−67mVである。実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金の腐蝕電位は、図8に同時に示している後述する比較例2のZr60Ni25Al15金属ガラス合金や従来のZr基金属ガラス合金であるCu32NiZr48AlAg、Zr55Al10NiCu30、Zr41.25Ti13.75Cu12.5Ni10Be22.5の何れよりも大きいことが分かる。つまり、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金は、比較例2や従来のZr基金属ガラス合金よりも貴であり、優れた耐蝕性を示していることが明らかである。
図9は、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金をNaCl溶液中で測定した分極曲線である。図9の横軸及び縦軸は図8と同じである。測定温度は298Kである。NaCl溶液の濃度は3mass%である。
図9から明らかなように、電流密度が10−3〜10−4A/cmの領域では実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金は、不働態化している。さらに、電流密度が急激に上昇する電位から腐蝕電位(Epit)は38mVであることが分かる。腐蝕電位から自然腐蝕電位(Ecorr)を引いた電位(Epit−Ecorr)は212mVである。
実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金の腐蝕電位は、図9に同時に示している後述する比較例2のZr60Ni25Al15金属ガラス合金や従来のZr基金属ガラス合金であるCu32NiZr48AlAg、Zr55Al10NiCu30、Zr41.25Ti13.75Cu12.5Ni10Be22.5の何れよりも大きいことが分かる。つまり、実施例1のZr56Ni25Al15Nb基金属ガラス合金は、比較例2や従来のZr基金属ガラス合金よりも貴であり、優れた耐蝕性を示していることが明らかである。
実施例1と同様にして、Zr58Ni25Al15Nbの母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が16mmのZr58Ni25Al15Nbの試料を作製した。実施例2のZr58Ni25Al15Nb金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは721K、結晶化開始温度Txは801K、過冷却液体領域ΔTxは89Kであった。液相線温度Tは1264Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.563、γ値は0.405であった。圧縮破断強度は1803MPa、ヤング率は92GPa、圧縮塑性歪は2.1%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−70mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは70mVであり、Epit−Ecorrは265mVであった。
実施例1と同様にして、Zr56Ni25Al15Nbの母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が15mmのZr56Ni25Al15Nbの試料を作製した。
実施例3のZr56Ni25Al15Nb金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは726K、結晶化開始温度Txは779K、過冷却液体領域ΔTxは53Kであった。液相線温度Tは1290Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.563、γ値は0.386であった。圧縮破断強度は1893MPa、ヤング率は95GPa、圧縮塑性歪は3.4%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−35mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは78mVであり、Epit−Ecorrは172mVであった。
実施例1と同様にして、Zr60Ni25Al13Nbの母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が12mmのZr60Ni25Al13Nbの試料を作製した。実施例4のZr60Ni25Al13Nb金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは699K、結晶化開始温度Txは782K、過冷却液体領域ΔTxは83Kであった。液相線温度Tは1262Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.554、γ値は0.399であった。圧縮破断強度は1845MPa、ヤング率は89GPa、圧縮塑性歪は2.7%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−68mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは80mVであり、Epit−Ecorrは215mVであった。
実施例1と同様にして、Zr58Ni25Al13Nbの母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が15mmのZr58Ni25Al13Nbの試料を作製した。実施例5のZr58Ni25Al13Nb金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは705K、結晶化開始温度Txは771、過冷却液体領域ΔTxは66Kであった。液相線温度Tは1202Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.586、γ値は0.404であった。圧縮破断強度は1786MPa、ヤング率は88GPa、圧縮塑性歪は3.6%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−50mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは21mVであり、Epit−Ecorrは205mVであった。
実施例1と同様にして、Zr56Ni25Al17Nbの母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が12mmのZr56Ni25Al17Nbの試料を作製した。実施例6のZr56Ni25Al17Nb金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは725K、結晶化開始温度Txは814K、過冷却液体領域ΔTxは89Kであった。液相線温度Tは1338Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.542、γ値は0.395であった。圧縮破断強度は1860MPa、ヤング率は94GPa、圧縮塑性歪は2.1%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−40mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは90mVであり、Epit−Ecorrは175mVであった。
実施例1と同様にして、Zr54Ni25Al17Nbの母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が15mmのZr54Ni25Al17Nbの試料を作製した。実施例7のZr54Ni25Al17Nb金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは728K、結晶化開始温度Txは815K、過冷却液体領域ΔTxは87Kであった。液相線温度Tは1337Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.544、γ値は0.395であった。圧縮破断強度は1918MPa、ヤング率は101GPa、圧縮塑性歪は2.8%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−38mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは10mVであり、Epit−Ecorrは193mVであった。
実施例1で用いたNbをTaに換えた以外は、実施例1と同様にして、Zr58Ni25Al15Taの母合金を作製した。Zr58Ni25Al15Taの母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が15mmのZr58Ni25Al15Taの試料を作製した。実施例8のZr58Ni25Al15Ta金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは723K、結晶化開始温度Txは791K、過冷却液体領域ΔTxは68Kであった。液相線温度Tは1236Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.585、γ値は0.404であった。圧縮破断強度は1851MPa、ヤング率は93GPa、圧縮塑性歪は2.9%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−62mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは66mVであり、Epit−Ecorrは195mVであった。
実施例8と同様にして、Zr56Ni25Al15Taの母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が6mmのZr56Ni25Al15Taの試料を作製した。実施例9のZr56Ni25Al15Ta金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは731K、結晶化開始温度Txは792K、過冷却液体領域ΔTxは60Kであった。液相線温度Tは1233Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.593、γ値は0.403であった。圧縮破断強度は1889MPa、ヤング率は94GPa、圧縮塑性歪は2.0%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−30mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは57mVであり、Epit−Ecorrは182mVであった。
第5の元素としてFeを添加して、Zr56Ni20FeAl15Nbの母合金を作製して再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が16mmのZr56Ni20FeAl15Nbの試料を作製した。実施例10のZr56Ni20FeAl15Nb金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは714K、結晶化開始温度Txは778K、過冷却液体領域ΔTxは64Kであった。液相線温度Tは1275Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.560、γ値は0.391であった。圧縮破断強度は1835MPa、ヤング率は92GPa、圧縮塑性歪は2.2%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−75mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは32mVであり、Epit−Ecorrは210mVであった。
第5の元素としてCoを添加して、Zr56Ni20CoAl15Nbの母合金を作製して再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が18mmのZr56Ni20CoAl15Nbの試料を作製した。実施例10のZr56Ni20CoAl15Nb金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは718K、結晶化開始温度Txは791K、過冷却液体領域ΔTxは73Kであった。液相線温度Tは1266Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.567、γ値は0.399であった。圧縮破断強度は1853MPa、ヤング率は96GPa、圧縮塑性歪は2.4%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−80mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは45mVであり、Epit−Ecorrは235mVであった。
(比較例1)
実施例1と同様にして、Nbだけを含有させないで、Zr62Ni25Al13の母合金を作製して再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が12mmのZr62Ni25Al13の試料を作製した。比較例1のZr62Ni25Al13金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは682K、結晶化開始温度Txは773K、過冷却液体領域ΔTは91Kであった。液相線温度Tは1279Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.533、γ値は0.394であった。圧縮破断強度は1741MPa、ヤング率は83GPa、圧縮塑性歪は4.4%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−75mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは−12mVであり、Epit−Ecorrは145mVであった。
(比較例2)
比較例1と同様にして、Zr60Ni25Al15の母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が15mmのZr60Ni25Al15の試料を作製した。比較例2のZr60Ni25Al15金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは694K、結晶化開始温度Txは787K、過冷却液体領域ΔTは93Kであった。液相線温度Tは1291Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.538、γ値は0.396であった。圧縮破断強度は1791MPa、ヤング率は85GPa、圧縮塑性歪は3.5%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−94mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは−23mVであり、Epit−Ecorrは119mVであった。
(比較例3)
比較例1と同様にして、Zr58Ni25Al17の母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が12mmのZr58Ni25Al17の試料を作製した。比較例2のZr58Ni25Al17金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは719K、結晶化開始温度Txは795K、過冷却液体領域ΔTは76Kであった。液相線温度Tは1307Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.550、γ値は0.392であった。圧縮破断強度は1889MPa、ヤング率は90GPa、圧縮塑性歪は3.3%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−90mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは−27mVであり、Epit−Ecorrは105mVであった。
(比較例4)
比較例1〜3の三元合金に対してさらに銅(Cu)を添加して四元合金とし、Zr55Al10Ni25Cu30の母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が30mmのZr55Al10Ni25Cu30の試料を作製した。比較例4のZr55Al10Ni25Cu30金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは683K、結晶化開始温度Txは767K、過冷却液体領域ΔTは84Kであった。液相線温度Tは1163Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.587、γ値は0.416であった。圧縮破断強度は1820MPa、ヤング率は103GPa、圧縮塑性歪は0.0%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−362mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは−230mVであり、Epit−Ecorrは14mVであった。
(比較例5)
五元合金のZr41.2Ti13.8Cu12.5Ni10Be22.5の母合金を作製して再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が50mmのZr41.2Ti13.8Cu12.5Ni10Be22.5の試料を作製した。比較例5のZr41.2Ti13.8Cu12.5Ni10Be22.5金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは625K、結晶化開始温度Txは705K、過冷却液体領域ΔTは80Kであった。液相線温度Tは993Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.629、γ値は0.435であった。圧縮破断強度は1900MPa、ヤング率は90GPa、圧縮塑性歪は1.5%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−218mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは−123mVであり、Epit−Ecorrは154mVであった。
(比較例6)
五元合金のCu32NiZr48AlAgの母合金を再溶融し、アルゴン雰囲気中にある銅製鋳型に石英製ノズルで噴射することで、直径が30mmのCu32NiZr48AlAgの試料を作製した。比較例6のCu32NiZr48AlAg金属ガラス合金のガラス遷移温度Tgは687K、結晶化開始温度Txは788K、過冷却液体領域ΔTは101Kであった。液相線温度Tは1129Kであった。換算ガラス化温度Tg/Tは0.609、γ値は0.434であった。圧縮破断強度は1750MPa、ヤング率は105GPa、圧縮塑性歪は1.0%であった。1NのHCl溶液に対するEpitは−384mVであった。3mass%のNaCl溶液に対するEpitは−240mVであり、Epit−Ecorrは0mVであった。
表1は、実施例1〜11のCuを含まないZr基金属ガラス合金及び比較例1〜6のNbやTaを含まない三元〜五元系のZr基金属ガラス合金の、ガラス遷移温度(Tg)、結晶化開始温度(Tx)、過冷却液体領域(ΔTx)、融点(Tm)、液相線温度(T)、Tg/Tm、換算ガラス化温度(Tg/T)、γ値及び得られた棒状試料の最大直径(dc)を纏めたものである。
表1から明らかなように、実施例1〜11のCuを含まないZr基金属ガラス合金ではNbやTaを添加することによって、比較例1〜6に対してガラス遷移温度(Tg)が増大し、一方、過冷却液体領域(ΔTx)は減少することが分かる。NbやTaの添加によって、融点(Tm)及び液相線温度(T)は、比較例1〜6に対して減少する。このため、換算ガラス化温度(Tg/T)は比較例1〜6に対して著しく増加する。同様に、実施例1〜11では、僅かなNbやTaの添加によって、非晶質形成能と非晶質の安定性との総合的性質を示す数値であるγ値(=Tx/(Tg+T))も、増大していることが分かる。
表2は、実施例1〜11のCuを含まないZr基金属ガラス合金及び比較例1〜6のNbやTaを含まない三元系のZr基金属ガラス合金の機械的性質及び耐蝕性に関する測定値を纏めたものである。機械的性質として、圧縮破断強度、ヤング率、及び圧縮塑性歪を示している。耐蝕性に関しては、1NのHCl溶液に対する腐蝕電位(Epit)、3mass%のNaCl溶液に対する腐蝕電位(Epit)及び腐蝕電位から自然腐蝕電位を引いた電位(Epit−Ecorr)を示している。
表2から分かるように、実施例1〜11の何れの金属ガラス合金も、圧縮破断強度は1786〜1918MPa、ヤング率は88〜101GPa、及び圧縮塑性歪は2〜3.6%であり、特に比較例4〜6のCuを含有するZr基金属ガラス合金より延性が優れていることが分かる。実施例1〜11の何れの金属ガラス合金も、比較例1〜3の三元系Zr基金属ガラス合金及び比較例4〜6のCuを含む四元又は五元系Zr基金属ガラス合金よりも耐蝕性が優れていることが分かる。
本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
本発明のCuを含まないZr基金属ガラス合金は、強度と耐磨耗性と共に任意のバルク形状であることが要求される小型精密機器部品やさらに耐食性も要求される配管等の材料に適用することができる。

Claims (8)

  1. Zr 100−x−y−zAlNiy−a(xは10≦x≦19、yは15≦y≦28、MはNb又はTaであり、zは0<z≦8、BはFe又はCoであり、aは0≦a≦8)で示される組成を有していることを特徴とする、Cuを含まないZr基金属ガラス合金。
  2. 前記Cuを含まないZr基金属ガラス合金のΔTx=Tx−Tg(ここで、Txは、結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)で表わされる過冷却液体領域の温度間隔ΔTxは、50K以上であることを特徴とする、請求項1に記載のCuを含まないZr基金属ガラス合金。
  3. 前記Cuを含まないZr基金属ガラス合金の液相線温度(T1)に対するガラス遷移温度(Tg)の比で定義される換算ガラス化温度(Tg/T1)は、0.54よりも大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載のCuを含まないZr基金属ガラス合金。
  4. 前記Cuを含まないZr基金属ガラス合金のガラス遷移温度(Tg)と液相線温度(T1)との和に対する結晶化開始温度(Tx)の比であるγ値(γ=Tx/(Tg+T1))は、0.38以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のCuを含まないZr基金属ガラス合金。
  5. 前記Cuを含まないZr基金属ガラス合金は、直径が2mm以上の棒状でなることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載のCuを含まないZr基金属ガラス合金。
  6. 前記Cuを含まないZr基金属ガラス合金は、1650MPa以上の圧縮破断強度を有することを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のCuを含まないZr基金属ガラス合金。
  7. 前記Cuを含まないZr基金属ガラス合金は、3mass%のNaCl溶液で分極特性を測定したときの腐蝕電位(Epit)が10mV以上であることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のCuを含まないZr基金属ガラス合金。
  8. 前記Cuを含まないZr基金属ガラス合金は、1NのHCl溶液で分極特性を測定したときの腐蝕電位(Epit)が−80mV以上であることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のCuを含まないZr基金属ガラス合金。
JP2011018717A 2011-01-31 2011-01-31 Cuを含まないZr基金属ガラス合金 Active JP5685761B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011018717A JP5685761B2 (ja) 2011-01-31 2011-01-31 Cuを含まないZr基金属ガラス合金

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011018717A JP5685761B2 (ja) 2011-01-31 2011-01-31 Cuを含まないZr基金属ガラス合金

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012158794A JP2012158794A (ja) 2012-08-23
JP5685761B2 true JP5685761B2 (ja) 2015-03-18

Family

ID=46839565

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011018717A Active JP5685761B2 (ja) 2011-01-31 2011-01-31 Cuを含まないZr基金属ガラス合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5685761B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109112435A (zh) * 2018-08-28 2019-01-01 昆明理工大学 一种相变增韧ZrCu基非晶复合材料及其制备方法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107841692B (zh) * 2017-11-13 2019-06-07 东莞宜安科技股份有限公司 一种利用迭代思想制备β型非晶内生复合材料的方法
CN109957732B (zh) * 2019-04-08 2020-11-27 东北大学 一种锆基非晶薄带材连续制备的方法
JP2021195569A (ja) 2020-06-09 2021-12-27 株式会社Bmg ジルコニウム基金属ガラス合金

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07122120B2 (ja) * 1989-11-17 1995-12-25 健 増本 加工性に優れた非晶質合金
JP5244282B2 (ja) * 2001-06-07 2013-07-24 リキッドメタル テクノロジーズ,インコーポレイティド 電子機器用およびフラットパネルディスプレー用の改良金属フレーム
KR100701027B1 (ko) * 2005-04-19 2007-03-29 연세대학교 산학협력단 연성이 우수한 단일상 비정질 합금
JP2009221557A (ja) * 2008-03-17 2009-10-01 Panasonic Electric Works Co Ltd 金属ガラス及び金属部材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109112435A (zh) * 2018-08-28 2019-01-01 昆明理工大学 一种相变增韧ZrCu基非晶复合材料及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012158794A (ja) 2012-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3805601B2 (ja) 高耐蝕性・高強度Fe−Cr基バルクアモルファス合金
US8361250B2 (en) Amorphous platinum-rich alloys
Inoue et al. Thermal stability and mechanical strength of bulk glassy Ni-Nb-Ti-Zr alloys
US8470103B2 (en) Method of making a Cu-base bulk amorphous alloy
JP3963802B2 (ja) Cu基非晶質合金
JP4633580B2 (ja) Cu−(Hf、Zr)−Ag金属ガラス合金。
Zhang et al. Effects of Ti on the thermal stability and glass-forming ability of Ni-Nb glassy alloy
US20060124209A1 (en) Pt-base bulk solidifying amorphous alloys
Zhang et al. New Au-based bulk glassy alloys with ultralow glass transition temperature
JP3891736B2 (ja) 高強度・高耐蝕性Ni基アモルファス合金
JP5685761B2 (ja) Cuを含まないZr基金属ガラス合金
Park et al. Mg-rich Mg–Ni–Gd ternary bulk metallic glasses with high compressive specific strength and ductility
JP3761737B2 (ja) 高比強度Ti系非晶質合金
Pang et al. Formation, thermal stability and corrosion behavior of glassy Ti45Zr5Cu45Ni5 alloy
JP5321999B2 (ja) Ni基金属ガラス合金
Na et al. The effect of Ta addition on the glass forming ability and mechanical properties of Ni–Zr–Nb–Al metallic glass alloys
JP4742268B2 (ja) 加工性に優れる高強度Co系金属ガラス合金
JP3880245B2 (ja) 高強度・高耐蝕性Ni基非晶質合金
JP4618569B2 (ja) Cu基金属ガラス合金
Men et al. Effect of titanium on glass-forming ability of Cu-Zr-Al alloys
JP4086195B2 (ja) 機械的性質と塑性加工性に優れたNi基金属ガラス合金
Choi-Yim et al. Amorphous alloys in the Cu–Hf–Ti system
JP5392703B2 (ja) Cu基金属ガラス合金
Zhang et al. Formation and properties of new Cu-based bulk glassy alloys with critical diameters up to 1.5 cm
JP3647281B2 (ja) 広い過冷却液体領域を有するNi基非晶質合金

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140129

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20140204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20140204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140410

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140506

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140917

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140930

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141119

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141224

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5685761

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250