JP5684615B2 - 合成杭および合成杭の施工方法 - Google Patents

合成杭および合成杭の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、合成杭および合成杭の施工方法に関する。
建築物等を軟弱地盤上に構築する場合、建築物の沈下等を防止するために、所定の支持力を有する地盤に到達する杭を構築する場合がある。
このような杭には、一般的に、場所打ちコンクリート杭、既製コンクリート杭、鋼管杭、木杭などが採用されている。
中でも、木杭は、製造時の二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、かつ、比較的安価で、なおかつ、軽量で取り扱いやすいため、近年、注目されつつある。
ところが、木杭は、腐朽しやすい性質を有しているため、酸素を必要とする腐朽菌が繁殖しないように配置する必要がある。
例えば、特許文献1には、地下水位よりも低い位置に配置された木杭と、この木杭の上部に設けられた鋼管杭とが一体に接合された合成杭が開示されている。
木杭の上端面からは、異形鉄筋等からなる螺旋部材が突設されており、この螺旋部材が鋼管杭の内部に充填されたコンクリートに定着することで木杭と鋼管杭とが接合されている。
また、特許文献2には、木杭の地下水面よりも上位の周面を空気遮断層によって被覆する木杭の腐朽対策方法が開示されている。空気遮断層の外側は、鋼製キャップが設置されている。
特開2003−321834号公報 特開2008−223379号公報
特許文献1の合成杭は、腐食代を考慮して鋼管の肉厚を大きくする必要があるため、鋼材量が増加し、高価であった。
また、木杭が破損しないように注意しながら螺旋部材を木杭に設置する必要があるので準備作業に手間を要する。
また、特許文献2の腐朽対策方法により形成された木杭は、剛性が小さいため、鉛直荷重により空気遮断層が圧縮されるおそれがあった。
また、空気遮断層の形成および鋼製キャップの設置に手間を要していた。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、簡易かつ安価に形成することが可能な合成杭および合成杭の施工方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る合成杭は、コンクリート杭部の下側に木杭部を延出させてなる合成杭であって、前記コンクリート杭部は、前記木杭部の断面形状よりも大きな断面形状を有しているとともに軸方向に沿って配筋された複数本の主筋と前記主筋を取り囲むように配筋された帯筋とを備えており、前記木杭部は、少なくとも頭部が前記コンクリート杭部に埋め込まれていて前記主筋および前記帯筋の内側で前記コンクリート杭部に接合されていることを特徴としている。
かかる合成杭は、コンクリート杭部の断面形状が拡径(拡幅)されているため、杭頭部の曲げ耐力が高い。
また、コンクリート杭部での周面摩擦抵抗が増加するため、木杭部に伝達される鉛直荷重が減少し、木杭部の圧縮クリープが抑制されている。
さらに、コンクリート杭部と木杭部との接合部に複雑な接合構造を構成する必要がないため、施工性に優れており、また、安価に製造することができる。
また、前記木杭部の前記コンクリート杭部への埋め込み深さが、前記木杭部の直径よりも大きければ、木杭部とコンクリート杭部との接合部において、合成杭の曲げ耐力が大きく低下することがない。
また、第二の発明に係る合成杭は、コンクリート杭部の下側に木杭部を延出させてなる合成杭であって、前記コンクリート杭部は、前記木杭部の断面形状よりも大きな断面形状を有した中空部材からなり、前記木杭部は、少なくとも頭部が前記コンクリート杭部に埋め込まれていて、前記中空部材の内部には、前記木杭部の上端面が当接する受け部が形成されており、前記受け部には、貫通孔が形成されていることを特徴としている。
かかる合成杭によれば、コンクリート杭部と木杭部との接合部から地下水や土砂等が浸入したとしても、当該地下水や土砂等は貫通孔を通って受け部の上部に抜けるため、木杭部と受け部との密着性が低下することがない。
また、前記コンクリート杭部と前記木杭部との当接面に互いに係合する凹凸面が形成されていれば、鉛直荷重の伝達性が向上する。
また、本発明に係る合成杭の施工方法は、コンクリート杭部と木杭部とを備えた合成杭を地中に配置する合成杭の施工方法であって、前記木杭部の直径よりも大きな内径を有した竪穴を地下水位よりも深く形成する工程と、前記竪穴内にコンクリートを打設する工程と、前記木杭部を構成する木製杭部材をコンクリート内に挿入し前記竪穴の底面から下方向に向けて前記木製杭部材を圧入する工程と、前記コンクリートを養生する工程とを備えることを特徴としている。
かかる合成杭の施工方法によれば、簡易に合成杭を構築することが可能である。
本発明の合成柱および合成柱の施工方法によれば、高耐力な合成杭を、簡易かつ安価に形成することが可能である。
第一の実施の形態に係る合成杭を示す横断面図である。 (a)はコンクリート杭部と木杭部との接合部を示す横断面図、(b)は(a)のX1−X1断面図である。 コンクリート杭部と木杭部との接合部の荷重伝達機構の概念図である。 第一の実施の形態に係る合成杭の変形例を示す横断面図である。 (a)は第二の実施の形態に係る合成杭を示す横断面図、(b)は同合成杭の立面図、(c)は(a)のX2−X2断面図である。 (a)および(b)は第二の実施の形態に係る合成杭の施工方法の各施工状況を示す横断面図である。 (a)は第三の実施の形態に係る合成杭を示す横断面図、(b)は(a)のX3−X3断面図である。 (a)〜(d)は第四の実施の形態に係る合成杭の施工方法の各施工状況を示す横断面図である。 第五の実施の形態に係る基礎構造の概要を示す断面図である。
<第一の実施の形態>
第一の実施の形態に係る合成杭1は、図1に示すように、コンクリート杭部10の下側に木杭部20を延出させることで構成されている。
コンクリート杭部10は、図2(b)に示すように、断面円形の鉄筋コンクリート杭部材である。
コンクリート杭部10は、木杭部20よりも大きな直径を有していて、断面形状が木杭部20の断面形状よりも大きく形成される。
コンクリート杭部10の下端部は、図2(a)に示すように、下(先端)に行くに従い外径が小さくなるテーパー面が形成されていて、合成杭の地盤への圧入時における抵抗力の低減化が図られている。
コンクリート杭部10は、図1に示すように、下端部が地下水位WLよりも下に位置している。これにより、木杭部20が地下水位WLよりも上位で露出することが防止されている。
コンクリート杭部10には、図2(a)および(b)に示すように、軸方向に沿って配筋された複数本(本実施形態では6本)の主筋11,11,…と、軸方向に対して所定の間隔をあけて主筋を取り囲むように配筋された帯筋12,12,…とが配筋されている。
コンクリート杭部10と木杭部20との接合部では、地震時に大きな支圧力が作用するため、図2(a)に示すように、帯筋12の配筋ピッチを密にする。また、特に支圧力が大きくなるコンクリート杭部10の下端では、帯筋12を二重に配筋している。
なお、主筋11および帯筋12の配筋ピッチや鉄筋径等は、限定されるものではない。また、コンクリート杭部10は、無筋であってもよい。
木杭部20は、図2(a)に示すように、コンクリート杭部10に埋め込まれていることにより、コンクリート杭部10に接合されている。
木杭部20は、図2(b)に示すように、断面円形の木製杭部材により構成されている。
また、木杭部20は、コンクリート杭部10から延出された露出部分が、地下水位WL(図1参照)よりも下に位置させることが好ましい。
木杭部20のコンクリート杭部10と接する部分(埋め込まれた部分)の表面には、図示しない耐アルカリ性の合成樹脂膜を形成することもできる。このようにすることで、木製杭部材のセルロース繊維等がコンクリート中のアルカリと反応することによる表面の強度低下や収縮を防止できる。なお、耐アルカリ性の合成樹脂膜は、エポキシ樹脂塗料、塩化ビニル樹脂塗料、塩化ゴム系樹脂塗料等を木杭部20に塗布することにより形成すればよい。
木杭部20とコンクリート杭部10との接合部における曲げモーメントMとせん断力Qは、図3に示すように、木杭部20の埋め込み部分の側面の支圧合力P1,P2によって伝達される。軸力Nは、木杭部20の上面の支圧合力P3によって全部または一部が伝達される。なお、軸力Nの一部は、木杭部20の側面とコンクリート杭部10の内壁面との摩擦力により伝達させてもよいし、木杭部20とコンクリート杭部10との接合部に凹凸を設けて鉛直力を伝達させるようにしてもよい。
木杭部20のコンクリート杭部10への埋め込み深さは、曲げモーメントM、せん断力Qおよび軸力Nに対して、コンクリート杭部10および木杭部20が健全である木杭部の直径より大きい深さを適宜設定するものとする。
例えば、木杭部20のコンクリート杭10下端深さにおいて「断面積AWで除した平均軸応力がσLとなる軸力」と「断面縁部の軸応力が許容軸応力σaSとなる曲げモーメントMW」とが作用する場合には、「埋め込み部のせん断応力τWが許容せん断応力τaS以下となる最小埋め込み深さLbn」を、式1により算出してもよい。
なお、曲げモーメントMWは式2で表すことができ、側面の支圧合力P1,P2間の距離を2/3Lと仮定するとせん断力QWは式3で表すことができる。また、埋め込み部のせん断応力τWは式4で表すことができる。
Figure 0005684615
仮に、木製杭部材としてスギを使用するものとし、許容軸応力σaSを8.4〜12.6N/mm2、許容せん断応力τaSを0.84N/mm2、平均軸応力σLを3〜5N/mm2とすれば、最小埋め込み深さLbnとして1.0DW〜2.9DW(DW:木製杭部材の直径)が得られる。したがって、木杭部20の埋め込み深さLbは、少なくとも木杭部20の直径よりも大きい深さとすればよい。
なお、コンクリート内の木部は腐朽しにくいので、木杭部20は、図4に示すように、コンクリート杭部10の上端まで埋め込まれていてもよい。
合成杭1の施工を行うにあたっては、まず、工場や現場の作業ヤード等において、木杭部20を構成する木製杭部材の頭部を巻き込むように、コンクリートを打設して、コンクリート杭部10を形成する。
そして、コンクリートに所定の強度が発現して、合成杭1が形成されたら、この合成杭1を地中に圧入する。
合成杭1の圧入は、重機等により合成杭1の杭頭部を把持し、コンクリート杭部10の下端が地下水位WLよりも低い位置に到達するよう合成杭1の鉛直性を保ちつつ、杭頭部に押し込み力を作用させればよい。このとき、押し込み力とともに振動や回転力を与えてもよい。
また、合成杭1は、合成杭1の直径よりも小さい孔径により形成された掘削孔に圧入させてもよい。
本実施形態の合成杭1は、コンクリート杭部10の断面形状が拡径(拡幅)されているため、杭頭部の曲げ耐力が高い。
また、コンクリート杭部10での周面摩擦抵抗が増加するため、木杭部20に伝達される鉛直荷重が減少し、木杭部20の圧縮クリープが抑制されている。
また、木杭部20をコンクリート杭部10に所定の深さだけ埋め込むことで、埋め込み部分の側面の支圧合力P1,P2によってせん断力と曲げモーメントを伝達することが可能となるため、コンクリート杭部10と木杭部20との接合部に複雑な接合構造を構成する必要がなく、合成杭1の製造コストの低減化が可能である。
また、接合部において合成杭1の曲げ耐力が大きく低下することがない。
木杭部20の露出部分は、地下水位WLよりも低い位置に配置されるため、木杭部20の腐朽が防止される。そのため、木杭部20と地盤との接触部分に保護材を配設する必要がなく、安価である。
また、拡径されたコンクリート杭部10を地盤に圧入することで、地盤が締固められるため、強度と剛性に関係する地盤の密度が増加する。特に、砂質地盤の場合には、地盤が締固められることで、地震時の液状化抵抗と水平地盤反力が増加するため、杭頭部の地震時の曲げモーメントが抑制される。
合成杭1によれば、杭頭部(コンクリート杭部10の上端部)と接合部の地震時の健全性を確保しながら、木杭部20の圧縮クリープを抑制できるため、合成杭1が負担することができる軸力が増加する。そのため、杭本数の削減が可能となり、工期短縮化が可能となる。
<第二の実施の形態>
第二の実施の形態(参考実施形態)に係る合成杭2は、図5(a)および(b)に示すように、コンクリート杭部30の下側に木杭部20を延出させることで構成されている。
コンクリート杭部30は、図5(a)に示すように、中空部34が形成された鉄筋コンクリート製の中空部材である。
コンクリート杭部30は、半円筒状を呈する分割部材31,31(図5(c)参照)を組み合わせることにより円筒状に形成されている。
分割部材31,31は、木杭部20を挟むように突き合わせた状態で、固定バンド32(図5(b)参照)により緊結されている。なお、分割部材31同士の接合方法は固定バンド32による緊結に限定されるものではなく、例えば、ボルトにより締結してもよい。また、分割部材31同士の接合面に、接着剤、グラウトまたはモルタル等を充填して密着性を高めてもよい。
分割部材31と木杭部20との当接面には、互いに係合する凹凸面が形成されている。
つまり、分割部材31内面には、木杭部20の挿入部に面して凹凸面(係止部33)が形成されている。係止部33は、木杭部20の杭頭部に形成された凹凸面(係止部21)と係合可能に形成されている。なお、係止部33は、複数の環状の溝や複数の孔等により形成してもよいし、1つ以上の螺旋状の溝、あるいはこれらと平面形状が類似する突出部により形成してもよい。
コンクリート杭部30の下端部は、図5(a)に示すように、下(先端)に行くに従い外径が小さくなるテーパー面が形成されている。
また、コンクリート杭部30には、適宜鉄筋が配筋されている。
なお、コンクリート杭部30の構成は、前記した構成に限定されるものではない。
例えば、コンクリート杭部30は、必ずしも分割部材31,31により構成されている必要はなく、遠心成型等により円柱状に形成されていてもよい。また、コンクリート杭部30の分割数も限定されるものではない。
木杭部20は、図5(a)に示すように、頭部がコンクリート杭部30に埋め込まれていることにより、コンクリート杭部30に接合されている。
木杭部20は、図5(c)に示すように、断面円形の木製杭部材により構成されている。木杭部20の分割部材31との当接面には、係止部33と係合する凹凸面(係止部21)が形成されている。係止部21は、木杭部20の側面に形成された凹凸であって、コンクリート杭部30の内壁面に形成された係止部33と係合するように形成されている。なお、係止部21は、複数の環状の溝や複数の孔等により形成してもよいし、1つ以上の螺旋状の溝、あるいはこれらと平面形状が類似する突出部により形成してもよい。
この他の木杭部20の構成は、第一の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
合成杭2の施工を行うにあたっては、まず、工場や現場の作業ヤード等において分割部材31,31で木杭部20の頭部を挟み、分割部材31,31を突き合わせて接合することで合成杭2を形成する。
次に、図6(a)に示すように、合成杭2を地中に圧入する。
合成杭2の圧入は、重機等により合成杭2の杭頭部を把持し、コンクリート杭部30の下端が地下水位WLよりも低い位置に到達するよう合成杭2の鉛直性を保ちつつ、杭頭部に押し込み力を作用させればよい。このとき、押し込み力とともに振動や回転力を与えてもよい。
なお、合成杭2(コンクリート杭部30)の上端には、保護部材35が設置されており、押し込み力によるコンクリート杭部30の頭部の破損から保護されている。保護部材35は必要に応じて設置すればよい。
合成杭2の圧入が完了したら、図6(b)に示すように、保護部材35を撤去し、合成杭2の上部に基礎スラブSを構築する。
本実施形態の合成杭2によれば、コンクリート杭部30としてプレキャスト部材を使用しているため、合成杭2の製造を簡易に行うことができる。また、コンクリート杭部30を一定の品質により製造することができる。
また、木杭部20とコンクリート杭部30との接合部に係止部21,33が形成されているため、軸力の伝達性に優れている。
この他の本実施形態の合成杭2の作用効果は、第一の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
<第三の実施の形態>
第三の実施の形態に係る合成杭3は、図7(a)に示すように、コンクリート杭部30の下側に木杭部20を延出させることで構成されている。
コンクリート杭部30は、断面中央に中空部34が形成された鉄筋コンクリート製の中空部材である。コンクリート杭部30は、遠心成型等により中空円柱状に形成されている。
中空部34には、木杭部20の上端面が当接する受け部36が設置されている。
受け部36は、図7(b)に示すように、平面視十字状の鋼製部材であって、四方に延設された角片の先端部が、コンクリート杭部30の内壁面に埋設されている。
また、受け部36は、コンクリート杭部30の内壁面との間に隙間(貫通孔)37,37,…が形成されている。
受け部36の部材厚は限定されるものではないが、木杭部20とコンクリート部30との間で軸力等の力の伝達が可能な剛性と強度を有している必要がある。
なお、受け部36の材質は限定されるものではなく、例えばコンクリートであってもよい。また、受け部36の形状も限定されるものではなく、貫通孔が形成された平面視円形の部材であってもよい。
コンクリート杭部30の下端部は、図7(a)に示すように、下(先端)に行くに従い外径が小さくなるテーパー面が形成されている。
また、コンクリート杭部30には、適宜鉄筋が配筋されている。
木杭部20は、頭部がコンクリート杭部30に埋め込まれていることにより、コンクリート杭部30に接合されている。
木杭部20は、断面円形の木製杭部材により構成されていて、上端面が受け部36に当接した状態でコンクリート杭部30に埋め込まれている。
この他の木杭部20の構成は、第一の実施の形態で示した内容と同様のため、詳細な説明は省略する。
合成杭3の施工方法は、第二の実施の形態の合成杭2の施工方法と同様のため、詳細な説明は省略する。
合成杭3は、受け部36に隙間(貫通孔)37が形成されているため、合成杭3を地盤に圧入する際に、木杭部20とコンクリート杭部30との間から土砂や地下水等が入り込んだとしても、この土砂や地下水は隙間37を挿通して抜けるため、木杭部20とコンクリート杭部30との密着性が低下することが防止される。
この他の本実施形態の合成杭3の作用効果は、第一の実施の形態や第二の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
<第四の実施の形態>
第四の実施の形態に係る合成杭4は、図8(d)に示すように、コンクリート杭部10の下側に木杭部20を延出させることで構成されている。
コンクリート杭部10は、竪穴40内で形成された断面円形の鉄筋コンクリート部材である。
コンクリート杭部10は、木杭部20よりも大きな直径を有していて、断面形状が木杭部20の断面形状よりも大きく形成されている。
この他のコンクリート杭部10の構成は、竪穴40内で形成される点を除き、第一の実施の形態で示したコンクリート杭部10の構成と同様のため、詳細な説明は省略する。
木杭部20は、図8(d)に示すように、コンクリート杭部10に埋め込まれていることにより、コンクリート杭部10に接合されている。
木杭部20は、断面円形の木製杭部材により構成されている。
この他の木杭部20の構成は、第一の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
合成杭4の施工を行うにあたっては、まず、図8(a)に示すように、木杭部20の直径よりも大きな内径を有した竪穴40を地下水位WLよりも深く形成する。
竪穴40の削孔方法は限定されるものではないが、例えば、先端(下端)を細らせたケーシングや杭状部材を圧入してから引抜くことにより行ってもよい。あるいはケーシングの圧入とともに、ケーシングの内部を掘削することにより行ってもよいし、オーガー掘削により行ってもよい。
竪穴40を形成したら、図8(b)および(c)に示すように、竪穴40内にフレッシュコンクリート13を打設する。
フレッシュコンクリート13の打設は、図8(b)に示すように、トレミー管41を利用して竪穴40の底部から行う。
フレッシュコンクリート13の打設後、フレッシュコンクリート13の上部に溜まった水wをできるだけ除去し、フレッシュコンクリート13内に木製杭部材を挿入する際に、フレッシュコンクリート13内に水wが混入することを防止することが好ましい。
次に、木杭部20となる木製杭部材をフレッシュコンクリート13内に挿入する。さらに、図8(d)に示すように、竪穴40の底面から下方向に向けて木製杭部材を圧入する。なお、圧入する深さは任意でよいが、地下水位より下まで圧入することが好ましい。
木製杭部材を圧入したら、フレッシュコンクリート13を養生する。
以上により、合成杭4の施工が完了する。
以上、第四の実施の形態に係る合成杭の施工方法によれば、簡易の合成杭4を構築することができる。
この他の本実施形態の合成杭4の作用効果は、第一の実施の形態乃至第三の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
<第五の実施の形態>
第五の実施の形態では、図9に示すように、合成杭5を沈下抑止杭として使用する場合について説明する。
本実施形態では、複数本の合成杭5の上に鉄筋コンクリート製の土間床50が形成されている。
土間床50の構成は限定されるものではないが、本実施形態では、厚みが150mmで、積載荷重を含めた単位面積当たりの荷重は8kN/m2とする。
合成杭5は、コンクリート杭部10の下側に木杭部20を延出させることで構成されている。
合成杭5は、N値が5前後の砂質土層と、その下のN値が2程度の粘性土層とが積層された地盤に形成されている。砂質土層は、地震時に液状化する可能性が高い地盤である。なお、合成杭5が形成される地盤条件は、限定されるものではない。
合成杭5は、コンクリート杭部10の下端部が地下水位WLよりも下に位置するように圧入施工されている。
また、木杭部の下端深さは、粘性土層での周面摩擦力によって、長期杭頭軸力を上回る極限支持力が得られる深さまで圧入されている。
この他の本実施形態の合成杭5の構成は、第一の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
本実施形態によれば、砂質土層が液状化したとしても、粘性土層に所定の深さ圧入された合成杭5により土間床50が支持されているため、土間床50に有害な沈下が生じることがない。
また、合成杭5の杭頭部が、コンクリート杭部10により径大化されているため、土間床50の杭頭軸力の受圧範囲が広がり、パンチングシアによるクラックなどが土間床50に生じることが防止される。
この他の本実施形態の合成杭5の作用効果は、第一の実施の形態乃至第四の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、本発明の合成杭の使用目的は限定されるものではない。合成杭は、支持杭として使用してもよいし、摩擦杭として使用してもよい。
1,2,3,4,5 合成杭
10 コンクリート杭部
20 木杭部
30 コンクリート杭部
31 分割部材
34 中空部
36 受け部
37 隙間(貫通孔)
WL 地下水位

Claims (5)

  1. コンクリート杭部の下側に木杭部を延出させてなる合成杭であって、
    前記コンクリート杭部は、前記木杭部の断面形状よりも大きな断面形状を有しているとともに、軸方向に沿って配筋された複数本の主筋と前記主筋を取り囲むように配筋された帯筋とを備えており、
    前記木杭部は、少なくとも頭部が前記コンクリート杭部に埋め込まれていて、前記主筋および前記帯筋の内側で前記コンクリート杭部に接合されていることを特徴とする、合成杭。
  2. 前記木杭部の前記コンクリート杭部への埋め込み深さが、前記木杭部の直径よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の合成杭。
  3. 前記木杭部は、前記コンクリート杭部から延出された露出部分が地下水位よりも下に位置していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の合成杭。
  4. コンクリート杭部の下側に木杭部を延出させてなる合成杭であって、
    前記コンクリート杭部は、前記木杭部の断面形状よりも大きな断面形状を有した中空部材からなり、
    前記木杭部は、少なくとも頭部が前記コンクリート杭部に埋め込まれていて、
    前記中空部材の内部には、前記木杭部の上端面が当接する受け部が形成されており、
    前記受け部には、貫通孔が形成されていることを特徴とする、合成杭。
  5. コンクリート杭部と木杭部とを備えた合成杭を地中に配置する合成杭の施工方法であって、
    前記木杭部の直径よりも大きな内径を有した竪穴を地下水位よりも深く形成する工程と、
    前記竪穴内にコンクリートを打設する工程と、
    前記木杭部を構成する木製杭部材をコンクリート内に挿入し、前記竪穴の底面から下方向に向けて前記木製杭部材を圧入する工程と、
    前記コンクリートを養生する工程と、を備えることを特徴とする、合成杭の施工方法。
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