JP5682465B2 - 超音波画像診断装置 - Google Patents
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Description
また、近年の超音波画像診断装置では、複数の圧電素子をアレイ状に配置した超音波探触子が用いられており、それぞれの素子からの受信信号を整相加算する受信ビームフォーミングを行って、受信信号に含まれるノイズを低減させることにより、平均化原理によってS/Nを向上させることができる。また、この技術によれば、素子数(n)が多くなるほど、ノイズが抑圧されるため(ノイズが1/(n1/2)となる)、さらに、S/Nの向上が期待できる。
さらには、同様の平均化原理をフレーム間積算に適用して画像処理(フレームアベレージング)を行うことによりS/Nを向上させることもできる。
また、素子数の増加による整相加算やフレーム間積算によれば、必要な演算量が増加するとともに、フレームレートの低下が不可避である。
駆動信号によって被検体に向けて送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信することにより受信信号を出力する振動子と、
前記振動子による反射超音波の受信を行うときに、前記振動子に対してノイズを含む電圧を印加して前記受信信号を確率共鳴現象により増幅させるためのノイズ出力部と、
前記受信信号から高調波成分を抽出する高調波抽出部と、
前記高調波抽出部によって抽出された高調波成分に基づいて前記被検体内の超音波診断画像データーを生成する画像処理部と、
を備え、
前記ノイズ出力部は、前記確率共鳴現象によって前記高調波成分が増幅されるようなノイズを含む電圧を前記振動子に対して印加することを特徴とする。
前記ノイズ出力部は、前記確率共鳴現象によって3次高調波成分が増幅されるようなノイズを含む電圧を前記振動子に対して印加することを特徴とする。
前記ノイズ出力部は、前記振動子が受信する反射超音波の深度に応じて、前記確率共鳴現象による前記高調波成分の増幅の増幅率が次数毎に変更されるように前記ノイズを含む電圧を前記振動子に対して印加することを特徴とする。
前記ノイズ出力部は、印加する電圧に含まれるノイズのパターンを変更することにより、前記確率共鳴現象による前記高調波成分の増幅の増幅率を次数毎に変更することを特徴とする。
前記ノイズ出力部は、前記被検体における所定の深度からの反射超音波を前記振動子が受信するタイミングで前記高調波成分が増幅されるようなノイズを含む電圧を前記振動子に対して印加することを特徴とする。
前記ノイズ出力部によって出力される電圧が前記受信信号のベースラインに整合するように該電圧に対してバイアス電圧を重畳するバイアス電圧供給部を備えたことを特徴とする。
前記バイアス電圧供給部は、前記振動子が受信する反射超音波の深度に応じて、重畳するバイアス電圧の大きさを変更することを特徴とする。
このように構成された送信部12は、制御部18の制御に従って、駆動信号を供給する複数の振動子2aを、超音波の送受信毎に所定数ずらしながら順次切り替え、出力の選択された複数の振動子2aに対して駆動信号を供給することにより走査を行う。
また、受信部13は、高調波抽出部13aを備えており、受信信号の基本波成分を除去し、基本波成分の整数倍の周波数成分である2次高調波や3次高調波等の高調波成分を抽出する。高調波成分は、反射超音波の被検体内における非線形性により生じる周波数成分である。
なお、受信部13に、後述するノイズ出力部19によって出力されたノイズ成分を受信信号から除去するためのノイズ除去フィルターを備えるようにしてもよい。
ROMは、半導体等の不揮発メモリー等により構成され、超音波画像診断装置Sに対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、各種データー等を記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデーターを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
BWN=(10−3〜10−4)fR・・・(1)
AN=(10−12〜102)IR・・・(2)
したがって、受信信号が広帯域である場合は、ノイズの周波数帯域(BWN)を調整することにより、所望の帯域の受信信号を増幅することができ、同様の機能を有するバンドパスフィルター、ハイパスフィルター及びローパスフィルター等のフィルター回路が不要となる場合がある。
さらに、ノイズを重畳するタイミング(TN)を調整することにより、所定の深度からの反射超音波を選択的に増幅することができ、深度に応じて受信信号の増幅率を変化させるTGC等の構成が不要になる場合がある。
本実施の形態では、ノイズ出力部19は、特に、深部からの反射超音波を受信するときにおいては、3次高調波成分が増幅されるようなノイズを振動子2aに与えるように制御する。
ΔV=bV−aV・・・(3)
そして、バイアス電圧供給部19aは、このようにして求められた電圧差(ΔV)に相当する電圧のバイアスをノイズ出力部19から出力される微小電圧に重畳する。
信号成分Sは、深度が大きくなるにつれて減衰する。また、ノイズ成分N(特に、スペックル成分)は、ある程度の深い位置となると振幅が大きくなり、ノイズによる影響が大きくなる。そのため、深度aよりも深い位置では、信号成分Sがノイズ成分Nに埋もれてしまい、信号成分とノイズ成分との区別ができなくなってしまう。さらに、3次高調波成分S(f2)にあっては、基本波成分S(f0)よりも40dB小さいため、例えば、深度aよりも浅い深度bの位置において、ノイズ成分Nに埋もれてしまう。このように、3次高調波成分は、空間分解能に優れ、サイドローブが少ないという特徴があるため、有用性は高いものであるが、強度が極めて微弱であるため、従来では抽出が困難であるという問題があった。
S/N=Vs/Vn・・・(4)
比較例1として、PZTからなる振動子2a(素子数192、各素子の大きさが横0.2mm×縦8mm×厚み0.04mmでありそれらが方位方向に整列)を用いた超音波探触子2を作成し、4MHz、焦点95mm、焦点音圧0.2MPaにて送信超音波を所定のファントム(装置の動作試験に用いられる模型)に対して送信し、ファントムの内部における送信超音波の焦点位置に配置された直径0.1mmのナイロンワイヤーからの反射超音波を受信した。
このときの受信信号のS/Nは、基本波中心周波数4MHzにて−30dB、2次高調波である中心周波数8MHzにて−45.6dB、3次高調波である中心周波数12MHzにて−60.8dBであった。
次に、比較例1と同条件下で超音波の送受信を行い、反射超音波の受信時において、0.1Vrmsのホワイトノイズを各振動子2aに印加した。
このときの受信信号のS/Nは、基本波中心周波数4MHzにて−5dB、2次高調波である中心周波数8MHzにて−35.6dB、3次高調波である中心周波数12MHzにて−55.8dBであり、基本波>2次高調波>3次高調波の順で利得の向上が見られた。
また、実施例1と同条件下においてホワイトノイズをブルーノイズに変更し、ノイズ強度を0.15V/Hz1/2とした他は同一のノイズ印加条件とし、反射超音波の受信を行った。
このときの受信信号のS/Nは、基本波中心周波数4MHzにて−20dB、2次高調波である中心周波数8MHzにて−20.6dB、3次高調波である中心周波数12MHzにて−45.8dBであり、2次高調波>3次高調波>基本波の順で利得の向上が見られた。
また、実施例1と同条件下においてホワイトノイズをバイオレットノイズに変更し、ノイズ強度を0.3V/Hz1/2とした他は同一のノイズ印加条件とし、反射超音波の受信を行った。
このときの受信信号のS/Nは基本波中心周波数4MHzにて−25dB、2次高調波である中心周波数8MHzにて−20.6dB、3次高調波である中心周波数12MHzにて−30.8dBであり、3次高調波>2次高調波>基本波の順で利得の向上が見られた。
各実施例1−1〜1−3によってそれぞれ得られた受信信号は、通常の信号処理、すなわち包絡線検波、輝度変換、DSC等の各処理を経て画像化することによって、ノイズを重畳しない比較例1に比べて空間分解能及びコントラストに優れ診断に有用な超音波画像を取得することができた。
比較例2として、P(VDF−3FE)からなる振動子2a(素子数128、各素子の大きさが横0.25mm×縦10mm×厚み0.04mmでありそれらが方位方向に整列)を用いた超音波探触子2を作成し、10MHz、焦点50mm、焦点音圧0.15MPaにて送信超音波をファントムに対して送信し、ファントムの内部における送信超音波の焦点位置に配置された直径0.1mmのナイロンワイヤーからの反射超音波を受信した。
このときの受信信号のS/Nは、基本波中心周波数10MHzにて−40dB、2次高調波である中心周波数20MHzにて−60dB、3次高調波である中心周波数30MHzにて−80dBであった。
次に、比較例2と同条件下で超音波の送受信を行い、反射超音波の受信時において、0.06V/Hz1/2のピンクノイズを各振動子2aに印加した。
このときの受信信号のS/Nは、基本波中心周波数10MHzにて−15dB、2次高調波である中心周波数20MHzにて−35.3dB、3次高調波である中心周波数30MHzにて−55.8dBであり、いずれの周波数帯域においても略一様の利得の向上が見られた。
実施例2によって得られた受信信号は、通常の信号処理、すなわち包絡線検波、輝度変換、DSC等の各処理を経て画像化することによって、ノイズを重畳しない比較例2に比べて空間分解能及びコントラストに優れ診断に有用な超音波画像を取得することができた。
比較例3として、PZTからなる振動子2a(素子数192、各素子の大きさが横0.2mm×縦8mm×厚み0.04mmでありそれらが横方向に整列)を用いた超音波探触子2を作成し、4MHz、多点焦点(30、60、95mm)とし、それぞれの焦点音圧を0.06、0.14、0.2MPaにて送信超音波をファントムに対して送信し、ファントムの内部における送信超音波の各焦点位置に配置された直径0.1mmのナイロンワイヤーからの反射超音波を受信した。
このときの受信信号のS/Nの深度に対する関係は、3次高調波である中心周波数12MHzにて、それぞれ、−19.2dB/30mm、−38.4dB/60mm、−60.8dB/95mmであった。
次に、比較例3と同条件下で超音波の送受信を行い、送信超音波の送信直後、当該各振動子2aに1000Vrms/secの強度の時間変化をもつホワイトノイズを150μs印加し、ナイロンワイヤーからの反射超音波を受信した。
このときの受信信号のS/Nの深度に対する関係は、3次高調波である中心周波数12MHzにて、それぞれ、−5.3dB/30mm、−5.4dB/60mm、−5.6dB/95mmであり、深度に従い増幅率が増加したことによるほぼ一様のS/Nが得られ、TGC等による深度毎の受信信号の増幅を不要とすることが可能となった。
実施例3によって得られた受信信号は、通常の信号処理、すなわち包絡線検波、輝度変換、DSC等の各処理を経て画像化することによって、ノイズを重畳しない比較例3に比べて空間分解能及びコントラストに優れ、深度に一様な診断に有用な超音波画像を取得することができた。
1 超音波画像診断装置本体
2 超音波探触子
2a 振動子
12 送信部
13 受信部
13a 高調波抽出部
14 画像生成部
15 メモリー部
18 制御部
19 ノイズ出力部
19a バイアス電圧供給部
Claims (7)
- 駆動信号によって被検体に向けて送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信することにより受信信号を出力する振動子と、
前記振動子による反射超音波の受信を行うときに、前記振動子に対してノイズを含む電圧を印加して前記受信信号を確率共鳴現象により増幅させるためのノイズ出力部と、
前記受信信号から高調波成分を抽出する高調波抽出部と、
前記高調波抽出部によって抽出された高調波成分に基づいて前記被検体内の超音波診断画像データーを生成する画像処理部と、
を備え、
前記ノイズ出力部は、前記確率共鳴現象によって前記高調波成分が増幅されるようなノイズを含む電圧を前記振動子に対して印加することを特徴とする超音波画像診断装置。 - 前記ノイズ出力部は、前記確率共鳴現象によって3次高調波成分が増幅されるようなノイズを含む電圧を前記振動子に対して印加することを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
- 前記ノイズ出力部は、前記振動子が受信する反射超音波の深度に応じて、前記確率共鳴現象による前記高調波成分の増幅の増幅率が次数毎に変更されるように前記ノイズを含む電圧を前記振動子に対して印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波画像診断装置。
- 前記ノイズ出力部は、印加する電圧に含まれるノイズのパターンを変更することにより、前記確率共鳴現象による前記高調波成分の増幅の増幅率を次数毎に変更することを特徴とする請求項3に記載の超音波画像診断装置。
- 前記ノイズ出力部は、前記被検体における所定の深度からの反射超音波を前記振動子が受信するタイミングで前記高調波成分が増幅されるようなノイズを含む電圧を前記振動子に対して印加することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波画像診断装置。
- 前記ノイズ出力部によって出力される電圧が前記受信信号のベースラインに整合するように該電圧に対してバイアス電圧を重畳するバイアス電圧供給部を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の超音波画像診断装置。
- 前記バイアス電圧供給部は、前記振動子が受信する反射超音波の深度に応じて、重畳するバイアス電圧の大きさを変更することを特徴とする請求項6に記載の超音波画像診断装置。
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