JP5681144B2 - 集積化パッチアンテナ - Google Patents

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本発明は、ミリ波帯もしくはテラヘルツ波帯の高周波回路とパッチアンテナをMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit:モノリシックマイクロ波集積回路)製造プロセスを用いて、同一の半導体基板に一括して形成する技術に関する。
従来は送受信モジュールを実現する際に、高周波回路とアンテナを個別に製造して組み立てていた。高周波用のアンテナはサイズが小さいので、高周波回路と一体化による送受信モジュールの小型化が可能である。例えば、特許文献1では、高周波回路を形成した誘電体基板とアンテナを形成した誘電体基板を貼り合わせて一体化して配置して小型化を図っている。特許文献2では、別々に製造したMMICとアンテナを誘電体基板上に一体化して配置して小型化を図っている。また、特許文献3では、アンテナを形成した基板に検波回路を形成したMMICチップをフリップチップ実装している。
特開平09−237867号公報 特開2000−278009号公報 特開平08−056113号公報
しかしながら、高周波回路を形成したMMICチップとアンテナを個別に製造して組み立てる手法には、製造コストの低減および高信頼化に限界がある。別の観点からは高周波回路、アンテナ等の個々の特性が優れていても、これらを接続してモジュールとする際に発生する、接続部の位置合わせ精度に起因する大きな特性ばらつきを低減することが困難である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、低廉化と高信頼化を図った集積化パッチアンテナを提供することを目的とする。
本発明に係る集積化パッチアンテナは、同一の半導体基板上に高周波回路と同時に形成した集積化パッチアンテナであって、前記高周波回路と共通の前記半導体基板上に積層された異なるふたつのメタル配線層を用いて、給電線路と放射電磁波の波源となるスロットを備えた接地導体とを構成し、前記半導体基板の前記メタル配線層が形成された面に対向する面に、電磁波を大気中に放射する放射器を上記スロット位置に設けることを特徴とする。
上記集積化パッチアンテナにおいて、前記放射器の周囲に前記半導体基板を貫く金属ビアを半導体基板中の電磁波の波長の1/4以下の間隔で配置することを特徴とする。
本発明によれば、低廉化と高信頼化を図った集積化パッチアンテナを提供することができる。
本実施の形態における集積化パッチアンテナを備えたMMICチップの構成を示す断面図である。 上記集積化パッチアンテナの各メタル層の構成を示す平面図である。 上記集積化パッチアンテナを備えたMMICチップをパッケージに実装した様子を示す図である。 本実施の形態における別の集積化パッチアンテナを備えたMMICチップの構成を示す断面図である。 本実施の形態におけるさらに別の集積化パッチアンテナを備えたMMICチップの構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態における集積化パッチアンテナを備えたMMICチップの構成を示す断面図である。図1に示すMMICチップ1は、Si、GaAs、InPなどの半導体基板3上にSiO、SiN、BCB、ポリマなどの絶縁層21とメタル配線層22を積層してなる積層配線部にパッチアンテナを形成したものであり、ミリ波帯やテラヘルツ波帯の電磁波の送受信モジュールとして利用できる。
図1に示すように、MMICチップ1は、同一半導体基板3上に同時に形成されたアンテナ部1Aと高周波回路部1Bを備える。
アンテナ部1Aでは、メタル層Mi,Mjの2層それぞれに給電線路11と接地導体13を配置してマイクロストリップ線路を構成し、かつ給電線路11と重なる、接地導体13の特定領域にスロット12(開口部)を設けて、放射電磁波の波源とする。さらに、半導体基板3の裏面(マイクロストリップ線路を構成した面と反対側の面)にメタル層Mbackを蒸着・加工して大気中への電磁波の放射器14とする。通常のMMIC製造プロセスでは、Mbackの材料に耐食性の強いAuを用いることが多い。図2に、各メタル層Mi,Mj,Mbackの平面図を示す。図2(a)は、給電線路11を配置したメタル層Mi、図2(b)は、スロット12を有する接地導体13を配置したメタル層Mj,図2(c)は、放射器14を配置したメタル層Mbackを示している。放射器14の各辺のサイズを、少なくとも一辺が放射電磁波と共振するように設定することにより、大気中への電磁波の放射を効率的に行える。
給電線路11、接地導体13間の間隔hi-jは、給電線路11、接地導体13をどの配線層に配置するかという選択により自由に決めることができる。また、接地導体13中のスロット12と放射器14との間隔hj-backは、半導体基板3の厚さと、接地導体13をどの配線層に配置するかという選択とから決めることができる。間隔hj-backを小さく設定するとアンテナのバンド幅が狭くなり、放射器14から大気中に電磁波を効率良く放射できなくなる。そのため、スロット位置から放射器までの距離を十分確保する必要がある。数値例として、積層配線部2の厚さは10〜15μmであり、半導体基板3の厚さは50〜150μmである。本実施の形態では、積層配線部2よりも厚みのある半導体基板3の裏面に放射器14を設けることで間隔hj-backに関する要求条件を満足させている。
別の観点からは、半導体基板中の電磁波の波長に比べて間隔hj-backが十分大きくなるように設定するので、電磁波が半導体基板3の面内方向にも拡散して損失となる。本実施の形態では、放射器14の周囲に、半導体基板3を貫通する金属のTSV(Through−Silicon Via;シリコン以外の半導体基板でも同じ名称)15を半導体基板中の電磁波の波長の1/4以下の間隔で設けて、電磁波の面内方向への不必要な拡散を防止している。
高周波回路部1Bでは、半導体基板3にCMOS、BJT、HEMT、HBTなどのトランジスタ24を形成し、かつメタル層による配線とメタル層間およびトランジスタ24を接続する金属ビア23を用いて高周波回路が構成される。
本実施の形態における集積化パッチアンテナは、高周波回路部1Bと同一の半導体基板3に、高周波回路部と共通のメタル配線層22を用いて給電線路11と接地導体13からなるマイクロストリップ線路を構成し、かつ給電線路11に対向する接地導体13の特定領域にスロット12を設けて放射電磁波の波源とし、さらに半導体基板3の裏面に放射器14を形成したアンテナ部1Aを備えることで、MMIC製造プロセスのバッチ処理にてパッチアンテナまで一括して造り込むことができる。
図3に、本実施の形態における集積化パッチアンテナを備えたMMICチップ1をパッケージに実装した様子を示す。
図3に示すように、MMICチップ1の裏面、すなわち放射器14を設けた側を上方に向け、MMICチップ1の表面、すなわちボンディングパッドを設けた積層配線部2側をPCB基板41に向けてボンディングバンプ(半田ボール)43を用いてパッケージの接続端子と接続し、さらにMMICチップ1をモールディング材42で固定している。図示していないが、放射器14を含む半導体基板3の裏面を保護するためにコーティング材にてコーティングする。
なお、本実施の形態における集積化パッチアンテナはシリコンレンズ(ゲイン:〜20dB)や、LTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics)によるホーンアンテナ(ゲイン:〜40dB)と貼り合わせて一体化することも可能である。
図4は、本実施の形態における別の集積化パッチアンテナを備えたMMICチップの斜視図である。図4(a)は、MMICチップを表面、すなわちメタル配線層側から見た表面の斜視図であり、図4(b)は、MMICチップを裏面、すなわち放射器14を設けた側から見た裏面の斜視図である。
図4(a)に示すように、アンテナ部は4つのパッチアンテナを備えている。アンテナ部は、メタル配線層に、給電線路11と接地導体13を配置してマイクロストリップ線路を構成し、給電線路11は、同一半導体基板上に形成した高周波回路に接続される。また、図4(b)に示すように、半導体基板の裏面には、接地導体13に設けた4つのスロット12に対応して4つの放射器14が配置される。
図5は、本実施の形態におけるさらに別の集積化パッチアンテナを備えたMMICチップの構成(フェーズド・アレー)を示す模式図である。
図5に示すフェーズド・アレーは、複数のパッチアンテナを備え、各パッチアンテナに位相制御回路(遅延回路等で構成)5を接続し、アレーアンテナ付きMMICチップとしている。各パッチアンテナの各マイクロストリップ線路の給電線路11と接地導体13、および高周波回路の一部として実現される位相制御回路5を半導体基板3の表面に形成し、半導体基板の裏面には、各接地導体13に設けたスロット12にそれぞれ対応させて放射器14を配置する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、アンテナ部1Aと高周波回路部1Bを同一の半導体基板3に同時に形成可能であり、アンテナ部1Aの給電線路11とスロット12を半導体基板3の表面のメタル配線層に配置し、かつ半導体基板3の裏面に放射器14を配置することにより、アンテナ部1Aを高周波回路部1BのMMIC製造プロセスで同時に造り込むことができるので、低廉化と高信頼化を図ったパッチアンテナを提供できる。
本実施の形態によれば、放射器14の周囲に、半導体基板3を貫くTSV15を半導体基板中の電磁波の波長の1/4以下の間隔で配置することにより、電磁波が半導体基板3の面内方向に不必要に拡散することを防止できる。
1…集積化パッチアンテナを備えたMMICチップ
1A…アンテナ部
1B…高周波回路部
11…給電線路
12…スロット
13…接地導体
14…放射器
15…TSV
2…積層配線部
21…絶縁層
22…メタル配線層
23…金属ビア
24…トランジスタ
3…半導体基板
41…PCB基板
42…モールディング材
43…ボンディングバンプ
5…位相制御回路
Mi,Mj,Mback…メタル層

Claims (2)

  1. 同一の半導体基板上に高周波回路と同時に形成した集積化パッチアンテナであって、
    前記高周波回路と共通の前記半導体基板上に積層された異なるふたつのメタル配線層を用いて、給電線路と放射電磁波の波源となるスロットを備えた接地導体とを構成し、
    前記半導体基板の前記メタル配線層が形成された面に対向する面に、電磁波を大気中に放射する放射器を上記スロット位置に設けることを特徴とする集積化パッチアンテナ。
  2. 前記放射器の周囲に前記半導体基板を貫く金属ビアを半導体基板中の電磁波の波長の1/4以下の間隔で配置することを特徴とする請求項1記載の集積化パッチアンテナ。
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