本発明は、粉末状または顆粒状の粉粒体を貯蔵し、制御機構からの制御信号に従って指定された所定量の粉粒体を流出させて外部に排出することができる粉粒体ディスペンサーに関する。
従来技術において、飲料やスープなどの粉末原料を所定量供給する自動制御機器が知られている。キャニスタといわれる粉末原料の容器から粉末原料を容器等に供給するが、供給方式には様々なものがある。
第1の方式はスクリュー押し出し方式である。例えば、特開2003−157471号公報に記載された技術では、飲料の粉末原料を蓄積・保存する容器であるキャニスタ2の下方から水平方向に設置されたオーガ5Aと呼ばれるスクリュー式の押し出し装置の回転により粉末原料を供給口2Aから供給するように構成されている。オーガ5Aと呼ばれるスクリュー式の押し出し装置が回転するとスクリューに巻き込まれている粉粒体がスクリューの回転に応じて押し出されてゆき、流出口からキャニスタ2へ落下して行く。粉粒体の流出量を計測する方法が様々あるが、例えばオーガ5Aのスクリューの回転量をもって流出口から流出した粉粒体の量を推定するものもあれば、特開2003−157471号公報などのようにキャニスタ2の重量を計測し、キャニスタ2の重量の減少した量をもって粉粒体の流出量として取り扱っている。
また、特開2004−251683号公報に記載の技術では、キャニスタ2の下方からさらに垂直にスクリュー式のオーガ12が取り付けられた構成例である。キャニスタ2内を重力により下方に集まってきた粉粒体をオーガのスクリューによりさらに下方に押し出されて行き、最後にシャッターである開閉蓋14を介して外部に供給せしめるものとなっている。なお、この特開2004−251683号公報に記載の技術は、後述する第3の供給方式であるシャッター式の供給方式と見ることもできる。
第2の方式は、凹型の軽量カップを用いて粉粒体を軽量カップに一旦計り取り、軽量カップから粉粒体を流出させるといういわゆる軽量カップ方式である。例えば特開2004−239806号公報に記載された技術では、ベース10とピン20により形成される凹状の計量ポット14を用いてスクレイパー34により上面を削って計量ポット14内に粉粒体を計り取り、計量ポット14に残っている粉粒体を取り出すことにより所定の体積分の粉粒体を供給するものである。
第3の方式は、流出孔を開閉させるシャッター等の開閉機構を用いて粉粒体を計り取るシャッター方式である。例えば、米国特許第5,145,009号公報においては、ハウジングの下面に閉塞可能なシャッターを備えたディスペンサーが開示されている。閉塞部材として機能するのは円錐形の弁体であり、流出孔の内壁と嵌合するもので、弁体を上下させることによりシャッターとして機能する。ハウジングの外部上方に搭載している駆動ユニットの駆動機構により軸状の閉鎖部材を上下させて当該閉鎖部材の先端についている弁体を上下させる。
また、特開2009−075087号公報に記載された技術では、ロッド状閉塞部材110のハウジング113内に粉粒体が貯蔵されており、ハウジング113の外部上方に搭載している駆動ユニット150の駆動機構154により軸状の閉鎖部材111を上下させて当該閉鎖部材111の先端についている静電凝集手段119との距離を調整するとともに、静電凝集手段119に通電して粉粒体を帯電させて一時的に凝集状態を作って出口である流出孔を粉粒体の凝集体で覆うことにより閉鎖したり、静電凝集手段119の通電を切るまたは逆電位を与えるなどして凝集体を破壊して流出孔を開放したりする。
特開2003−157471号公報
特開2004−251683号公報
特開2004−239806号公報
米国特許第5,145,009号公報
特開2009−075087号公報
上記したように粉粒体を供給するディスペンサーには様々な方式があるが、粉粒体ディスペンサーとして、ある程度誤差の少ない計量を行えること、粉粒体の計量時間が短く処理速度が速いこと、装置が小型化できることなどが求められている。
第1のスクリュー押し出し方式の場合、構造は比較的簡単なものの、特許文献1の特開2003−157471号公報の水平方向にオーガが設けられている構造であっても、特許文献2の特開2004−251683号公報の垂直方向にオーガが設けられている構造であっても、正確な計量が難しいという問題がある。スクリューの回転角に応じて概ね分配される粉粒体の量は制御できるが、粒子径の細かい粉粒体であれば、オーガから塊状でバラバラと落ちてくるものとなり、計り取る粉粒体の分量の誤差が大きいものとなってしまう。
また、第1のスクリュー押し出し方式の場合、オーガのスクリューにより切れ目なく流出孔に向けて押し出されてゆくので、粉粒体が流出孔付近に剥き出しで露出しており、湿気等の影響、虫やゴミの付着などの不具合が発生するおそれがある。高価なオーガであれば、別途、流出孔を覆う開閉機構付きの蓋が必要となってしまう。例えば、特許文献2の特開2004−251683号公報は、粉粒体の取り出し方式はオーガによるスクリュー押し出し方式であるが、別途、流出孔にシャッターを備えている。これは、粉粒体が流出孔付近に剥き出しで露出しないようにして湿気等の影響を防止する工夫を施している。そのため、装置が複雑となり、コスト増加を招いていた。
第2の計量カップ方式では、計量という点からはかなり正確に計量できるというメリットがあるが、粉粒体の計量プロセスが複雑で計量時間が長くなり、結局、粉粒体を取り出す処理速度が遅いという問題が生じてしまう。特許文献3の特開2004−239806号公報の技術では、ベース10とピン20により形成される凹状の計量ポット14内に粉粒体を埋める第1の手順と、スクレイパー34により計量ポット14の上面を削って計量ポット14内に正確な量の粉粒体を計り取る第2の手順と、計量ポット14に残っている粉粒体を取り出すという第3の手順が必要となり、粉粒体の計量プロセスが複雑となり計量時間が長くなる。その結果、粉粒体を取り出す処理速度が遅くなる。
第3のシャッター方式では、ある程度の計量の正確さ、処理速度の速さの点からバランスのとれた有利な方式であると言える。また、粉粒体が流出孔付近に剥き出しで露出することもなく、湿気等の影響、虫やゴミの付着などの不具合が発生しにくい。しかし、シャッターを開閉駆動する駆動装置が必要であり、装置が大型化してしまうという問題が生じる。
例えば、特許文献4の米国特許第5,145,009号公報や特許文献5の特開2009−075087号公報のいずれの方式であっても、ハウジング外部に駆動装置が設けられ、軸状の閉鎖部材111を上下させて当該閉鎖部材111の先端についている弁体を上下させるという構造上、どうしても装置が大型化してしまうという問題が生じる。つまり、粉粒体が流出しつつある流出孔を素早く確実に開閉できるようにシャッターを駆動するには、流出孔に対してシャッターとなる弁体を上下運動させることにより開閉する方式が有利であるが、その反面、特許文献4および特許文献5にみるように、駆動体がハウジング外部の上部に設けられ、装置が大型化してしまうという問題を招いていた。
上記問題点に鑑み、本発明は、ある程度誤差の少ない計量を行えること、粉粒体の計量時間が短く処理速度が速いこと、装置が小型化できる粉粒体ディスペンサーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の粉粒体ディスペンサーは、粉粒体を分配供給する粉粒体ディスペンサーであって、前記粉粒体の投入口となる投入部と、投入された前記粉粒体の収納空間となる収納部と、前記収納部から前記粉粒体を流出させる流出部とを備えた粉粒体コンテナと、前記粉粒体コンテナの前記流出部を閉鎖・開放する開閉弁と、前記開閉弁を駆動する駆動機構と、前記駆動機構による前記流出部の開放時間を制御する制御機構と、前記駆動機構の前記軸体に連動し、前記開閉弁を開閉させた際に前記駆動機構の動作により振動が生じ、周辺にある前記粉粒体の状態を整える振動板を備え、前記駆動機構および前記振動板のすべての部材が前記粉粒体コンテナの内部に設けられており、目標とする前記粉粒体の供給量に対して、前記制御機構が前記開閉弁の開閉を複数回繰り返し、前記粉粒体を小分けに複数回計り取ることができることを特徴とする粉粒体ディスペンサーである。
ここで、上記構成において、前記粉粒体コンテナの前記流出部が前記収納部の下部に設けられている筒状体であり、前記開閉弁の長さが前記流出部の前記筒状体の長さより長く、上部に前記流出部の前記筒状体の上面を塞ぐ嵌合形状を備え、下部に前記流出部の前記筒状体の下面を塞ぐ嵌合形状を備え、中央部の径が前記流出部の前記筒状体の径よりも小さく、前記中央部と前記流出部の前記筒状体の間に前記粉粒体コンテナから前記粉粒体が流れ込む間隙が形成された構造であり、前記開閉弁の上部が前記流出部の前記筒状体の上方に位置し、前記開閉弁の下部が前記流出部の前記筒状体の下方に位置し、前記開閉弁が開放状態のとき、前記開閉弁の前記上部の嵌合形状が前記流出部の前記筒状体の上面を塞ぐ位置に移動し、前記開閉弁が閉鎖状態のとき、前記開閉弁の前記下部の嵌合形状が前記流出部の前記筒状体の下面を塞ぐ位置に移動するよう制御されるものであることが好ましい。
また、上記構成において、前記駆動機構が、前記制御機構の制御信号に従って機械的に動作する駆動体と、前記駆動体を包含する筐体と、前記駆動体から前記開閉弁までつながる軸体を備え、前記開閉弁の開閉が前記軸体の上下動に連動するものであることが好ましい。
上記構成によれば、前記開閉弁が開放状態のとき、前記開閉弁の上端面が前記流出部の前記筒状体の上面を塞ぐ位置に移動して前記収納部内の前記粉粒体の流出は塞ぎつつ既に前記流出部の前記筒状体の中に入り込んでいた前記粉粒体のみが流出し、前記開閉弁が閉鎖状態のとき、前記開閉弁の下端面が前記流出部の前記筒状体の下面を塞ぐ位置に移動して前記流出部の前記筒状体の中の前記粉粒体の流出は塞ぎつつ前記収納部内の前記粉粒体が前記流出部の前記筒状体の中に入り込むこととなり、開閉部の開閉動作により流出部からの粉粒体の流出を制御することができる。ここで、開閉弁の一回の開閉動作における流出部の開閉時間を正確に制御できるところ、当該開閉時間におけるある程度誤差の少ない計量を行なうことができる。また、開閉弁の動作、特にアクチュエーターを利用した素早い動作により粉粒体の計量時間が短く処理速度を速くすることが可能である。
本発明の粉粒体ディスペンサーの部材の振動板はコンテナ内部の粉粒体の内部状態を整えるものであるが、前記粉粒体コンテナ内に前記粉粒体を適量投入している状態において前記振動板が前記粉粒体コンテナ内に投入されている前記粉粒体内に埋没する位置に設けられていることが好ましい。
また、前記駆動機構が、前記制御機構の制御信号に従って機械的に動作する駆動体と、前記駆動体を包含する筐体と、前記駆動体から前記開閉弁までつながる軸体を備え、前記振動板が前記軸体に連動するように取り付けられ、前記粉粒体コンテナ内に前記粉粒体を適量投入している状態において、前記駆動体を包含している前記筐体と前記振動板が前記粉粒体の中に埋没していることが好ましい。
上記構成によれば、流出孔の開閉のために駆動体が動作して駆動体に接続されている振動体が振動するが、当該振動を利用して粉粒体コンテナ内での粉粒体の状態を整える効果が得られる。本来、粉粒体は流出孔に近い下方から粉粒体コンテナ外に流出してゆき、下の粉粒体が流出して上の粉粒体が次々に下方に移動してゆくはずであるが、粉粒体同士の摩擦などにより、下の粉粒体が流出しても上の粉粒体が下に移動せずに小さな空間が生じてしまうこともある。小さな空間が生じてしまうと開閉弁の開閉時間のみで制御を試みると、小さな空間が崩れてゆく時間なども影響し、想定していた分量の粉粒体が流出しないおそれがある。そこで、駆動体の上下動のたびに振動板を振動させ、粉粒体に振動を与え、粉粒体コンテナ内での粉粒体の状態を整え、小さな空間などが生じることを防止する。
また、振動する部材のすべてを粉粒体コンテナ内に設けておくこと構造とすれば、駆動体を筐体ごと粉粒体コンテナ内において粉粒体に埋没させておくというユニークな方式を採用することができ、装置サイズを小型化できる。
ここで、筐体の外形として、その上面が半球形で側面が円筒形であることが好ましい。筐体ごと粉粒体に埋没している状態であるので、筐体の外形は基本的に滑らかな曲面であることが好ましく、角や窪みのない、上面が半球形で側面が円筒形である、いわゆる“カプセル型”であることが好ましい。また、筐体の内部に搭載されている駆動体は電気的に上下運動が可能なアクチュエーターであることが好ましい。なお、通電するために外部との間でコードを配線してもごく細いものであれば粉粒体に特に影響を与えない。
上記構成の粉粒体ディスペンサーであれば、粉粒体コンテナ内での粉粒体の状態を整える効果が得られる。つまり、前記筐体が前記粉粒体の状態を整える振動板を備え、前記振動板が前記粉粒体コンテナ内部で前記粉粒体の中に埋没しており、前記駆動体が駆動して上下運動を行い前記開閉弁を上下運動させた際に、前記筐体に加えて前記振動板にも振動が生じ、前記振動板の周辺にある前記粉粒体に振動を与え、前記粉粒体コンテナの内部の前記粉粒体の状態を整えるものであることが好ましい。
次に、上記構成において、前記粉粒体コンテナの壁面が二重壁構造となっており、前記内壁と前記外壁の間に空気層が設けられ、結露を防止せしめた構造とすることが好ましい。
上記構成により、粉粒体コンテナ内の粉粒体が湿気てしまう不具合を防止することができる。
次に、上記構成において、前記流出孔の下方に、前記流出孔から流出した粉粒体を整流するファンネルを設けた構成とすることが好ましい。開閉弁により流出孔を開閉するが、粉粒体は開閉弁の周囲を流れ落ちるため、粉粒体の流れが散らばるおそれがあるところ、このようにファンネルを設けておくことで流出方向を集中させ、粉粒体の流れる状態を整えることができる。
次に、本発明の粉粒体を分配供給する供給方法は、前記粉粒体の投入口となる投入部と、投入された前記粉粒体の収納空間となる収納部と、前記収納部から前記粉粒体を流出させる流出孔とを備えた粉粒体コンテナと、前記粉粒体コンテナの前記流出孔を閉鎖・開放する開閉弁と、前記開閉弁を駆動する駆動機構と、前記駆動機構による前記流出孔の開放時間を制御する制御機構とを備えたディスペンサーを用い、目標とする粉粒体供給量Q(g)を計量する前記開閉弁の駆動制御として、前記制御機構が前記開閉弁をn(nは2以上の自然数)回開閉し、各々の開放時間をT1(t),T2(t),・・・,Tn(t)とし、単位時間あたりの前記粉粒体流出量W(g/t)とし、(数1)に従い、前記粉粒体供給量Q(g)をn回に小分けして前記粉粒体を供給する粉粒体の供給方法である。
上記したように、開閉弁の開閉時間が長くなると収納体コンテナ内部に粉粒体の摩擦力などにより小空間が生じる不具合が発生するおそれがあるが、開閉弁の1回1回の開閉時間を短くすれば小空間が発生するおそれがなく供給量の精度は高くなる。そこで、目標の粉粒体供給量Qを一度に計量するのではなく、n回(例えば3回等)に小分けして計量し、その合計で目標の粉粒体供給量Qとする方が精度良く計量することができる。
他の本発明の粉粒体を分配供給する供給方法は、粉粒体ディスペンサーとして、前記粉粒体の投入口となる投入部と、投入された前記粉粒体の収納空間となる収納部と、前記収納部から前記粉粒体を流出させる流出部とを備えた粉粒体コンテナと、前記粉粒体コンテナの前記流出部を閉鎖・開放する開閉弁と、前記開閉弁を駆動する駆動機構と、前記駆動機構による前記流出孔の開放時間を制御する制御機構とを備え、前記粉粒体コンテナの前記流出部が前記収納部の下部に設けられている筒状体であり、前記開閉弁の長さが前記流出部の前記筒状体の長さより長く、上部に前記流出部の前記筒状体の上面を塞ぐ嵌合形状を備え、下部に前記流出部の前記筒状体の下面を塞ぐ嵌合形状を備え、中央部の径が前記流出部の前記筒状体の径よりも小さく、前記中央部と前記流出部の前記筒状体の間に前記粉粒体コンテナから前記粉粒体が流れ込む間隙が形成された構造のものを用い、
目標とする粉粒体供給量Q(g)を計量する前記開閉弁の駆動制御として、前記制御機構が前記開閉弁をn(nは2以上の自然数)回開閉し、下記(数2)に従い、前記開閉弁1回の開閉で計り取れる前記粉粒体供給量Q1(g)を、前記粉粒体供給量Q(g)をn回に小分けして前記粉粒体を供給する粉粒体の供給方法である。
本発明の升目機能を用いた粉粒体ディスペンサーを用いれば、開閉弁1回の開閉動作で升目の容積が計り取れるため、目標の粉粒体供給量Q(g)に至るまで、n回開閉すればよい。
本発明にかかる粉粒体ディスペンサーによれば、前記開閉弁が開放状態のとき、前記開閉弁の上端面が前記流出部の前記筒状体の上面を塞ぐ位置に移動して前記収納部内の前記粉粒体の流出は塞ぎつつ既に前記流出部の前記筒状体の中に入り込んでいた前記粉粒体のみが流出し、前記開閉弁が閉鎖状態のとき、前記開閉弁の下端面が前記流出部の前記筒状体の下面を塞ぐ位置に移動して前記流出部の前記筒状体の中の前記粉粒体の流出は塞ぎつつ前記収納部内の前記粉粒体が前記流出部の前記筒状体の中に入り込むこととなり、開閉部の開閉動作により流出部からの粉粒体の流出を制御することができる。ここで、開閉弁の一回の開閉動作における流出部の開閉時間を正確に制御できるところ、当該開閉時間におけるある程度誤差の少ない計量を行なうことができる。また、開閉弁の動作、特にアクチュエーターを利用した素早い動作により粉粒体の計量時間が短く処理速度を速くすることが可能である。
また、本発明にかかる粉粒体ディスペンサーによれば、流出孔の開閉のために駆動体が上下運動を行う際に駆動体を包含している筐体や振動板が振動することを利用して粉粒体に振動を与え、粉粒体コンテナ内での粉粒体の状態を整え、小さな空間などが生じることを防止する。駆動体を筐体の内部に包含させて粉粒体の内部に埋設してしまうという仕組みであれば、装置サイズを小型化できる。
本発明の実施例1にかかる粉粒体ディスペンサー100の一構成例の内部が分かりやすいように断面で示した正面図である。
本発明の実施例1にかかる粉粒体ディスペンサー100の一構成例を内部が分かりやすいように断面で示した側面図である。
実施例1にかかる粉粒体ディスペンサー100の流出部14の流出孔と開閉弁20との関係が分かりやすいように縦断面にて示した図である。
駆動体31の動作と、付勢バネ35による姿勢維持との関係を模式的に示す図である。
粉粒体ディスペンサー100の開閉弁20の開閉時間を調整して計り取った実験1の結果を示す図である。
粉粒体ディスペンサー100の開閉弁20の開閉時間を調整して計り取った実験2の結果を示す図である。
粉粒体ディスペンサー100の開閉弁20の開閉時間を調整して計り取った実験3の結果を示す図である。
本発明の実施例2にかかる粉粒体ディスペンサー100aの一構成例の内部が分かりやすいように断面で示した正面図である。
本発明の実施例2にかかる粉粒体ディスペンサー100aの一構成例の内部が分かりやすいように断面で示した側面図である。
駆動機構30と軸体32の先端に設けられている開閉弁20を一体に取り出して模式的に示した図である。
筐体33の振動により粉粒体コンテナ10内での粉粒体の状態を整える効果を模式的に示す図である。
粉粒体ディスペンサー100aの休止状態を表している図である。
粉粒体ディスペンサー100aの粉粒体供給状態を示している図である。
粉粒体ディスペンサー100aの粉粒体流出停止状態を表している図である。
粉粒体ディスペンサー100aが休止状態に戻った状態を示している図である。
嵩密度が軽く摩擦力が大きな粉粒体200bの場合に実施例1の粉粒体ディスペンサー100内で起こりえる現象と、実施例3の粉粒体ディスペンサー100bの工夫を分かりやすいように示した図である。
本発明の実施例3にかかる粉粒体ディスペンサー100bの一構成例の内部が分かりやすいように断面で示した正面図である。
本発明の実施例3にかかる粉粒体ディスペンサー100bの一構成例の内部が分かりやすいように断面で示した側面図である。
実施例3にかかる粉粒体ディスペンサー100bの流出部14の流出孔と開閉弁20により奏される効果を分かりやすいように縦断面にて示した図である。
粉粒体ディスペンサー100bの開閉弁20の開閉回数を調整して計り取った実験1の結果を示す図である。
粉粒体ディスペンサー100bの開閉弁20の開閉回数を調整して計り取った実験2の結果を示す図である。
以下、本発明の粉粒体ディスペンサーを添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下、本発明に係る粉粒体ディスペンサーの構成例を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施例1にかかる粉粒体ディスペンサー100の一構成例の内部が分かりやすいように断面で示した正面図であり、図2は側面図である。
図1および図2に示すように、粉粒体ディスペンサー100は、粉粒体コンテナ10、開閉弁20、駆動機構30、制御機構40、支持台50、ファンネル60を備えている。図2の側面図に示す支持台50は模式的に示しており、実際の粉粒体コンテナ10に対するアタッチメント機構などは図示を省略している。
なお、以下の実施例に出てくる図中では、内部構造が分かりやすいように収納部内壁12と収納部外壁13は断面で描いており、ハッチングが施された収納部内壁12と収納部外壁13との間には後述するように空気層が設けられており、いわゆる二重壁構造になっている。また、ファンネル60も流出孔付近が見えるように断面図で示している。
粉粒体コンテナ10は、粉粒体を貯蔵する空間を提供する筐体であり、形状などは特に限定されないが、粉粒体の投入口となる投入部11と、投入された粉粒体の収納空間となる収納部内壁12と、収納部内壁12を覆う収納部外壁13と、粉粒体を流出させる流出部14、投入部11の上面開口の蓋をする上面蓋体15を備えたものとなっている。
粉粒体コンテナ10の上部は略筒状をしており、下部は下方に行くほど径が絞られてゆく形状となっている。上面開口が投入部11であり、粉粒体の収納空間となる収納部内壁12の下部に流出部14が設けられている。
収納部内壁12と収納部外壁13との間には空気層が設けられ、いわゆる二重壁構造となっている。このように二重壁構造となっていると粉粒体コンテナと外気との断熱効果や防湿効果が高まり、結露が生じにくくなり、粉粒体が湿気を帯びることが効果的に防止できる。
流出部14は、粉粒体コンテナ10の下部に設けられている粉粒体の流出部分であり、この構成例では筒状体となっている。
開閉弁20は、粉粒体コンテナ10の流出部14の流出孔を閉鎖・開放するものであり、この構成例では、下部の形状が流出部14の流出孔を塞ぐ形状となっており、両者が嵌合し合うものとなっている。なお、このように、流出部14に対して開閉弁20が栓となり、上下方向に流出部14を開閉する仕組みであれば、粉粒体が流出部14付近に剥き出しで露出することがなく、粉粒体コンテナ10内部の粉粒体が湿気等の影響を受けたり、虫やゴミが付着したりするなどの不具合が起こらない。
図3は、流出部14の流出孔と開閉弁20との関係が分かりやすいように縦断面にて示した図である。つまり、流出部14の形状と開閉弁20の下方の形状は対応し合っており、開閉弁20が流出部14の蓋となっている。
なお、開閉弁20と流出部14との相対距離は、開放時に粉粒体がスムーズに流出していき、閉鎖時に即座に閉鎖できる程度の距離が好ましい。開放状態において3mm〜10mm程度であれば速やかに開閉弁20が開閉できる。ただし、開閉弁20の操作により流出する粉体量は、後述するように、粉粒体の粒径、粉粒体の嵩密度、粉粒体間の摩擦力、流出部14の断面積、流出部14と粉粒体の摩擦力、収納コンテナ10の内壁面形状、その他の様々な要素により影響されるので、それら要素を検討して開閉弁20の開閉時間を決めれば良い。
開閉弁20は後述するように駆動機構30の軸体32の最下端に設けられており、駆動体31の上下運動に従って上下運動を行うものとなっている。
ここで、流出部14と開閉弁20との位置関係は上下方向に嵌合し合うものであれば良いが、例えば、図3に示すものがある。
図3(a)に示すように、流出部14が筒体であり、一方、開閉弁20が柱体であり、流出部14に対して開閉弁20が下から嵌合して流出孔を閉鎖するものとなっている。この状態では、収納部12内の粉粒体は開閉弁20により流出はしない。このタイプであれば、開閉弁20は粉粒体コンテナ10の外部下方に位置し、開閉弁20が下方から粉粒体コンテナ10の流出部14の栓をするような形で流出部14に嵌り、流出部14から流出しつつある粉粒体を止めたり、下方から上向きに粉粒体コンテナ10の流出部14の栓をしていた開閉弁20が下方に移動して流出部14から離れ、流出部14から粉粒体を流出させたりする。
図3(b)に示すように、駆動体31を下側に移動させて軸体32の先端に設けられている開閉弁20が下方に移動すると、流出部14が開放され、収納部12内の粉粒体200は下方に流出して行く。
図3(c)に示すように、駆動体31を上側に移動させて軸体32の先端に設けられている開閉弁20が上方に移動すると、流出部14が閉鎖され、収納部12内の粉粒体200は開閉弁20により流出が止まる。
もし逆に、開閉弁20が粉粒体コンテナ10の内部に位置し、流出部14に対して上方から栓をする構造を検討してみると、高速に動作、例えば上下運動する開閉弁20が粉粒体コンテナ10の内部で粉粒体の中で高速に移動することとなり、粉粒体によって開閉弁20の移動が妨げられる上に、開閉弁20の外壁面と流出孔の内壁面との間に多量の粉粒体が挟み込まれてしまい、開閉弁20の開閉動作を繰り返すと装置の故障を招くおそれが生じてしまう。
一方、図3に示す位置関係の場合、開閉弁20は粉粒体コンテナ10の外部で高速に移動するので粉粒体に移動を妨げられることはなく、開閉弁20と流出部14との間に挟み込まれる粉粒体の量も比較的少ない構造であるので、繰り返し作動しても装置の故障が起こりにくいというメリットがある。
駆動機構30は、開閉弁20を駆動するものであり、この例では開閉弁20を上下方向に駆動させるものとなっており、駆動体31と、軸体32、筐体33を備えている。
駆動体31は、後述する制御機構40からの制御信号に従って電気的に上下運動を行うアクチュエーターである。例えば、ソレノイドなどでも良い。粉粒体をある程度正確に計り取るため、駆動体31もある程度高速に動作する必要がある。動作速度は限定されないが、開閉弁20と流出部14との相対距離にもよるが、開閉弁20を流出部14に対して1秒以内に開閉できるものが好ましい。
軸体32は、駆動体31の駆動力を開閉弁20に伝達する棒状の構造物であり、ステンレス軸体やプラスチック軸体で抗菌処理を施しておくことが好ましい。
筐体33は駆動体31を覆うものであり、形状は様々な形状があり得る。この例では、筐体33内部に駆動体31を内蔵している構造となっている。この構成例では、駆動体31と筐体33が蓋体15の上に設けられ、粉粒体コンテナ10の外にある構成となっている。軸体32が駆動体31から開閉弁20まで通貫した構造となっている。
次に、この構成例では、図1、図2には図示していないが、付勢バネ35を備えた構造例となっている。付勢バネ35は駆動体31および開閉弁20のオフ状態を維持するための付勢バネであり、その役割は粉粒体ディスペンサー100の休止状態において、流出部14の開閉弁20による閉鎖状態を安定して維持せしめることである。付勢バネ35は、筐体33の中に仕込まれており、駆動体31が上側移動をして開閉弁20が閉鎖状態となった後、駆動体31の電位をオフとしても、その後駆動体31の姿勢がそのまま保持できるように付勢バネ35が仕込まれている。
駆動体31は例えばソレノイドなどのアクチュエーターであり、駆動体31の動作に連動して開閉弁20が上下運動する構造となっている。開閉弁20による流出部14の開閉運動を高速に行うためには、例えば、下側移動時には駆動体31に対して+電位、上側移動時には駆動体31に−電位を与えて駆動体31を能動的に作動させれば良いが、開閉弁20の閉鎖状態は粉粒体ディスペンサー100の休止状態でもあり、駆動体31を上側に維持しなければならないが、姿勢保持のために駆動体31に対して常に−電位を与え続ける必要があるとすると電力が無駄に浪費されてしまう。そのため、駆動体31の上側移動時には駆動体31に高速移動のための−電位を一時的に与えて駆動体31が上側移動をした後、駆動体31の電位をオフとしても、その後駆動体31の姿勢がそのまま保持できるように付勢バネ35が仕込まれている。なお、付勢バネ35の付勢力は駆動体31のオン・オフ動作を妨げない程度のものとする必要がある。
図4は駆動体31の動作と、付勢バネ35による姿勢維持との関係を模式的に示す図である。この例では、付勢バネ35は軸体32に設けられているフランジ321と筐体33のフランジ331との間に張られているものとする。
図4(a)は、粉粒体ディスペンサー100の休止状態を表している。駆動体31の信号線には電位は与えられておらず、駆動体31はオフ状態にあるが、付勢バネ35により軸体32のフランジ部分が上方に押し上げられて軸体32が上方に維持されている。図示していないが、開閉弁20が流出部14に嵌合して流出部14を閉鎖している。
図4(b)は、粉粒体ディスペンサー100の粉粒体供給状態を示している。駆動体31の信号線には+電位が与えられ、駆動体31は下側への移動状態となり、軸体32が押し下げられ下方に高速に移動する。開閉弁20が流出部14から離れ、流出部14が開放され、粉粒体が流出部14から流出する。この状態では図4(b)に示すように駆動体31の駆動力により付勢バネ35は縮められている。
図4(c)は、粉粒体ディスペンサー100の粉粒体流出停止動作を表している。駆動体31の信号線には−電位が与えられ、駆動体31は上側への移動状態となり、軸体32が押し上げられ上方に高速移動する。開閉弁20が流出部14に嵌合して、流出部14が閉鎖され、粉粒体の流出部14からの流出が停止する。この状態では図4(c)に示すように付勢バネ35は図4(a)の状態に戻っている。
次に、図4(c)から図4(d)に示すように、駆動体31の駆動を停止したとする。駆動体31の信号線の電位は−電位からオフ電位(0電位)となり、駆動体31はオフ状態に戻るが、付勢バネ35により軸体32のフランジ部分331が上方に押し上げられて軸体32が上方に維持され、開閉弁20が流出部14に嵌合したままで流出部14の閉鎖状態が維持される。つまりこの状態では図4(d)に示すように駆動体が休止状態にあっても付勢バネ35の付勢力により軸体32は下に落ちずに図4(d)の状態を維持し続けることができる。
このように、付勢バネ35を設けることで、少ない電気エネルギーにて流出部14の開閉状態の安定した制御ができる。
制御機構40は、駆動機構30による流出孔の開放時間を制御する制御要素である。制御信号が駆動機構30に与えられると、駆動体31のオン・オフの状態が制御でき、開閉弁20の開閉が制御できる。この構成例では、制御機構40と駆動機構30の間にコード41がつながれ、通電とともに制御信号が与えられる構造となっている。制御信号は特に限定されないが、駆動体31のオン・オフ制御方式に合わせれば良い。この例では、制御機構40が与える制御信号電位がハイで駆動体31がオンとなり下側に移動し、開閉弁20が開放状態となり、制御機構40が与える制御信号電位がローで駆動体31がオフとなり、仕込みバネの付勢により上側に戻り、開閉弁20が閉鎖状態となる。
なお、粉粒体200の流出量は、粉粒体200の粒径、粉粒体200の嵩密度、粉粒体200間の摩擦力、流出部14の断面積、流出部14と粉粒体200の摩擦力、収納コンテナ10の内壁面形状、開閉弁20の開放時間など、様々な要素により影響を受けるが、このうち制御機構40により動的に制御できる要素は、開閉弁20の開放時間である。制御機構40は他の要素を考慮しつつ、所望の粉粒体200の流出量となるよう開閉弁20の開放時間を制御する。
支持台50は、収納コンテナ10を支持する支持台である。多様なデザインが可能であるが、この例では収納コンテナ10の背面から底面下方にわたり支持する形状となっている。
ファンネル60は、流出部14の下部に取り付けられたいわゆる漏斗状の構造物であり、流出部14から流出した粉粒体が散らばることなく、コップなどの受皿300に流れ込むように、粉粒体の流れを整えるものである。
以上が本発明の粉粒体ディスペンサー100の構成例である。
次に、本発明の粉粒体ディスペンサー100を用いて、目標とする粉粒体200の供給量に対して、制御機構が開閉弁20の開閉を複数回繰り返し、粉粒体200を小分けに複数回計り取る制御方法について述べる。
まず、粉粒体200の流出量Q(g)は、粉粒体200の粒径r(mm)、粉粒体200の嵩密度ρ(g/mm3)、粉粒体200間の摩擦力、流出部14の断面積d(mm2)、流出部14と粉粒体の摩擦力、収納コンテナ10の内壁面形状、開閉弁20の開放時間T(t)など多様な要素により影響を受ける。つまり、開閉弁20の開放状態で流出部14から1秒間に流出する粉粒体の量をW(g/t)とすると、粉粒体の供給量Q(g)は、Q(g)=W(g/t)・T(t)となる。
ここで、1秒間に流出する粉粒体の量であるW(g/t)は、粉粒体200の粒径r(mm)、粉粒体200の嵩密度ρ(g/mm3)、粉粒体200間の摩擦力、流出部14の断面積d(mm2)、流出部14と粉粒体の摩擦力、収納コンテナ10の内壁面形状、その他多様な要素に依存するが設計段階でこのW(g/t)は計算や実験などで決めることができる。
開閉弁20の開放時間T(t)は制御機構40により動的に制御できるので、所望の粉粒体200の流出量Q(g)となるように、開閉弁20の開放時間T(t)を制御する。
ここで、粉粒体ディスペンサー100により数回に小分けして粉粒体を流出させ、粉粒体200の流出量Q(g)を制御する工夫について説明する。
目標とする粉粒体供給量Q(g)に対して、粉粒体ディスペンサー100の供給量をQ1,・・・,Qn(nは2以上の自然数)のn回に小分けし、その合計がQとなるように制御する。つまり、Q=Q1+Q2+・・・+Qnとなるように制御する。
ここで、制御機構40による開閉弁20の駆動制御としては、開閉弁20をn回に小分けして駆動制御して、それぞれの開閉時間を、T1,・・・,Tnとし、流出する粉粒体の量が、Q1=W・T1,Q2=W・T2,Qn=W・Tnとなるように制御する。粉粒体の流出量Qは結局(数3)のように制御できる。
このように目標とする粉粒体供給量Qに対して、小分けによりn回に分けて粉粒体を供給するメリットは以下のように説明できる。開閉弁20を開放直後、開閉弁20上部に位置していた粉粒体が静止状態から落ち始める。それら粉粒体が落下し始めると上の粉粒体が次々に下方に移動して流出して行くが、実施例1で述べたように、粉粒体同士の摩擦などにより、下の粉粒体が流出しても上の粉粒体が下に移動し切れずに収納コンテナ10内部に小空間が生じることがある。このように小空間が生じる状況が発生すると、時間当たりに流出する量W(g/t)が変動してしまうので、開閉時間T(t)を制御するのみでは、粉粒体供給量Q(g)を正しく制御することができない。つまり、開閉弁20の開放時間が長くなるとこの小空間が発生しやすいので、粉粒体供給量Q(g)にバラツキが生じやすい。そこで、開閉弁20の1回1回の開放時間を短くした方が1回1回計量する粉粒体供給量Q(g)を正しく制御できるわけである。
上記の粉粒体の小分け供給の方が、計量精度が上がることを実験結果にて示す。
下記の3通りの実験を行った。
実験1は、粉粒体として市販の粉末ミルクティーの粉を用いた。粉末ミルクティーの粉の粒径r(mm)、嵩密度ρ(g/mm3)、粉末ミルクティーの粉同士の摩擦力、流出部14と粉末ミルクティーの粉との摩擦力、その他要素についてはここでは省略し、小分け供給による精度向上に絞って説明する。粉粒体ディスペンサー100の目標供給量は12gとした。
図5(a)は、粉粒体ディスペンサー100の開閉弁20の開閉時間を調整して1回の開閉により12gを計り取った結果である。図5(a)に示すように目標12gに対してどうしてもバラツキが生じてしまうことが分かる。目標12gの上下15%の範囲を超えるバラツキも存在する。
一方、図5(b)は、粉粒体ディスペンサー100の開閉を2回に小分けし、1回1回の開閉弁20の開閉時間を調整して合計2回の開閉により12gを計り取った結果である。図5(b)に示すように目標12gに対して比較的精度良く計量できていることが分かる。すべての計量結果が目標12gの上下15%以内に収まっている。
実験2は、粉粒体として実験1とは別の市販の粉末果実飲料の粉を用いた。当該粉末果実飲料の粉の粒径r(mm)、嵩密度ρ(g/mm3)、当該粉末果実飲料の粉同士の摩擦力、流出部14と当該粉末果実飲料の粉との摩擦力、その他要素についてはここでは省略し、小分け供給による精度向上に絞って説明する。粉粒体ディスペンサー100の目標供給量は13.5gとした。
図6(a)は、粉粒体ディスペンサー100の開閉弁20の開閉時間を調整して1回の開閉により13.5gを計り取った結果である。図6(a)に示すように目標13.5gに対してどうしてもバラツキが生じてしまうことが分かる。目標13.5gの上下15%の範囲を超えるバラツキも存在する。
一方、図6(b)は、粉粒体ディスペンサー100の開閉を2回に小分けし、1回1回の開閉弁20の開閉時間を調整して合計2回の開閉により13.5gを計り取った結果である。図6(b)に示すように目標13.5gに対して比較的精度良く計量できていることが分かる。すべての計量結果が目標13.5gの上下15%以内に収まっている。
実験3は、粉粒体として、実験1および実験2とは別の市販の粉末飲料の粉を用いた。当該粉末飲料の粉の粒径r(mm)、嵩密度ρ(g/mm3)、当該粉末飲料の粉同士の摩擦力、流出部14と当該粉末飲料の粉との摩擦力、その他要素についてはここでは省略し、小分け供給による精度向上に絞って説明する。粉粒体ディスペンサー100の目標供給量は15.5gとした。
図7(a)は、粉粒体ディスペンサー100の開閉弁20の開閉時間を調整して1回の開閉により15.5gを計り取った結果である。図7(a)に示すように目標15.5gに対してどうしてもバラツキが生じてしまうことが分かる。目標15.5gの上下15%の範囲に収まっているがバラツキは依然多い。
一方、図7(b)は、粉粒体ディスペンサー100の開閉を3回に小分けし、1回1回の開閉弁20の開閉時間を調整して合計3回の開閉により15.5gを計り取った結果である。図7(b)に示すように目標15.5gに対して比較的精度良く計量できていることが分かる。すべての計量結果が目標15.5gの上下15%以内に収まっている。
以上の実験でも示されたように、粉粒体ディスペンサーを用いて粉粒体を小分け供給した方が、計量精度が向上することが分かる。
実施例2は、駆動体を筐体の内部に包含させて粉粒体の内部に埋設した構成とし、流出部の開閉のために駆動体30が上下運動を行う際に駆動体30を包含している筐体や振動板が振動することを利用して粉粒体に振動を与え、粉粒体コンテナ内での粉粒体の状態を整え、小さな空間などが生じることを防止する機能を備えたものである。
図8は、本発明の実施例2にかかる粉粒体ディスペンサー100aの一構成例の内部が分かりやすいように断面で示した正面図であり、図9は側面図である。
図8および図9に示すように、粉粒体ディスペンサー100aは、実施例1と同様、粉粒体コンテナ10、開閉弁20、駆動機構30a、制御機構40、支持台50、ファンネル60を備えている。図2の側面図に示す支持台50は模式的に示しており、実際の粉粒体コンテナ10に対するアタッチメント機構などは図示を省略している。
なお、本実施例2の構成要素の説明において、実施例1で説明した説明と同じ場合はその説明を省略する。
粉粒体コンテナ10は、実施例1に示した粉粒体コンテナ10と同様で良く、開閉弁20も、実施例1と同様で良く、駆動機構30の軸体32の最下端に設けられており、駆動体31の上下運動に従って上下運動を行うものであり、流出部14と開閉弁20との位置関係は上下方向に嵌合し合うものである。また、制御機構40も、実施例1と同様、駆動機構30による流出孔の開放時間を制御する制御要素であり、制御信号が駆動機構30に与えられると、駆動体31のオン・オフの状態が制御でき、開閉弁20の開閉が制御できるものである。
図10は駆動機構30と軸体32の先端に設けられている開閉弁20を一体に取り出して模式的に示した図である。
駆動機構30は、開閉弁20を駆動するものであり、この例では開閉弁20を上下方向に駆動させるものとなっており、駆動体31と、軸体32、筐体33を備えている。また、図10の構成例では、筐体33に接続された振動板34、付勢バネ35(図10には図示せず)を備えている。
駆動体31は、実施例1と同様、制御機構40からの制御信号に従って電気的に上下運動を行うアクチュエーターである。例えば、ソレノイドなどでも良い。粉粒体をある程度正確に計り取るため、駆動体31もある程度高速に動作する必要がある。動作速度は限定されないが、開閉弁20と流出部14との相対距離にもよるが、開閉弁20を流出部14に対して1秒以内に開閉できるものが好ましい。
軸体32は、実施例1と同様、駆動体31の駆動力を開閉弁20に伝達する棒状の構造物であり、ステンレス軸体やプラスチック軸体で抗菌処理を施しておくことが好ましい。
筐体33は駆動体31を覆うものであり、形状は様々な形状があるが、この例では図10に示すように、その上面が半球形で側面が円筒形であり、いわゆるカプセル形状となっており、筐体33内部に駆動体31を内蔵している構造となっている。後述するように駆動体31の動作により生じる振動が伝わり、筐体33自身も振動するものとなっている。
振動板34は、筐体33に接続された構造物であり、後述するように駆動体31および筐体33が振動すると振動板34も連動して振動する。例えば、振動板34が板状の部材であれば、駆動体31および筐体33の振動によってより一層大きく振動することができる。この構成例では振動体34の外周は円盤状となっている。ある程度の可撓性を備えたものであれば、駆動体31および筐体33の上下運動により振動が伝わりやすくなる。
付勢バネ35は駆動体31および開閉弁20のオフ状態を維持するための付勢バネである。付勢バネ35の役割は粉粒体ディスペンサー100の休止状態において、流出部14の開閉弁20による閉鎖状態を安定して維持せしめることである。
次に、駆動機構30が粉粒体コンテナ10の内部において粉粒体に埋没する形となっている点について説明する。粉粒体コンテナ10の内部において粉粒体に埋没する形となっている。つまり、駆動機構30のすべての部材が粉粒体コンテナ10の内部に設けられている。
第1の効果は、高速で電気的に動作するアクチュエーター31を粉粒体から保護するという効果である。ソレノイドなど電気的に駆動するアクチュエーター31は細かい粉粒体が機構内部に入り込むと不具合を起こすおそれがあるところ、本発明では、駆動機構30全体が粉粒体コンテナ10の内部において粉粒体に埋没する形で搭載されている点が特徴であるので、駆動体31の中に直接粉粒体が入り込まないように筐体33でしっかりと覆っておく必要がある。
第2の効果は、粉粒体がアクチュエーター31の隙間などに滞留しないように滑らかに重力により下方に導きやすい形状となっている。本発明では、駆動機構30全体が粉粒体コンテナ10の内部において粉粒体に埋没する形で搭載されている点が特徴であるので、粉粒体コンテナ10内に存在する構成要素が滑らかな曲面を備えた形状でなければ、粉粒体30の下方への移動が妨げられ、滞留してしまう。そこで、駆動体31を滑らかな曲面を持つ筐体33で覆うことにより、粉粒体の下方への移動を促す効果が得られる。
第3の効果は、粉粒体コンテナ10内での粉粒体の状態を整える効果である。
図11は、筐体33の振動により粉粒体コンテナ10内での粉粒体の状態を整える効果を模式的に示す図である。
図11(a)は、粉粒体の状態が悪く、粉粒体の内部で空間が生じる不具合が発生している様子を示す図である。本来、粉粒体は流出孔に近い下方から粉粒体コンテナ10外に流出してゆき、下の粉粒体が流出して上の粉粒体が次々に下方に移動してゆくが、粉粒体同士の摩擦などにより、下の粉粒体が流出しても上の粉粒体が下に移動せずに、図11(a)に示すように、小さな空間が生じてしまうことがある。小さな空間が生じてしまうと開閉弁20の開閉時間のみで制御を試みると、小さな空間が崩れてゆく時間なども影響し、想定していた分量の粉粒体が流出しないおそれがある。
そこで、本発明では、図11(b)に示すように、流出部14の開閉のために駆動体31が上下運動を行う際に駆動体31を包含している筐体33や振動板34が振動することを利用して粉粒体に振動を与え、粉粒体コンテナ10内での粉粒体の状態を整え、小さな空間などが生じることを防止する。つまり、駆動体31が動作して開閉弁20を上下運動させた際に、筐体33に生じる振動により筐体33の周辺にある粉粒体に振動を与え、粉粒体コンテナ10の内部の粉粒体の状態を整えることができる。駆動体31は高速に上下運動をするため筐体33も細かく速い振動が生じることとなる。この構成例では、筐体33に振動板34が設けられているので筐体33と振動板34が振動することとなる。筐体33は、粉粒体コンテナ10の中央に収まっているが、振動板34は、粉粒体コンテナ10の径に近い大きさを持っているので、収納部内壁12の径全体にまたがっており、粉粒体コンテナ10内に粉粒体を適量投入している状態において、振動が粉粒体全体に均一に伝わることとなる。振動により粉粒体コンテナ10内での粉粒体の状態が整えられると、生じた小さな空間がすぐに崩れて密に埋まることとなり、次回の開閉弁20の開放時にすみやかに粉粒体が流出することとなる。
以上が実施例2の粉粒体ディスペンサー100の構成例である。
次に、粉粒体ディスペンサー100の動作を説明する。なお、図12〜図15のいずれも、分かりやすいように縦断面図にて示し、振動板34など一部構造物の図示を省略している。なお、以下の説明では、制御機構40が与える制御信号電位がハイで駆動体31がオンとなり下側に移動し、開閉弁20が下に移動して流出部14が開放状態となり、制御機構40が与える制御信号電位がローで駆動体31がオフとなり、仕込みバネの付勢により上側に戻り、開閉弁20が閉鎖状態となり、流出部14が閉鎖状態となる。
なお、粉粒体200の流出量が、粉粒体200の粒径、粉粒体200の嵩密度、粉粒体200間の摩擦力、流出部14の断面積、流出部14と粉粒体200の摩擦力、収納コンテナ10の内壁面形状、開閉弁20の開放時間など、様々な要素により影響を受ける点は実施例1と同様であり、制御機構40が他の要素を考慮しつつ、所望の粉粒体200の流出量となるよう開閉弁20の開放時間を制御する。
図12は、粉粒体ディスペンサー100の休止状態を表している図である。
粉粒体200は粉粒体コンテナ10の投入口11から収納部内壁12内に投入され、図12に示すように適量を充填しておく。図12の状態では開閉弁20は流出部14の中に収まり流出部14は閉鎖された状態である。なお、図12の下側に示すように、駆動体31の信号線の制御信号はオフ信号となっている。
図13は、粉粒体ディスペンサー100の粉粒体供給状態を示している図である。駆動体31は下側への移動状態となり、軸体32が押し下げられ下方に高速移動する。開閉弁20が流出部14から離れ、流出部14が開放され、粉粒体が流出部14から流出している。なお、図13の下側に示すように、駆動体31の信号線の制御信号は+電位となっている。
粉粒体の供給量は、駆動体31の信号線に与える+電位を維持する時間を制御機構40により調整することにより制御する。この例では駆動体31の信号線の+電位はT秒である。流出部14の開放状態で流出部14から1秒間に流出する粉粒体の量をW(g/t)とすると、粉粒体の供給量Q(g)は、Q=W(g/t)・T(t)となる。なお、1秒間に流出する粉粒体の量であるW(g/t)は、粉粒体の粒径r(mm)、粉粒体の嵩密度ρ(g/mm3)、流出部14の断面積d(mm2)、その他、粉粒体間の摩擦力、流出部14と粉粒体間の摩擦力、収納コンテナの内壁面形状、その他様々な要素に依存するが、それら要素を加味してW(g/t)は設計段階で事前に把握することができる。
この図13では、粉粒体の流出により、一時的に粉粒体コンテナ10内において小空間が生じてしまったものとする。
図14は、粉粒体ディスペンサー100の粉粒体流出停止状態を表している図である。駆動体31は上側への移動状態となり、軸体32が押し上げられ上方に高速移動する。開閉弁20が流出部14に嵌合して、流出部14が閉鎖され、粉粒体の流出部14からの流出が停止している。なお、図14の下側に示すように、制御信号は駆動体31の信号線は−電位となっている。
上記したように、図13から図14へ遷移する時間は、T秒である。粉粒体の供給量Q(g)はW(g/t)・T(t)となり、粉粒体の供給量Q(g)を制御することができる。
なお、この図14の例では、駆動体31の上側移動の勢いにより筐体33に振動が生じ、粉粒体コンテナ10内の粉粒体の状態が整えられ、粉粒体が下方に沈み、粉粒体コンテナ10内において一時的に生じていた小空間も埋まり、粉粒体が均一な状態に戻っている。
図15は、粉粒体ディスペンサー100が休止状態に戻った状態を示している図である。図15の下側に示すように、駆動体31の信号線の電位は−電位からオフ電位(0電位)となり、駆動体31もオフ状態に戻っている。付勢バネ35により軸体32のフランジ部分が上方に押し上げられて軸体32が上方に維持され、開閉弁20が流出部14に嵌合したままで流出部14の閉鎖状態が維持される。
図12は、外部から粉粒体の粉粒体コンテナ10内への供給状態を示しているが、その後は、図13から図15の状態を繰り返すことにより、所定量の粉粒体を供給することができる。粉粒体コンテナ10内の粉粒体の充填量が減少して所定量以下となると、図12のように、再度、粉粒体を充填すれば良い。
実施例3として、本発明の粉粒体ディスペンサー100bを説明する。
実施例3の粉粒体ディスペンサー100bは、嵩比重が軽くかつ摩擦係数が大きいという、粉ミルク、ポタージュスープ粉末、野菜スープ粉末等のいわゆる「流れにくいパウダー」である特殊な粉粒体200bをより精度良く計り取ることができるように、開閉弁の形状や流出部の長さ等を改良した粉粒体ディスペンサー100bである。
まず、上記したいわゆる「流れにくいパウダー」である特殊な粉粒体200bの場合における問題点を説明する。
図16は、嵩密度が軽く摩擦力が大きな粉粒体200bの場合に実施例1の粉粒体ディスペンサー100内で起こりえる現象と、実施例3の粉粒体ディスペンサー100bの工夫を分かりやすいように示した図である。
一般の粉粒体であれば、図5〜図7に示した検証実験のように、実施例1に示した本発明の粉粒体ディスペンサー100や、実施例2に示した本発明の粉粒体ディスペンサー100aであれば、十二分に精度の良い粉粒体の計り取りができる。しかし、上記の嵩比重が軽くかつ摩擦係数が大きいという特性を持つ粉粒体200bの場合、粉粒体200bの流れにおける物理的性質がバラツキやすく、開閉弁20の開閉時間だけでは粉粒体の流出量の計算誤差が生じるおそれがある。また、実施例1に示した本発明の粉粒体ディスペンサー100の構成のまま、嵩比重が軽くかつ摩擦係数が大きいという特性を持つ200bを取り扱った場合、図16(a)に示すように、流出部14という径の比較的小さな筒状体の中で200b同士の摩擦などで詰まってしまうという現象も生じるおそれがある。
そこで、このような特性を持つ特殊な200bも正確に計り取ることができるように図16(b)に示すような工夫を加えたものが、本実施例3の粉粒体ディスペンサー100bである。
実施例3の粉粒体ディスペンサー100bは、粉粒体コンテナ10bの下部に設けられている流出部14bが筒状体であり実施例1に示したものよりも長さが長くなっており、さらに、開閉弁20bの形状が中央部分に窪みが設けられたいわゆる“鼓形状”となっている。
図17は、本発明の実施例3にかかる粉粒体ディスペンサー100bの一構成例の内部が分かりやすいように断面で示した正面図であり、図18はその側面図である。
図17および図18に示すように、粉粒体ディスペンサー100bは、実施例1と同様、粉粒体コンテナ10b、開閉弁20、駆動機構30b、制御機構40、支持台50、ファンネル60を備えている。実際の粉粒体コンテナ10に対するアタッチメント機構などは図示を省略している。
なお、本実施例3の構成要素の説明において、実施例1で説明した説明と同じ場合はその説明を省略する。
粉粒体コンテナ10bは、実施例1に示した粉粒体コンテナ10と同様、粉粒体200bの投入口となる投入部11と、投入された粉粒体200bの収納空間となる収納部内壁12と、収納部内壁12を覆う収納部外壁13と、粉粒体200bを流出させる流出部14b、投入部11の上面開口の蓋をする上面蓋体15を備えたものであるが、流出部14bが異なったものとなっている。
流出部14bは、実施例1に示した図1、図2の構造に比べ、流出部14bの長さ(筒の軸方向の長さ)が長くなっている。また、流出部14bの上面付近には後述するように開閉弁20bの上側の嵌合形状21と嵌合して塞がれる嵌合形状141を備え、下面付近には後述するように開閉弁20bの下側の嵌合形状22と嵌合して塞がれる嵌合形状142を備えている。
開閉弁20bは、駆動機構30の軸体32の最下端に設けられており、駆動体31の上下運動に従って上下運動を行い、流出部14bの流出孔を開閉するものであるが、実施例1に示した図1、図2の構造に比べ、形状が異なっている。
開閉弁20bの長さは、流出部14bの長さより長く、上端面の形状が流出部14bの筒状体の上面を塞ぐ嵌合形状21を備え、下部には流出部14bの筒状体の下面を塞ぐ嵌合形状22を備えている。さらに、中央部分の径が流出部14bの径よりも小さくなっており、中央部分と流出部14bの間隙には粉粒体が流れ込む構造となっている。図17、図18の構成例では、上下の径が大きく中央付近の径が小さい、いわゆる“略鼓型”となっている。
開閉弁20bと流出部14bとの配置関係は、図17、図18に示すように、開閉弁20bの上部が流出部14の筒状体の上方に位置し、開閉弁20bの下部が流出部14bの筒状体の下方に位置する関係となっている。
このように開閉弁20bの外形が鼓型をしており、開閉弁20bと流出部14bとの配置関係が上記のような位置関係であれば、以下の2つの効果を奏することができる。
図19は、実施例3にかかる粉粒体ディスペンサー100bの流出部14の流出孔と開閉弁20により奏される効果を分かりやすいように縦断面にて示した図である。
第1の効果が、いわゆる“升目機能”である。つまり、開閉弁20bの一回の開閉動作において下方に流出させる粉粒体200bの分量を正確に安定させる効果である。
開閉弁20bが鼓型をしているので、図19(a)に示すように、開閉弁20bと流出部14bの間には隙間があり、この隙間に粉粒体200bが入り込むが、この隙間の容積が一定量(ここではQ1(g)とする)であるため、この隙間を、粉粒体200bを計り取る升目として利用できる。つまり、開閉弁20bの一回の開閉動作において下方に流出する粉粒体200bの分量はQ1(g)となる。
第2の効果が、いわゆる“落下支援効果”である。つまり、開閉弁20の一回の開閉動作において下方に流出させる粉粒体200bを下方に落下させるきっかけを与えて確実に所定量の粉粒体が下方に落下するよう支援する効果である。
開閉弁20bが鼓型をしているので、上記のように開閉弁20bと流出部14bの間の隙間に入り込む形で計り取られている所定量の粉粒体200bに対して、鼓型の開閉弁20bが下方に移動することにより、鼓の上部の出っ張りである嵌合形状21から中央部分に至るまでの曲面が粉粒体200bを押し下げ、摩擦力で止まっている粉粒体200bの塊を優しく壊しながら下方に落下するきっかけを与えることができる。
まず、第1の効果のいわゆる“升目機能”は以下のように説明できる。
例えば、図19(a)に示すように、開閉弁20bが上側に移動した場合、上側の嵌合形状21が、流出部14bの上側の嵌合形状141とは離れて隙間が生じる一方、下側の嵌合形状22が、流出部14bの下側の嵌合形状142に対して嵌まり込んだ状態となる。この状態では、粉粒体コンテナ10の下方部分において、開閉弁20bと流出部14bの上面には隙間が生じており、粉粒体200bが開閉弁20bと流出部14bの間の隙間に流れ込むことができる。しかし、流出部14の下面側では、開閉弁20bの下方の嵌合形状22と流出部14bの下面の嵌合形状142が嵌合し合って隙間がなく、粉粒体200bの下方への流出は停止されている。このように、開閉弁20bが閉鎖状態のとき、開閉部20bと流出部14bの隙間には一定量の粉粒体200bが流れ込むものの、下方には流出しない。あたかも升目に一定量の粉粒体を計り取るような機能が発揮される。
次に、第2の効果の“落下支援効果”は以下のように説明できる。
図19(b)に示すように、開閉弁20bが下側に移動して行くに従って、下側の嵌合形状22は、流出部14bの下側の嵌合形状142とは離れて隙間が生じる。この隙間から粉粒体200bが下方への流出が開始する。ここで、開閉弁20bには鼓上部の出っ張りである嵌合形状21から中央部分に至るまでの曲面が摩擦力で流出部14bの筒状体の中に止まっている粉粒体200bの塊を優しく押し下げて壊しながら下方へ移動することとなる。そのため、流出部14bの筒状体の中に止まっている粉粒体200bが下方に落下するきっかけを与えることができる。
そして、図19(c)に示すように、下方へ流出する粉粒体200bの分量は、第1の効果の“升目機能”により計り取られている一定量となる。
なお、図19(c)に示すように、開閉弁20bが下側に移動した結果、上側の嵌合形状21が流出部14bの上側の嵌合形状141に対して嵌まり込んだ状態となれば、粉粒体コンテナ10から新たに流れ込んでくる粉粒体200bは一時的に遮断されるため、“升目機能”により計り取られている一定量の粉粒体200bのみが下方へ流出する。
もっとも、前提となっているパウダーはいわゆる“流れにくいパウダー”であるため、上側の嵌合形状21が流出部14bの上側の嵌合形状141に対して完全に嵌まり込んだ状態でなく、少しの隙間がある状態でも、実態としては、粉粒体コンテナ10から新たに流れ込んでくる粉粒体200bは一時的に遮断される。
なお、前述した実施例1の粉粒体ディスペンサー100の場合は、開閉弁20の開放時間T(t)を制御機構40により動的に制御し、所望の粉粒体200bの流出量Q(g)となるように、開閉弁20の開放時間T(t)を制御したが、本実施例3の粉粒体ディスペンサー100bの場合は、開閉弁20の1回の開閉動作で計り取れる量が升目の量であるので、制御機構40により開閉の回数を制御することにより、所望の粉粒体200bの流出量Q(g)となるように、開閉弁20の動作を制御する。なお、計り取る量が升目の整数倍であることが好ましい。
目標とする粉粒体供給量Q(g)に対して、粉粒体ディスペンサー100bの供給量をQ1,・・・,Qn(nは2以上の自然数)のn回に小分けし、その合計がQ(g)となるように制御する。つまり、Q=Q1+Q2+・・・+Qnとなるように制御するが、この実施例3の升目機能の粉粒体ディスペンサー100bでは、開閉弁20bの1回の開閉動作で計り取られるパウダーの分量は等量、つまり、Q1=Q2=・・・=Qnである。
結局、以下の数式で表現できる。
(Q1は開閉弁20bと流出部14bで形成される升目の容積)
なお、升目機能で計り取れる量は、開閉弁20bと流出部14bの隙間の容積に依存することとなるので、開閉弁20bが複数サイズ取り揃えておき、用途に応じてその容積を変えるという運用も可能である。
次に、本実施例3の粉粒体ディスペンサー100bを用いて、いわゆる“流れにくいパウダー”である粉末を用いて、目標とする粉粒体200bの供給量を設定して開閉弁20の開閉を複数回繰り返し、粉粒体200bを小分けに複数回計り取る実験を行った。
下記の2通りの実験を行った。
実験1は、嵩密度が軽く、摩擦力が大きい特性を持つ粉粒体として、市販のポタージュスープ粉末の粉を用いた。ポタージュスープ粉末の粒径r(mm)、嵩密度ρ(g/mm3)、ポタージュスープ粉末同士の摩擦力、流出部14bとポタージュスープ粉末との摩擦力、その他要素についてはここでは省略し、升目機能による精度向上に絞って説明する。計り取る目標供給量は9gとした。
図20(a)は、比較実験として、実施例1に示した構成例の粉粒体ディスペンサー100を用いて3回の開閉動作によりポタージュスープ粉末を9g計り取った結果である。図20(a)に示すように、実施例1に示した構成例の粉粒体ディスペンサー100でも、実施例目標9gに対してある程度精度良く計り取ることができている。
一方、図20(b)は、実施例3の升目機能を備えた粉粒体ディスペンサー100bを用いて3回の開閉動作によりポタージュスープ粉末を9g計り取った結果である。図20(b)に示すように目標9gに対して非常に精度良く計量できていることが分かる。
つまり、嵩密度が軽く、摩擦力が大きい特性を持つ粉粒体の場合であれば、実施例1に示した構成例の粉粒体ディスペンサー100を用いるよりも、実施例3に示した構成例の粉粒体ディスペンサー100bを用いた方がより一層、バラツキがなく計り取れていることが分かる。
実験2は、粉粒体として実験1とは別の市販の野菜スープの粉を用いた。当該粉末果実飲料の粉の粒径r(mm)、嵩密度ρ(g/mm3)、当該粉末果実飲料の粉同士の摩擦力、流出部14bと当該野菜スープの粉との摩擦力、その他要素についてはここでは省略し、小分け供給による精度向上に絞って説明する。粉粒体ディスペンサー100の目標供給量は15gとした。
図21(a)は、比較実験として、実施例1に示した構成例の粉粒体ディスペンサー100を用いて3回の開閉動作により野菜スープ粉末を15g計り取った結果である。図21(a)に示すように、実施例1に示した構成例の粉粒体ディスペンサー100でも、実施例目標15gに対してある程度精度良く計り取ることができている。
一方、図21(b)は、実施例3の升目機能を備えた粉粒体ディスペンサー100bを用いて5回開閉し、野菜スープ粉末を15g計り取った結果である。図21(b)に示すように目標15gに対して非常に精度良く計量できていることが分かる。
つまり、嵩密度が軽く、摩擦力が大きい特性を持つ粉粒体の場合であれば、実施例1に示した構成例の粉粒体ディスペンサー100を用いるよりも、実施例3に示した構成例の粉粒体ディスペンサー100bを用いた方がより一層、バラツキがなく計り取れていることが分かる。
以上の実験でも示されたように、嵩密度が軽く、摩擦力が大きい特性を持つ粉粒体200bの場合であれば、実施例3に示した升目機能を用いた粉粒体ディスペンサー100bを用いて粉粒体を小分け供給すれば、さらに計量精度が向上することが分かる。
以上、本発明の粉粒体ディスペンサーの構成例における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
本発明の粉粒体ディスペンサーは、粉末状または顆粒状の粉粒体を貯蔵し、制御機構からの制御信号に従って指定された所定量の粉粒体を流出させて外部に排出することができる粉粒体ディスペンサーに広く適用することができる。
10 粉粒体コンテナ
11 投入口
12 収納部
14 流出孔
20 開閉弁
30 駆動機構
31 駆動体
32 軸体
33 筐体
34 振動板
35 付勢バネ
40 制御機構
41 信号線
100 粉粒体ディスペンサー
200 粉粒体