JP5679862B2 - ホッパ式計量装置 - Google Patents
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Description
この零点調整手段は、ロードセルの出力和が0でない場合を表示値で確認して零点調整する手段である。しかし、複数のロードセルの零点がそれぞれ移動したとしても、それらロードセルの出力和が相殺して零である場合がある。
各ロードセルの出力信号の中には個別に零点変動量成分が含まれるので、精確にスパン変動を評価するには個々のロードセルについての零点移動量を作業者が確認できる手段、および個々のロードセルの出力別に零点調整する手段が必要である。しかし、特許文献1,2のものでは、通常の使用中に個別ロードセルの零点変動分に対する認識手段や零点調整手段が明らかにされていない。
精確にスパン異常を検出しようとすると、ロードセル個別に起きる零点変動を過ってロードセルのスパン異常として検出し、警報してしまうことになる。
(2)ホッパへの被計量物の供給装置(ホッパへの供給口)とホッパとの位置関係から、被計量物の流動性が液体ほどよくないものであれば、供給された被計量物はホッパのいずれかの側、言い換えればいずれかのロードセルの側に偏る傾向がある。
これらを要因として、毎回の計量においてロードセルの出力信号の相互には計量装置の構造と被計量物の性状に特有の固定的な偏差が発生する。
(3)被計量物は液体でなければホッパ内に毎回の計量において完全に均一に収容されることは殆どない。被計量物の見掛け比重の分布も毎回の計量において完全に均一でない。したがって、毎回の計量において、被計量物の性状に応じて、ロードセルの出力信号の相互の差はばらつく。
上記特許文献1,2のものでは、これらの問題への対策が明らかでなく、具体的な対処が施されていない。
ロードセルの起歪部に貼り付けられた少なくとも4個のストレインゲージで構成されるホイートストーンブリッジ回路における2個の端子からの出力信号に基づいてそれぞれハーフブリッジ荷重信号を生成するとともに、複数個所が前記ロードセルにて支持されるホッパ内に被計量物を収容してその被計量物の重量を測定するようにしたホッパ式計量装置において、
前記ロードセルへの負荷荷重に対して、前記各ハーフブリッジ荷重信号がそれぞれ同じ大きさの荷重信号となるように演算処理するハーフブリッジ荷重信号演算手段と、
運転中に生じた前記各ハーフブリッジ荷重信号に含まれる零点変動成分を運転中に除去する運転中零点変動成分除去手段と、
前記ハーフブリッジ荷重信号演算手段によって演算処理されたハーフブリッジ荷重信号において、前記運転中に、前記運転中零点変動成分除去手段によって前記零点変動成分を除去し、前記零点変動成分の除去された前記ハーフブリッジ荷重信号、または前記零点変動成分の除去された前記ハーフブリッジ荷重信号に基づいて算出された荷重信号を比較することによって前記ロードセルのスパン異常を検出するスパン異常検出手段と、
を備えることを特徴とするものである(第1発明)。
前記運転中零点変動成分除去手段は、前記ハーフブリッジ荷重信号演算手段から出力される前記ハーフブリッジ荷重信号において前記運転中に生じた零点変動成分を、前記ホッパ式計量装置の運転中に個別に手動または自動的に除去するものであるのが好ましい(第2発明)。
前記ハーフブリッジ荷重信号演算手段から出力される2個のハーフブリッジ荷重信号のうちの少なくとも1個のハーフブリッジ荷重信号が前記運転中零点変動成分除去手段によって個別に除去されて設定された零点から変動しているのを識別する零点変動識別手段が設けられるのが好ましい(第3発明)。
前記運転中零点変動成分除去手段は、前記ホッパ式計量装置の運転中に前記ハーフブリッジ荷重信号演算手段から出力される2個のハーフブリッジ荷重信号の安定判別を行うとともに、前記ロードセルの安定重量値を生成する安定重量値生成手段と、
前記安定重量値生成手段によって生成された最新の安定重量値と、この最新の安定重量値の一つ前のタイミングにおいて生成された安定重量値との差を安定荷重変化量として各ロードセル毎に算出する安定荷重変化量算出手段とを備えているものとすることができる(第4発明)。
前記スパン異常検出手段によってスパンの異常が検出されたロードセルにおける2個のハーフブリッジのうちのいずれのハーフブリッジが異常であるかを特定するスパン異常ハーフブリッジ特定手段が設けられるのが好ましい(第5発明)。
前記スパン異常検出手段によってスパンの異常が検出されたロードセルにおける2個のハーフブリッジ荷重信号を比較するスパン変化検出手段と、
前記スパン異常検出手段によってスパンの異常が検出されたロードセルにおける2個のハーフブリッジ荷重信号と、前記スパン異常検出手段によってスパンの異常が検出されたロードセル以外のロードセルにおける2個のハーフブリッジ荷重信号とを比較する相対比較手段とが設けられ、
前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段は、前記スパン変化検出手段による比較結果と、前記相対比較手段による比較結果とに基づいてスパンが異常であるハーフブリッジを特定するものとすることができる(第6発明)。
前記相対比較手段による比較結果のバラツキの大きさに基づいて前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段におけるスパンが異常であるハーフブリッジを特定するための許容値が設定されるのが好ましい(第7発明)。
前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段は、前記スパン変化検出手段による比較結果の変化の大きさが0の近傍であることに対応させて前記相対比較手段の比較結果を集計するとともに、前記スパン変化検出手段による比較結果の変化の大きさがスパン変化の許容値の近傍である時点における前記相対比較手段の比較結果を集計することによって、前記ロードセルのいずれかのハーフブリッジのスパンが正常である状態からの変化の大きさを算出することにより、スパン変化が異常であるハーフブリッジを特定するものとすることができる(第8発明)。
前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段によってスパンが異常であると特定されたハーフブリッジにおけるハーフブリッジ荷重信号のスパンを補正するスパン補正手段が設けられるのが好ましい(第9発明)。
前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段によってスパンが異常であると特定されたハーフブリッジのハーフブリッジ荷重信号を、スパンが異常であると特定されない方のハーフブリッジのハーフブリッジ荷重信号でもって代替するハーフブリッジ荷重信号代替演算手段が設けられるのが好ましい(第10発明)。
前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段は、前記スパン変化検出手段の比較結果と、前記相対比較手段の比較結果とに基づいて、スパンが異常であるロードセルを特定した時点で、その特定したロードセルにおけるスパンが異常であるハーフブリッジの特定を行うものとすることができる(第11発明)。
前記相対比較手段による比較結果のバラツキの大きさを減衰させるバラツキ減衰演算手段が設けられるのが好ましい(第12発明)。
前記バラツキ減衰演算手段は、予め定めた複数回の計量によって得られる前記相対比較手段の比較結果に基づく相対比率の平均値を算出することによってその相対比率のバラツキを縮小するものとすることができる(第13発明)。
本発明によれば、各ハーフブリッジの出力において零点変動分を除去してスパン変動分のみを精確に検出することができ、複数個のロードセルのいずれのロードセルのスパンが異常になっているかというスパン異常の判定を容易かつ精確に行うことができる。しかも、このスパン異常判定を特別な作業を要することなく、通常の計量作業を継続する中で実施することができる。
ホッパ2は、下部に設けられた排出ゲート3,3が閉じられている状態にあるときに、上方に設けられた供給装置4から供給される被計量物Mを収容して計量を行うことができ、計量完了後、排出ゲート3,3を開くことで内部の被計量物Mを落下させて排出することができるように構成されている。
3個のロードセル1A,1B,1Cは、図1(a)に示されるように、円筒状のホッパ2の中心に対して、ロードセル1Aとロードセル1Bとが角度θ1を成すように、ロードセル1Aとロードセル1Cとが角度θ2を成すように、ロードセル1Bとロードセル1Cとが角度θ3を成すように、それぞれ配置されている。これらロードセル1A,1B,1Cは、平面視で、ホッパ2の中心点を基準にホッパ2をほぼ3等分するように配置される(θ1≒θ2≒θ3)。
第1演算増幅器31において、入力正端子31aはフルブリッジ回路15の接続点18に接続され、入力負端子31bは出力端子31cに接続され、出力端子31cは抵抗器40に接続されている。
第2演算増幅器32において、入力正端子32aは2つの固定抵抗器21,22の接続点41に接続され、入力負端子32bは出力端子32cに接続され、出力端子32cは抵抗器42,43に接続されている。
第3演算増幅器33において、入力正端子33aは回路のアース44に接続され、入力負端子33bは、抵抗器40,42に接続されるとともに、抵抗器45を介して出力端子33cに接続され、出力端子33cはA/D変換器24に接続されている。
第4演算増幅器34において、入力正端子34aはフルブリッジ回路15の接続点19に接続され、入力負端子34bは、抵抗器43に接続されるとともに、抵抗器46を介して出力端子34cに接続され、出力端子34cはA/D変換器25に接続されている。
各ロードセル1A,1B,1Cにおける2組のハーフブリッジ回路15a,15b(以下、それぞれ「ハーフブリッジ1」「ハーフブリッジ2」という。図3参照)の出力信号(ハーフブリッジ荷重信号)をそれぞれW11,W21;W12,W22;W13,W23とする。これらの出力信号の処理には、それぞれ独立してスパン係数、零点重量記憶メモリ、初期重量記憶メモリが設けられる。
例えばロードセル1Aのハーフブリッジ1の調整に際しては、最初、スパン係数K11=1にセットし、ロードセル無負荷の状態にして初期荷重記憶スイッチを押し、ハーフブリッジ1から得られるデジタル荷重信号Wa11を初期荷重Wi11として初期荷重記憶メモリに入れる。
W11=K11・(Wa11−Wi11)
この時点で、K11=1であり、Wa11=Wi11になるから、調整用重量測定装置にはW11=0と表示される。ハーフブリッジ2についても同様に調整される。なお、W11は実際に計量器における被計量物Mの重量測定値としての表示値の分解能に比べ、例えば4倍の分解能を有するように設定される。
・ロードセル1Aについて
W11=K11・(Wa11−Wi11)−Wz11
W21=K21・(Wa21−Wi21)−Wz21
W1=(W11+W21)/2
・ロードセル1Bについて
W12=K12・(Wa12−Wi12)−Wz12
W22=K22・(Wa22−Wi22)−Wz22
W2=(W12+W22)/2
・ロードセル1Cについて
W13=K13・(Wa13−Wi13)−Wz13
W23=K23・(Wa23−Wi23)−Wz23
W3=(W13+W23)/2 ・・・(1)
なお、図3に示される測定回路では、ハーフブリッジ出力のみ設けられているので、通常の計量に際して、被計量物Mの重量測定値を得るために使用されるフルブリッジ出力は、ハーフブリッジ1,2の出力を加算して表わされる。
被計量物Mの重量値WTは、3個のロードセル1A,1B,1Cの出力でもって、次式で表される。
WT=W1+W2+W3 ・・・(2)
ホッパ式計量装置使用中の手動零点調整操作として、使用中に重量測定装置において零点調整スイッチ55a(図4参照:本発明における「零点調整手段」に対応する。)を操作すれば、3個のロードセル1A,1B,1Cのハーフブリッジ1,2の出力が共通に同時に零点調整されるようにすれば好適である。ここで、零点調整とは、例えばW11について、零点調整時点のW11の値をWz11へ加算し、W11=0とする処理である。
なお、かかる零点調整動作は、中央演算処理装置52の中の零点調整部52c(本発明における「零点調整手段」に対応する。)において実行される。
以上のように、本実施形態では、ロードセル1A,1B,1Cへの負荷荷重に対してハーフブリッジ1,2がそれぞれ同じ大きさの出力信号となるような演算処理が、中央演算処理装置52の中のハーフブリッジ荷重信号演算部52a(本発明における「ハーフブリッジ荷重信号演算手段」に対応する。)において実行される。また、2個のハーフブリッジ1,2からの出力信号を比較することによって3個のロードセル1A,1B,1Cの中でスパンの異常なロードセルを検出する演算処理が、中央演算処理装置52の中のスパン異常検出部52b(本発明における「スパン異常検出手段」に対応する。)において実行される。
ホッパ式計量装置の重量表示は、ホッパ2内の被計量物Mの重量値である上記のWTの値が表示レベルの分解能に換算されて表示される。この表示値を見ながら作業者は計量作業を行う。したがって、例えばロードセル1Aのハーフブリッジ1,2の零点が正負方向にそれぞれ同じ大きな値で変動している場合、ロードセル1Aとしての出力は0になる。他のロードセル1B,1Cの出力も0であれば、加算値WTとしての零点は0になるから表示値は0になり、零点調整スイッチ55aは押されない。
この点に鑑み、精確にスパン異常を検出するには、ハーフブリッジ出力の零点が個別に調整されていることを認識できる手段又は個別に零点変動を認識できる手段を設けることが必要である。このため、本実施形態では、中央演算処理装置52の中に零点変動識別部52d(本発明における「零点変動識別手段」に対応する。)を設け、この零点変動識別部52dにおいて、ハーフブリッジ出力が個別に設定された零点から変動しているのを識別するようにされる。また、本実施形態では、いずれか1個でもハーフブリッジ出力が零でない場合、あるいは、全てのロードセル1A,1B,1Cの全てのハーフブリッジ出力が零の場合に、その旨を表示装置54にランプ表示あるいは文字表示させるための表示信号を生成するハーフブリッジ零点表示信号生成部52m(ハーフブリッジ零点表示信号生成手段)を中央演算処理装置52の中に設けるように構成している。こうすることで、いずれか1個でもハーフブリッジ出力の零点が移動している場合に、作業者はそのことを表示装置54により容易に認識することができ、零点調整スイッチ55aを押すことで、全てのハーフブリッジ出力の零点調整を同時に実施することができる。ここで、零点調整スイッチ55aは、通常の重量表示用の零点調整スイッチと兼用とするのが好ましい。
対策として、下記に述べる安定重量値が図5に示される下限値Wzl、上限値Wzuの範囲にあるときはハーフブリッジ出力は零点範囲にあるとして零点フラグを1にセットする。
また、負荷荷重の除去検出用として零点より少し正方向に離れた重量値Wzzを予め設定する。そして、ハーフブリッジ出力の(下記に述べる)安定重量値がWzz以下へ戻りながらも上記の下限値Wzl、上限値Wzuで定められる範囲内に無ければ零点フラグはリセットされる。
全てのハーフブリッジについての零点フラグがセットされていない計量においては、下記に述べるスパン異常検出のための分類集計演算を実施させない(分類集計用データとして採用しない。)。
例えばロードセル1Aのハーフブリッジ1の出力W11について、このW11は、A/D変換器24から読み込まれる荷重信号を平滑処理した後、例えばTa=数100msecの時間間隔で生成されるものとし、この生成順に常に最新のM個のW11が用意されたM個のシフトレジスタに記憶されるようにし、記憶されたM個のW11における最大値−最小値が予め設定された安定限界の許容値以内であれば安定状態にあると判定する。こうして、全てのロードセル1A,1B,1Cのハーフブリッジ出力に対して、時間間隔Ta毎に安定判別が逐次行われるとともに、シフトレジスタの平均値を算出して現在の重量測定用のW11、すなわちロードセル1A,1B,1Cの安定重量値とする。この演算処理は、中央演算処理装置52の中の安定重量値生成部52e(本発明における「安定重量値生成手段」に対応する。)において実行される。
自動的に精確にスパン異常を検出するには、全てのロードセルのハーフブリッジ出力に対して次のように負荷荷重による変動量のみを算出する必要がある。このため、中央演算処理装置52の中に安定荷重変化量算出部52f(本発明における「安定荷重変化量算出手段」に対応する。)を設け、この安定荷重変化量算出部52fにおいて、最新の安定重量値と、この最新の安定重量値の一つ前のタイミングにおいて生成された安定重量値との差を安定荷重変化量として各ロードセル1A,1B,1C毎に算出する演算を実行させる。
なお、M個のW11の値が許容値を表す幅以内であれば安定と判定する。また、全てのロードセル1A,1B,1Cのハーフブリッジ出力に対して安定判別はTaの時間間隔で逐次行われる。
W11p=|W11−W11u|
W21p=|W21−W21u|
W12p=|W12−W12u|
W22p=|W22−W22u|
W13p=|W13−W13u|
W23p=|W23−W23u| ・・・(3)
W11p〜W23p>Wh ・・・(4)
R1=1−(W21p/W11p) ・・・(5)
このパラメータをハーフブリッジ出力比較比率と定義する。
なお、他のロードセルの変化率R2〜R4についても同様にして求めることができる。
R1=1−W21p/{W11p・(1+e)}
=1−{1/(1+e)}≒1−(1−e)
=e (e<<1)
W21pのスパンがeだけ変動するとR1=−e
W11pのスパンが−eだけ変動するとR1=−e
W21pのスパンが−eだけ変動するとR1=e
という関係になる。
なお、R1=W11p/W21p−1,R2=W12p/W22p−1でもよい。
この中にはハーフブリッジ別に零点調整すれば各ハーフブリッジ出力の零点変動分は含まれず、精確にいずれかの側のハーフブリッジのスパンの、もう一方の側のハーフブリッジのスパンに対する変化率として表すことができる。他のロードセル1B,1Cについての変化率R2〜R3も同様である。
Rn>Rh ・・・(6)
が成立するものが存在すれば、ロードセルLCnのスパンが異常であると判定される。すなわち、ホッパ2の3箇所を支持するロードセル1A,1B,1Cの中でいずれのロードセルのスパンが異常であるかを、通常の計量作業の中で自動的にかつ精確に特定することができる。
そして、1つのロードセルの起歪体に負荷された荷重に対するハーフブリッジ出力を相互に比較するようにされているので、ロードセル1A,1B,1Cの配置やホッパ2の形状がどのように非対称であろうと、また、毎回の計量で被計量物Mがホッパ2にいかなる分布で収容されようとも、それらに影響を受けず、精確に、いずれのロードセルのスパンが異常であるかを通常の計量作業を継続しながら判定することができる。
正常な計量を行うことができる状態に復帰させるためには、いずれのハーフブリッジが異常で、そのスパンの増減状態が検出できなければならない。
本実施形態では、中央演算処理装置52の中に、スパン異常ハーフブリッジ特定部52g(本発明における「スパン異常ハーフブリッジ特定手段」に対応する。)と、スパン変化検出部52h(本発明における「スパン変化検出部」に対応する。)と、相対比較部52i(本発明における「相対比較手段」に対応する。)とが設けられる。
スパン変化検出部52hは、スパンの異常が検出されたロードセルにおける2個のハーフブリッジ荷重信号を比較する。
相対比較手段52iは、スパンの異常が検出されたロードセルにおける2個のハーフブリッジ荷重信号と、スパンの異常が検出されたロードセル以外のロードセルにおける2個のハーフブリッジ荷重信号とを比較する。
そして、スパン異常ハーフブリッジ特定部52gは、スパン変化検出部52hによる比較結果と、相対比較部52iによる比較結果とに基づいて、スパンの異常が検出されたロードセルにおける2個のハーフブリッジのうちのいずれのハーフブリッジが異常であるかを特定する。
・ロードセル1A(LC1)について、
r11=W11p/{(W2p+W3p)/2}−1
r21=W21p/{(W2p+W3p)/2}−1
・ロードセル1B(LC2)について、
r12=W12p/{(W3p+W1p)/2}−1
r22=W22p/{(W3p+W1p)/2}−1
・ロードセル1C(LC3)について、
r13=W13p/{(W1p+W2p)/2}−1
r23=W23p/{(W1p+W2p)/2}−1 ・・・(7)
すなわち、ロードセル1Aを単体で調整する時点で基準の負荷荷重に対する各ロードセル1A,1B,1Cのフルブリッジ出力と2つのハーフブリッジ出力変化は等しくなるようにそれぞれのスパンが調整され、設定されているので、全てのロードセル1A,1B,1Cのハーフブリッジ出力のスパンが正常であれば任意の荷重負荷に対してr11=r21=・・・=r13=r23=0である。
ここで、例えば前記(7)式において、ハーフブリッジW11pのスパンがeだけ変化すると相対比率r11もeだけ変化する。
(1)R1>Rhによる異常検出があるとき、
(1.1)W11のスパンがeを超えて増加、W21のスパンは正常
(1.2)W11のスパンは正常、W21のスパンがeを超えて減少
のいずれかであるから、
r11の値が増加変化していれば(1.1)による故障であり、
r21の値が減少変化していれば(1.2)による故障であると判定される。
(2)R1<−Rh=−eによる異常検出があるとき、
(2.1)W11のスパンがeを超えて減少、W21のスパンは正常
(2.2)W11のスパンは正常、W21のスパンがeを超えて増加
のいずれかであるから、
r11の値が減少していれば(2.1)による故障であり、
r21の値が増加していれば(2.2)による故障であると判定される。
以下、他のロードセル1B、1Cのハーフブリッジについても同様に判定される。
(1)ホッパ2と供給装置との位置関係からホッパ2への被計量物Mの収容状態に固定的な偏りがある。
(2)ホッパ2の形状寸法誤差やロードセル1A,1B,1Cの配置のずれ(図1において配置角度θ1,θ2,θ3が互いに等しくないことによるロードセル間の固定的な配分比率分)
(3)ホッパ2における被計量物Mの収容状態の分布が自然に毎回ばらつく(図1(b)中、一点鎖線、二点鎖線、点線を参照)。また、ホッパ2に収容された被計量物Mの見掛け比重の分布も毎回均一ではい。
また、ホッパ2へ被計量物Mを供給する際の供給装置4とホッパ2の位置のズレなどの要因による固定的な被計量物Mの供給偏りによる偏り負荷荷重も配分比率に影響を与える。
荷重Wxの被計量物Mがホッパ2に均一に収容されたときの各ロードセル1A,1B,1Cへの荷重の配分比率がk1:k2:k3であると、相対比率r11〜r23は、前記(7)式より、以下の(8)式の如き固定偏差が現れる。
r11=r21={(k1・Wx)/{(k2・Wx+k3・Wx)/2}}k1/{(k2+k3)/2}=k1/{(k2+k3)/2}−1
同様に、
r12=r22=k2/{(k3+k1)/2}−1
r13=r23=k3/{(k1+k2)/2}−1 ・・・(8)
これらは0ではなく、k1〜k3の値は容易に求められない。また、ホッパ2における被計量物Mの毎回の収容状態や見掛け比重のバラツキによってr11〜r13はばらつく。
しかし、この変化量の差にはバラツキも含まれているので、直接この変化量の差でもって精確に変化量を判定することはできない。
このため、計量開始の後に、毎回の計量毎に測定したハーフブリッジ出力に基づいて各ロードセル1A,1B,1Cについて出力比較比率と相対比率を求め、次のように分類集計演算を実施する。
分類集計計算が必要な理由は、複数回の計量における平均値を求めることによって毎回の計量時に生じる被計量物Mのホッパ2での収容状態のバラツキによる相対比率のバラツキを縮小し、スパンの変動による変化分のみを精確に抽出するためである。
なお、上述したように、荷重変化量を使用しない場合、すなわち作業者の零点調整に頼る場合は、全てのハーフブリッジ出力に零点フラグがセットされている計量についてのみ、分類集計演算を実施する。また、荷重変化量を使用する場合も含め、全てのハーフブリッジ出力が所定以上の大きさの値であるときのみ分類集計演算の対象とすることについても同様である。
ロードセル1Aについて述べる。
前記(5)式のハーフブリッジ出力変化率R1の値が
(1)0<R1≦(Rh/4)の範囲では、
レジスタR11aにr11を加算し、レジスタR11a´にr112を加算する。
レジスタR21aにr21を加算し、レジスタR21a´にr212を加算する。
そして、回数カウンタCA1aをインクリメントする。
当該(1)の範囲ではR1ができるだけ0に近い時点の値のr11,r21の値、すなわちr11,r21の変化ができるだけ小さい時点の値を扱うほうが下記(2)の範囲の集計値との差、(下記のD11,D21)が大きくなって判定が精確になるので、R1が0に近い間にv・Q0個分を集計し、R1>Rh/4が成立した時点で下記のr11ai,r21aiと標準偏差σ11ai,σ21aiを算出する。
ロードセル1Aの異常になる変化が早く、集計回数がv・Q0に至らなかった場合は、自己復帰不可能の旨を警報する。これと同時にロードセル1Aのスパン異常も警報・サイン表示する。
前記(5)式のハーフブリッジ出力変化率R1の値が
(2)R1>(3/4)・Rhの範囲では、
レジスタR11bにr11の値を加算し、レジスタR11b´にr112を加算する。
レジスタR21bにr21の値を加算し、レジスタR21b´にr212を加算する。
そして、回数カウンタCA1bをインクリメントする。
当該(2)の範囲ではR1ができるだけRhに接近した時点、のr11,r21の値、すなわちr11,r21ができるだけ大きく変化したときの値を扱う方が上記(1)の範囲の集計値との差、(下記のD11,D21)が大きくなって判定が精確になるので、v個のシフトレジスタを用意し、基本集計回数Q0回毎にr11,21の加算値とr112,r212の加算値を集計が完了すると最も古い集計値を捨てて新たな集計値をシフトレジスタにストアし、シフトレジスタには常に最新のv個のQ0回単位の集計値が保存されるようにし(図7参照)、R1>Rhが成立した時点で下記のr11av,r21avはシフトレジスタの集計値を用いて求めることが好ましい。標準偏差σ11av,σ21avもシフトレジスタの値に基づいて算出する。
前記(5)式のハーフブリッジ出力変化率R1の値が
(3)−(Rh/4)<R1≦0の範囲では、
レジスタR11cにr11の値を加算し、レジスタR11c´にr112を加算する。
レジスタR21cにr21の値を加算し、レジスタR21c´にr212を加算する。
そして、回数カウンタCA1cをインクリメントする。
当該(3)の範囲の集計も上記(1)の範囲の集計と同様に実施する。
前記(5)式のハーフブリッジ出力変化率R1の値が
(4)R1<−(3/4)<Rhの範囲では、
レジスタR11dにr11の値を加算し、レジスタR11d´にr112を加算する。
レジスタR21dにr21の値を加算し、レジスタR21d´にr212を加算する。
そして、回数カウンタCA1dをインクリメント。
当該(4)の範囲の集計についても上記(2)の範囲の集計と同様に実施する。
なお、その他のロードセル1B,1Cのハーフブリッジ出力についてもそれぞれレジスタを設けて並列に同じ演算を実施する。
上記(1)〜(4)のいずれのR1の範囲における集計も、集計回数がQ0に到達すると、回数Q0の時点での仮の平均値と標準偏差を算出する。これ以降から改めてv・Q0の集計を開始させる。
相対比率の入力範囲を
入力範囲=平均値±標準偏差
と設定し、相対比率が上記の入力範囲を超える場合は集計演算に参加させないようにし、集計結果の平均値のバラツキを小さくする。これで平均値を中心にして約±32%以上の範囲に属する大きいバラツキを持つデータが除外される。
(a)R1>Rhが成立したとすると、上記(1)、(2)の集計結果をもって比較判定する。
また、
(b)R1<−Rhが成立したとすると、上記(3)、(4)の集計結果をもって比較判定する。
また、上記(1)の0<R1≦(Rh/4)の範囲の集計レジスタのデータを使用してr11の平均値r11aiと標準偏差σ11aiおよびr21の平均値r21aiと標準偏差σ21aiをそれぞれ求める。
また、上記(2)のR1>(3/4)・Rhの範囲の集計レジスタのデータを使用してr11の平均値r11avと標準偏差σ11avおよびr21の平均値r21avと標準偏差σ21avを求め、r11,r21の変化量D11,D21を、下記(9)式により算出する。
D11=r11av−r11ai
D21=r21av−r21ai ・・・(9)
もし、W11のスパン増加によるものであれば、R1の値が上記(1)の範囲の場合、r11は殆どK1´〜K1´・(1+Rh/4)の値が集計される。
一方、r21はW21pの変化が小さいので殆どK1´・(1−Rh/4)〜K1´・(1+Rh/4)の値が集計される。
R1の値が上記(2)の範囲の場合、r11は殆どK1´・{1+(3/4)・Rh}〜K1´・Rhの値が集約される。
一方、r21はやはりW21pの変化が小さいので殆ど−K1´・((1−Rh/4〜K1´・(1+Rh/4))の値が集約される。
一方、R21の方はいずれの平均値もK1´に近い。
K1´はロードセル1A,1B,1Cの配置やホッパ2の非対称性による値で正確には1でないが通常の構成であれば1に近いのでK1´≒1とすると、
W11のスパン増加によるものであれば変化量の検出幅は約(7/8)・Rh−(1/8)・Rh=(3/4)・Rhであるから、D11,D21は下記(10)式により算出される。
D11≒(3/4)・Rh
D21≒0 ・・・(10)
W21のスパン減少によるものであれば、D11,D21は下記(11)式により算出される。
D11≒0
D21≒−(3/4)・Rh ・・・(11)
したがって、R1>Rhが成立した場合に、ハーフブリッジ1のスパンが増加変化しているとき、D21がバラツキによってD11と同時に増加変化していることがあったり、ハーフブリッジ2のスパンが減少変化しているとき、D11がバラツキによってD21と同時に減少変化したりしている場合があっても、D11が確実に増加変化しているものか、またはD21が確実に減少変化しているものかを判定することができる。
変化量D11=r11av−r11aiにおけるr11av,r11aiのバラツキ量を調べる。
特別な運転条件の変更がない限り、稼働運転開始後のv・Q0回の計量と稼働運転途中のv・Q0回の計量におけるバラツキの標準偏差σ11aiとσ11abvとはほぼ等しいと考えられるので稼働運転開始後のv・Q0回の計量によってD11のバラツキσd1を下記(12)式のように定める。
σd1=(σ11ai2+σ11av2)1/2≒21/2・σ11ai
・・・(12)
D21のバラツキσd2についても上記で求めた標準偏差σ11aiと同様に下記(13)式に示されるように算出される。
σd2≒21/2・σ21ai ・・・(13)
2・σd1<(3/4)・Rh
であれば図6に示されるようにD21もD11と同様にバラツキを持つ状態において、D11がほぼ確実にスパンが0から増加変動しているものであることを識別することができる。
すなわち、異常なハーフブリッジを特定する判定を有効に実施することができる。
したがって、判定のための許容値Rhを設定することによってR1>Rhにてロードセル1Aのスパン異常が判定されたとき、同時にW11とW21のハーフブリッジ出力のうちでいずれが異常であるかをD11,D21によって判定することができるためには許容値Rhが下記(14)式で示されるように設定されている必要がある。
Rh>(8/3)・σd1 ・・・(14)
すなわち、
D11>0で、かつD11>Rhであれば、W11がスパン増加であり、
D21<0で、かつ|D21|>RhあればW21がスパン減少であると判定することができる。
なお、バラツキ量として、標準偏差を使用する代わりにv・Q0回の集計データにおいて平均値から最大に離れた値を使用してもよい。
前記(14)式から許容値Rhが
Rh>(8/3)・σd1
に設定されていなければ、異常なハーフブリッジを特定することができないので、収容バラツキに関しては計量中は常に同じ条件であるから前記(12)式でσ11av=Σ11aiが成立するものとして許容値Rhを、下記(15)式を満足するように設定する必要がある。
σd1=21/2・σ11ai
∴Rh>(8/3)・21/2・σ11ai ・・・(15)
(A)まず、稼働運転前に許容値Rhを設定する。
(B)稼働運転後は上記の分類集計演算における(1)(3)に定めたR1〜R3の範囲に基づいてレジスタへ集計する。
(C)シフトレジスタにv・Q0個が集計されるとその時点でr11,r21についてはσ11ai,σ21aiを算出する。
R1と並列にR2,R3についても演算されるので、これらについてもRh´が得られる。
1台のホッパ2における各ロードセル1A,1B,1Cに対するバラツキ条件はほぼ同じであるからいずれの標準偏差もほぼ同じ値になる。
ただし、R1〜R3の間ではv・Q0個が集計されるタイミングは異なるので、r11〜r23の中で最も早く集計されたものに基づいてRh´の値を決定する。r11〜r23について全てが集計されてから最大の標準偏差を選択してRh´としてもよい。
これが仮にr11についての標準偏差であったとすると、Rh´は以下のように表すことができる。
Rh´=(8/3)・21/2・σ11ai
(D)
(a)設定値Rhが上記のRh´に比べてRh>Rh´である場合
上記分類集計演算においてR1〜R3に関する範囲(2)、(4)のRhをそのまま使用する。
そして、R1〜R3のいずれがRhを超えると(|Rn|>Rhであると)、ロードセルのスパン異常を警報し、サインを表示する。これと同時に自己復帰操作可能サインを表示する。
(b)Rhの設定値がRh≦Rh´である場合
上記分類集計演算においてR1〜R3に関する範囲(2)、(4)のRhをRh´に置き換えて実施する。ただし、ロードセルの異常判定は予め設定されたRhに基づいて行う。
そして、R1〜R3のいずれかがRhを超えると(|Rn|>Rhであると)、ロードセルの異常を警報する。これと同時に自己復帰操作待機サインを表示する。
また、R1〜R3のいずれかがRh´を超えると自己復帰操作可能サインを表示する。
本実施形態では、中央演算処理装置52の中のバラツキ減衰演算部52l(本発明における「バラツキ減衰演算手段」に対応する。)において、収容バラツキによるr11〜r23のバラツキの平均値を求めることでバラツキを減衰させる例を示したが、これに限定されるものではない。
例えば基本回数Q0回ごとに中央値を求めて代表値とし、v個の代表値による平均値、標準偏差を求める方法、あるいは、基本回数Q0ごとに最小2乗法によって直線式を求め、直線式から中央の回数である(Q0/2)回に対応する値を代表値とし、v個の代表値による平均値、標準偏差を求めるなど種々のバラツキ減衰演算手段を用いて良い。
これはロードセル1A,1B,1Cが正常な時点ではr11〜r23=0とみなすため例えばD11,D21について、
D11=r11av
D21=r21av
であり、前記(12)(13)式は、
σd1=σ11ai=σ11av
σd2=σ21ai=σ21av
となる。したがって、Rh´=σ11aiと算出する。
予め設定したRhとRh´の大小比較、上記(2)のR1>(3/4)・Rhの範囲の範囲および上記(4)のR1<−(3/4)・Rhの範囲においてのRhの置き換え、ロードセルの故障表示、自己復帰操作可能サインの表示について上記と同様に実施する。
復帰可能との判定の場合は、正常な計量作業への復帰について、自動復帰と手動復帰の選択手段を設け、自動復帰と手動復帰の選択ができるようにする。
復帰操作可能の判定のもとで自動復帰が選択されている場合は、判定によってW11のスパン増加であれば、ハーフブリッジ出力のW11のスパン増加を減じるため、W11のスパン係数である前記(1)式のK11の代わりにK11・(1−Rh)または、安全を見込んでK11・(1−q・Rh)、0<q<1を新たなK11として設定し、徐々に補正しながら計量を継続する。なお、W21のスパン減少であればK21の代わりにK21・(1+Rh)を新たなK21として設定する。
なお、かかる補正は、中央演算処理装置52の中のスパン補正部52j(本発明における「スパン補正手段」に対応する。)において実行される。
復帰処理後も、ロードセルの異常判定表示は残し、故障したロードセルの交換に備える。
本実施形態では、スパンの異常なロードセルのハーフブリッジ出力をスパン補正するようにしたので、毎回の計量において、上記の固定偏差分やバラツキ分があってもそれらを反映した精確な出力によって精確な重量測定値を得ることができる。
ここで、ハーフブリッジ出力のW11のスパンの異常が特定された場合には、前記(1)式のW1=(W11+W21)/2において、フルブリッジ出力のW1の代わりにハーフブリッジ出力W21を使用し、W1=W21として求めるようにしても良い。このような代替演算は、中央演算処理装置52の中のハーフブリッジ荷重信号代替演算部52k(本発明における「ハーフブリッジ荷重信号代替演算手段」に対応する。)において実行される。
なお、フルブリッジ出力が独立して存在する測定回路では、フルブリッジ出力をスパンの正常な方のハーフブリッジ出力に置換するようにしてもよい。
本実施形態における故障診断装置20では、図3に示されるように、ハーフブリッジ毎の荷重信号を得るとともに、フルブリッジ出力は2つのハーフブリッジ出力を加算することにより得るものについて説明したが、このようなシステム構成に代えて、図8に示されているように、フルブリッジ出力をハーフブリッジ出力から独立させて検出するようなシステム構成とすることもできる。なお、この故障診断装置20Aにおいて、先の実施形態の故障診断装置20と同一又は同様の部分については図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては先の実施形態の故障診断装置20と異なる点を中心に説明することとする。
ここで、フルブリッジ回路15と演算回路26は、先の実施形態の故障診断装置20で使用されたものと共通のものである。
先の実施形態の故障診断装置20では、2つのA/D変換器24,25が用いられているが、本実施形態の故障診断装置20Aでは、1つのA/D変換器58が用いられる。故障診断装置20Aで、2つのハーフブリッジ出力と1つのフルブリッジ出力のそれぞれに3個のA/D変換器を用いても良い。
先の実施形態の故障診断装置20では、フルブリッジ回路15における接続点16の電位が+Vで接続点17の電位が零の直流電圧が印加されているが、本実施形態の故障診断装置20Aでは、接続点16の電位が+Vで接続点17の電位が−Vの直流電圧が印加されている。この場合、先の実施形態の故障診断装置20では必要とされる電圧参照用の固定抵抗21,22によるハーフブリッジ回路15a,15bは不要となる。
第1演算増幅器61において、入力正端子61aはフルブリッジ回路15の接続点18に接続され、入力負端子61bは出力端子61cに接続され、出力端子61cは抵抗器66,67に接続されている。
第2演算増幅器62において、入力正端子62aはフルブリッジ回路15の接続点19に接続され、入力負端子62bは出力端子62cに接続され、出力端子62cは抵抗器68および第4演算増幅器64の入力正端子64aにそれぞれ接続されている。
第3演算増幅器63において、入力正端子63aは、抵抗器68に接続されるとともに、抵抗器69を介して回路のアース70に接続され、入力負端子63bは、抵抗器66に接続されるとともに、抵抗器71を介して出力端子63cに接続され、出力端子63cはアナログスイッチ72を介してA/D変換器58に接続されている。
第4演算増幅器64において、入力正端子64aは第2演算増幅器62の出力端子62cに接続され、入力負端子64bは、抵抗器73を介して回路のアース70に接続されるとともに、抵抗器74を介して出力端子64cに接続され、出力端子64cはアナログスイッチ75を介してA/D変換器58に接続されている。
第5演算増幅器65において、入力正端子65aは抵抗器76を介して回路のアース70に接続され、入力負端子65bは、抵抗器67に接続されるとともに、抵抗器77を介して出力端子65cに接続され、出力端子65cはアナログスイッチ78を介してA/D変換器58に接続されている。
そして、ハーフブリッジ出力とは独立に、W1〜W4は次式にて処理される。
W1=K1・(Wa1−Wi1)−Wz1
W2=K2・(Wa2−Wi2)−Wz2
W3=K3・(Wa3−Wi3)−Wz3
W4=K4・(Wa4−Wi4)−Wz4
2 ホッパ(計量容器)
8 起歪部
11〜14 ストレインゲージ
15 フルブリッジ回路(ホイートストーンブリッジ回路)
15a,15b ハーフブリッジ回路
52 中央演算処理装置
52a ハーフブリッジ荷重信号演算部(ハーフブリッジ荷重信号演算手段)
52b スパン異常検出部(スパン異常検出手段)
52c 零点調整部(零点調整手段)
52d 零点変動識別部(零点変動識別手段)
52e 安定重量値生成部(安定重量値生成手段)
52f 安定荷重変化量算出部(安定荷重変化量算出手段)
52g スパン異常ハーフブリッジ特定部(スパン異常ハーフブリッジ特定手段)
52h スパン変化検出部(スパン変化検出手段)
52i 相対比較部(相対比較手段)
52j スパン補正部(スパン補正手段)
52k ハーフブリッジ荷重信号代替演算部(ハーフブリッジ荷重信号代替演算手段)
52l バラツキ減衰演算部(バラツキ減衰演算手段)
55a 零点調整スイッチ(零点調整手段)
Claims (13)
- ロードセルの起歪部に貼り付けられた少なくとも4個のストレインゲージで構成されるホイートストーンブリッジ回路における2個の端子からの出力信号に基づいてそれぞれハーフブリッジ荷重信号を生成するとともに、複数個所が前記ロードセルにて支持されるホッパ内に被計量物を収容してその被計量物の重量を測定するようにしたホッパ式計量装置において、
前記ロードセルへの負荷荷重に対して、前記各ハーフブリッジ荷重信号がそれぞれ同じ大きさの荷重信号となるように演算処理するハーフブリッジ荷重信号演算手段と、
運転中に生じた前記各ハーフブリッジ荷重信号に含まれる零点変動成分を運転中に除去する運転中零点変動成分除去手段と、
前記ハーフブリッジ荷重信号演算手段によって演算処理されたハーフブリッジ荷重信号において、前記運転中に、前記運転中零点変動成分除去手段によって前記零点変動成分を除去し、前記零点変動成分の除去された前記ハーフブリッジ荷重信号、または前記零点変動成分の除去された前記ハーフブリッジ荷重信号に基づいて算出された荷重信号を比較することによって前記ロードセルのスパン異常を検出するスパン異常検出手段と、
を備えることを特徴とするホッパ式計量装置。 - 前記運転中零点変動成分除去手段は、前記ハーフブリッジ荷重信号演算手段から出力される前記ハーフブリッジ荷重信号において前記運転中に生じた零点変動成分を、前記ホッパ式計量装置の運転中に個別に手動または自動的に除去するものである請求項1に記載のホッパ式計量装置。
- 前記ハーフブリッジ荷重信号演算手段から出力される2個のハーフブリッジ荷重信号のうちの少なくとも1個のハーフブリッジ荷重信号が前記運転中零点変動成分除去手段によって個別に除去されて設定された零点から変動しているのを識別する零点変動識別手段が設けられる請求項2に記載のホッパ式計量装置。
- 前記運転中零点変動成分除去手段は、前記ホッパ式計量装置の運転中に前記ハーフブリッジ荷重信号演算手段から出力される2個のハーフブリッジ荷重信号の安定判別を行うとともに、前記ロードセルの安定重量値を生成する安定重量値生成手段と、
前記安定重量値生成手段によって生成された最新の安定重量値と、この最新の安定重量値の一つ前のタイミングにおいて生成された安定重量値との差を安定荷重変化量として各ロードセル毎に算出する安定荷重変化量算出手段とを備えている請求項1に記載のホッパ式計量装置。 - 前記スパン異常検出手段によってスパンの異常が検出されたロードセルにおける2個のハーフブリッジのうちのいずれのハーフブリッジが異常であるかを特定するスパン異常ハーフブリッジ特定手段が設けられる請求項1に記載のホッパ式計量装置。
- 前記スパン異常検出手段によってスパンの異常が検出されたロードセルにおける2個のハーフブリッジ荷重信号を比較するスパン変化検出手段と、
前記スパン異常検出手段によってスパンの異常が検出されたロードセルにおける2個のハーフブリッジ荷重信号と、前記スパン異常検出手段によってスパンの異常が検出されたロードセル以外のロードセルにおける2個のハーフブリッジ荷重信号とを比較する相対比較手段とが設けられ、
前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段は、前記スパン変化検出手段による比較結果と、前記相対比較手段による比較結果とに基づいてスパンが異常であるハーフブリッジを特定する請求項5に記載のホッパ式計量装置。 - 前記相対比較手段による比較結果のバラツキの大きさに基づいて前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段におけるスパンが異常であるハーフブリッジを特定するための許容値が設定される請求項6に記載のホッパ式計量装置。
- 前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段は、前記スパン変化検出手段による比較結果の変化の大きさが0の近傍であることに対応させて前記相対比較手段の比較結果を集計するとともに、前記スパン変化検出手段による比較結果の変化の大きさがスパン変化の許容値の近傍である時点における前記相対比較手段の比較結果を集計することによって、前記ロードセルのいずれかのハーフブリッジのスパンが正常である状態からの変化の大きさを算出することにより、スパン変化が異常であるハーフブリッジを特定する請求項6に記載のホッパ式計量装置。
- 前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段によってスパンが異常であると特定されたハーフブリッジにおけるハーフブリッジ荷重信号のスパンを補正するスパン補正手段が設けられる請求項5に記載のホッパ式計量装置。
- 前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段によってスパンが異常であると特定されたハーフブリッジのハーフブリッジ荷重信号を、スパンが異常であると特定されない方のハーフブリッジのハーフブリッジ荷重信号でもって代替するハーフブリッジ荷重信号代替演算手段が設けられる請求項5に記載のホッパ式計量装置。
- 前記スパン異常ハーフブリッジ特定手段は、前記スパン変化検出手段の比較結果と、前記相対比較手段の比較結果とに基づいて、スパンが異常であるロードセルを特定した時点で、その特定したロードセルにおけるスパンが異常であるハーフブリッジの特定を行う請求項6に記載のホッパ式計量装置。
- 前記相対比較手段による比較結果のバラツキの大きさを減衰させるバラツキ減衰演算手段が設けられる請求項6に記載のホッパ式計量装置。
- 前記バラツキ減衰演算手段は、予め定めた複数回の計量によって得られる前記相対比較手段の比較結果に基づく相対比率の平均値を算出することによってその相対比率のバラツキを縮小する請求項12に記載のホッパ式計量装置。
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