JP5676777B2 - 関節リウマチ活動性指標を同定する方法及びそれに用いるバイオマーカー - Google Patents

関節リウマチ活動性指標を同定する方法及びそれに用いるバイオマーカー Download PDF

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Description

本発明は、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する方法、並びにそれに用いるバイオマーカーに関する。具体的には、本発明は、被験者から採血した血液から、本願発明に係るバイオマーカー遺伝子の発現量を測定・標準化し、その発現量から作成された遺伝子発現プロファイルに基づいて、当該被験者における関節リウマチ活動性指標を同定する方法に関する。
リウマチ性疾患の代表である関節リウマチ(rheumatoid arthritis:「RA」)は、慢性多発性関節炎を主症状とする全身性結合組織疾患であり、自己免疫疾患の一種である。関節リウマチは、30〜60歳の女性に好発し、有病者数は日本国内においては約70万人と推測されている。関節リウマチの病態には関節滑膜における血管新生、炎症性細胞浸潤、滑膜細胞増殖、軟骨・骨破壊などが挙げられる。また、関節リウマチにおける関節炎は改善と増悪を繰り返しながら進行し、徐々に軟骨・骨破壊を引き起こし、関節リウマチ患者の日常労作の阻害や生活の質(QOL)の低下を招く。
このような関節リウマチの臨床においては、患者に対して最良の治療を提供するため、当該患者における関節リウマチの病態・病勢の活動性を、特定の指標を算出することにより評価している。例えば、この指標の評価においては、患者の痛みに関する自己評価、関節(疼痛関節数、圧痛関節数、腫脹関節数など)の検査・測定、および血液検査(赤沈、リウマトイド因子、CRPなど)等の評価項目を組み合わせて、関節リウマチの病態・病勢の活動性をスコア化している。そしてスコア化された指標から、当該患者の疾患の程度を評価している。また、尿中のインターロイキン−1受容体アンタゴニストを指標とすることができることも報告されている(特許文献1)。
特許第3530239号公報
ところで、このような指標を用いて関節リウマチの病態・病勢の活動性を評価する場合、上記のように、患者の痛みに関する自己評価が含まれるため、患者自身の主観的な判断が必要とされる。しかし、患者自身の痛み等に対する評価は、個人や観察者によってばらつきがあるため、客観的にその活動性を評価することは困難である。また、現状の血中マーカーについては、それだけで患者の病態・病勢を総合的に評価することは困難である。そこで、関節リウマチ疾患の診断および治療による予後の推定のために、より簡便で再現性の高い疾患マーカーの解明や、直接的に疾患の程度を判別する方法の開発が望まれている。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、関節リウマチ疾患の病態・病勢の活動性を評価する方法について簡便かつ再現性の高いバイオマーカーを見出し、効果的な評価方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために、ヒト関節リウマチ疾患の患者についてFAM20Aの遺伝子発現量に着目した結果、関節リウマチ疾患の病態活動性の程度に比例して、FAM20Aの遺伝子発現量が変化することを観察した。そこで、FAM20Aの遺伝子発現量について、鋭意研究を重ねた結果、被験者から採取した血液中のFAM20Aが関節リウマチ疾患の診断マーカーおよび治療薬の投与効果に関するマーカーとなり得ることを見出し、FAM20A遺伝子発現量を測定することにより、関節リウマチ疾患の病態・病勢の活動性を評価することができることを見出した。
具体的には、本発明の第一の主要な観点によれば、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する方法であって、前記被験者由来の血液中のFAM20A遺伝子の発現量を測定する工程と、前記測定した発現量を、予め用意された前記指標に相関する遺伝子発現プロファイルを用いて解析する工程と、前記解析した結果に基づき、前記被験者における前記指標の値を推定する工程と、を有することを特徴とする、方法が提供される。
このような構成によれば、被験者に特別な負荷を与えることなく、採血するだけで、当該被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定することが可能となる。また、このような構成によれば、低侵襲的且つ簡便に被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定することができる。
血液中のFAM20A遺伝子発現量を測定することにより、関節リウマチ疾患に関連する指標の値を同定することができるため、再現性があり、従来の、患者の自己評価を含む方法に比べて信頼性が高く、かつ簡易に検査することができる。また、本願発明に係る方法を利用することにより、関節リウマチの治療薬による治療効果を判定することもできる。これは、患者自身の痛み等に対する主観的な判断を必要としないため、客観的にその効果を判定することができるため有用である。
また、本発明の一実施形態によれば、このような方法において、前記指標は、DAS28−CRP、DAS28−ESR、DAS44、EULAR改善基準、CDAI、SDAI、ACR、及び血清CRP濃度からなる群から選択されるものであることが好ましい。この場合、前記指標は、関節リウマチ疾患の病勢を示し、又は関節リウマチ治療薬の治療効果を判定するものである。
また、本発明の他の一実施形態によれば、このような方法において、前記解析する工程は、前記測定したFAM20A遺伝子の発現量を、関節リウマチ患者から得られた血液におけるFAM20A遺伝子発現量に基づいて作成される、FAM20A遺伝子の発現量と前記指標との相関関係を示す遺伝子発現プロファイルと比較することによって行われるものであることが好ましい。この場合、前記遺伝子発現プロファイルは正の相関関係を示すものであり、前記被験者由来の血液中のFAM20A遺伝子の発現量が高い場合には、前記指標は高い病勢活動度を示すものである。
さらに、本発明の別の一実施形態によれば、このような方法において、前記FAM20A遺伝子は、(i)配列ID番号1に記載される塩基配列、又は(ii)配列ID番号1に記載の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列であって、配列ID番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるものであることが好ましい。
また、本発明のさらに別の一実施形態によれば、このような方法において、前記被験者は関節リウマチに罹患しているものであることが好ましい。この場合、測定する工程は、前記被験者に対する関節リウマチ治療薬の投与前および投与後における血液由来のFAM20A遺伝子の発現量を測定するものであり、前記投与前および投与後における血液におけるFAM20A遺伝子発現量を、前記遺伝子発現プロファイルを用いて解析することにより、前記関節リウマチ治療薬の治療効果を判定するものである。
また、本発明の第二の主要な観点によれば、配列ID番号1に記載される塩基配列を有する、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定するためのFAM20Aバイオマーカーが提供される。
また、本発明の第三の主要な観点によれば、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定するためのバイオマーカーとしての、配列ID番号1に記載される塩基配列を有するFAM20Aの使用が提供される。
また、本発明の第四の主要な観点によれば、上記のような方法に用いられるアレイであって、FAM20A遺伝子をコードする少なくとも一部の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプローブが、固体支持体上の位置に固定してなることを特徴とするアレイが提供される。
なお、上記した以外の本発明の特徴及び顕著な作用・効果は、次の発明の実施形態の項及び図面を参照することで、当業者にとって明確となる。
図1は、本願発明に係るFAM20A遺伝子の発現細胞解析を示すグラフである。 図2は、本願発明に係るFAM20A遺伝子の発現量とDAS28−CRPおよびDAS28−ESRとの相関解析結果を示すスキャッタープロット図である。 図3Aは、メトトレキサートの投与前後における、本願発明に係るFAM20A遺伝子の発現量の変動を示す結果である。 図3Bは、インフリキシマブの投与前後における、本願発明に係るFAM20A遺伝子の発現量の変動を示す結果である。 図4は、本願発明に係るFAM20A遺伝子の健常者および他炎症性疾患における発現解析を示すグラフである。 図5Aは、本願発明に係るFAM20A遺伝子のマイクロアレイとPCRとの発現解析の相関を示すグラフである。 図5Bは、本願発明に係るFAM20A遺伝子の発現量についての、健常者と関節リウマチ患者との間の有意差検定を示すグラフである。 図5Cは、本願発明に係るFAM20A遺伝子の発現量についての、疾患活動性指標であるDAS28−CRPと臨床情報であるCRPとの相関を示すグラフである。
以下に、本願発明に係る一実施形態および実施例を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する方法は、上述したように、前記被験者由来の血液中のFAM20A遺伝子の発現量を測定する工程と、前記測定した発現量を、予め用意された前記指標に相関する遺伝子発現プロファイルを用いて解析する工程と、前記解析した結果に基づき、前記被験者における前記指標の値を推定する工程と、を有することを特徴とするものである。
ここで、本発明の一実施形態において、FAM20A遺伝子は、関節リウマチの活動性の指標に正比例して発現量が変化するものであり、後述する実施例に記載するように、活動性の指標の増減を特に反映しているものである。なお、本願明細書において「遺伝子マーカー」とは、「遺伝子」とほぼ同意に用いられるものであり、ある対象物の状態又は作用の評価の指標となるものであって、ここではある遺伝子の発現量と相関するときの遺伝子関連物質をいう。例えば、遺伝子それ自体、転写物であるmRNA、翻訳物であるペプチド、遺伝子発現の最終産物であるタンパク質などが含まれる。また、遺伝子の「相対発現頻度」とは、当該遺伝子の発現量を標準化したものを意味するものであり、当該遺伝子の転写レベル(転写物などの場合)または翻訳レベルにおける発現量(ポリペプチド、タンパク質などの場合)をも包含して意味するものである。
本実施形態において、「関節リウマチに関連する指標」とは、例えば、DAS28−CRP、DAS28−ESR、DAS44、EULAR改善基準、CDAI、SDAI、ACR、及び血清CRP濃度等が含まれるが、関節リウマチの病勢や病態の程度や活動性を数値化・スコア化して表すことのできるものであれば、これらに限られるものではない。
DAS(disease activity score)とは、EULAR(European League Against Rheumatism:ヨーロッパリウマチ連盟)が推奨する評価法であるDAS(disease activity score)が推奨する評価方法である。また、DAS28とは、このDASを、日常の診療で使用し易いようにするため、評価する関節を28関節に絞り込んだものである。DAS28では、28関節について、(1)圧痛のある関節数、(2)腫れのある関節数、(3)血沈の1時間値、又はCRP(mg/dl)、(4)全般的な病状の評価値、の4項目を測定し、所定の公式により数値化し、疾患の活動性の絶対値を算出する。なお、血沈を用いる場合にはDAS28−ESR、CRP値を用いる場合にはDAS28−CRPという。本願実施例において、DAS28としては、DAS28−ESR及びDAS28−CRPのいずれをも用いることができる。また、DAS44とは44関節について測定するものである。本実施形態においては、FAM20A遺伝子の発現量の増減に比例してDAS28−CRPやDAS28−ESRが変動するが、特定のDAS28−CRPやDAS28−ESRに対応するFAM20A遺伝子の発現量の基準値(基準発現量)については、実験条件等に応じて適宜変更可能であり、特定の数値に限定されるものではない。なお、DAS28−ESRにおいては、5.1(4.1)以上である場合に高疾患活動性、3.2(2.7)<DAS28−ESR≦5.1(4.1)である場合には中等度疾患活動性、2.6(2.3)<DAS28−ESR≦3.2(2.7)である場合には低疾患活動性、そして2.6(2.3)以下の場合には寛解と分類評価される(カッコ内はDAS28−CRP)。また、本発明において、寛解とは、病気の症状が一時的あるいは継続的に軽減した状態、又は見かけ上消滅した状態をいう。
また、本願発明に係る一実施形態において、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する場合には、EULAR改善基準を用いることもでき、EULAR改善基準は、DAS28が基本となっている。治療前に対する治療後の(薬剤投与前に対して薬剤投与後の)DAS28値の2つを組み合わせて、治療効果を反応良好(good)、中等度反応(moderate)、反応なし(no response)の3段階で評価している。本実施形態においては、FAM20A遺伝子の発現量の増減に比例して、当該被験者における治療効果を上記3段階のいずれかに評価することができる。本実施形態においては、FAM20A遺伝子の発現量の増減に比例してEULAR改善基準が変動するが、特定のEULAR改善基準に対応するFAM20A遺伝子の発現変動量の基準値(基準発現量)については、実験条件等に応じて適宜変更可能であり、特定の数値に限定されるものではない。例えば、中等度反応に対応するFAM20A遺伝子の発現変動量を設定すれば、遺伝子発現プロファイル解析により、反応良好や反応なしに対応する発現変動量も適宜設定される。
本願発明に係る一実施形態において、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する場合には、当該指標としてSDAI(Simple disease activity index)を用いることもできる。SDAIとは、上述のDASの計算式が複雑であるため臨床現場において簡単に計算できるものではなかったため、臨床現場においても簡便に算出できるような評価方法として開発されたものである。このSDAIでは、その評価される関節はDAS28と同じであり、疼痛関節数、腫脹関節数、患者全般度評価、医師全般度評価によって算出される。SDAIにおいては、26以上である場合に高疾患活動性、11<SDAI≦26である場合には中等度疾患活動性、3.3<SDAI≦11である場合には低疾患活動性、そして3.3以下の場合には寛解と分類評価される。本実施形態において、FAM20A遺伝子の発現量の増減に比例してSDAIの値が変動するが、特定のSDAIの値に対応するFAM20A遺伝子の発現量の基準値(基準発現量)については、実験条件等に応じて適宜変更可能であり、特定の数値に限定されるものではない。例えば、SDAIの中等度疾患活動性を示す特定の値に対応するFAM20A遺伝子の発現量を設定すれば、遺伝子発現プロファイル解析により、その他の高疾患活動性や低疾患活動性を示す特定の値に対応する発現量も適宜設定される。
また、本願発明に係る一実施形態において、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する場合には、当該指標としてCDAI(Clinical disease activity index)を用いることもできる。CDAIとは、SDAIからCRPを除いたものである。CDAIにおいては、22以上である場合に高疾患活動性、10<CDAI≦22である場合には中等度疾患活動性、2.8<CDAI≦10である場合には低疾患活動性、そして2.8以下の場合には寛解と分類評価される。本実施形態において、FAM20A遺伝子の発現量の増減に比例してCDAIの値が変動するが、特定のCDAIの値に対応するFAM20A遺伝子の発現量の基準値(基準発現量)については、実験条件等に応じて適宜変更可能であり、特定の数値に限定されるものではない。例えば、CDAIの中等度疾患活動性を示す特定の値に対応するFAM20A遺伝子の発現量を設定すれば、遺伝子発現プロファイル解析により、その他の高疾患活動性や低疾患活動性を示す特定の値に対応する発現量も適宜設定される。
本願発明に係る一実施形態において、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する場合には、当該指標としてACRを用いることもできる。ACRとは、アメリカリウマチ学会が定めた関節リウマチの病理程度の分類基準であるACR改善基準である。ACR改善基準はACRコアセットである7項目によって定められる。ACRコアセットは、(1)圧痛関節数、(2)腫脹関節数、(3)患者による疾患の評価、(4)患者による疾患活動性の全般的評価、(5)医師による疾患活動性の全般的評価、(6)患者による身体機能評価、(7)急性期反応物質、の7項目から成る。ACR改善基準は、例えば、治療前に対して治療後に(薬剤投与前に対して薬剤投与後に)、上記(1)(2)がともに20%以上改善し、かつ、上記(3)〜(7)の5項目のうち3項目以上が20%以上改善した場合に、「ACR基準20%の改善あり(ACR20)」と判定される。同様に、ACRが50%ならびに70%改善した場合、ACR50、ACR70という基準が用いられる。なお、本願明細書において、単に「ACR」と表記した場合には、特に言及しない限り、「ACR改善基準」を指すものとする。本実施形態においては、FAM20A遺伝子の発現量の増減に比例してACR基準が変動するが、特定のACR基準に対応するFAM20A遺伝子の発現変動量の基準値(基準発現量)については、実験条件等に応じて適宜変更可能であり、特定の数値に限定されるものではない。例えば、ACR50に対応するFAM20A遺伝子の発現変動量を設定すれば、遺伝子発現プロファイル解析により、ACR20やACR70に対応する発現量も適宜設定される。
本願発明に係る一実施形態において、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する場合には、当該指標として血清CRP濃度を用いることもできる。血清CRP値の正常値は0.3mg/dlである。本実施形態においては、FAM20A遺伝子の発現量の増減に比例して血清CRP値が変動するが、血清CRP値の正常値に対応するFAM20A遺伝子の発現量の基準値(基準発現量)については、実験条件等に応じて適宜変更可能であり、特定の数値に限定されるものではない。
また、本願発明に係る一実施形態において、「FAM20A遺伝子」とは、(i)配列ID番号1に記載される塩基配列、又は(ii)配列ID番号1に記載の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列であって、配列ID番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるものである。なお、FAM20Aは分泌タンパク質であることがわかっている。
本発明者らは、FAM20Aの生物学的な意義を解明するため、血液に含まれる免疫細胞のうち、どの細胞がFAM20Aの発現ソースであるのかを、公開マイクロアレイデータベースNCBI GEO(Gene Expression Omnibus)から取得した、免疫細胞別マイクロアレイデータセットを用いて解析した。その結果を図1に示す。FAM20A遺伝子は樹状細胞、B細胞に高発現することが明らかとなった。抗原提示細胞である樹状細胞、抗体を産生するB細胞は、いずれもリウマチ病態に大きく寄与することが知られている。これらのことから、生物学的にも末梢血FAM20A発現が関節リウマチ病態へ関与する可能性が高いと推察された。
本願発明に係る一実施形態において、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する方法は、当該被験者から採取した血液中に含まれるFAM20A遺伝子発現量を測定することによって行われる。本実施形態に係る同定する方法において、被験検体は、被験者から採取した血液が挙げられ、全血、末梢血、或いは当該血液から分離取得した血清を被験検体としても良い。ここで、血清の取得方法は特に限定されるものではなく、従来存在する種々の方法、例えば血液から臨床検査用検体として取得する血清の分離方法に準じることができる。例えば、血液検体を静置した後の上清や、遠心分離したときの上清などから取得しても良い。或いは、採取した血液を試験管等に採り、室温で所定条件の下、遠心分離して得られる上清の血清を検査用検体とすることもできる。
本願発明に係る一実施形態において、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する方法は、被験者由来の血液を検体として簡便に検査することができる点で、関節液を採取して検査する方法に比べて、検体の取得が容易であり、通常の臨床検査に使用する検査用検体を用いることができる点で有利である。関節液は侵襲的な手法により採取されるため、痛みを伴うなどの患者負担が大きく、また出血や感染症などの合併症も危惧されることから、関節液を検査するのは、ルーチン的な検査方法としてはあまり好ましくない。一方で、本願発明のように血液を検体としてFAM20A遺伝子の発現量を測定する場合には、上述の問題点が解消され、被験者における関節リウマチに関連する指標の値の同定を簡便に行うことができる。なお、本明細書において、FAM20A量とは、特段に言及する場合を除きFAM20A遺伝子の発現量を意味する。
本願発明に係る一実施形態において、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する方法では、採取した血液中のFAM20A遺伝子を関節リウマチの活動性指標のマーカーとする。本願発明に係る方法により得られたFAM20A遺伝子発現量の測定結果から関節リウマチの活動性指標や病勢・病態を同定することができ、さらには、関節リウマチの診断ならびに関節リウマチ治療薬の治療効果の判定を行うこともできる。
ここで、本願発明における一実施形態において、本願発明に係る方法を用いて関節リウマチ治療薬の治療効果を判定する場合には、関節リウマチに罹患している被験者に対して、関節リウマチ治療薬の投与前および投与後において採血を行い、その採血した投与前後の各血液中のFAM20A遺伝子発現量を測定することによって行うことができる。その後、予め用意した、関節リウマチに関連する指標と相関する遺伝子発現プロファイルを用いて、当該各血液中のFAM20A遺伝子発現量を比較することを特徴とする。
本実施形態においては、上記のようにして関節リウマチ治療薬の治療効果を判定した結果、当該治療薬の投与前後におけるFAM20A遺伝子の発現量の増減と、実際の治療効果の評価とは、密接に関連することが判明している。例えば、FAM20A遺伝子発現の測定結果とEULAR改善基準での評価との関係は、治療効果の程度を密接に反映することができる(後述の実施例を参照)。
本願発明において、「関節リウマチ治療薬」又は「関節リウマチの治療薬」としては、特に限定されるものではなく、従来から公知の治療薬および今後開発されるあらゆる治療薬が含まれる。例えば、従来から公知の関節リウマチ治療薬としては、生物学的製剤、非ステロイド性抗炎症薬(消炎鎮痛薬)、ステロイド薬、免疫抑制剤などが挙げられる。生物学的製剤としては、キメラ型抗TNF−α抗体製剤、可溶性TNFレセプターや、完全ヒト型抗TNF−α抗体製剤、抗IL−6レセプター抗体製剤などが挙げられる。非ステロイド性抗炎症薬としては、プロスタグランジン産生抑制剤が挙げられる。具体的には、本願発明における関節リウマチ治療薬としては、メトトレキサート(MTX)、インフリキシマブ(IFX)、エタネルセプト(ETN)、トシリズマブ(TCZ)、アダリムマブ(ADA)、アバタセプト(ABT)等が含まれるが、これらに限られるものではない。
本願発明における一実施形態において、関節リウマチに関連する指標の値の同定は、被験者のFAM20A遺伝子の発現量と、関節リウマチ罹患者および健常者、並びに種々の関節リウマチ治療薬の投薬の有無を含む、各種疾患・健康状態におけるサンプル群におけるFAM20A遺伝子の発現量から予め用意された遺伝子発現プロファイルとを比較解析することによって行うことができる。或いは、関節リウマチに関連する指標の値の同定は、同一被験者(健常者および関節リウマチ罹患者含む)の関節リウマチ治療薬の投薬前における遺伝子発現量プロファイルと関節リウマチ治療薬の投薬後における遺伝子発現プロファイルとを比較解析することにより、当該被験者の関節リウマチに関連する指標の値を同定するものであってもよい。この場合、上記各種疾患・健康状態におけるサンプル群は、性別、年齢、治療薬の種類、治療薬投与後の時間等の要素によって分類してサンプリングしたものであっても良い。なお、予め用意された遺伝子発現プロファイルは、蓄積サンプル数が多ければ多いほど好ましく、本発明に係る同定方法の精度も高くなる。また、本願発明においては、このような蓄積サンプルに係るデータや予め用意された遺伝子発現プロファイルを、任意のデータベースに格納できる構成を取り得る。すなわち、本願発明は、このようなデータを格納するデータベースと、当該データ及び比較解析に必要なプログラム等を読み出して実行する解析装置をも提供することができる。このような解析装置によれば、当該データベースから蓄積データを取り出し、測定された被験者のデータと比較するだけで、被験者における関節リウマチに関連する指標の値をいつでも簡便に同定することができる。
なお、本実施形態において、被験者における関節リウマチに関連する指標の値の同定・解析は、測定したFAM20A遺伝子発現量を、各種疾患・健康状態におけるFAM20A遺伝子発現量に基づいて作成される遺伝子発現プロファイルと比較することによって行うことができるが、治療薬の投与後としての期間は、関節リウマチ疾患の状態を評価する上で臨床的に意義のある任意の期間を設定可能である。
また、本実施形態において、上述の遺伝子発現プロファイルは、FAM20A遺伝子発現量と特定の関節リウマチに関連する指標値との間で正の相関関係を示すものであることが好ましい。従って、例えば、被験者由来の血液中のFAM20A遺伝子の発現量が基準発現量よりも高い場合には、当該指標は基準値よりも高い病勢活動度を示す。
ここで、本願発明における一実施形態において、遺伝子発現プロファイルの作成・生成や、データの解析手法としてはクラスタ解析や各種アルゴリズム等の分子生物学又はバイオインフォマティクス等の分野で用いられる任意の解析手段を用いることができる。
本願発明における一実施形態において、上記したようなFAM20A遺伝子は、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定するためのバイオマーカーとして用いることもできる。また、この場合はこのバイオマーカーは、配列ID番号1に記載される塩基配列を有することが好ましい。
また、本願発明における一実施形態において、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を同定する方法において使用されるアレイは、FAM20A遺伝子をコードする少なくとも一部の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプローブが、固体支持体上の各々異なる位置に固定してなるものである。本実施形態において、このようなアレイは、必要であればPCR用のプレートで代用することができ、この場合、前記プローブは、プレート上のウェルの各々異なる位置に配置している構成になっている。
(実験手法)
以下に、本願発明の一実施形態に係る遺伝子マーカーの効果を証明するために使用した実験手法および物質並びにその定義を説明する。なお、本実施形態において、以下の実験手法を用いているが、これら以外の実験手法を用いても、同様の結果を得ることができる。
(遺伝子の定量)
また、本実施形態において、遺伝子マーカーが遺伝子または遺伝子の転写物(mRNA)である場合、遺伝子の発現量の測定(定量)は、例えば、DNAチップ、マイクロアレイ法、リアルタイムPCR、ノーザンブロット法、ドットブロット法、定量的RT−PCR(quantitative reverse transcription−polymerase chain reaction)法等の種々の分子生物学的手法によってmRNA量を測定することにより行うことができる。
定量的RT−PCR法に用いるプライマーとしては、遺伝子又は遺伝子マーカーを特異的に検出することができるものであれば特に制限されるものではないが、12〜26塩基からなるオリゴヌクレオチドが好ましい。その塩基配列は、ヒトの各遺伝子の配列情報に基づいて決定する。そして、決定した配列を有するプライマーを、例えば、DNA合成機を用いて作製することができる。
一方、遺伝子マーカーが遺伝子の翻訳物(ポリペプチド)又は最終産物(タンパク質)である場合、例えば、遺伝子マーカーに対して特異的なポリクローナル抗体、モノクローナル抗体等を用いたウエスタンブロット法やELISA法などによって遺伝子マーカーの発現量の測定を行うことができるが、これらの方法に限定されるものではなく、RIA(radioimmunoassay、放射免疫測定法)、EIA(enzyme immunoassay、酵素免疫法)等、様々な手法を用いることができる。
「遺伝子」には、RNAやDNAなどの塩基配列によって示される遺伝情報をいうものである。ヒト、マウス、ラットなどの生物種間で保存されるオーソログ遺伝子なども含まれる。遺伝子は、タンパク質をコードするものだけでなく、RNAやDNAとして機能するものであってもよい。遺伝子は、その塩基配列にしたがうタンパク質をコードするのが一般的であるが、当該タンパク質と生物学的機能が同等であるタンパク質(たとえば同族体(ホモログやスプライスバリアントなど)や変異体や誘導体)をコードするものであってもよい。たとえば、遺伝情報による塩基配列によって示されるタンパク質とはわずかに塩基配列が異なるタンパク質であって、その塩基配列が遺伝子情報による塩基配列の相補配列とハイブリダイズするようなタンパク質をコードするような遺伝子であってもよい。
「RNA」とは、1本鎖RNAだけでなく、これに相補的な配列を有する1本鎖RNAやこれらから構成される2本差RNAを含む概念である。また、totalRNA、mRNA、rRNAを含む概念である。
「DNAチップ」「DNAアレイ」とは、プローブDNAを基板上に配した構造を有し、ハイブリダイゼーションにより、複数の遺伝子の発現を測定するものである。光学的に発現量を計測するためのものだけでなく、電気的に発現量を出力するものも含む。「DNAチップ」としては、たとえば、アフィメトリクス社のGeneChip(商標)を用いることができる。「DNAアレイ」としては、アマシャムバイオサイエンス社のCodeLink Expression Bioarray(商標)を用いることができる。なお、DNAアレイには、DNAマイクロアレイだけでなくDNAマクロアレイも含む。
「発現量」とは、遺伝子の発現量を直接的に測定した値だけでなく、所定の計算や統計学的手法によって変換された値も含む概念である。また、「遺伝子発現量」や「発現シグナル」、「遺伝子発現シグナル」、「発現シグナル値」、「遺伝子発現シグナル値」、「遺伝子発現データ」、「発現データ」等も個々の遺伝子の発現を反映する値を指すものとして同義である。
「遺伝子発現」とは遺伝子の発現量により表現される生体の遺伝子発現の態様を指し、1個の遺伝子の発現量により表される場合及び複数の遺伝子の発現量により表される場合のいずれもが含まれる。また、「発現」も生体の遺伝子発現の態様を指すものとして同義である。
以下に、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(マーカー遺伝子の探索・選定方法)
以下に、本発明のマーカー遺伝子の探索・選定方法について説明する。
本発明者らは、埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科を受診した関節リウマチ患者のうち、研究参加について文書により説明し同意を得た212名(計402検体)の末梢血サンプルを用いてマーカー遺伝子の探索を行なった。サンプルの内訳を以下の表に示す。
Figure 0005676777
対象被験者血液からのRNA抽出は、PAXgene Blood RNA System(QIAGEN社製)を用いて行った。抽出RNAについて、NanoDrop1000(Thermo Scientific社製)により収量を測定し、バイオアナライザー2100(Agilent Technologies社製)により分解が無いことを確認した。次に、RNA250ngからAgilent Technologies社製Low RNA Input Linear Amp Kit PLUS,One−Colorを用いて、in vitro転写反応によりcRNAを増幅、同時に蛍光標識(Cy3標識)した。続いて、Agilent Technologies社製Whole Human Genome Microarray 4×44kに対して、蛍光標識されたcRNAを65℃にて17時間ハイブリさせた。Agilent Technologies社製Gene Expression Wash Bufferにて洗浄後、Agilent Scanner(Agilent Technologies社製)により蛍光画像を読み取り、さらに、Agilent Technologies社製画像数値化ソフトFeature Extractionを用いて蛍光画像における各スポットのシグナル強度の数値化を行った。
数値化後のデータの正規化処理は、Agilent Technologies社製マイクロアレイ解析ソフトGeneSpring GX11を用いて、75percentile shift normalizationにて行なった。各プローブのLog2(ノーマライズ値)と被験者のDAS28−CRP、DAS28−ESRとのPearson積率相関係数、無相関検定p値を算出し、疾患活動性と相関する遺伝子抽出した。
各プローブについて算出された、DAS28−CRP、DAS28−ESRとの無相関検定のp値を平均化し、その平均値の小さい順にソートして上位30のプローブリストを得た。その結果を表2に示す。
Figure 0005676777
Topの2プローブは、FAM20A(Family with sequence similarity 20,member A)転写産物を検出するプローブであった。当該遺伝子は、関節リウマチの疾患活動性が上昇するに従い、末梢血における発現が亢進する。
(FAM20A遺伝子の解析)
以下に、本願発明に係るFAM20A遺伝子の解析結果について説明する。
FAM20A Log2(ノーマライズ値)とDAS28−CRP、DAS28−ESR、SDAI、CDAIとの散布図を図2に示した。また、FAM20AとDAS28以外の臨床検査項目の相関解析結果を表3に示す。
Figure 0005676777
この結果から、FAM20A Log2(ノーマライズ値)とCRP、ESR、TJC、SJC、GHなどのDASコンポートネント、生活機能評価指標であるHAQ(health assessment questionnaire)、また、リウマチ血液で高まるとされているMMP−3と有意な正相関が認められた。このことから、末梢血FAM20A発現量を測定することにより、関節リウマチの活動性を客観的に、かつ、総合的に捉えることができるものと考えられた。
(薬剤投与によるFAM20A遺伝子発現の変動)
同一関節リウマチ患者について、薬物治療前後をフォローした際にFAM20Aがどのように発現変動するかを検証した。
図3Aは、MTX投与26例を22w投与時のEULAR改善基準別に3群(Good、Moderate、Poor)に分類し、それぞれの群ごとに、FAM20A発現のMTX投与前後の変動を確認した結果である。FAM20A発現は、EULAR改善基準がModerateレスポンス群では0wに比べ22wに有意な低下、またGoodレスポンス群においても22wに低下傾向を示した。一方、Poorレスポンス群ではほとんど変化が認められなかった。
図3Bは、IFX投与46例において同様の解析を行なったものである。MTX投与と同様の傾向が認められ、FAM20A発現はGood、Moderateレスポンス群において22wに有意な発現低下を示したが、Poorレスポンス群ではほとんど変化はなかった。以上の結果より、末梢血FAM20A発現が関節リウマチの薬剤効果を反映しうるマーカーであることが示唆された。
(健常者および他疾患との比較)
FAM20Aの関節リウマチ患者、健常者、肝炎患者における発現量を比較し、FAM20Aの関節リウマチ診断マーカーとしての可能性を検証した。なお、肝炎患者のサンプルは、炎症疾患コントロールとして比較に用いた。
関節リウマチ患者サンプルとしては、先の図3A示したMTX投与26例のMTX0w、22wサンプルを解析に用いた。健常者サンプルとしては、健診目的で医療法人飛祥会北國クリニック(石川県金沢市)を受診した健常者のうち、末梢血遺伝子発現解析研究に参加することについて文書により説明し同意を得た124名の末梢血サンプル(Norm H)と、健診目的で公立松任石川中央病院(石川県白山市)を受診した健常者のうち、末梢血遺伝子発現解析研究に参加することについて文書により説明し同意を得た100名の末梢血サンプル(Norm M)を解析に用いた。さらに炎症疾患コントロールサンプルとして、金沢大学医学部附属病院消化器内科を受診した肝炎患者のうち、末梢血遺伝子発現解析研究に参加することについて文書により説明し同意を得た6名の末梢血サンプル(Hepatitis)を解析に用いた。各サンプル群のFAM20AのLog2(ノーマライズ値)の分布を図4に示す。
Student T検定の結果、RA MTX0wとNorm H、Norm M、Hepatitisの間、また、RT MTX22wとNorm H、Norm Mの間に有意差(p<0.05)が認められた。これらの結果は、FAM20Aが、関節リウマチの活動性の評価マーカーとなるだけでなく、健常者、その他炎症性疾患とも区別し得る関節リウマチの診断マーカーとなる可能性を示唆するものである。
(PCRによる解析)
「関節リウマチ患者における末梢血FAM20A発現と関節リウマチ活動性の相関」および「健常者と関節リウマチ患者における末梢血FAM20A発現の差」について、リアルタイムPCRにて結果のバリデーションを行なった。
前述した解析サンプルから、健常者12例、リウマチ患者15例をピックアップし、Applied Biosystems社製Power SYBR Green RNA−to−CT 1−Step Kitを用いてリアルタイムPCR反応を行なった。実験には20ng RNAを用いた。補正のための内部標準遺伝子としてはGAPDH(glyceraldehyde 3−phosphate dehydrogenase)を用いた。実験に用いたFAM20A検出用プライマーは以下の通りである。
Left:CGACACTCCCATGATGAAATC(配列ID番号3)
Right:GCTGCAGGTGCAAAAGTGT(配列ID番号4)
また、GAPDH検出用プライマーは以下の通りである。
Left:AGCCACATCGCTCAGACAC(配列ID番号5)
Right:GCCCAATACGACCAAATCC(配列ID番号6)
図5A〜Cに結果を示す。
図5Aは、全27サンプルにおけるFAM20AのマイクロアレイデータとPCRサイクル数の相関を示したものである。データの相関は極めて良好であった(R=0.529)。また、図5Bは、PCRにより定量されたFAM20A発現量について、健常者12例と関節リウマチ患者15例との間で比較解析を行なったものである。健常者に比べ、関節リウマチ患者において有意な発現亢進が認められた。さらに、図5Cは、関節リウマチ患者15例において、PCRにより定量されたFAM20A発現量とDAS28−CRP、CRPとの相関を解析したものである。マイクロアレイデータ同様、FAM20A発現とこれら臨床指標との間に有意な正相関が認められた。
以上の結果により、「関節リウマチ患者における末梢血FAM20A発現と関節リウマチ活動性の相関」および「健常者と関節リウマチ患者における末梢血FAM20A発現の差」はマイクロアレイ解析のみならず、リアルタイムPCRにおいても再現することが明らかとなった。
その他、本発明は、さまざまに変形可能であることは言うまでもなく、上述した一実施形態に限定されず、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。

Claims (10)

  1. 被験者における関節リウマチに関連する指標の値を定する方法であって、
    前記被験者由来の末梢血中のFAM20A遺伝子の発現量を測定する工程と、
    前記測定した発現量を、予め用意された前記指標に相関する遺伝子発現プロファイルを用いて解析する工程と、
    前記解析した結果に基づき、前記被験者における前記指標の値を推定する工程と、
    を有し、
    前記解析する工程は、前記測定したFAM20A遺伝子の発現量を、関節リウマチ患者から得られた末梢血におけるFAM20A遺伝子発現量に基づいて作成される、FAM20A遺伝子の発現量と前記指標との相関関係を示す遺伝子発現プロファイルと比較することによって行われるものであることを特徴とする、方法。
  2. 請求項1記載の方法において、
    前記指標は、DAS28−CRP、DAS28−ESR、DAS44、EULAR改善基準、CDAI、SDAI、ACR、及び血清CRP濃度からなる群から選択されるものである、
    ことを特徴とする、方法。
  3. 請求項2記載の方法において、
    前記指標は、関節リウマチ疾患の病勢を示し、又は関節リウマチ治療薬の治療効果を判定するものである、
    ことを特徴とする、方法。
  4. 請求項記載の方法において、
    前記遺伝子発現プロファイルは正の相関関係を示すものであり、前記被験者由来の末梢血中のFAM20A遺伝子の発現量が高い場合には、前記指標は高い病勢活動度を示すものである、
    ことを特徴とする、方法。
  5. 請求項1記載の方法において、
    前記FAM20A遺伝子は、(i)配列ID番号1に記載される塩基配列、又は(ii)配列ID番号1に記載の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列であって、配列ID番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるものである、
    ことを特徴とする、方法。
  6. 請求項1記載の方法において、
    前記被験者は関節リウマチに罹患しているものである、
    ことを特徴とする、方法。
  7. 請求項記載の方法において、
    前記測定する工程は、前記被験者に対する関節リウマチ治療薬の投与前および投与後における末梢血由来のFAM20A遺伝子の発現量を測定するものであり、
    前記投与前および投与後における末梢血におけるFAM20A遺伝子発現量を、前記遺伝子発現プロファイルを用いて解析することにより、前記関節リウマチ治療薬の治療効果を判定するものである、
    ことを特徴とする、方法。
  8. 配列ID番号1に記載される塩基配列を有する、被験者における関節リウマチに関連する指標の値を定するための末梢血由来のFAM20Aバイオマーカー。
  9. 被験者における関節リウマチに関連する指標の値を定するためのバイオマーカーとしての、配列ID番号1に記載される塩基配列を有する末梢血由来のFAM20Aの使用。
  10. 請求項1記載の方法に用いられるアレイであって、
    FAM20A遺伝子をコードする少なくとも一部の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプローブが、固体支持体上の位置に固定してなることを特徴とするアレイ。
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