JP5675182B2 - スイング弁におけるスイングアームと弁体との連結構造、および再熱蒸気止弁 - Google Patents

スイング弁におけるスイングアームと弁体との連結構造、および再熱蒸気止弁 Download PDF

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Description

本発明は、スイング弁におけるスイングアームと弁体との連結構造、および再熱蒸気止弁に関する。
蒸気タービン装置において、中圧蒸気タービンの蒸気入口側に設けられる再熱蒸気止弁は、タービンの回転速度が所定以上になったときに、中圧蒸気タービンに流れる蒸気を瞬時に遮断し、過速によってタービンが危険な状態になるのを防止するために設けられた保安上の重要な装置である。
このような再熱蒸気止弁としては、例えば特許文献1に記載のものがあるが、特許文献1に記載のように弁体を上下に直線状に駆動する型のものでは、入口ポートと出口ポートとを一直線上に配置できないため、蒸気流の圧力損失が多かったり、配管の配置に広スペースを要したりするという問題がある。
そこで本発明者らは、スイング弁の技術(例えば特許文献2)を応用した再熱蒸気止弁を開発した。スイング弁では、一般に入口ポートと出口ポートとを一直線上に配置できるので、圧力損失が少なく、且つ配管の配置に広スペースを要さない。
図6は従来の再熱蒸気止弁100の構成概要を示す正面断面図である。
図6に示すように、再熱蒸気止弁100は、ケーシング10、弁体20A、スイングアーム30およびアーム駆動部40を有する。再熱蒸気止弁100によると、後段に設けられた中圧蒸気タービンの回転速度が所定以上になったときに、アーム駆動部40によりスイングアーム30を水平軸J0周りに図6中の反時計周り方向に回動駆動する。これにより弁体20Aを流路開放位置P1から流路閉塞位置P2に移動させ、弁座14に着座させる。その結果、入口ポート11から出口ポート12に至る流路を閉塞することで、中圧蒸気タービンに向けて流れる主蒸気STを遮断する。
再熱蒸気止弁100において、弁体20Aとスイングアーム30との連結構造は次のようになっている。即ちスイングアーム30は、弁体20Aとの連結端においてスイングアーム30の回動方向に貫通する連結端貫通穴31を有する。一方、弁体20Aは、その中心位置に凸面側に突出する突起部21Aを有する。突起部21Aは弁体20Aと一体的に形成されており、その外径は連結端貫通穴31に挿通可能なサイズとされる。また突起部21Aにおける先端側には雄ネジ21Mが形成されている。そして、スイングアーム30における連結端貫通穴31に突起部21Aを挿通させた状態で雄ネジ21Mにナット52を締結させている。
このような再熱蒸気止弁100について、その弁体20Aの製作方法を略記する。図7は従来の再熱蒸気止弁100における弁体20Aの製作方法を簡略的に説明するための図である。
まず、鍛造された耐熱鋼からなる円柱部材200を上下のプレス71,72間に配置する(図7(A))。次いで、高温下で上側プレス71を軸JJ回りに回転させながら軸JJ方向に加圧し、据込を行う(図7(B))。この据込みは、円柱部材200が所定厚さの円盤部材200Aとなるまで行う(図7(C))。次いで、円盤部材200Aの一面側の中心位置に、その軸方向に突出する突起部21Aが残るように不要箇所22Aの削出しを行う。この削出しは、突起部21Aを残す側の面が凸状面となるように行う。更に裏面が凹状面となるように不要箇所23Aの削出しを行う(図7(D))。最後に突起部21Aの先端部に雄ネジ21M(図6参照)を形成する。
特開平11−343811号公報 特開平11−82775号公報
従来の再熱蒸気止弁100において、突起部21Aは、スイングアーム30と弁体20Aとを連結するための部位であり、閉弁時に弁座14から受ける衝撃により、大きな応力がかかる。従って突起部21Aには、この応力に十分に耐え得る靭性が要求される。しかし、上述の製作手法では、突起部21Aは弁体20Aの一部となっており、しかも弁体20A全体に対する割合が小さいため、突起部21Aに十分な鍛錬を施しにくい。また、上記製作方法では、突起部21Aを残すために削出す不要箇所22Aは比較的多量であるため、作業時間が長くかかると共に、歩留まりがよくない。
本発明は上述の問題に鑑みてなされたものであり、製作時間の短縮化および歩留まりの向上を図ることができると共に、十分な靭性を得ることのできる、スイングアームと弁体との連結構造、および再熱蒸気止弁を提供することを目的とする。
上記目的は、下記の本発明により達成される。なお本欄(「課題を解決するための手段」)において各構成要素に付した括弧書きの符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を明らかにするものである。これらの符号を、「特許請求の範囲」に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
請求項1の発明は、回動軸(J0)を中心として回動可能に設けられたスイングアーム(30)と、スイングアーム(30)の連結端(30a)に連結された弁体(20)とを備え、蒸気流を一時的に遮断するためのスイング弁におけるスイングアーム(30)と弁体(20)との連結構造であって、弁体(20)は、その中心位置に中心軸(J1)方向に貫通する弁体中心貫通穴(21)を有し、スイングアーム(30)は、弁体(20)との連結端(30a)においてスイングアーム(30)の回動方向に貫通する連結端貫通穴(31)を有し、弁体中心貫通穴(21)と連結端貫通穴(31)とが重なるように弁体(20)とスイングアーム(30)とを当接させた状態で、弁体中心貫通穴(21)と連結端貫通穴(31)との両穴に挿通して弁体(20)とスイングアーム(30)とを締結する高靭性の締結部材(50)を設け、締結部材(50)は、スイングアーム(30)の外方と弁体(20)の外方とに突出可能な長さとされると共に、その長手方向両端に雄ネジ(51a,51b)を有した連結ボルト(51)と、各雄ネジ(51a,51b)に螺合可能なナット(52,53)とからなり、連結ボルト(51)と連結端貫通穴(31)との間に第1間隙(D1)を設け、スイングアーム(30)側におけるナット(52)の内側面とスイングアーム(30)の外側面との間に第2間隙(D2)を設けることで、連結端貫通穴(31)内で連結ボルト(51)を揺動可能としてあり、連結端貫通穴(31)の周囲の表面に、耐蝕性増強材(32)を溶接したことを特徴とする。
請求項1の発明によると、スイングアーム(30)と弁体(20)との連結構造を製作するにあたり、弁体(20)に必須となる主な加工は、弁体中心貫通穴(21)の穿孔である。従来とは異なり、突起部(21A)を残すための材料の削出し(図7(D)参照)は行わない。このため無駄になる材料が減り、製作のための作業時間が短くて済むと共に、歩留まりがよい。
また、締結部材(50)は、弁体(20)から独立した単品としての構成要素であるため、かなり靭性の高いものを安価に入手することが可能であり、閉弁時に高応力を受けた場合でも十分に耐え得る。
さらに、締結部材(50)は、ボルト単品およびナット単品としての構成要素であるため、かなり靭性の高いものを安価に入手することが可能であり、製作コストの低減を図ることができる。
また、ケーシング(10)とスイングアーム(30)とに温度差があって、弁座(14)と弁体(20)との両軸心がずれた場合であっても、連結ボルト(51)は、第1間隙(D1)および第2間隙(D2)内で揺動することで、スイングアーム(30)に対して偏角することができる。これにより弁体(20)は、その中心軸(J1)を弁座(14)の中心軸(J2)に平行にして、確実に弁座(14)に着座することができる。即ち、自動的に軸心ずれを補正する調心機能を備える。また、第2間隙(D2)により、スイングアーム(30)側におけるナット(52)とスイングアーム(30)とがスケールにより固着することが防止される。
請求項3の発明は、連結ボルト(51)の吸収エネルギーが2.0kgf・m以上である。
請求項3の発明によると、弁体(20)が例えば0.3m/s(再熱蒸気止弁の一般速度例)を超える速度で着座した場合でも、連結ボルト(51)は十分に耐え得る強度である。このため、弁体(20)が予期せぬ高速度で着座した場合であっても、連結ボルト(51)は破断を免れることができ、タービンの安全が確保される。なお吸収エネルギーは、例えばシャルピー衝撃試験法により測定可能である。
請求項5の発明は、連結ボルト(51)とナット(52,53)とが同一の耐熱性材料から構成される。
請求項5の発明によると、連結ボルト(51)とナット(52,53)とは同一の耐熱性材料(インコネル合金等の耐熱鋼)から構成されているため、線膨張率が同一である。従って温度変化があった場合でも、両者の伸縮差を最小に留めることができ、連結ボルト(51)とナット(52,53)との締結に緩みが生じにくい。また、連結ボルト(51)とナット(52,53)とが異なる材質である場合には、高圧蒸気下で両部材間に生じる電位差から電蝕が生じ得る。ところが本発明では両者を同一の耐熱性材料としているため、電蝕は生じない。以上のことは、長期間のメンテナンスフリー化に繋がる。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のスイングアームと弁体との連結構造を有した再熱蒸気止弁である。
本発明によると、製作時間の短縮化および歩留まりの向上を図ることができると共に、十分な靭性を得ることのできる、スイングアームと弁体との連結構造、および再熱蒸気止弁が提供される。
本発明に係る再熱蒸気止弁の構成概要を示す正面断面図である。 本発明に係る再熱蒸気止弁の構成概要を示す側面断面図である。 スイングアームと弁体との連結構造を示す正面断面図である。 本発明に係る再熱蒸気止弁の自動調心機能を説明するための図である。 本発明に係る再熱蒸気止弁における弁体の製作方法を簡略的に説明するための図である。 従来の再熱蒸気止弁の構成概要を示す正面断面図である。 従来の再熱蒸気止弁における弁体の製作方法を簡略的に説明するための図である。
本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る再熱蒸気止弁の構成概要を示す正面断面図、図2は本発明に係る再熱蒸気止弁の構成概要を示す側面断面図、図3はスイングアームと弁体との連結構造を示す正面断面図である。なお、各図において、図6に示した従来の再熱蒸気止弁100と同一の構成要素については同一の符号を付してある。
図1,2に示すように、再熱蒸気止弁1は、ケーシング10、弁体20、スイングアーム30およびアーム駆動部40を備える。
ケーシング10は、例えば9〜12mol.パーセントのクロムを含むフェライト系耐熱鋼を材質とした略樽状体からなる。ケーシング10の内部には、主蒸気STの入口となる入口ポート11、主蒸気STの出口となる出口ポート12、これら入口ポート11および出口ポート12に連通する弁室13、並びに弁室13内でリング状面をなす弁座14を有する。ケーシング10の上面は蓋体10aとなっており、蓋体10aの下部にはストッパーボルト15が取り付けられている。
弁体20は、弁室13内に配され、入口ポート11から出口ポート12へ流れる主蒸気STを一時的に遮断する機能を有する。弁体20は、インコネル合金等の耐熱鋼を材質とした球面円盤体からなる。即ち弁体20の外側面は球面の一部をなす凸面状に形成され、内側面は球面の一部をなす凹面状に形成される。なお弁体20の中心位置には、その中心軸J1方向に貫通する弁体中心貫通穴21が穿設されている。
スイングアーム30は、例えば9〜12mol.パーセントのクロムを含むフェライト系耐熱鋼を材質とした厚肉の逆三角板状体(図2参照)からなる。スイングアーム30は、その底辺側30bにおいて水平軸J0周りに回動駆動可能となるようにケーシング10の内部に水平ロッド42により軸支される。スイングアーム30の連結端(頂点側)30aは、弁体20に連結される部位であり、スイングアーム30の回動方向に貫通する連結端貫通穴31を備える。ここでスイングアーム30の回動方向とは、スイングアーム30の法線方向に一致し且つ水平軸J0に直行する方向である。また連結端貫通穴31の周囲に、図3に示すように、表面にステライト(登録商標)32を溶接することで耐蝕性を増強させている。
弁体20とスイングアーム30とは、図3に示すように、締結部材50によって連結している。締結部材50は、具体的には、連結ボルト51、第1ナット52および第2ナット53を備える。
連結ボルト51は、スイングアーム30における連結端貫通穴31と、弁体20における弁体中心貫通穴21との両方に挿通した状態で、スイングアーム30の外方と弁体20の外方とにそれぞれ突出可能な長さとされる。その材質は、インコネル合金等の耐熱鋼とされ、両サイドに雄ネジ51a,51bを有した中太状の丸棒体とされる。連結ボルト51の靭性は高いほど良く、例えば吸収エネルギーが2.0kgf・m以上であることが好ましい。弁体20における通常の着座速度(例えば0.3m/s)を超える速度に対しても十分に耐え得るからである。
第1ナット52および第2ナット53は、それぞれインコネル合金等の耐熱鋼を材質とした緩止め機能付ナットであり、連結ボルト51における各雄ネジ51a,51bにそれぞれ螺合可能な雌ネジを備える。また、それぞれ緩止め用のピン53a,53bを装着するためのピン孔54a,54bを備える。緩止め機能は、緩止め用のピン53a,53bをそれぞれピン孔54a,54bに装着することで実現される。
弁体20とスイングアーム30との連結は、次のようにしてなされる。即ち、まず弁体20における弁体中心貫通穴21と、スイングアーム30における連結端貫通穴31とが重なるように弁体20とスイングアーム30とを当接させる。次いで、弁体中心貫通穴21と連結端貫通穴31との両穴に、連結ボルト51を挿通させる。次いで、連結ボルト51のうち連結端貫通穴31から突出した雄ネジ51aに第1ナット52を締結し、連結ボルト51のうち弁体中心貫通穴21から突出した雄ネジ51bに第2ナット53を締結する。
連結ボルト51におけるスイングアーム30側の外径は、連結端貫通穴31の内径よりも若干小さくなっており、連結ボルト51の外周面と連結端貫通穴31の内周面との間に第1間隙D1が形成されるようになっている。また、第1ナット52の内側面とスイングアーム30の外側面との間には第2間隙D2が形成されるようになっている。第1間隙D1および第2間隙D2は、弁体20に自動調心機能を持たせるための手段である(詳細は後述する)。また、蒸気タービンの運転中に生じたスケールにより各部材同士が固着するのを防止するための手段でもある。
アーム駆動部40は、スイングアーム30を水平軸J0周りに回動駆動する構成要素であり、具体的には、直動駆動源41、水平ロッド42およびリンク機構43などからなる。直動駆動源41は、直線駆動可能なアクチュエータを備えた電動サーボモータや油圧サーボモータなどで構成される。水平ロッド42は、ケーシング10に対してスイングアーム30を水平軸J0周りに回動可能に軸支する部材である。リンク機構43は、直動駆動源41と水平ロッド42とを連結して直動駆動源41の直線動作を水平ロッド42の回動動作に変換する伝達機構である。
アーム駆動部40がスイングアーム30を回動駆動することにより、弁体20は、次述の流路開放位置P1と流路閉塞位置P2とに選択的に切り替えて配置される。
即ち、流路開放位置P1は、入口ポート11から出口ポート12に至る流路を開放する位置である。具体的には、流路閉塞位置P2にある弁体20を、図1において時計周り方向に90度回動させた位置である。なお流路開放位置P1では、弁体20の連結ボルト51がストッパーボルト15に当接するようになっている。弁体20が流路開放位置P1にあるとき、入口ポート11から出口ポート12に至る流路は開放されるので、主蒸気STが中蒸気タービン側へ流れる。
一方、流路閉塞位置P2は、入口ポート11から出口ポート12に至る流路を閉塞する位置である。具体的には、弁体20が弁座14に着座する位置であり、このときの弁体20の中心軸J1は、弁座14の中心軸J2に一致するように設計されている。弁体20が流路閉塞位置P2にあるとき、入口ポート11から出口ポート12に至る流路は閉塞されるので、主蒸気STが遮断される。
以上のような構成要素を備えた再熱蒸気止弁1では、後段に設けられた中圧蒸気タービンの回転速度が所定以上になったときに、アーム駆動部40によりスイングアーム30を水平軸J0周りに図1中の反時計周り方向に回動駆動する。これにより弁体20を流路開放位置P1から流路閉塞位置P2に移動させ、弁座14に着座させる。その結果、入口ポート11から出口ポート12に至る流路を閉塞することで、中圧蒸気タービンに向けて流れる主蒸気STを遮断する。
ここで、弁体20が流路閉塞位置P2にあるときの弁体20の中心軸J1は、弁座14の中心軸J2に一致していることが理想的である。しかしながら実際には、ケーシング10とスイングアーム30との温度差などにより、両軸心が若干ずれることがある。本再熱蒸気止弁1では、このような軸心ずれが生じた場合でも、自動的に軸心ずれを補正する調心機能を備える。
例えば図4(A)に示すように、弁体20が流路閉塞位置P2にあるときの弁体20の中心軸J1と、弁座14の中心軸J2とに平行度の誤差があった場合、次のようにして自動調心が行われる。
流路開放位置P1にある弁体20は、アーム駆動部40によりスイングアーム30が反時計周り方向に駆動されることで円弧の軌跡を辿って流路閉塞位置P2に向かう。図4(A)のように、弁座14の中心軸J2が弁体20の中心軸J1に対して下流側上がりになっている場合には、弁体上方部20Uが最初に弁座14に当接する。ここで第1間隙D1および第2間隙D2が形成されていることにより、連結ボルト51は連結端貫通穴31の中で揺動自在とされる。つまり弁体20はスイングアーム30に対して偏角可能となる。このため弁体20は、最初に弁体上方部20Uを弁座14に当接させた後に、図4(B)のように、スイングアーム30から独立して更に反時計周り方向に回動する。その結果、弁体下方部20Dは弁体上方部20Uの当接から若干遅れて弁座14に当接する。このようにして弁体20は完全に弁座14に着座する。つまり、弁座14への弁体20の密着性に優れ、蒸気漏れが生じるのを確実に防止することができる。
本発明に係る再熱蒸気止弁1において、締結部材50は、弁体20とスイングアーム30とを連結するための部材である。従って弁体20が弁座14に着座したときに、この締結部材50も衝撃を受ける。上述した自動調心がなされるような着座をした場合は、特に大きな応力が締結部材50に発生する。従って締結部材50には、この衝撃に十分に耐え得る靭性が要求される。
本発明に係る再熱蒸気止弁1では、締結部材50の一要素である連結ボルト51は、ボルト単品としての構成要素であるため、かなり靭性の高いものを安価に入手することが可能である。第1ナット52および第2ナット53についても、ナット単品としての構成要素であるため、かなり靭性の高いものを安価に入手することが可能である。このため、かなり強い衝撃にも十分に耐え得る。
また、連結ボルト51と第1ナット52および第2ナット53とは同一の耐熱性材料(インコネル合金等の耐熱鋼)から構成されているため、線膨張率が同一である。従って温度変化があった場合でも、両者の伸縮差を最小に留めることができ、連結ボルト51と第1ナット52との締結、および連結ボルト51と第2ナット53との締結に緩みが生じにくい。また、連結ボルト51と第1ナット52および第2ナット53とが異なる材質である場合には、高圧蒸気下で両部材間に生じる電位差から電蝕が生じ得る。ところが本実施形態では両者を同一の耐熱性材料としているため、電蝕は生じない。以上のことは、長期間のメンテナンスフリー化に繋がる。
次に、再熱蒸気止弁1における弁体20についてその製作方法を略記する。
図5は再熱蒸気止弁1における弁体20の製作方法を簡略的に説明するための図である。
まず、鍛造された耐熱鋼からなる円柱部材200を上下のプレス71,72間に配置する(図5(A))。次いで、高温下で上側プレス71を軸JJ回りに回転させながら軸方向に加圧し、据込を行う(図5(B))。この据込みは、円柱部材200が所定厚さの円盤部材210となるまで行う(図5(C))。次いで、円盤部材210の一面側の中心位置に、その中心軸方向に貫通する弁体中心貫通穴21が形成されるように穿孔を行う。その後、弁体中心貫通穴21を形成した円盤部材210に対しその表面が凸状面となるように不要箇所22Bの削出しを行うと共に、裏面が凹状面となるように不要箇所23Cの削出しを行い、弁体20とする(図5(D))。
本発明に係る再熱蒸気止弁1において、スイングアーム30と弁体20との連結構造を製作するにあたり、弁体20に必要となる主な加工は、弁体中心貫通穴21の穿孔と、表面を凸状面にするための削出しと、裏面を凹状面にするための削出しである。従来とは異なり、突起部21Aを残すための材料の削出し(図7(D)参照)は行わない。このため無駄になる材料が減り、製作のための作業時間が短くて済むと共に、歩留まりがよい。
以上、本発明の実施形態について説明を行ったが、上に開示した実施形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
1 再熱蒸気止弁
20 弁体
21 弁体中心貫通穴
30 スイングアーム
30a 連結端
31 連結端貫通穴
50 締結部材
51 連結ボルト
51a 雄ネジ
51b 雄ネジ
52 第1ナット(ナット)
53 第2ナット(ナット)
D1 第1間隙
D2 第2間隙
J0 水平軸(回動軸)
J1 中心軸

Claims (4)

  1. 回動軸を中心として回動可能に設けられたスイングアームと、スイングアームの連結端に連結された弁体とを備え、蒸気流を一時的に遮断するためのスイング弁におけるスイングアームと弁体との連結構造であって、
    弁体は、その中心位置に中心軸方向に貫通する弁体中心貫通穴を有し、
    スイングアームは、弁体との連結端においてスイングアームの回動方向に貫通する連結端貫通穴を有し、
    弁体中心貫通穴と連結端貫通穴とが重なるように弁体とスイングアームとを当接させた状態で、弁体中心貫通穴と連結端貫通穴との両穴に挿通して弁体とスイングアームとを締結する高靭性の締結部材を設け
    締結部材は、スイングアームの外方と弁体の外方とに突出可能な長さとされると共に、その長手方向両端に雄ネジを有した連結ボルトと、各雄ネジに螺合可能なナットとからなり、
    連結ボルトと連結端貫通穴との間に第1間隙を設け、スイングアーム側におけるナットの内側面とスイングアームの外側面との間に第2間隙を設けることで、連結端貫通穴内で連結ボルトを揺動可能としてあり、
    連結端貫通穴の周囲の表面に、耐蝕性増強材を溶接した
    ことを特徴とするスイングアームと弁体との連結構造。
  2. 連結ボルトの吸収エネルギーが2.0kgf・m以上である請求項に記載のスイングアームと弁体との連結構造。
  3. 連結ボルトとナットとが同一の耐熱性材料から構成された請求項1又は2に記載のスイングアームと弁体との連結構造。
  4. 請求項1から請求項のいずれかに記載のスイングアームと弁体との連結構造を有した再熱蒸気止弁。
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