JP5673954B2 - 自動水栓装置 - Google Patents
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Description
そして、本発明者は、上記構成に加えて泡沫吐水を組み合わせたところ、水流の周囲に沿って延びるべき電波強度の高い部分が延び難くなるという新たな課題を見出した。これは、空気を含む水流によって電波の減衰量が高まるためと考えられる。
このように、本発明は、空気の泡を含む洗浄水が吐水される場合であっても、水と電波との干渉を利用して、止水中及び吐水中に適した理想的な検知範囲を自動的に切り替えられることができ、これにより、誤吐水及び誤止水のない、使い勝手のよい自動水栓装置を提供することができる。
このように構成された本発明においては、吐水口を電波放射口よりも下流側に配置することにより、電波強度の最も高い電波放射口近傍における電波と洗浄水との干渉を防止し、電波の減衰量を抑制及び調整することができる。これにより、水流の周囲に沿って下流側へ延びるように形成される検知範囲の長さが減衰によって短くなることを効果的に抑制することができる。
また、本発明において好ましくは、指向性決定手段は、吐水中においては電波放射口から放射された電波の電界成分を吐水口から吐水された洗浄水の水流に対して直交状態で連続的に干渉させて電波を減衰及び反射させる構成である。
このように構成された本発明においては、吐水中においては電波放射口から放射された電波の電波成分を吐水口から吐水された洗浄水の水流に対して直交状態で連続的に干渉させることにより、電波が水流の表面で反射され易くすることができる。これにより、洗浄水の水流の周囲に沿って電波の到達距離を延ばすことができる。
このように構成された本発明においては、洗浄水に含まれる空気の混入量によって吐水中における電波の減衰量を変更するか、電波放射口に対して吐水口が突出する長さを変更することによって、吐水中の検知範囲が水流に沿って延びる程度、及び、吐水中の検知範囲の吐水方向に対して直交する方向の大きさを変更して、吐水中の検知範囲を調整することができる。このように本発明では、電波センサの送信電波強度の切り替えや可動部材等による電波の放射方向の機械的な変更等の困難な調整を行うことなく、簡易な方法で、吐水中の検知範囲を調整することが可能となる。
また、具体的には、洗浄水に含まれる空気の混入量を変更する工程において、電波センサの検知範囲を狭くする場合には、洗浄水に含まれる空気の混入量を増やせばよい。
図1は、本実施形態の自動水栓装置1が、洗面台に取付けられた状態を示している。洗面台は、所定の凹部形状を有するシンク2と、基台3とを有している。シンク2の底面には、排水口2aが設けられている。
なお、本実施形態では洗浄水が吐水口26から斜め下方向に吐出されるように構成されているが、洗浄水が吐水口26からほぼ真下に向けて吐出されるように構成してもよい。
フレキシブル管22は、その上流端に吐水弁30が直接的又は間接的に接続され、下流端に吐水キャップ21が接続されている。
なお、図1及び図2に示された自動水栓装置1では、吐水キャップ21は整流キャップであるが、以下に述べるように、電波センサ40の検知範囲を設定するために、所定の混入量に設定された泡沫キャップを用いてもよい。
対象物が静止している場合は、送信波(送信信号)と反射波(受信信号)の周波数が同一であるので、電波センサ40は対象物の有無を検出しにくい。しかしながら、対象物が動いている場合は、反射波の周波数が変化するため、混合器の出力に差分信号があらわれる。この差分信号により、電波センサ40は、対象物の有無及び移動方向(接近又は離反)を検出し、検出信号(図6参照)を制御部50へ出力する。検出信号は、対象物の移動速度に応じた周波数成分を有する速度信号であり、移動している対象物が存在することをあらわすものである。
図7(A)は吐水口26から洗浄水が吐水されている状態(洗浄水が妨げられずにシンク2の底面に到達している)、図7(B)は樹脂製のコップに水を溜めている状態、図7(C)は洗浄水の水流中で両手を洗っている状態に対応している。図7では、基準値が約2.5Vであり、閾値Tが基準値を中心とした範囲で示されている。
また、図7(B),図7(C)に示すように、本実施形態では、コップに水を溜めるときや、洗浄水中で手洗いをしているときには、比較的大きな振幅を有する検出信号が検知されるように電波の指向性が調整されている。そして、閾値Tは、これらの検出信号の振幅よりも小さな値に設定されている。これにより、制御部50は、コップに水を溜めている動作中や、手洗い動作中には、閾値T以上の検出信号に基づいて吐水を継続させることができる。
図1は、止水中の検知範囲a1を示している。検知範囲a1は、吐水口26付近から放射方向B1(吐水方向A)に沿って細長く延びるように形成される。また、コップからシンク2に流された水を検知しないように、検知範囲a1の下端は、シンク2の底面に到達しないように設定されている。
なお、本明細書では、水流又は水栓装置の横方向とは、連通管10に正対した使用者の横方向を意味し、図1及び図2では紙面に垂直な方向であり、図11等では方向Dで示されている。
さらに、電波制限部材17は、吐水方向Aから見て、導波管部15のうち、吐水口26の中心より下側(使用者側Cとは反対側)の部位に配置されており、これにより、電波放射口27の細長い窓は、吐水口26の中心より下側に形成されない。このため、電波放射口27から放射された電波は、洗浄水の水流Wによって、使用者側Cとは反対側に向かうことが抑制されるので、吐水中にシンク2からの水跳ねを検知し難くすることができる。
図11は、止水中に電波放射口27から放射された電波の電波強度分布と、止水中の電波センサ40の検知範囲a1及び内側検知範囲a10を示している。図11(A)は吐水口26付近を側方から見た状態、図11(B)は吐水口26付近を上方から見た状態、図11(C)は吐水口26付近を吐水方向Aから見た状態を示している。以下の図面も同様である。検知範囲a1,a10は、止水中において、連通管10の電波放射口27から放射される電波ビームにより対象物を検知できる範囲を示している。
本実施形態では、吐水中に、洗浄水の水流Wと検知範囲a1の電波とを干渉させて、電波の一部を減衰及び反射させることにより、検知範囲a2を設定している。本実施形態では、洗浄水の吐出の有無のみに応じて、止水中と吐水中の適切な検知範囲が自動的に切り替えられるように構成されている。電波の減衰は電波の放射強度を弱めて放射パターン(検知範囲)を全体的に小さくし、電波の反射は電波の放射パターンの全体的な形状を変化させる。これにより、検知範囲a2は、検知範囲a1と一部領域が重なるが、検知範囲a2の大きさは検知範囲a1よりも小さく、検知範囲a2の形状は検知範囲a1と異なる。
図13(A)は、吐水口26から吐水方向Aに20mm離れた位置P0(図11参照)で歯ブラシを左右に動かした状態の検出信号である(吐水は強制的に停止させている)。なお、図13及び図14では、基準値が0Vに設定されている。
位置P0は、内側検知範囲a10内に位置する。このため、位置P0で歯ブラシを動かすと、内側検知範囲a10内の高い電波強度の電波が歯ブラシで反射されるため、閾値T以上の振幅の検出信号が検出され、制御部50は吐水を開始及び継続する制御を行うことができる。
図14(A)は、水流Wが妨げられることなくシンク2の底面に到達している状態の検出信号を示している(吐水は強制的に継続させている)。図14(A)に示すように、単に吐水している状態では、検出信号の振幅が閾値Tより小さくなるので、制御部50は吐水状態から止水状態に切り替える制御を行うことができる。
図15では、空気混入量50%の吐水中の検知範囲,内側検知範囲を、それぞれ検知範囲a250,検知範囲a2050で示し、図16では、空気混入量100%の吐水中の検知範囲,内側検知範囲を、それぞれ検知範囲a2100,検知範囲a20100で示している。
このように、本発明では、シンク2等の形状に合わせて、吐水キャップ21によって空気混入量を調整することにより、適切な大きさ及び吐水方向Aの長さを有する検知範囲、及び、内側検知範囲を予め設定することができる。
図17(A)では、本体部の長さが短いタイプの吐水キャップ21を用いており、図17(B)では、水管20に対する吐水キャップ21の挿入距離を変更している。なお、図17(B)において、挿入距離の調整ではなく、本体部の長さが長いタイプの吐水キャップ21を用いて、突出距離を変更してもよい。
このように、本実施形態では、シンク2等の形状に合わせて、突出距離Xを最適な長さに調整することにより、最適な大きさ及び吐水方向Aの長さを有する検知範囲、及び、内側検知範囲を予め設定することができる。
自動水栓装置1を洗面台に取り付けるため、先ず、自動水栓装置1から吐水される洗浄水がシンク2の底面の所定箇所に着水するように、自動水栓装置1を基台2に固定し、その後、自動水栓装置1の電波センサ40の検知範囲a1,a2及び内側検知範囲a10,a20を調整する。
また、突出距離Xの設定は、吐水キャップ21の水管20に対する挿入距離の変更、又は、本体部の長さが異なる吐水キャップ21への変更により行うことができる。
なお、本実施形態では、電波センサ40の送信電波の出力強度は、固定されており、止水中と吐水中においても同一である。
このように、本実施形態の自動水栓装置1では、種々の洗面台に応じて、取付時に、最適な検知範囲及び内側検知範囲を予め設定することができる。
2 シンク
10 連通管
20 水管
26 吐水口
27 電波放射口
40 電波センサ
50 制御部
A 吐水方向
B1,B2 放射方向
a1,a2 検知範囲
Claims (4)
- 支持体に基端部が固定され使用者側に向けて延在する連通管と吐水弁を備えた水栓本体と、前記連通管内に配置され、前記水栓本体の端部である吐水口部に形成された吐水口に洗浄水を供給する水管と、使用者の動作状態を検知する電波センサと、前記電波センサの検出信号に基づいて前記吐水弁の開閉を切り替えて、前記吐水口からの洗浄水の吐水と止水を行う制御手段と、を備えた自動水栓装置において、
前記連通管内面と前記水管との間に設けられた電波を通過させる電波通過用経路と、
前記水栓本体の前記基端部側に設けられ、前記電波通過用経路に電波を伝達するように配置された前記電波センサと、
前記電波通過用経路に連通し、前記連通管内を通過してきた電波を外部に放出するために前記吐水口部に形成された電波放射口と、
前記電波放射口から放射される電波の指向性を決定する指向性決定手段と、を備え、
前記指向性決定手段は、止水中においては前記電波放射口から放射される電波を前記吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向に沿うように指向させると共に前記吐水方向に直交する平面において前記吐水口に対する前記水栓本体の基端部側と前記使用者側とを結ぶ第1方向への電波の広がりを前記吐水方向及び前記第1方向と直交する第2方向への電波の広がりよりも大きくなるように指向させ、かつ、吐水中においては前記電波放射口から放射された電波を前記吐水口から吐水された洗浄水の水流に対して連続的に干渉させて減衰及び反射させ、止水中よりも吐水中の前記電波センサの検知範囲を前記水流の周囲に沿って下流側に延ばし、
前記水管は、前記吐水口から空気の泡を含む洗浄水を吐水するように構成されており、
前記電波放射口の近傍の最も電波強度の強い領域よりも前記吐水口の方が洗浄水の吐水方向の下流側に配置され、前記電波放射口から放射された電波が空気の泡を含む洗浄水の水流によって減衰されることを抑制する減衰抑制手段を更に備えたことを特徴とする自動水栓装置。 - 前記指向性決定手段は、吐水中においては前記電波放射口から放射された電波の電界成分を前記吐水口から吐水された洗浄水の水流に対して直交状態で連続的に干渉させて電波を減衰及び反射させることを特徴とする請求項1に記載の自動水栓装置。
- シンクに向けて吐水可能なように請求項1に記載の自動水栓装置を基台に固定する工程と、
前記電波センサの検知範囲を調整する調整工程と、を備え、
前記調整工程は、洗浄水に含まれる空気の混入量を変更する工程、及び/又は、前記電波放射口に対して前記吐水口が下流側に突出する長さを変更する工程を含むことを特徴とする自動水栓装置の取付方法。 - 前記洗浄水に含まれる空気の混入量を変更する工程において、前記電波センサの検知範囲を狭くする場合には、洗浄水に含まれる空気の混入量を増やすことを特徴とする請求項3に記載の自動水栓装置の取付方法。
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