JP5673880B1 - 感光性樹脂組成物、電子装置、および電子装置の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、電子装置、および電子装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の密着性を向上させる。【解決手段】感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂と、カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物と、架橋剤と、有機溶剤と、を含み、80℃、180秒で揮発分を乾燥して形成した膜を測定対象として、示差走査熱量計により10℃/分の昇温速度で測定したDSC曲線が、以下の(a)および(b)を満たす。(a)80℃以上120℃以下の温度領域に、発熱ピークを有する(b)前記発熱ピークの熱量が、0.1J/g以上10J/g以下である【選択図】図1

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、電子装置、および電子装置の製造方法に関する。
電子装置の製造に際して、感光性樹脂組成物が用いられることがある。このような技術としては、たとえば特許文献1に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、アルカリ可溶性フェノール樹脂、ポリヒドロキシスチレン、またはポリヒドロキシスチレンの誘導体である重合物100質量部に対して、感光性ジアゾナフトキノン化合物1〜100質量部、有機溶剤100〜1000質量部、およびアルコキシシリル基含有の有機化合物である接着助剤0.1〜20質量部を含む感光性樹脂組成物が記載されている。
特開2008−164816号公報
上述のように、電子装置の製造に際して、感光性樹脂組成物を用いる場合がある。この場合、たとえば感光性樹脂組成物を塗布して得られる樹脂膜に対して露光、現像することにより、当該樹脂膜のパターニングを行うことができる。しかしながら、上記樹脂膜の他の部材に対する密着性が良好でない場合には、安定したパターニングを行うことが困難となることが懸念される。このため、感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の密着性を向上させることが求められていた。
本発明によれば、
アルカリ可溶性樹脂と、
カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物と、
架橋剤と、
有機溶剤と、
を含み、
80℃、180秒で揮発分を乾燥して形成した膜を測定対象として、示差走査熱量計により10℃/分の昇温速度で測定したDSC曲線が、以下の(a)および(b)を満たす感光性樹脂組成物が提供される。
(a)80℃以上120℃以下の温度領域に、発熱ピークを有する
(b)前記発熱ピークの熱量が、0.1J/g以上10J/g以下である
本発明によれば、上述の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜を備える電子装置が提供される。
本発明によれば、
上述の感光性樹脂組成物を塗布して樹脂膜を得る工程と、
前記樹脂膜に対し、プリベークを行う工程と、
前記樹脂膜に対し、露光および現像を行う工程と、
前記樹脂膜を硬化させる工程と、
を備え、
プリベークを行う前記工程において、前記発熱ピークのピーク温度よりも高い温度により前記樹脂膜に対しプリベークが行われる電子装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の密着性を向上させることができる。
本実施形態に係る電子装置の一例を示す断面図である。 感光性樹脂組成物に対するDSC測定により得られたDSC曲線である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂と、カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物と、架橋剤と、有機溶剤と、を含む。また、感光性樹脂組成物は、80℃、180秒で揮発分を乾燥して形成した膜を測定対象として、示差走査熱量計により10℃/分の昇温速度で測定したDSC曲線が、以下の(a)および(b)を満たす。
(a)80℃以上120℃以下の温度領域に、発熱ピークを有する
(b)前記発熱ピークの熱量が、0.1J/g以上10J/g以下である
本実施形態においては、たとえば感光性樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対してプリベークを行い脱溶媒することにより樹脂膜が形成される。しかしながら、上述したように、感光性樹脂組成物を用いて得られる上記樹脂膜の他の部材に対する密着性が良好でない場合には、当該樹脂膜に対して安定的なパターニングを行うことが困難となることが懸念される。たとえば、上記樹脂膜の密着性が低い場合には、パターンが現像処理によって消失または変形してしまうおそれがあった。このような問題は、パターンの微細化に伴ってより顕著となる。したがって、パターンの微細化に伴い、上記樹脂膜の密着性向上に対する要求はこれまで以上に高まってきている。
鋭意検討の結果、本発明者は、感光性樹脂組成物が上記(a)および上記(b)を満たす場合に、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の密着性を向上させることができることを新たに見出した。したがって、本実施形態によれば、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の密着性を向上させることができる。これにより、製造安定性に優れた電子装置を実現することも可能となる。
以下、本実施形態に係る感光性樹脂組成物、および感光性樹脂組成物を用いて形成される永久膜を備える電子装置100の構成について詳細に説明する。
まず、感光性樹脂組成物について説明する。
感光性樹脂組成物は、たとえば永久膜を形成するために用いられる。この場合、感光性樹脂組成物を硬化させることにより、永久膜を構成する硬化膜が得られることとなる。本実施形態においては、たとえば感光性樹脂組成物を塗布して得られる樹脂膜を露光および現像により所望の形状にパターニングした後、当該樹脂膜を熱処理等によって硬化させることにより永久膜が形成される。
感光性樹脂組成物を用いて形成される永久膜としては、たとえば層間膜、表面保護膜、またはダム材が挙げられる。なお、感光性樹脂組成物の用途は、これに限定されない。
層間膜は、多層構造中に設けられる絶縁膜を指し、その種類はとくに限定されない。層間膜としては、たとえば半導体素子の多層配線構造を構成する層間絶縁膜、配線基板を構成するビルドアップ層もしくはコア層等の半導体装置用途において用いられるものが挙げられる。また、層間膜としては、たとえば表示装置における薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))を覆う平坦化膜、液晶配向膜、MVA(Multi Domain Vertical Alignment)型液晶表示装置のカラーフィルタ基板上に設けられる突起、もしくは有機EL素子の陰極を形成するための隔壁等の表示装置用途において用いられるものも挙げられる。
表面保護膜は、電子部品や電子装置の表面に形成され、当該表面を保護するための絶縁膜を指し、その種類はとくに限定されない。このような表面保護膜としては、たとえば半導体素子上に設けられるパッシベーション膜もしくはバッファーコート層、またはフレキシブル基板上に設けられるカバーコートが挙げられる。また、ダム材は、たとえば基板上に光学素子等を配置するための中空部分を形成するために用いられるスペーサが挙げられる。
感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対して80℃、180秒で揮発分を乾燥して形成した膜を測定対象として、示差走査熱量計により10℃/分の昇温速度で測定したDSC曲線が、以下の(a)および(b)を満たす。
(a)80℃以上120℃以下の温度領域に、発熱ピークを有する
(b)上記発熱ピークの熱量が、0.1J/g以上10J/g以下である
これにより、上述したとおり、感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の密着性を向上させることができる。本実施形態においては、たとえばウェハ等の半導体基板や、ガラス基板、リードフレーム、有機基板等の基板、層間絶縁膜やビルドアップ層、コア層等の絶縁部材、および配線等の金属部材に対する密着性を向上させることができる。なお、上記DSC曲線において、80℃以上120℃以下の温度領域に一つのみ発熱ピークを有することが、安定した特性の樹脂膜を実現する観点からより好ましい。
上述のように、感光性樹脂組成物が80℃以上120℃以下の温度領域にDSC曲線の発熱ピークを有し、かつこの発熱ピークの熱量が0.1J/g以上10J/g以下であることにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の密着性が向上する理由は定かではない。しかしながら、この理由の一つとしては、露光、現像工程前のプリベークにおいて適度に反応が進行することが推定される。とくに、架橋剤と、カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物と、の間における反応の進行が、密着性向上に大きく寄与しているものと考えられる。本発明者は、上記(a)および上記(b)を満たすことが、密着性を向上させる程度に適度に上記反応が進行することの指標となることを見出し、本実施形態に係る感光性樹脂組成物を実現するに至った。また、上記(a)および上記(b)を満たすことにより、優れたアルカリ溶解性を実現し、現像性の向上に寄与することも可能となる。さらには、感光性樹脂組成物の保存安定性の向上を図ることもできる。
密着性を向上させる観点からは、上記DSC曲線における117℃以下の温度領域に発熱ピークを有することがより好ましく、115℃以下の温度領域に発熱ピークを有することがとくに好ましい。一方で、密着性を向上させつつ優れた保存安定性を得る観点からは、上記DSC曲線における85℃以上の温度領域に発熱ピークを有することがより好ましく、90℃以上の温度領域に発熱ピークを有することがとくに好ましい。
また、密着性を向上させる観点からは、上記DSC曲線の80℃以上120℃以下の温度領域に生じる発熱ピークの熱量が、0.4J/g以上であることがより好ましく、0.6J/g以上であることがとくに好ましい。一方で、密着性を向上させつつアルカリ溶解性を向上させて優れた現像性得る観点からは、上記DSC曲線の80℃以上120℃以下の温度領域に生じる発熱ピークの熱量が8J/g以下であることがより好ましく、6J/g以下であることがとくに好ましい。
なお、上記(a)および上記(b)を算出するための上記DSC曲線は、たとえば開始温度30℃、測定温度範囲30〜330℃、昇温速度10℃/minの条件下で、示差走査熱量計を用いて示差走査熱量測定を行うことにより得ることができる。また、示差走査熱量計としては、とくに限定されないが、たとえばDSC7020、(株)日立ハイテクサイエンス製を使用することができる。
本実施形態においては、カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物と、架橋剤と、をともに含む場合に、これらの反応に起因した発熱ピークがDSC曲線に生じる。そして、このような発熱ピークが生じる条件下において、たとえば感光性樹脂組成物に含まれる各成分の種類や配合割合、および感光性樹脂組成物の調製方法を適切に調整することにより、上記(a)および上記(b)を満たす感光性樹脂組成物を得ることができる。これらの中でも、アルカリ可溶性樹脂、カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物、および架橋剤の種類および配合割合をそれぞれ適切に調整することが上記(a)および上記(b)を満たすためにとくに重要であると推測される。このような調製方法としては、たとえば有機ケイ素化合物としてカルボキシル基を分子内に一個有する化合物とカルボキシル基を分子内に二個有する化合物を含むことや、これらの配合割合を適切に調整すること、アルカリ可溶性樹脂、有機ケイ素化合物、および架橋剤の組み合わせを適切に選択すること等が好ましい態様の例として挙げられる。また、架橋剤と有機ケイ素化合物を、それぞれ別々に添加すること等も、好ましい態様の一例と考えられる。本実施形態においては、このような知見に基づいて感光性樹脂組成物の製造方法を適切に調整することによって、上記(a)および上記(b)を満たす感光性樹脂組成物を実現するものである。
上述のとおり、感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物(B)と、架橋剤(C)と、有機溶剤と、を含む。本実施形態において、感光性樹脂組成物は、たとえばワニス状である。
((A)アルカリ可溶性樹脂)
アルカリ可溶性樹脂(A)は、たとえばフェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、メタクリル酸樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等のアクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリイミド前駆体等のアミド結合を有する前駆体、ならびに当該前駆体を脱水閉環して得られる樹脂、および下記式(1)で示される共重合体から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、感光性樹脂組成物の現像性や硬化性、密着性、成膜性、および硬化膜の機械的強度を向上させる観点からは、フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、アミド結合を有する前駆体、および下記式(1)で示される共重合体から選択される一種または二種以上を含むことがより好ましい。これらの中でも、低温での硬化性を向上させる観点からは、アミド結合を有する前駆体、および下記式(1)で示される共重合体のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましく、下記式(1)で示される共重合体を含むことがとくに好ましい。
Figure 0005673880
式(1)中、lおよびmは共重合体中におけるモル含有率(モル比)を示し、l+m≦1、0.1≦l≦0.9、0.1≦m≦0.9である。nは0、1または2である。R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。R、R、RおよびRは、互いに同一であってもよく、また互いに異なっていてもよい。Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である。上記式(1)により示される共重合体には、下記式(2a)、(2b)、(2c)および(2d)から選択される1種または2種以上の構造単位Aが含まれる。本実施形態においては、少なくとも下記式(2a)、(2b)および(2c)から選択される1種または2種以上の構造単位Aが含まれることが好ましい。なお、上記式(1)で示される共重合体は、上記式(1)に示す構造単位以外の他の構造単位を含んでいてもよい。
Figure 0005673880
式(2a)および式(2b)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である。
本実施形態において、上記式(1)で示される共重合体には、上記式(2a)により示される構造単位A、および上記式(2c)により示される構造単位Aを含むことが好ましい。また、これらとともに、上記式(2b)により示される構造単位Aをさらに含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物について、フォトリソグラフィ工程におけるアルカリ現像液への溶解性を調整することが容易となる。
本実施形態において、R、R、RおよびRを構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられ、これらのなかから選択できる。アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられ、これらのなかから選択できる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
なお、R、R、RまたはRとしてアルキル基を含むことにより、感光性樹脂組成物の製膜性を向上させることができる。また、R、R、RまたはRとしてアリール基を含むことにより、感光性樹脂組成物について、リソグラフィ工程におけるアルカリ現像液を用いた現像の際の膜減りを抑えることができる。
また、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基は、1以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。R、R、RおよびRの少なくともいずれか1つをハロアルキル基とすることで、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の誘電率を低下させることができる。
なお、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の光透過性を高める観点から、R、R、RおよびRのいずれかが水素であることが好ましく、R、R、RおよびRすべてが水素であることがより好ましい。
本実施形態において、R、RおよびRを構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられ、これらのなかから選択できる。ここでアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
また、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基は、1以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。
上記式(1)に示される共重合体は、たとえば下記式(3)で表されるノルボルネン型モノマーに由来した繰り返し単位と、下記式(4)に示す無水マレイン酸に由来した繰り返し単位と、が交互に配列されてなる交互共重合体であることが好ましい。なお、上記式(1)に示される共重合体は、ランダム共重合体やブロック共重合体であってもよい。
下記式(4)に示す無水マレイン酸に由来した繰り返し単位とは、上記式(1)中のAにより表される構造単位である。なお、アルカリ可溶性樹脂(A)には、低分子量成分として下記式(3)および(4)により示されるモノマーが含まれていてもよい。
Figure 0005673880
式(3)中、nは0、1または2であり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。
アルカリ可溶性樹脂(A)におけるアミド結合を有する前駆体としては、たとえば下記一般式(5)により示される繰り返し単位を有するものを用いることができる。
Figure 0005673880
式(5)中、XおよびYは、有機基である。Rは、水酸基、−O−R、アルキル基、アシルオキシ基、またはシクロアルキル基であり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なっても良い。Rは、水酸基、カルボキシル基、−O−R、または−COO−Rであり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なっても良い。RおよびRにおけるRは、炭素数1〜15の有機基である。Rとして水酸基がない場合、Rの少なくとも1つはカルボキシル基である。Rとしてカルボキシル基がない場合は、Rの少なくとも1つは水酸基である。mは0〜8の整数であり、nは0〜8の整数である。
なお、一般式(5)により示されるアミド樹脂において、X、Y、R〜R、mおよびnは、それぞれ繰り返し単位毎に同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
一般式(5)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体において、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応を生じさせることにより、ポリイミド樹脂もしくはポリベンゾオキサゾール樹脂、またはイミド結合とオキサゾール環を含む共重合体が生成される。アルカリ可溶性樹脂(A)としてアミド結合を有する前駆体を用いる場合、アルカリ可溶性樹脂(A)は、ポリイミド樹脂およびポリベンゾオキサゾール樹脂のうちの一方または双方をさらに含んでいてもよい。
一般式(5)により示されるアミド結合を有する前駆体がポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、Rの少なくとも一つは水酸基である。この場合、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応により、Rとアミド構造との間において脱水閉環が起こり、オキサゾール環を有するポリベンゾオキサゾール樹脂が生成される。このとき、アルカリ可溶性樹脂(A)には、ポリベンゾオキサゾール前駆体またはポリベンゾオキサゾール樹脂の少なくとも一方が含まれることとなる。
また、一般式(5)により示されるアミド結合を有する前駆体がポリイミド前駆体である場合、Rの少なくとも一つはカルボキシル基である。この場合、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応により、Rとアミド構造との間において脱水閉環(イミド化)が起こり、ポリイミド樹脂が生成される。このとき、アルカリ可溶性樹脂(A)には、ポリイミド前駆体またはポリイミド樹脂の少なくとも一方が含まれることとなる。
一般式(5)で表される繰り返し単位を有するアミド結合を有する前駆体において、RおよびRとしては、アミド結合を有する前駆体のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する上で、水酸基またはカルボキシル基が保護基Rで保護された基を含むことができる。このようなRとしては−O−Rを、Rとしては−O−Rまたは−COO−Rを、それぞれ用いることができる。Rとしての炭素数1〜15の有機基としては、たとえばホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、およびテトラヒドロピラニル基が挙げられる。
一般式(5)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体のXとしての有機基は、とくに限定されるものではないが、たとえばベンゼン環、ナフタレン環またはビスフェノール構造等の構造からなる芳香族基、ピロール環またはフラン環等の構造からなる複素環式有機基、およびシロキサン基が挙げられる。より具体的には以下に示されるものが好ましい。これらは、1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005673880
(*は、一般式(5)におけるNH基に結合することを示す。Aは、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−C−O−、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−または単結合である。Rは、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示し、繰り返し単位毎に同一であっても異なっていてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示す。sは0〜4の整数である。R〜Rはそれぞれ有機基である。ここでは、一般式(5)に示すXの置換基Rは省略している)
これらの中でもとくに好ましいものとしては、たとえば以下に示すもの(一般式(5)に示すRが示されているものを含む)が挙げられる。
Figure 0005673880
(*は一般式(5)におけるNH基に結合することを示す。式中Aは、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−CH−、−C(CH)H−、−C(CH−、−C(CF−、または単結合である。R10は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基およびシクロアルキル基からなる群から選ばれた1つであり、R10が複数ある場合、各R10はそれぞれ同じでも異なってもよい。cは0以上3以下の整数である)
上記Aとしてのアルキレン基、置換アルキレン基の具体的な例としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CHCH)(CHCH)−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−CH(CH(CH)−、−C(CH)(CH(CH)−、−CH(CHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCH)−、−CH(CHCH(CH)−、−C(CH)(CHCH(CH)−、−CH(CHCHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCHCH)−、−CH(CHCHCHCHCHCH)−、および−C(CH)(CHCHCHCHCHCH)−が挙げられる。これらの中でも、−CH−、−CH(CH)−、および−C(CH−が、アルカリ水溶液だけでなく、溶剤に対しても十分な溶解性を持ち、よりバランスに優れるアミド結合を有する前駆体を得ることができることから好ましい。
一般式(5)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体におけるYは有機基であり、このような有機基としてはXと同様のものが挙げられる。一般式(5)におけるYとしては、たとえばベンゼン環、ナフタレン環またはビスフェノール構造等の構造からなる芳香族基、ピロール環、ピリジン環またはフラン環等の構造からなる複素環式有機基、およびシロキサン基等が挙げられる。より具体的には以下に示されるものが好ましい。これらは、1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005673880
(*は、一般式(5)におけるC=O基に結合することを示す。Jは、−CH−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−または単結合である。R13は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示し、繰り返し単位毎に同じでも異なってもよい。R14は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示す。tは0以上2以下の整数である。R15〜R18は、有機基である。ここでは、一般式(5)に示すYの置換基Rは省略している)
これらの中でもとくに好ましいものとしては、たとえば以下に示すもの(一般式(5)に示すRが示されているものを含む)が挙げられる。
なお、以下に示すもののうちテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、一般式(5)におけるC=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でもよい。
Figure 0005673880
Figure 0005673880
Figure 0005673880
(*は一般式(5)におけるC=O基に結合することを示す。R19は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを表し、繰り返し単位毎に同じでも異なっていてもよい。R20は、水素原子または炭素数1以上15以下の有機基から選ばれた1つを示し、一部が置換されていてもよい。uは0以上2以下の整数である)
一般式(5)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、低温で硬化した硬化物の機械物性、耐熱性に影響を及ぼさない程度に、当該前駆体の末端のアミノ基を、アルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物またはモノカルボン酸を用いて、アミドとして末端封止することもできる。
アルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物またはモノカルボン酸としては、たとえばマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、イタコン酸無水物、ヘット酸無水物、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、4−エチニルフタル酸無水物、および4−フェニルエチニルフタル酸無水物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよく、末端封止したアミド部分の一部が脱水閉環していてもよい。
また、一般式(5)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、当該前駆体の末端のカルボン酸残基を、アルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含むアミン誘導体を用いて、アミドとして末端封止することもできる。
一般式(5)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、低温で硬化した硬化物の機械物性、耐熱性に影響を及ぼさない程度に、末端の少なくとも一方に、窒素含有環状化合物により末端封止した基を有してもよい。これにより、金属配線(特に銅配線)等との密着性を向上することができる。窒素含有環状化合物としては、たとえば1−(5−1H−トリアゾイル)メチルアミノ基、3−(1H−ピラゾイル)アミノ基、4−(1H−ピラゾイル)アミノ基、5−(1H−ピラゾイル)アミノ基、1−(3−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(4−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(5−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、(1H−テトラゾル−5−イル)アミノ基、1−(1H−テトラゾル−5−イル)メチル−アミノ基、および3−(1H−テトラゾル−5−イル)ベンズ−アミノ基が挙げられる。
一般式(5)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体は、たとえば一般式(5)におけるXを含むジアミン、ビス(アミノフェノール)または2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物と、Yを含むテトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸、ジカルボン酸ジクロライドまたはジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物と、を反応させて合成することができる。ジカルボン酸を用いる場合には、アミド結合を有する前駆体の反応収率等を高めるため、ジカルボン酸に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
本実施形態におけるアルカリ可溶性樹脂(A)に含まれるアミド結合を有する前駆体の例としては、たとえば以下に示す繰り返し単位を有するものが挙げられる。なお、本実施形態におけるアミド結合を有する前駆体は、これに限定されるものではない。
下記式中、R21は、水素原子または−CHを示す。
Figure 0005673880
Figure 0005673880
アルカリ可溶性樹脂(A)におけるフェノール樹脂としては、たとえばノボラック型フェノール樹脂に代表されるフェノール化合物とアルデヒド化合物との反応物、またはフェノールアラルキル樹脂に代表されるフェノール化合物とジメタノール化合物類との反応物を用いることができる。これらの中でも、フェノール化合物とアルデヒド化合物を反応させて得られるフェノール樹脂を用いることが、現像工程における膜減りを抑える観点、また製造コストの観点からとくに好ましい。
フェノール化合物としては、とくに限定されないが、たとえばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾールもしくはp−クレゾール等のクレゾール類、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノールもしくは3,5−キシレノール等のキシレノール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノールもしくはp−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノールもしくはp−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類、またはレゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、ピロガロールもしくはフロログルシン等の多価フェノール類を用いることができる。これらのフェノール化合物は、単独でまたは2種以上組合せて用いることができる。
アルデヒド化合物としては、アルデヒド基を有する有機基であればとくに限定されないが、たとえばホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、またはサリチルアルデヒドを用いることができる。ベンズアルデヒドとしては、アルキル基、アルコキシ基もしくはヒドロキシ基のうちの少なくとも1種により置換されたもの、または無置換のものを使用することができる。これらのアルデヒド化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
本実施形態においては、たとえば上記フェノール化合物と上記アルデヒド化合物を酸触媒の下で反応させ合成することにより、アルカリ可溶性樹脂(A)であるフェノール樹脂が得られる。酸触媒としては、とくに限定されないが、たとえばシュウ酸、硝酸、硫酸、硫酸ジエチル、酢酸、p−トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、またはベンゼンスルホン酸を用いることができる。
ジメタノール化合物としては、とくに限定されないが、たとえば1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、4,4'−ビフェニルジメタノール、3,4'−ビフェニルジメタノール、3,3'−ビフェニルジメタノールもしくは2,6−ナフタレンジメタノール等のジメタノール化合物、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,3'−ビス(メトキシメチル)ビフェニルもしくは2,6−ナフタレンジカルボン酸メチル等のビス(アルコキシメチル)化合物、または1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン、4,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、3,3'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4'−ビス(ブロモメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(ブロモメチル)ビフェニルもしくは3,3'−ビス(ブロモメチル)ビフェニル等のビス(ハルゲノアルキル)化合物を用いることができる。これらのジメタノール化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)におけるヒドロキシスチレン樹脂としては、ヒドロキシスチレンやスチレンまたはこれらの誘導体を、ラジカル重合、カチオン重合やアニオン重合させることにより得られた重合反応物または共重合反応物を用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して、30重量%以上70重量%以下であることが好ましく、35重量%以上65重量%以下であることがより好ましく、40重量%以上60重量%以下であることがとくに好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、感光性樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。これにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される永久膜の耐熱性や機械的強度、耐久性を向上させることができる。アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、リソグラフィにおける解像性の向上を図ることができる。
なお、感光性樹脂組成物中における不揮発成分の割合(重量%)は、たとえば次のように測定することができる。まず、重量(w)を測定したアルミカップ中に、試料として感光性樹脂組成物を1.0g量り取る。このとき、試料とアルミカップの全重量をwとする。次いで、アルミカップを、210℃に調整した熱風乾燥機中で常圧下、1時間保持した後、熱風乾燥機から取り出して室温まで冷却する。次いで、冷却した試料とアルミカップの全重量(w)を測定する。そして、以下の式から感光性樹脂組成物中における不揮発成分の割合(重量%)を算出する。
不揮発分(重量%)=(w−w)/(w−w)×100
((B)カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物)
カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物(B)は、一個または二個以上のカルボキシル基を含有する有機ケイ素化合物である。感光性樹脂組成物を脱溶媒して得られる樹脂膜の密着性を向上させる観点からは、有機ケイ素化合物(B)が、カルボキシル基を分子内に一個有する化合物(B1)とカルボキシル基を分子内に二個有する化合物(B2)のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましく、化合物(B1)と化合物(B2)をともに含むことがとくに好ましい。これにより、より安定的なパターニングを実現することもできる。また、有機ケイ素化合物(B)は、たとえばアルコキシシリル基を有することがより好ましく、トリアルコキシシリル基を有することがとくに好ましい。
カルボキシル基を分子内に一個有する化合物(B1)としては、たとえば下記式(6)により示される化合物が挙げられる。
Figure 0005673880
式(6)中、aは0〜3の整数である。R22およびR23は、それぞれ独立して二価の有機基を示す。R24およびR25は、それぞれ独立して一価の有機基を示す。樹脂膜の密着性を向上させる観点からは、aが0〜2の整数であることがより好ましい。
22およびR23を構成する二価の有機基としては、たとえば炭素数1〜30のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基が挙げられる。アルキレン基としては、たとえばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、およびn−ヘキシレン基が挙げられる。シクロアルキレン基としては、たとえばシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロペプチレン基、シクロオクチレン基、およびシクロヘキセニレンが挙げられる。アリーレン基としては、たとえばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基が挙げられる。アルケニレン基としては、たとえばビニレン基、プロペニレン基、およびブタジエニレン基が挙げられる。アルキニレン基としては、たとえばエチニレン基、プロピニレン基、およびブチニレン基が挙げられる。なお、R22およびR23を構成する二価の有機基は、酸素原子、または窒素原子を含んでいてもよい。また、R22およびR23中の一以上の水素原子が、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素等のハロゲン原子によって置換されていてもよい。樹脂膜の密着性を向上させる観点からは、R22がアリーレン基またはアルキニレン基であり、かつR23がアルキレン基であることがより好ましい。
24およびR25を構成する一価の有機基としては、たとえば炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、およびシクロアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、およびナフチル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。なお、R24およびR25中の一以上の水素原子が、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素等のハロゲン原子によって置換されていてもよい。
感光性樹脂組成物がカルボキシル基を分子内に一個有する化合物(B1)を含む場合、有機ケイ素化合物(B)全体に対する化合物(B1)の含有量は、たとえば10重量%以上60重量%以下であることが好ましく、15重量%以上45重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の密着性をより効果的に向上させることができる。
カルボキシル基を分子内に二個有する化合物(B2)としては、たとえば下記式(7)により示される化合物が挙げられる。
Figure 0005673880
式(7)中、bおよびcは、それぞれ独立して0〜3の整数である。R28およびR30は、それぞれ独立して二価の有機基を示す。R26、R27、R31およびR32は、それぞれ独立して一価の有機基を示す。R29は、四価の有機基を示す。樹脂膜の密着性を向上させる観点からは、bおよびcが、0〜2の整数であることがより好ましい。
28およびR30を構成する二価の有機基としては、たとえば炭素数1〜30のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基が挙げられる。アルキレン基としては、たとえばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、およびn−ヘキシレン基が挙げられる。シクロアルキレン基としては、たとえばシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロペプチレン基、シクロオクチレン基、およびシクロヘキセニレンが挙げられる。アリーレン基としては、たとえばフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基が挙げられる。アルケニレン基としては、たとえばビニレン基、プロペニレン基、およびブタジエニレン基が挙げられる。アルキニレン基としては、たとえばエチニレン基、プロピニレン基、およびブチニレン基が挙げられる。なお、R28およびR30を構成する二価の有機基は、酸素原子、または窒素原子を含んでいてもよい。また、R28およびR30中の一以上の水素原子が、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素等のハロゲン原子によって置換されていてもよい。樹脂膜の密着性を向上させる観点からは、R28およびR30がアルキレン基であることがより好ましい。
26、R27、R31およびR32を構成する一価の有機基としては、たとえば炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、およびシクロアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、およびナフチル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。なお、R26、R27、R31およびR32中の一以上の水素原子が、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素等のハロゲン原子によって置換されていてもよい。
29を構成する四価の有機基としては、たとえば以下に示すものが挙げられる。
Figure 0005673880
感光性樹脂組成物がカルボキシル基を分子内に二個有する化合物(B2)を含む場合、有機ケイ素化合物(B)全体に対する化合物(B2)の含有量は、たとえば30重量%以上90重量%以下であることが好ましく、50重量%以上80重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の密着性をより効果的に向上させることができる。
有機ケイ素化合物(B)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)全体を100重量部として、0.5重量部以上であることが好ましく、1.5重量部以上であることがより好ましく、2重量部以上であることがとくに好ましい。これにより、感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の密着性をより効果的に向上させることができる。一方で、有機ケイ素化合物(B)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)全体を100重量部として、20重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、7重量部以下であることがとくに好ましい。これにより、現像性をより効果的に向上させることができる。また、現像時の膜減りを抑えることもできる。
((C)架橋剤)
架橋剤(C)は、たとえば反応性基として環状エーテル基を有する化合物を含むことが好ましく、グリシジル基またはオキセタニル基を有する化合物を含むことがより好ましい。これらの中でも、カルボキシル基や水酸基等の活性水素を持つ官能基との反応性の観点からは、グリシジル基を有するエポキシ化合物を含むことがとくに好ましい。
架橋剤(C)として用いられるエポキシ化合物としては、たとえばアリルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールA(又はF)のグリシジルエーテル、等のグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサン)カルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタンジエンオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテルや、(株)ダイセル製のセロキサイド2021、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、セロキサイド8000、エポリードGT401などの脂環式エポキシ、2,2'−(((((1−(4−(2−(4−(オキシラン−2−イルメトキシ)フェニル)プロパン−2−イル)フェニル)エタン−1,1−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(たとえば、Techmore VG3101L((株)プリンテック製))、エポライト100MF(共栄社化学工業(株)製)、エピオールTMP(日油(株)製)、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(新日本理化(株)製、昭和電工(株)製等)などの脂肪族グリシジルエーテル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ビス(グリシジルオキシ)−1,1'−ビフェニルなどの芳香族グリシジルエーテル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−(オキシラン−2−イル・メトキシ)プロピル)トリ・シロキサン(たとえば、DMS−E09(ゲレスト社製))等を用いることができる。また、たとえばLX−01(ダイソー(株)製)、jER1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010、同828、液状型825(商品名;三菱化学(株)製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、jER807(商品名;三菱化学(株)製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、jER152、同154(商品名;三菱化学(株)製)、EPPN201、同202(商品名;日本化薬(株)製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、EOCN102、同103S、同104S、1020、1025、1027(商品名;日本化薬(株)製)、jER157S70(商品名;三菱化学(株)製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アラルダイトCY179、同184(商品名;ハンツマンアドバンスドマテリアル製)、ERL−4206、4221、4234、4299(商品名;ダウケミカル社製)、エピクロン200、同400(商品名;DIC(株)製)、jER871、同872(商品名;三菱化学(株)製)などの環状脂肪族エポキシ樹脂、Poly[(2−oxiranyl)−1,2−cyclohexanediol]2−ethyl−2−(hydroxymethyl)−1,3−propanediol ether (3:1)等の多官能脂環式エポキシ樹脂、EHPE−3150((株)ダイセル製)を使用することもできる。感光性樹脂組成物は、上記において例示したエポキシ化合物を一種または二種以上含むことが可能である。
架橋剤(C)として用いられるオキセタニル基を有するオキセタン化合物としては、たとえば1,4−ビス{[(3−エチルー3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4'−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられる。感光性樹脂組成物は、上記において例示したオキセタン化合物を一種または二種以上含むことが可能である。また、感光性樹脂組成物は、エポキシ化合物とオキセタン化合物を併用することもできる。
架橋剤(C)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)全体を100重量部として、10重量部以上であることが好ましく、30重量部以上であることがより好ましく、40重量部以上であることがとくに好ましい。一方で、架橋剤(C)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)全体を100重量部として、90重量部以下であることが好ましく、70重量部以下であることがより好ましく、60重量部以下であることがとくに好ましい。架橋剤(C)の含有量をこのような範囲に調整することにより、感光性樹脂組成物における、反応性と、経時安定性と、のバランスをより効果的に向上させることが可能となる。また、感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の密着性向上に寄与することもできる。
((D)硬化剤)
感光性樹脂組成物は、たとえば硬化剤(D)を含むことができる。硬化剤(D)は、アルカリ可溶性樹脂(A)と架橋剤(C)の間に生じる架橋反応等、架橋剤(C)と他の成分との反応を促進するものである。このため、硬化剤(D)を含むことにより、感光性樹脂組成物の反応性を向上させることが可能となる。
硬化剤(D)は、たとえば窒素を含む複素五員環化合物、および熱により酸を発生する化合物から選択される一種または二種以上を含むことができる。硬化剤(D)として用いられる窒素を含む複素五員環化合物としては、たとえばピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、および1,2,4−トリアゾールが挙げられる。硬化剤(D)として用いられる熱により酸を発生する化合物としては、たとえばスルホニウム塩、ヨードニウム塩、リン酸塩、ホウ酸塩、およびサリチル酸塩が挙げられる。これらの中でも、熱により酸を発生する化合物を含むことが、感光性樹脂組成物の低温硬化性、経時安定性、および感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の密着性向上におけるバランスを向上させる観点からとくに好ましい。
硬化剤(D)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)全体を100重量部として、0.3重量部以上であることが好ましく、1重量部以上であることがより好ましく、1.5重量部以上であることがとくに好ましい。一方で、硬化剤(D)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)全体を100重量部として、10重量部以下であることが好ましく、7重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることがとくに好ましい。硬化剤(D)の含有量をこのような範囲に調整することにより、感光性樹脂組成物における、反応性と、経時安定性と、のバランスをより効果的に向上させることが可能となる。また、感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の密着性向上に寄与することもできる。
((E)感光剤)
感光性樹脂組成物は、たとえば感光剤(E)を含むことができる。感光剤(E)としては、光により酸を発生する化合物を用いることができ、たとえば感光性ジアゾキノン化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩もしくはスルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2−ニトロベンジルエステル化合物、N−イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン化合物、またはジヒドロピリジン化合物を用いることができる。この中でも、感度や溶剤溶解性に優れる感光性ジアゾキノン化合物を用いることがとくに好ましい。感光性ジアゾキノン化合物としては、たとえば以下に示すものを使用することができる。
Figure 0005673880
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Figure 0005673880
Figure 0005673880
(n2は、1以上、5以下の整数である)
以上の各化合物において、Qは、下記(a)〜(c)に示す構造のいずれか、または水素原子である。ただし、各化合物のQのうち、少なくとも1つは下記(a)〜(c)に示す構造のいずれかである。感光性樹脂組成物の透明性、誘電率の観点から、感光剤(E)としては、Qが(a)または(b)であるo−ナフトキノンジアジドスルホン酸誘導体を用いることがより好ましい。
Figure 0005673880
感光剤(E)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対して1重量部以上50重量部以下であることが好ましく、5重量部以上40重量部以下であることがより好ましく、10重量部以上35重量部以下であることがとくに好ましい。これにより、良好なパターニング性能を有する感光性樹脂材料を実現することが可能となる。
((F)界面活性剤)
感光性樹脂組成物は、界面活性剤(F)を含んでいてもよい。界面活性剤(F)は、たとえばフッ素基(たとえば、フッ素化アルキル基)もしくはシラノール基を含む化合物、またはシロキサン結合を主骨格とする化合物を含むものである。本実施形態においては、界面活性剤(F)として、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤を含むものを用いることがより好ましく、フッ素系界面活性剤を用いることがとくに好ましい。
界面活性剤(F)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対して0.03重量部以上5重量部以下であることが好ましく、0.05重量部以上2重量部以下であることがより好ましく、0.07重量部以上1重量部以下であることがとくに好ましい。これにより、感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜の平坦性を効果的に向上させることができる。
感光性樹脂組成物は、必要に応じて密着助剤、酸化防止剤、フィラー、増感剤等の添加物のうち1種または2種以上を含んでいてもよい。密着助剤としては、たとえばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン系化合物を用いることができる。なお、密着助剤は、有機ケイ素化合物(B)とは異なるものを指す。
感光性樹脂組成物中に含まれる有機溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、およびピルビン酸エチル及びメチル−3−メトキシプロピオネート等から選択される一種または二種以上を含む。
感光性樹脂組成物は、たとえば熱処理して得られる硬化膜が以下の(1)〜(3)に記載する物性を有することが好ましい。この熱処理は、たとえば窒素雰囲気下において、130℃以上350℃以下の温度条件で90分行われる。本実施形態においては、たとえば160℃、90分の熱処理により評価可能な膜が形成され得る場合には160℃、90分の条件で、160℃、90分の熱処理により評価可能な膜を形成することができない場合には320℃、90分の条件で、感光性樹脂組成物に対する熱処理を施して下記(1)〜(3)を評価するのに用いられる硬化膜を得ることができる。
(1)引張伸び率
感光性樹脂組成物を熱処理して得られる上記硬化膜は、たとえば23℃における引張伸び率が3%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、7%以上であることがとくに好ましい。これにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される永久膜について、優れた耐久性を実現し、クラックやひび割れ等を確実に抑制することができる。引張伸び率は、たとえば感光性樹脂組成物を熱処理して得られる上記硬化膜からなる試験片に対して、温度23℃、湿度55%の雰囲気中で引張試験(延伸速度:0.05mm/分)を実施した結果から算出される。
(2)ガラス転移温度
感光性樹脂組成物を熱処理して得られる上記硬化膜は、たとえばガラス転移温度が160℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましい。これにより、耐熱性に非常に優れた永久膜を実現することができる。ガラス転移温度は、たとえば感光性樹脂組成物を熱処理して得られる上記硬化膜からなる試験片に対して、熱機械分析装置を用いて、開始温度30℃、測定温度範囲30〜400℃、昇温速度5℃/minの条件下で測定を行った結果から算出される。
(3)5%重量減少温度
感光性樹脂組成物を熱処理して得られる上記硬化膜は、たとえば5%重量減少温度が200℃以上であることが好ましく、230℃以上であることがより好ましい。これにより、耐熱性に非常に優れた永久膜を実現することができる。5%重量減少温度は、たとえば感光性樹脂組成物を熱処理して得られる上記硬化膜からなる試料に対して、熱重量/示差熱測定装置を用いて開始温度30℃、測定温度範囲30〜500℃、昇温速度5℃/minの条件下で測定を行った結果から算出される。
なお、これらの各物性は、感光性樹脂組成物に含まれる各成分の種類や配合割合を適切に調整することにより実現することが可能である。
次に、電子装置100の一例について説明する。
本実施形態に係る電子装置100は、上述の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜を備えている。これにより、製造安定性に優れた電子装置100を実現することが可能となる。感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜は、たとえば層間膜、表面保護膜、またはダム材等の電子装置100を構成する永久膜として使用される。
図1は、本実施形態に係る電子装置100の一例を示す断面図である。
図1に示す電子装置100は、たとえば半導体チップである。この場合、たとえば電子装置100を、バンプ52を介して配線基板上に搭載することにより半導体パッケージが得られる。電子装置100は、トランジスタ等の半導体素子が設けられた半導体基板と、半導体基板上に設けられた多層配線層と、を備えている(図示せず)。多層配線層のうち最上層には、層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に設けられた最上層配線34が設けられている。最上層配線34は、たとえばAlにより構成される。また、層間絶縁膜30上および最上層配線34上には、パッシベーション膜32が設けられている。パッシベーション膜32の一部には、最上層配線34が露出する開口が設けられている。
パッシベーション膜32上には、再配線層40が設けられている。再配線層40は、パッシベーション膜32上に設けられた絶縁層42と、絶縁層42上に設けられた再配線46と、絶縁層42上および再配線46上に設けられた絶縁層44と、を有する。絶縁層42には、最上層配線34に接続する開口が形成されている。再配線46は、絶縁層42上および絶縁層42に設けられた開口内に形成され、最上層配線34に接続されている。絶縁層44には、再配線46に接続する開口が設けられている。
本実施形態においては、パッシベーション膜32、絶縁層42および絶縁層44のうちの一つ以上を、たとえば上述の感光性樹脂組成物を硬化することにより形成される硬化膜により構成することができる。この場合、たとえば感光性樹脂組成物により形成される塗布膜に対し紫外線を露光し、現像を行うことによりパターニングした後、これを加熱硬化することにより、パッシベーション膜32、絶縁層42または絶縁層44が形成される。
絶縁層44に設けられた開口内には、たとえばUBM(Under Bump Metallurgy)層50を介してバンプ52が形成される。電子装置100は、たとえばバンプ52を介して配線基板等に接続される。
次に、電子装置100の製造方法の一例について説明する。
電子装置100は、たとえば感光性樹脂組成物を用いて永久膜を形成する工程を備えている。このような永久膜としては、とくに限定されないが、たとえばパッシベーション膜32、絶縁層42または絶縁層44が挙げられる。
永久膜を形成する上記工程は、たとえば次のように行われる。
まず、上述の感光性樹脂組成物を塗布して樹脂膜を得る。次いで、上記樹脂膜に対し、プリベークを行う。次いで、上記樹脂膜に対し、露光および現像を行い、パターニング処理を施す。次いで、上記樹脂膜を硬化させる。これにより、感光性樹脂組成物を硬化して得られる永久膜が形成されることとなる。ここで、上記(a)において特定される発熱ピークのピーク温度をTとする。すなわち、感光性樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対して80℃、180秒で揮発分を乾燥して形成した膜を測定対象として、示差走査熱量計により10℃/分の昇温速度で測定したDSC曲線の、80℃以上120℃以下の温度領域に存在する発熱ピークのピーク温度をTとする。本実施形態においては、たとえばこの温度Tよりも高い温度により上記樹脂膜に対するプリベークを行うことができる。このようにプリベーク条件を調整することにより、上記樹脂膜の密着性を向上させて、より安定したパターニングを行うことが可能となる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、参考形態の例を付記する。
1.アルカリ可溶性樹脂と、
カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物と、
架橋剤と、
有機溶剤と、
を含み、
80℃、180秒で揮発分を乾燥して形成した膜を測定対象として、示差走査熱量計により10℃/分の昇温速度で測定したDSC曲線が、以下の(a)および(b)を満たす感光性樹脂組成物。
(a)80℃以上120℃以下の温度領域に、発熱ピークを有する
(b)前記発熱ピークの熱量が、0.1J/g以上10J/g以下である
2.1.に記載の感光性樹脂組成物において、
前記架橋剤は、環状エーテル基を有する感光性樹脂組成物。
3.1.または2.に記載の感光性樹脂組成物において、
前記有機ケイ素化合物は、カルボキシル基を分子内に一個有する化合物と、カルボキシル基を分子内に二個有する化合物と、を含む感光性樹脂組成物。
4.1.〜3.いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
160℃、90分の条件で熱処理して得られる硬化膜のガラス転移温度が、160℃以上である感光性樹脂組成物。
5.1.〜4.いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
160℃、90分の条件で熱処理して得られる硬化膜の23℃における引張伸び率が、3%以上である感光性樹脂組成物。
6.1.〜5.いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
160℃、90分の条件で熱処理して得られる硬化膜の5%重量減少温度が、200℃以上である感光性樹脂組成物。
7.1.〜6.いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
層間膜、表面保護膜、またはダム材として用いられる永久膜を形成するために用いられる感光性樹脂組成物。
8.1.〜7.いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜を備える電子装置。
9.1.〜7.いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を塗布して樹脂膜を得る工程と、
前記樹脂膜に対し、プリベークを行う工程と、
前記樹脂膜に対し、露光および現像を行う工程と、
前記樹脂膜を硬化させる工程と、
を備え、
プリベークを行う前記工程において、前記発熱ピークのピーク温度よりも高い温度により前記樹脂膜に対しプリベークが行われる電子装置の製造方法。
次に、本発明の実施例について説明する。
(アルカリ可溶性樹脂(A)の合成)
(合成例1)
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(MA、244.9g、2.50mol)、2−ノルボルネン(NB、313.5g、2.50mol)およびジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(23.0g、50.0mmol)を計量し、メチルエチルケトン(MEK、301.6g)およびトルエン(155.4g)に溶解させた。この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去した後、撹拌しつつ60℃、16時間の条件下で加熱を行った。次いで、この溶解液に対して、MEK(640g)を加えた後、これを水酸化ナトリウム(110.0g、2.76mol)、ブタノール(926.3g、12.5mol)、トルエン(960g)の懸濁液に加え、45℃で3時間混合した。このとき、無水マレイン酸由来の環状構造の繰り返し単位のうち、93%の繰り返し単位が開環していた。次いで、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88重量%水溶液、215.8g、4.14mol)で処理してプロトン付加した。次いで、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。合成例1では、この洗浄工程を3回繰り返した。次いで、メタノールおよびヘキサンを加え有機層を分離することで未反応モノマーを除去した。さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、720g)を加え、系内のメタノールを残留量1%未満となるまで減圧留去した。次いで、反応液をブタノールの存在下で、125℃で6時間加熱した後、溶媒をγ−ブチロラクトン(GBL)に置換した。
これにより、20重量%のアルカリ可溶性樹脂(A)含有溶液を約1000g得た(GPC Mw=15200)。得られたアルカリ可溶性樹脂(A)について、アルカリ溶解速度は3600Å/secであり、固形分量(TS)は30.4%であり、分子量分布(PDI)は1.90であった。
(合成例2)
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(MA、244.9g、2.50mol)、2−ノルボルネン(NB、313.5g、2.50mol)およびジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(23.0g、50.0mmol)を計量し、メチルエチルケトン(MEK、301.6g)およびトルエン(155.4g)に溶解させた。この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去した後、撹拌しつつ60℃、16時間の条件下で加熱を行った。次いで、この溶解液に対してMEK(640g)を加えた後、これを水酸化ナトリウム(110.0g、2.76mol)、ブタノール(926.3g、12.5mol)、トルエン(960g)の懸濁液に加え、45℃で3時間混合した。このとき、無水マレイン酸由来の環状構造の繰り返し単位のうち、93%の繰り返し単位が開環していた。次いで、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88重量%水溶液、215.8g、4.14mol)で処理してプロトン付加した。次いで、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。合成例2では、この洗浄工程を3回繰り返した。次いで、メタノールおよびヘキサンを加え有機層を分離することで未反応モノマーを除去した。さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、720g)を加え、系内のメタノールを残留量1%未満となるまで減圧留去した。次いで、反応液をブタノールの存在下で、125℃で2.5時間加熱した後、溶媒をγ−ブチロラクトン(GBL)に置換した。
これにより、20重量%のアルカリ可溶性樹脂(A)含有溶液を約1000g得た(GPC Mw=14900)。得られたアルカリ可溶性樹脂(A)について、アルカリ溶解速度は8400Å/secであり、固形分量(TS)は30.3%であり、分子量分布(PDI)は1.85であった。
(合成例3)
ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸21.43g(0.083モル)と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール22.43g(0.166モル)とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物40.87g(0.083モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン36.62g(0.100モル)とを、温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン296.96gを加えて溶解させた。その後、オイルバスを用いて75℃にて15時間反応させた。次に、N−メチル−2−ピロリドン34.88gに溶解させた3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物6.98g(0.0425モル)を加え、さらに3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、目的のアルカリ可溶性樹脂(A)を得た。重量平均分子量は、13,040であった。
(合成例4)
m−クレゾール64.9g(0.60モル)、p−クレゾール43.3g(0.40モル)、30重量%ホルムアルデヒド水溶液65.1g(ホルムアルデヒド0.65モル)、およびシュウ酸二水和物0.63g(0.005モル)を、温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口セパラブルフラスコに入れ、オイルバスを用いて反応液を還流させながら100℃で4時間重縮合反応を行った。その後、オイルバスの温度を200℃まで3時間かけて昇温した。その後に、フラスコ内の圧力を50mmHg以下まで減圧し、水分及び揮発分を除去した後、樹脂を室温まで冷却して、目的のアルカリ可溶性樹脂(A)を得た。重量平均分子量は、3,200であった。
(感光性樹脂組成物の調整)
実施例1〜6、比較例1〜5のそれぞれについて、ワニス状の感光性樹脂組成物を調整した。感光性樹脂組成物の調整は、表1に従い配合された各成分を、有機溶剤であるGBLに固形分量25%となるように溶解させて撹拌させた後、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより行った。この際、架橋剤(C)を添加した後に、カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物(B)を添加した。表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。また、表1中の単位は、重量部である。
(A)アルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂1:上記合成例1により得られたアルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂2:上記合成例2により得られたアルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂3:上記合成例3により得られたアルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂4:上記合成例4により得られたアルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂5:ヒドロキシスチレン樹脂(丸善石油化学(株)製、マルカリンカーCST−60、ヒドロキシスチレン:スチレン=60:40、Mw=3,360)
(B)カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物1:下記式(8)により示される有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物2:下記式(9)により示される有機ケイ素化合物
Figure 0005673880
上記式(8)により示される有機ケイ素化合物は、次のように製造した。まず、撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、フタル酸無水物(49.842g、0.3mol)をγ−ブチルラクトン(832.59g)に溶解させ、恒温槽にて30℃に調整した。次いで、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(61.98g、0.28mol)を滴下ロートに仕込み、60分かけて溶解液へ滴下した。滴下完了後、30℃、18時間の条件化で撹拌を行った。
Figure 0005673880
上記式(9)により示される有機ケイ素化合物は、次のように製造した。まず、撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(38.67g、0.12mol)をγ−ブチルラクトン(789.30g)に溶解させ、恒温槽にて30℃に調整した。次いで、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(50.92g、0.23mol)を滴下ロートに仕込み、60分かけて溶解液へ滴下した。滴下完了後、30℃、18時間の条件化で撹拌を行った。
(C)架橋剤
エポキシ化合物1:ビスフェノールA型エポキシ化合物(液状型825、三菱化学製)
エポキシ化合物2:トリスフェノール型エポキシ化合物(VG3101L、プリンテック製)
エポキシ化合物3:脂環式エポキシ化合物(セロキサイド8000、ダイセル製)
(D)硬化剤
下記式(10)により示される化合物(CAT SA506、サンアプロ(株)製)
Figure 0005673880
(E)感光剤
下記式(11)により示される化合物
Figure 0005673880
(式(11)中、Qは水素または下記式(11−1)により示される構造である。Q全体のうちの90%は、下記式(11−1)により示される構造である)
Figure 0005673880
上記式(11)により示される化合物は、次のようにして合成した。まず、温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、式(12)で表されるフェノール11.04g(0.026モル)と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド18.81g(0.070モル)と、アセトン170gと、を入れて撹拌し、溶解させた。次いで、反応溶液の温度が35℃以上にならないようにウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.78g(0.077モル)とアセトン5.5gの混合溶液をゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸1.05g(0.017モル)を添加し、さらに30分反応させた。次いで、反応混合物をろ過した後、ろ液を水/酢酸(990ml/10ml)の混合溶液に投入した。次いで、沈殿物を濾集して水で充分洗浄した後、真空下で乾燥した。これにより、上記式(11)の構造で表される化合物を得た。
Figure 0005673880
(F)界面活性剤
フッ素系界面活性剤(メガファック F557、DIC(株)製)
(DSC測定)
各実施例および各比較例のそれぞれについて、得られたワニス状の感光性樹脂組成物に対し次のようにしてDSC測定を行った。まず、感光性樹脂組成物をシリコンウェハへ塗布し、80℃、180秒の条件下で熱処理を施すことにより脱溶媒を行った。次いで、シリコンウェハ表面から感光性樹脂組成物の固形分を削り取り、3〜5mgをアルミパンへ秤量し試料とした。次いで、当該試料に対し、開始温度30℃、測定温度範囲30〜330℃、昇温速度10℃/minの条件下で、示差走査熱量計(DSC7020、(株)日立ハイテクサイエンス)を用いて示差走査熱量測定を行った。これにより得られたDSC曲線から、80℃以上120℃以下の温度領域における発熱ピークの有無、当該発熱ピークの熱量(J/g)およびピーク温度(℃)をそれぞれ算出した。
図2は、感光性樹脂組成物に対するDSC測定により得られたDSC曲線であり、実施例1および比較例1に係るDSC曲線を示している。なお、図2では、理解のために各DSC曲線間における縦軸方向の関係は考慮しないものとしている。
図2においては、実施例1に係る感光性樹脂組成物がDSC曲線の80℃以上120℃以下の温度領域に一つの発熱ピークを有していることが示されている。実施例2〜6についても同様に、DSC曲線の80℃以上120℃以下の温度領域に、一つの発熱ピークを有していることが確認されている。また、図2に示すように、比較例1に係る感光性樹脂組成物のDSC曲線の80℃以上120℃以下の温度領域においても、発熱ピークが生じていることが分かる。このような結果から、有機ケイ素化合物(B)と架橋剤(C)の反応によって上記発熱ピークが生じているものと推測される。
(密着性)
各実施例および各比較例のそれぞれについて、密着性評価を次のように行った。まず、6インチシリコンウエハ(Si基板)を準備して、得られたワニス状の感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃、90秒の条件で加熱することにより脱溶媒を行った。この塗膜に幅1〜20μmのラインアンドスペースパターンおよびビアパターンが描かれているマスクを通して、i線ステッパー((株)ニコン製・NSR−4425i)を用いて、露光量を変化させてi線照射し、次に現像液として2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて2回パドル現像を行うことによって露光部を溶解除去した。このように得られたパターンを確認し、10μmのビアホールのパターンが形成される露光量を基準露光量とした。このように決められた基準露光量で照射して露光部を溶解除去したウェハにおいて、1μmのラインアンドスペースパターンにより形成された現像パターンがウェハ上に形成されている場合を○として、現像パターンに剥離が生じている場合、および現像パターン消失している場合を×として、現像後密着性評価を行った。また、比較例1では、樹脂成分を含まないことから感光性樹脂膜の成膜ができず、密着性を評価することが可能な樹脂膜を得ることができなかったため、密着性評価は×とした。
(硬化膜の作製)
各実施例および各比較例のそれぞれについて、得られた感光性樹脂組成物を用いて次のように硬化膜を作製した。まず、6インチウェハにワニス状感光性樹脂組成物を塗布した後、80℃、90秒の条件下で熱処理を施すことにより脱溶媒を行った。次いで、オーブン中で感光性樹脂組成物に対し熱処理を行い、感光性樹脂組成物を硬化させた。実施例1〜3、比較例2、3では、上記ウェハが載置されたオーブン内を30℃、30分で窒素にて置換し、昇温速度5℃/minで160℃まで昇温した後、160℃にて90分間保持することにより上記熱処理を行った。実施例4〜6、比較例4、5では、上記ウェハが載置されたオーブン内を30℃、30分で窒素にて置換し、昇温速度5℃/minで320℃まで昇温した後、320℃にて90分間保持することにより上記熱処理を行った。上記熱処理後、降温速度5℃/minでオーブン内の温度を70℃以下まで降温させ、上記ウェハを取り出した。次いで、フッ酸を用いて上記ウェハから感光性樹脂組成物の硬化膜を剥離して、60℃、10時間の条件下で乾燥した。これにより、硬化膜を得た。
比較例1では、樹脂成分を含まないことから感光性樹脂膜の成膜ができず、硬化膜を得ることができなかった。また、比較例2においても、後述する各特性の測定に耐え得る硬化膜を得ることはできなかった。これは、感光性樹脂組成物中に架橋剤(C)を含まないためであること要因であると考えられる。このため、表1においては、比較例1、2について後述する各特性の測定結果を示していない。
(ガラス転移温度(Tg))
各実施例および各比較例のそれぞれについて、上記により得られた硬化膜のガラス転移温度を測定した。測定は、硬化膜からなる試験片(幅5mm×長さ10mm以上×厚み0.005〜0.01mm)に対し、熱機械分析装置(TMA)を用いて、開始温度30℃、測定温度範囲30〜400℃、昇温速度5℃/minの条件下において行った。結果を表1に示す。
(引張伸び率)
各実施例および各比較例のそれぞれについて、上記により得られた硬化膜に対し次のようにして引張伸び率を測定した。まず、硬化膜からなる試験片(幅10mm×長さ60mm以上×厚み0.005〜0.01mm)に対して引張試験(引張速度:0.05mm/min)を、温度23℃、湿度55%の雰囲気中で実施した。引張試験は、オリエンテック社製引張試験機(テンシロンRTC−1210A)を用いて行った。次いで、当該引張試験の結果から、引張伸び率を算出した。ここでは、上記引張試験を試験回数n=5で行い、5回の平均値を求め、これを測定値として表1に示した。
(5%重量減少温度)
各実施例および各比較例のそれぞれについて、上記により得られた硬化膜の5%重量減少温度を測定した。測定は、硬化膜をアルミパンに10mg秤量して得られた試料に対し、熱重量/示差熱測定装置(TG/DTA)を用いて、開始温度30℃、測定温度範囲30〜500℃、昇温速度5℃/minの条件下において行った。結果を表1に示す。
Figure 0005673880
実施例1〜6は、いずれも80℃以上120℃以下の温度領域にDSC曲線の発熱ピークを有しており、かつ発熱ピークの熱量が0.1J/g以上10J/g以下であった。このような実施例1〜6はいずれも、密着性評価において良好な結果を示した。また、実施例1〜6では、永久膜に求められる諸特性についても、良好な結果が得られた。
一方で、比較例2〜5では、80℃以上120℃以下の温度領域にDSC曲線の発熱ピークが見られなかった。また、比較例1では、上述のように樹脂成分を含まないため、評価可能な樹脂膜を作製することができなかった。これらについては、いずれも密着性評価において良好な結果が得られていないことが分かる。
100 電子装置
30 層間絶縁膜
32 パッシベーション膜
34 最上層配線
40 再配線層
42、44 絶縁層
46 再配線
50 UBM層
52 バンプ

Claims (9)

  1. アルカリ可溶性樹脂と、
    カルボキシル基を有する有機ケイ素化合物と、
    架橋剤と、
    有機溶剤と、
    を含み、
    80℃、180秒で揮発分を乾燥して形成した膜を測定対象として、示差走査熱量計により10℃/分の昇温速度で測定したDSC曲線が、以下の(a)および(b)を満たし、
    前記架橋剤は、環状エーテル基を有する感光性樹脂組成物。
    (a)80℃以上120℃以下の温度領域に、発熱ピークを有する
    (b)前記発熱ピークの熱量が、0.1J/g以上10J/g以下である
  2. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記有機ケイ素化合物は、カルボキシル基を分子内に一個有する化合物と、カルボキシル基を分子内に二個有する化合物と、を含む感光性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物において、
    160℃、90分の条件で熱処理して得られる硬化膜のガラス転移温度が、160℃以上である感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
    160℃、90分の条件で熱処理して得られる硬化膜の23℃における引張伸び率が、3%以上である感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
    160℃、90分の条件で熱処理して得られる硬化膜の5%重量減少温度が、200℃以上である感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
    層間膜、表面保護膜、またはダム材として用いられる永久膜を形成するために用いられる感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記アルカリ可溶性樹脂は、下記式(1)により示される共重合体、フェノール化合物とアルデヒド化合物の反応物、およびヒドロキシスチレン樹脂から選択される一種または二種以上を含む感光性樹脂組成物。
    Figure 0005673880
    (式(1)中、lおよびmは共重合体中におけるモル含有率を示し、l+m≦1、0.1≦l≦0.9、0.1≦m≦0.9である。nは0、1または2である。R 、R 、R およびR はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。R 、R 、R およびR は、互いに同一であってもよく、また互いに異なっていてもよい。Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
    Figure 0005673880
    (式(2a)および式(2b)中、R 、R およびR は、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
  8. 請求項1〜7いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜を備える電子装置。
  9. 請求項1〜7いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を塗布して樹脂膜を得る工程と、
    前記樹脂膜に対し、プリベークを行う工程と、
    前記樹脂膜に対し、露光および現像を行う工程と、
    前記樹脂膜を硬化させる工程と、
    を備え、
    プリベークを行う前記工程において、前記発熱ピークのピーク温度よりも高い温度により前記樹脂膜に対しプリベークが行われる電子装置の製造方法。
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