JP2015184674A - 感光性樹脂組成物、および樹脂膜 - Google Patents

感光性樹脂組成物、および樹脂膜 Download PDF

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Abstract

【課題】感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の熱安定性を向上させる。【解決手段】本発明の感光性樹脂組成物は、永久膜を形成するための感光性樹脂組成物であって、アルカリ可溶性樹脂と、有機溶剤と、を含み、120℃、3分の条件で前記有機溶剤を乾燥して樹脂膜aを得た後、前記樹脂膜aに対して窒素雰囲気下、320℃、30分の条件で加熱処理を施して得られる樹脂膜bの、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率をE'1(GPa)とし、前記樹脂膜bに対して窒素雰囲気下、320℃、5時間の条件で加熱処理を施して得られる樹脂膜cの、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率をE'2(GPa)としたとき、|E'1−E'2|/E'1が0.20以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、および樹脂膜に関し、たとえば永久膜を形成するために用いられる感光性樹脂組成物に関する。
層間絶縁膜等の電子装置を構成する永久膜を形成する材料として、感光性樹脂組成物を用いる場合がある。このような技術としては、たとえば特許文献1および2に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、ポリベンゾオキサゾール前駆体と、感光剤と、溶剤と、架橋剤と、アルキルアミン誘導体と、を含有する樹脂組成物が記載されている。特許文献2には、アルカリ可溶性フェノール樹脂、ポリヒドロキシスチレン、またはポリヒドロキシスチレンの誘導体である重合物100質量部に対して、感光性ジアゾナフトキノン化合物1〜100質量部、有機溶剤100〜1000質量部、およびアルコキシシリル基含有の有機化合物である接着助剤0.1〜20質量部を含む感光性樹脂組成物が記載されている。
特開2013−250429号公報 特開2008−164816号公報
上述のように、電子装置を構成する永久膜として、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜が用いられる場合がある。このような樹脂膜については、樹脂膜を形成した後のプロセスに起因した熱履歴によって、膜特性が変化することが懸念される。このため、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の熱安定性を向上させることが求められている。
本発明によれば、
永久膜を形成するための感光性樹脂組成物であって、
アルカリ可溶性樹脂と、有機溶剤と、を含み、
120℃、3分の条件で前記有機溶剤を乾燥して樹脂膜aを得た後、前記樹脂膜aに対して窒素雰囲気下、320℃、30分の条件で加熱処理を施して得られる樹脂膜bの、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率をE'(GPa)とし、
前記樹脂膜bに対して窒素雰囲気下、320℃、5時間の条件で加熱処理を施して得られる樹脂膜cの、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率をE'(GPa)としたとき、
|E'−E'|/E'が0.20以下である感光性樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、上述の感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜が提供される。
本発明によれば、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の熱安定性を向上させることができる。
本実施形態に係る電子装置の一例を示す断面図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、永久膜を形成するための感光性樹脂組成物であって、アルカリ可溶性樹脂と、有機溶剤と、を含み、120℃、3分の条件で前記有機溶剤を乾燥して樹脂膜aを得た後、前記樹脂膜aに対して窒素雰囲気下、320℃、30分の条件で加熱処理を施して得られる樹脂膜bの、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率をE'(GPa)とし、前記樹脂膜bに対して窒素雰囲気下、320℃、5時間の条件で加熱処理を施して得られる樹脂膜cの、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率をE'(GPa)としたとき、|E'−E'|/E'が0.20以下である。
上述のように、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜については、樹脂膜を形成した後のプロセスに起因した熱履歴による膜特性の変化を抑制するために、熱安定性を向上させることが求められている。このようなプロセスとしては、たとえば金属再配線工程におけるスパッタ工程や、ワイヤーボンディング工程、半導体接着材や封止材の硬化工程、半田リフロー工程等が挙げられる。また、樹脂膜の膜特性としては、たとえば下地密着性、半導体装置の信頼性、特に高温高湿時における信頼性が挙げられる。
鋭意検討の結果、本発明者らは、貯蔵弾性率の変化率|E'−E'|/E'を適切に制御することによって、樹脂膜の熱安定性を向上させることができることを新たに知見した。本実施形態は、このような知見に基づいて、|E'−E'|/E'が0.20以下である感光性樹脂組成物を実現するものである。
すなわち、本実施形態によれば、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の熱安定性を向上させることができる。
以下、本実施形態に係る感光性樹脂組成物、および感光性樹脂組成物を用いて形成される永久膜を備える電子装置100の構成について詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る感光性樹脂組成物について説明する。
感光性樹脂組成物は、永久膜を形成するために用いられる。感光性樹脂組成物を硬化させることにより、永久膜を構成する樹脂膜が得られる。本実施形態においては、たとえば感光性樹脂組成物により構成される塗膜を露光および現像により所望の形状にパターニングした後、当該塗膜を熱処理等によって硬化させることにより永久膜が形成される。
感光性樹脂組成物を用いて形成される永久膜としては、たとえば層間膜、表面保護膜、またはダム材が挙げられる。なお、感光性樹脂組成物の用途は、これに限定されない。
層間膜は、多層構造中に設けられる絶縁膜を指し、その種類はとくに限定されない。層間膜としては、たとえば半導体素子の多層配線構造を構成する層間絶縁膜、配線基板を構成するビルドアップ層もしくはコア層等の半導体装置用途において用いられるものが挙げられる。また、層間膜としては、たとえば表示装置における薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))を覆う平坦化膜、液晶配向膜、MVA(Multi Domain Vertical Alignment)型液晶表示装置のカラーフィルタ基板上に設けられる突起、もしくは有機EL素子の陰極を形成するための隔壁等の表示装置用途において用いられるものも挙げられる。
表面保護膜は、電子部品や電子装置の表面に形成され、当該表面を保護するための絶縁膜を指し、その種類はとくに限定されない。このような表面保護膜としては、たとえば半導体素子上に設けられるパッシベーション膜もしくはバッファーコート層、またはフレキシブル基板上に設けられるカバーコートが挙げられる。また、ダム材は、たとえば基板上に光学素子等を配置するための中空部分を形成するために用いられるスペーサが挙げられる。
本実施形態においては、感光性樹脂組成物を塗布した後、これを120℃、3分の条件で加熱することにより有機溶剤を乾燥して得られる膜を樹脂膜aとする。また、樹脂膜aに対して窒素雰囲気下、320℃、30分の条件で加熱処理を施して得られる膜を樹脂膜bとする。また、樹脂膜bに対して窒素雰囲気下、320℃、5時間の条件で加熱処理を施して得られる膜を樹脂膜cとする。そして、樹脂膜bの貯蔵弾性率をE'、樹脂膜cの貯蔵弾性率をE'とする。
なお、本実施形態において、貯蔵弾性率E'は、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率を指し、この貯蔵弾性率は、たとえば、セイコーインスツルメンツ株式会社製 DMS6100(装置名)を用いて測定することができる。
本実施形態において、感光性樹脂組成物は、|E'−E'|/E'が0.20以下である。これにより、上述のように感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の熱安定性を向上させることができる。なお、熱安定性を向上させる観点からは、|E'−E'|/E'が0.15以下であることがより好ましく、0.12以下であることがさらに好ましく、0.10以下であることが特に好ましい。なお、|E'−E'|/E'の下限値は、とくに限定されないが、たとえば0.01とすることができる。
なお、本発明者らが種々検討した結果、公知の感光性樹脂組成物はいずれも上記数値範囲を満足するようなものではなかった。すなわち、上記数値範囲を満足するような、熱安定性の高い樹脂膜が得られる感光性樹脂組成物は、現在の技術水準においては見出されていなかったものである。
本実施形態において、樹脂膜bの周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率E'の下限値としては、たとえば、0.1GPaであり、好ましくは0.5GPaであり、さらに好ましくは1GPaである。また、樹脂膜bの貯蔵弾性率E'の上限値としては、たとえば、10GPaであり、好ましくは8GPaであり、さらに好ましくは5GPa、特に好ましくは3GPaである。このような数値範囲に設定することにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の、他の部材への密着性を向上させることができる。他の部材としては、たとえば樹脂膜に隣接して位置する基板や絶縁層、配線層等の部材が挙げられる。このため、当該樹脂膜を備える電子装置の歩留まり向上にも寄与することが可能となる。
本実施形態において、樹脂膜bの周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での損失係数tanδの下限値としては、たとえば、0.01であり、好ましくは0.02であり、さらに好ましくは0.03である。また、樹脂膜bの損失係数tanδの上限値としては、たとえば、0.10であり、好ましくは0.08であり、さらに好ましくは0.05である。このような数値範囲に設定することにより、樹脂膜bの機械的強度と他の部材への密着性をバランスよく高めることができる。
本実施形態において、樹脂膜cの周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率E'の下限値としては、たとえば、0.1GPaであり、好ましくは0.5GPaであり、さらに好ましくは1GPaである。また、樹脂膜cの貯蔵弾性率E'の上限値としては、たとえば、10GPaであり、好ましくは8GPaであり、さらに好ましくは5GPa、特に好ましくは3GPaである。このような数値範囲に設定することにより、貯蔵弾性率の変化率|E'−E'|/E'を適切に制御することが容易となり、樹脂膜の熱安定性に寄与することができる。また、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜について、高温を要するプロセスを経た場合であっても、他の部材への密着性を維持させることができる。
本実施形態において、樹脂膜cの周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での損失係数tanδの下限値としては、たとえば、0.01であり、好ましくは0.02であり、さらに好ましくは0.03である。また、樹脂膜cの損失係数tanδの上限値としては、たとえば、0.10であり、好ましくは0.08であり、さらに好ましくは0.05である。このような数値範囲に設定することにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜について、高温を要するプロセスを経た場合であっても、機械的強度と他の部材への密着性をバランスよく維持することができる。
なお、E'、E'、tanδ、tanδ、および|E'−E'|/E'は、たとえば感光性樹脂組成物に含まれる各成分の種類や配合割合、および感光性樹脂組成物の調製方法等を適切に調整することによって、それぞれ所望の値に制御することが可能である。本実施形態においては、乾燥窒素気流下にてアルカリ可溶性樹脂を調製すること、感光性樹脂組成物の調製時において、有機溶剤に窒素を吹き込むこと、感光性樹脂組成物を配合する際に、各組成を窒素フロー下で配合すること等が、これらの数値範囲を所望の範囲内に制御する観点から、とくに好ましい感光性樹脂組成物の調製方法の一例として選択され得る。
感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、有機溶剤と、を含む。
((A)アルカリ可溶性樹脂)
アルカリ可溶性樹脂(A)としては、主鎖または側鎖にフェノール性水酸基等の水酸基および/またはカルボキシル基を有するものを用いることができ、たとえばフェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、メタクリル酸樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等のアクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリイミド前駆体等のアミド結合を有する前駆体、ならびに当該前駆体を脱水閉環して得られる樹脂が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や膜靭性、機械的強度、熱安定性、他の部材への密着性のバランスを向上させる観点からはフェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、またはアミド結合を有する前駆体を含むことが好ましく、熱安定性や、他の部材への密着性を効果的に向上させる観点からはアミド結合を有する前駆体を含むことがとくに好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A)は、これらのうちの1種または2種以上を含むことができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)におけるアミド結合を有する前駆体としては、たとえば下記一般式(1)により示される繰り返し単位を有するものを用いることができる。
Figure 2015184674
式(1)中、XおよびYは、有機基である。Rは、水酸基、−O−R、アルキル基、アシルオキシ基、またはシクロアルキル基であり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なっても良い。Rは、水酸基、カルボキシル基、−O−R、または−COO−Rであり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なっても良い。RおよびRにおけるRは、炭素数1〜15の有機基である。Rとして水酸基がない場合、Rの少なくとも1つはカルボキシル基である。Rとしてカルボキシル基がない場合は、Rの少なくとも1つは水酸基である。mは0〜8の整数であり、nは0〜8の整数である。
なお、一般式(1)により示されるアミド樹脂において、X、Y、R〜R、mおよびnは、それぞれ繰り返し単位毎に同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体において、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応を生じさせることにより、ポリイミド樹脂もしくはポリベンゾオキサゾール樹脂、またはイミド結合とオキサゾール環を含む共重合体が生成される。アルカリ可溶性樹脂(A)としてアミド結合を有する前駆体を用いる場合、アルカリ可溶性樹脂(A)は、ポリイミド樹脂およびポリベンゾオキサゾール樹脂のうちの一方または双方をさらに含んでいてもよい。
一般式(1)により示されるアミド結合を有する前駆体がポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、Rの少なくとも一つは水酸基である。この場合、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応により、Rとアミド構造との間において脱水閉環が起こり、オキサゾール環を有するポリベンゾオキサゾール樹脂が生成される。このとき、アルカリ可溶性樹脂(A)には、ポリベンゾオキサゾール前駆体またはポリベンゾオキサゾール樹脂の少なくとも一方が含まれることとなる。
また、一般式(1)により示されるアミド結合を有する前駆体がポリイミド前駆体である場合、Rの少なくとも一つはカルボキシル基である。この場合、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応により、Rとアミド構造との間において脱水閉環(イミド化)が起こり、ポリイミド樹脂が生成される。このとき、アルカリ可溶性樹脂(A)には、ポリイミド前駆体またはポリイミド樹脂の少なくとも一方が含まれることとなる。
一般式(1)で表される繰り返し単位を有するアミド結合を有する前駆体において、RおよびRとしては、アミド結合を有する前駆体のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する上で、水酸基またはカルボキシル基が保護基Rで保護された基を含むことができる。このようなRとしては−O−Rを、Rとしては−O−Rまたは−COO−Rを、それぞれ用いることができる。Rとしての炭素数1〜15の有機基としては、たとえばホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、およびテトラヒドロピラニル基が挙げられる。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体のXとしての有機基は、とくに限定されるものではないが、たとえばベンゼン環、ナフタレン環またはビスフェノール構造等の構造からなる芳香族基、ピロール環またはフラン環等の構造からなる複素環式有機基、およびシロキサン基が挙げられる。より具体的には以下に示されるものが好ましい。これらは、1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2015184674
(*は、一般式(1)におけるNH基に結合することを示す。Aは、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−C−O−、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−または単結合である。Rは、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示し、繰り返し単位毎に同一であっても異なっていてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示す。sは0〜4の整数である。R〜Rはそれぞれ有機基である。ここでは、一般式(1)に示すXの置換基Rは省略している)
これらの中でもとくに好ましいものとしては、たとえば以下に示すもの(一般式(1)に示すRが示されているものを含む)が挙げられる。
Figure 2015184674
(*は一般式(1)におけるNH基に結合することを示す。式中Aは、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−CH−、−C(CH)H−、−C(CH−、−C(CF−、または単結合である。R10は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基およびシクロアルキル基からなる群から選ばれた1つであり、R10が複数ある場合、各R10はそれぞれ同じでも異なってもよい。cは0以上3以下の整数である)
上記Aとしてのアルキレン基、置換アルキレン基の具体的な例としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CHCH)(CHCH)−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−CH(CH(CH)−、−C(CH)(CH(CH)−、−CH(CHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCH)−、−CH(CHCH(CH)−、−C(CH)(CHCH(CH)−、−CH(CHCHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCHCH)−、−CH(CHCHCHCHCHCH)−、および−C(CH)(CHCHCHCHCHCH)−が挙げられる。これらの中でも、−CH−、−CH(CH)−、および−C(CH−が、アルカリ水溶液だけでなく、溶剤に対しても十分な溶解性を持ち、よりバランスに優れるアミド結合を有する前駆体を得ることができることから好ましい。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体におけるYは有機基であり、このような有機基としてはXと同様のものが挙げられる。一般式(1)におけるYとしては、たとえばベンゼン環、ナフタレン環またはビスフェノール構造等の構造からなる芳香族基、ピロール環、ピリジン環またはフラン環等の構造からなる複素環式有機基、およびシロキサン基等が挙げられる。より具体的には以下に示されるものが好ましい。これらは、1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2015184674
(*は、一般式(1)におけるC=O基に結合することを示す。Jは、−CH−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−または単結合である。R13は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示し、繰り返し単位毎に同じでも異なってもよい。R14は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示す。tは0以上2以下の整数である。R15〜R18は、有機基である。ここでは、一般式(1)に示すYの置換基Rは省略している)
これらの中でもとくに好ましいものとしては、たとえば以下に示すもの(一般式(1)に示すRが示されているものを含む)が挙げられる。
なお、以下に示すもののうちテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、一般式(1)におけるC=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でもよい。
Figure 2015184674
Figure 2015184674
Figure 2015184674
(*は一般式(1)におけるC=O基に結合することを示す。R19は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを表し、繰り返し単位毎に同じでも異なっていてもよい。R20は、水素原子または炭素数1以上15以下の有機基から選ばれた1つを示し、一部が置換されていてもよい。uは0以上2以下の整数である)
一般式(1)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、硬化物の機械物性や耐熱性に影響を及ぼさない程度に、当該前駆体の末端のアミノ基を、アルケニル基、アルキニル基、および水酸基の内から選ばれた有機基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物またはモノカルボン酸を用いて、アミドとして末端封止することもできる。
アルケニル基、アルキニル基、および水酸基の内から選ばれた有機基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物またはモノカルボン酸としては、たとえばマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、イタコン酸無水物、ヘット酸無水物、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、4―ヒドロキシフタル酸無水物、4―ヒドロキシ安息香酸、および3−ヒドロキシ安息香酸を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよく、末端封止したアミド部分の一部が脱水閉環していてもよい。
また、一般式(1)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、当該前駆体の末端のカルボン酸残基を、アルケニル基、アルキニル基、および水酸基の内から選ばれた有機基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含むアミン誘導体を用いて、アミドとして末端封止することもできる。
一般式(1)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、硬化物の機械物性、耐熱性に影響を及ぼさない程度に、末端の少なくとも一方に、窒素含有環状化合物により末端封止した基を有してもよい。これにより、金属配線(特に銅配線)等との密着性を向上することができる。窒素含有環状化合物としては、たとえば1−(5−1H−トリアゾイル)メチルアミノ基、3−(1H−ピラゾイル)アミノ基、4−(1H−ピラゾイル)アミノ基、5−(1H−ピラゾイル)アミノ基、1−(3−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(4−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(5−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、(1H−テトラゾル−5−イル)アミノ基、1−(1H−テトラゾル−5−イル)メチル−アミノ基、および3−(1H−テトラゾル−5−イル)ベンズ−アミノ基が挙げられる。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体は、たとえば一般式(1)におけるXを含むジアミン、ビス(アミノフェノール)または2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物と、Yを含むテトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸、ジカルボン酸ジクロライドまたはジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物と、を反応させて合成することができる。ジカルボン酸を用いる場合には、アミド結合を有する前駆体の反応収率等を高めるため、ジカルボン酸に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
本実施形態におけるアルカリ可溶性樹脂(A)に含まれるアミド結合を有する前駆体の例としては、たとえば以下に示す繰り返し単位を有するものが挙げられる。なお、本実施形態におけるアミド結合を有する前駆体は、これに限定されるものではない。
下記式中、R21は、水素原子または−CHを示す。
Figure 2015184674
Figure 2015184674
アルカリ可溶性樹脂(A)におけるフェノール樹脂としては、たとえばノボラック型フェノール樹脂に代表されるフェノール化合物とアルデヒド化合物との反応物、またはフェノールアラルキル樹脂に代表されるフェノール化合物とジメタノール化合物類との反応物を用いることができる。これらの中でも、フェノール化合物とアルデヒド化合物を反応させて得られるフェノール樹脂を用いることが、現像工程における膜減りを抑える観点、熱安定性を向上させる観点、また製造コストの観点からとくに好ましい。
フェノール化合物としては、とくに限定されないが、たとえばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾールもしくはp−クレゾール等のクレゾール類、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノールもしくは3,5−キシレノール等のキシレノール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノールもしくはp−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノールもしくはp−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類、またはレゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、ピロガロールもしくはフロログルシン等の多価フェノール類を用いることができる。これらのフェノール化合物は、単独でまたは2種以上組合せて用いることができる。
アルデヒド化合物としては、アルデヒド基を有する有機基であればとくに限定されないが、たとえばホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、またはサリチルアルデヒドを用いることができる。ベンズアルデヒドとしては、アルキル基、アルコキシ基もしくはヒドロキシ基のうちの少なくとも1種により置換されたもの、または無置換のものを使用することができる。これらのアルデヒド化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
本実施形態においては、たとえば上記フェノール化合物と上記アルデヒド化合物を酸触媒の下で反応させ合成することにより、アルカリ可溶性樹脂(A)であるフェノール樹脂が得られる。酸触媒としては、とくに限定されないが、たとえばシュウ酸、硝酸、硫酸、硫酸ジエチル、酢酸、p−トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、またはベンゼンスルホン酸を用いることができる。
ジメタノール化合物としては、とくに限定されないが、たとえば1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、4,4'−ビフェニルジメタノール、3,4'−ビフェニルジメタノール、3,3'−ビフェニルジメタノールもしくは2,6−ナフタレンジメタノール等のジメタノール化合物、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,3'−ビス(メトキシメチル)ビフェニルもしくは2,6−ナフタレンジカルボン酸メチル等のビス(アルコキシメチル)化合物、または1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(クロロメチル)ベンゼン,1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン、4,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、3,3'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4'−ビス(ブロモメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(ブロモメチル)ビフェニルもしくは3,3'−ビス(ブロモメチル)ビフェニル等のビス(ハルゲノアルキル)化合物を用いることができる。これらのジメタノール化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)におけるヒドロキシスチレン樹脂としては、ヒドロキシスチレンやスチレンまたはこれらの誘導体を、ラジカル重合、カチオン重合やアニオン重合させることにより得られた重合反応物または共重合反応物を用いることができる。
本実施形態において、アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量は、たとえば感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、感光性樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。これにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の耐熱性や機械的強度、耐久性を向上させることができる。一方で、アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量は、たとえば感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、リソグラフィにおける解像性の向上を図ることができる。
なお、感光性樹脂組成物中における不揮発成分の割合(質量%)は、たとえば次のように測定することができる。まず、質量(w)を測定したアルミカップ中に、試料として感光性樹脂材料を1.0g量り取る。このとき、試料とアルミカップの全質量をwとする。次いで、アルミカップを、210℃に調整した熱風乾燥機中で常圧下、1時間保持した後、熱風乾燥機から取り出して室温まで冷却する。次いで、冷却した試料とアルミカップの全質量(w)を測定する。そして、以下の式から感光性樹脂組成物中における不揮発成分の割合(質量%)を算出する。
不揮発成分(質量%)=(w−w)/(w−w)×100
本実施形態において、アルカリ可溶性樹脂(A)を調製する際は、原料仕込み工程や、合成工程等、一連の工程を乾燥窒素気流下で行うことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の|E'−E'|/E'を、それぞれ所望の範囲内に制御することができる。この理由は、定かではないが、アルカリ可溶性樹脂(A)の調製時に混入する酸素や水分の量を抑えることにより、アルカリ可溶性樹脂(A)の分子量のばらつき等を抑制することができ、結果として、得られる感光性樹脂組成物の貯蔵弾性率の変化を抑制できることが要因の一つであると類推される。
((B)感光剤)
感光性樹脂組成物は、たとえば感光剤(B)を含むことができる。感光剤(B)としては、光により酸を発生する化合物を用いることができ、たとえば感光性ジアゾキノン化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩もしくはスルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2−ニトロベンジルエステル化合物、N−イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン化合物、またはジヒドロピリジン化合物を用いることができる。この中でも、感度や溶剤溶解性に優れる感光性ジアゾキノン化合物を用いることがとくに好ましい。感光性ジアゾキノン化合物としては、たとえば以下に示すものを使用することができる。
Figure 2015184674
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Figure 2015184674
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(n2は、1以上、5以下の整数である)
以上の各化合物において、Qは、下記(a)〜(c)に示す構造のいずれか、または水素原子である。ただし、各化合物のQのうち、少なくとも1つは下記(a)〜(c)に示す構造のいずれかである。
Figure 2015184674
本実施形態においては、感光性ジアゾキノン化合物として、たとえばフェノール化合物と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸と、のエステルを用いることがより好ましい。感光性樹脂材料がポジ型である場合、未露光部のレリーフパターン中に残存する感光剤は、硬化時における熱で分解し酸を発生させると考えられ、反応促進剤としても感光剤は重要な役割を果たす。このような役割を有する感光性ジアゾキノン化合物としては、より熱で分解し易い1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸のエステルを用いることがとくに好ましい。
本実施形態において、感光剤(B)の含有量は、たとえば感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましい。また、感光剤(B)の含有量は、たとえば感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。このような数値範囲に設定することにより、良好なパターニング性能を有する感光性樹脂組成物を実現することが可能となる。
また、本実施形態においては、発明の目的を損なわない限りにおいて、所望の性質を得るために、上記のアルカリ可溶性樹脂(A)、感光剤(B)以外の成分を含ませることもできる。具体的に含ませることのできる成分としては、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、溶解促進剤、密着助剤、界面活性剤等が挙げられる。これらの成分は公知のものを使用することができる。
(有機溶剤)
感光性樹脂組成物は、上述の成分を有機溶剤に溶解し、ワニス状にして使用される。有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、およびピルビン酸エチル及びメチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、必要に応じてその他の成分と、を有機溶剤に混合して溶解することにより調製される。本実施形態においては、たとえば有機溶剤を準備する際に所定時間窒素フローすること、また、窒素フロー下において各成分を有機溶剤中に混合して溶解することにより、感光性樹脂組成物の調製を行うことができる。これにより、感光性樹脂組成物の|E'−E'|/E'を、それぞれ所望の範囲内に制御することができる。この理由は、定かではないが、感光性樹脂組成物中に混入する酸素や水分の量を抑えることにより、これらに起因して加熱時に生じる貯蔵弾性率の変化を抑制できることが要因の一つであると想定される。また、空気中の水分が混入することを抑制することによって、現像性能の向上を図ることもできる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は硬化することにより樹脂膜が得られる。この樹脂膜はたとえば電子装置を構成する永久膜として用いられる。
本実施形態において、感光性樹脂組成物を硬化することにより得られる樹脂膜の5%重量減少温度は、たとえば250℃以上であり、好ましくは300℃以上であり、さらに好ましくは350℃以上である。このような値に設定することにより、高温を要するプロセスを経ても安定的に他の部材と密着することができる。
感光性樹脂組成物を硬化することにより得られる樹脂膜の23℃における5%重量減少温度は、たとえば感光性樹脂組成物を窒素雰囲気下、300℃、30分の条件下で硬化して得られる樹脂膜に対して、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA6200(装置名)、セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用い、30℃から650℃までの昇温速度10℃/分の条件で、樹脂膜の初期重量の5%が減少した時点の温度を測定することにより求めることができる。
感光性樹脂組成物を硬化することにより得られる樹脂膜は、たとえば23℃における引張弾性率が0.05GPa以上10GPa以下の範囲で設定される。この範囲に設定することにより、感光性樹脂組成物により形成される樹脂膜の機械的強度を向上させ、当該樹脂膜を永久膜として備える電子装置における信頼性の向上を図ることができる。
感光性樹脂組成物を硬化することにより得られる樹脂膜の23℃における引張弾性率は、たとえば感光性樹脂組成物を窒素雰囲気下、300℃、30分の条件下で硬化して得られる樹脂膜に対して、23℃雰囲気中で引張試験(延伸速度:5mm/分)を実施し、得られた応力−歪曲線の初期の勾配から算出することができる。
感光性樹脂組成物を硬化することにより得られる樹脂膜は、たとえば23℃における引張伸び率が30%以上、より好ましくは40%以上である。これにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜について、優れた耐久性を実現し、クラックやひび割れ等を確実に抑制することができる。
感光性樹脂組成物を硬化することにより得られる樹脂膜の23℃における引張伸び率は、たとえば感光性樹脂組成物を窒素雰囲気下、300℃、30分の条件下で硬化して得られる樹脂膜に対して、23℃雰囲気中で引張試験(延伸速度:5mm/分)を実施し、破断した距離と初期距離から下記の式を用いて算出することができる。
引張伸び率(%)=(破断距離−初期距離)/初期距離×100
感光性樹脂組成物を硬化することにより得られる樹脂膜は、たとえば内部応力が50MPa以下であり、より好ましくは40MPa以下である。これにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜について、優れた耐久性を実現し、クラックやひび割れ等を確実に抑制することができる。
感光性樹脂組成物を硬化することにより得られる樹脂膜の内部応力は、たとえば感光性樹脂組成物を窒素雰囲気下、300℃、30分の条件下で硬化して得られる樹脂膜に対して、薄膜ストレス測定装置(FLX−2310−S型 東朋テクノロジー株式会社製)を用いることで求めることができる。
次に、電子装置100の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子装置100の一例を示す断面図である。電子装置100は、素子が設けられた基板と、基板の少なくとも一部を覆うように設けられた永久膜と、を備えている。永久膜は、上述の感光性樹脂材料を硬化することにより得られ、たとえば層間絶縁膜を構成する。
図1に示す電子装置100は、たとえば半導体チップである。この場合、たとえば電子装置100を、バンプ52を介して配線基板上に搭載することにより半導体パッケージが得られる。電子装置100は、トランジスタ等の半導体素子が設けられた半導体基板と、半導体基板上に設けられた多層配線層と、を備えている(図示せず)。多層配線層のうち最上層には、層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に設けられた最上層配線34が設けられている。最上層配線34は、たとえばAlにより構成される。また、層間絶縁膜30上および最上層配線34上には、パッシベーション膜32が設けられている。パッシベーション膜32の一部には、最上層配線34が露出する開口が設けられている。
パッシベーション膜32上には、再配線層40が設けられている。再配線層40は、パッシベーション膜32上に設けられた絶縁層42と、絶縁層42上に設けられた再配線46と、絶縁層42上および再配線46上に設けられた絶縁層44と、を有する。絶縁層42には、最上層配線34に接続する開口が形成されている。再配線46は、絶縁層42上および絶縁層42に設けられた開口内に形成され、最上層配線34に接続されている。絶縁層44には、再配線46に接続する開口が設けられている。
本実施形態においては、パッシベーション膜32、絶縁層42および絶縁層44のうちの一つ以上を、たとえば上述の感光性樹脂材料を硬化することにより形成される樹脂膜により構成することができる。この場合、たとえば感光性樹脂材料により形成される塗布膜に対し紫外線を露光し、現像を行うことによりパターニングした後、これを加熱硬化することにより、パッシベーション膜32、絶縁層42または絶縁層44が形成される。これらは、半導体基板の少なくとも一部を覆うように設けられることとなる。
絶縁層44に設けられた開口内には、たとえばUBM(Under Bump Metallurgy)層50を介してバンプ52が形成される。電子装置100は、たとえばバンプ52を介して配線基板等に接続される。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
次に、本発明の実施例について説明する。
(アルカリ可溶性樹脂(A−1)の合成)
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコに、乾燥窒素気流条件下、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸21.43g(0.083モル)と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール・一水和物22.43g(0.166モル)とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物40.87g(0.083モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン36.62g(0.100モル)とを入れ、N−メチル−2−ピロリドン296.96gを加えて溶解させた。その後、オイルバスを用いて75℃にて15時間反応させた。次に、N−メチル−2−ピロリドン34.88gに溶解させた3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物6.98g(0.0425モル)を加え、さらに3時間攪拌して反応を終了した。
反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、目的のアルカリ可溶性樹脂(A−1)を得た。得られた化合物の重量平均分子量(Mw)は、13,108、数平均分子量(Mn)は、8,902であり、Mw/Mnは1.47であった。
(アルカリ可溶性樹脂(A−2)の合成)
ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸21.43g(0.083モル)と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール・一水和物22.43g(0.166モル)とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物40.87g(0.083モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン21.98g(0.060モル)と4,4'−メチレンビス(2−アミノフェノール)9.21g(0.040モル)とを、温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに乾燥窒素気流条件下にて仕込み、N−メチル−2−ピロリドン296.96gを加えて溶解させた。その後、オイルバスを用いて75℃にて15時間反応させた。次に、N−メチル−2−ピロリドン34.88gに溶解させた3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物6.98g(0.0425モル)を加え、さらに3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、目的のアルカリ可溶性樹脂(A−2)を得た。得られた化合物の重量平均分子量(Mw)は、21,170、数平均分子量(Mn)は、13,571であり、Mw/Mnは1.56であった。
(アルカリ可溶性樹脂(A−3)の合成)
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン30.0g(0.082モル)を温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに乾燥窒素気流条件下で仕込み、アセトン400mlを加えて溶解させた。次に、アセトン100mLに溶解したパラ−ニトロベンゾイルクロリド12.4g(0.18モル)を、乾燥窒素気流条件下、温度が20℃未満になるよう冷却しながら30分かけて滴下し、混合物を得た。滴下後、混合物の温度を40℃に加熱し、2時間撹拌し、次に、炭酸カリウム30.0g(0.218モル)を徐々に添加して、更に2時間撹拌した。加熱をやめて、混合物を、更に室温にて18時間撹拌した。その後、混合物を激しく撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、添加後55℃に加温して、更に30分間撹拌した。撹拌終了後、室温まで冷却し、37重量%の塩酸水溶液と水500mlを加え、溶液のpHが6.0〜7.0の範囲になるよう調整した。得られた析出物を、ろ別し、ろ過液を水で洗浄後、60〜70℃にて乾燥を行い、ビス−N,N'−(パラ−ニトロベンゾイル)ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの固体を得た。得られた固体51.0gに、アセトン316gとメタノール158gを加え、50℃に加熱し完全に溶解させた。そこに、300mLの50℃の純水を30分かけて加え、65℃まで加熱した。その後室温まで、ゆっくり冷却して析出した結晶を濾過し、結晶を70℃にて乾燥を行うことで精製し、ビス−N,N'−(パラ−ニトロベンゾイル)ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを得た。
上記で得たビス−N,N'−(パラ−ニトロベンゾイル)ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン20gを1Lのフラスコに入れ、5%パラジウム−炭素1.0gと酢酸エチル180.4gを加え、懸濁状態とした。そこに、水素ガスをパージし、50〜55℃に加熱しながら、35分間振盪させ還元反応を行った。反応終了後35℃まで冷却し、懸濁液に窒素をパージした。ろ別により触媒を取り除いた後、ろ液をエバポレーターにかけ、溶媒を蒸発させた。得られた生成物を90℃にて乾燥して、ビス−N,N'−(パラ−アミノベンゾイル)ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを得た。
上記で得たビス−N,N'−(パラ−アミノベンゾイル)ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン14.27g(0.024mol)を、温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、乾燥窒素気流条件下で仕込み、γ−ブチロラクトン40gを加え溶解し、撹拌しながら15℃まで冷却した。そこに、乾燥窒素気流条件下、4,4'−オキシジフタル酸無水物6.86g(0.022mol)とγ−ブチロラクトン12.0gを加え、20℃にて1.5時間撹拌した。その後、乾燥窒素気流条件下、50℃まで加温し3時間撹拌後、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール5.27g(0.044mol)とγ−ブチロラクトン10.0gを加え、50℃にて、更に1時間撹拌した。反応終了後室温まで冷却し、式(A−3)の構造で示されるアルカリ可溶性樹脂を得た。得られた化合物の重量平均分子量(Mw)は、13,200、数平均分子量(Mn)は、7,952であり、Mw/Mnは1.66であった。
Figure 2015184674
(アルカリ可溶性樹脂(A−4)の合成)
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のガラス製丸底フラスコに、乾燥窒素気流条件下、m−クレゾール64.9g(0.60モル)、p−クレゾール43.3g(0.40モル)、30重量%ホルムアルデヒド水溶液65.1g(ホルムアルデヒド0.65モル)、及びシュウ酸二水和物0.63g(0.005モル)を仕込んだ後、油浴中に浸し、反応液を還流させながら100℃で4時間重縮合反応を行った。次いで、油浴の温度を200℃まで3時間かけて昇温した後に、フラスコ内の圧力を50mmHg以下まで減圧し、水分及び揮発分を除去した。その後、樹脂を室温まで冷却して、重量平均分子量3200のアルカリ可溶性樹脂(A−4)を得た。
(感光剤(B)の合成)
温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、式(C−1)で表されるフェノール11.04g(0.026モル)と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド18.81g(0.070モル)と、アセトン170gと、を乾燥窒素気流条件下にて入れて撹拌し、溶解させた。
次いで、反応溶液の温度が35℃以上にならないようにウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.78g(0.077モル)とアセトン5.5gの混合溶液をゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸1.05g(0.017モル)を添加し、さらに30分反応させた。次いで、反応混合物をろ過した後、ろ液を水/酢酸(990ml/10ml)の混合溶液に投入した。次いで、沈殿物を濾集して水で充分洗浄した後、真空下で乾燥した。これにより、式(Q−1)の構造で表される感光剤(B)を得た。
Figure 2015184674
[実施例1]
2Lフラスコ内にγ−ブチロラクトン130gを準備し、3L/minの流量で10分間窒素フローをした。その後上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−1)75g、上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−4)25g及び感光剤(B)13.5gを、γ−ブチロラクトンに窒素フロー下で混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例1の感光性樹脂組成物を得た。
[実施例2]
2Lフラスコ内にγ−ブチロラクトン130gを準備し、3L/minの流量で10分間窒素フローをした。その後上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−2)75g、上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−4)25g及び感光剤(B)13.5gを、γ−ブチロラクトンに窒素フロー下で混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例2の感光性樹脂組成物を得た。
[実施例3]
2Lフラスコ内にγ−ブチロラクトン130gを準備し、3L/minの流量で10分間窒素フローをした。その後上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−3)75g、上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−4)25g及び感光剤(B)13.5gを、γ−ブチロラクトンに窒素フロー下で混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例3の感光性樹脂組成物を得た。
[実施例4]
2Lフラスコ内にγ−ブチロラクトン130gを準備し、3L/minの流量で10分間窒素フローをした。その後上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−1)65g、上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−4)35g及び感光剤(B)13.5gを、γ−ブチロラクトンに窒素フロー下で混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例4の感光性樹脂組成物を得た。
[実施例5]
2Lフラスコ内にγ−ブチロラクトン130gを準備し、3L/minの流量で10分間窒素フローをした。その後上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−1)85g、上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−4)15g及び感光剤(B)13.5gを、γ−ブチロラクトンに窒素フロー下で混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例5の感光性樹脂組成物を得た。
[比較例1]
2Lフラスコ内にγ−ブチロラクトン130gを準備し、窒素フローをせずに上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−1)100g及び感光剤(B)13.5gを、γ−ブチロラクトンに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、比較例1の感光性樹脂組成物を得た。
[比較例2]
2Lフラスコ内にγ−ブチロラクトン130gを準備し、窒素フローをせずに上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−3)100g及び感光剤(B)13.5gを、γ−ブチロラクトンに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、比較例2の感光性樹脂組成物を得た。
[比較例3]
2Lフラスコ内にγ−ブチロラクトン130gを準備し、窒素フローをせずに上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−3)90g、上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(A−4)10g及び感光剤(B)13.5gを、γ−ブチロラクトンに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、比較例3の感光性樹脂組成物を得た。
(貯蔵弾性率、損失係数の測定)
各実施例および各比較例について、以下のようにして感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の貯蔵弾性率および損失係数を測定した。まず、得られた感光性樹脂組成物をガラス基板にスピンコーターを用いて塗布した後、120℃、3分の条件で加熱することにより有機溶剤を乾燥させて、膜厚11.1μmの樹脂膜aを得た。
次いで、樹脂膜aに対して窒素雰囲気下、320℃、30分の条件で加熱処理を施すことにより、樹脂膜bを得た。樹脂膜bの貯蔵弾性率E'およびtanδの測定は、DMS6100(装置名;セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用い、動的ずり粘弾性試験により行った。動的ずり粘弾性試験は、測定周波数:10Hz、測定温度範囲:−100〜300℃、昇温速度:5℃/分の条件下において行い、150℃における樹脂膜bの、貯蔵弾性率E'および損失係数tanδを測定した。
次いで、樹脂膜bに対して窒素雰囲気下、320℃、5時間の条件で加熱処理を施すことにより、樹脂膜cを得た。得られた樹脂膜cの、貯蔵弾性率E'および損失係数tanδを樹脂膜bと同条件で測定した。このようにして測定されたE'、E'から、|E'−E'|/E'を算出した。結果を表1に示す。
(5%重量減少温度)
各実施例および各比較例について、得られた樹脂膜bの5%重量減少温度を測定した。示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA6200(装置名)、セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用い、30℃から650℃までの昇温速度10℃/分の条件で、樹脂膜bの初期重量の5%が減少した時点の温度を測定した。結果を表1に示す。
(硬化膜の伸び)
各実施例および各比較例について、得られた樹脂膜bをオリエンテック社製引張試験機(テンシロンRTC−1210A)を用いて、試験片(10mm×60mm)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率を、フィルムが破断した時の伸び率から引張り伸び率(%)を求めた。引張り伸び率については、試験片5本を測定し、破断した距離と初期距離から下記の式を用いてそれぞれ引張伸び率を算出し、平均化したものを引張伸び率とした。結果を表1に示す。
引張伸び率(%)=(破断距離−初期距離)/初期距離×100
(内部応力)
各実施例および各比較例について、得られた樹脂膜bを薄膜ストレス測定装置(FLX−2310−S型 東朋テクノロジー株式会社製)を用いることで硬化膜の内部応力を測定した。結果を表1に示す。
(密着性評価)
8インチシリコンウエハ(Si基板)上にSiN層を形成したSiNウエハを準備して、各実施例および各比較例で得られた感光性樹脂組成物をスピンコーターを用いて塗布した後、120℃、3分の条件で加熱することにより有機溶剤を乾燥させて、膜厚11.1μmの樹脂膜aを得た。次いで、樹脂膜aに対して窒素雰囲気下、320℃、30分の条件で加熱処理を施すことにより、樹脂膜bを得た。
作成した樹脂膜bに、カッターにて1mm間隔で縦及び横に碁盤目状に各11回切れ込みをいれ、100個の独立した膜を作成した。その後、プレッシャークッカーテスター装置(PCT)にて125℃、相対湿度100%の条件で、24時間処理した後、セロテープ(登録商標)にて剥離試験を行い、剥離した数を記録した。
また、上記条件で得られた樹脂膜bについて、さらに320℃、5時間の条件で加熱処理を施すことにより、樹脂膜cを得た。
作成した樹脂膜cに、カッターにて1mm間隔で縦及び横に碁盤目状に各11回切れ込みをいれ、100個の独立した膜を作成した。その後、プレッシャークッカーテスター装置(PCT)にて125℃、相対湿度100%の条件で、24時間処理した後、セロテープ(登録商標)にて剥離試験を行い、剥離した数を記録した。
それぞれ剥離した数が0の場合を○として、1つ以上剥離した場合を×とした。結果を表1に示す。
Figure 2015184674
表1に示した結果から分かるように、実施例1〜5で得られた樹脂組成物を用いた場合は、樹脂層cでは密着性を維持しているのに対し、比較例1〜3で得られた場合は、樹脂層cの密着性が低下している。
すなわち、|E'−E'|/E'を特定値以下とした感光性樹脂組成物を用いれば、形成される樹脂膜の熱安定性を十分に向上させることができる。
100 電子装置
30 層間絶縁膜
32 パッシベーション膜
34 最上層配線
40 再配線層
42、44 絶縁層
46 再配線
50 UBM層
52 バンプ

Claims (7)

  1. 永久膜を形成するための感光性樹脂組成物であって、
    アルカリ可溶性樹脂と、有機溶剤と、を含み、
    120℃、3分の条件で前記有機溶剤を乾燥して樹脂膜aを得た後、前記樹脂膜aに対して窒素雰囲気下、320℃、30分の条件で加熱処理を施して得られる樹脂膜bの、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率をE'(GPa)とし、
    前記樹脂膜bに対して窒素雰囲気下、320℃、5時間の条件で加熱処理を施して得られる樹脂膜cの、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率をE'(GPa)としたとき、
    |E'−E'|/E'が0.20以下である感光性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記樹脂膜bの、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での貯蔵弾性率E'が0.1GPa以上10GPa以下である、感光性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記樹脂膜bの、周波数10Hz、昇温速度5℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における150℃での損失係数tanδが0.01以上0.15以下である、感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記樹脂膜bの、5%重量減少温度が250℃以上である、感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記アルカリ可溶性樹脂は、下記式(1)により示される繰り返し単位を有するアミド結合を有する前駆体を含む感光性樹脂組成物。
    Figure 2015184674
    (式(1)中、XおよびYは、有機基である。Rは、水酸基、−O−R、アルキル基、アシルオキシ基、またはシクロアルキル基であり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なっても良い。Rは、水酸基、カルボキシル基、−O−R、または−COO−Rであり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なっても良い。RおよびRにおけるRは、炭素数1〜15の有機基である。Rとして水酸基がない場合、Rの少なくとも1つはカルボキシル基である。Rとしてカルボキシル基がない場合は、Rの少なくとも1つは水酸基である。mは0〜8の整数であり、nは0〜8の整数である)
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記永久膜は、層間膜、表面保護膜またはダム材である感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜。
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