JP5673569B2 - 絶縁電線 - Google Patents

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本発明は、電気絶縁性と耐寒性と耐熱老化性とを兼ね備えた軟質塩化ビニル樹脂組成物を用いた絶縁電線に関するものである。
塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル)は、優れた耐水性・耐薬品性を示し、更に電気絶縁性と難燃性とを示すことから電線被覆材として利用される代表的なハロゲン含有樹脂である。塩化ビニル樹脂を利用する場合、一般的に可塑剤としてフタル酸エステルやトリメリット酸エステルなどが添加されてきた。
例えば、特許文献1(特開平8-34891号公報)には、可塑剤として2-プロピルヘプタノールまたは2-プロピルヘプタノールと、4-メチル-2-プロピルヘキサノールとの混合物であって、4-メチル-2-プロピルヘキサノールの含有率が30重量%以下であるものと、フタル酸エステルを用いた塩化ビニル系樹脂組成物が開示されている。特許文献1によると、加工性及び耐寒性が改良された半硬質塩化ビニル系樹脂組成物を提供することができるとしている。
一方、近年、世界的に地球環境と人の健康を保護する気運が強く、産業界においても、より安全な材料の使用が強く望まれている。例えば、欧州連合(EU)においては、化学品における特定有害物質の使用制限に関する規則(REACH規則)が2008年6月1日に施行されている。フタル酸エステルの一部はREACH規則のSVHC(高懸念物質)に指定されており、それを含む可塑剤はREACH規則に対応できないという問題が生じていた。
フタル酸エステルを含まない可塑剤が添加された塩化ビニル樹脂組成物は、例えば、特許文献2(特開平7-211153号公報)に提案されている。特許文献2には、可塑剤として2-プロピルヘプタノールまたは2-プロピルヘプタノールと、4-メチル-2-プロピルヘキサノールとの混合物であって、4-メチル-2-プロピルヘキサノールの含有量が30重量%以下であるものと、トリメリット酸とのトリエステルを用いた電線被覆用塩化ビニル樹脂組成物が開示されている。特許文献2によると、揮発性が低く可塑化効率、耐寒性、耐熱老化性等の諸性質が良好な電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物を提供することができるとしている。
特開平8−034891号公報 特開平7−211153号公報
特許文献2に記載の電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物は、電気絶縁性、耐寒性および耐熱老化性などにおいて良好な特性が得られることが期待されるが、可塑剤として比較的高価な化合物を使用しているため材料コストが高くなりやすく、低コスト化要求に対する対応が困難という問題があった。
従って、本発明の目的は、上記要求を満たすために、フタル酸エステルを含まず、かつ良好な電気絶縁性、耐寒性および耐熱老化性を兼ね備えた軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁被覆を有する絶縁電線を低コストで提供することにある
(I)本発明の一態様によると、金属導体線の外周に絶縁被覆を有する絶縁電線であって、前記絶縁被覆が、塩化ビニル樹脂に可塑剤を添加させてなる軟質塩化ビニル樹脂組成物であって、前記可塑剤は、トリメリット酸エステルからなる第1可塑剤と、シクロヘキサンジカルボン酸エステルからなる第2可塑剤との混合物であり、前記第1可塑剤(A)と前記第2可塑剤(B)との質量比(A/B)が、4/96以上96/4以下であり、前記第1可塑剤(A)と前記第2可塑剤(B)の合計量(A+B)が、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して40質量部以上80質量部以下であり、60℃雰囲気下における体積抵抗率が10 13 Ω・cm以上である電気絶縁性を有する軟質塩化ビニル樹脂組成物からなることを特徴とする絶縁電線を提供する。
さらに、本発明は、上記の本発明に係る絶縁電線において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記第1可塑剤にエステル結合している第1アルキル基および前記第2可塑剤にエステル結合している第2アルキル基は、いずれも炭素数が8以上10以下である
本発明によれば、フタル酸エステルを含まず、かつ良好な電気絶縁性、耐寒性および耐熱老化性を兼ね備えた軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁被覆を有する絶縁電線を低コストで提供することができる
本発明に係る絶縁電線の1例を示す断面模式図である。
以下、本発明に係る実施形態を説明する。ただし、本発明は、ここで取り上げた実施の形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
[軟質塩化ビニル樹脂組成物]
前述したように、本発明に使用する軟質塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂に添加する可塑剤に特徴がある。該可塑剤は、トリメリット酸エステルからなる第1可塑剤(A)と、シクロヘキサンジカルボン酸エステルからなる第2可塑剤(B)との混合物である。
本発明で利用するトリメリット酸エステル、およびシクロヘキサンジカルボン酸エステルは、それぞれ下記の一般化学式(1)および(2)で表される。なお、本発明において化学式中のRは、炭素数8以上10以下のアルキル基を示す。
Figure 0005673569
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本発明で利用する化学式(1)のトリメリット酸エステルとしては、例えば、トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル(TOTM)、トリメリット酸トリイソノニル(TINTM)、トリメリット酸トリイソデシル(TIDTM)等が挙げられる。また、本発明で利用する化学式(2)のシクロヘキサンジカルボン酸エステルとしては、例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOCH)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(DINCH)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル(DIDCH)等が挙げられる。
トリメリット酸エステルの添加(すなわち、第1可塑剤の添加)は、塩化ビニル樹脂組成物の電気絶縁性の向上効果は高いが耐寒性を低下させる傾向がある。これは、化学式(1)に示したようにトリメリット酸エステルはベンゼン環を有し分極性が高いため、極性ポリマである塩化ビニル樹脂との相互作用が強く結合力が強いことに起因する。言い換えると、分子間の結合性が高いほど柔軟性が低下するため耐寒性が低下するが、可塑剤中でのキャリア(例えば、イオン性不純物や、脱塩酸捕捉により生成される金属イオン)の移動が制限されるため電気絶縁性が向上する。
また、トリメリット酸エステルの添加は、塩化ビニル樹脂組成物の耐熱老化性の向上に寄与する。これは、加熱時における可塑剤の揮発量が少ないことに起因する。本発明において、トリメリット酸エステルは、シクロヘキサンジカルボン酸エステルに比較して分子量が大きい。そのため、分子間に働くファンデルワールス力が強くなり、沸点が高くなるため揮発しにくくなる。
一方、シクロヘキサンジカルボン酸エステルの添加(すなわち、第2可塑剤の添加)は、耐寒性の向上効果は高いが電気絶縁性を低下させる傾向がある。これは、化学式(2)に示したようにシクロヘキサンジカルボン酸エステルがその分子構造において極性部分が少ないため(ベンゼン環を有さないため)、塩化ビニル樹脂との相互作用が弱く結合力も弱いことに起因する。言い換えると、分子間の結合性が低いため柔軟性が向上して耐寒性を向上させる。一方、可塑剤中でのキャリアの移動を制限する作用が小さく、温度上昇に伴って分子運動が活発になるため電気絶縁性が低下する。
トリメリット酸エステルからなる第1可塑剤(A)と、シクロヘキサンジカルボン酸エステルからなる第2可塑剤(B)との質量比(A/B)は、4/96以上96/4以下であることが好ましい。該質量比(A/B)を「4/96≦A/B≦96/4」とすることで、軟質塩化ビニル樹脂組成物の電気絶縁性、耐寒性および耐熱老化性の全てをバランス良く向上させることができる。
第1可塑剤と第2可塑剤との合計添加量は、100質量部の塩化ビニル樹脂に対して、40質量部以上80質量部以下であることが好ましい。合計添加量が40質量部未満では、十分な柔軟性が得られず、耐寒性および耐熱老化性が不十分となる。一方、合計添加量が80質量部超では、電気絶縁性が不十分となる。
塩化ビニル樹脂と可塑剤との結合性に起因する基本的効果に加えて、軟質塩化ビニル樹脂の電気絶縁性および耐寒性の特性は、可塑剤分子中のアルキル基の炭素数に強く影響を受ける。具体的には、アルキル基の炭素数が大きい可塑剤を添加した軟質塩化ビニル樹脂は、良好な耐寒性を示すが、電気絶縁性が低下する。それとは反対に、アルキル基の炭素数が小さい可塑剤を添加した軟質塩化ビニル樹脂は、耐寒性が低下するが、良好な電気絶縁性を示す。
第1可塑剤にエステル結合している第1アルキル基、および第2可塑剤にエステル結合している第2アルキル基は、いずれも炭素数が8以上10以下(C8以上C10以下)であることが好ましく、8以上9以下(C8以上C9以下)がより好ましい。アルキル基がC7以下では、絶縁被覆に要求される耐熱性が十分確保できない。これは、アルキル基が短いほど(すなわち、炭素数が少なく分子量が小さいほど)加熱によって可塑剤が揮発しやすくなることに起因する。可塑剤が揮発すると軟質塩化ビニル樹脂組成物が硬化してしまう。一方、アルキル基の炭素数がC11以上では、可塑剤のエステル合成に必要なアルコールに制約が生じ、結果としてコスト高の要因となることから好ましくない。
[絶縁電線]
図1は、本発明に係る絶縁電線の1例を示す断面模式図である。図1に示したように、本発明に係る絶縁電線10は、金属導体線1の外周に前述の軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁被覆2が形成されているものである。図1では、金属導体線1を単芯線として描いたが、多芯撚線であっても勿論よい。また、絶縁電線10の製造方法に特段の限定は無く、従前の方法を利用することができる。
金属導体線1に特段の限定はなく、通常の絶縁電線で用いられる銅線、アルミニウム線の他に、金線や銀線などを利用することができる。また、銅線の外周にニッケルなどの金属めっきを施した導体でもよい。さらに、本発明に係る絶縁被覆2が被覆される導体形状にも特段の限定はなく、丸形状や四辺形状であってもよい。なお、本発明における四辺形状とは、角部が丸みを有する四角形状や角丸長方形状を含むものとする。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(供試材の作製)
平均重合度1300の塩化ビニル樹脂(PVC)100質量部に対して、表に示した分量の可塑剤(後述する表1〜5参照)と、安定剤として3質量部のカルシウム−亜鉛系非鉛安定剤と、充填剤として20質量部の炭酸カルシウムおよび3.5質量部のケイ酸アルミニウムとを添加し混合した。その後、該混合物に対して、混練処理(ロール温度:160℃、5分間)とプレス処理(プレス温度:180℃、3分間予熱、10 MPaで2分間加圧)とを施して、厚さ1 mmと2 mmのシート状に成形し、軟質塩化ビニル樹脂組成物の供試材(比較例1〜9および実施例1〜17)を作製した。
(試験・評価)
上記のようにして用意した軟質塩化ビニル樹脂組成物の供試材(比較例1〜9および実施例1〜17)に対し、JIS K 6723に準拠して耐熱老化性試験(伸び残率測定)、耐寒性試験(低温脆化温度測定)および電気絶縁性試験(体積抵抗率測定)を行った。
(1)耐熱老化性評価
熱処理前の供試材の伸びに対する熱処理(100℃雰囲気、120時間)後の供試材の伸びの残率(伸び残率)を算出した。JIS K 6723に示される1種1号の一般絶縁用被覆材に対して裕度をもって適用できるように、伸び残率が80%未満の場合を×(不合格)とし、80%以上の場合を○(合格)と評価した。
(2)耐寒性評価
JIS K 6723に示される1種1号の一般絶縁用被覆材に対して裕度をもって適用できるように、低温脆化温度が-16℃より高い場合を×(不合格)とし、-16℃以下の場合を○(合格)と評価した。
(3)電気絶縁性評価
JIS K 6723に示される1種1号の一般絶縁用被覆材に対して裕度をもって適用できるように、30℃雰囲気下における体積抵抗率が1014Ω・cmより低い場合を×(不合格)とし、1014Ω・cm以上の場合を○(合格)と評価した。また、60℃雰囲気下における体積抵抗率が1013Ω・cmより低い場合を×(不合格)とし、1013Ω・cm以上の場合を○(合格)と評価した。
(試験・評価結果)
比較例1〜9における添加した可塑剤と試験評価結果とを表1および表2に示し、実施例1〜17における添加した可塑剤と試験評価結果とを表3〜表5に示す。
Figure 0005673569
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(比較例1)
まず、比較例について表1および2を参照しながら説明する。比較例1は、100質量部のPVCに対して、可塑剤としてトリメリット酸エステルの1種であるTOTM(トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル)を20質量部(per hundred resin: phr)と、脂肪族二塩基酸エステルの1種であるDIDA(アジピン酸ジイソデシル)を30質量部添加したものである。比較例1は電気絶縁性の評価が不合格であった。これは、DIDAが鎖状構造を有し(環状構造を有さず)、PVC中で立体障害が生じにくいことに加えて、非極性基の割合が非常に大きいことに起因して、PVCとの親和性が極めて低かったためと考えられた。なお、脂肪族二塩基酸エステルはPVCとの親和性が低いため、30 phr超の添加では均質混合が困難であった。
(比較例2〜3)
比較例2は、可塑剤としてトリメリット酸エステルの1種であるTOTMを50 phr添加したものであり、比較例3は、同じくトリメリット酸エステルの1種であるTIDTM(トリメリット酸トリイソデシル)を50 phr添加したものである。トリメリット酸エステルのみを添加した比較例2〜3は、耐寒性の評価が不合格であった。前述したように、トリメリット酸エステルは、ベンゼン環を有し分極性が高いため、極性の高いPVCとの親和性が高い。そのため、PVC分子との間での相互作用が大きく高い凝集力を生み、PVCと一緒に低温脆化したものと考えられた。
(比較例4〜5)
比較例4は、可塑剤としてシクロヘキサンジカルボン酸の1種であるDOCH(1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジ-2-エチルヘキシル)を50 phr添加したものであり、比較例5は、同じくシクロヘキサンジカルボン酸の1種であるDINCH(1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル)を50 phr添加したものである。シクロヘキサンジカルボン酸エステルのみを添加した比較例4〜5は、高温域(60℃)での電気絶縁性の評価が不合格であった。前述したように、シクロヘキサンジカルボン酸エステルは、ベンゼン環を有さず非極性基の割合も大きいことから、極性の高いPVCとの親和性が低い。そのため、加熱時において分子活動が活発となる。加えて、可塑剤中でのキャリアの移動を制限する作用が小さいことから、電気絶縁性の評価が不合格になったと考えられた。
また、DOCHのみの添加(比較例4)では、耐熱老化性の評価も不合格であった。これは、DOCHの分子量が比較的小さい(分子量=392)ことから、加熱時における揮発量が多かったことに起因すると考えられた。
比較例2〜5に示したように、トリメリット酸エステルおよびシクロヘキサンジカルボン酸エステルのうちの1種のみを添加した供試材では、耐寒性、電気絶縁性および耐熱老化性のすべての特性を十分に満たせないことが確認された。
(比較例6〜7)
比較例6は、トリメリット酸エステルの1種であるTOTMを1.2 phrと、シクロヘキサンジカルボン酸の1種であるDINCHを28.8 phr添加したものである。また、比較例7は、トリメリット酸エステルの1種であるTOTMを28.8 phrと、シクロヘキサンジカルボン酸の1種であるDINCHを1.2 phr添加したものである。トリメリット酸エステルとシクロヘキサンジカルボン酸の合計添加量が40質量部に満たない比較例6〜7は、耐熱老化性および耐寒性の評価が不合格であった。これは、可塑剤の合計添加量が本発明で規定する量よりも少ないために、充分な効果を発揮できなかったためと考えられた。
(比較例8〜9)
比較例8は、トリメリット酸エステルの1種であるTOTMを3.6 phrと、シクロヘキサンジカルボン酸の1種であるDINCHを86.4 phr添加したものである。また、比較例9は、トリメリット酸エステルの1種であるTOTMを86.4 phrと、シクロヘキサンジカルボン酸の1種であるDINCHを3.6 phr添加したものである。トリメリット酸エステルとシクロヘキサンジカルボン酸の合計添加量が80質量部を超える比較例8〜9は、電気絶縁性の評価が不合格であった。これは、可塑剤の合計添加量が本発明で規定する量よりも過剰であるために、絶縁被覆としての体積抵抗率が低下したため(すなわち、電気絶縁性が低下した)と考えられた。
(実施例1〜3)
次に、本発明に係る実施例について表3〜5を参照しながら説明する。実施例1は、可塑剤としてトリメリット酸エステルの1種であるTOTMを2 phrと、シクロヘキサンジカルボン酸エステルの1種であるDINCHを48 phr添加したものである。実施例2は、TOTMを20 phrと、DINCHを30 phr添加したものである。また、実施例3は、TOTMを48 phrと、DINCHを2 phr添加したものである。いずれの実施例も、耐熱老化性、耐寒性および電気絶縁性の評価が全て合格であった。実施例1〜3の結果と比較例2,5の結果との比較から、第1可塑剤(A)と第2可塑剤(B)との混合比は、少なくとも「4/96≦A/B≦96/4」の範囲が好ましいことが実証された。
(実施例4〜13)
実施例4〜13は、上記の実施例1〜3に加えて、第1可塑剤と第2可塑剤との合計添加量を50 phrと固定して、第1可塑剤と第2可塑剤との組合せ(すなわち、第1アルキル基および第2アルキル基の炭素数の影響)を調査したものである。トリメリット酸エステルとしては、TOTM(C8)、TINTM(1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリイソノニル、C9)、TIDTM(C10)を用い、シクロヘキサンジカルボン酸としては、DOCH(C8)、DINCH(C9)、DIDCH(1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル、C10)を用いた。
実施例4〜13で示したように、いずれの場合も耐熱老化性、耐寒性および電気絶縁性の評価が全て合格であった。実施例1〜3に加えて実施例4〜13の結果から、第1可塑剤(A)と第2可塑剤(B)との混合比が「4/96≦A/B≦96/4」であれば、第1アルキル基および第2アルキル基の炭素数が8〜10の範囲で自由に組合せが可能であることが実証された。
(実施例14〜17)
実施例14〜17は、第1可塑剤としてTOTMを用い、第2可塑剤としてDINCHを用いて、第1可塑剤と第2可塑剤との合計添加量の影響を調査したものである。実施例14〜17で示したように、いずれの場合も耐熱老化性、耐寒性および電気絶縁性の評価が全て合格であった。実施例1〜3に加えて実施例14〜17の結果と、比較例6〜9の結果との比較から、第1可塑剤と第2可塑剤との合計添加量は、40質量部以上80質量部以下の範囲が好ましいことが実証された。
以上示したように、本発明に係る軟質塩化ビニル樹脂組成物は、フタル酸エステルを含まず、かつ良好な電気絶縁性、耐寒性および耐熱老化性を兼ね備えていることが確認された。さらに、可塑剤として比較的安価な化合物を使用しているため、低コスト化が可能になる。また、当該軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁被覆を有する絶縁電線は、それらの特長を享受できると言える。
1…導体、2…絶縁被覆、10…絶縁電線。



Claims (2)

  1. 金属導体線の外周に絶縁被覆を有する絶縁電線であって、
    前記絶縁被覆が、塩化ビニル樹脂に可塑剤を添加させてなる軟質塩化ビニル樹脂組成物であって、前記可塑剤は、トリメリット酸エステルからなる第1可塑剤と、シクロヘキサンジカルボン酸エステルからなる第2可塑剤との混合物であり、前記第1可塑剤(A)と前記第2可塑剤(B)との質量比(A/B)が、4/96以上96/4以下であり、前記第1可塑剤(A)と前記第2可塑剤(B)の合計量(A+B)が、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して40質量部以上80質量部以下であり、60℃雰囲気下における体積抵抗率が10 13 Ω・cm以上である電気絶縁性を有する軟質塩化ビニル樹脂組成物からなることを特徴とする絶縁電線。
  2. 請求項1に記載の絶縁電線において、前記第1可塑剤にエステル結合している第1アルキル基および前記第2可塑剤にエステル結合している第2アルキル基は、いずれも炭素数が8以上10以下であることを特徴とする絶縁電線
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