JP5673515B2 - 厚膜導体形成用組成物およびこれを用いた厚膜導体とその製造方法 - Google Patents

厚膜導体形成用組成物およびこれを用いた厚膜導体とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子部品の製造において、セラミック基板上などに厚膜導体を形成するために用いられる厚膜導体形成用組成物、特に、鉛を含有しない厚膜導体形成用組成物に関する。
厚膜技術を用いて厚膜導体を形成する場合、一般的に、導電率の高い導電粉末を、ガラス粉末などの酸化物粉末とともに、有機ビヒクル中に分散させて、導体ペーストを得て、この導体ペーストを、アルミナ基板などのセラミック基板上に、スクリーン印刷法などを用いて、所定の形状に塗布し、500℃〜900℃で焼成して、厚膜導体を形成することが行われている。
導電粉末としては、空気雰囲気中で焼成可能な導電率の高いAu、Ag、Pd、Ptなどの平均粒径10μm以下の粉末が用いられており、これらのうち、安価なAg粉末およびPd粉末が、主に使用されている。
ガラス粉末としては、軟化点の制御が容易で、化学的耐久性の高いホウケイ酸鉛系ガラス粉末、またはアルミノホウケイ酸鉛系ガラス粉末が用いられている。しかしながら、近年、環境汚染を防止する観点から、鉛を含有しない導体ペーストへの要求が高まっていることから、ガラス粉末として、これらに代替する材料が求められている。
得られた厚膜導体を使用して、チップ抵抗器、抵抗ネットワーク、ハイブリッドICなどの電子部品を製造するための製造工程あるいは実装工程において、この厚膜導体に、はんだ付けが行なわれる。このはんだ付けの際に、はんだ食われと呼ばれる、Au、Ag、Pd、Ptなどの貴金属が、はんだ中に溶け出し、導体部分が消失し、断線してしまう現象が生ずることがある。このはんだ食われは、電子部品の歩留まりの低下をもたらすほか、これらの電子部品の信頼性を低下させる原因となっている。
はんだ材料についても、環境汚染を防止するため、これまで主に用いられてきた63Sn/37Pbの共晶はんだから、鉛を含有しないSn含有量の高い組成のはんだにシフトしつつある。このSn系はんだは融点が高いため、はんだ付け温度も高くなる傾向にある。このようなはんだ組成の変更や、はんだ付け温度の上昇に伴い、はんだ食われが今まで以上に発生しやすくなっている。
はんだ食われを防止する手段として、厚膜導体形成用組成物中のガラス粉末の量を増やして、得られる厚膜導体の表面にガラス成分を浮かせる方法がある。しかしながら、この方法では、厚膜導体にめっきが付きにくくなるほか、電子部品の特性値を測定するためのプローブと厚膜導体との接触が不完全となる、プローブエラーと呼ばれる問題が生じてしまう。
これに対して、導体ペーストの焼成時に、アノーサイト(CaAl2Si28)と呼ばれる針状の結晶相を厚膜導体の内部に析出させることにより、はんだ食われを防ぐことが知られている。たとえば、特許文献1では、PbO−SiO2−CaO−Al23系ガラス粉末と、Al23粉末と、SiO2粉末と、導電粉末とからなる組成物を用いることにより、アノーサイトを析出させている。ただし、この組成物では、ガラス粉末が鉛を含有しており、また、特許文献1によれば、鉛の含有量が少ない場合にはアノーサイトが十分に析出せず、鉛を含有しない組成物を用いた場合には、はんだ食われを防ぐことは困難であると考えられる。
一方、特許文献2および特許文献3には、SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末と、Al23粉末との混合物を加熱することによって、アノーサイトを析出させる方法が記載されている。しかしながら、この方法では、十分な大きさのアノーサイトを析出させるためには、その結晶化温度が高い(ガラスの軟化温度が高い)ことから、導体ペーストを900℃以上の高温で焼成することが必要である。このような高温で導体ペーストを焼成すると、導体膜が過焼結となることから、融点が低いAgを主成分とする電極ペーストでは、導体膜が島状になるなど、均質な厚膜導体が形成できなくなるという問題が生ずる。
また、本発明者らによる特許文献4には、SiO2−B23−Al23−CaO−Li2O系ガラス粉末と、Al23粉末と、導電粉末とからなる組成物を用いて、導体ペーストの焼成時に、アノーサイトを厚膜導体の内部に析出させることが記載されている。この方法では、Li2Oを含むガラス粉末を用いることによって、アノーサイトを厚膜導体中に析出させやすくする工夫がなされている。しかしながら、この組成物を用いた厚膜導体では、耐酸性に劣るという問題がある。
特開平6−223616号公報 特開平7−97269号公報 特開2001−114556号公報 特許第4466402号
本発明は、このような事情に鑑み、鉛を含有しない場合であっても、はんだ食われが少なく、かつ、耐酸性に優れた厚膜導体を提供すること、および、このような厚膜導体を形成することができる、厚膜導体形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明の厚膜導体形成用組成物は、導電粉末と、SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末、Al23粉末、および、βユークリプタイト(LiAlSiO4)粉末を含む酸化物粉末を有し、実質的に鉛を含まないことを特徴とする。
SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末の組成は、SiO2:20〜60質量%、B23:2〜25質量%、Al23:2〜25質量%、CaO:20〜50質量%であることが好ましい。
ここで、SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末には、SiO2、B23、Al23およびCaOのほか、これらの成分以外に、ZnO、BaO、TiO2、ZrO2、Bi23などの他の成分を含有するガラス粉末も含まれる。
また、酸化物粉末として、ガラス粉末、Al23粉末、βユークリプタイト粉末のほか、Bi23、SiO2、CuO、ZnO、MnO2、NiOなどを添加することも妨げられない。
また、前記導電粉末100質量部に対し、前記SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末が0.5〜15質量部であり、前記Al23粉末が0.05〜2質量部、前記βユークリプタイト粉末が0.1〜4質量部であることが好ましい。
なお、前記導電粉末は、Au、Ag、PdおよびPtから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明の厚膜導体は、上述した厚膜導体形成用組成物に、有機ビヒクルを分散し、混練して、導体ペーストを得て、得られた導体ペーストをセラミック基板に塗布し、500℃以上900℃未満の温度で焼成することにより得られる。
このようにして得られる、本発明の厚膜導体は、導電成分とガラス成分とβユークリプタイトを含み、その内部にアノーサイト(CaAl2Si28)が均一に析出しており、かつ、前記βユークリプタイトに含まれていたLiが前記アノーサイトおよびガラス成分中に固定化されていることを特徴とする。
本発明の厚膜導体形成用組成物を含む導体ペーストを用いて得られる厚膜導体は、その内部にアノーサイトが均一に分散した、緻密な膜構造を有している。よって、アノーサイトの不均一な析出や急激な成長による膜構造の欠陥が抑制されるため、実質的に鉛を含有しない厚膜導体であっても、はんだ食われが少なく、かつ、耐酸性に優れた厚膜導体が提供される。
本発明は、特許文献4に記載された、SiO2−B23−Al23−CaO−Li2O系ガラス粉末と、Al23粉末と、導電粉末とからなる組成物の改良について、鋭意検討をなした上で、完成したものである。すなわち、本発明者らが、このLi2Oを含むガラス粉末を有する組成物により得た厚膜導体において、その耐酸性が低下する要因を検討したところ、ガラス組成中にLi2Oを含有させた場合、その導体ペーストの焼成過程において、ガラスの流動性が高くなりすぎて、アノーサイト(CaAl2Si28)の成長速度が急激となり、その結果、アノーサイトが析出した領域において、ガラス成分が少なくなった空洞部などが生じ、厚膜導体の膜構造の緻密性が低下することが原因であることがわかった。
本発明者らは、この耐酸性の低下を防止するため、鋭意研究を重ねた結果、ガラス組成中にはLi2Oを含有させずに、SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末とAl23粉末のほかに、βユークリプタイト(LiAlSiO4)粉末を含む酸化物粉末を有する厚膜導体形成用組成物を用いることにより、アノーサイトの成長速度を適切な範囲とすることができるとの知見が得られたのである。すなわち、このような組成の厚膜導体形成用組成物を用いた場合、その導体ペーストの焼成過程において、βユークリプタイト中のLiがガラス中に溶け込み、その部分からガラスの流動性が高まって、アノーサイトの析出および成長が始まることとなる。したがって、Liがガラス組成中に含まれる場合と比較して、急激な成長に伴うガラスの欠乏を抑止することができ、緻密な膜構造の厚膜導体を得られることとなる。この緻密な膜構造により、酸性の溶液に浸漬した場合でも、厚膜導体中に酸が浸透することが妨げられるので、耐酸性の向上を図ることが可能となるのである。
本発明は、このような知見に基づいて、完成したものである。以下、本発明について、(1)厚膜導体形成用組成物、(2)該厚膜形成用組成物を用いた厚膜導体の製造方法、(3)厚膜導体の順に、それぞれ詳細に説明する。
(1)厚膜導体形成用組成物
本発明は、実質的に鉛を含まない厚膜導体形成用組成物であって、導電粉末および酸化物粉末から構成される。ここで、実質的に鉛を含まないとは、原料粉末または製造過程に起因して、不可避的不純物として100質量ppm以下含まれることを許容する意味である。
(導電粉末)
本発明に用いる導電粉末は、通常の厚膜導体の形成に用いられるものでよく、たとえば、Au、Ag、Pd、Ptなどの貴金属があげられる。これらの貴金属の粉末を、1種または2種以上の組み合わせで用いることができる。この中で、融点の低さやコストの観点からAg粉末、Pd粉末、あるいは、これらの混合粉末を使用することが好ましい。
導電粉末の平均粒径は、10μm以下とすることが好ましく、0.1〜3.0μmとすることがより好ましい。平均粒径が10μmを超えると、焼成が遅れ、導体膜の緻密性が低下するため、好ましくない。Ag粉末とPd粉末の混合粉末を用いる場合には、Ag粉末の平均粒径を0.1〜3.0μm、Pg粉末の平均粒径を0.01〜0.3μmとすることが好ましい。なお、導電粉末の形状には、粒状、フレーク状などがあるが、どのような形状のものを用いるかについては、その用途に応じて適宜選択される。
(酸化物粉末)
本発明に用いる酸化物粉末は、SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末、Al23粉末、βユークリプタイト粉末により構成される。これらの酸化物粉末の含有量は、導電粉末100質量部に対して、SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末を0.5〜15質量部、Al23粉末を0.05〜2質量部、βユークリプタイト粉末0.1〜4質量部となるようにすることが好ましい。
ただし、これら以外の酸化物粉末を、添加剤として、本発明の効果を阻害しない範囲で含ませることは可能である。たとえば、厚膜導体の接着強度、耐酸性、はんだ濡れ性などを向上させる目的で、従来から用いられる、たとえば、Bi23、SiO2、CuO、ZnO、TiO2、ZrO2、MnO2などの酸化物粉末を1種以上添加することは、何ら差し支えない。ただし、抵抗値上昇を抑える観点から、導電粉末100質量部に対し、これらの合計で0〜10質量部程度の範囲にとどめることが好ましい。
(a)SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末
本発明では、ガラス粉末として、SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末を用いている。従来技術では、このようなガラス粉末を用いる場合、焼成温度を900℃以上にしなければアノーサイトを析出することが困難であったが、本発明では、βユークリプタイト粉末を添加することにより、ガラスの軟化温度を低下させ、900℃未満の焼成温度でもアノーサイトが析出することを可能としている。
SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末の添加量は、導電粉末の100質量部に対して、0.5〜15質量部とすることが好ましく、0.5〜5質量部とすることがより好ましい。0.5質量部より少なくなると、セラミック基板との接着強度が低下してしまう。また、15質量部より多くなると、厚膜導体の抵抗値が高くなるばかりでなく、厚膜導体の表面にガラスが浮き、めっき性、はんだの濡れ性などが低下したり、特性評価のためのプローブとの接触抵抗が大きくなったりするおそれがある。
前記ガラス粉末中のSiO2は、20〜60質量%とすることが好ましい。SiO2が20質量%より少なくなると、Siがアノーサイトを構成する成分であることから、アノーサイトが析出しにくくなり、はんだ食われを防止できなくなるおそれがある。また、厚膜導体中のガラスの耐候性、耐水性および耐酸性が低下する傾向となる。一方、SiO2が、60質量%より多くなると、ガラスの軟化温度が高くなりすぎて、アノーサイトが析出する温度が高くなる傾向となる。
23は、2〜25質量%とすることが好ましい。B23が2質量%より少なくなると、ガラスの軟化温度が高くなりすぎる傾向となるとともに、厚膜導体のガラスが脆くなりやすくなってしまう。一方、B23が25質量%より多くなると、ガラスが分相しやすくなり、厚膜導体中のガラスの耐候性、耐水性および耐酸性も低下するおそれがある。
Al23は、2〜25質量%とすることが好ましい。Al23が2質量%より少なくなると、Alがアノーサイトを構成する成分であることから、アノーサイトが析出しにくくなるとともに、厚膜導体中のガラスが分相しやすくなる。一方、Al23が25質量%より多くなると、ガラスの軟化温度が高くなりすぎ、アノーサイトが析出する温度が高くなりすぎるおそれがある。
CaOは、20〜50質量%とすることが好ましい。CaOが20質量%より少なくなると、Caがアノーサイトを構成する成分であることから、アノーサイトが析出しにくくなる。一方、CaOが50質量%より多くなると、ガラスの軟化温度が高くなり、ガラス化しにくくなる傾向がある。
本発明で使用するガラス粉末は、上述の通り、SiO2−B23−Al23−CaO系であるが、その組成中に他の成分を含ませることもでき、軟化点、耐酸性などを考慮して、ZnO、BaO、TiO2、ZrO2、Bi23などの成分を1種以上、含有させてもよい。ただし、アノーサイトの成長速度を適正とする本発明の主旨から、ガラス組成中にLi2Oを含有させるべきではない。
これらの成分からなるガラス粉末の形状については限定されることはないが、その平均粒径は、10μm以下が好ましく、0.5〜3μmであることがより好ましい。平均粒径が10μm以上では、ガラス粉末の軟化が遅れ、導体膜と基板との接着強度が低下する傾向となり好ましくない。
(b)Al23粉末
Al23粉末の添加量は、導電粉末の100質量部に対して、0.05〜2質量部とすることが好ましく、0.2〜2.0質量部とすることがより好ましい。0.05質量部より少なくなると、アノーサイトの析出が少なく、はんだ食われを起こしやすくなる。一方、2質量部より多くなると、接触抵抗が大きくなるだけでなく、セラミック基板との接着強度が低下してしまう。
また、Al23粉末の平均粒径は、3μm以下が好ましく、0.5〜1.0μmとすることがより好ましい。Al23粉末の平均粒径が3μmを超えると、アノーサイトが厚膜導体内部に均一に析出しにくくなるばかりでなく、厚膜導体の表面が粗くなり、電子部品の特性を測定するためのプローブとの接触抵抗が大きくなるおそれがある。なお、Al23粉末の形状には、粒状、フレーク状などがあるが、アノーサイトを導体膜中に均一に析出させる観点から、その形状は粒状であることが好ましい。
(c)βユークリプタイト粉末
βユークリプタイトは、その組成式:LiAlSiO4から明らかなように、Liを含むものである。このβユークリプタイト中のLiがガラス中に溶け込むことによって、ガラス軟化温度が低下し、その部分からガラスの流動性が高まるため、焼成温度が900℃未満であっても、アノーサイトを析出させることが可能となる。さらに、ガラス組成中にLiO2が含まれている場合に比べて、アノーサイトの成長速度を適切な範囲内とすることができるため、急激な成長に伴うガラスの欠乏を抑止することができ、耐はんだ性にすぐれた、緻密な膜構造の厚膜導体を形成することが可能となる。
βユークリプタイト粉末の添加量は、導電粉末の100質量部に対して、0.1〜4質量部を添加することが好ましく、0.1〜2質量部を添加することがより好ましく、0.5〜1質量部とすることがさらに好ましい。0.1質量部より少なくなると、アノーサイトの析出が少なく、はんだ食われを起こしやすくなる。一方、4質量部より多くなると、焼成時にガラスの軟化が促進され、アノーサイトが不均一に大きく成長し、セラミック基板との接着強度が低下したり、膜構造の緻密性が劣化したりするため、耐酸性が低下してしまう。
また、βユークリプタイト粉末の形状についても限定されることはないが、その平均粒径は、3μm以下が好ましく、0.5〜2μmとすることより好ましい。βユークリプタイト粉末の平均粒径が3μmを超えるとアノーサイトが析出し難くなり、はんだに食われやすくなる。
(2)厚膜導体の製造方法
本発明に係る厚膜導体の製造方法は、本発明の厚膜導体形成用組成物に、有機ビヒクルを添加して、これらを混練することにより、導体ペーストを得る第1工程と、この導体ペーストをセラミック基板に塗布した後、500℃以上900℃未満の温度で焼成する第2の工程とを備える。
有機ビヒクルとしては、従来と同様に、エチルセルロース、メタクリレートなどのバインダを、ターピネオール、ブチルカルビトールなどの溶剤に溶解したものを用いることができる。この中でも、コストや取扱い容易性から、エチルセルロースをターピネオールに溶解したものを用いることが好ましい。バインダと溶剤の割合は、最終的な導体ペースト組成での印刷性や塗布方法に応じて適宜選択される。
有機ビヒクルの添加量は、前記導電粉末100質量部に対して、15〜250質量部、好ましくは20〜100質量部とする。15質量部未満では粘度が高すぎて塗布が実質的に不可能であり、250質量部を超えると金属粉の沈降や焼成膜の緻密性が大きく低下するという問題が生じる。
(第1の工程)
第1の工程は、前記厚膜導体形成用組成物に、前記有機ビヒクルを添加して、これらを混練することにより、導体ペーストを得る工程である。この工程における混練方法としては、湿式混練ミル、ロールミル、テーパロールミルなどの公知の技術を用いることができる。また、得られる導体ペーストの粘度は、目的とする膜厚やセラミック基板の種類などによって適宜選択される。
なお、前記厚膜導体形成用組成物を構成する導電粉末と酸化物粉末は、有機ビヒクルを添加する前に、予め十分に混合することが好ましい。このような混合により、より均一な厚膜導体形成用組成物を得ることができるためである。混合方法としては、ボールミル、ビーズミルなどの公知の技術を用いることができる。
(第2の工程)
第2の工程は、前記導体ペーストをセラミック基板に塗布し、焼成することで厚膜導体を得る工程である。まず、第1の工程で得られた導体ペーストをセラミック基板に塗布する。セラミック基板としては、電子部品の用途に応じて、96%アルミナ基板、フォルステライトなどが用いられるが、本発明の導体形成用組成物を用いた導体ペーストは何れの基板にも適用可能である。また、塗布方法としては、特に限定されるものではなく、スクリーン印刷や凸版印刷やグラビア印刷などの印刷法、その他、ディスペンサーによる描画方式など、公知の技術を用いることができるが、適正な膜厚で大量生産を行う観点からスクリーン印刷により塗布することが好ましい。
導体ペーストを塗布した後、80〜200℃で、2〜15分乾燥することが好ましい。このように塗布後、焼成前に乾燥することにより、焼成時の溶剤の揮発および燃焼を防ぎ、焼成炉の汚染を防止するという効果を得ることができる。乾燥方法は、特に限定されず、オーブンやベルト式乾燥炉などの公知の手段を用いることができるが、量産性の観点から、ベルト式乾燥炉により乾燥することが好ましい。また、乾燥温度が80℃未満では乾燥に要する時間が長くなり、生産性が悪化するため好ましくなく、200℃を超えるとバインダの役割を果す樹脂が酸化して乾燥膜が脆くなるため好ましくない。
乾燥後、この厚膜導体を焼成する。焼成方法として、ベルト炉を用いることが好ましい。この場合、焼成におけるピーク温度は、500℃以上900℃未満、好ましくは700℃以上900℃未満とする。ピーク温度が500℃未満では、アノーサイトが十分に析出しないという問題が生じる。一方、900℃以上になると、導体膜が過焼結となり、融点が低いAgを主成分とする導体ペーストでは、導体膜が島状に形成されてしまい、均一な電極膜が形成できなくなるという問題が生じる。
このピーク温度で5〜20分、好ましくは7〜13分保持することが必要である。5分未満ではアノーサイトが析出するための十分な時間を確保することができず、20分を超えると導体膜が過焼結となる可能性がある。また、焼成のトータルの時間は20〜90分、好ましくは30〜60分とすることが必要である。20分未満では昇温速度や冷却速度が大きくなりすぎ、90分を超えると生産性が悪化するという問題が生じる。
このようなピーク温度および焼成時間で焼成するためには、ピーク温度までの昇温速度は20〜150℃/minとし、ピーク温度からの冷却速度は20〜200℃/minとすることが好ましい。昇温速度が20℃/minあるいは冷却速度が20℃/min未満の場合には、生産性が悪化するため好ましくない。また、昇温速度が150℃/minあるいは冷却速度が200℃/min以上の場合には、急激な温度変化により厚膜導体に割れが発生する可能性があるため好ましくない。
また、焼成中の雰囲気は特に限定されるものではないが、酸化物ガラスの軟化、アノーサイトの結晶を充分成長させる観点から、空気雰囲気で焼成することが好ましい。
(3)厚膜導体
本発明の厚膜導体は、導電成分とガラス成分とβユークリプタイトを含み、その内部に針状のアノーサイトが均一に分散した、緻密な膜構造となっている。また、βユークリプタイトに含まれていたLiが、アノーサイトおよびガラス中において固定化されている。ここで、固定化されているとは、前記Liが、アノーサイト結晶の中に取り込まれたり、ガラスの中に溶け込んだりしている状態を意味する。
この厚膜導体にはんだが接触した場合、厚膜導体中から微量の貴金属がはんだに溶け出すが、このとき、アノーサイトが厚膜導体表面に棘状に露出する。この棘状のアノーサイトとはんだの間に表面張力が作用し、これによって、厚膜導体中の貴金属とはんだの接触が妨げられ、はんだ食われが抑制されることとなる。
この棘状アノーサイト結晶相の長さは、1μm以上であることが必要である。1μm未満の微細な結晶相では、該アノーサイト結晶が厚膜導体中からはんだ中に移動してしまい、はんだ食われを抑制する効果が十分に得られなくなる。アノーサイトを1μm以上に成長させるためには、温度を高める、ガラスの流動性をあげるなどの手段が挙げられる。本発明では、900℃以下の焼成温度において充分アノーサイトを成長させるためにβユークリプタイトを用いてガラスの流動性の向上を図っている。
上述したように、本発明では、厚膜導体形成用組成物をβユークリプタイトを含む所定の成分により構成し、かつ、十分な混練を施した導体ペーストを用いて、厚膜導体が作製されるため、厚膜導体とセラミック基板の界面付近に、アノーサイトが多く析出してしまうことなく、また、急激なアノーサイトの成長による空洞部を形成することもなく、厚膜導体内部にアノーサイトを均一に、かつ、適切な形状および大きさで分散させている。
したがって、本発明の厚膜導体は、基板との接着強度も良好であり、はんだ付けがなされた場合でも、はんだ食われによる問題を生ずることがないばかりか、電子部品の製造工程において、この厚膜導体が酸に晒された場合でも、はく離などの問題を生ずることがないという、きわめて優れた特性を備えるものとなっている。
以下、本発明について、実施例により、さらに説明を行うが、本発明の範囲は、この実施例により制限されることはない。この実施例および比較例では、表1に示すガラス粉末を用いて、厚膜導体を作製し、得られた厚膜導体について、耐はんだ性、接着強度および耐酸性について評価した。
Figure 0005673515
(実施例1)
平均粒径1.5μmの粒状のAg粉末:99.0質量部、および、平均粒径0.1μmの粒状のPd粉末:1.0質量部からなる導電粉末に対して、酸化物粉末として平均粒径3μmのガラス粉末A:5質量部と、平均粒径0.5μmのAl23粉末:0.5質量部と、平均粒径1.0μmのβユークリプタイト粉末:1質量部を添加して、厚膜導体形成用組成物を得た。バインダとして、エチルセルロース7gを、溶剤であるターピネオール溶液93gに溶解させ、有機ビヒクルを得て、この有機ビヒクルを前記組成物に添加し、3本ロールミルで混練することにより、導体ペーストを作製した。
作製した導体ペーストを、96%アルミナ基板(25.4mm×25.4mm×1mm)上に、スクリーン印刷機によりスクリーン印刷し、ベルト式乾燥炉を用いて150℃で5分間、乾燥した。乾燥した基板を、ピーク温度850℃で9分間、トータル30分間のベルト炉で焼成し、所定のパターンの厚膜導体を形成した。
この厚膜導体の断面構造について、SEMを用いて観察したところ、内部に針状のアノーサイトが均一に分散した構造膜からなることが確認された。
また、厚膜導体が形成された基板から得た、2.0mm×2.0mmの厚膜導体パッドのサンプルについて、触針型の膜厚計により、本実施例の厚膜導体の膜厚を測定した結果、8.0μmであった。
次に、幅0.5mm、長さ50mmの厚膜導体パターンのサンプルについて、デジタルマルチメータにより、その抵抗値を測定し、得られた抵抗値を換算することにより、本実施例の厚膜導体の面積抵抗値を得たところ、4.5mΩ/□であった。
[耐はんだ性の評価]
以下の通り、本発明の実施例および比較例について、耐はんだ性の評価を行った。まず、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルを、270℃に保持した96.5質量%Sn−3質量%Ag−0.5質量%Cu組成の鉛フリーはんだ浴中に、10秒間、浸漬した後、その抵抗値を測定する操作を1回として、その操作を繰り返した。測定された抵抗値が1kΩ以上になった時点で、はんだ食われによる断線が生じたものと判断し、抵抗値が1kΩとなるまでの操作の繰返し回数を、耐はんだ性の評価の指標とした。
[接着強度の評価]
Niめっき液として、硫酸ニッケルを280g/L、塩化ニッケルを60g/L、ホウ酸を40g/Lに調整したものを用いた。電流密度を5×10-3A/mm2(5×10-9A/m2)として、2.0mm×2.0mmの厚膜導体パッドに、2分間の電気めっきを施して、サンプルとした。このめっきが施されたサンプルに、直径0.65mmのSnめっき銅線を、96.5質量%Sn−3質量%Ag−0.5質量%Cu組成の鉛フリーはんだを用いて、はんだ付けし、引張試験機により、垂直方向に引っ張り、導体膜を基板から剥離させて、この剥離時の引張力を測定した。
[耐酸性の評価]
接着強度の評価と同様に、Niめっきが施されたサンプルを、5%に純水で希釈した硫酸中に1時間浸漬した後、直径0.65mmのSnめっき銅線を、96.5質量%Sn−3質量%Ag−0.5質量%Cu組成の鉛フリーはんだを用いて、はんだ付けをし、引張試験機により、垂直方向に引っ張り、導体膜を剥離させて、この剥離時の引張力を測定した。
耐はんだ性の評価においては、実施例1と同様に、はんだ浴中に12回以上繰り返して浸しても、抵抗値は10Ω以下であった。また、接着強度および耐酸性の評価においては、剥離時の引張強度は、それぞれ65N、43Nであった。
(実施例2)
ガラス粉末A:5質量部の代わりに、平均粒径3μmのガラス粉末B:3質量部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして厚膜導体形を作製した。
この厚膜導体の断面構造について、SEMを用いて観察したところ、内部に針状のアノーサイトが均一に分散した構造膜からなることが確認された。また、2.0mm×2.0mmのサンプルの膜厚は8.0μmであり、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルの面積抵抗値は4.0mΩ/□であった。
耐はんだ性の評価においては、実施例1と同様に、はんだ浴中に12回以上繰り返して浸しても、抵抗値は10Ω以下であった。また、接着強度および耐酸性の評価においては、剥離時の引張強度は、それぞれ60N、36Nであった。
(実施例3)
ガラス粉末Aの含有量を3質量部と、Al23粉末の含有量を0.05質量部と、βユークリプタイト粉末の含有量を0.1質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
この厚膜導体の断面構造について、SEMを用いて観察したところ、内部に針状のアノーサイトが均一に分散した構造膜からなることが確認された。また、2.0mm×2.0mmのサンプルの膜厚は8.0μmであり、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルの面積抵抗値は3.8mΩ/□であった。
耐はんだ性の評価においては、実施例1と同様に、はんだ浴中に12回以上繰り返して浸しても、抵抗値は10Ω以下であった。また、接着強度および耐酸性の評価においては、剥離時の引張強度は、それぞれ65N、38Nであった。
(実施例4)
ガラス粉末A:5質量部の代わりに、平均粒径3μmのガラス粉末B:3質量部を添加するとともに、Al23粉末の含有量を2質量部、βユークリプタイト粉末の含有量を4質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
この厚膜導体の断面構造について、SEMを用いて観察したところ、内部に針状のアノーサイトが均一に分散した構造膜からなることが確認された。また、2.0mm×2.0mmのサンプルの膜厚は8.0μmであり、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルの面積抵抗値は4.5mΩ/□であった。
耐はんだ性の評価においては、実施例1と同様に、はんだ浴中に12回以上繰り返して浸しても、抵抗値は10Ω以下であった。また、接着強度および耐酸性の評価においては、剥離時の引張強度は、それぞれ60N、35Nであった。
(実施例5)
βユークリプタイト粉末の含有量を2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
この厚膜導体の構造について、SEM観察したところ、内部にアノーサイトが均一に分散した構造膜からなることが確認された。また、2.0mm×2.0mmのサンプルの膜厚は8.0μmであり、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルの面積抵抗値は4.8mΩ/□であった。
耐はんだ性の評価においては、実施例1と同様に、はんだ浴中に12回以上繰り返して浸しても、抵抗値は10Ω以下であった。また、接着強度および耐酸性の評価においては、剥離時の引張強度は、それぞれ61N、37Nであった。
(比較例1)
ガラス粉末Aの含有量を3質量部とし、βユークリプタイト粉末を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
この厚膜導体の構造について、SEM観察したところ、内部に1μm以下のアノーサイトが僅かに形成されていたものの、十分に成長していない構造であることが確認された。また、2.0mm×2.0mmのサンプルの膜厚は8.0μmであり、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルの面積抵抗値は4.0mΩ/□であった。
耐はんだ性の評価においては、はんだ浴中に3回浸漬させた時点で、抵抗値が1kΩ以上となった。また、接着強度および耐酸性の評価においては、剥離時の引張強度は、それぞれ57N、30Nであった。
(比較例2)
ガラス粉末Aの含有量を3質量部とし、Al23粉末を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
この厚膜導体の構造について、SEM観察したところ、厚膜導体とアルミナ基板の界面部に1μm以上のアノーサイトが集中して析出した構造であることが確認された。また、2.0mm×2.0mmのサンプルの膜厚は8.0μmであり、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルの面積抵抗値は4.0mΩ/□であった。
耐はんだ性の評価においては、はんだ浴中に2回浸漬させた時点で、抵抗値が1kΩ以上となった。また、接着強度および耐酸性の評価においては、剥離時の引張強度は、それぞれ35N、8Nであった。
(比較例3)
ガラス粉末A:5質量部の代わりに、平均粒径3μmのガラス粉末C:5質量部を添加した、βユークリプタイト粉末の含有量を0.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
この厚膜導体の構造について、SEM観察したところ、アノーサイトが存在しない構造膜からなることが確認された。また、2.0mm×2.0mmのサンプルの膜厚は8.5μmであり、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルの面積抵抗値は4.2mΩ/□であった。
耐はんだ性の評価においては、はんだ浴中に2回浸漬させた時点で、抵抗値が1kΩ以上となった。また、接着強度および耐酸性の評価においては、剥離時の引張強度は、それぞれ50N、25Nであった。
(比較例4)
ガラス粉末A:5質量部の代わりに、平均粒径3μmのガラス粉末D:5質量部を添加するとともに、Al23粉末の含有量を1質量部とし、βユークリプタイト粉末を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
この厚膜導体の構造について、SEM観察したところ、内部にアノーサイトが均一に分散しているものの、アノーサイトが析出した領域において焼成膜が緻密ではないことが確認された。また、2.0mm×2.0mmのサンプルの膜厚は8.0μmであり、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルの面積抵抗値は4.5mΩ/□であった。
耐はんだ性の評価においては、実施例1と同様に、はんだ浴中に12回以上繰り返して浸しても、抵抗値が1kΩ以上となることはなかった。また、接着強度の評価における剥離時の引張強度は60Nであったが、耐酸性の評価における剥離時の引張強度が10Nであった。
(比較例5)
βユークリプタイト粉末の含有量を6質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
この厚膜導体の構造について、SEM観察したところ、内部にアノーサイトが均一に分散しているものの、アノーサイトが析出した領域において焼成膜が緻密ではないことが確認された。また、2.0mm×2.0mmのサンプルの膜厚は8.0μmであり、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルの面積抵抗値は5.3mΩ/□であった。
耐はんだ性の評価においては、はんだ浴中に12回以上繰り返して浸しても、抵抗値が1kΩ以上となることはなかった。また、接着強度の評価における剥離時の引張強度は55Nであったが、耐酸性の評価における剥離時の引張強度が10Nであった。
Figure 0005673515
本発明の実施例の厚膜導体は、いずれも、12回はんだに浸漬させても、面積抵抗値は10Ω以下であり、断線することもなく、耐はんだ性に優れていた。接着強度も60N以上と高かった。また、耐酸性の評価においても接着強度の低下は小さく、35N以上を維持した。
βユークリプタイトを含有しない比較例1は、厚膜導体内部にアノーサイトが十分に析出および成長しなかったため、はんだ食われが生じている。このことから、βユークリプタイトがアノーサイトの析出および成長を促していることが理解される。
Al23を含有しない比較例2は、厚膜導体とアルミナ基板の界面部にアノーサイトが集中的に析出したため、同様にはんだ食われが生じている。このことから、Al23粉末がアノーサイトの均一な析出および成長を促していることが理解される。
CaOを含有しない比較例3は、アノーサイトが析出しなかったため、同様にはんだ食われが生じている。アノーサイトの析出と成長を適切になさせるためには、アノーサイトを構成するCaを供給できるガラス粉末を用いる必要があることが理解される。
ガラス組成自体にLiが含有される比較例4では、アノーサイトの均一な析出および成長がなされており、耐はんだ性に優れ、初期接着強度も高かったが、酸に浸漬した後、その接着強度が大きく低下している。膜構造に空洞部が見られ、緻密性が十分でなかったことから、酸への浸漬により膜構造が破壊されてしまったものと理解される。
βユークリプタイトが本発明の所定の範囲にない比較例5では、アノーサイトが分散して析出および成長していたが、一部でアノーサイトの急激な成長による空洞部がみられ、耐はんだ性および初期接着強度には優れていたが、同様に、酸への浸漬により膜構造が破壊されてしまったものと理解される。

Claims (5)

  1. 導電粉末および酸化物粉末から構成され、鉛を含まない、または、鉛を不可避的不純物として含む場合には、鉛の含有量が100質量ppm以下である、厚膜導体形成用組成物であって、
    前記酸化物粉末は、前記導電粉末100質量部に対して、0.5質量部〜15質量部のSiO 2 −B 2 3 −Al 2 3 −CaO系ガラス粉末と、0.05〜2質量部のAl 2 3 粉末と、0.1〜4質量部のβユークリプタイト粉末とを含む、
    厚膜導体形成用組成物。
  2. 前記SiO2−B23−Al23−CaO系ガラス粉末の組成は、SiO2:20〜60質量%、B23:2〜25質量%、Al23:2〜25質量%、CaO:20〜50質量%である、請求項1に記載の厚膜導体形成用組成物。
  3. 前記導電粉末は、Au、Ag、PdおよびPtから選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の厚膜導体形成用組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の厚膜導体形成用組成物を用いて得られる厚膜導体であって、導電成分とガラス成分とβユークリプタイトを含み、その内部にアノーサイトが均一に析出しており、かつ、前記βユークリプタイトに含まれていたLiが前記アノーサイトおよびガラス成分中に固定化されている、厚膜導体。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の厚膜導体形成用組成物に、有機ビヒクルを分散し、混練して、導体ペーストを得て、得られた導体ペーストをセラミック基板に塗布し、500℃以上900℃未満の温度で焼成することを特徴とする、厚膜導体の製造方法。

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