JP5673515B2 - 厚膜導体形成用組成物およびこれを用いた厚膜導体とその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、実質的に鉛を含まない厚膜導体形成用組成物であって、導電粉末および酸化物粉末から構成される。ここで、実質的に鉛を含まないとは、原料粉末または製造過程に起因して、不可避的不純物として100質量ppm以下含まれることを許容する意味である。
本発明に用いる導電粉末は、通常の厚膜導体の形成に用いられるものでよく、たとえば、Au、Ag、Pd、Ptなどの貴金属があげられる。これらの貴金属の粉末を、1種または2種以上の組み合わせで用いることができる。この中で、融点の低さやコストの観点からAg粉末、Pd粉末、あるいは、これらの混合粉末を使用することが好ましい。
本発明に用いる酸化物粉末は、SiO2−B2O3−Al2O3−CaO系ガラス粉末、Al2O3粉末、βユークリプタイト粉末により構成される。これらの酸化物粉末の含有量は、導電粉末100質量部に対して、SiO2−B2O3−Al2O3−CaO系ガラス粉末を0.5〜15質量部、Al2O3粉末を0.05〜2質量部、βユークリプタイト粉末0.1〜4質量部となるようにすることが好ましい。
本発明では、ガラス粉末として、SiO2−B2O3−Al2O3−CaO系ガラス粉末を用いている。従来技術では、このようなガラス粉末を用いる場合、焼成温度を900℃以上にしなければアノーサイトを析出することが困難であったが、本発明では、βユークリプタイト粉末を添加することにより、ガラスの軟化温度を低下させ、900℃未満の焼成温度でもアノーサイトが析出することを可能としている。
Al2O3粉末の添加量は、導電粉末の100質量部に対して、0.05〜2質量部とすることが好ましく、0.2〜2.0質量部とすることがより好ましい。0.05質量部より少なくなると、アノーサイトの析出が少なく、はんだ食われを起こしやすくなる。一方、2質量部より多くなると、接触抵抗が大きくなるだけでなく、セラミック基板との接着強度が低下してしまう。
βユークリプタイトは、その組成式:LiAlSiO4から明らかなように、Liを含むものである。このβユークリプタイト中のLiがガラス中に溶け込むことによって、ガラス軟化温度が低下し、その部分からガラスの流動性が高まるため、焼成温度が900℃未満であっても、アノーサイトを析出させることが可能となる。さらに、ガラス組成中にLiO2が含まれている場合に比べて、アノーサイトの成長速度を適切な範囲内とすることができるため、急激な成長に伴うガラスの欠乏を抑止することができ、耐はんだ性にすぐれた、緻密な膜構造の厚膜導体を形成することが可能となる。
本発明に係る厚膜導体の製造方法は、本発明の厚膜導体形成用組成物に、有機ビヒクルを添加して、これらを混練することにより、導体ペーストを得る第1工程と、この導体ペーストをセラミック基板に塗布した後、500℃以上900℃未満の温度で焼成する第2の工程とを備える。
第1の工程は、前記厚膜導体形成用組成物に、前記有機ビヒクルを添加して、これらを混練することにより、導体ペーストを得る工程である。この工程における混練方法としては、湿式混練ミル、ロールミル、テーパロールミルなどの公知の技術を用いることができる。また、得られる導体ペーストの粘度は、目的とする膜厚やセラミック基板の種類などによって適宜選択される。
第2の工程は、前記導体ペーストをセラミック基板に塗布し、焼成することで厚膜導体を得る工程である。まず、第1の工程で得られた導体ペーストをセラミック基板に塗布する。セラミック基板としては、電子部品の用途に応じて、96%アルミナ基板、フォルステライトなどが用いられるが、本発明の導体形成用組成物を用いた導体ペーストは何れの基板にも適用可能である。また、塗布方法としては、特に限定されるものではなく、スクリーン印刷や凸版印刷やグラビア印刷などの印刷法、その他、ディスペンサーによる描画方式など、公知の技術を用いることができるが、適正な膜厚で大量生産を行う観点からスクリーン印刷により塗布することが好ましい。
本発明の厚膜導体は、導電成分とガラス成分とβユークリプタイトを含み、その内部に針状のアノーサイトが均一に分散した、緻密な膜構造となっている。また、βユークリプタイトに含まれていたLiが、アノーサイトおよびガラス中において固定化されている。ここで、固定化されているとは、前記Liが、アノーサイト結晶の中に取り込まれたり、ガラスの中に溶け込んだりしている状態を意味する。
平均粒径1.5μmの粒状のAg粉末:99.0質量部、および、平均粒径0.1μmの粒状のPd粉末:1.0質量部からなる導電粉末に対して、酸化物粉末として平均粒径3μmのガラス粉末A:5質量部と、平均粒径0.5μmのAl2O3粉末:0.5質量部と、平均粒径1.0μmのβユークリプタイト粉末:1質量部を添加して、厚膜導体形成用組成物を得た。バインダとして、エチルセルロース7gを、溶剤であるターピネオール溶液93gに溶解させ、有機ビヒクルを得て、この有機ビヒクルを前記組成物に添加し、3本ロールミルで混練することにより、導体ペーストを作製した。
以下の通り、本発明の実施例および比較例について、耐はんだ性の評価を行った。まず、幅0.5mm、長さ50mmのサンプルを、270℃に保持した96.5質量%Sn−3質量%Ag−0.5質量%Cu組成の鉛フリーはんだ浴中に、10秒間、浸漬した後、その抵抗値を測定する操作を1回として、その操作を繰り返した。測定された抵抗値が1kΩ以上になった時点で、はんだ食われによる断線が生じたものと判断し、抵抗値が1kΩとなるまでの操作の繰返し回数を、耐はんだ性の評価の指標とした。
Niめっき液として、硫酸ニッケルを280g/L、塩化ニッケルを60g/L、ホウ酸を40g/Lに調整したものを用いた。電流密度を5×10-3A/mm2(5×10-9A/m2)として、2.0mm×2.0mmの厚膜導体パッドに、2分間の電気めっきを施して、サンプルとした。このめっきが施されたサンプルに、直径0.65mmのSnめっき銅線を、96.5質量%Sn−3質量%Ag−0.5質量%Cu組成の鉛フリーはんだを用いて、はんだ付けし、引張試験機により、垂直方向に引っ張り、導体膜を基板から剥離させて、この剥離時の引張力を測定した。
接着強度の評価と同様に、Niめっきが施されたサンプルを、5%に純水で希釈した硫酸中に1時間浸漬した後、直径0.65mmのSnめっき銅線を、96.5質量%Sn−3質量%Ag−0.5質量%Cu組成の鉛フリーはんだを用いて、はんだ付けをし、引張試験機により、垂直方向に引っ張り、導体膜を剥離させて、この剥離時の引張力を測定した。
ガラス粉末A:5質量部の代わりに、平均粒径3μmのガラス粉末B:3質量部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして厚膜導体形を作製した。
ガラス粉末Aの含有量を3質量部と、Al2O3粉末の含有量を0.05質量部と、βユークリプタイト粉末の含有量を0.1質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
ガラス粉末A:5質量部の代わりに、平均粒径3μmのガラス粉末B:3質量部を添加するとともに、Al2O3粉末の含有量を2質量部、βユークリプタイト粉末の含有量を4質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
βユークリプタイト粉末の含有量を2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
ガラス粉末Aの含有量を3質量部とし、βユークリプタイト粉末を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
ガラス粉末Aの含有量を3質量部とし、Al2O3粉末を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
ガラス粉末A:5質量部の代わりに、平均粒径3μmのガラス粉末C:5質量部を添加した、βユークリプタイト粉末の含有量を0.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
ガラス粉末A:5質量部の代わりに、平均粒径3μmのガラス粉末D:5質量部を添加するとともに、Al2O3粉末の含有量を1質量部とし、βユークリプタイト粉末を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
βユークリプタイト粉末の含有量を6質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚膜導体を作製した。
Claims (5)
- 導電粉末および酸化物粉末から構成され、鉛を含まない、または、鉛を不可避的不純物として含む場合には、鉛の含有量が100質量ppm以下である、厚膜導体形成用組成物であって、
前記酸化物粉末は、前記導電粉末100質量部に対して、0.5質量部〜15質量部のSiO 2 −B 2 O 3 −Al 2 O 3 −CaO系ガラス粉末と、0.05〜2質量部のAl 2 O 3 粉末と、0.1〜4質量部のβユークリプタイト粉末とを含む、
厚膜導体形成用組成物。 - 前記SiO2−B2O3−Al2O3−CaO系ガラス粉末の組成は、SiO2:20〜60質量%、B2O3:2〜25質量%、Al2O3:2〜25質量%、CaO:20〜50質量%である、請求項1に記載の厚膜導体形成用組成物。
- 前記導電粉末は、Au、Ag、PdおよびPtから選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の厚膜導体形成用組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の厚膜導体形成用組成物を用いて得られる厚膜導体であって、導電成分とガラス成分とβユークリプタイトを含み、その内部にアノーサイトが均一に析出しており、かつ、前記βユークリプタイトに含まれていたLiが前記アノーサイトおよびガラス成分中に固定化されている、厚膜導体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の厚膜導体形成用組成物に、有機ビヒクルを分散し、混練して、導体ペーストを得て、得られた導体ペーストをセラミック基板に塗布し、500℃以上900℃未満の温度で焼成することを特徴とする、厚膜導体の製造方法。
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