JP5672201B2 - 異方性導電フィルム及び接続構造体の製造方法 - Google Patents

異方性導電フィルム及び接続構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、異方性導電フィルム、この異方性導電フィルムを用いて基板の端子と電子部品の端子とを異方性導電接続して接続構造体を製造する方法に関する。
種々の基板の電極パッド等の端子と電子部品のバンプ等の端子とを接続する際に、熱硬化性成分に導電粒子を配合してフィルムに成形した異方性導電フィルムが利用されている。
このような異方性導電フィルムにおいて、異方性導電接続すべき端子の幅や端子間スペースの幅を細狭化するという時代の要請の中で、良好な電気的接続を実現するために端子上に存在させる導電粒子の数を低減させないことが必要となる。しかし、このことは、隣接する端子間に存在する導電粒子数の増加も招き、異方性導電接続の際にショートを生じさせかねないという問題がある。このため、導電粒子の周囲を絶縁樹脂で被覆することが行われているが、完全に被覆することは困難であるという問題があった。
そこで、導電粒子の周囲を絶縁樹脂で被覆しなくても、良好な電気的接続と高い接着強度とを実現するため、異方性導電フィルムの硬化後の貯蔵弾性率を、40℃で500〜3000MPaとすることを前提に、異方性導電フィルムに適用する導電粒子について、導電粒子の直径に応じてその硬度を最適化することが提案されている(特許文献1)。
特開2008−159586号公報
ところで、基板と高価な電子部品とを異方性導電接続する際に位置ズレが生じた場合には、異方性導電フィルムのリペア性が求められることがあるが、特許文献1の技術の場合、異方性導電フィルムの熱硬化性成分としてエポキシ樹脂ではなくアクリル系モノマーを使用し且つ異方性導電フィルムの硬化後の貯蔵弾性率が500〜1500MPa程度であれば、電子部品を硬化した異方性導電フィルムから引き剥がした際に、電子部品の端子上の異方性導電フィルムの硬化物残渣を、綿棒で軽く擦ること等により比較的容易に除去することが可能である。
しかし、貯蔵弾性率が1500MPaを超えると、電子部品の端子上の異方性導電フィルムの硬化物残渣を綿棒で軽く擦った程度では除去できないため、溶剤を使用せざるを得ず、リペアコストや環境負荷の増大を招くという問題があった。
本発明の目的は、以上の従来の問題点を解決しようとするものであり、基板の端子と電子部品の端子とを異方性導電接続する際に、良好な接続信頼性とリペア性とを両立させた異方性導電フィルムを提供することである。
本発明者らは、硬化後の異方性導電フィルムの貯蔵弾性率を所定範囲となるようにすると共に、異方性導電フィルムに、特定の破断強度と破断伸度とを示すエラストマーを所定量配合し、更に、配合すべき導電粒子として所定の圧縮硬さを有するものを使用することにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、膜形成樹脂と、液状硬化性化合物と、導電粒子と、エラストマーと、硬化剤とを含有する樹脂組成物をフィルムに成形した異方性導電フィルムであって、
硬化後の異方性導電フィルムのJIS K7244−4による引張り振動モードの動的粘弾性測定における貯蔵弾性率(25℃)が、0.5〜1.5GPaであり、
エラストマーが、ASTM D638による50〜80MPaの破断強度と10%以下の破断伸度とを示すものであり、
エラストマーの樹脂組成物中の含有量が、膜形成樹脂、液状硬化性化合物、導電粒子、当該エラストマー及び硬化剤の合計全質量中の20〜50質量%であり、そして
導電粒子が、荷重49.035mN、負荷速度2.226mN/secの条件における10%変位時に300〜500kgf/mmの圧縮硬さを示すものである
異方性導電フィルムを提供する。
また、本発明は、基板の端子と電子部品の端子とを異方性導電接続して接続構造体を得る製造方法であって、
基板の端子に、上述の異方性導電フィルムを仮貼りする工程、
電子部品を、その端子が基板の端子に対向するように異方性導電フィルム上に配置する工程、
基板と電子部品とで挟持された異方性導電フィルムを、電子部品側からボンディングツールで加熱加圧することにより異方性導電接続を行う工程
を有する製造方法、並びにこの製造方法で得られた接続構造体を提供する。
本発明の異方性導電フィルムは、その硬化後の貯蔵弾性率が所定範囲となるものであり、特定の破断強度と破断伸度とを示すエラストマーを所定量含有していると共に、配合すべき導電粒子として所定の圧縮硬さを有するものを使用している。このため、本発明の異方性導電フィルムを、基板の端子と電子部品の端子とを異方性導電接続する際に適用すると、良好な接続信頼性とリペア性とを両立させることができる。
本発明の異方性導電フィルムは、膜形成樹脂と、液状硬化性化合物と、導電粒子と、エラストマーと、硬化剤とを含有する樹脂組成物をフィルムに成形したものである。
本発明の異方性導電フィルムを特徴付ける要素の一つは、その硬化後のJIS K7244−4による引張り振動モードの動的粘弾性測定における貯蔵弾性率(25℃)が、0.5〜1.5GPa、好ましくは0.8〜1.2GPaに調整されるということである。これは、貯蔵弾性率が0.5GPaを下回ると、電子部品の端子に付着した異方性導電フィルムの硬化物残渣が、綿棒で容易に除去できるためにリペア性には問題が生じないものの、接続信頼性が低下する傾向があり、1.5GPaを超えるとリペア性が低下する傾向が見られるからである。
なお、異方性導電フィルムの貯蔵弾性率の調整は、例えば、液状硬化性化合物の種類を変更することやその配合量を増減させること等により行うことができる。
また、本発明の異方性導電フィルムを特徴付ける他の要素は、配合すべきエラストマーとして、ASTM D638による破断強度が、50〜80MPa、好ましくは65〜75MPaであり、且つ破断伸度が10%以下、好ましくは5〜7%であるものを使用することである。これは、破断強度が50MPaを下回ると、異方性導電フィルムのタフネスが低下してリペア性も低下する傾向があり、80MPaを超えると異方性導電フィルムの流動性が低下し、異方性導電接続の際に異方性導電フィルムを十分に押し込むことが難しくなり、接続抵抗が増大して接続信頼性が低下する傾向があり、また、破断伸度が10%を上回ると、異方性導電フィルムのタフネスが低下してリペア性も低下する傾向が見られるからである。
本発明の異方性導電フィルムにおいて、このようなエラストマーの樹脂組成物中の含有量は、膜形成樹脂、液状硬化性化合物、導電粒子、当該エラストマー及び硬化剤の合計全質量中の20〜50質量%、好ましくは30〜40質量%である。これは、20質量%を下回ると、異方性導電フィルムのタフネスが低下してリペア性も低下する傾向があり、50質量%を超えると、異方性導電フィルムの流動性が低下し、異方性導電接続の際に異方性導電フィルムを十分に押し込むことが難しくなり、接続抵抗が増大して接続信頼性が低下する傾向が見られるからである。
以上説明したエラストマーとしては、上述した所定の破断強度と破断伸度とを示す種々のエラストマーを使用することができ、例えば、Tgが好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下の、室温でゴム弾性を有する天然または合成ゴムを使用でき、具体的には天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンゴム(SIS)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等があげられる。これらのゴムは架橋されていてもよく、Tgが30℃以下であれば熱可塑性エラストマーも使用することができる。
なお、エラストマーの破断強度と破断伸度の調整は、ハードセグメント及びソフトセグメントのそれぞれの構造やそれらの存在比等を変化させることによって行うことができる。
また、本発明の異方性導電フィルムを特徴づける別の要素は、導電粒子として、荷重49.035mN(5.0gf)、負荷速度2.226mN/sec(0.228gf/sec)の条件における10%変位時の圧縮硬さが300〜500kgf/mm、好ましくは350〜450kgf/mmであるものを使用することである。これは、圧縮硬さが300kgf/mmを下回ると、導電粒子の復元力が小さいため接続信頼性が低下する傾向があり、500kgf/mmを超えると、異方性導電接続の際に導電粒子を十分に押し潰すことができず、接続抵抗が増大して接続信頼性が低下する傾向が見られるからである。
なお、導電粒子の圧縮硬さの調整は、コアである樹脂粒子の架橋密度を変化させることにより調整することができる。
このような導電粒子としては、所定の条件下での10%圧縮硬さが300〜500kgf/mmとなる導電粒子、例えばジビニルベンゼン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の樹脂粒子の表面を無電解ニッケルメッキ膜等の無電解金属メッキ膜で被覆した金属被覆樹脂粒子等を使用することができる。これらの導電粒子の平均粒径は、通常4〜15μm、好ましくは6〜10μmである。
本発明の異方性導電フィルムにおいて、このような導電粒子の樹脂組成物中の含有量は、少なすぎると接続抵抗が高く、接続信頼性が低下する傾向があり、多すぎると隣接端子間でショートが発生することが懸念されるので、膜形成樹脂、液状硬化性化合物、導電粒子、エラストマー及び硬化剤の合計全質量中の好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは2〜5質量%である。
本発明の異方性導電フィルムは、前述したように、樹脂組成物をフィルムにしたものであるが、このような樹脂組成物は、既に説明したエラストマーと導電粒子とに加えて、膜形成樹脂と、液状硬化性化合物と、硬化剤とを含有する。
膜形成樹脂は、樹脂組成物に成膜性を付与するものであり、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等を挙げることができ、これらの2種以上を併用することができる。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の観点から、フェノキシ樹脂を好ましく使用することができる。
膜形成樹脂の樹脂組成物中の含有量は、少なすぎると樹脂組成物の成膜性が低下する傾向がり、多すぎると相対的に他の成分が少なくなり意図した性能の異方性導電フィルムを得られなくなる傾向があるので、膜形成樹脂、液状硬化性化合物、導電粒子、エラストマー及び硬化剤の合計全質量中に好ましくは5〜50質量%、より好ましくは20〜30質量%である。
液状硬化性化合物は、異方性導電フィルムに熱硬化性を付与するための成分であり、室温で液状のアクリル系モノマーを使用することが好ましい。ここで、室温で液状のものを使用する理由は、異方性導電フィルムにタック性を付与させるためである。また、アクリル系モノマーを使用する理由は、エポキシ樹脂などに比べ、リペア性に優れているからである。このようなアクリル系モノマーとしては、単官能(メタ)アクリレート(ここで、(メタ)アクリレートにはアクリレートとメタクリレートとが包含される)、二官能以上の多官能(メタ)アクリレートを使用することができる。本発明においては、接着剤を熱硬化性とするために、アクリル系モノマーの少なくとも一部に多官能(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ブチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。二官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールF―EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA―EO変性ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート等が挙げられる。三官能(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。四官能以上の(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。その他に、多官能ウレタン(メタ)アクリレートも使用することができる。具体的には、M1100、M1200、M1210、M1600(以上、東亜合成工業(株))、AH−600、AT−600(以上、共栄社化学(株))等が挙げられる。
液状硬化性化合物の樹脂組成物中の含有量は、少なすぎると硬化後の異方性導電フィルムに好ましい膜物性を付与することができず、多すぎると相対的に他の成分が少なくなり意図した性能の異方性導電フィルムを得られなくなる傾向があるので、膜形成樹脂100質量部に対し、好ましくは5〜35質量部、より好ましくは10〜30質量部である。
硬化剤は、液状硬化性化合物を重合させるための成分であり、液状硬化性化合物の種類等に応じて適宜選択することができる。液状硬化性化合物が、アクリル系モノマーである場合、硬化剤として、有機過酸化物やアゾ化合物等を使用することができるが、安定性の点から有機過酸化物を好ましく使用することができる。
このような有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。具体的には、ジイソブチリル、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジラウロイルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサイノイル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−アミルヒドロパーオキサイド、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド、t−オクチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロパーオキシヘキサン、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンモノヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド等を挙げることができる。これらは、2種以上を併用することができる。また、フェニル環を有するこれらの高温分解過酸化物を使用することにより、異方性導電フィルムの凝集力を向上させることができるので接着強度を更に向上させることができる。
有機過酸化物の樹脂組成物中の配合量は、少なすぎると異方性導電フィルムの硬化が不十分となる傾向があり、多すぎると重合度が低くなりフィルム特性が悪化する傾向があるので、アクリル系モノマー100質量部に対し、好ましくは1〜40質量部、より好ましくは2〜20質量部である。
本発明の異方性導電フィルムを構成する樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、異方性導電フィルムに従来より添加されている各種添加剤、例えば、無機フィラー、シランカップリング剤、顔料、酸化防止剤、希釈剤、溶剤、帯電防止剤等を配合することができる。
本発明の異方性導電フィルムは、常法により製造することができる。例えば、膜形成樹脂と、液状硬化性化合物と、導電粒子と、エラストマーと、硬化剤と、必要に応じて添加される各種添加剤とを、攪拌機を用いて均一に混合してフィルム形成用の樹脂組成物を調製し、その樹脂組成物を用いて、公知のフィルム形成法を利用してフィルムに成形することにより製造することができる。このようにして得られた異方性導電フィルムの厚みは、使用目的に応じて適宜設定することができる。
以上説明した本発明の異方性導電フィルムは、基板の端子と電子部品の端子とを異方性導電接続して接続構造体を得る製造方法に好ましく適用することができる。この製造方法について、以下に、工程毎に説明する。
<フィルム仮貼り工程>
先ず、基板の端子に、本発明の異方性導電フィルムを仮貼りする。仮貼りは、半導体装置を製造する際に用いられる加熱加圧が可能なボンディングツールを使用することできる。仮貼り条件は、異方性導電フィルムの組成等に応じて適宜設定することができる。
基板としては、ガラス基板、ガラスエポキシ基板、ポリイミドフレキシブル基板等を挙げることができる。基板の端子としては、基板ベース上に形成された銅箔をフォトリソグラフ法により形成した電極パッドを例示することができる。
<電子部品配置工程>
次に、電子部品を、その端子が基板の端子に対向するように異方性導電フィルム上に配置する。この配置する方法としては、特に制限はなく、公知の手法を使用することができ、半導体装置を製造する際に用いられる加熱加圧が可能なボンディングツールを適用することができる。配置条件は、異方性導電フィルムの組成等に応じて適宜設定することができる。
電子部品としては、半導体チップ、コンデンサ、LEDチップ、半導体モジュール、また、先に挙げた各種基板等を例示することができる。電子部品の端子としては、バンプ、電極バッドなどを挙げることができる。
<異方性導電接続工程>
次に、基板と電子部品とで挟持された異方性導電フィルムを、電子部品側から加熱加圧が可能なボンディングツールで加熱加圧することにより異方性導電接続を行う。これにより、基板の端子と電子部品の端子とが本発明の異方性導電フィルムを介して異方性導電接続された接続構造体が得られる。
このようにして得られる接続構造体は、本発明の異方性導電フィルムを用いているので、良好な接続信頼性とリペア性とが両立したものとなる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1〜11、比較例1〜10
表1に示す異方性導電フィルム成分の合計100質量部に、トルエン50質量部とを、攪拌機を用いて均一に混合してフィルム形成用の樹脂組成物を調製し、得られた樹脂組成物を、剥離フィルム上に乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布し、80℃で5分間乾燥することにより異方性導電フィルムを得た。
なお、表1中のエラストマーA〜Iとしては、それぞれ表中に示された、ASTM D638に基づく破断強度及び破断伸度を示すものを使用した。また、導電粒子A〜Eとしては、それぞれ表中に示された、荷重49.035mN、負荷速度2.226mN/secの条件における10%変位時の圧縮硬さを示すものを使用した。
得られた異方性導電フィルムの硬化後の貯蔵弾性率、使用したエラストマーの破産強度及び破断伸度、使用した導電粒子の10%変位時の圧縮強度について、以下説明するように測定した。得られた結果を表1に示す。
また、ボンディングツールを使用し、得られた異方性導電フィルムを用いて接続構造体を作成し、接続抵抗値、並びに本圧着後の異方性導電フィルムのリペア性を以下に説明するように試験評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、接続構造体は、プリント配線基板(FR4グレード、パナソニック(株):銅配線ピッチ200μm、配線高さ35μm)の端子上に、異方性導電フィルムを仮貼りし、その仮貼りした異方性導電フィルム上に、ポリイミドフレキシブル基板(ポリイミド厚38μm、銅配線ピッチ200μm、配線高さ8μm)を、その端子がプリント配線基板の端子と対向するように配置し、プリント配線基板側から、170℃、4MPa、5secという条件でボンディングツールを用いて本圧着して異方性導電接続することで製造した。
<硬化後の異方性導電フィルムの貯蔵弾性率の測定>
異方性導電フィルムを、200℃、3時間という条件で硬化させ、得られた異方性導電フィルムの硬化物について、導電粘弾性試験器(RHEOVIBRON DDV−01FP,ORIENTEC社)を用いて、JIS K7244−4による引張り振動モードの動的粘弾性測定における貯蔵弾性率(25℃)を測定した。
<エラストマーの破断強度と破断伸度の測定>
エラストマーA〜Iのそれぞれを80mm(長さ)×15mm(幅)×0.020〜0.050mm(厚さ)の短冊状にカットして得た試験片について、引張り試験器(テンシロン、オリエンテック社)を用い、ASTM D638に従って破断強度と破断伸度とを測定した。
<導電粒子の圧縮硬さの測定>
導電粒子の10%圧縮変位時の圧縮硬さを、微小圧縮試験器(MCT−200、島津製作所製)を用いて、荷重49.035mN、負荷速度2.226mN/secという条件で測定した。
<接続抵抗値の測定>
接続構造体について、温度85℃、湿度85%の高温高湿環境下に500時間保存した場合の接続抵抗を測定し、以下の基準で接続信頼性を評価した。実用上、評価結果がA又はBであることが望まれる。
ランク 評価基準
A: 接続抵抗値が2.0Ω未満の場合
B: 接続抵抗値が2.0Ω以上4.0Ω未満の場合
C: 接続抵抗値が4.0Ω以上の場合
<異方性導電フィルムのリペア性>
接続構造体のプリント配線基板を保持固定し、ポリイミドフレキシブル基板を引きはがし、ポリイミドフレキシブル基板の端子上に残存付着した異方性導電フィルム(ACF)の硬化物を、端子と一定平行方向に綿棒で擦り、除去できるまでの擦り回数をカウントし、以下の基準でリペア性を評価した。実用上、評価結果がA又はBであることが望まれる。
ランク 評価基準
A: 残存付着した異方性導電フィルムの硬化物が除去できるまで綿棒で擦った回数が5回未満である場合
B: 残存付着した異方性導電フィルムの硬化物が除去できるまで綿棒で擦った回数が6回以上である場合
C: 綿棒で擦ったぐらいでは、異方性導電フィルムの硬化物が除去できない場合
Figure 0005672201
実施例1〜11の異方性導電フィルムは、いずれも、硬化後のJIS K7244−4による引張り振動モードの動的粘弾性測定における貯蔵弾性率(25℃)が、0.5〜1.5GPaであり、使用したエラストマーのASTM D638による破断強度が50〜80MPaであり且つ破断伸度が10%以下であり、エラストマーの樹脂組成物中の含有量が、膜形成樹脂、液状硬化性化合物、導電粒子、当該エラストマー及び硬化剤の合計全質量中の20〜50質量%であり、そして導電粒子が、荷重49.035mN、負荷速度2.226mN/secの条件における10%変位時の圧縮硬さが300〜500kgf/mmであった。従って、異方性導電フィルムのリペア性及び接続構造体の接続抵抗値の評価結果が、実用上問題ないレベルであるA又はBであった。
特に、比較例1〜2並びに実施例1〜3の対比の結果から、硬化後の異方性導電フィルムのJIS K7244−4による引張り振動モードの動的粘弾性測定における貯蔵弾性率(25℃)の範囲が、発明の効果を得るという観点から0.5〜1.5GPaであることがわかる。
比較例3〜4並びに実施例4〜5の対比結果から、使用すべきエラストマーのASTM D638による破断強度の範囲が、発明の効果を得るという観点から50〜80MPaであること、また、比較例5〜6並びに実施例6〜7の結果から、使用するエラストマーのASTM D638による破断伸度の範囲が、発明の効果を得るという観点から10%以下であることがわかる。
比較例7〜8並びに実施例8〜9の対比結果から、使用すべきエラストマーの配合量の範囲が、膜形成樹脂、液状硬化性化合物、導電粒子、当該エラストマー及び硬化剤の合計全質量中、発明の効果を得るという観点から20〜50質量%であることがわかる。
比較例9〜10並びに実施例10〜11の対比結果から、使用すべき導電粒子の圧縮硬さの範囲が、荷重49.035mN、負荷速度2.226mN/secの条件における10%変位時に、発明の効果を得るという観点から300〜500kgf/mmであることがわかる。
本発明の異方性導電フィルムは、その硬化後の貯蔵弾性率が所定範囲となるものであり、特定の破断強度と破断伸度とを示すエラストマーを所定量含有していると共に、配合すべき導電粒子として所定の圧縮硬さを有するものを使用している。このため、本発明の異方性導電フィルムは、良好な接続信頼性とリペア性とを両立させることができ、よって、基板の端子と電子部品の端子とを異方性導電接続する際に有用である。

Claims (3)

  1. 膜形成樹脂と、液状硬化性化合物と、導電粒子と、エラストマーと、硬化剤とを含有する樹脂組成物をフィルムに成形した異方性導電フィルムであって、
    硬化後の異方性導電フィルムのJIS K7244−4による引張り振動モードの動的粘弾性測定における貯蔵弾性率(25℃)が、0.5〜1.5GPaであり、
    エラストマーが、Tgが50℃以下の室温でゴム弾性を有する天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンゴム(SIS)、クロロプレンゴム(CR)、及びアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)から選択されるゴムであって、ASTM D638による50〜80MPaの破断強度と10%以下の破断伸度とを示すゴムであり、
    エラストマーの樹脂組成物中の含有量が、膜形成樹脂、液状硬化性化合物、導電粒子、当該エラストマー及び硬化剤の合計全質量中の20〜50質量%であり、そして
    導電粒子が、荷重49.035mN、負荷速度2.226mN/secの条件における10%変位時に300〜500kgf/mmの圧縮硬さを示すものである
    異方性導電フィルム。
  2. 液状硬化性化合物がアクリル系モノマーである請求項1記載の異方性導電フィルム。
  3. 基板の端子と電子部品の端子とを異方性導電接続して接続構造体を得る製造方法であって、
    基板の端子に、請求項1又は2記載の異方性導電フィルムを仮貼りする工程、
    電子部品を、その端子が基板の端子に対向するように異方性導電フィルム上に配置する工程、
    基板と電子部品とで挟持された異方性導電フィルムを、電子部品側からボンディングツールで加熱加圧することにより異方性導電接続を行う工程
    を有する製造方法。
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