以下、本発明に係る作業機械の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明に係る作業機械の第1実施形態を構成するミニショベルの車体を示す側面図、図2は図1に示すミニショベルに備えられる車体の背面図、図3は図1に示すミニショベルの車体を斜め前方から見た斜視図、図4は図1に示すミニショベルの車体の平面図、図5は図1に示すミニショベルの運転席に座ったオペレータと、後側左支柱及び排気管の位置関係を示す図で、(a)図は背面図、(b)図は平面図である。
図1〜4に示すように、第1実施形態に係る作業機械は、例えばミニショベルから成っている。この第1実施形態は、走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2と、この旋回体2の前側に配置された支持部16に支持される図示しない作業装置とを備えている。作業装置は、ブーム、アーム、バケット等を備え、土砂の掘削作業等を実施することができる。上述した走行体1と旋回体2は車体を構成している。
旋回体2の旋回フレーム2a上には、運転席3が配置され、この運転席3を覆うように配置されるキャノピ4を設けてある。キャノピ4は、例えば4柱を有するキャノピから成っている。すなわち、キャノピ4は、前側右支柱5aと、前側左支柱5bと、後側右支柱5cと、後側左支柱5dとを備えている。また、このキャノピ4は、支柱5a〜5dの上部に配置され、運転席3を覆うルーフ6を備えている。
運転席3の後側に位置する旋回体2の部分には、重量バランスを確保するカウンタウェイト7を設けてある。このカウンタウェイト7には、エンジンの排気ガスをカウンタウェイト7の上方位置で放出する排気口13aを有する排気管13を立設させてある。また、排気管13の周面を囲むように配置され、排気管13への接触を防ぐ排気管カバー21を備えている。
この第1実施形態は、図4に示すように、運転席3のシップポイントすなわち座席基準点17と、例えば後側左支柱5dとを結ぶ仮想的な直線18の近傍位置に、排気管13及び排気管カバー21を配置してある。これにより、図5に示すように、運転席3にオペレータ22が着座した際には、排気管13及び排気管カバー21がオペレータの背後に位置する状態となる。
図6は第1実施形態に備えられる排気管の排気口の高さ位置を説明する図である。
この第1実施形態に係るミニショベルは、図6に示すように、排気管13の高さ寸法を、排気口13aがキャノピ4のルーフ6の最上部6aの高さ寸法6a1と、最下部6bの高さ寸法6b1との間の高さ領域23に含まれるような高さ寸法に設定してある。排気管13の排気口13aの向きが例えば後方を向くように、この排気管13を配置してある。当該ミニショベルが設置される地面から排気管13の排気口13aまでの高さ寸法は、大人の平均身長以上の高さ寸法、例えば170cm以上の高さ寸法に設定してある。
図7は第1実施形態に備えられる排気管及び排気管カバーを示す図で、(a)図は正面図、(b)図は平面図、(c)図は正面側から見た斜視図、(d)図は背面側から見た斜視図、図8は第1実施形態に備えられる排気管及び排気管カバーを示す図で、(a)図は背面図、(b)図は(a)図のB−B断面図、(c)図は(a)図のC−C断面図、(d)図は(a)図のA−A断面図、(e)図は側面図である。
これらの図7,8に示すように、排気管13の下端には、排気管13の筒状部に連通する穴部を有し、カウンタウェイト7の上面に固定されるフランジ19を一体に設けてある。このフランジ19は、ボルト15によってカウンタウェイト7の上面に固定される。
この第1実施形態は、排気管カバー21の下端部分に、図示しないブラシ等の清掃具の挿入を許容させる開口部30を形成する切り欠き部を備えている。図1に示すように、開口部30が、例えば運転席3の側にのみ位置するように排気管カバー21を配置してある。この排気管カバー21は、排気管13との間に隙間13bをもって配置してある。
同図7,8に示すように、排気管カバー21は、それぞれ排気管13の延設方向に沿うように延設され、排気管13を挟むように互いに隙間21Cをもって対向して配置される第1分割カバー部21Aと第2分割カバー部21Bとを含んでいる。また、上述した切り欠き部は、第1分割カバー部21Aの下端部分に形成される第1切り欠き部21A2と、第2分割カバー部21Bの下端部分に形成される第2切り欠き部21B2とから成っている。第1分割カバー部21Aと第2分割カバー部21Bは、それぞれの下端にカウンタウェイト7の上面に取り付けられる平板状の第1取付け部21A3、第2取り付け部21B3を備えている。これらの取り付け部21A3,21B3は、上述したボルト15によって排気管13のフランジ19と共締めされてカウンタウェイト7に固定されるようになっている。なお、第1分割カバー部21Aの側面には、多数のスリット21A1を形成してある。同様に、第2分割カバー部21Bの側面にも多数のスリットを形成してある。
図9は第1実施形態に備えられる排気管及び排気管カバーのそれぞれ上方部分を示す拡大斜視図、図10は第1実施形態に備えられるカバー保持部を示す図で、(a)図はカバー保持部を分解して示した斜視図、(b)図はカバー保持部を排気管に取り付けた状態を示す斜視図,図11は第1実施形態に備えられるカバー保持部を示す図で、(a)図はカバー保持部を排気管に取り付けた状態を示す拡大斜視図、(b)図はカバー保持部を排気管に取り付けた状態を示す拡大平面図、図12は第1実施形態に備えられる排気管及び排気管カバーの取り付け関係を示す分解斜視図である。
この第1実施形態は、図9〜12に示すように、排気管カバー21を排気管13に保持させるカバー保持部24を備えている。このカバー保持部24は、図11の(b)図に示すように、排気管13の周面を囲むように、排気管13との間に隙間13bをもって配置した環状部材24aと、この環状部材24aを支持し、排気管13の周囲に例えば溶接によって固定した後述の支持部材と、環状部材24aに例えば溶接によって固定され、上下方向に延設させた後述の立設部材と、この立設部材に排気管カバー21を取り付ける取り付け手段とを備えている。なお例えば、環状部材24aは支持部材に溶接してある。
上述した支持部材は、排気管13を挟んで互いに対向するように配置した一対の支持部材24b,24cから成っている。上述した立設部材は、排気管13を挟んで互いに対向するように配置され、それぞれ排気管カバー21の第1分割カバー部21Aまたは第2分割カバー部21Bが取り付けられ、曲げ加工された一対の立設部材24d,24eから成っている。
図10の(b)図、及び図12に示すように、一対の支持部材24c,24dは、例えば排気管13の上方部分に配置してある。これらの支持部材24c,24dによって支持される環状部材24aに、一対の立設部材24d,24eの下方部分を例えば溶接により固定してある。
立設部材24d,24eのそれぞれの上部には、めねじ部が形成された取り付け部材24f,24gを固定してあり、図9に示す該当するボルト25が取り付け部材24f,24gのめねじ部に螺合して締結されることにより、第1分割カバー部21A、第2分割カバー部21Bのそれぞれが排気管13に保持される。上述した取り付け部材24f,24g及びボルト25によって、立設部材24d,24eに排気管カバー21に含まれる第1分割カバー部21A、第2分割カバー部21Bを取り付ける取り付け手段が構成されている。
図11の(b)図に示すように、一対の支持部材24b,24cと、一対の立設部材24d,24eを、平面視で互いに直交するように配置してある。また、上述した構成のカバー保持部24を1つ設け、第1分割カバー部21Aと第2分割カバー部21Bのそれぞれの上方部分を上述のようにカバー保持部24に保持させるとともに、第1分割カバー部21A及び第2分割カバー部21Bのそれぞれの下端部、すなわち第1,第2取り付け部21A3,21B3を上述のようにカウンタウェイト7に固定してある。
なお、図12に示すように、カウンタウェイト7の上面7bにはエンジンの排気ガスが導かれる穴7Cを形成してあり、この穴7Cの周囲にボルト穴7b1を複数形成してある。排気管13のフランジ19に形成した穴19aと、第1分割カバー部21Aの第1取付け部21A3に形成した穴とを、カウンタウェイト7の上面7bのボルト穴7b1に適合させて、また排気管13のフランジ19に形成した穴19aと、第2分割カバー部21Bの第2取り付け部21B3に形成した穴とを、カウンタウェイト7の上面の他のボルト穴7b1に適合させて、ボルト15によって第1分割カバー部21A及び第2分割カバー部21Bと、排気管13とが締結され、これらの第1分割カバー部21A及び第2分割カバー部21Bと、排気管13とがカウンタウェイト7上に図1に示すように、キャノピ4に接触しないように自立した状態で固定され、立設保持されるようになっている。
図13は第1実施形態に備えられるテールパイプと排気管の配置関係を示す要部断面図である。
上述した旋回体2の旋回フレーム2a上には、図示しないエンジンの排気ガスが導かれて消音するマフラ10と、このマフラ10から排出された排気ガスを導くテールパイプ11とが配置されている。例えばカウンタウェイト7には、上述した図12に示すこのカウンタウェイト7の穴7cに連通する通路7aを形成してある。テールパイプ11は、通路7a内に、この通路7aを形成するカウンタウェイト7の壁面と接触しないように挿入され、その上端11aが排気管13の内部に挿入されるように構成してある。
このように構成した第1実施形態は、エンジンの排気ガスがマフラ10、テールパイプ11を介して排気管13に導かれ、この排気管13の排気口13aからカウンタウェイト7の上方位置で外部に放出される。
また、この第1実施形態によれば、排気管カバー21に含まれる第1,第2分割カバー部21A,21Bの下端部分に、ブラシ等の清掃具の挿入を許容させる開口部30を形成する第1,第2切り欠き部21A2,21B2を形成したことから、排気管13と第1,第2分割カバー部21A,21Bの隙間13b,53bから枯葉等のゴミが侵入し、排気管13及び第1,第2分割カバー部21A,21Bの下端部付近に溜まった場合には、第1,第2分割カバー部21A,21Bを分解することなく、第1,第2分割カバー部21A,21Bの下端部分に形成した第1,第2切り欠き部21A2,21B2によって形成される開口部30にブラシ等の清掃具を挿入して、そのゴミを簡単に清掃除去することができる。これにより、第1,第2分割カバー部21A,21Bの下端部分に溜まったゴミの清掃作業を能率良く行うことができる。したがって、この第1実施形態は、上述したように排気ガス処理装置を備え排気ガスの温度が高くなりやすく、枯葉等のゴミの排気管13への接触を防ぐことが特に要望されるミニショベルとしても好適である。さらに、この第1実施形態は、町中等のように枯葉等のゴミが生じやすい作業環境で活用されることの多いミニショベルに好適である。
また、この第1実施形態によれば、第1,第2分割カバー部21A,21Bの第1,第2切り欠き部21A2,21B2によって形成される開口部30が運転席3の側のみに位置するように、第1,第2分割カバー部21A,21Bを配置してあることから、開口部30が運転席3の側に隠れた状態となり、これにより熱せられた排気管13への接触を防ぐことができる。また、この第1実施形態は、排気管13及び第1,第2分割カバー部21A,21Bの近傍であって運転席3側に形成され、開口部30に連通する隙間部分、すなわち運転席3と第1,第2分割カバー部21A,21Bとの間に形成される隙間部分にゴミが侵入した場合でも、その隙間部分のゴミを開口部30に溜まっているゴミと一緒に、ブラシ等の清掃具によって清掃除去することができる。
また、この第1実施形態によれば、第1分割カバー部21Aと第2分割カバー部21Bとの間に形成された隙間21Cから、排気ガスによる排気管13の熱を放散させることができるので、排気管13と第1,第2分割カバー部21A,21Bとの間に排気管13の熱がこもって、第1,第2分割カバー部21A,21Bが加熱することを防止できる。なお、第1,第2分割カバー部21A,21Bの隙間21Cから侵入し、排気管13及び第1,第2分割カバー部21A,21Bの下端部付近に溜まった枯葉等のゴミも、開口部30にブラシ等の清掃具を挿入することにより簡単に清掃除去することができる。
また、カウンタウェイト7の上面7bに第1,第2取り付け部21A3,21B3を取り付けることにより、第1分割カバー部21Aと第2分割カバー部21Bとを含む排気管カバー21を安定して立設保持させることができる。
また、この第1実施形態によれば、図4,5に示すように、運転席3に座ったオペレータ22が後方を目で確認しようとするとき、運転席3の座席基準点17と、運転席3の後側に立設する後側左支柱5dとを結ぶ仮想的な直線18上に位置する当該後側左支柱5dの背後に排気管13が完全に、あるいは略完全に隠れた状態になる。したがって、運転席3に座ったオペレータ22は後側左支柱5dによって視界を遮られるものの、排気管13によって視界を遮られることは少なくなり、当該ミニショベルで実施される作業の作業性を向上させることができる。また、この第1実施形態は、良好な後方視界を確保できることから、当該ミニショベルの後方に存在する構造物や人に対する安全性を確保することができる。
また、この第1実施形態によれば、排気ガスが導かれることによって排気管13が熱くなるが、この排気管13の表面からの輻射熱が運転席3の背後に立設された後側左支柱5dによって遮られる。これにより、運転席3に着座したオペレータ22に対して、排気ガスの熱による不快な暖かさを与えないようにすることができる。したがって、排気ガスの温度が高温となりやすい上述した排気ガス処理装置を備えた作業機械にあっては、排気管13の表面温度も高くなりやすい。このように排気管13の表面温度が高くなり、上述した輻射熱が高くなるミニショベルとしてもこの第1実施形態は好適である。
また、この第1実施形態にあっては、排気管13の周面に固定した支持部材24b,24cと、これらの支持部材24b,24cによって支持される環状部材24aと、この環状部材24aに固定した立設部材24d,24eと、これらの立設部材24d,24eに第1,第2分割カバー部21A,21Bを取り付ける取り付け部材24f,24g及びボルト25とによって、第1,第2分割カバー部21A,21Bを安定に保持させることができる。
この第1実施形態にあっては、排気ガスに熱せられた排気管13の熱は、排気管13の周面に固定した支持部材24b,24cに伝えられ、これらの支持部材24b,24cから排気管13との間に隙間13bをもって配置した環状部材24aに伝えられ、さらにこの環状部材24aから当該環状部材24aに固定され、上下方向に延設させた立設部材24d,24eに取り付けられる第1,第2分割カバー部21A,21Bに伝えられる。したがって、排気管13から支持部材24b,24cに伝えられた熱は主に、支持部材24b,24cと立設部材24d,24eとの間に位置する環状部材24aの部分で冷やされた後、環状部材24aに取り付けられた立設部材24d,24eの部分と、第1,第2分割カバー部21A,21Bが取り付けられる取り付け部材24f,24g及びボルトが設けられる立設部材24d,24eの部分との間で冷やされて、立設部材24d,24eから取り付け部材24f,24g及びボルト25を介して、第1,第2分割カバー部21A,21Bへと伝えられる。
これらにより、この第1実施形態によれば、排気管13から第1,第2分割カバー部21A,21Bへ伝えられる熱を排気管13を囲むように配置される断熱材や、長尺体を形成する筒状部材を要することなく下げることができる。したがって、この第1実施形態に備えられる第1,第2分割カバー部21A,21Bに接触した際の安全性が確保される。また、この第1実施形態は、断熱材や、長尺体を形成する筒状部材を要さずに、排気管13との間に隙間13bをもって配置される環状部材24aを介して第1,第2分割カバー部21A,21Bを排気管13に保持させることができる。これにより、この第1実施形態は、構造の簡単な排気管カバー保持構造を実現させることができ、製作費を低減させることができる。
また、この第1実施形態は、排気管カバー21に含まれる第1分割カバー部21Aを、排気管13に固定した一対の支持部材24b,24cと、これらの支持部材24b,24cによって支持される環状部材24aと、この環状部材24aに固定した一対の立設部材24d,24eのうちの立設部材24dを介して排気管13に取り付けることができる。また、第2分割カバー部21Bを、排気管13に固定した一対の支持部材24b,24cと、これらの支持部材24b,24cによって支持される環状部材24aと、この環状部材24aに固定した立設部材24eを介して排気管13に取り付けることができる。また、一対の立設部材24d,24cのそれぞれは、曲げ加工されているので比較的大きな強度を確保することができる。これらにより、排気管カバー21に含まれる第1カバー部21Aと第2カバー部21Bとを排気管13に安定して立設保持させることができる。
また、この第1実施形態は、対向する第1分割カバー部21Aと第2分割カバー部21Bとの間に互いに隙間21Cを形成したことから、また、第1,第2分割カバー部21A,21Bの側面にスリット21A1等を形成したことから、排気管13の熱が第1分割カバー部21A及び第2分割カバー部21Bと、排気管13との間にこもらず、排気管13の熱を上述の隙間21C及びスリット21A等から外部に放散させることができる。したがって、このようなこもり熱による第1,第2分割カバー部21A,21Bの加熱を抑えることができる。
また、この第1実施形態は、一対の支持部材24b,24cを排気管13の上方部分に固定し、これらの支持部材24b,24cによって支持される環状部材24aに一対の立設部材24d,24eの下方部分を固定した構成にしてある。この構成により、カバー保持部24における排気管カバー21の取り付け位置を、排気管13の上部の高い位置とすることができる。ここで排気管13の下方部分は、マフラ10から排出される排気ガスの導入部付近に位置し、排気ガスの高い温度によりその下方部分の温度が高くなる。これに対して、排気管13の上方部分は、排気ガスの上昇に伴う温度低下により、この排気管13の上方部分の温度が下方部分に比べて低くなる。このように温度が低下した排気管13の上方部分の熱が支持部材24b,24c、環状部材24a、立設部材24d,24eを介して排気管カバー21に含まれる第1,第2分割カバー部21A,21Bに伝えられるので、カバー保持部24によって排気管13に取り付けられたこれらの第1,第2分割カバー部21A,21Bの温度を比較的低く抑えることができる。
また、この第1実施形態は、一対の支持部材24b,24cと一対の立設部材24d,24eを、平面視で互いに直交するように配置してある。平面視で一対の支持部材24d,24eの中央を通り、これらの支持部材24d,24eを左右に等分に分割する仮想的な中心線を考えた場合、第1分割カバー部21A側と第2分割カバー部21B側にそれぞれ位置する環状部材24aの部分、及び一対の立設部材24d,24eのそれぞれが、上述の中心線に対して対称に配置されるので、左右の安定した重量バランスを確保でき、これによって第1,第2分割カバー部21A,21Bの排気管13に対する安定保持を実現させることができる。また、支持部材24b,24cから環状部材24a、立設部材24d,24eを介して第1分割カバー部21A、あるいは第2分割カバー部21Bに伝えられる伝熱経路を比較的長い経路とすることができ、これによって第1,第2分割カバー部21A,21Bの温度を下げることに貢献する。
また、この第1実施形態によれば、第1,第2分割カバー部21A,21Bのそれぞれの上方部分がカバー保持部24によって保持され、下方部分がカウンタウェイト7に固定されるので、これらの第1,第2分割カバー部21A,21Bを、上述のように周囲の部材に接触しない自立した状態で安定に立設保持させることができる。したがって、第1,第2分割カバー部21A,21Bをこの第1,第2分割カバー部21A,21Bを取り巻く空気によって冷やすことができるとともに、第1,第2分割カバー部21A,21Bの熱が周囲の部材に伝えられることが防止される。また、部材数が多くなりがちなカバー保持部24を1つだけ備えたことから、製作費の節減に貢献する。
また、この第1実施形態は、排気管13の高さ寸法を、排気口13aがキャノピ4のルーフ6の最上部6aと最下部6bとの間に配置される高さ寸法に設定した構成にしてある。この構成に伴って、旋回体2の旋回時等には、排気管13の排気口13aから放出した排気ガスがキャノピ6の最上部6aと最下部6bとの間の部分によって遮られるので、運転席3方向への排気ガスの流れ込みを少なくすることができる。上述したような排気ガス処理装置を備えたミニショベルでは、排気管13の排気口13aから放出した排気ガスの温度が高くなるが、上述したように排気ガスの運転席3方向への流れ込みが少なくなることから、この点からもこの第1実施形態は、排気ガス処理装置を備えたミニショベルとしても特に好適である。
また、この第1実施形態は、キャノピ4のルーフ6から排気管13を突出させないようにすることができるので、トレーラに当該ミニショベルを乗せて運搬する際などに受ける高さ規制による制約を緩和させることができる。また、この第1実施形態は、建物内作業を実施するために建物の入口から進入しようとするときに、入口の高さがルーフ6の高さよりも高くなっている限りは、排気管13が入口の上部に当たることなく建物内に進入することができる。すなわち、この第1実施形態は、当該ミニショベルの運搬時や建物内作業時における制約を緩和させることができる。
また、この第1実施形態は、排気口13aが後方を向くように排気管13を配置してあるので、排気ガスの放出方向を運転席3とは逆の方向として、放出した排気ガスが運転席3方向へ流れ込まないようにすることができる。
また、この第1実施形態は、当該ミニショベルが設置される地面から排気管13の排気口13aまでの高さ寸法を大人の平均身長以上の高さ寸法に設定したことから、当該ミニショベルの周囲に存在する人に対する排気ガスからの保護を実現させることができる。
また、この第1実施形態は、図13に示すように、カウンタウェイト7にテールパイプ11が挿入される通路7aを設け、テールパイプ11の上端11aを排気管13に挿入させるようにしてあることから、マフラ10からテールパイプ11に導かれた排気ガスをカウンタウェイト7の通路7aを形成する壁面に放射させることがなく、また、テールパイプ11とカウンタウェイト7の通路を形成する壁面との間に隙間が設けられている。これらのことから、カウンタウェイト7が直接に加熱されることがなく、排気ガスによるカウンタウェイト7の昇温が低くなるように抑えることができる。したがって、排気管13から排気ガスを放出させる間、カウンタウェイト7への接触による不快感を生じさせないようにすることができる。
図14は本発明に係る作業機械の第2実施形態を構成するミニショベルの車体を示す側面図、図15は図14に示すミニショベルの車体の背面図、図16は図14に示すミニショベルの車体の平面図、図17は図14に示すミニショベルの車体から運転室の屋根を除いた状態を示す平面図、図18は図14に示すミニショベルの車体を斜め前方から見た斜視図である。
これらの図16〜18に示すように、第2実施形態に係る作業機械も例えばミニショベルから成り、車体を構成する走行体41と、旋回体42とを備え、旋回体42の前側には図示しない作業装置が取り付けられる支持部56を備えている。作業装置は、ブーム、アーム、バケット等を備え、土砂の掘削作業等を実施することができる。
運転室44の後側に位置する旋回体2の部分には重量バランスを確保するカウンタウェイト47を設けてある。このカウンタウェイト47には、エンジンの排気ガスをカウンタウェイト47の上方で放出する排気口53aを有する後述の排気管53を運転室44から離した状態で立設保持させてある。また、後述の排気管53の周囲及び上部を囲むように配置され、排気管53への接触を防ぐ排気管カバー61を備えている。
この第2実施形態は、図17に示すように、運転席43のシップポイントである座席基準点57と、例えば運転室44に含まれる後側左支柱45とを結ぶ仮想的な直線58上に、後述の排気管53及び排気管カバー61を配置してある。これにより、運転席43にオペレータが着座した際には、排気管53及び排気管カバー61がオペレータの背後に位置する状態となっている。
図19は第2実施形態に備えられる排気管及び排気管カバーを示す図で、(a)図は正面図、(b)図は平面図、(c)図は正面側から見た斜視図、(d)図は背面側から見た斜視図、図20は第2実施形態に備えられる排気管及び排気管カバーを示す図で、(a)図は背面図、(b)図は(a)図のA−A断面図、(c)図は(a)図のB−B断面図、(d)図は(a)図のC−C断面図、(e)図は側面図である。
これらの図19,20に示すように、排気管53の下端には、排気管53の筒状部に連通する穴部を有し、カウンタウェイト47の上面に固定されるフランジ59を一体に設けてある。このフランジ59は、ボルト55によってカウンタウェイト47の上面に固定される。
この第2実施形態も、排気管カバー61の下端部分に、図示しないブラシ等の清掃具の挿入を許容させる開口部70を形成する切り欠き部を備えている。上述の開口部70が、図14に示すように、例えば運転席43が配置される運転室44側のみに位置するように排気管カバー61を配置してある。
排気管カバー61は、それぞれ排気管53の延設方向に沿うように延設され、排気管53を挟むように互いに隙間61Cをもって対向して配置される第1分割カバー部61Aと第2分割カバー部61Bとから成っている。上述した切り欠き部は、第1分割カバー部61Aの下端部分に形成される第1切り欠き部61A2と、第2分割カバー部61Bの下端部分に形成される第2切り欠き部61B2とから成っている。第1分割カバー部61Aと第2分割カバー部61Bは、それぞれの下端にカウンタウェイト47の上面に取り付けられる平板状の第1取付け部61A3、第2取り付け部61Bを備えている。これらの取り付け部61A3,61B3は、上述したボルト55によって排気管53のフランジ59と共締めされてカウンタウェイト47に固定されるようになっている。第1分割カバー部61Aの側面には、多数のスリット61A1を形成してある。同様に、第2分割カバー部61Bの側面にも多数のスリットを形成してある。
図19の(d)図及び図20の(a)図に示すように、第1分割カバー部61Aには連結具62が例えば一体に溶接されている。この連結具62と第2分割カバー部61Bとがボルト63によって締結されている。
図21は第2実施形態に備えられるテールパイプと排気管の配置関係を示す要部平面図である。
この第2実施形態も第1実施形態と同様に、旋回体42の旋回フレーム42aの上には、図示しないエンジンの排気ガスが導かれて消音するマフラ50と、このマフラ50から排出された排気ガスを導くテールパイプ51とが配置されている。カウンタウェイト47には、通路47aを形成してある。テールパイプ51は、通路47a内に、この通路47aを形成するカウンタウェイト47の壁面と接触しないように挿入され、その上端51aが排気管53の内部に挿入されるように構成してある。エンジンの排気ガスがマフラ50、テールパイプ51を介して排気管53の排気口53aから放出される点は第1実施形態と同じである。
この第2実施形態も第1実施形態と同様に、排気管カバー61に含まれる第1,第2分割カバー部61A,61Bの下端部分に、ブラシ等の清掃具の挿入を許容させる開口部70を形成する第1,第2切り欠き部61A2,61B2を形成したことから、排気管53と第1,第2分割カバー部61A,61Bの隙間53bから枯葉等のゴミが侵入し、排気管53及び第1,第2分割カバー部61A,61Bの下端部付近に溜まった場合には、第1,第2分割カバー部61A,61Bを分解することなく、第1実施形態と同様に開口部70にブラシ等の清掃具を挿入して、そのゴミを簡単に清掃除去することができ、第1実施形態と同等の作用効果が得られる。
また、この第2実施形態も、運転室44内の運転席43に座ったオペレータが後方を目で確認しようとするとき、運転席43の座席基準点57と、運転席43の後側に立設する後側左支柱45とを結ぶ仮想的な直線58上に位置する当該後側左支柱45の背後に排気管53が完全に、あるいは略完全に隠れた状態になる。したがって、運転席43に座ったオペレータが排気管53によって視界を遮られることが少なくなり、良好な後方視界を確保することができる。これにより、第1実施形態と同等の作用効果が得られる。また、この第2実施形態も排気ガス処理装置を備え、排気管53の輻射熱が高くなりやすいミニショベルにも好適である。
その他、第1実施形態と同等の構成部分を設けたことによる作用効果は、第1実施形態と同等である。
なお、上記第1実施形態は、運転席3の座席基準点17とキャノピ4の後側左支柱5dとを結ぶ仮想的な直線18の近傍位置に排気管13及び排気管カバー21を配置したが、直線18上に排気管13及び排気管カバー21を配置した構成にしてもよい。また、上記第2実施形態は、運転席43の座席基準点57と運転室44に含まれる後側左支柱45とを結ぶ仮想的な直線58上に排気管53及び排気管カバー61を配置したが、仮想的な直線58の近傍位置に排気管53及び排気管カバー61を配置した構成にしてもよい。
また、上記第1実施形態は、運転席3の座席基準点17とキャノピ4の後側左支柱5dとを結ぶ仮想的な直線18の近傍位置に排気管13及び排気管カバー21を配置したが、運転席3の座席基準点17とキャノピ4の後側右支柱5cとを結ぶ仮想的な直線上に、またはその仮想的な直線の近傍位置に、排気管13及び排気管カバー21を配置した構成にしてもよい。同様に、上記第2実施形態は、運転室44内の運転席43の座席基準点57と運転室44に含まれる後側左支柱45とを結ぶ仮想的な直線58上に排気管53及び排気管カバー61を配置したが、運転席43の座席基準点57と運転室44に含まれる後側右支柱とを結ぶ仮想的な直線上に、またはその仮想的な直線の近傍位置に、排気管53及び排気管カバー61を配置した構成にしてもよい。これらのように構成したものも、運転席3,43に着座したオペレータ等の良好な後方視界を確保することができる。
また、上記第1実施形態は、排気口13aが運転室3の後方を向くように排気管13を配置してあるが、排気口13aが側方を向くように排気管13を配置してもよい。第2実施形態も同様であり、排気口53aが運転室44の後方に向くように、あるいは運転室44の側方を向くように排気管53を配置するとよい。
また、上記第1実施形態は、排気管カバー21を排気管13に保持させるカバー保持部24を、排気管13の上方部分に1つだけ設けたが、排気管カバー21の下端部分をカウンタウェイト7に固定せず、排気管13の上方部分と、下方部分の双方に設けたカバー保持部24によって排気管カバー21を排気管13に保持させるように構成してもよい。
また、上記第1,第2実施形態に係る作業機械は、それぞれミニショベルから成っているが、本発明は、ミニショベルには限られない。本発明は、ミニショベルよりも大きな型式となる油圧ショベル等の作業機械にも適用可能である。