JP5670774B2 - 複数拠点接続型省電力制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、病院などを拠点の1つとして複数拠点の電力消費量を統合的に管理する複数拠点接続型省電力制御システムに関する。
電力需要者は、契約上使用できる最大電力(kW数)を契約電力と呼び、電力会社と年度開始前に取り決めて契約し、電力料金はこの契約電力をベースにして決められる。
一般に契約電力が140kWから500kWの小中規模施設の電力料金は実量制契約方式となっており、30分間の平均需要電力が基本となる(以下、これをデマンドと呼ぶ)。
最大需要電力契約では、その月を含む過去1年分の最大電力のうち、一番大きな値(平成19年6月)が契約電力となり、最大需要電力を測定するには、30分単位で計量される電力量の最大値メーター(以下、デマンド・メーターと呼ぶ)を取り付けて測定する。
刻々と変わる需要電力をデマンド・メーターにより30分単位の平均電力(平均値)として計量し、この平均電力のうち、1か月の最大の値をその月の最大需要電力としている。
各月の契約電力は、設備投資の関係から、デマンド・メーターにより計量した『その月の最大需要電力と前11か月の最大需要電力のうち、いずれか大きい値』により決定する。
このピーク需要を抑えることが省電力コントロール装置(デマンド・コントロール装置と称する)の効率改善バロメータとなり、電力会社の電力安定供給につながる。
例えば、図6は施設における月別電力消費量の例を示したグラフであり、月別電力消費量の施設例があった場合、平成19年4月から平成20年5月までの1年間で契約電力を決めると平成19年6月が最大値になっているので、平成19年6月が基準となる。
平成19年7月から平成20年6月までの1年間で契約電力を決めると平成19年7月が基準となる。
また平成19年9月から平成20年8月までの1年間で契約電力を決めると平成19年9月の電力消費量が基準となり、契約期間によって電気料金は大きく変動することになる。
以前から契約電力を低く抑えるために、太陽光発電装置を併用したり、デマンド・コントロール装置を工夫したりする技術が開示されてきた。
例えば、太陽電池、蓄電池および自立運転機能つき系統連系インバータで構成され、商用電力系統が正常な場合は系統連系太陽光発電として運転されるとともに、災害時には太陽電池および蓄電池を電源としてインバータを自立運転モードで運転して特定負荷に電力を供給する太陽光発電システムにおいて、インバータに双方向機能を持たせるとともに、蓄電池の補充電を商用電力系統が正常な場合にインバータをコンバータモードで運転して商用電力系統側の電力で行う太陽光発電システムが知られている(特許文献1)。
また、外部から受電する施設内に設けられ、電力を使用して原水を浄化処理する浄化水装置を運転制御する運転制御装置であって、前記施設が受電している受電電力量を検出する受電電力量検出手段と、検出した前記受電電力量に基づいて所定時間内の使用電力の積算量を予測する使用電力積算量予測手段と、前記浄化水装置が浄化した浄化水および外部から受け入れた上水を貯留する浄化水水槽の水槽水位を検出する水槽水位検出手段と、予測した前記使用電力の積算量が予め設定された使用電力量の上限を越えない範囲内で、前記水槽水位が予め設定された目標水位を確保するように前記浄化水装置を駆動制御する浄化水装置制御手段と、前記水槽水位が予め設定された下限水位を下回った場合には、外部から上水を受け入れる上水受入弁を開制御する上水受入弁制御手段を備えた浄化水装置の運転制御装置が知られている(特許文献2)。
特開平11−127546号公報 特許第4148469号公報
特許文献1の太陽光発電システムでは、商用電力系統が正常な場合は系統連系太陽光発電として運転され、蓄電池の補充電を商用電力系統が正常な場合にインバータをコンバータモードで運転して商用電力系統側の電力で行っているが、複数拠点間の契約電力については対応していない。
特許文献2の運転制御装置では、単独の施設における使用電力の積算量が予め設定された使用電力量の上限を超えない範囲で、水槽水位が予め設定された目標水位を確保するように浄化装置を駆動制御しているが、施設単体での電力制御方法にしか対応していない。
本発明は、複数の施設で構成されるグループの省電力制御システムを統合し、グループ内施設の電力需要のピークを低減することにより契約電力を増加させることなく電力会社の供給を安定化させるという課題を解決しようとするものである。
上記課題を解決する為に、本発明においては、複数拠点接続型省電力制御システムであって、各拠点は発電手段と、この発電手段又は商用電源からの電力を蓄積する並列接続された蓄電池と、この蓄電池の充放電を制御する充放電制御装置と、発電手段と外部受電を切り替える電力分配装置と、前記充放電制御装置と電力分配装置に接続されたデマンド・コントロール装置を備え、
前記発電手段は、太陽光発電、内燃力発電、燃料電池発電、熱電発電、風力発電、水力発電、汽力発電、波力発電、潮力発電、地熱発電の中から選択され、各拠点のデマンド・コントロール装置は、ネットワークを介して全体的な電力制御の最適化を行うデマンド・コントロール・サーバに接続され、また 前記デマンド・コントロール装置は、予測した前記使用電力の積算量が予め設定された目標消費電力量の上限を越えない範囲内で前記施設消費電力量が予め設定された前記蓄電池の目標蓄積電力量を確保するように前記充放電制御装置が備える過放電保護回路のカットオフ電圧を設定するとともに電力分配装置を制御し、前記デマンド・コントロール・サーバは、所定期間の使用電力の積算量が既定値になると、前記過放電保護回路のカットオフ電圧を下げ、前記蓄電池を過放電させるようにした。
また、前記目標消費電力量のパターンを、時間帯によって変化する目標消費電力量パターンとし、前記目標消費電力量のパターンを、予め設定された複数のパターンの中から各日の特性に応じたパターンを選択し、前記充放電制御装置には過放電保護回路が備えられ、デマンド・コントロール・サーバが、所定期間の使用電力の積算量が既定値になると、前記過放電保護回路のカットオフ電圧を下げ、前記蓄電池を過放電させるようにすることも考えられる。
契約電力のステップアップをせずに発電手段と組みあわせることにより電力料金の安定化が図れ、また、蓄電池を持つことにより、商用電源から供給された電力を時間的にシフトさせて使うことも可能になる省エネ効果が期待できる。更に、ピーク需要の異なる複数の拠点を結び蓄電池を共有することで有事の際に病院などの重要施設に電力を振り分けて人命救助を目的とした電力供給を行なうことも可能になる。
重要施設と複数拠点の接続の例を示した図である。 居住施設の制御装置の機能ブロックを示した図である。 デマンド・コントロール装置の処理の流れを示している。 (a)(b)太陽電池を発電手段とした実施例におけるデマンド・コントロール装置の有無による比較図である。 デマンド値制御プログラムのフローチャートを示した図である。 施設における月別電力消費量の例を示したグラフである。
図1は、重要施設と複数拠点の接続の例である。重要施設である病院1には、制御装置2と蓄電池3が備えられ、居住施設4には、制御装置5と蓄電池6が備えられ、病院1の蓄電池3と居住施設4の蓄電池6は電力線7で接続され、デマンド・コントロール・サーバ8は電力線7を介して制御装置2,5と通信可能となっている。
本実施例では、病院1と複数の居住施設(老人ホーム、高齢者マンション等)4を組み合わせてひとつのグループを形成している。
病院1は主に開院する午前9時くらいから13時くらいまでが外来診察等で電力量需要のピークとなり、午後からは徐々に電力量需要が低くなる。
一方、老人ホームなど居住施設4では日中は外出等で需要電力は減り、老人が外出から戻る夕刻乃至就寝までの時間に電力量需要が増えてピークを迎えるので病院1とは異なるピーク時間を持つ。
実際には病院1の需要電力が居住施設4の需要電力を大きく上回っている場合が多いため、複数の居住施設4をまとめ、なるべく病院の需要電力とバランスするように個々の需要電力を考慮して構成することが望ましい。
本実施例では、ひとつの病院1と3つの居住施設4でバランスをとっている。病院1には、20kW/Hの発電量を持つ発電手段を備える制御装置2と20kW/Hの蓄電池3を設置し、3カ所の居住施設4には、それぞれ10kW/Hの発電量を持つ発電手段を備える制御装置5と10kW/Hの蓄電池6を設置した。
前記発電手段としては、太陽光発電、内燃力発電、燃料電池発電、熱電発電、風力発電、水力発電、汽力発電、波力発電、潮力発電、地熱発電の中からひとつ以上の発電手段を選択する。
ひとつの病院1と、3箇所の居住施設4の合計4個の蓄電池3,6を電力線7で相互に並列に接続し、全体の蓄電量を50kW/Hの容量とした。
前述の通り、病院1と居住施設4は電力量需要のピーク時間が異なるので、全体として50kW/Hの容量があれば供給電力が不足することはない。
蓄電池3,6の接続方法としては、正極と負極のそれぞれを専用線で接続する方法でも良いし、負極はアースと接続し、正極のみ専用線で接続する方法でも良い。
病院及び各居住施設の制御装置2は、ネットワークを介してコマンド・コントロール・サーバ8と接続されることにより制御を受ける。
コマンド・コントロール・サーバ8には、電力会社から供給される電力に関するデータや、病院1や居住施設4についての過去における電力消費データの生データ及び季節変動などによるパラメータ加工したパターンデータを蓄積したデータベースが備えられている。
図2は、居住施設の制御装置の機能ブロックを示した図である。制御装置は、蓄電池6に接続された充放電制御装置9、電力分配装置10、デマンド・コントロール装置11、発電手段12、デマンド・メーター13、売電用メータ14で構成される。
蓄電池6は、発電手段12の発電電力やデマンド・メーター13を通じて供給される電力供給側からの電力を蓄積するものであり、他の拠点の蓄電池3、6と並列に接続されていて相互に電力を融通することができる。
充放電制御装置9は、蓄電池6に対して充電や放電を行なう制御装置であって、通常は蓄電池のコントローラーとして付属する装置のことである。
充放電制御装置9には、過充電保護回路と過放電保護回路が備えられている。これらにおいて、使われる蓄電池の容量や負荷に合わせたカットオフ電圧を設定することにより、バッテリーの過充電や過放電を防止し、蓄電池の寿命が極端に短くなることを防いでいる。
電力分配装置10は、電力供給側からの電力や発電手段の電力を電力会社に電力を売る為の売電用メータ14と充放電制御装置9に分配する装置である。一般には太陽発電等の売電装置などで実装されている装置だが本実施例では入力と出力がそれぞれ2系統になるので2台の装置に機能を分散することもできる。
デマンド・コントロール装置11は、複数拠点の電力量需要ピークの違いを利用して最も効率よく電力配分と蓄電池6の充放電を制御する装置である。このデマンド・コントロール装置11は電力線7に通信データを重畳することにより他の施設のデマンド・コントロール装置11と連携する。デマンド・コントロール・サーバ8は、ネットワークを介して各デマンド・コントロール装置11を制御して全体的な電力制御の最適化を実行する。
前述の通り発電手段12は、太陽光発電、内燃力発電、燃料電池発電、熱電発電、風力発電、水力発電、汽力発電、波力発電、潮力発電、地熱発電の中からひとつ以上の発電手段を選択することができるが、例えばコージェネレーションの場合は、都市ガス又はLPガスなどを使い、電気と同時に有効に利用できる熱を発生し、ひとつのエネルギーから2つのエネルギーを取り出すことが考えられる。
デマンド・メーター13は、電力会社から供給される電力を積算する電力メータであって、前述の通り電力の買い取り実績によって過去1年間の最大ピーク電力で契約電力が決まるので、各拠点の電力量需要を統合的に管理して全ての拠点のピーク値が契約電力を超えないように、上記本件デマンド・コントロール装置11が制御を行なう。
売電用メータ14は、発電手段12からの電力供給状況と、蓄電池6の充電状態と余剰電力と、デマンド・コントロール・サーバ8の計算による需要電力の予想から、余剰電力を販売できると判断される場合に、デマンド・コントロール・サーバ8からの指令で外部に対して電力を販売する。
基本的には病院2、居住施設4の蓄電池3、6を共有することにより電力を融通し合うが、災害等の緊急時は重要施設(ここでは病院)を優先するため、デマンド・コントロール・サーバ8の判断によって重要施設以外の需要側への電力供給を最小限にカットする場合もある。
図3は、デマンド・コントロール装置の処理の流れを示している。前記デマンド・コントロール装置は複数の拠点で電力量需要のピークが異なることを利用して電力配分と並列接続された蓄電池の充放電を制御する。被災時などの緊急時でも動作を保証するために病院、各居住施設の制御装置は個々に管理されているが、統合的な管理として電力を相互に融通したりするプログラムは前記デマンド・コントロール・サーバに格納されていて、デマンド・コントロール・サーバから各制御装置にコマンドを出して制御している。
ステップS01で、デマンド・コントロール・サーバから各制御装置のプログラムが開始される。
ステップS02では、デマンド・コントロール・サーバのデータベースにある所定時間単位で管理された過去の電力量需要データを消費電力量需要の予想曲線として保持する。
目標消費電力量は、複数拠点全体の合計電力消費量の過去データによって生成された時間帯によって変化する目標電力量パターンから読み取った消費電力量である。消費電力量需要の予想曲線生成回路は、デマンド・コントロール・サーバに格納されたデフォルト曲線を用い、デマンド・コントロール・サーバのデータベースに蓄積された電力量需要データから得られた日毎の時系列データ実績を使って予想曲線を修正する機能を持つ。
前記デフォルト曲線は、例えば図6のデータを生成するには、30分毎のデータから1日分のデータを生成し、この1日単位のデータから月別のデータを生成した曲線である。
前記目標消費電力量パターンは、複数拠点全体の合計電力消費量のデータを使って、例えば猛暑や長雨などの天気予報データから補正をかけて予め設定された複数のパターンからその日の特性に応じたパターンが採用される。
ステップS03では、デマンド・コントロール・サーバのデータベースに保存された所定時間単位で管理された過去の電力量需要データを使い、一定間隔の電力量需要実績を平均化し、次の期間の電力量需要をステップS02の曲線から予測する。
ここで、デマンド・コントロール・サーバからのデマンド制御の間隔は前記デフォルト曲線のデータ生成間隔と同じ時間に設定する。この設置値が30分間隔である場合、蓄電池3、6が満タンになっている場合は、30分単位でデータが生成されるが、システム的に余裕があれば15分単位で予測することが望ましい。
ステップS04では、各拠点の電力量需要予測から、最も需要の大きい拠点に対して蓄電池の電力を大きく配分する。電力管理には、大きく配分される各施設の充放電制御装置の設定電圧を低い電圧に設定し、それ以外の施設の充放電制御装置の設定電圧は高めに設定することにより並列接続された蓄電池からの流入電力を制御することができる。
配分計算時は蓄電池3、6から常に最大電力が引き出せる計算とする。太陽発電量の変動などは考慮せずに蓄電池の配分と供給電力計算に分離して単純計算する。例えば、残電力70%とすると100%から差し引いた30%は電力供給側から供給するとして計算する。
ステップS05で、発電手段12による発電量が不十分な場合は、ステップS02で計算した予測発電量が、単位時間当たりの予想発電量に満たない場合は従量制電気料金を計算し、電力供給側から蓄電池に充電を行なうか、又は充電せずに電力供給側の電力を電力量需要側へ配分するかを判断する。
ここで、従量制の電気料金は時刻や曜日によって異なるため電力料金の安い時間帯なら需要電力と充電電力の両方を商用電源から供給して蓄電池の充電も行い、電力料金の高い時間帯になってから放電する方が結果的に安くなる場合がある為、デマンド・コントロール・サーバによる上記の判断が必要となる。
デマンド・コントロール・サーバが発電手段12による発電量が十分であると判断した場合にはステップS06へ移行し、不十分である場合にはステップS09へ移行する。
ステップS06では、デマンド・コントロール・サーバが発電手段12による発電量が十分であると判断した場合にタイマーをかけて予測インターバルの時間だけ発電手段12による発電を継続する。この予測インターバルの時間は、前記デフォルト曲線のデータ生成間隔と同じ時間に設定する。
ステップS07では、デマンド・コントロール・サーバは経過時間と前記のタイマーの設定時間を比較して、設定時間が経過していない場合にはステップS06に戻り、設定時間が経過した場合にはステップS02へ戻る。
ステップS08では、デマンド・コントロール・サーバが発電手段12による発電量が不十分であると判断した場合には、商用電源からの電力で蓄電池6を充電する必要があるので、上記と同様にタイマーを設定して、その間は商用電源による充電を継続する。
ステップS09では、デマンド・コントロール・サーバが経過時間と前記のタイマー設定時間を比較して、設定時間が経過していない場合にはステップS08に戻り、設定時間が経過した場合にはステップS02へ戻る。
以上は、居住施設4の制御装置5について説明したが、扱う電力が異なるだけで病院1の制御装置2の機能も緊急時の電源供給方向以外は同様の機能を持っている。
図4(a)(b)は、太陽電池を発電手段とした実施例におけるデマンド・コントロール装置の有無による比較図である。図4(a)は、デマンド・コントロール装置を使わない場合、図4(b)は、本発明のデマンド・コントロール装置を使った場合の病院と居住施設における電力消費の時間的推移の例を示している。
図4(a)は、太陽電池を発電手段とした実施例におけるデマンド・コントロール装置を使わない場合の電力消費の時間的推移を示した図である。デマンド・コントロール装置を使わない病院1の電力推移グラフ15においては、外来患者が午前中から午後にかけて増え、正午あたりでピークとなる。
一方、居住施設4の電力推移グラフ16は、午前の早い時間に電力消費が増え、朝の6時から7時ころに1回目のピークを迎え、正午前後には減少し、昼食後あたりから再び増加傾向となり夕食後あたりで2回目のピークを迎える。
図4(b)は、太陽電池を発電手段とした実施例における本発明のデマンド・コントロール装置を使った場合の病院と居住施設における電力消費の時間的推移の例を示している。病院1の電力推移グラフ17と、居住施設4の電力推移グラフ18は、共にピーク値が低く抑えられている。
図4(a)と(b)を比較すると、蓄電池による尖頭値の平準化によって病院のピーク改善値17は蓄電池20kW/Hに対して40kW/H以上落ちている。これは契約電力を15%以上されている。また、もし発電手段12に太陽発電を使う場合、居住施設においては太陽発電が利用出来ない19時〜20時の居住施設ピーク改善値18に対して10%の電力が削減されている。
本発明は、1日における時間単位でピークの異なる病院や工場などの連携だけでなく、年間を通じて季間ピークが異なる施設、例えばアイスクリームの工場と暖房機の工場などを組み合わせることができる。年間における月単位の閑散期と繁忙期のピークでお互いに電力を供給し合えば、蓄電池により繁忙期と閑散期の消費電力ピークを下げられ、電力会社の電力供給量をより安定化することが可能となる。
図6は、デマンド値制御プログラムのフローチャートを示している。デマンド・メーター6に蓄積された商用使用電力の積算量データから移動平均で1年分の商用月間使用電力累積値を監視して、過去1年分の商用月間使用電力累積値が所定の値となった時にこのプログラムを起動させる。
ステップR01では、デマンド・コントロール・サーバ8の起動の後にバックグラウンド・ソフトウェアとしてデマンド値制御プログラムを起動させる。
ステップR02では、図3のステップS03において、一定間隔の商用電力量需要実績を平均化し、所定期間の商用電力量需要デマンド値予測データと実際のデマンド値を比較する。
ステップR02では、前記比較結果によって当月の商用電力消費が危険領域にあるのか否かを判断する。判断方法としては、例えば下記において、(A)+(B)*(C)を計算して、この値から現在契約している年間デマンドの限界値から引いた値の1日あたりの電力が現在のバッテリー設定でまかなえる場合はステップR02に戻り、現在のバッテリー設定でまかなえない場合はステップR04に移行する。
(A)過去11ヶ月の使用電力累積値の累計
(B)前年同月の商用電力消費量の日割り平均値
(C)当月の残日数
ステップR04では、全てのバッテリー6に接続された充放電制御装置9に対して、デマンド・コントロール・サーバ8が過放電保護回路のカットオフ電圧を設定変更して、例えば鉛蓄電池の場合であれば、カットオフ電圧をデフォルトの12.0Vから鉛蓄電池の最低許容電圧(蓄電池公称電圧の80%の電圧をいう。)となる9.6Vに設定する。
ステップR05では、ステップR04で入力最低電圧設定を設定変更した後の時間の経過を観察し、月末を過ぎなければ観察を繰り返し、月末を経過したら次のステップR06に移行する。
ステップR06では、また新しい月が始まったことにより、バッテリー6のカットオフ電圧設定を蓄電池公称電圧の12.0Vに戻してからステップR02に戻る。
本発明においては、デマンド値がオーバーして向こう一年の契約電力の電気料金がランクアップしてしまうことを防ぐことが最大の課題であり、トータルコストの削減を優先させる制御が重要となる。
前記トータルコストには固定費コストと変動費コストが含まれ、固定費コストには設備費の減価償却コストとして扱うことになる。
本発明では、バッテリーに蓄電し、複数の拠点に対して分配放電することによりデマンド値を下げ、コスト削減を行うことを目的としたシステムになっていて、上記の通りコストには装置の償却コストも含まれているので、バッテリー6には高価な専用品ではなく、安価な汎用品を使うことが望ましい。
一般にバッテリーは過放電による劣化を防ぐために過放電防止装置により一定量以下の放電は出来ないように制御されている。
しかし、本発明においては、デマンド値が規定値をオーバーする時には、バッテリー6の電圧が動作最低入力電圧値に達した場合においてもバッテリー6からの電力供給を止めることなく、バッテリー6を過放電させる制御を行なう。
ここで、バッテリー6の使用下限値を変更するとバッテリー6に接続されている過放電防止装置に内蔵されるDC−ACコンバーターの入力直流電圧値の下限も変更する必要があるので、ソフトウェア制御で前記DC−ACコンバーターの動作最低入力電圧値の下限設定パラメータが必要となる。
バッテリー6を過放電させる制御においては、リチウムバッテリーやニッカドバッテリーは放電過程において電圧変動が小さいので突然過放電領域に入り、制御が難しいので電流制御をする必要がある。
もしバッテリー6を過放電させるのに電圧で制御するのであれば鉛蓄電池などの穏やかな電圧変化を示す充電電池を使用する必要がある。
なお、バッテリー6に安価な鉛蓄電池を使う場合、端子電圧が所定電圧を超えると充電電流が減り、電圧の上昇が鈍くなるが、電圧が上がるまで粘れば粘るほど充電容量は多くなり長時間の放電ができるので、過充電保護回路のカットオフ電圧を高めに設定すれば、充電が完全充電電圧(飽和電圧)に達するまで充電することができる。
電池としては、鉛蓄電池の他にNAS電池も考えられるが、NAS電池の場合、常温では動作しないため、ヒーターによる加熱と放電時の発熱を用いて、300℃程度の作動温度域に温度を維持する必要があり、例えば地震などの非常時に外部からの電源供給が止まった時には作動しなくなり、また保温にエネルギーを消費するので本発明が対象とする比較的小規模な発電では省エネ効果が見込めない。
上記の通り、12V定格の一般的な鉛蓄電池は、端子電圧12.7V時の電気容量を100%とすると、12.4Vで80%、12.1Vで50%、11.8Vで30%、11.62Vで10%となり、最低許容電圧(蓄電池の公称電圧の80%の電圧をいう。)では電気容量はほぼ0%になることが知られている。
一方、寿命を考えなければ、鉛蓄電池は長時間充電すれば13.68Vまで充電でき、電気容量も増えることも知られている。
本発明においては、バッテリー6に鉛蓄電池を使う場合において、過充電保護回路のカットオフ電圧を13.68Vに設定し、この電圧になるまで充電を継続し、過放電保護回路のカットオフ電圧を最低許容電圧(蓄電池の公称電圧の八十パーセントの電圧をいう。)となる9.6Vまで過放電させることにより、バッテリー6の電気容量を定格容量以上に増やすことができる。
また、鉛蓄電池をフル充電状態の13.68Vから過放電状態の9.6Vまで使う場合において、放電しきるとサルフェーション(硫酸鉛結晶化)の問題が発生するので、各鉛蓄電池には端子電圧が12V定格時に、10kHz以上の高い周波数で1mV以上の電圧変動幅を発生させるように各鉛蓄電池の端子電圧を負荷変動制御させることが考えられる。
なお、発電手段12に使うバッテリーは、安価な鉛蓄電池を使うことも考えられる。この場合の充電電圧制御も上記と同様に完全充電となる電圧まで充電することが望ましい。
また、リチウムポリマー電池を使うことも考えられるが、リチウムポリマー電池は特に過放電に弱いので完全充電電圧までは使えず、カットオフ電圧を高めに設定する必要がある。
上記の方法により、バッテリー6の寿命とのトレードオフでみかけ電気容量を増やし、契約電力の基本料金ランクを低く抑えることによりシステム全体のトータルコストを削減することができるようになる。
本システムでは複数拠点に配置された蓄電池を並列に接続して共有利用しているので、需要者側にとっては契約電力を低く抑えることができ、電力会社側にとっては供給電力を安定化できるので設備稼働の無駄が軽減され、社会全体として無駄を減らすことができる。更に、災害発生時等何らかの理由で電力供給が停止した緊急時でも他の拠点での電力利用を止めて病院等の最優先施設に供給することも可能となる。一般に病院の既設自家発電装置は発電量が小さいため、単体では最小限の電力供給しかまかなう事が出来ないが、単体の自家発電装置だけでは対応に限界があるが公共性の高い浄水装置や大規模温水供給システムをより長時間稼働させることができるようになる。
1 病院
2 制御装置
3 蓄電池
4 居住施設
5 制御装置
6 蓄電池
7 電力線
8 デマンド・コントロール・サーバ
9 充放電制御装置
10 電力分配装置
11 デマンド・コントロール装置
12 発電手段
13 デマンド・メーター
14 売電用メータ
15 病院の電力推移グラフ
16 電力推移グラフ
17 病院のピーク改善値
18 居住施設ピーク改善値

Claims (3)

  1. 複数拠点接続型省電力制御システムであって、各拠点は発電手段と、この発電手段又は商用電源からの電力を蓄積する並列接続された蓄電池と、この蓄電池の充放電を制御する充放電制御装置と、発電手段と外部受電を切り替える電力分配装置と、前記充放電制御装置と電力分配装置に接続されたデマンド・コントロール装置を備え、
    前記発電手段は、太陽光発電、内燃力発電、燃料電池発電、熱電発電、風力発電、水力発電、汽力発電、波力発電、潮力発電、地熱発電の中から選択され、
    各拠点のデマンド・コントロール装置は、ネットワークを介して全体的な電力制御の最適化を行うデマンド・コントロール・サーバに接続され、また 前記デマンド・コントロール装置は、予測した前記使用電力の積算量が予め設定された目標消費電力量の上限を越えない範囲内で前記施設消費電力量が予め設定された前記蓄電池の目標蓄積電力量を確保するように前記充放電制御装置が備える過放電保護回路のカットオフ電圧を設定するとともに電力分配装置を制御し、
    前記デマンド・コントロール・サーバは、所定期間の使用電力の積算量が既定値になると、前記過放電保護回路のカットオフ電圧を下げ、前記蓄電池を過放電させることを特徴とする複数拠点接続型省電力制御システム。
  2. 請求項1に記載の複数拠点接続型省電力制御システムであって、
    前記目標消費電力量のパターンは、時間帯によって変化する目標消費電力量パターンであることを特徴とする複数拠点接続型省電力制御システム。
  3. 請求項2に記載の複数拠点接続型省電力制御システムであって、
    前記目標消費電力量のパターンは、予め設定された複数のパターンの中から各日の特性に応じたパターンが選択されることを特徴とする複数拠点接続型省電力制御システム。
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