JP5670031B2 - 化粧品 - Google Patents

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本発明は、容器内にゲル状、クリーム状又は半固体の製剤が充填され、その製剤の内部に、組成の異なるゲル状、クリーム状若しくは半固体の製剤が球状または偏球状に安定して内包された化粧品に関する。
クリームや乳液、化粧水、美容液、美容ゲル、美容オイル、クレンジングゲル、クレンジングクリーム、クレンジング乳液、クレンジングオイル、パック、洗顔フォームなどの様々な機能性を持つ基礎化粧品が販売されている。これらの基礎化粧品の基本となる成分は、油と相溶性の高い油性成分と、水と相溶性の高い水性成分、さらに水性成分と油性成分の中間的な性質を示す保湿剤に分類することができる。
化粧料に含まれる水性成分は、肌に水分を補給するとともに水性の有効成分や洗浄成分を溶し込む基剤としての役割を持つ。また、油性成分は肌に油分を補給するとともに油性の有効成分や洗浄成分を溶し込む基剤としての役割を持つ。さらには、保湿成分は肌に水分や油分を長時間保持することで肌の潤いを保つ役割を担っている。
一般的に、水性の化粧水や美容液、美容ゲル、クレンジングゲル中には油性成分は含まれず、肌に水分や保湿成分を補う目的や、主に肌の水性成分を洗い流す目的で使用される。美容オイルやクレンジングオイルには水性成分は含まれず、肌に油分を補う目的や、肌の油性成分を洗い流す目的で使用されている。
しかしながら、これらの油性化粧料は使用時の感触は油っぽくベタつきもある。この油性感を抑えながら油性成分と水性成分を補給する目的で、若しくは水溶性と油溶性両方の洗浄成分等の成分を配合させる目的で、界面活性剤により乳化された乳化物が、クリームや乳液、クレンジングクリームとして使用されてきた。
このように基礎化粧品の形状は細分化され、様々なタイプの基礎化粧品が市販されている。細分化されたそれぞれの基礎化粧品は機能が特化され1つ1つの製剤の機能性が優れる一方で、使用者は状況に応じて様々なタイプの基礎化粧料を順に使用する必要があり、使用者に時間的若しくは経済的な負担を強いる場合も多い。
このような状況の下、複数の基礎化粧品の機能性をもつ化粧品も市販されている。例えば、油性成分を含むクリームの機能性に、保湿成分や有効成分を豊富に配合した美容液の機能性、さらには水溶性成分を含む化粧水の機能性を併せ持つ商品や、肌に成分を閉じ込めるパック機能とクリームの機能を併せ持つ商品が販売されている。
しかしながら、このような商品はいずれも油分の補給効果に劣る、若しくは、保湿機能に劣る、パック機能に劣る、保湿機能に劣るなど、いずれにおいても機能が十分に発揮される商品はなく、消費者の多くは、これらの製品に満足できず、クリームと美容液、化粧水、パックなどのそれぞれの機能に特化した複数の商品を使用することも多い。また、このような商品は製剤中の一部の油分を製剤中に乳化するため、製剤全体に界面活性剤を配合しており、必要以上の界面活性剤が添加されている。
これが肌の負担となり、刺激となって現れることもある。また、有効成分の中には塩類のように乳化された製剤を分離させてしまう成分もあり、これらの成分の配合には困難を伴い、さらには、油性成分と水性成分の中間的な性質を持つ保湿剤の配合量が増加すると乳化が困難になる。このような複合タイプの基礎化粧品は処方設計上、配合できる成分は大きな制約を受ける。このように1種の基礎化粧品で複数の機能性を十分に持たせることは技術的に難しく、欠点なく、1つの商品で複数の機能性を十分に持つ基礎化粧品は開発されていない。
さらには、化粧品は商品の特性上、外観の美しさである美観性も、化粧品の大きな購買動機につながる。化粧品は様々な趣向を取り入れられた美観性に優れた容器に製剤が充填され、市販されていることも多い。しかしながら、化粧品の製剤そのものに趣向をこらすことで、機能性を向上させながら美観性をも向上させた製品は開発されていない。
また、肌の水分量や油分量はヒトのライフサイクルに応じて大きく変化する。従って、使用時の肌の状態によって、肌に水性成分が多く必要であったり、油性成分が多く必要であったりする。通常、化粧水のような水性成分を多く配合する化粧品と、クリームのように油性成分を多く配合する化粧品を使用時の肌の状況によって、それぞれの製剤の使用量を調整して使用することで対応することができる。しかしながら、従来の複数の基礎化粧品の機能を併せ持つ化粧品には、このように肌の状態により使い分けできる化粧品はない。
例えば、特開2006−282588号公報(特許文献1)には、静置時には透明な上層とゲル状の下層に分離する、外観の審美性に優れ、再分散性及び保存安定性が良好な二層型美白化粧料が提案されている。
しかし、この化粧料は、上記したように、使用時の肌の状況によって、水性成分を多く配合する化粧品と、油性成分を多く配合する化粧品の使用量を調整して使用することはできない。
また、特許文献1に記載されている化粧料は、静置時には上層部に流動性のある水層と下層にゲル層に分離しており、使用時には再分散して使用しなければならない。したがって、使用時の感触や機能性は従来の化粧品と大きく変わることはない。また、特許文献1に記載されている化粧料は静置状態では、ゲル層の上部に流動性の高い水層部分が位置しているに過ぎず、両成分に動きがない静置状態では美観性に優れた商品であるとは言い難い。
特表2006−525229号公報(特許文献2)には、クレンジング相と、効能相とが互いに物理的に接触して、包装され、安定性を維持している、ストライプ模様のパーソナルクレンジング組成物が提案されている。
しかし、ここに記載のパーソナルクレンジング組成物においても、ストライプ模様であるので、使用時の肌の状況によって、水性成分を多く配合する化粧品と、油性成分を多く配合する化粧品の使用量を調整して使用することはできない。
また、特許文献2の組成物はクレンジング相と高濃度内相エマルションを含む効能相が、単純にストライプ状に充填されたクレンジング組成物に過ぎない。この組成物を含む化粧品には、上部以外の商品の外観の大部分を占める側面に、優れた美観性を認めることはない。さらには、特許文献2の組成物を含む化粧品の製造には,同時に2種の製剤をポンプとホースを使って、チューブなどの容器に充填する必要がある。充填には綿密なコントロールが必要となり、作業工程も煩雑となる。
特開2006−282588号公報 特表2006−525229号公報
化粧水や美容液の特性である十分な水性成分の機能性と、クリームの特性である十分な油性成分の機能性を併せ持つ基礎化粧品のように、1つの基礎化粧品で2種の異なる機能性を十分に持つ化粧品が求められている。
本発明の目的とするところは、使用時の肌の状況によって、水性成分を多く配合する製剤と、油性成分を多く配合する製剤の使用量を調整して使用することができる化粧品を提供することにある。
本発明の他の目的は、容器を通して内部に充填された製剤の形状および使用量を見ることができ、美観に優れ、また使用勝手の良い化粧品を提供することにある。
本発明者はこのような状況を鑑み鋭意研究を行うことで、2種類の基礎化粧品の機能性を併せ持ち、美観にも優れた新規の化粧品の開発に至った。
本発明の化粧品は、最初にゲル状、クリーム状または半固体の1つ目の製剤を容器中に充填してから、さらに、充填した製剤の内部に、組成の異なるゲル、クリーム状または半固体の2つ目の製剤を充填することで完成する。このようにして調製された本発明の化粧品は、一方の製剤の内部に、もう一方の製剤が球状または偏球状の形状で包含された新しいタイプの基礎化粧品である。
従って、本発明は以下を提供する。
(項目1)
透明又は半透明である容器と、該容器内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有する化粧品であって、
該製剤Aは、ゲル状、クリーム状または半固体であり、該製剤Bは、ゲル状、クリーム状または半固体であり、該製剤AとBは異なる組成を有し、該製剤Bの少なくとも一部の表面は突曲面を有する、化粧品。
(項目2)
前記製剤Bが球状であり、該製剤Bが製剤Aの中に浮いた状態で埋入されている項目1に記載の化粧品。
(項目3)
前記製剤Bの下部が前記容器の底面に接触し、該製剤Bの上部がほぼ半球状である項目1に記載の化粧品。
(項目4)
前記製剤Aが水性ゲルであり、前記製剤Bが乳化組成物である項目1〜3のいずれか1項に記載の化粧品。
(項目5)
前記製剤Bが製剤全量の10〜60重量%配合されている項目1〜4のいずれか1項に記載の化粧品。
(項目6)
前記製剤AおよびBの以下の条件で測定した製剤の粘性を示す最大荷重が、0.3N〜2.0Nである項目1〜5のいずれか1項に記載の化粧品:
株式会社サン科学製のSUN RHEO METER(COMPAC100−II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定する。
(項目7)
透明又は半透明である容器と、該容器内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有し、該製剤Aは、ゲル状、クリーム状または半固体であり、該製剤Bは、ゲル状、クリーム状または半固体であり、該製剤AとBは異なる組成を有し、該製剤Bの少なくとも一部の表面は突曲面を有する、化粧品の製造方法であって、
該製剤Aを容器内に充填する工程、
該製剤A内にノズルの先端を配置し、該ノズルの先端から製剤Bを製剤A内に注入する工程、を包含する化粧品の製造方法。
(項目8)
前記製剤Bが球状であり、該製剤Bが製剤Aの中に浮いた状態で埋入されている項目7に記載の化粧品の製造方法。
(項目9)
前記製剤Bの下部が前記容器の底面に接触し、該製剤Bの上部がほぼ半球状である項目7に記載の化粧品の製造方法。
(項目10)
前記製剤Aが水性ゲルであり、前記製剤Bが乳化組成物である項目7〜9のいずれか1項に記載の化粧品の製造方法。
(項目11)
前記製剤Bが製剤全量の10〜60重量%配合されている項目7〜10のいずれか1項に記載の化粧品の製造方法。
(項目12)
前記製剤AおよびBの以下の条件で測定した製剤の粘性を示す最大荷重が、0.3N〜2.0Nである項目7〜11のいずれか1項に記載の化粧品の製造方法:
株式会社サン科学製のSUN RHEO METER(COMPAC100−II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定する。
本発明の化粧品は、透明又は半透明である容器内に、透明又は半透明である製剤Aが充填され、該製剤A内に製剤Bが埋入され、該製剤AおよびBはそれぞれ、ゲル状、クリーム状または半固体であり、該製剤AとBは異なる組成を有し、該製剤Bの少なくとも一部の表面は突曲面を有する。このような形状を有すことで以下の利点を有する化粧品を提供することができる。以下に本発明の利点を列挙する。
(1)本発明により、1種の製剤で、クリーム、水性ゲル、美容ゲル、油性ゲル、水性クレンジングゲル、油性クレンジングゲル、クレンジングクリーム、パック製剤、または洗顔フォームなどの基礎化粧料から選択される2種の基礎化粧品の機能性を持つ化粧品を提供することができる。
(2)本発明の化粧品は、2種の異なる化粧料の機能性を有する製剤AおよびBが分離した形で配合されている。一方の製剤中に含まれる成分は、他方の製剤に大きく影響を与えることがないので、各製剤中に配合できる成分の選択性が向上する。
(3)製剤の1つに乳化組成物を包含する場合、乳化組成物ではない製剤と、乳化組成物の製剤が分離する。そのため、乳化組成物の油性成分の乳化に使用する界面活性剤は、内部の油分を乳化するのに必要な配合量のみを配合すれば良く、各製剤を合わせた化粧料中の界面活性剤の使用量を低減することができる。
(4)乳化組成物を内部または外層部分に包含する場合、塩類のように乳化組成物を分離させる成分や水性成分と油性成分の中間的な性質を持つ保湿剤のように本来、乳化組成物に配合が難しい成分を、もう一方の製剤に配合することができる。
(5)製剤の一方に水性クレンジングゲルを選択し、製剤の他方に油性クレンジングゲル若しくはクレンジングクリームを選択して配合した場合、1つの化粧料で、水性の汚れやメイクと、油性の汚れやメイクを落とすことができる新しいタイプのクレンジング製剤を提供することができる。
(6)製剤の一方に洗顔フォームを選択し、製剤の他方に水分を多く含む水性ゲルを選択した化粧料は、多くの水を含んでおり、その化粧料のみで泡立てることができる。そのため、水を使用することなく使用できる新しいタイプの洗顔料を提供することもできる。
(7)本発明品は、通常、視覚的にも異なる形状の二種の製剤が、透明または半透明の容器内に分離し、かつ内部の製剤が少なくともその表面に突曲面を有する状態で配合されている。使用者は使用時の肌の状態に応じて、視覚的に二種の製剤の使用量を調節して使用することもできる。すなわち、透明性の高い水性ゲル中に乳化組成物の製剤が埋入されている場合、使用者は肌の状況に応じて外辺部の水性ジェル部分を多く使用したり、油分を多く含む乳化組成物を多く使ったりといった使い方で、視覚的に調整しながら使用することができる。一つの製品でありながら、肌の状態に応じて使い分けができる。
(8)本発明の化粧品は、内層の製剤が完全に外層の製剤で包みこまれた形状である。このような形状をとることで、香料や精油などの香気成分を内層部分の製剤にのみ配合することで、使用直前まで製剤外への香気成分の流出を大幅に低減することができる。本発明の化粧品を使用時に、製造直後のフレッシュな香りが広がるような化粧品を提供することができる。さらには、油性成分を内包する形状の製剤の場合、空気と直接触れる可能性が極めて少なく、内部の油性成分の酸化を抑えることもできる。
(9)外層部の製剤として透明性の高い水性ゲルを使用し、内層部の製剤として着色されたゲル若しくは有色の乳化組成物を使用した化粧品は、美観的にも優れている。容器の形状や外層部の水性ゲルと内部の製剤の配合割合や着色の有無によっては、ジェル中にすっぽりと球状の乳化層若しくはゲル層が包まれた美観性に優れ神秘的な形状の製剤を提供することができる。
以上に列記したように、本発明品により、既存の製品には無い様々な機能性を持つ化粧品を提供することができる。
(a)〜(d)は本発明の化粧品の種々の形態を示す概略説明図である。 実施例1における二層ゲルクリームの写真である。 実施例2における二層クレンジングゲルクリームの写真である。
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及されない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術語は、本発明の属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(用語の定義)
本明細書において使用される用語「球状」とは、真球状に限定するものではなく、やや歪のある球状(例えば、卵状)、偏球状(例えば、断面楕円形状のもの)、表面にわずかな突起のある球状などを含めるものとする。同様に、本明細書において使用される用語「半球状」とは、半真球状に限定するものではなく、やや歪のある半球状、表面にわずかな突起のある半球状などを含めるものとする。
本明細書において使用される用語「乳化」とは、水性成分と油性成分のように互いに溶け合わない液体、半固体、または個体の均一の混合物をいう。
本明細書において使用される用語「乳化組成物」とは、油性成分と水性成分のように互いに溶け合わない液体、半個体、または固体の均一の混合物をいう。
本明細書において使用する場合、用語「水性成分」とは、水によって溶解および/または希釈することが可能な成分をいう。
本明細書において使用する場合、用語「油性成分」とは、常温で液体または固体であり、水に不溶で、粘性があり、水より比重が小さく、燃焼する物質をいう。
本発明の外層部および内部の製剤には、あらゆる水溶性物質、ゲル中に分散可能なあらゆる物質または固形物を分散することができる。製剤中に配合できる成分を例示すると、油脂類、ロウ類、炭化水素、シリコーン類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、増粘剤、粉末等の化粧品基材の他、医薬品、および医薬部外品の有効成分、pH調製剤、防腐剤、色素、香料、酸化防止剤、天然由来エキスを挙げることができる。
本発明を構成する2種類の製剤の色調は問わない。白濁、白色、透明、有色のゲル、若しくは乳化組成物であっても良いが、美観上、外辺部に存在する製剤は、着色若しくは無着色の透明もしくは半透明のものが望ましく、水溶性ゲルの場合は特にそうである。
本発明において使用する「油性成分」としては、例えば、以下からなる群から選択される物質が挙げられるが、これに限定されない:
アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、つばき油、ごま油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、コーン油、なたね油、キョウニン油、パーシック油、桃仁油、ひまし油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ココナッツ油、小麦胚芽油、米胚芽油、月見草油、ハイブリッドヒマワリ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、へーゼルナッツ油、パーム核油、パーム油、やし油、カカオ脂、シア脂、木ろう、ミンク油、タートル油、卵黄油、牛脂、乳脂、豚脂、場油等の油脂類;または、ホホバ油、カルナウバろう、キャンデラろう、米ぬかろう、オレンジラフィー油、みつろう、セラック、ラノリン、モンタンろう等のロウ類;または、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、軟質流動イソパラフィン、水添ポリイソブチレン、オゾケライト、セレシン、α−オレインフィンオリゴマー、ポリブテン、ポリエチレン等の炭化水素類;または、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソノナン酸、ペンタデカン酸等の高級脂肪酸類;または、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、イソコレステロール、シトステロール、スチグマステロール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等の高級アルコール類;または、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、トリカプリン、トリミリスチン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスチル、トリイソステアリン酸ペンタエリスリル、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類;ならびにこれらを2種以上含む混合物。
本発明の化粧料に「保湿成分」を配合してもよく、そのような「保湿成分」としては、例えば、以下からなる群から選択される物質が挙げられるが、これに限定されない。
グリセリン 、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン 、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、アラビノース、フコース、リボース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース 、ラクトース、ラフィノース、グルコン酸、グルクロン酸、シクロデキストリン、β−グルカン、キチン、キトサン、ヘパリン及びその誘導体、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、メタクリル酸グルコシルエチル重合物、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ムコイチン硫酸、カロニン硫酸、ケラト硫酸、デルマタン硫酸、シロキクラゲ抽出物、シロキクラゲ多糖体、チューベロース多糖体、クエン酸、酒石酸、尿素、2−ピロリドン−5−カルボン酸及びそのナトリウム等の塩、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド等の蛋白ペプチド類及びその誘導体;パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド、乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、グルタチオン、アルブミン、乳清;塩化コリン、ホスホリルコリン;胎盤抽出液、エアラスチン、コラーゲン、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス、コンフリーエキス、シルクエキス、イザヨイバラエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ユーカリエキス、メリロートエキス、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、スフィンゴ糖脂質。
図1に示すように、本発明の化粧品1は、透明又は半透明である容器2と、該容器2内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有する。
該製剤AおよびBは、それぞれゲル状、クリーム状または半固体であり、該製剤AとBは異なる組成を有し、該製剤Bの少なくとも一部の表面は突曲面を有する。
製剤Bは球状であってもよく、その場合、図1(a)に示すように、製剤Bは製剤Aの中に浮いた状態で埋入され得る。
図1(b)に示すように、製剤Bの下部が容器2の底面に接触してもよく、その場合、製剤Bの上部がほぼ半球状となる。ここで、製剤Bは直接、もしくは製剤Aの薄い層を介して容器2の底面に接触する。
また、図1(c)に示すように、製剤Bを製剤Aが包み込む状態で化粧料の中央部が盛り上がっている状態であってもよい。
容器2の形状、製剤の充填量は任意に変更することができ、例えば、図1(d)に示すように、製剤Bは縦方向に長い楕円形状であってもよい。
製剤Bは、通常、先に充填した製剤Aの内部にノズルを差し入れて充填することで製造できる。製剤Aと製剤Bの組み合わせによっては、製剤Bを充填した後にノズルを引き抜く際、製剤Bの突曲面を形成する表面上部に突起が形作られることがあるが、これが商品の美観を損ねることは無く、また、発明の完成になんら影響を及ぼすこともない。
本発明は、2種の機能性を持つ製剤を2段階で充填することで、1つの製品で2種の製剤AおよびBの機能性を有する新規の基礎化粧品を提供することができる。また、本発明は、透明性の高い水性ゲルなどの製剤Aを外辺部に使用することで、容器2および製剤Aを通して曲面を有する製剤Bを外側から視認することができ、それゆえ美観性にも優れた新規の基礎化粧品を提供することができる。
2種類の製剤の組み合わせとして、ゲル、クリーム状または半固体の粘性のある製剤同士の組み合わせであれば、いかなる組み合わせでも良い。
例えば、おもに肌に、水分と保湿成分を補給する「水性ゲル」と、主に油性成分と保湿成分を肌に補給する「クリーム」の2種の製剤の組み合わせ、「水性ゲル」と油性成分と保湿成分を肌に補給する「油性ゲル」の2種の製剤の組み合わせ、水性の洗浄成分を配合する「水性のゲル洗浄剤」と「油性のゲル洗浄剤」の組み合わせ、「水性のゲル洗浄剤」と「クレンジングクリーム」との組み合わせ、「水性ゲル」と「クレンジングクリーム」の組み合わせ、「水性ゲル」と「クレンジングクリーム」の組み合わせ、「水性ゲル」と「洗い流しのパック製剤」の組み合わせ、「水性クレンジングゲル」と「洗顔フォーム」の組み合わせ、「水性ゲル」と「洗顔フォーム」の組み合わせなど、様々な組み合わせの製剤を、本発明により提供することができる。
特に、好ましい2種の製剤の組み合わせは次のとおりである。
外層「水性ゲル」と内部「クリーム」、外層「美容ゲル」と内部「クリーム」、外層「水性クレンジングゲル」と内部「クレンジングクリーム」、外層「水性クレンジングゲル」と内部「油性クレンジングゲル」。
外層部の製剤Aおよび内部に充填する製剤Bは、それぞれゲル状またはクリーム状のような粘性のある半固体である必要がある。
各製剤の粘性については特に限定しないが、粘性が低すぎると、衝撃等により内部の乳化組成物もしくはゲルが、外辺部の水性ゲル部分に移動もしくは外辺部の水性ゲル部分と混合し、安定な形状を保つことができない。また、粘性が高すぎると、製剤の充填が難しく、商品の使い心地も悪化する。
いずれにもしても流動性がなく、かつ固すぎない製剤が望ましい。さらに製剤の使い易さ、生産工程での充填し易さ、および内部の製剤の形状をほぼ球状に充填する必要性を考慮すると、外層部の製剤と内部の製剤は、同程度の粘度の製剤であることが望ましい。
製剤の粘性は、次の測定方法による最大荷重で表すことができ、製剤の最大荷重は、0.3N〜2.0Nであるのが好ましい。さらに好ましくは0.5N〜1.5Nである。
最大荷重が0.3Nより小さいと、上記のとおり製剤の安定な形状を保つことが難しく、2.0Nより大きいと、製剤の充填が難しく、商品の使い心地も使用時も悪化する。
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100−II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定する。
また、各製剤の用途および処方によって各製剤の比重は変わるが、製剤Aの比重は、0.8〜1.3が好ましく、さらに好ましくは0.9〜1.2である。また、製剤Bの比重は、0.7〜1.2が好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.1である。
本発明の化粧品は、最初に外層部の製剤を容器内に充填し、その外層部の製剤の内部に、もう一方の製剤を充填することで完成するが、その充填方法は限定されない。それぞれの製剤をそのまま、若しくは、回転を加えながら、通常の化粧品の製造工程で使用する充填機もしくは注射器等を用いて充填することで、本発明の化粧品を得ることができる。
本発明において、最初に容器に充填する製剤の充填量と、2段階目で充填する製剤の配合量の配合割合も特に限定されることはない。選択する製剤の種類の機能性や、最終的に求められる本発明の化粧品の組み合わせにより決定されるべきである。
本発明の外観性の観点から考慮すると、2段階目で充填する内部の製剤Bの充填量は、製剤全体の10%〜60%の充填量が望ましく、20〜40%の充填量がより望ましい。製剤Bの充填量が製剤全体の10%未満の場合は、製剤Bの機能が発揮されないことがあり、60%を超えると、製剤Aの機能が発揮されないことがあり、また外観が損なわれる場合がある。
2段階目で充填する製剤は、最初に充填した製剤の内部に充填する必要があるが、その製剤中の充填場所は特に限定されない。
通常、最初に充填した製剤の中心付近に充填することが望ましいが、製剤の固さや形状、機能性、配合割合によっては、最初に充填した製剤の中心部より上部の位置もしくは下部に充填しても良い。上部に充填することで製剤は容器の底部に付きにくくより球状に近い形状で充填でき、製剤の上部が盛り上がることが多い。
本発明の化粧品を充填するのに使用する容器の形状や素材も、内部の製剤を外側から見ることができるものであれば、何ら限定されることはない。
通常のクリームやゲルなどの化粧品に使用する容器であれば、どのような形状や素材の容器であっても良い。容器の深さの浅い容器の場合、2段階目で充填する製剤の充填量によっては、2段階目で充填された製剤が容器の底面にあたり半球状もしくは半偏球状の形状で充填されるが、これにより本発明の機能性や新規性を損なうことはなく、また、これにより発明品の美観を損なうこともなく、発明の完成になんら影響を及ぼさない。また、十分に充填容器が深い場合、若しくは充填容器の形状により、2段階目で充填する製剤の配合量によっては完全な球状の製剤に充填することもできる。これにより、前者とは少し外観の異なる発明品に仕上げることもできる。
(実施例1:二層ゲルクリームの調製)
以下の処方と製造方法により、肌に水分と保湿成分を補給する効果に優れた「水性ゲル」中に、油性成分と保湿成分を肌に補給する効果に優れた「クリーム」を内包する二層ゲルクリームを調製した。
(処方1:外層部分の製剤/二層ゲルクリーム)
(A)カルボキシビニルポリマー:0.4(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.12(重量%)
(A)グリセリン:15(重量%)
(A)1,3−ブチレングリコール:15(重量%)
(A)クチナシエキス:0.05(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(調製方法)
成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加した。その後、攪拌しながら室温まで冷却することで黄色透明のゲルを得た。
(処方2:内層部分の製剤/二層ゲルクリーム)
(A)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2−エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:2(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.2(重量%)
(A)天然ビタミン E:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.3(重量%)
(B)カルボキシビニルポリマー:0.5(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.18(重量%)
(B)キサンタンガム:10(重量%)
(B)トレハロース:0.2(重量%)
(B)濃グリセリン:0.1(重量%)
(B)1,3−ブチレングリコール:5(重量%)
(B)マルチトールヒドロキシアルキル(12,14)エーテル液:0.3(重量%)
(B)エタノール:0.04(重量%)
(B)N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(D)香料:0.04(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
(調製方法)
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、精製水を使用して10%に溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。冷却を開始し40℃で成分(D)を添加し、さらに室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
(物性値の測定)
処方1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調製した後、100mlのビーカーに各々100gとり、24時間、室温にて静置してから、各製剤の最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りであった。
処方1のゲル製剤:最大荷重 0.64N、比重 1.04
処方2のクリーム製剤:最大荷重 0.53N、比重 1.02
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100−II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
(二層ゲルクリームの充填方法)
100mlのビーカーに、処方1のゲル20gをシリンジにより充填した。次に、充填したゲルの底部より全量3分の2の部分にシリンジンの先端を押し入れて処方2の乳化組成物10gを充填することで図2の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
(二層ゲルクリームの機能性)
実施例1により調製した二層ゲルクリームを用いて使用試験を行い、製剤の機能性を確認した。
使用試験において、使用者にはヘラを使用して製剤を適量とり、肌へ使用するように指示した。使用後に、その使用感と機能性についてインタビュー形式で聞いた。下記に、本試験および配合成分、調製方法から確認できる製剤の機能性を列挙する。
(機能性1)
実施例1の二層ゲルクリームは、1つの製剤中に、油性成分を豊富に含むクリームと、水性成分およびグリセリンや1,3−ブチレングリコールのような保湿成分を豊富に含む美容ゲルの機能性を併せ持つ製剤である。本製剤を外層部分と内部の製剤を含むようにヘラで取り肌に塗布したところ、美容ゲルの保湿感とクリームのコクを併せもつ特徴的な使用感であった。同時に、肌に対する高い保水効果および、エモリエント効果、保湿効果を実感できることを確認した。
(機能性2)
実施例1の二層ゲルクリームは、水性成分を多量に含有する美容ゲル部分と、油性成分を多量に含有するクリーム部分からなる。このように二層ゲルクリームは、1つの製剤中で油性成分と水性成分が分離されている。これにより、配合できる成分の選択性が増加する。
(機能性3)
実施例1の二層ゲルクリームは、外層部分のゲル製剤と、内部のクリーム製剤で2種の製剤が分断されており、内側のクリーム製剤の配合量は全量の3分の1程度である。従って、製剤全体に界面活性剤を分散させる必要が無く、乳化に必要な界面活性剤の使用量も3分の1程度まで低減できることを確認した。また、実施例1の二層ゲルクリームは、界面活性剤による肌への刺激性や負担が大幅に低減された使用感の製剤であること確認した。
(機能性4)
実施例1の二層ゲルクリームを40℃、50℃、4℃、および、25℃の温度で保存し、3ヶ月後の状態変化を観察したが、いずれにおいても製剤に変化は認められなかった。本結果から、実施例1の二層充填ゲルクリームは、外層部分にグリセリンや1,3−ブチレングリコールのような保湿成分を高濃度で配合しているにも関わらず、高い安定性を持った製剤であることを確認した。
(機能性5)
実施例1の二層ゲルクリームは、外層部分の透明性の高い美容ゲルと、内部のクリームの二種の異なる製剤が配合されている。使用試験により、ヘラを使って使用することで視覚的に二種の使用量を調節しながら製剤を使用することができることを確認した。すなわち、保湿成分が不足しがちな日中は透明性の高い水性美容ゲルを多く使用し、油分が不足しがちな就寝や洗顔後などは、油分を多く含むクリーム部分を多く使うという使い方で、視覚的に調整しながら1つの製剤を使用できる。このように二層ゲルクリームは一つの製品でありながら、肌の状態に応じた使い分けができる。
(機能性6)
実施例1の二層ゲルクリームは内部のクリームが外層部分の美容ゲルで包みこまれた形状であり、二層ゲルクリームの内部のクリーム部分にのみ油溶性の香料を配合している。このため、使用試験では使用前の二層ゲルクリームは香りをほとんど感じることのできない製剤であったが、使用直後に新鮮な香りが広がる事を使用試験により確認した。また、使用後も内部のクリーム部分の大部分は透明性の高いゲルで包まれており、香りの鮮度は最後まで持続した。さらには、二層ゲルクリームは油性成分が外部の空気と直接触れる可能性が極めて少なく、内部のクリームに含まれる油性成分の酸化も抑えられ、経時的変化による油性成分の酸化臭を感じないことを確認した。
(機能性7)
外実施例1の二層ゲルクリームは図2に示すように、黄色で透明性の高い美容ゲルに、すっぽりと球状のクリーム部分が包まれ美観性にも優れた外観であることを確認した。使用途中も、その美観性を損なうことなく使用できることも確認できた。
(実施例2:二層クレンジングゲルクリームの調製)
以下の処方と製造方法により、水性の洗浄成分を配合し水性の汚れを洗浄する効果に優れた「水性ゲル」中に、油性の洗浄成分を配合し油性の汚れを洗浄する効果に優れた「クレンジングクリーム」を内包する二層クレンジングゲルクリームを調製した。
(処方3:外層部分の製剤/二層クレンジングゲルクリーム)
(A)カルボキシビニルポリマー:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.25(重量%)
(A)1,3−ブチレングリコール:20(重量%)
(A)モノラウリン酸ポリグリセリル:5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.2(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(調製方法)
成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加した。その後、攪拌しながら室温まで冷却することで透明なゲルを得た。
(処方4:内層部分の製剤/二層クレンジングゲルクリーム)
(A)パルミチン酸セチル:2(重量%)
(A)ステアリン酸:3.5(重量%)
(A)セタノール:4.2(重量%)
(A)スクワラン:45(重量%)
(A)ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム:1(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.3(重量%)
(A)モノステアリン酸ソルビタン:0.5(重量%)
(A)モノステアリン酸ポリエキシエチレンソルビタン(20E.O.):3.5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸ブチル:0.25(重量%)
(A)天然ビタミン E:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.16(重量%)
(B)濃グリセリン:5(重量%)
(B)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(D)香料:0.08(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(調製方法)
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、精製水を使用して10%に溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。冷却を開始し40℃で成分(D)を添加し、さらに室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
(物性値の測定)
処方3のクレンジングゲル製剤(外層部分の製剤/二層クレンジングゲルクリーム)と処方4のクレンジングクリーム製剤(内層部分の製剤/二層クレンジングゲルクリーム)を上記の方法で調製した後、各々を100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、各製剤の最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りであった。
処方3のクレンジングゲル製剤:最大荷重 0.50N、比重 1.02
処方4のクレンジングクリーム製剤:最大荷重 0.59N、比重 0.91
なお、それぞれの製剤の最大荷重は、上記処方1および処方2で行った測定方法と同じである。
(二層クレンジングゲルクリームの充填方法)
クリーム用のガラス容器(全量50ml)に、処方3のゲル32gを充填機(株式会社ジェーエム製作所製、クリーム充填機FIR−1A)により充填した。その後、充填したゲルの中心部にノズルの先端がくるように設定し、処方3のクレンジングゲル製剤が充填されたガラス容器に処方4のクレンジングクリーム製剤16gを充填した。
本試験により本発明品は化粧品の製造ラインで使用する充填機により製造できることも確認できた。
(二層クレンジングゲルクリームの機能性)
実施例2により調製した二層クレンジングゲルクリームを用いて使用試験を行い、製剤の機能性を確認した。使用試験において、使用者にはヘラを使用して製剤を適量とり、肌のメイク汚れに対するクレンジングとして使用するように指示した。使用後に、その使用感と機能性についてインタビュー形式で聞いた。下記に、本試験および配合成分、調製方法から確認できる製剤の機能性を列挙する。
(機能性1)
実施例2の二層クレンジングゲルクリームは、水性の洗浄成分を配合し水性の汚れを洗浄する効果に優れた「水性クレンジングゲル」中に、油性の洗浄成分を配合し油性の汚れを洗浄する効果に優れた「クレンジングクリーム」を内包する製剤である。本製剤を外層部分と内部の両方の製剤を含むように取り、メイク汚れなど肌の汚れに対するクレンジング機能を確かめた。二層クレンジングゲルクリームは水性の汚れと油性の汚れの両方に強いクレンジング効果を示した。さらには、製剤の水への溶解性も高く、後残りのないサッパリとした洗い上がりが特徴のクレンジングクリームであった。使用試験から、実施例2の二層クレンジングゲルクリームは、クレンジングクリームと水性クレンジングゲルの両方の利点を併せ持つ製剤であることを確認した。
(機能性2)
実施例2の二層クレンジングゲルクリームは、水性の洗浄成分と、その他の水性の洗浄成分を多量に含有する水性クレンジングゲル製剤と、油性成分を多量に含有するクレンジングクリーム製剤からなる。このように、二層クレンジングゲルクリームは、1つの製剤中で油性成分と水性成分が分断されている。これにより、配合できる成分の選択性が増加する。
(機能性3)
実施例2の二層クレンジングゲルクリームは、外層部分の水性クレンジングゲル製剤と、内部のクレンジングクリーム製剤で2種の製剤が完全に分断されており、内側のクリーム部分の配合量は全量の3分の1程度である。従って、製剤全体に界面活性剤を分散させる必要が無く、乳化に必要な界面活性剤の配合量も3分の1程度まで低減できることを確認した。また、実施例2の二層クレンジングゲルクリームは、界面活性剤による肌への刺激性や負担が大幅に低減された使用感の製剤であること確認した。
(機能性4)
実施例2の二層クレンジングゲルクリームを4℃、25℃、40℃、および、50℃の温度で保存し、3ヶ月後の状態変化を観察したが、いずれにおいても製剤に変化は認められなかった。本結果から、実施例2の二層クレンジングゲルクリームは、外層部分に1,3−ブチレングリコールのような保湿成分に加え、水性の洗浄成分など、乳化製剤の安定性を損なう水性成分を高濃度で配合しているにも関わらず、高い安定性を持った製剤であることを確認した。
(機能性5)
実施例2の二層クレンジングゲルクリームは、外層部分の水性クレンジングゲル製剤と、内部のクレンジングクリーム製剤の異なる製剤が配合されている。使用試験により、ヘラを使って使用することで視覚的に二種の使用量を調節しながら製剤を使用できることを確認した。すなわち、メイクなどの油汚れを落とす時はクレンジングクリームを多く使用するなど、視覚的に調整しながら1つの製剤を使用できることを確認した。このように二層クレンジングゲルクリームは1つの製品でありながら、求めるクレンジング機能に応じて使い分けることができる。
(機能性6)
実施例2の二層クレンジングゲルクリームは内部のクレンジングクリーム製剤が外層部分のクレンジングゲル製剤で包みこまれた形状であり、二層クレンジングゲルクリームの内部のクレンジングクリーム製剤にのみ油溶性の香料を配合している。このため、使用試験では使用前の二層ゲルクリームには香りをほとんど感じることのできない製剤であったが、使用直後に新鮮な香りが広がる事を使用試験により確認した。また、使用後も内部のクリーム部分の大部分は透明性の高いゲルで包まれており、香りの鮮度は最後まで持続した。さらには、二層クレンジングゲルクリームは油性成分が外部の空気と直接触れる可能性が極めて少なく、内部のクレンジングクリームに含まれる油性成分の酸化も抑えられ、経時的変化による油性成分の酸化臭を感じないことを確認した。
(機能性7)
実施例2の二層クレンジングゲルクリームは図3に示すように、透明性の高いクレンジングゲルに、すっぽりと球状のクレンジングクリーム部分が包まれ美観性にも優れた外観であることを確認した。使用途中も、その美観性を損なうことなく使用できることも確認できた。
このように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明はこの実施形体に限定して解釈されるべきではない。本発明は、特許請求の範囲によってその範囲が解釈されるべきことが理解される。当業者は、発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することが理解できる。
本発明によりゲル状、若しくは、クリーム状、半固体の製剤中に、組成および機能性の異なるゲル若しくは、クリーム状、半固体の球状の製剤を内包する化粧料を提供することができる。本発明の化粧料は、美観性に優れるとともに、1種の製剤で異なる2種の化粧料の機能性を併せ持つ化粧料である。
1 化粧品
2 容器
A 外層の製剤
B 内部の製剤

Claims (8)

  1. 透明又は半透明である容器と、該容器内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有する化粧品であって、
    該製剤AおよびBは、それぞれゲル状、クリーム状または半固体であり、該製剤AとBは異なる組成を有し、
    該製剤Bの形状は、真球状、球状、卵状、偏球状、断面楕円形状、表面に突起のある真球状、表面に突起のある球状、表面に突起のある卵状、表面に突起のある偏球状、および、表面に突起のある断面楕円形状からなる群から選択される形状であり、
    該製剤Bが製剤全量の10〜60重量%配合されており、
    該製剤Aが水性ゲルであり、該製剤Bが乳化組成物である、化粧品。
  2. 前記製剤Bが製剤Aの中に浮いた状態で埋入されている請求項1に記載の化粧品。
  3. 前記製剤Bが製剤全量の20〜40重量%配合されている請求項1または2に記載の化粧品。
  4. 前記製剤AおよびBの以下の条件で測定した製剤の粘性を示す最大荷重が、0.3N〜2.0Nである請求項1〜のいずれか1項に記載の化粧品:
    株式会社サン科学製のSUN RHEO METER(COMPAC100−II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定する。
  5. 透明又は半透明である容器と、該容器内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有する化粧品の製造方法であって、ここで、該製剤AおよびBは、それぞれゲル状、クリーム状または半固体であり、該製剤AとBは異なる組成を有し、該製剤Bの形状は、真球状、球状、卵状、偏球状、断面楕円形状、表面に突起のある真球状、表面に突起のある球状、表面に突起のある卵状、表面に突起のある偏球状、および、表面に突起のある断面楕円形状からなる群から選択される形状であり、該製剤Bが製剤全量の10〜60重量%配合され、
    該製造方法は、以下の工程:
    (a)該製剤Aを容器内に充填する工程、および、
    (b)該製剤A内にノズルの先端を配置し、該ノズルの先端から製剤Bを製剤A内に注入する工程、
    を包含し、
    ここで、該製剤Aが水性ゲルであり、該製剤Bが乳化組成物である、化粧品の製造方法。
  6. 前記製剤Bが製剤Aの中に浮いた状態で埋入されている請求項に記載の化粧品の製造方法。
  7. 前記製剤Bが製剤全量の20〜40重量%配合されている請求項5または6に記載の化粧品の製造方法。
  8. 前記製剤AおよびBの以下の条件で測定した製剤の粘性を示す最大荷重が、0.3N〜2.0Nである請求項のいずれか1項に記載の化粧品の製造方法:
    株式会社サン科学製のSUN RHEO METER(COMPAC100−II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定する。
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