JP5669219B2 - 指針駆動機構 - Google Patents

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Description

本発明は、時計の指針を駆動する指針駆動機構に関する。
一般に、時計の指針を駆動する指針駆動機構は、地板に対して時針軸及び分針軸を回転可能に設けて構成されている。時針軸は、分針軸を貫通するパイプ状の部材である。地板には他の支持部材が組付けられ、時針軸及び分針軸は地板と他の支持部材にて軸支する構成となっている。また、地板と他の支持部材との間には、時針軸及び分針軸を連結する日ノ裏車が設けられており、日の裏車を介して分針軸の回転を減速して時針軸に伝達する構成となっている。このような指針駆動機構は、特許文献1乃至7にも開示されている。更に、特許文献8には、地板に組付ける支持部材を省略することにより、その支持構造を簡素化してなる指針駆動機構が開示されている。
また、分針軸及び時針軸に対する駆動伝達構造は、遊星歯車を用いて構成することも可能である。特許文献9には、遊星歯車を介してモータの動力を時針軸及び分針軸にそれぞれ伝達する構成が開示されている。
特開平5−232250号公報 特開平10−48349号公報 特開平10−282252号公報 特開2000−147147号公報 特開2000−221277号公報 特開2001−108762号公報 特開2002−357672号公報 特許第4531534号公報 特開平08−62345号公報
さて近年、時計の機能やデザインはますます多様化されており、前述した指針駆動機構についても、その機能及び形態に応じた一層の合理化が望まれている。この点、本願発明者は、小型の円筒体にて時針軸及び分針軸を支持するとともに、分針軸の回転を減速して時針軸に伝達する機構をその円筒体の内部に収納する構成を提案した。これまでにないデザインの時計が得られると考えられる。また、時計の製造時における組付けが容易となる利点もある。そして、検討と試作を繰り返した結果、日の裏車を遊星歯車機構に置きかえることによって円筒体の小径化を達成し、本発明を完成させた次第である。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、機能的であるとともにデザイン性に優れた指針駆動機構を提供することである。
本願第1請求項に記載した発明は、その先端部に時針(21)を装着する時針軸(210)と、その先端部に分針(22)を装着する分針軸(220)とを備え、前記時針軸(210)前記分針軸(220)に貫通されており、前記分針軸(220)の回転を減速して前記時針軸(210)に伝達する指針駆動機構(100)において、一方の底面から前記時針軸(210)の先端部及び前記分針軸(220)の先端部を突出するとともに、他方の底面から前記分針軸(220)の基端部を突出する円筒体(300)と、前記分針軸(220)に設けられた太陽歯車(410)と、前記太陽歯車(410)及び前記円筒体(300)に設けられた内歯(420)と噛合する遊星歯車(430)と、前記円筒体(300)の内部において前記分針軸(220)を中心に回転可能に設けられ且つ前記遊星歯車(430)を枢支するプレート体(440)と、前記プレート体(440)に設けられ且つ前記分針軸(220)を貫通する円筒ボス部(441)と、前記円筒ボス部(441)に設けられて前記分針軸(220)を中心に前記遊星歯車(430)の公転周期と同じ周期で回転する公転伝達歯車(450)と、前記円筒体(300)に枢支され且つ前記公転伝達歯車(450)と噛合する従動歯車(460)と、前記時針軸(210)に設けられ且つ前記従動歯車(460)のカナ(461)と噛合する時針車(470)とを備え、前記円筒体(300)は、その円筒側面が前記時針車(470)、前記従動歯車(460)、前記公転伝達歯車(450)、及び前記円筒ボス部(441)を囲む第1円筒部材(310)と、その円筒側面が前記プレート体(440)、前記遊星歯車(430)、及び前記太陽歯車(410)を囲むとともにその内面に前記内歯(420)が設けられた第2円筒部材(320)とを組付けてなる構成の指針駆動機構(100)である。
本発明によれば、機能的であるとともにデザイン性に優れた指針駆動機構を得ることができる。
本発明の実施例に係り、時計を示す正面図である。 本発明の実施例に係り、時計の内部を示す正面図である。 本発明の実施例に係り、時計の内部を示す側面図である。 本発明の実施例に係り、指針駆動機構を示す側面図である。 本発明の実施例に係り、指針駆動機構を示す側面断面図である。 本発明の実施例に係り、指針駆動機構を示す分解斜視図である。
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1乃至図3に示す時計1は、図4乃至図6に示す指針駆動機構100を用いてなるアナログ時計の一例である。
図例した時計1は、リング型のフレーム体31に複数の円形の透明板41,42,43,44を設け、これを台座32に配置してなるものである。透明板は、正面側から第1透明板41、第2透明板42、第3透明板43、及び第4透明体44とする。第3透明板43は、プーリ(図示はせず)を介してフレーム体31に設けられており、フレーム体31に対して回転可能に保持されている。
台座32の内部には、第3透明板43を回転する駆動装置50が配置されている。駆動装置50は、モータ51と、モータ51の出力軸に連結された減速機構52と、モータ51及び減速機構52を支持する支持体53にて構成されている。第3透明板43には、減速機構52と噛合するギア部43aが設けられており、駆動装置50は、モータ51の動力によって第3透明板43を1時間に1回転の速度で回転する。
指針駆動機構100は、後述する円筒体300が第2透明板に支持されるとともに、分針軸220の基端部が第3透明板43の回転中心に結合されており、第3透明板43の回転に伴って時針21及び分針22をそれぞれ所定の速度で駆動する構成となっている。第3透明板43は、いわゆる分針車に相当する。時針21及び分針22は、第1透明板41と第2透明板42との間において駆動する。
フレーム体31の内側は、手前側からは奥側、奥側からは手前側が透けて見える構成となっている。指針駆動機構100には歯車等が連結されていないことが一目で解る。つまり、時計1を見る者にとっては、なぜ指針21,22が動くのかと興味をそそる不思議なものとなっている。
次に、本例の指針駆動機構100について説明する。指針駆動機構100は、その先端部に時針21を装着する時針軸210と、その先端部に分針22を装着する分針軸220とを備えている。前記時針軸(210)前記分針軸(220)に貫通されており、分針軸220の回転を減速して時針軸210に伝達する構成となっている。
この指針駆動機構100は、一方の底面から時針軸210の先端部及び分針軸220の先端部を突出するとともに、他方の底面から分針軸220の基端部を突出する円筒体300を備えたものである。また、円筒体300の内部には、遊星歯車からなる輪列構造が収納されている。
具体的には、分針軸220に設けられた太陽歯車410と、太陽歯車410及び円筒体300に設けられた内歯420と噛合する遊星歯車430と、円筒体300の内部において分針軸220を中心に回転可能に設けられ且つ遊星歯車430を枢支するプレート体440と、プレート体440に設けられ且つ分針軸220を貫通する円筒ボス部441と、円筒ボス部441に設けられて分針軸220を中心に遊星歯車430の公転周期と同じ周期で回転する公転伝達歯車450と、円筒体300に枢支され且つ公転伝達歯車450と噛合する従動歯車460と、時針軸210に設けられ且つ従動歯車460のカナ461と噛合する時針車470とを備えている。図例したものは、一対のプレート体440の間に2つの遊星歯車430を枢支してなるものである。円筒ボス部441は、一対のプレート体440の一方に設けられている。
円筒体300は、その円筒側面が時針車470、従動歯車460、公転伝達歯車450、及び円筒ボス部441を囲む第1円筒部材310と、その円筒側面がプレート体440、遊星歯車430、及び太陽歯車410を囲むとともにその内面に内歯420が設けられた第2円筒部材320とを組付けてなるものである。
第1円筒部材310及び第2円筒部材320は、それぞれ一方の底面が開口された円筒形状の部材であり、その開口底面が位置する円筒体300の一方の底面には、蓋体301が設けられている。図例では、第1円筒部材310に蓋体301が設けられている。開口底面の位置関係を逆にして第2円筒部材320に蓋体301を設けるようにしてもよい。また、第1円筒部材310及び第2円筒部材320の一方の底面は、円筒体300の内部を区画する区画壁となっている。区画壁には、従動歯車460を枢支する軸部311が設けられている。本例の第1円筒部材310、第2円筒部材320、及び蓋体301は、金属製の部材であり、スポット溶接により組付けられている。ねじ止めにより組付けるようにしてもよい。内歯420は、第2円筒部材320の内面に一体成形されている。或は、これらの部材を樹脂製の部材とすることも可能である。樹脂製では内歯420の強度を確保することが困難となる場合も考えられるが、その場合は、内歯420を構成する金属製の部材を第2円筒部材320に配置するとよい。
次に、指針駆動機構100の減速比について説明する。分針軸220から時針軸210へ回転を伝達する場合の減速比は、12/1である。この減速比を遊星歯車機構のみにて得ようとする場合は、遊星歯車が大型化するなどして、結果的に円筒体300の径が大きくなってしまう。そこで本例では、円筒ボス部441と時針軸210との間に従動歯車460を介するものとし、遊星歯車機構による減速比を6/1、従動歯車460による減速比を2/1としている。
具体的には、太陽歯車410の歯数を12、遊星歯車430の歯数を24、内歯420の歯数を60としている。また、公転伝達歯車450の歯数と従動歯車460の歯数を同じとし(本例では18)、従動歯車460のカナ461の歯数を12、時針車470の歯数を24としている。このような構成によると、安定した円滑な駆動伝達が可能となる。特に、太陽歯車410、遊星歯車430、及び内歯420の歯数関係は、減速比に応じて様々な設計が可能であるところ、本例におけるそれらの歯数は、成形精度や各部材の大きさを十分に考慮してなされたものであり、バランスのとれた極めて優れた関係となっている。
以上説明したように、本例の指針駆動機構は、分針軸の回転を減速して時針軸に伝達する機構として極めて合理的に構成されたものである。これを利用することにより、斬新なデザインの時計を構成することができる。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
例えば、本例の時計1は分針軸220を結合した第3透明板43を回転させるものであるが、或は、分針軸220を中心に第3透明板43を1時間に1回転の周期で公転させ、分針軸220に設けた偏心軸をその第3透明板43に結合するようにしてもよい。その場合、第3透明板43は円形でなくともよい。
本発明の指針駆動機構は、壁掛け時計、置き時計等の各種アナログ時計の指針を駆動する機構として好適に利用することが可能である。
1 時計
21 時針
22 分針
31 フレーム体
32 台座
41 第1透明板
42 第2透明板
43 第3透明板
43a ギア部
44 第4透明板
50 駆動装置
51 モータ
52 減速機構
53 支持体
100 指針駆動機構
210 時針パイプ
220 分針パイプ
300 円筒体
301 蓋体
310 第1円筒部材
311 軸部
320 第2円筒部材
410 太陽歯車
420 内歯
430 遊星歯車
440 プレート体
441 円筒ボス部
450 公転伝達歯車
460 従動歯車
461 カナ
470 時針車

Claims (1)

  1. その先端部に時針を装着する時針軸と、その先端部に分針を装着する分針軸とを備え、前記時針軸前記分針軸に貫通されており、前記分針軸の回転を減速して前記時針軸に伝達する指針駆動機構において、
    一方の底面から前記時針軸の先端部及び前記分針軸の先端部を突出するとともに、他方の底面から前記分針軸の基端部を突出する円筒体と、
    前記分針軸に設けられた太陽歯車と、
    前記太陽歯車及び前記円筒体に設けられた内歯と噛合する遊星歯車と、
    前記円筒体の内部において前記分針軸を中心に回転可能に設けられ且つ前記遊星歯車を枢支するプレート体と、
    前記プレート体に設けられ且つ前記分針軸を貫通する円筒ボス部と、
    前記円筒ボス部に設けられて前記分針軸を中心に前記遊星歯車の公転周期と同じ周期で回転する公転伝達歯車と、
    前記円筒体に枢支され且つ前記公転伝達歯車と噛合する従動歯車と、
    前記時針軸に設けられ且つ前記従動歯車のカナと噛合する時針車とを備え、
    前記円筒体は、その円筒側面が前記時針車、前記従動歯車、前記公転伝達歯車、及び前記円筒ボス部を囲む第1円筒部材と、その円筒側面が前記プレート体、前記遊星歯車、及び前記太陽歯車を囲むとともにその内面に前記内歯が設けられた第2円筒部材とを組付けてなることを特徴とする指針駆動機構。
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