JP5667799B2 - エアフィルタ - Google Patents

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本発明は、乾燥機等の循環空気清浄用、焼却炉の排ガス処理用として使用され、高温域でも使用することが可能な耐熱性を有するエアフィルタに関する。或いは、また、室温又は比較的低温域の半導体、食品、病院等の空気清浄器用としても使用されるエアフィルタに関する。
本出願人は、シリコーン樹脂及び耐熱性の無機系のシール剤を使用することなく、高温域でも使用でき、且つ、作業効率を向上させることを目的として、特許文献1において、ジグザグ状に折り畳まれた濾紙の折り畳み空間に波形のセパレータを介挿したフィルタパックを、濾紙のジグザグ状の端部側に配置した平均繊維径1μm以下の超極微細ガラス繊維からなる密度20〜120kg/mのシート状シール材を介してフィルタ枠に収容することを特徴とするエアフィルタを提案した。
しかしながら、上記エアフィルタを使用する際に、偏流、乱流により、フィルタ最終圧以上の負荷がかかる場合フィルタパックがずれて上下フィルタ枠の折返部と接触してフィルタパックが変形破損しエアリークする問題があった。
特開2005−238215号公報
そこで、使用時にフィルタパックずれのないエアフィルタを提供することをその目的とするものである。
本発明のエアフィルタは、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の通り、ジグザグ状に折り畳まれた濾材と前記濾材の折り畳み空間の間隔を保持するために前記濾材間に介装されたセパレータとで構成された直方体状のフィルタパックの周面の上下2面に、ガラス繊維製のシート状のシール材を介挿して、前記フィルタパックの少なくとも上下面を断面コ字状で開放端を内方に曲折した折曲部を備えたフィルタ枠により囲むことにより構成されたエアフィルタであって、前記フィルタ枠の少なくとも1組の対向する辺において、前記折曲部と前記フィルタパックとの間にストッパを設け、前記ストッパは、前記フィルタ枠とは別体の板材に設けられ、前記板材には、パンチング孔を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載のエアフィルタは、請求項1に記載のエアフィルタにおいて、前記フィルタ枠の折曲部と、前記ストッパとが離間していることを特徴とする。
請求項3に記載のエアフィルタは、請求項1又は2に記載のエアフィルタに記載のエアフィルタにおいて、前記ストッパの高さは、前記フィルタ枠の下流側端面の高さよりも低いことを特徴とする。
請求項4記載のエアフィルタは、請求項1乃至3の何れか1項に記載のエアフィルタにおいて、前記ストッパは、前記フィルタ枠の内周面に設けられていることを特徴とする。
請求項5記載のエアフィルタは、請求項1に記載のエアフィルタにおいて、前記板材は、前記シート状のシール材に包まれていることを特徴とする。
請求項6記載のエアフィルタは、請求項1乃至5の何れか1項に記載のエアフィルタにおいて、前記フィルタパックには、前記濾材の折り畳み空間を保持するためにセパレータが介挿されていることを特徴とする。
請求項7記載のエアフィルタは、請求項1乃至6の何れか1項に記載のエアフィルタにおいて、前記シート状のシール材は、平均繊維径1μm以下のガラス繊維を、密度が20〜120kg/mとなるように構成されたことを特徴とする。
このように本発明のエアフィルタによれば、使用時にフィルタパックがずれて上下フィルタ枠折返部と接触してフィルタパックが変形破損し、その結果エアリークを起こすという問題を解決することができる。
更に、また、シール材としてシリコーン樹脂シール剤を使用しないため、シロキサンガスの発生という問題がない。更に、高温域でも問題なく使用できる。
また、前記シール材として超極微細ガラス繊維製のシール材をシート状に形成したものを用いた場合、シール作業性に優れる。また、ガラス原綿製のシール材と比べてシートの密度が高く、シート全面に亘って均一なシール性を確保できる。更に、超極微細ガラス繊維製のシート状シール材により、フィルタ枠が雰囲気温度により膨張収縮してフィルタパックが変形することを防ぐことができるため、フィルタパックとフィルタ枠との間のバイパスリークを良好に防止することができる。
また、シートを構成するガラス繊維が超極微細なため、フィルタパックと接する比表面積が大きくなりシール性が向上する。
また、超極微細ガラス繊維製のシート状シール材を、フィルタ枠に当接させるようにすれば、運搬時等にエアフィルタ自体が受ける衝撃を吸収して、フィルタパックを衝撃から保護し良好な状態を保持することができる。更に、使用中に高熱を受けてセパレータが上下方向に伸びても、その伸びを吸収することになるので、同様にフィルタパックが損傷を受けることを防ぐことができる。
本発明の一実施の形態のエアフィルタの説明図((a)正面図、(b)同A−A断面図) 同実施の形態のA−A断面拡大図 同実施の形態に使用される板材の説明図 本発明の他の実施の形態のエアフィルタの断面拡大図 本発明の一実施の形態のシール層の説明図 本実施例におけるヒートサイクル負荷試験の結果を示すグラフ
次に、本発明のエアフィルタについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明のエアフィルタの正面図(a)及びそのA−A断面図(b)を示すものである。
図中1で示されるものは、フィルタ枠を示し、フィルタ枠1は、上下流側にフランジ1aを備えた断面形状がコ字状の枠板から構成される。尚、フランジ1aの先端部(断面コ字状の開放端)は、図2に拡大図を示すように、フィルタパック2側に向かって折り返されて折返部1bが形成される。符号2は、フィルタ枠1内に気密に収容したフィルタパックを示すものである。フィルタパック2は、有機系バインダにより無機質繊維同士を結合した無機質繊維製濾紙2aと、これをジグザグ状に折り畳で前記濾紙2aに形成される折り畳み空間に介挿される波形のセパレータ2b、2b・・・とから構成される。
そして、フィルタパック2とその外周のフィルタ枠1との間をシールするために、少なくとも、フィルタパック2のジグザグ状の端部側に、シール層4を設けてフィルタ枠1に収納するようにしている。
フィルタ枠1の底部には、図2に図1(b)の拡大図を示すように、アルミニウム合金、アルミニウム又はステンレス製の板材5を配置して、板材5の下流側にフィルタパック2の下流側への移動を防ぐためのストッパ5aを設けるようにしている。このストッパ5aは、フィルタパック2の移動を防ぐことができればその形状について制限するものではないが、フィルタ枠1のフランジ1aと平行となるように板状体(ストッパ5aとなる。)を溶接、接着乃至は上記板材5を折り曲げる等して形成することができる。
ストッパ5aは、フィルタ枠1の少なくとも1組の対向する辺に設けるようにする。これにより、少なくとも、フィルタパック2を挟むようにしてフィルタパック2の下流側への移動を防ぐことが可能となる。
前記ストッパ5aは、フィルタ枠1の下流側の内壁面1D(フィルタ枠1の下流側端面)と接触するようにして設けることもできるが、好ましくは、内壁面1Dからフィルタパック2側に所定の間隙を存して設けることが好ましい。フィルタパック2の僅かな移動に対する遊びとなるので、フィルタパック2がストッパ5aに接触する際の衝撃を和らげることができるからである。
更に、フィルタ枠1の折曲部1bと、ストッパ5aとが2mm以上離間していることが好ましい。フィルタパック2が圧力で下流側へずれたとしても、ストッパ5aで止まり折曲部1bと接触してフィルタパック2が破損することを確実に防止できるからである。
また、ストッパ5aの高さは、フィルタ枠1の下流側のフランジ1aの高さよりも低くすることが好ましい。ストッパ5aがフランジ1aよりも高くなると、ストッパ5aがシール層4から突出して外観が悪くなり、極端な場合はフィルタパック2の通風面積を減少させるからである。
図2で示す板材5の詳細な形状について図3を参照して説明する。板材5には、行列方向に所定の間隔でパンチング孔5bを設けられている。この際に形成されるバリ5cにより、フィルタパック2の移動を更に防ぐことができる。
板材5の下流側端部の一部を折り曲げてストッパ5aとして、その残りの部分(突設片)5dで内壁面1Dとストッパ5aを離間することでストッパ5aにかかる荷重をフィルタ枠1のフランジ1aで支えることができるようにしている。
図2及び図3に示した例では、板材5にストッパ5aを設けた構成について説明したが、図4に示すように、フィルタ枠1の内周面に直接ストッパ5aを設けるようにしても良い。図2で示した例では、フィルタ枠1はコ字状部材一つとしたが、外向きに折り曲げたコ字状部材と内向きにコ字状に折り曲げたステーを溶接した複合構造のものでも良い。
本発明で使用するフィルタパックは濾材から直方体形状に形成されたものを使用することができる。濾材としては、例えば、極細ガラス繊維を有機バインダで結合した抄造法によるガラス繊維紙等のHEPAやULPA用などの濾材を使用することができる。これをジグザグ状に折り畳み、この濾材間の間隔を保持するために、アルミニウム、ステンレス金属箔等により構成されたセパレータを介挿する等してフィルタパックとすることができる。
超極細ガラス繊維製のシート状シール材4としては、厚さ0.5〜1mm、目付20〜30g/m、密度20〜120kg/mの無機質繊維で構成したものを使用することができ、例えば、平均繊維径1μm以下の超極細ガラス繊維をバインダを用いることなく、紡糸・集綿したシート状に成形したものを使用できる。尚、このシート状シール材4は複数枚積層して80〜120g/mの目付として使用できる。前記超極細ガラス繊維製のシート状シール材4の密度が120kg/m超えると、フィルタ枠1やセパレータ2b等に使用される金属の伸びの吸収性が悪くなり、しかも、フィルタパック2の単位面積当たりの荷重が大きくなり、フィルタパック2を変形させるという問題があり、密度が20kg/m未満であると、フィルタパック2を押さえる力が小さいためにリークを生じるという問題がある。また、平均繊維径が1μmを超えると、フィルタパック2のジグザグ状の端部の凹凸にうまくなじまないでシール性が不十分となる。
尚、シート状シール材4は、図2や図4では点線で囲われたシール層4として表しているが、フィルタパック2とフィルタ枠1との間に介挿されるものであれば、シート状シール材4を設ける方法については特に制限するものではない。
例えば、図2で説明した板材5をシールする場合には、図5に示すように板材5をシート状シール材4で包むようにすることが好ましい。板材5とフィルタ枠1の底面の間、板材5とフィルタパック2の間を確実にシールできるからである。尚、図示された例では、板材5を2枚のシート状シール材4を重ねて使用している。それぞれのシール材4の端部同士は折り重ねるようにして板材5の表面が突出しないようにしている。
また、前記フィルタ枠1としては、特に制限するものではないが、アルミニウム、ステンレス、鋼板の金属を使用することが好ましい。
次に、本発明の具体的実施例につき、比較例との比較の下に説明する。
実施例1,2としてストッパを備えたエアフィルタを作製し、比較例1はストッパを備えないエアフィルタを作製して比較を行った。
尚、実施例1及び比較例1で使用するアルミニウム製の板材5(141mm×568mm×0.8mm、0.6kg)は、フィルタパック2側にバリ5cの高さ1mm程度に突出させるために、直径6〜8mmの孔5bを7行2列(行方向ピッチ30mm、列方向ピッチ50mm)設けたものを使用し、以下に説明する加工を行った後、フィルタ枠1内に設置した。
(実施例1)
図2に示すように、板材5のエアフィルタの下流側を部分的に垂直に曲折して、高さ7mmのストッパ5aを形成した。また、フィルタ枠1の下流側の内面に当接して位置決めを行うために、ストッパ5aの位置から7.2mm下流側に延在する略半球状の突設片5dを、板材5の長手方向に所定の間隔をおいて3個設けた。詳細には、両端の2個の突設片5dは、突設片5dの中心線から板材の端までの距離をそれぞれ34mmとし、各突設片5dの中心線間の距離を250mmとした。
次に、平均繊維径1700レールス(直径0.6μm)のガラス繊維を目付28g/m、密度56kg/mで、厚さ2mmのシート状に形成してシート状シール材4とした。このシート状シール材4を2枚使用して、図5に示すように、板材5の表裏に亘り2重に巻き付け、結果、目付112g/mのシート状シール材4とした。
次に、ガラス繊維製の濾材2aをジグザグ状に折り畳み、折り畳み空間の間隔を保持するために、波形状アルミニウム合金製のセパレータ2bを、その稜線が通風方向と平行となるようにして折り畳まれた濾材2a間に介挿して直方体形状(580mm×580mm×125mm)のフィルタパック2とした。フィルタパック2の上下端面(ジグザグ状に濾材端面が表れる面)に、シート状シール材4が巻回された板材5を載置して、フィルタパック2を断面形状がコ字状のフィルタ枠1(SUS430製、板厚1mm)により囲みエアフィルタ(610mm×610mm×150mm)とした。尚、フランジ1a高さ14mmのフィルタ枠1の内側の開放端は、内方に90°の角度で長さ4mm曲折された折曲部1bを備えている。また、本エアフィルタに使用したシート状シール材4の総重量は40gとした。
(実施例2)
実施例1の板材5において、パンチング孔5bを設けないようにした点以外は、実施例1と同様にしてエアフィルタを構成した。
(比較例1)
実施例1の板材5からストッパ5aを取り除いた点以外は、実施例1と同様にしてエアフィルタを構成した。
次に、試験ダクト(圧力変形抵抗性試験装置(JIS Z 4812の試験用))内に、各例のエアフィルタを設置し、送風機(日本機械技術社PTB−30 No.6記載、風量:330CMM、回転数:2100rpm、静圧:650mmAq、電動機:45kW)から送風を行い、1200Pa、250℃の条件で5時間ヒートサイクル負荷試験を行った。尚、昇温条件は、0〜1時間45分までは250℃に線形に昇温し、250℃到達後5時間維持し、その後、自然放置で常温まで冷却するものとした。
ヒートサイクル負荷試験終了後、フィルタ枠1の下流側端面からフィルタパック2の波形状のセパレータ2bの下流側端面までの距離を金尺により測定した。測定は、エアフィルタの上下それぞれの端部で、140mmの間隔で3点ずつの計6点で測定したものを平均して得られた値を、フィルタ枠1とフィルタパック2間の距離とした。
エアフィルタの通風面の上流側に平板(100mm×100mm)をプッシュケージにより押圧して、フィルタパック2がストッパ5aを乗り越えて、フィルタ枠1の下流側の折曲部1bに接触するまでに必要な加圧力を、エアフィルタの上下それぞれの端部で、140mmの間隔で3点ずつの計6点で測定したものを平均して得られた値を、フィルタ枠1に接触するのに必要な圧力とした。
ヒートサイクル負荷試験5回行い、フィルタ枠1とフィルタパック2間の距離の測定結果を図6に示す。
実施例1は約4mm、実施例2は約3mmであり、フィルタ枠1とフィルタパック2との間隔はヒートサイクル負荷試験後でも問題のない範囲で維持されることがわかった。比較例1は、ヒートサイクル負荷試験を1回行った後で、フィルタパック2とフィルタ枠1とが接触した。
実施例1は8,036N/mもの大きな圧力ではじめてフィルタパック2がフィルタ枠1に接触し、実施例2は4,181N/mでフィルタパック2がフィルタ枠1に接触した。この結果から、実施例1及び実施例2のフィルタパック2は、ずれにくいことがわかった。
これに対して、比較例1は2,500N/mでフィルタパック2がフィルタ枠1に接触し、理論的に1200Paに耐える力2,760N/m(=1200N/m×フィルタ流入面積(0.58m×0.58m)m/フィルタパック2の上下端部のシール面積(2×0.58m×0.125m)m未満であるため、実施例1,2に比べると小さい力でフィルタ枠の折曲部にフィルタパックが接触することがわかった。
以上の結果から、フィルタパック2の移動距離に関しては実施例1及び2に対して比較例1は劣り、フィルタパック2がフィルタ枠1に接触するまでの圧力に関しては、実施例1が実施例2に対してほぼ2倍という結果となり、比較例1は実施例2のほぼ半分であるという結果となった。
1 フィルタ枠
1a フランジ
1b 折曲部
2 フィルタパック
2a 濾紙
2b セパレータ
4 超極細ガラス繊維製のシート状シール材又はシール層
5 板材
5a ストッパ
5b パンチング孔
5c バリ

Claims (7)

  1. ジグザグ状に折り畳まれた濾材と前記濾材の折り畳み空間の間隔を保持するために前記濾材間に介装されたセパレータとで構成された直方体状のフィルタパックの周面の上下2面に、ガラス繊維製のシート状のシール材を介挿して、前記フィルタパックの少なくとも上下面を断面コ字状で開放端を内方に曲折した折曲部を備えたフィルタ枠により囲むことにより構成されたエアフィルタであって、前記フィルタ枠の少なくとも1組の対向する辺において、前記折曲部と前記フィルタパックとの間にストッパを設け
    前記ストッパは、前記フィルタ枠とは別体の板材に設けられ、前記板材には、パンチング孔を設けたことを特徴とするエアフィルタ。
  2. 前記フィルタ枠の折曲部と、前記ストッパとが離間していることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ。
  3. 前記ストッパの高さは、前記フィルタ枠の下流側端面の高さよりも低いことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアフィルタ。
  4. 前記ストッパは、前記フィルタ枠の内周面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のエアフィルタ。
  5. 前記板材は、前記シート状のシール材に包まれていることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ。
  6. 前記フィルタパックには、前記濾材の折り畳み空間を保持するためにセパレータが介挿されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のエアフィルタ。
  7. 前記シート状のシール材は、平均繊維径1μm以下のガラス繊維を、密度が20〜120kg/mとなるように構成されたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のエアフィルタ。
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