JP4283705B2 - 高温用エアフィルタ - Google Patents
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Description
前記接着剤層は、耐熱性が要求されるために、シリコーン樹脂により構成されていた。このシリコーン樹脂製接着剤は、使用時にシロキサンガスを発生する。前記シロキサンガスは、親水性を撥水性に変える性質があり、また、粒子化することで、フィルタの下流側にある物質に悪影響を与えるおそれがあった。
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術に対して、単に特許文献2の接着剤を適用しようとしても、次のような問題があった。
即ち、
(1)ガラス綿は低密度であるため、フィルタ枠とフィルタパックとの間で、気密性に関してムラが生じやすいという問題点があった。
(2)前記気密性を向上させようとして、ガラス綿を耐熱性通気性素材により被覆する方法を採用したのでは、ガラス綿の被覆工程が増えてしまう。
(3)また、無機系接着剤は硬化状態になると脆く衝撃等によりクラックが発生し、フィルタの濾過効率を低下させるという問題点があった。
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の高温用エアフィルタにおいて、前記無機質繊維製の高密度シート状シール材は、濾紙であることを特徴とする。
また、無機質繊維製の低密度シート状クッション材がフィルタ枠に当接することになるので、運搬等において受ける衝撃を吸収する。その結果、無機系接着剤層を衝撃から保護し、良好な接着状態を保持することができる。更に、熱を受けた金属製セパレータが、フィルタパックのジグザグ状の両端面方向に伸びたとしても、その伸びを前記クッション材が吸収し、エアフィルタ本体やその無機系接着剤層の損傷を防止することができる。また、更に、無機質繊維製の低密度シート状クッション材は、濾紙に比べて低密度で伸びが大きいため、金属製のフィルタ枠が雰囲気温度により膨張収縮しても追随してシール性が悪化するということがない。
また、無機質繊維製の低密度クッション材をシート状に形成したので、シール作業性を向上させることができる。
また、無機系接着剤と低密度シート状クッション材との間に設けられる高密度シート状シール材は、ガラス綿に比べて密度が高いのでフィルタパックのジグザグ上の端面全体を均一にシールすることができる。また、高密度シート状シール材は、伸びが小さいので、雰囲気温度により、低密度シート状クッション材が金属製フィルタ枠の膨張収縮に伴って変形したとしても、高密度シート状シール材により、フィルタパックと低密度シート状シール材との間のバイパスリークを有効に防止することができ、シール性の向上を図ることができる。
更に、無機質繊維製の高密度シート状シール材を濾紙により構成すれば、シール材として密度のバラツキが少なく、形状が安定しているため取扱性に優れる。フィルタパックのジグザグ状の端部に対して線接触することになり、気密に封止することができる。
図1は、本発明の高温用エアフィルタの正面図(a)及びそのA−A断面図(b)を示し、図2は、同高温用エアフィルタのシール層の説明図である。
図中1で示されるものは、フィルタ枠を示し、フィルタ枠1は、断面コ字状の4枚の枠板から構成される。2は、フィルタ枠1内に気密に収容したフィルタパックを示すものである。フィルタパック2は、有機系バインダにより無機質繊維同士を結合した無機質繊維製濾紙2aをジグザグ状に折り畳み、前記濾紙の折り畳み空間に介挿される波形のセパレータ2b,2b・・・とから構成される。
そして、本発明では、フィルタパック2とその外周のフィルタ枠1との間をシールするために、少なくとも、フィルタパック2のジグザグ状の端面に、シール層4を設けてフィルタ枠1に収納するようにした。このシール層4は、図2に示すように無機系接着剤層5、高密度シート状シール材層6及び低密度シート状クッション材層7を積層して構成される。
また、セパレータ2bとしては、アルミニウム、ステンレス等の金属箔を用いることができる。
また、無機系接着剤5としては、シリコーン樹脂よりも耐熱性のある酸化珪素、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機質系ペースト状物を使用できる。
また、高密度シート状シール材6としては、厚さ0.33〜0.43mm、目付65〜75g/m2、密度150〜230g/m3の無機質繊維で構成したものを使用することができ、例えば、極細ガラス繊維を有機バインダで結合した抄造法によるガラス繊維紙等のHEPAやULPA用濾材を使用できる。前記高密度シート状シール材6の密度が150kg/m3未満では、フィルタパック2のジグザグ状の端部との接着性が悪くなるという問題があり、密度230kg/m3を超えると、フィルタパック2のジグザグ状の端部への単位面積当たりの荷重が大きくなり、フィルタパック2を変形させてしまうという問題がある。
また、低密度シート状クッション材7としては、厚さ1〜4mm、目付130〜150g/m2、密度30〜150kg/m3の無機質繊維で構成したものを使用することができ、例えば、平均繊維径1〜2μmのガラス繊維、セラミック繊維等の無機質繊維状物を使用できる。前記低密度シート状クッション材7の密度が150kg/m3を超えると、フィルタ枠1やセパレータ2b等に使用される金属の伸びの吸収性が悪くなる問題があり、密度が30kg/m3未満では、フィルタパック2を押さえる力がなくなりリークする問題がある。
また、フィルタ枠1としては、アルミニウム、ステンレス、鋼板等の金属を使用できる。
本実施例の高温用エアフィルタは、前記図示した高温用エアフィルタにおいて、そのシール層4を下記表1に示した構成のものとした。尚、従来例のエアフィルタは、本実施例の高温用エアフィルタのシール層4に代え、図3に示すように、接着剤層8及び低密度シート状クッション材層9を設けたものである。また、比較例のエアフィルタは、本実施例の高温用エアフィルタのシール層4に代え、図4に示すように、原綿状の耐熱クッション材10を濾紙状シール材11により被覆して接着剤層12を介して設けたものである。尚、従来例及び比較例のエアフィルタのシール層の構成については、下記表1に示す通りである。
また、実施例、従来例及び比較例のいずれにおいても、組立後のフィルタ寸法は、610mm×610mm×290mmの寸法とし、濾紙2a及びセパレータ2bは、同材料となるように条件を揃えた。
そして、実施例、従来例及び比較例の各エアフィルタの組み立てて、その作業性を評価し、組み立てられたエアフィルタを加熱試験して、発ガス性及びエアフィルタのシール性を評価した。その試験結果を表2に示した。
また、発ガス性の評価としては、シロキサンガスの発生のないものを○、あるものを×とした。
また、エアフィルタのシール性としては、加熱試験後の従来例の高温用エアフィルタの捕集効率100として、相対評価により99.97%の濾過効率(粒径0.3μm)を達成するものを○、99.97%の濾過効率(粒径0.3μm)を達成しないものを×とした。
尚、加熱試験は、各エアフィルタの雰囲気温度を、1時間で30〜250℃まで上昇させ、7時間250℃で維持し、4時間で250〜30℃まで下降させるという1サイクル(12時間)を、20サイクル繰り返して行った。
総合評価は、発ガス性、エアフィルタの組立作業性及びフィルタのシール性の全てが○の評価以上の場合は○、いずれか1つでも×の評価がある場合は×として評価した。
比較例のエアフィルタの組立作業性において、低密度の原綿状クッション材を高密度の濾紙状シール材で被覆するための手間がかかり、作業時間が実施例に比べて長くなることがわかった。
1a 枠板
1b リブ
2 フィルタパック
2a 波形濾材
2b セパレータ
4 シール層
5 無機系接着剤層
6 高密度シート状シール材層
7 低密度シート状クッション材層
8 接着剤層
9 低密度シート状クッション材層
Claims (2)
- ジグザグ状に折り畳まれた濾紙の折り畳み空間に波形のセパレータを介挿したフィルタパックを、前記濾紙のジグザグ状の端部側に、無機系接着剤を介して、密度150〜230g/m3の無機質繊維製の高密度シート状シール材と、密度30〜150g/m3の無機質繊維製の低密度シート状クッション材とを順に積層して、フィルタ枠に収納したことを特徴とする高温用エアフィルタ。
- 前記無機質繊維製の高密度シート状シール材は、濾紙であることを特徴とする請求項1に記載の高温用エアフィルタ。
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