JP6346499B2 - 排ガス浄化装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、スピニング加工により発生する力を吸収しきれず、上記ケーシングに座屈や変形が発生し易く、上記スピニング加工によりケーシングの形状を寸法精度よく加工することができないという問題があった。
また、上記スピニング加工によってマットに必要以上の負荷がかかるため、圧入直後の保持力に比べて所定期間経過後では、マットの保持力が低下してしまうスプリングバックという現象が発生する。そのため、スプリングバックを見込んだ過圧縮の必要性が生じてしまうという問題があった。
また、上記圧入によってマットに負荷がかかるため、特許文献1の場合と同様に、スプリングバックが発生し易く、スプリングバックを見込んだ過圧縮の必要性が生じてしまうという問題があった。
まず、排ガス処理体の長手方向に対して垂直な断面において、輪郭が曲線となる部分における曲率半径の最小値を求める。該輪郭が曲線となる部分において、曲率半径が上記曲率半径の最小値の8倍以下である連続する部分が、排ガス処理体のコーナー部である。輪郭が曲線となる部分において、曲率半径の最小値を求めるとは、曲線が複数の曲率半径の曲線から構成されている場合に、その最小値を求めるとの意味であり、単一の曲率半径の曲線から構成されている場合には、その曲線部分がコーナー部となる。
また、本明細書において、排ガス処理体の連結部とは、排ガス処理体の長手方向に対して垂直な断面の輪郭において、上記コーナー部同士を連結する曲線の部分又は直線の部分のことをいい、上記したコーナー部が決まれば、それ以外の部分が連結部となる。排ガス処理体の連結部は、直線のみ又は曲線のみから構成されていてもよく、直線と曲線との両方から構成されていてもよい。
なお、ケーシングの連結部は、上記した接線を引いた際に接線と接触する点P1と点P2の間の部分をいうものとし、その他の部分を連結部というものとする(図1(a)参照)。
[D1/(D1+D2)]×100(%)・・・(1)
本発明の排ガス浄化装置において、上記湾曲度を5〜95%に設定しているので、排ガス処理体とケーシングとの間に挿入されたマットを介して排ガス処理体により適切に圧力をかけることができる。
上記排ガス浄化装置において、マットが巻き付けられた排ガス処理体の周囲に湾曲部を有するケーシング用部材を配置して接合していると、上記湾曲部がマットを常に押している状態を維持できるので、上記スプリングバックが発生しにくく、スプリングバックを見込んだ過圧縮の必要がない。
上記排ガス浄化装置において、上記ケーシングの接合部分の近傍には空隙が形成され、上記空隙の少なくとも一部に上記マットが挿入されていると、排ガスが通過し易い接合部分の近傍で排ガスに漏れが発生しにくい。なお、接合部分は、通常、コーナー部又はその近傍となる。
本発明の排ガス浄化装置において、上記排ガス処理体が上記のような形状であると、排ガス処理体とケーシングとの間に挿入されたマットを介して排ガス処理体に適切に圧力をかけて保持することができる。
本発明の排ガス浄化装置において、上記ケーシングのコーナー部の数は4個であると、排ガス処理体は、略四角柱形状となり、ケーシングの輪郭も略四角形状と安定的な形状となり、マットを介して排ガス処理体を一定の保持力で安定的に保持することができる。
本発明の排ガス浄化装置において、上記した種類の無機繊維を使用することにより、上記無機繊維が使用されたマットは、保持力に優れ、排ガス処理体をしっかりと保持することができる。
本発明の排ガス浄化装置の製造方法において、上記のようにすると、接合部の近傍における排ガスの漏れを確実に防止することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
図1(a)は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図であり、上記排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の長手方向に垂直な断面を示している。また、図1(b)は、図1(a)に示す排ガス浄化装置のA−A線断面図である。
本発明の排ガス浄化装置を構成するケーシング30は、SUS等の金属からなる管状体であり、ケーシング30の長手方向に対して垂直な断面の輪郭は、排ガス処理体20と同数の4個のコーナー部31aと4個の連結部32aとから構成され、それぞれの連結部32aは、図1(a)に示すように、内側に凸となる曲線からなる湾曲部320aを有している。また、図1(b)に示しているように、ケーシング30の排出ガス入口側と排出ガス出口側は、次第に径が小さくなっており、排気管と連結できるように構成されている。
図2に示すように、ケーシングの連結部を構成する湾曲部の両側に存在する2点(P1、P2)が共有する接線Xを引き、上記接線と上記湾曲部の距離が最大となるケーシング上の点Mを求め、点Mと接線Lとの距離をD1、点Mと排ガス処理体の連結部との距離をD2とし、湾曲度(%)を下記の(1)式により求められる値とした際、上記湾曲度は、5〜95%であることが望ましい。
[D1/(D1+D2)]×100(%)・・・(1)
なお、点Mと排ガス処理体の連結部との距離D2は、点Mと上記連結部との最短距離とする。
また、接合部310aでは、図1(a)に示すように、接合用合わせ部に起因する空隙35が形成されており、空隙35の少なくとも一部にマット40が挿入されているのが望ましい。接合部310aの空隙35に、マット40が挿入されることにより、排気ガスが排ガス浄化装置10の内部を流通しているときに、コーナー部31aの近傍で排気ガスが漏れるのを防止することができる。
本発明の排ガス浄化装置の製造方法については、後で詳しく説明する。
上記排ガス処理体20は、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中のPMを捕集する機能を有するもの、又は、上記排ガス中の有害なガス成分を無害なガス成分に転換する機能を有するものであるが、上述した2つの機能を有するものであってもよい。
これらのなかでは、炭化ケイ素又はコージェライト等の多孔質セラミックからなり、長手方向に多数のセルが併設され、排ガスの入口側か出口側のいずれかが目封止されたハニカムフィルタが望ましい。
これらのなかでは、長手方向に多数のセルが併設された多孔質セラミックに触媒を担持した触媒コンバータが望ましい。
図3は、排ガス処理体を排ガス処理体の長手方向に対して垂直な方向に切断して模式的に示す断面図である。
曲線28aが複数の曲率半径の曲線から構成されている場合、まず、曲線28aにおける曲率半径の最小値(r20)minを求める。得られた曲率半径の最小値(r20)minの8倍以下である連続する部分が、排ガス処理体のコーナー部26aであり、それ以外の部分が連結部27aである。
また、株式会社東京精密の3次元座標測定機 RVA800A−X1等を使用し、排ガス処理体の複数点の位置を測定することにより、曲線を特定することができ、この曲線が円弧である場合には、円弧の曲率半径を求めることができる。
さらに、排ガス処理体の曲率半径を所定の値となるように設計している場合には、断面の写真を撮影して、設計時の曲率半径の曲線と一致しているか否かを確認することにより、曲率半径を得ることができる。
また、直線29aがそれぞれ連結部27aである。排ガス処理体20において、4つのコーナー部26aは、それぞれ、連結部27aにより連結されている。
なお、図3に示すよう、排ガス浄化フィルタ20の側面(外周)には、排ガス浄化フィルタ20の側面を補強したり、形状を整えたり、排ガス浄化フィルタ20の断熱性を向上させたりする目的で、外周コート層が設けられていてもよい。
図4は、本発明の排ガス浄化装置を構成するマットの一例を模式的に示す斜視図である。
図4に示すように、マット40は、所定の長手方向の長さ(以下、単に全長ともいう。図4中、矢印Lで示す)、幅(図4中、矢印Wで示す)及び厚み(図4中、矢印Tで示す)を有する無機繊維を含む平面視矩形のマットである。
また、本発明の排ガス浄化装置10では、接合部310aを構成する空隙35(図1参照)にマット40の一部が挿入されていることが好ましい。接合部310aの空隙35に、マット40が挿入されることにより、排気ガスが排ガス浄化装置10の内部を排気ガスが流通しているときに、コーナー部31aの近傍で排気ガスが漏れるのを防止することができる。
無機繊維の種類は、耐熱性や耐風蝕性等、マットに要求される特性等に応じて変更すればよく、各国の環境規制に適合できるような太径繊維や繊維長のものを使用するのが望ましい。
マットが単層構造のマットからなる場合は、マットの厚みTが5〜15mmであることが望ましい。
本発明の排ガス浄化装置の製造方法は、前記長手方向に対して垂直な断面の輪郭が、3〜6個のコーナー部と前記コーナー部同士を連結する連結部とから構成され、前記コーナー部は曲線からなるとともに、前記直線又は曲線からなる排ガス処理体を準備する工程と、
前記排ガス処理体の側面にマットを巻き付けるマット巻付け工程と、
前記連結部と同数のケーシング用部材であって、湾曲部を有するとともに接合用合わせ部を有するものを、前記湾曲部がマットを押し付け、隣り合う前記ケーシング用部材の前記接合用合わせ部が互いに対向するように配置するケーシング用部材配置工程と、
隣り合う前記ケーシング用部材の前記接合用合わせ部を接合してケーシングを作製する接合工程とからなることを特徴とする。
この説明では、図1に示した排ガス処理体20であって、長手方向に対して垂直な断面の輪郭が正方形の角部がR面取りされた形状のものを用いる。
上記マットについては、本発明の排ガス浄化装置の説明で説明した通りであるが、まず、その作製方法について、以下に説明する。
上記マットを作製する場合には、まず、所定の大きさのマット材を準備する。マット材の材料等については、上述したので、ここでは、その説明を省略する。
また、圧縮や減圧環境下の乾燥でも可能であり、乾燥時間を削減することができる。
図5は、上記排ガス浄化装置の製造工程におけるマット巻付け工程を模式的に示した斜視図であり、図6は、本発明の排ガス浄化装置の製造方法におけるケーシング用部材配置工程を模式的に示した断面図である。
その際、対向する接合用合わせ部101の間にマット40の一部を挿入し、マット40が接合用合わせ部101の間に挿入された状態で接合を行う。これにより、製造された排ガス浄化装置10では、排気ガスが排ガス浄化装置10の内部を流通しているときに、作製されたケーシング30のコーナー部31aの近傍で排気ガスが漏れるのを防止することができる。
図7に示すように、この排ガス浄化装置200を構成する排ガス処理体220は、排ガス処理体220の長手方向に対して垂直な断面の輪郭が、3個のコーナー部226aと3個の連結部227aを有する形状である。この場合、排ガス浄化装置200を構成するケーシング230も3個のコーナー部231aと3個の連結部232aを有する形状であり、ケーシング230のそれぞれの連結部232aは、内側に凸となる曲線からなる湾曲部2320aを有し、接合部2310aで接合されている。なお、図7に示す排ガス処理体220の長手方向に対して垂直な断面の輪郭は、正三角形のコーナー部がR面取りされた形状である。また、符号240はマットである。
上記排ガス浄化装置において、マットが巻き付けられた排ガス処理体の周囲に湾曲部を有するケーシング用部材を配置して接合していると、上記湾曲部がマットを常に押している状態を維持できるので、スプリングバックが発生しにくく、上記スプリングバックを見込んだ過圧縮の必要がない。
以下に、本発明の実施形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本発明の実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
アルミナ−シリカ組成を有するアルミナ繊維製の素地マットとして、組成比がAl2O3:SiO2=72:28である素地マットを用意した。この素地マットに対し、ニードルパンチング処理を施すことで、嵩密度が0.20g/cm3、目付量が1591g/m2のニードルマットを作製した。
マット材の打ち抜きは、トムソン刃及び油圧プレス機を用いて行った。
打ち抜いたマットの寸法は、長手方向の長さL=545mm、幅W=110mm、厚さT=9.1mm、凹形状及び凸形状の嵌合部の長手方向の長さがD=50mmである。
具体的な排ガス浄化フィルタの長手方向に対して垂直な断面の形状は、1辺が145mmの四角形をコーナー部が半径30mmの円弧によりR面取りされた形状である。
上記形状の排ガス浄化フィルタに上述の特性を有するマットを巻き付けた。
ケーシング用部材の具体的な形状は、コーナー部が半径約34mmの円弧によりR面取りされた形状であり、(1)式中のD1は、0.5mmであり、(1)式で示される湾曲度は、11%であった。また、図1(a)に示されている点Pと排ガス処理体20の連結部27aとの距離は、4.5mmであった。
20、220 排ガス処理体(排ガスフィルタ)
20a 排ガス流入側端面
20b 排ガス流出側端面
21 セル
22 セル隔壁
23 目封止部
24 外周コート層
25 輪郭
26a、226a 排ガス処理体のコーナー部
27a、227a 排ガス処理体の連結部
28a 曲線
29a 直線
30、230 ケーシング
31a、231a ケーシングのコーナー部
32a、232a ケーシングの連結部
35 空隙
40 マット
41、42 端面
41a 凸部
42a 凹部
50 巻付体
100 ケーシング用部材
101 接合用合わせ部
105 押し付け部材
310a、2310a 接合部
320a、2320a 湾曲部
1020a 湾曲部
Claims (11)
- 柱状の排ガス処理体と、
前記排ガス処理体を収容するケーシングと、
前記排ガス処理体と前記ケーシングとの間に挿入された無機繊維からなるマットと
からなる排ガス浄化装置であって、
前記排ガス処理体の長手方向に対して垂直な断面の輪郭は、3〜6個のコーナー部と前記排ガス処理体のコーナー部同士を連結する連結部とから構成され、前記排ガス処理体のコーナー部は曲線からなるとともに、前記排ガス処理体の連結部は直線又は曲線からなり、前記ケーシングの長手方向に対して垂直な断面の輪郭は、前記排ガス処理体と同数のコーナー部と連結部とから構成され、前記それぞれの連結部は、内側に凸となる曲線からなる湾曲部を有し、
前記ケーシングは、前記連結部と同数のケーシング用部材であって、湾曲部を有するものを接合することにより製造されていることを特徴とする排ガス浄化装置。 - 前記ケーシングの連結部を構成する湾曲部の両側に存在する2点(P1、P2)が共有する接線Xを引き、前記接線と前記湾曲部の距離が最大となるケーシング上の点Mを求め、点Mと接線Lとの距離をD1、点Mと排ガス処理体の連結部との距離をD2とし、湾曲度(%)を下記の(1)式により求められる値とした際、前記湾曲度は、5〜95%である請求項1に記載の排ガス浄化装置。
[D1/(D1+D2)]×100(%)・・・(1) - 前記ケーシングの接合部は外側に突出するとともに、前記接合部の近傍には空隙が形成され、前記空隙の少なくとも一部に前記マットが挿入されている請求項1又は2に記載の排ガス浄化装置。
- 前記排ガス処理体の長手方向に対して垂直な断面において、前記排ガス処理体の連結部は直線、又は、前記排ガス処理体の外側に凸となる曲線からなる請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
- 前記ケーシングのコーナー部の数は4個である請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
- 前記排ガス処理体は、前記排ガス処理体のコーナー部と、前記ケーシングのコーナー部とが相対するように前記ケーシング内に収容されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
- 前記無機繊維は、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
- 前記マットには、さらに、ニードルパンチング処理が施されている請求項1〜7のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
- 長手方向に対して垂直な断面の輪郭が、3〜6個のコーナー部と前記コーナー部同士を連結する連結部とから構成され、前記コーナー部は曲線からなるとともに、前記連結部は直線又は曲線からなる排ガス処理体を準備する工程と、
前記排ガス処理体の側面にマットを巻き付けるマット巻付け工程と、
前記連結部と同数のケーシング用部材であって、湾曲部を有するとともに接合用合わせ部を有するものを、前記湾曲部がマットを押し付け、隣り合う前記ケーシング用部材の前記接合用合わせ部が互いに対向するように配置するケーシング用部材配置工程と、
隣り合う前記ケーシング用部材の前記接合用合わせ部を接合してケーシングを作製する接合工程とからなることを特徴とする排ガス浄化装置の製造方法。 - 前記ケーシング用部材配置工程において、対向する前記接合用合わせ部の間にマットの一部を挿入する請求項9に記載の排ガス浄化装置の製造方法。
- 前記排ガス処理体のコーナー部の数は4個であり、前記接合工程において、4個のケーシング用部材を接合してケーシングを作製する請求項9又は10に記載の排ガス浄化装置の製造方法。
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