JP5667233B2 - リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5667233B2
JP5667233B2 JP2013075228A JP2013075228A JP5667233B2 JP 5667233 B2 JP5667233 B2 JP 5667233B2 JP 2013075228 A JP2013075228 A JP 2013075228A JP 2013075228 A JP2013075228 A JP 2013075228A JP 5667233 B2 JP5667233 B2 JP 5667233B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
current collector
active material
electrode active
electrode material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013075228A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014199777A (ja
Inventor
陽介 山口
陽介 山口
敬太郎 古賀
敬太郎 古賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JX Nippon Mining and Metals Corp
Original Assignee
JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JX Nippon Mining and Metals Corp filed Critical JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority to JP2013075228A priority Critical patent/JP5667233B2/ja
Publication of JP2014199777A publication Critical patent/JP2014199777A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5667233B2 publication Critical patent/JP5667233B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/84Recycling of batteries or fuel cells

Description

本発明は、リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法に関する。
リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、比較的高い電圧が得ることができるという特徴を有し、ノートパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話等の小型電子機器用に多用されている。将来、電気自動車や一般家庭の分散配置型電源といった大型機器の電源としての利用も有望視されている。
リチウムイオン電池の電極体は一般に、正極、セパレータ及び負極が幾十にも巻回又は積層されたスタック構造を有している。このうち、正極は典型的にはアルミニウム箔でできた正極集電体とその表面にバインダーを介して接着されたLiCoO2、LiNiO2及びLiMn24といったリチウム複合酸化物を材料とする正極活物質から構成されている。
リサイクルの観点から、使用済みリチウムイオン電池に含まれる正極材やリチウムイオン電池の製造工程で発生する不要な正極材から各種金属を分離回収できるのが望ましいが、正極活物質は集電体と強固に接着されていることから、これを容易に分離回収することのできる技術が必要とされていた。
集電体と正極活物質を分離する技術の一つとして、正極材を湿式処理する方法が知られている特開平10−255862号公報(特許文献1)には、リチウムイオン二次電池の電極を酸性溶液、アルカリ金属の水酸化物溶液、アルカリ金属のアルコール溶液若しくは有機溶媒のうちのいずれかに浸漬し、前記電極を電極材と集電体とに分離する方法が記載されている。特開2005−327482号公報(特許文献2)には、正極基板と正極活物質とからなる正極板を切断し、pH0〜3の硫酸水溶液中で浸漬撹拌することより、正極基板と正活物質を固体のまま分離回収する方法が記載されている。
また、正極材を燃焼処理する方法が知られている。特開平10−8150号公報(特許文献3)では、金属箔塗着廃材をシュレッダー等で適当な大きさ、例えば数mmから数十mm角の大きさに裁断処理した後、酸素含有ガス気流中で300〜600℃で燃焼処理することにより、金属箔塗着廃材の電極材料中に配合されているアセチレンブラックやカーボン等の導電剤とフッ素樹脂、フッ素ゴム等の結着剤とを選択的に分解させて除去する方法が開示されている。
また、特開平10−092417号公報(特許文献4)には正極板を振動ミル、ターボミル、ヘンシェルミキサー、デゾルバー等の高速のシェアや衝撃力による各種破砕機によって、正極板を粉砕することが記載されている(段落0033〜0034)。そして、望ましい具体例としてターボミル及びヘンシェルミキサーが記載されており、これらによって、正極板を粉砕するとともに導電性基板から正極合剤層が剥離されることが記載されている。
そして、破砕機によって得られた粉砕物は、破砕機によって導電性基板の粉砕物と正極合剤層の粉砕物の混合物であるので、この混合物から粒径や比重の差を利用して導電性基板と正極合剤層を振動ふるい装置などで分離することが記載されている(段落0045〜0046)。
特開平10−255862号公報 特開2005−327482号公報 特開平10−8150号公報 特開平10−092417号公報
このように、集電体と正極活物質を分離する技術が知られているが、集電体と正極活物質の分離回収効率に改善の余地が残されている。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、リチウムイオン電池用正極材を正極活物質と集電体に分離回収する方法において、正極活物質と集電体の高い分離回収効率を達成することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、乾式法と湿式法を組み合わせた所定の方法で正極材を正極活物質と集電体に分離することが有効であることを見出した。
上記知見を基礎として完成した本発明は一側面において、
(A)集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する工程と、
(B)前記正極材に観察視野1mm2当たりに複数の凹凸を付与する衝撃力を与える過程を通じて正極材を集電体と正極活物質に分離し、正極材の粉砕物を回収する工程と、
(C)回収した粉砕物を、誘電率が25〜50である非プロトン性極性溶媒と接触させ、バインダー成分を溶解することにより、正極材を集電体と正極活物質に更に分離する工程と、
を含むリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法である。
本発明に係る方法の一実施形態においては、工程(B)が衝撃式ミルにより行われる。
本発明に係る方法の別の一実施形態においては、衝撃式ミルがハンマーミルである。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、工程(A)で準備したリチウムイオン電池用正極材を裁断する工程(A’)を工程(B)の前に実施する。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、
(D)工程(C)で得られた懸濁液を篩い分けすることにより篩上に集電体を回収する工程と、
(E)当該篩い分け後の篩下を固液分離することにより正極活物質を固体側に回収する工程と、
を更に含む。
本発明によれば、リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を高効率で分離回収することができる。
本発明の第一の実施形態に係る処理フローの例を示す。 凹凸を与えられながら粒状に粉砕された正極材のサンプル写真である。 凹凸を与えられながら粒状に粉砕された正極材のサンプルの拡大写真である。 凹凸が十分に与えられずに平板形状で粉砕された正極材のサンプル写真である。 凹凸が十分に与えられずに平板形状で粉砕された正極材のサンプルの拡大写真である。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の一実施形態について説明する。本実施形態に従った処理フローの例を図1に示す。本実施形態は以下の工程を含む。
(A)集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する工程
(B)前記正極材に観察視野1mm2当たりに複数の凹凸を付与する衝撃力を与える過程を通じて正極材を集電体と正極活物質に分離し、正極材の粉砕物を回収する工程
(C)回収した粉砕物を、誘電率が25〜50である非プロトン性極性溶媒と接触させ、バインダー成分を溶解することにより、正極材を集電体と正極活物質に更に分離する工程
<工程(A)>
工程(A)では集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する。限定的ではないが、一般的な正極材では、正極活物質、バインダー並びに必要に応じて導電剤及び電解質等を含む電極材料を溶媒に分散して正極活物質スラリーを調製し、この正極活物質スラリーを集電体上に塗布して乾燥させた後にプレスすることにより、集電体の片面又は両面に正極活物質が接着されている。本発明に係る方法はとりわけ、使用済みのリチウムイオン電池から回収した正極材、製造過程等で発生した規格外(オフスペック)の正極材、品質管理上の抜取検査処理用の正極材、及び製造過程で発生した端材等を特に処理対象とすることができる。
集電体としては、限定的ではないが、アルミニウム、銅、ニッケル、銀、金、クロム、鉄、スズ、鉛、タングステン、モリブデン、亜鉛又はこれらを含む合金等の金属が使用されるのが通常であり、アルミニウムが多用されている。集電体は金属箔の形態で提供されるのが一般的である。本発明に係る方法は集電体としてアルミニウム又はアルミニウム合金を使用した正極材に特に好適に使用可能である。
正極活物質としてはリチウムイオン電池用の正極活物質として公知のものであれば特に制限はないが、一般的にはリチウムの他、コバルト、ニッケル、マンガン、チタン、バナジウム、鉄及び銅の何れか1種又は2種以上を含有する複合酸化物又は塩の形態として提供される。
バインダーとしては一般に樹脂が使用されており、限定的ではないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びユリア樹脂等が挙げられる。典型的にはPVDFが使用される。
<工程(B)>
工程(B)では、前記正極材に観察視野1mm2当たりに複数の凹凸を付与する衝撃力を与える過程を通じて正極材を集電体と正極活物質に分離し、正極材の粉砕物を回収する。これにより、集電体と正極活物質を高効率で分離することが可能になる。
理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、観察視野1mm2当たりに複数の凹凸を与えることで正極活物質の分離効率が上昇する理由について以下に考察する。正極材を構成する集電体は一般に金属箔であり、その表面にバインダーを介して活物質が接着されている。そのため、物理的な力によって活物質を剥離する場合、集電体に剪断力を与えて粉砕するだけでは切断箇所近傍の活物質しか十分に剥離することができない。しかしながら、集電体に数多くの凹凸(皺)を与えて集電体上の活物質に亀裂を生じさせ、それに対して衝撃力を加え続けることで亀裂が伝播して活物質が集電体から剥離しやすくなると考えられる。そして、集電体は後に篩分けによって正極活物質と分離される必要があるので、できるだけ大きな状態で保持されていることが好ましいところ、微細な凹凸を与えるような外力の場合、集電体が小さくなり過ぎないので好都合である。従って、衝撃力によって正極活物質を破壊し、集電体の大きさを大きくは変えることなく、正極活物質を集電体から脱落させる方法の方が、一般的な方法である剪断によって集電体と一緒に正極活物質を微細化する過程で正極活物質を集電体から脱落させる方法よりも、有利である。
凹凸を与えられながら粒状に粉砕された正極材のサンプル写真を図2及び図3(拡大図)に示す。また、図4及び図5(拡大図)には板状に粉砕された正極材のサンプル写真を示す。図5は、ほとんどが黒色であるが、これは微細な凹凸が付与されなかったために正極材が剥離せずにほとんど残留しているためである。
粉砕時に、正極材に微細な凹凸を与えるためには、粉砕対象物に線接触して剪断力を与える粉砕機ではなく、粉砕対象物に面接触して衝撃力を与えるような粉砕機を使用することが望ましい。そのような粉砕機としては、例えば、原料の投入が回分式又は連続式の装置であり、投入した材料が粉砕を受ける空間に、材料と面接触する回転式の破砕歯を1本又は複数本有する構造を持ち、この回転式の破砕歯により、1秒間に複数回衝撃を与えることができる装置が好適である。そのような装置としては、サンプルミル、ハンマーミル、ピンミル、ウィングミル、トルネードミル等の衝撃式ミルが好ましく、ハンマーミルがより好ましい。
また、粉砕機が指定した大きさよりも小さくなるまで粉砕物が機内に滞留する構造を有することにより、粉砕機から排出される粉砕物の大きさを調整することができる。そのような構造としては例えば粉砕機の出口に設置されたスクリーンが挙げられる。スクリーンを粉砕機の出口に設置することにより、粉砕物がスクリーンを通過できる程度の大きさにまで粉砕されると迅速に粉砕機よりスクリーンを通じて排出されることになる。そのため、粉砕された正極材の大きさの分布が均一化されるので、品質安定性が高まる。
粉砕された集電体の平均サイズは、大きすぎると正極活物質の剥離が十分ではない状態となりやすいので、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましい。ただし、粉砕された集電体の平均サイズは、小さくなりすぎて正極活物質との分離効率が低下するため、0.5mm以上とすることが好ましく、1mm以上とするのがより好ましく、典型的には1〜10mmとすることができる。
集電体のサイズは、集電体を平面上に自立可能であってその高さが最小になる向きに置いたときに、平面上で当該集電体を取り囲むことの出来る最小円の直径として定義し、その任意の100個以上の平均値を集電体の平均サイズとする。
1回当たりの投入重量は、少ないと処理量が少なくなり、多すぎると正極材がミル装置の内部で押し固められ微粉砕しにくくなるため、ミルの空間容量に対する正極材の投入量を125〜375kg/m3として正極材をミル内に投入するのが好ましく、150〜250kg/m3として正極材をミル内に投入するのがより好ましい。ここで、ミルの空間容量とは、投入した材料が粉砕を受ける空間の容量を指す。
破砕歯の回転数は、例えば、3000rpm以上、好ましくは5000rpm以上の回転数とすることができ、30〜80m/s、好ましくは60〜70m/sの周速とすることができ、5〜60秒、好ましくは15〜30秒の滞留時間とすることができる。
正極材に衝撃力を与える際の留意事項としては、以下が挙げられる。1秒あたりに正極材に接触・衝突する回数を多くすることで、衝撃力を与える回数が多くなり、与える力の方向が1次元的ではなく、3次元方向であることで、正極材に微小で多数の凹凸が顕微鏡写真により確認でき、集電体からの正極活物質の剥離性がよくなる。例えば、回転式の歯の場合は回転数を上げることで、その条件を満たすことができる。
一実施形態においては、工程(B)によって得られた正極材(実質的には正極活物質が剥離された集電体)は、観察視野1mm2当たりに複数の凹凸が存在し、好ましくは平均で10個以上、典型的には平均で15〜30個の凹凸が存在する。当該凹凸の数は光学顕微鏡により目視により測定する。
本発明によれば、工程(B)の後、集電体から剥離せずに付着している正極活物質の比率を10%以下とすることができ、好ましくは5%以下とすることができ、より好ましくは3%以下とすることができる。
<工程(C)>
工程(C)では、回収した正極材の粉砕物を、誘電率が25〜50である非プロトン性極性溶媒と接触させ、バインダー成分を溶解することにより、正極材を集電体と正極活物質に更に分離する。正極から正極活物質及び集電体を分離する工程を工程(B)及び工程(C)の二段階で実施することで、分離効率が一段と向上する。
工程(B)だけでも大部分の正極活物質を正極から剥離することは可能であり、また、工程(B)では比較的短時間で処理可能であるというメリットがあるものの、正極活物質が剥離しきれない部分も残りやすい。一方、工程(C)は高い分離効率が得られるものの、有機溶媒の使用量が多くなることに加えて、長時間を要するという欠点がある。そこで、工程(B)において大部分の正極活物質を剥離しつつ、工程(C)によって分離工程の仕上げを行うことで、工程(B)及び工程(C)の互いの欠点を補うことが可能となる。
非プロトン性極性溶媒を使用することによってバインダーが優先的に溶解するので、溶媒中に集電体や正極活物質の成分が溶解するのを抑制しながら、それまでの工程で分離されずに集電体上に残存している正極活物質を分離することが可能となる。本発明で使用する非プロトン性極性溶媒はPVDF等のバインダー成分を溶解するために、誘電率が25〜50であることが必要であり、32〜38であることが好ましい。各種の溶媒の誘電率は文献から入手することができる、市販の誘電率計(例:ミツワフロンテック社Model 871)で測定することもできる。
非プロトン性極性溶媒としては具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)(誘電率:38)、ジメチルアセトアミド(DMAC)(誘電率:38)、ジメチルスルホキシド(DMSO)(誘電率:47)、及びN−メチル−2ピロリドン(NMP(誘電率:32)よりなる群から選択される1種又は2種以上が好ましい。これらの中でも安全上の取扱やPVDFの溶解度からNMPが推奨される。
非プロトン性極性溶媒は希釈せずにそのまま使用することもできるが、水で50〜100%に希釈するのが引火点などの安全上の理由により好ましく、50〜80%に希釈するのがより好ましい。希釈率(%)は次式:希釈率(%)=(溶媒の体積)÷(水と溶媒の合計体積)×100で計算される。
正極材の粉砕物を非プロトン性極性溶媒と接触させる方法としては、例えば、当該集電体を非プロトン性極性溶媒中に浸漬する方法が挙げられる。この際、攪拌機を使用して撹拌することが好ましい。攪拌することで溶媒がバインダーを溶解しやすくとともに、集電体同士が物理的衝撃を受けることで、分離性が向上する。回転速度は高い方が分離性は高まるが、高すぎても集電体が撹拌により細かく裁断され、正極活物質中に混入する割合が多くなるため、200〜500rpmが好ましく、300〜400rpmがより好ましい。攪拌しながら超音波を付加することもできる。
攪拌時の液温は高い方が集電体から正極活物質を分離しやすいので20℃以上に加温するのが好ましく、50℃以上に加温するのがより好ましい。但し、あまり高温にすると引火などの危険性が生じ、また、蒸発によって溶媒が損失しやすいので、液温は80℃以下とするのが好ましく、60℃以下とするのがより好ましく、例えば40〜60℃の範囲とすることができる。
集電体は溶剤1m3に対して、40〜200kgの量で投入するのが好ましく、80〜120kgの量で投入するのがより好ましい。溶剤に対する集電体の質量が少ないと一回の処理当たりの処理量が少なくなり、多すぎると物理的に撹拌が難しくなるので、この程度の投入量に調整することが便宜である。
集電体と非プロトン性極性溶媒の接触は、集電体から正極活物質が十分に分離するのに必要な時間だけ実施すればよい。接触時間が短すぎると集電体からの正極活物質の分離が不十分となるので、バインダーや溶剤の種類にもよるが、撹拌しながら接触させる場合、1時間以上とするのが好ましく、2時間以上とするのがより好ましく、6時間以上とするのが更により好ましい。ただし、攪拌時間が長くなりすぎると今度は処理量が少なくなるので、12時間以下とするのが好ましく、8時間以下とするのがより好ましい。
本発明に係るリチウムイオン電池からの有価物の回収方法においては、上述した工程に加えて、他の工程を付加することが可能である。例えば、以下に説明するような裁断や、湿式分離後の分別工程を実施することができる。
<工程(A’)>
工程(A’)では、工程(A)で準備したリチウムイオン電池用正極材を裁断する。工程(A’)は実施しなくてもよいが、工程(B)における粉砕機に投入しやすくし、また工程(B)における粉砕時間を短くする観点から実施することが好ましい。裁断時に正極材に与えられる機械的衝撃は、正極活物質と集電体の接着強度を弱める働きもある。裁断の方法には制限はないが、例えば、1軸又は2軸の破砕機にかけることができる。
一実施形態において、破砕機については、出力20〜50kW、典型的には出力30〜40kW、(例:37kW)の一軸せん断式破砕機を使用し、投入速度30〜100kg/min、典型的には投入速度50〜60kg/min(例:50kg/min)で処理を行うことができる。
破砕機に正極材を投入する際の留意事項としては、以下が挙げられる。工程(A’)でいきなり集電体からの正極活物質の剥離まで実施することを意図して細かく裁断し過ぎると、破砕機での滞留時間が長くなり、細かいAl小片が生成し、後の篩別による篩下の正極材中の不純物であるAlの含有割合が多くなってしまうという問題が生じやすい。また、リチウムイオン電池製造工程で発生するスクラップは、ロール状のものや束状に折り重なったもの等が存在し、原料の形態が一様ではなく、大きさも様々である。このように形態や大きさが異なるものが混在する中では、安定して良好な分離回収効率を得るのは困難である。更には、細かく裁断する場合には破砕機側の投入口径の制約も生じる。
従って、この段階では剥離することは考えずにまず比較的大きく裁断することが望ましい。具体的には、正極材を10mm以上の平均サイズに裁断することが好ましく、50mm以上の平均サイズに裁断するのがより好ましく、100mm以上の平均サイズに裁断するのが更により好ましい。但し、裁断後の正極材を大きくし過ぎると裁断による効果が減殺されるので、300mm以下の平均サイズに裁断することが好ましく、200mm以下の平均サイズに裁断することがより好ましい。
ここでいう正極材のサイズは、裁断された正極材を平面上に、自立可能であってその高さが最小になる向きに置いたときに、平面上で当該集電体を取り囲むことの出来る最小円の直径として定義され、その任意の100個以上の平均値を正極材の平均サイズとする。裁断後の正極材の大きさは例えば破砕機の出口にスクリーンを設置し、スクリーンの目開きを調整することで調整可能である。
<工程(D)>
工程(C)の後、集電体は裁断時とほぼ同じ大きさもしくは撹拌により若干小さくなった状態で溶媒中に浮遊しており、正極活物質は粉状となって溶媒中に懸濁している。よって、工程(C)で得られた懸濁液を篩い分けすることにより、集電体を篩上に回収することができる。すなわち、本発明の一実施形態においては、工程(C)で得られた懸濁液を篩い分けすることにより篩上に集電体を回収する工程(D)を行うことができる。工程(D)で使用する篩の目開きは、大きすぎると集電体が篩下に移行しやすくなる一方で、小さすぎると正極活物質が篩上に回収されやすくなる。よって、正極活物質と集電体の分離効率を考慮すると、目開きは0.05〜1mmが好ましく、0.1〜0.5mmがより好ましい。
濾上の集電体の表面には正極活物質が付着している場合があるので、これを集電体を工程(C)で述べたのと同様の溶媒で洗い流し、洗浄後液に対しては篩下と共に以下に述べる工程(E)を実施することが分離回収効率向上の観点で好ましい。
<工程(E)>
工程(D)によって篩下に移行した溶媒及び正極活物質は懸濁液の状態にあるが、固液分離することにより正極活物質を固体側に回収することができる。すなわち、本発明の一実施形態においては、当該篩い分け後の篩下を固液分離することにより正極活物質を固体側に回収する工程(E)を実施することができる。固液分離の方法としては公知の任意の方法を使用すればよく、特に制限はないが、濾過、溶媒蒸発、真空乾燥が挙げられ、安価であるという理由により濾過が好ましい。また、真空乾燥は、溶媒を回収でき、正極材から溶剤を取り除けることからも真空乾燥もよい。濾過は、自然濾過の他、減圧濾過、加圧濾過、及び遠心濾過等により実施しても良い。
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例は例示目的であって発明が限定されることを意図しない。ここでは、金属の分析は王水溶解によるICP発光分光分析装置による測定により行った。集電体としてはアルミニウム箔を、バインダーとしてはPVDF、正極活物質の金属成分としては主にLi、Mn、Co及びNiを使用したリチウムイオン電池用正極材を用意し、これを以下の各試験に使用した。
(例1:参考例)
正極材を、破砕歯の下部にスクリーンの付いた一軸せん断式破砕機にて、12round/min、50kg/minの投入量、出力37kWで裁断し、平均で約100mmのサイズの正極材を得た。
次いで、回収された正極材をハンマーミルに375kg/m3の空間容量に対する投入量で投入し、回転数3000rpm以上、周速60m/s、滞留時間15秒又は5秒の条件で剥離処理を行った。得られた正極材(実質的には正極活物質が剥離された集電体)の任意の10片を、光学顕微鏡で測定したところ、滞留時間が15秒のケースでは、観察視野1mm2当たりに平均で26個の凹凸が存在した(凹凸状態は図2及び図3と同等)のに対し、滞留時間が5秒のケースでは、そのような凹凸が実質的に見出せなかった(凹凸状態は図4及び図5と同等)。そして、図2と図4の比較から明らかなように、凹凸が付与された場合では正極活物質が付着したままの正極材がほとんど観察されないのに対して、凹凸のない場合では正極活物質が付着したままの正極材が大量に観察された(写真中、黒色の部分が正極活物質である。)。
滞留時間が15秒のケースについて、粉砕後の正極材を表1に示すように目開きを変えて振動篩で篩別し、正極活物質を構成する金属(Mn、Co、Ni、Li)の篩下への分配率と、集電体(Al)の篩下への分配率をそれぞれ測定したところ、表1に記載の結果が得られた。
(例1:発明例)
正極材を、破砕歯の下部にスクリーンの付いた一軸せん断式破砕機にて、12round/min、50kg/minの投入量、出力37kWで裁断し、平均で約100mmのサイズの正極材を得た。
次いで、回収された正極材をハンマーミルに375kg/m3の空間容量に対する投入量で投入し、回転数3000rpm以上、周速60m/s、滞留時間15秒の条件で剥離処理を行った。
剥離後の正極材を水で50%に希釈したN−メチル−2ピロリドン(誘電率32)に浸漬し、撹拌機によって300rpmで1時間攪拌し、アルミニウム箔から正極活物質を剥離した。攪拌中液温はヒーターで加温して約50℃に維持した。
攪拌終了後、アルミニウム箔及び正極活物質を含む懸濁液を表2に示すように目開きを変えて篩い分けすることにより篩上にアルミニウム箔を回収した。次いで、篩下(正極活物質の溶媒中の懸濁液)を5Aろ紙を使用して吸引濾過することにより正極活物質を濾上に回収した。結果を表2に示す。

Claims (5)

  1. (A)集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する工程と、
    (B)前記正極材に観察視野1mm2当たりに複数の凹凸を付与する衝撃力を与える過程を通じて正極材を集電体と正極活物質に分離し、正極材の粉砕物を回収する工程と、
    (C)回収した粉砕物を、誘電率が25〜50である非プロトン性極性溶媒と接触させ、バインダー成分を溶解することにより、正極材を集電体と正極活物質に更に分離する工程と、
    を含むリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法。
  2. 工程(B)が衝撃式ミルにより行われる請求項1に記載のリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法。
  3. 衝撃式ミルがハンマーミルである請求項2に記載のリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法。
  4. 工程(A)で準備したリチウムイオン電池用正極材を裁断する工程(A’)を工程(B)の前に実施する請求項1〜3の何れか一項に記載のリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法。
  5. (D)工程(C)で得られた懸濁液を篩い分けすることにより篩上に集電体を回収する工程と、
    (E)当該篩い分け後の篩下を固液分離することにより正極活物質を固体側に回収する工程と、
    を含む請求項1〜4の何れか一項に記載のリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法。
JP2013075228A 2013-03-29 2013-03-29 リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法 Active JP5667233B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013075228A JP5667233B2 (ja) 2013-03-29 2013-03-29 リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013075228A JP5667233B2 (ja) 2013-03-29 2013-03-29 リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014199777A JP2014199777A (ja) 2014-10-23
JP5667233B2 true JP5667233B2 (ja) 2015-02-12

Family

ID=52356553

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013075228A Active JP5667233B2 (ja) 2013-03-29 2013-03-29 リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5667233B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10205200B2 (en) * 2016-07-07 2019-02-12 Grst International Limited Method for recycling lithium-ion battery
KR102223720B1 (ko) * 2017-01-16 2021-03-05 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지에서의 양극 합재 회수방법
CN106953132A (zh) * 2017-02-24 2017-07-14 中南大学 一种回收锂离子电池正极材料和集流体的方法
CN107326181B (zh) * 2017-05-26 2018-11-09 金川集团股份有限公司 废旧锂离子电池剥离浸出一步完成的回收方法
CN108110360A (zh) * 2017-12-16 2018-06-01 淄博国利新电源科技有限公司 废旧锂电池陶瓷隔膜中氧化铝的回收方法
CN108470955A (zh) * 2018-04-27 2018-08-31 多氟多(焦作)新能源科技有限公司 一种锂离子电池正极片的回收利用方法
CN109638372A (zh) * 2018-12-13 2019-04-16 河南晶能电源有限公司 一种废旧极板回收系统及其工作方法
CN115332661A (zh) * 2022-08-08 2022-11-11 广东邦普循环科技有限公司 一种处理废旧锂电池正极片的方法及应用

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3634927B2 (ja) * 1996-09-11 2005-03-30 ソニー株式会社 電極の製造方法
CA2627803C (en) * 2006-02-02 2012-06-19 Kawasaki Plant Systems Kabushiki Kaisha Method and apparatus for recovering valuable substance from lithium secondary battery
JP2010034021A (ja) * 2008-07-03 2010-02-12 Sumitomo Chemical Co Ltd 電池廃材からの酸化物含有電池材料の回収方法
JP5422495B2 (ja) * 2010-02-23 2014-02-19 株式会社日立製作所 金属回収方法及び透析装置
JP2012079630A (ja) * 2010-10-05 2012-04-19 Dowa Eco-System Co Ltd リチウムイオン二次電池からの有価物の回収方法、及び有価物を含有する回収物
JP5247877B2 (ja) * 2011-12-28 2013-07-24 Jx日鉱日石金属株式会社 リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014199777A (ja) 2014-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5667233B2 (ja) リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法
JP5657730B2 (ja) リチウムイオン電池からの有価物の回収方法
JP5269228B1 (ja) リチウムイオン電池用正極材から正極活物質を分離回収する方法
Kim et al. A comprehensive review on the pretreatment process in lithium-ion battery recycling
Zhan et al. Recovery of active cathode materials from lithium-ion batteries using froth flotation
JP5706460B2 (ja) リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法
He et al. Recovery of cathode materials and Al from spent lithium-ion batteries by ultrasonic cleaning
JP7249781B2 (ja) 使用済みLiイオン電池から金属を回収する方法
JP6859598B2 (ja) 使用済みリチウムイオン電池からの有価物回収方法
JP6238070B2 (ja) 使用済みリチウムイオン電池の処理方法
JP6748274B2 (ja) リチウムイオン二次電池からの有価物の回収方法
JP5247877B2 (ja) リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法
US8616475B1 (en) Recovery of lithium ion batteries
JP2017115179A (ja) 有価物の回収方法
JP5667232B2 (ja) リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法
JP5651462B2 (ja) リチウムイオン二次電池からの有価物の回収方法、及び有価物を含有する回収物
Shin et al. Electrochemical performance of recycled cathode active materials using froth flotation-based separation process
JP5141970B2 (ja) リチウム電池からの正極活物質の回収方法と再利用
US11482737B2 (en) Method for recovering valuable material from lithium ion secondary battery
JP5269222B1 (ja) リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法
Traore et al. Characteristics of spent lithium ion batteries and their recycling potential using flotation separation: A review
GB2619190A (en) Method for safe pyrolysis and impurity removal of waste lithium battery and application
JP2003272720A (ja) コバルト酸リチウムの回収方法
JP6798918B2 (ja) リチウムイオン電池スクラップの処理方法
JP2019153561A (ja) リチウムイオン電池廃棄物の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141211

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5667233

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250