JP5667232B2 - リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法に関する。
リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、比較的高い電圧が得ることができるという特徴を有し、ノートパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話等の小型電子機器用に多用されている。将来、電気自動車や一般家庭の分散配置型電源といった大型機器の電源としての利用も有望視されている。
リチウムイオン電池の電極体は一般に、正極、セパレータ及び負極が幾十にも巻回又は積層されたスタック構造を有している。このうち、正極は典型的にはアルミニウム箔でできた正極集電体とその表面にバインダーを介して接着されたLiCoO2、LiNiO2及びLiMn24といったリチウム複合酸化物を材料とする正極活物質から構成されている。
リサイクルの観点から、使用済みリチウムイオン電池に含まれる正極材やリチウムイオン電池の製造工程で発生する不要な正極材から各種金属を分離回収できるのが望ましいが、正極活物質は集電体と強固に接着されていることから、これを容易に分離回収することのできる技術が必要とされていた。
集電体と正極活物質を分離する技術の一つとして、正極材を湿式処理する方法が知られている特開平10−255862号公報(特許文献1)には、リチウムイオン二次電池の電極を酸性溶液、アルカリ金属の水酸化物溶液、アルカリ金属のアルコール溶液若しくは有機溶媒のうちのいずれかに浸漬し、前記電極を電極材と集電体とに分離する方法が記載されている。特開2005−327482号公報(特許文献2)には、正極基板と正極活物質とからなる正極板を切断し、pH0〜3の硫酸水溶液中で浸漬撹拌することより、正極基板と正活物質を固体のまま分離回収する方法が記載されている。
また、正極材を燃焼処理する方法が知られている。特開平10−8150号公報(特許文献3)では、金属箔塗着廃材をシュレッダー等で適当な大きさ、例えば数mmから数十mm角の大きさに裁断処理した後、酸素含有ガス気流中で300〜600℃で燃焼処理することにより、金属箔塗着廃材の電極材料中に配合されているアセチレンブラックやカーボン等の導電剤とフッ素樹脂、フッ素ゴム等の結着剤とを選択的に分解させて除去する方法が開示されている。
また、特開平10−092417号公報(特許文献4)には正極板を振動ミル、ターボミル、ヘンシェルミキサー、デゾルバー等の高速のシェアや衝撃力による各種破砕機によって、正極板を粉砕することが記載されている(段落0033〜0034)。そして、望ましい具体例としてターボミル及びヘンシェルミキサーが記載されており、これらによって、正極板を粉砕するとともに導電性基板から正極合剤層が剥離されることが記載されている。
そして、破砕機によって得られた粉砕物は、破砕機によって導電性基板の粉砕物と正極合剤層の粉砕物の混合物であるので、この混合物から粒径や比重の差を利用して導電性基板と正極合剤層を振動ふるい装置などで分離することが記載されている(段落0045〜0046)。
特開平10−255862号公報 特開2005−327482号公報 特開平10−8150号公報 特開平10−092417号公報
このように、集電体と正極活物質を分離する技術が知られているが、酸を利用する湿式処理では、回収物であるCo、Ni等の溶出によるロスや不純物であるAlの溶解、混入といった欠点がある。有機溶媒による分離方法では回収率は高いが、回収された正極材からの溶媒の除去や溶媒を取り扱う上での安全性の問題がある他、処理コストが高いという欠点がある。燃焼処理する方法では、結着剤(バインダー)である有機材料を焼却処理することにより正極材を回収する。しかし、正極材の剥離不良やAlの溶融による巻き込みなどにより回収率が低く、さらに、スクラップの状態によって処理条件が異なるなどの課題が残っている。また、正極材を粉砕することにより正極活物質の剥離を促進する方法は有望な技術であるが、集電体と正極活物質の分離回収効率には未だ改善の余地が残されている。
そこで、本発明は、正極活物質と集電体の高い分離回収効率を低コストで達成できる従来技術とは異なる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、正極材に皺を与えながら粉砕し、粒状にすることによって、正極を集電体及び正極活物質に高効率で分離回収できることを見出した。本発明はかかる知見を基礎として完成した。
本発明は一側面において、集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材に対して、皺を与えながら粒状に粉砕する過程を通じて正極を集電体及び正極活物質に分離し、次いで、前記粉砕後の正極材を篩別して、篩上側に集電体、篩下側に正極活物質を回収することを含むリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法である。
本発明は別の一側面において、(A)集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する工程と、(C)前記正極材に皺を与えながら粒状に粉砕する過程を通じて正極材を集電体と正極活物質を分離し、排出される正極材の粉砕物を回収する工程と、(D)工程Cの後、前記粉砕物を目開きが1.0mm以下の篩で篩別して、篩上側に集電体、篩下側に正極活物質を回収する工程とを含むリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法である。
本発明に係る方法の一実施形態においては、粉砕は、指定した大きさよりも小さくなるまで粉砕物が機内に滞留する構造を有する衝撃式の粉砕機を用いて行われる。
本発明に係る方法の別の一実施形態においては、指定した大きさよりも小さくなるまで粉砕物が機内に滞留する構造が、粉砕機出口側に設置されたスクリーンである。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、前記スクリーンの目開きが6mm以下である。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、粉砕された集電体の平均サイズがスクリーンの目開きよりも0.1〜2mm小さい。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、粉砕された集電体の平均サイズが2〜5mmである。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、正極を集電体及び正極活物質に分離する工程が衝撃式ミルにより行われる。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、衝撃式ミルがハンマーミルである。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、工程(A)と工程(C)の間に、(B)前記正極材を10〜100mmの平均サイズに裁断する工程とを実施することを更に含む。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、工程(B)が1軸又は2軸破砕機により行われる。
本発明によれば、リチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を高効率で分離回収することができる。本発明に係る方法は例えばリチウムイオン電池をリサイクルするときに有用である。本発明に係る方法では粉砕設備及び篩機という単純な設備構成で実施可能であり、薬品を使用する湿式処理や高温を扱う燃焼処理に比べて処理コストが安く、処理操作や安全管理も容易である。
皺を与えられながら粉砕し、粒状にされた正極材のサンプル写真である。 皺を与えられながら粉砕し、粒状にされた正極材のサンプルの拡大写真である。 板状に粉砕された正極材のサンプルの写真である。 板状に粉砕された正極材のサンプルの拡大写真である。 皺の深さプロファイルの例である。
本発明に係るリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法の一実施形態においては、
(A)集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する工程と、
(B)前記正極材を裁断する工程と、
(C)指定した大きさよりも小さくなるまで粉砕物が機内に滞留する構造を有する衝撃式の粉砕機を用いて、前記正極材に皺を与えながら粉砕し、粒状にする過程を通じて正極材を集電体と正極活物質を分離し、排出される正極材の粉砕物を回収する工程と、
(D)工程Cの後、前記粉砕物を目開きが1.0mm以下の篩で篩別して、篩上側に集電体、篩下側に正極活物質を回収する工程と、
を含むリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法である。
<工程(A)>
工程(A)では集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する。限定的ではないが、一般的な正極材では、正極活物質、バインダー並びに必要に応じて導電剤及び電解質等を含む電極材料を溶媒に分散して正極活物質スラリーを調製し、この正極活物質スラリーを集電体上に塗布して乾燥させた後にプレスすることにより、集電体の片面又は両面に正極活物質が接着されている。本発明に係る方法はとりわけ、使用済みのリチウムイオン電池から回収した正極材、製造過程等で発生した規格外(オフスペック)の正極材、品質管理上の抜取検査処理用の正極材、及び製造過程で発生した端材等を特に処理対象とすることができる。
集電体としては、限定的ではないが、アルミニウム、銅、ニッケル、銀、金、クロム、鉄、スズ、鉛、タングステン、モリブデン、亜鉛又はこれらを含む合金等の金属が使用されるのが通常であり、アルミニウムが多用されている。集電体は金属箔の形態で提供されるのが一般的である。本発明に係る方法は集電体としてアルミニウム又はアルミニウム合金を使用した正極材に特に好適に使用可能である。
正極活物質としてはリチウムイオン電池用の正極活物質として公知のものであれば特に制限はないが、一般的にはリチウムの他、コバルト、ニッケル、マンガン、チタン、バナジウム、鉄及び銅の何れか1種又は2種以上を含有する複合酸化物又は塩の形態として提供される。
バインダーとしては一般に樹脂が使用されており、限定的ではないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド、ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びユリア樹脂等が挙げられる。典型的にはPVDFが使用される。
<工程(B)>
工程(B)では、工程(A)で準備したリチウムイオン電池用正極材を裁断する。工程(B)は実施しなくてもよいが、工程(C)における粉砕機に投入しやすくし、また工程(C)における粉砕時間を短くする観点から実施することが好ましい。裁断時に正極材に与えられる機械的衝撃は、正極活物質と集電体の接着強度を弱める働きもある。裁断の方法には制限はないが、例えば、1軸又は2軸の破砕機にかけることができる。
一実施形態において、破砕機については、出力20〜50kW、典型的には出力30〜40kW、(例:37kW)の一軸せん断式破砕機を使用し、投入速度30〜100kg/min、典型的には投入速度50〜60kg/min(例:50kg/min)で処理を行うことができる。
破砕機に正極材を投入する際の留意事項としては、以下が挙げられる。工程(B)でいきなり集電体からの正極活物質の剥離まで実施することを意図して細かく裁断し過ぎると、破砕機での滞留時間が長くなり、細かいAl小片が生成し、後の篩別による篩下の正極材中の不純物であるAlの含有割合が多くなってしまうという問題が生じやすい。また、リチウムイオン電池製造工程で発生するスクラップは、ロール状のものや束状に折り重なったもの等が存在し、原料の形態が一様ではなく、大きさも様々である。このように形態や大きさが異なるものが混在する中では、安定して良好な分離回収効率を得るのは困難である。更には、細かく裁断する場合には破砕機側の投入口径の制約も生じる。
従って、この段階では剥離することは考えずにまず比較的大きく裁断することが望ましい。具体的には、正極材を10mm以上の平均サイズに裁断することが好ましく、20mm以上の平均サイズに裁断するのが更により好ましい。一方で、裁断後の正極材を大きくし過ぎると、次の工程での破砕の負荷が大きくなり、好ましくはない。具体的には、裁断は300mm以下であれば、次工程の処理は可能であるが、200mm以下に裁断することが好ましく、平均サイズで100mm以下の平均サイズに裁断することがより好ましい。従って、この工程での裁断後の好ましい平均サイズは、10mm以上100mm以下、より好ましくは、20mm以上70mm以下が好ましい。
ここでいう正極材のサイズは、裁断された正極材を平面上に、自立可能であってその高さが最小になる向きに置いたときに、平面上で当該集電体を取り囲むことの出来る最小円の直径として定義され、その任意の100個以上の平均値を正極材の平均サイズとする。裁断後の正極材の大きさは例えば破砕機の出口にスクリーンを設置し、スクリーンの目開きを調整することで調整可能である。
<工程(C)>
工程(C)は、指定した大きさよりも小さくなるまで粉砕物が機内に滞留する構造を有する衝撃式の粉砕機を用いて、前記正極材に皺を与えながら粒状に粉砕する過程を通じて正極材を集電体と正極活物質を分離し、排出される正極材の粉砕物を回収する工程である。これにより、集電体と正極活物質を高効率で分離することが可能になる。
粉砕物中には、剥離した集電体、剥離した正極活物質、及び未剥離の正極材が含まれる。工程(C)は、工程(B)を経ずに行うこともできるが、先述した理由により、工程(B)を経た後に実施することが好ましい。
理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、皺を与えることで正極活物質の分離効率が上昇する理由について以下に考察する。正極材を構成する集電体は一般に金属箔であり、その表面にバインダーを介して活物質が接着されている。そのため、物理的な力によって活物質を剥離する場合、集電体に剪断力を与えて粉砕するだけでは切断箇所近傍の活物質しか十分に剥離することができない。しかしながら、集電体に数多くの皺(凹凸)を与えて集電体上の活物質に亀裂を生じさせ、それに対して衝撃力を加え続けることで亀裂が伝播して活物質が集電体から剥離しやすくなると考えられる。そして、皺を与えるような外力を集電体に付与し続けると、集電体は破断しながら徐々に小さくなる。また、粉砕機が指定した大きさよりも小さくなるまで粉砕物が機内に滞留する構造を有することにより、粉砕機から排出される粉砕物の大きさを調整することができるが、最終的には排出される粉砕物は、皺で折り畳まれた粒状になると推察される。皺を与えられながら粒状に粉砕された正極材のサンプル写真を図1及び図2に示す。また、図3及び図4には板状に粉砕された正極材のサンプル写真を示す。
粉砕時に、正極材に皺を与えて粒状化させるためには、粉砕対象物に線接触して剪断力を与える粉砕機ではなく、粉砕対象物に面接触して衝撃力を与えるような粉砕機を使用することが望ましい。そのような粉砕機としては、例えば、原料の投入が回分式又は連続式の装置であり、投入した材料が粉砕を受ける空間に、材料と面接触する回転式の破砕歯を1本又は複数本有する構造を持ち、この回転式の破砕歯により、1秒間に複数回衝撃を与えることができる装置が好適である。そのような装置としては、サンプルミル、ハンマーミル、ピンミル、ウィングミル、トルネードミル等の衝撃式ミルが好ましく、ハンマーミルがより好ましい。
粉砕機が指定した大きさよりも小さくなるまで粉砕物が機内に滞留する構造を有するような構造としては例えば粉砕機の出口に設置されたスクリーンが挙げられる。スクリーンを粉砕機の出口に設置することにより、粉砕物がスクリーンを通過できる程度の大きさにまで粉砕されると迅速に粉砕機よりスクリーンを通じて排出されることになる。そのため、粉砕された正極材の大きさの分布が均一化されるので、品質安定性が高まる。
粉砕機(典型的にはハンマーミル)の出口のスクリーンの目開きは大きすぎると正極活物質の剥離が十分ではない状態で正極材が排出されることになるので、6mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。ただし、スクリーンの目開きはあまり小さくしてしまうと、集電体が小さくなりすぎて次工程における篩別時に正極活物質との分離効率が低下するため、2mm以上とすることが好ましく、3mm以上とするのがより好ましく、典型的には3〜4mmとすることができる。粉砕された集電体の平均サイズはスクリーンの目開きよりも0.1〜2mm小さいのが一般的であり、より典型的には0.5〜1mm小さい。
本発明におけるスクリーンの目開きは、形状を円形とし、その直径で定義される。しかしながら、本発明では篩目の形状は円形に限られるものではなく、例えば正方形、長方形、菱形又は楕円形でもよい。そのため、目開きがxmmのスクリーンというのは、目開きの形状が円形で直径がxmmのスクリーンのみならず、これと実質的に同等の特性を有する他の目開き形状のスクリーンも包含するものとする。
粉砕された集電体の平均サイズは、大きすぎると正極活物質の剥離が十分ではない状態となりやすいので、6mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。ただし、粉砕された集電体の平均サイズは、小さくなりすぎても正極活物質との分離効率が低下するため、1mm以上とすることが好ましく、2mm以上とするのがより好ましく、典型的には2〜3mmとすることができる。
集電体のサイズは、工程(B)における定義と同様であり、集電体を平面上に自立可能であってその高さが最小になる向きに置いたときに、平面上で当該集電体を取り囲むことの出来る最小円の直径として定義し、その任意の100個以上の平均値を集電体の平均サイズとする。
破砕歯の回転数は、例えば、3000rpm以上、好ましくは5000rpm以上の回転数とすることができ、30〜80m/s、好ましくは60〜70m/sの周速とすることができる。
正極材に衝撃力を与える際の留意事項としては、以下が挙げられる。1秒あたりに正極材に接触・衝突する回数を多くすることで、衝撃力を与える回数が多くなり、与える力の方向が1次元的ではなく、3次元方向であることで、正極材に微小で多数の皺が顕微鏡写真により確認でき(図2)、集電体からの正極活物質の剥離性がよくなる。例えば、回転式の歯の場合は回転数を上げることで、その条件を満たすことができる。
粉砕機による粉砕プロセスが「皺を与えながら粒状に粉砕する過程」であるか否かは、粉砕機から排出された集電体の形状が板状であるか、粒状であるかを判別して、粒状が多い場合に「皺を与えながら粒状に粉砕する過程」であるとする。「粒状が多い場合」とは、具体的には50%以上、好ましくは70%以上の個数割合とする。
集電体の形状の判別は、板状であるか、粒状であるかを目視によって判別できる。粒状とは、集電体が丸まって、球状または楕円球状になったものである。また、粒状を微視的に観察(顕微鏡観察)すると図2に示すように、皺の複数の集りがみられる。これらに皺の深さは50μm以上ある。したがって、板状であるか、粒状であるかの判別が目視で困難な場合には、集電体中央部に基準長さ0.5mmの線分当たりに深さが50μm以上の皺が複数観察されるものは粒状と判別される。中央部を観察することとした理由は、集電体の端部は剪断的な粉砕であっても又は不十分な粉砕であっても皺になりやすいことから、板状であるか粒状であるかの判断基準には使用できないからである。
深さは、顕微鏡と組み合わせた非接触式三次元(座標)測定器(3D−SEM)を用いるなどで確認できる。図5は、3D−SEMで得られた上記線分の一つについての深さプロファイルの例である。lは皺を表すV字の両端を結ぶ線分の長さであり、dはV字の頂点から深さ方向に下ろした直線についてのV字の両端を結ぶ線分との交点までの長さであり、これが深さである。
以上のような判別手順において、集電体100個に対して板状であるか、粒状であるか否かを判別し、粒状が50%以上の個数割合である場合には、「皺を与えながら粒状に粉砕する過程」であるとする。
<工程(D)>
工程(C)の後、回収された正極材の粉砕物を篩で篩別して、篩上側に集電体、篩下側に正極活物質を回収する工程(D)を実施する。工程(C)によって分離された集電体と正極活物質の大きさを比較すると、集電体から剥離した正極活物質は粉状であるため、集電体の方が大きい。そのため、適切な目開きを有する篩を利用することにより両者を高い分離効率で篩別することが可能となる。
工程(D)で使用する篩の目開きが篩の目開きが大きすぎると篩下側に移行される集電体の量が増えることになる。そこで、篩の目開きは1.0mm以下が好ましいが、小さすぎると篩上側に移行する正極活物質の量が増えるので、篩の適切な目開きは、0.05〜1.0mmであり、好ましくは0.1〜0.5mmであり、より好ましくは0.25〜0.3mmである。
本発明によれば、工程(D)の前後で、篩下に回収される集電体の分配率を30%以下とすることができ、好ましくは20%以上とすることができ、より好ましくは10%以上とすることができ、例えば5〜20%とすることができる。当該割合は、(工程D後の篩下に回収された集電体成分の質量)/(工程Dの直前の正極材中に含まれる集電体成分の質量)×100(%)で表される。
本発明によれば、工程(D)の前後で、篩下に回収される正極活物質の金属成分の分配率を80%以上とすることができ、好ましくは85%以上とすることができ、より好ましくは90%以上とすることができ、更により好ましくは95%以上とすることができる。当該割合は、(工程D後の篩下に回収された正極活物質の金属成分の質量)/(工程Dの直前の正極材中に含まれる正極活物質の金属成分の質量)×100(%)で表される。
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例は例示目的であって発明が限定されることを意図しない。実施例において、金属の分析は王水溶解によるICP発光分光分析装置による測定により行った。
集電体としてはアルミニウム箔を、バインダーとしてはPVDFを使用したリチウムイオン電池用正極材を用意した。
(裁断)
各試験例につき、当該正極材100kgを、破砕歯の下部に目開き300mmの振動スクリーンの付いた一軸せん断式破砕機にて、12round/min、50kg/minの投入量、出力37kWで裁断した。裁断後の正極材の平均サイズを先述した方法によって定規またはノギスで測定したところそれぞれ20〜30mm程度であった。
(粉砕)
次いで、篩下に回収された正極材のうち2kgを下部にスクリーンの付いた容積11Lのハンマーミルに0.66kg/minの投入速度で投入し、試験番号毎に回転数、スクリーンの目開きを表1に記載の条件に設定して連続運転した。運転時間はNo.5のみ30秒として、残りは全量排出されるまで運転した。
(外観試験)
試験番号毎に、正極活物質が剥離された集電体を100個取り出し、先述した方法に従って、板状と粒状に選別し、それぞれの個数をカウントし、割合を求めた。
「◎」は7割以上、「○」は5割以上7割未満、「×」は5割未満である。
また、試験番号毎に粉砕後の集電体の平均サイズを、先述した方法に従って測定した。表2に結果を示す。
(篩別1:目開き1mm)
試験番号毎に、ハンマーミルから排出された正極材(粉砕された集電体及び剥離した正極活物質を含む)を目開きが1mmの振動篩で篩別した。篩下を回収してICPで分析し、篩下への正極活物質(Mn、Co、Ni、Li)の分配率、篩下へのAlの分配率、及び篩下中のAl濃度を計測した。なお、篩下への正極活物質分配率=(篩下の正極活物質の質量)/(全正極活物質の質量)であり、篩下へのAl分配率=(篩下のAl質量)/(全Al質量)である。結果を表3に示す。
(篩別2:目開き0.25mm)
試験番号毎に、ハンマーミルから排出された正極材(粉砕された集電体及び剥離した正極活物質を含む)を目開きが0.25mmの振動篩で篩別した。篩下を回収してICPで分析し、篩下への正極活物質分配率、篩下へのAl分配率を計測した。結果を表4に示す。
(篩別3:目開き0.1mm、0.25mm、0.5mm)
No.3について、ハンマーミルから排出された正極材(粉砕された集電体及び剥離した正極活物質を含む)を目開きが0.1mm、0.25mm、0.5mmの振動篩で篩別した。篩下を回収してICPで分析し、篩下への正極活物質分配率、篩下へのAl分配率を計測した。結果を表5に示す。

Claims (11)

  1. 集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材に対して、皺を与えながら粒状に粉砕する過程を通じて正極を集電体及び正極活物質に分離し、次いで、前記粉砕後の正極材を篩別して、篩上側に集電体、篩下側に正極活物質を回収することを含むリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法。
  2. (A)集電体と正極活物質がバインダーにより接着している構成を有するリチウムイオン電池用正極材を準備する工程と、
    (C)前記正極材に皺を与えながら粒状に粉砕する過程を通じて正極材を集電体と正極活物質を分離し、排出される正極材の粉砕物を回収する工程と、
    (D)工程Cの後、前記粉砕物を目開きが1.0mm以下の篩で篩別して、篩上側に集電体、篩下側に正極活物質を回収する工程と、
    を含むリチウムイオン電池用正極材から集電体及び正極活物質を分離回収する方法。
  3. 粉砕は、指定した大きさよりも小さくなるまで粉砕物が機内に滞留する構造を有する衝撃式の粉砕機を用いて行われる請求項1又は2に記載の方法。
  4. 指定した大きさよりも小さくなるまで粉砕物が機内に滞留する構造が、粉砕機出口側に設置されたスクリーンである請求項3に記載の方法。
  5. 前記スクリーンの目開きが6mm以下である請求項4に記載の方法。
  6. 粉砕された集電体の平均サイズがスクリーンの目開きよりも0.1〜2mm小さい請求項4又は5に記載の方法。
  7. 粉砕された集電体の平均サイズが2〜5mmである請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 正極を集電体及び正極活物質に分離する工程が衝撃式ミルにより行われる請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. 衝撃式ミルがハンマーミルである請求項8に記載の方法。
  10. 工程(A)と工程(C)の間に、
    (B)前記正極材を10〜100mmの平均サイズに裁断する工程と、
    を実施することを更に含む請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 工程(B)が1軸又は2軸破砕機により行われる請求項10に記載の方法。
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