JP5667226B2 - 薄膜形成方法及び薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成方法及び薄膜形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、長尺基材の表面への薄膜形成方法及び薄膜形成装置に関し、例えば連続して走行する長尺基材の表面に対し、有機半導体や有機太陽電池、有機EL素子等に用いられる有機薄膜、圧電素子等に用いられる無機酸化物の高機能薄膜を塗布して形成する技術に関する。
近年、フラットディスプレイパネル(FDP)等の表示機器や太陽電池パネルのような発電機器などにおいては、例えば発光面や受光面といった機能性薄膜を有する部分の面積の大型化が進められている。これに伴い製造装置の大型化も進んでいるが、その製法においてディスプレイであればSI−TFT、太陽電池であればp-i-nといった機能性薄膜の形成は、真空蒸着や各種CVD等の真空・バッチプロセスに頼っているため、その大きさには限界がある。
そこで、大気圧プロセス化すなわち真空系の排除による低コスト化やロール・ツー・ロールによる連続形成等、高速・連続プロセスの導入も進んできている。また、材料のインキ化技術の発達により、塗布や印刷による薄膜形成についても盛んに開発が行なわれている。
塗布による薄膜形成については、特許文献1に開示されているダイコーター、特許文献2に開示されているスライドコーターの他にカーテンコーター、スプレーコーターがよく知られている。これらは磁気テープや写真のフィルムに代表される幅広のシートに積層構造の薄膜を形成するのに用いられている。また、特許文献3に開示されているダイス、特許文献4に開示されているスプレーコーターは、光ファイバのような線状体へのコーティング法として用いられている。
これらの方法は用途に応じてそれぞれ使い分けられるが、一次元基材への高速薄膜形成、特に数百m/分以上の高速での薄膜形成に関しては、ダイスが有効な手段といえる。なぜなら、ダイコーターやスライドコーターでは、膜厚はコーターへの塗布材の供給量と基材の走行速度で決まり、塗布部において塗布材を加圧することができないため、数百m/分以上という高速では基材と塗布膜の間に気泡を巻き込み、安定した塗布ができないためである。
一方、ダイスによる塗布では、基材の走行によりダイス内のテーパー部に圧力が発生し、膜厚は主にダイスと基材とのクリアランスで決まるため、数百m/分以上という高速でも安定した塗布が可能である。また、ダイスによる塗布においては、基材とダイスのクリアランスにて生ずるせん断力により、液中の例えば直鎖型のポリマー等が配向膜として形成され、薄膜の高機能化に寄与できる。
特開2005−262083号公報 特開2003−117463号公報 特開平06−194550号公報 特開2003−300754号公報
ダイスによるコーティングでは、基材の走行速度やダイスとのクリアランス、塗布剤の供給量(供給圧)、粘性等、様々なパラメータにより塗布膜厚が決定されるため、パラメータの設定の仕方が重要である。その中で薄膜化のためにはクリアランスを狭めるのが極めて有効であるが、基材全面でのクリアランスが10μmを下回ってくると、基材やダイスの表面の凹凸の影響が顕在化し、断線が生じたり、張力過大等により基材の安定走行に支障をきたすといった課題がある。
本発明は上記のような課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、基材の走行にほとんど影響されることなくダイスと基材とのクリアランスを狭め、長尺基材に対して膜厚精度の高い薄膜を連続的かつ高速に形成することができる薄膜形成方法および薄膜形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る薄膜形成方法は、長尺基材を連続的に移送しながら、少なくともその一方の表面に所定の間隔をおいて対向配置されたキャビティを有する塗布ダイスを用いて1種類以上の材料溶液を塗布し前記長尺基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成方法において、前記塗布ダイスには、前記キャビティを形成する基材走行方向下流に向かって接近するテーパー部と前記キャビティの上流側と下流側とを連通するバイパス流路が設けられ、前記塗布ダイスの前記キャビティ内へ所定の圧力で材料溶液を供給しながら、前記バイパス流路に設けられた流量調節手段により、キャビティ内に発生する圧力を調整しつつ、該圧力により生じる前記塗布ダイスへの反発力が所定の値に保たれるように前記塗布ダイスに付与する基材へ向かう方向への荷重を制御して、前記長尺基材の表面に薄膜を形成することを特徴とする
ここで、前記一対のテーパー部の基材走行方向下流側の端部と走行する基材の表面との隙間はそれぞれ0.01mm以下であり、各テーパー部の基材走行面に対する角度は5°以内とするのが望ましい。
また、前記長尺基材の表面に薄膜を形成する前に、走行する前記長尺基材の表面を洗浄または洗浄および表面改質する前処理工程を有するようにする。
また、前記長尺基材の表面に薄膜を形成した後に、前記長尺基材の表面に形成された塗膜を加熱して溶媒を揮発除去する乾燥または乾燥および膜成分の分解もしくは結晶化を行なう熱処理工程を有するようにする。
また、本発明に係る薄膜形成装置は、長尺基材をその長手方向へ移送可能な移送手段と、移送中の前記長尺基材の一方の面を案内するガイド部を有する基材ガイド手段と、前記長尺基材を挟んで前記基材ガイド手段と反対側に位置し前記長尺基材の他方の面に対向するように配置されたキャビティを有する塗布ダイスと、前記塗布ダイスの前記キャビティ内へ所望の圧力で材料溶液を供給可能な材料溶液供給手段と、を備え、前記長尺基材を連続的に移送しながらその一方の表面に前記塗布ダイスを用いて1種類以上の材料溶液を塗布し薄膜を形成する薄膜形成装置であって、前記塗布ダイスは、前記キャビティに対する入口を形成するニップル部と、前記キャビティを形成するテーパー部および前記キャビティに対する出口を形成するダイ部とを有し、前記テーパー部は前記ニップル部から前記ダイ部へ向かうほど前記基材ガイド手段との間隔が狭くなるように傾斜されるとともに、前記キャビティの上流側と下流側とを連通するバイパス流路と、該バイパス流路の途中に設けられた流量調節手段とを備え、前記バイパス流路を通して下流側から上流側へ戻る溶液の量を調節可能に構成されているとともに、前記塗布ダイスに対して基材へ向かう方向への荷重を付与可能な荷重付与手段と、前記塗布ダイスによる材料溶液の塗布中に前記塗布ダイスへ加わる反発力を検出し該反発力が所定の値に保たれるように前記荷重付与手段によって前記塗布ダイスに付与する荷重を制御する荷重制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る薄膜形成装置は、上記発明において、前記塗布ダイスを備える塗布装置の前段に、走行する前記長尺基材の表面を洗浄または洗浄および表面改質する前処理装置を備えることを特徴とする
また、本発明に係る薄膜形成装置は、上記発明において、前記塗布ダイスを備える塗布装置の後段に、前記長尺基材の表面に形成された塗膜を加熱して溶媒を揮発除去する乾燥または乾燥および膜成分の分解もしくは結晶化を行なう熱処理装置を備えることを特徴とする
本発明によれば、基材の走行にほとんど影響されることなくダイスと基材とのクリアランスを狭め、長尺基材に対して膜厚精度の高い薄膜を連続的かつ高速に形成することができるという効果がある。
本発明を適用して好適な薄膜形成装置全体の概略構成を示す全体構成図である。 前処理装置の具体例を示す説明図である。 本発明を適用した薄膜形成装置により薄膜を形成するのに適した基材の例を示す斜視図である。 塗布装置の一例を示す概念図である。 熱処理装置の一例を示す概念図である。 塗布ダイスの構造の具体例を示す断面図である。 ガイドロールおよびダンサーの具体例を示す断面図である。 塗布ダイスの概念を示す斜視図および断面図である。 塗布ダイスの構造の具体例を示す断面図である。 前処理装置の他の具体例を示す説明図である。 塗布装置の第1の参考例を示す説明図である。 塗布装置の一実施例を示す説明図である。 塗布装置の第2の参考例を示す説明図である。 塗布装置の第3の参考例を示す説明図である。 片側ダイスを用いてそのテーパー部の角度を段階的に変えて、各角度におけるキャビティ内の溶液の圧力を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用して好適な薄膜形成装置全体の概略構成を示す全体構成図である。
本実施形態の薄膜形成装置は、図1に示すように長尺基材Bが巻回されているホビン11から基材Bを繰り出す基材供給装置10と、図2(a)に示すように長尺基材表面の洗浄・表面改質を行う前処理装置(前処理工程)20と、長尺基材表面への材料溶液の塗布を行なう塗布装置(塗布工程)30と、長尺基材表面の乾燥・熱処理を行なう熱処理装置(熱処理工程)40と、基材の巻き取りを行なう基材巻き取り装置50とを有する。基材供給装置10と基材巻き取り装置50とにより、長尺基材の移送装置が構成される。
なお、本発明でいう長尺基材とは、長手に連続した、径が数μm〜数mmで断面が丸や四角の繊維状基材(線状体)、幅が数mm以上で厚さが数μm〜数mmの平板状基材を指し、材質は例えば、ガラス、樹脂、金属であるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
以下、各装置および工程について詳しく説明する。
(基材移送装置および工程)
基材移送装置は、図1に示すように、基材供給装置10からボビン(もしくはリール)11に巻かれた長尺基材Bを繰り出し、ガイドロール12、ダンサー13等を経てキャプスタン54で移送し、基材巻き取り装置50側のボビン(もしくはリール)51にて巻き取るように構成したものである。一般に、長尺基材はボビンに整列巻きされるが、図3に示すような平板型の基材の場合は、リールに重ね巻きするのが望ましい。
本実施例では、基材供給装置10のボビン11より繰り出された長尺基材Bは、ガイドロール12aを経て繰り出し側のダンサー13に導入され、ここで張力が検出され、繰り出し側ボビン11の駆動軸の駆動トルクにて張力が制御される。ダンサー13より繰り出された長尺基材Bはガイドロール12bを経て、前処理装置20へ導入されて前処理された後、塗布装置30にて材料溶液が塗布され、熱処理装置40にて乾燥・熱処理が行なわれる。
その後、基材はキャプスタン54へと導入される。キャプスタン54は速度設定値に応じた回転数にて回転しており、これにより基材の走行速度が制御される。キャプスタン54により送り出された長尺基材はガイドロール52aを経て巻き取り側のダンサー53へと導入され、ここで張力が検出され、巻き取り用ボビン51の駆動軸の駆動トルクにて張力制御される。その後、ガイドロール52bを経て、巻き取り用ボビン51に巻き取られる。
ダンサー13,53による張力検出、制御は巻き取り、巻き出し双方にてされるのが望ましいが、片方のみでも良い。また、ガラスのような弾性に乏しい材料からなる基材を使用する場合には、ダンサーのような余長を吸収できる機構が望ましいが、金属や樹脂のような弾性に富む材料についてはダンサーに限らず、固定ローラーへの荷重の検出等の方法で張力を検出するようにしても良い。
各ガイドロール12,52、ダンサー13,53、キャプスタン54の断面は、線材や前述の平板型基材等の異なる断面形状の長尺基材に対応できるよう、例えば図7に示すような形状とするか、交換可能とするのが望ましい。図7において、中央のV溝は線材用のガイド、V溝両側の平坦部は平板型基材用のガイドで、2種類の幅の基板に対応できるように段差が形成されている。
なお、本発明の薄膜形成装置により平板型基材に薄膜を形成する場合、平板型基材は長尺基材がガラス及び金属あるいはそれらに薄膜が形成された基板で厚さが5μm以上300μm以下で幅が100μm以上300mm以内で10m以上の長さを有する基板である場合に適している。
(前処理装置および工程)
前処理装置20は、図1における繰り出し側ダンサー13と巻き取り側ダンサー53との間であって塗布装置30の前段に設置され、走行する長尺基材Bに対して所定の成分のガス(プラズマが望ましい)や液体を照射もしくは浸漬して表面の洗浄や表面改質を行なう。
洗浄は基材表面に付着したダストや有機物や酸化物被膜等の異物を除去することを目的としており、図2(b)に示すように高周波駆動される一対の電極22a,22b間にガスを通過させることで形成されるプラズマジェットを照射したり、図2(c)に示すように、走行する基材Bの両側に高周波駆動される電極22a,22bを配置してプラズマを基材走行路に形成することにより実現される。
ここで形成されるプラズマの主成分ガスとしてはヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが望ましいが、酸素や水素、CF4、SiF4、SF6等の反応性ガスであっても良く、必要に応じてこれらの混合気体を用いても良い。また、プラズマ形成領域における圧力は自由に設定してよく、減圧雰囲気でも加圧雰囲気でも構わない。
また、洗浄は、基材表面の汚染レベルに応じて、図2(a)に示すようなヘッド21で液体のジェット吹きつけ、図2(d)に示すようにアセトン蒸気等の洗浄ガスが充満されたガラス管23内へ基材Bを通過させたり、図2(e)に示すように洗浄液を入れた液槽24へ基材を浸漬して行なうようにしても良い。表面改質は、塗布工程で使用する溶液の濡れ性制御や乾燥時の薄膜の密着性向上などのために、基材表面の官能基制御や微細な凹凸の形成を目的として行なうものである。なお、基材の種類と使用するガスによっては洗浄と表面改質が同一の構成となる場合があるので、そのような場合には単一の装置で両者の機能を兼ねた構成として良い。
(塗布装置および工程)
塗布装置30は、図1における繰り出し側ダンサー13と巻き取り側ダンサー53との間であって前記前処理装置20の後段に設置され、図4に示すように、走行する長尺基材Bに対してダイス31により基材表面に溶液とを塗布するものである。ダイス31の設置場所は、図1に示すように前処理装置20の直後の位置がよく、かつ前処理装置20から塗布装置30にかけては不活性ガスを満たす等により基材が外気にさらされない構造にするのが望ましい。
ここで、ダイスの構造について簡単に説明する。図8(a)はダイス31の概観、図8(b)はダイスの断面形状の一例である。ダイス31の入口形状は基材断面形状と相似形、出口形状は塗布後の基材断面形状の相似形としている。ダイス内部での断面形状は出口側に向かって段階的もしくは連続的に小さくなるようにする。なお、ダイスは出口側に向かって径が大きくなっても、不変でも良い。このようなダイス内を塗布すべき溶液で満たした状態で基材が溶液中をくぐって走行することにより、基材が走行とともにその表面近傍の溶液を付着して持ち出すことで塗膜が形成される。
次に、ダイスを使用した平板型の基材への薄膜塗布方法について説明する。
平板型の基材への薄膜塗布に適したダイスの例が図9に示されている。ダイス31と基材Bとのクリアランスは数10μm以上で、接触することなく走行可能なレベルとする。上限値に制約はないが、クリアランスが大き過ぎると液だれを引き起こすので100μm程度を上限とするのが望ましい。
基材表面に塗布すべき溶液は、外部に設置した加圧容器もしくはディスペンサー等により加圧されて、ダイスへと供給される。ダイスへの溶液注入口は基材の表面または表面および裏面に対向する背の部分に設け、圧力もしくは流量を制御できるようにする。注入口の形状は基材の幅方向に一様なスリット形状が望ましいが、より一般的な円形でも良い。
図9(a)のように基材の表裏に溶液を塗布するダイスの場合には、表裏でそれぞれ異なる圧力を加え、ダイス内で表裏方向に圧力差が生じさせ、基材を中央から低圧側に移動させる。これにより、基材の低圧側表面とダイスとのクリアランスが小さくなり、薄膜の形成が可能となる。高圧側表面の塗膜については、不要であれば塗布後にエアジェットあるいはナイフエッジ等で除去しても良い。圧力差を制御することで、膜厚精度の高い薄膜の形成が可能となる。
また、高圧側からは塗布時に溶液の溶媒のみを注入し、後工程での乾燥処理によって低圧側のみ薄膜が残るようにしても良い。溶液の溶媒としては、水、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、酢酸イソアミンなどが考えられる。また、溶媒を注入する代わりにあるいは気体を供給するようにしても良い。なお、厚膜を形成したい場合は、上記説明における前記低圧側と高圧側のプロセスを入れ替えれば良い。
また、上記の圧力差は基材表裏で異なる粘度の溶液を使用して発生させても良い。さらに、図9(a)に示すように表裏で異なる断面形状もしくはテーパーを有するダイスを使用して圧力差を発生させても良い。
具体的な塗布装置の制御・設計パラメータは、基材への塗布時におけるダイス内での基材表面の圧力分布により決定される。平板型基材への塗布時の圧力分布P(x)は以下の式で与えられる。
Figure 0005667226
ここで、Lはダイスの長さ、h1はダイスの入口でのギャップ、h2は出口でのギャップ、Uは基材走行速度、P1は入口圧力、P2は出口圧力、xはダイスの始端を基準点とする基材走行方向の座標位置、μは溶液の粘度である。この式は基材表裏でそれぞれ立てられ、いずれか一方の面において所望のクリアランスを設定することで各種パラメータの関係式を導出できる。各種パラメータは、座標値xによらず基材表裏でP(x)が等しくなるように決定するのが望ましいが、出口近傍のみ等しい状態としても良い。
また、図9(b)に示すようにダイス31の内壁に所望のクリアランス相当の凸部31eを設け、上記圧力差の付与にて凸部31eに基材Bを押し付けることでクリアランスを形成しても良い。あるいは、製造過程で表面の両エッジ部分にクリアランス相当の凸部が形成された基材を使用しても良い。この方法では、クリアランスは前記凸部により一意的に決まってしまうが、面倒な圧力制御が不要であり簡便な方法といえる。
また、図9(c)に示すような片側ダイス31を使用し、ダイス31に移動ステージ等の荷重付与装置32や、ロードセル等の荷重検出器33を接続する。そして、ダイス31と基材ガイド手段としての固定ステージ34との間に基材Bを通過させて、ダイス31を固定ステージ34へ向かって押圧しながらダイス内部に溶液を供給してダイス31に生じる反発力を検出し、所定のクリアランスとなるようにダイス31に付与する荷重やダイス内に供給する溶液の圧力を制御し、所望の膜厚の薄膜を形成してするようにしても良い。片側ダイスを使用した塗布装置では片面のみの塗布になるため、反対面での溶液塗布や除去といった工程が不要となり、装置および工程を簡略化できる。
(熱処理装置および工程)
熱処理装置40は、図1における繰り出し側ダンサー13と巻き取り側ダンサー53との間で前記塗布装置30の後段に設置されるもので、図5に示すように、走行する基材Bを周囲から加熱することで、前記塗布工程にて基材表面に形成された塗膜中の溶媒の揮発除去(乾燥)、および必要に応じて熱分解や結晶化といった膜質制御を行なう。従って、熱処理装置40は、乾燥器のみまたは乾燥器と熱処理器とから構成される。
熱処理装置40における加熱源としては、イメージ炉、高周波発生器、熱風発生器、レーザー照射器のいずれか1つ以上を用いる。これらの熱源は基材の材料や加熱温度、装置内で実現したい温度分布などに応じて使い分けるのが望ましい。以下、それぞれの熱源について簡単に説明する。
イメージ炉は、複数の光源から発せられる主に赤外線を炉内で集光し加熱するものであり、高温かつ高レートでの加熱に適している。被加熱材料としては赤外線の吸収性が高いものが適しているが、石英等赤外線透過率の高い材料に対しても基材の近傍にカーボン等吸収率および耐熱性の高い材料をサセプタとして配置することでこれを介して間接的に加熱をすることができる。ただし後者の場合、急峻な温度勾配は形成されにくく、温度分布は緩慢な勾配となり、場合によっては均一に近い温度プロファイルとなるので、比較的均一な温度分布が適している場合に利用するのが望ましい。
高周波発生器は、接続されたコイルにて高周波の磁場を交流励起するものであり、これを被加熱体にさらすことで誘起される渦電流の抵抗加熱であり、高温、高レートの加熱に適している。被加熱材料としては、抵抗加熱であることから金属等導電性を有する材料が望まれるが、絶縁体に対しても基材の近傍にカーボン等導電率および耐熱性の高い材料をサセプタとして配置することでこれを介して間接的に加熱をすることができる。ただし後者の場合、急峻な温度勾配は形成されにくく、温度分布は緩慢な勾配となり、場合によっては均一に近い温度プロファイルとなるので、比較的均一な温度分布が適している場合に利用するのが望ましい。
熱風発生器は、ニクロム線等のヒーターにて加熱された空気あるいは不活性ガスをファン等により流すものであり、比較的低温域での加熱に適している。雰囲気ガスからの熱伝導が加熱原理になるため、急峻な温度分布を形成できない、ガス流れを伴うため塗膜への変形力が生じやすい、といった欠点はあるが、被加熱材料を問わないとともに、装置コストが低いという点で優れている。
レーザー照射器は、エキシマやキセノン等、一般的な装置にてレーザー光を発生するもので、発生されたレーザーの照射により加熱するものであり、高温、高レートの加熱に適している。連続発振のみならずパルス発振も可能であるため、昇降温に最も優れた方法である。
被加熱材料としては照射したレーザー光の波長の吸収率が高いものが望まれるが、吸収率が低い材料に対しても基材の近傍に吸収率および耐熱性の高い材料をサセプタとして配置することでこれを介して間接的に加熱をすることができる。ただし後者の場合、急峻な温度勾配は形成されにくく、温度分布は緩慢な勾配となり、場合によっては均一に近い温度プロファイルとなるので、比較的均一な温度分布が適している場合に利用するのが望ましい。
塗布装置30によりその表面に塗膜が形成された基材は、熱処理装置(乾燥器)40によって加熱され、乾燥(溶媒の揮発除去)される。一般に、溶媒の揮発除去は数10℃から100℃程度が適しており、これより低い温度だと乾燥が進行せず、高い温度だと揮発ガスが泡として塗膜中に内包されてしまう。また、温度差による成分移動を避けるため、乾燥中の温度分布は均一な方が望ましい。
そのため、乾燥器としては低温域での温度制御性および温度均一性に優れた熱風発生器を使用したもの、もしくは他の方法においてサセプタで受けた間接的加熱やマルチ化により分布を均一化したものが好適である。また、濡れ性に乏しい溶液であると時間とともに塗りムラ(ハジキ)が顕在化してしまうため、塗布後速やかに乾燥、膜の固着化をする必要がある。そのため、乾燥器は塗布装置の直後に配置する。また、溶液もしくは基材を塗布前に予備加熱しておき、溶液の表面張力を下げ、塗りムラを低減しても良い。
乾燥後の基材は必要に応じて熱処理(熱分解と結晶化)をする。図10には、酸化物のアルコキシド薄膜が塗布される場合に適した熱処理装置が例示されているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、ランプヒーター41をガラス管42の周囲に配置してなる熱分解器にて膜中の有機物が熱分解される。分解温度は材料により様々であるが、設定温度としては200℃〜600℃程度が望ましい。また、温度分布は特に問題にはならない。そのため、熱分解器としてはコスト面で優れた熱風発生器を使用したものが好適であるが、ランプヒーター41を用いた図10のような装置でも差し支えない。ガラス管42内には、図10のようにサセプタ43を設けても良いし、設けなくても良い。
熱分解後の薄膜は、レーザー発生器44と発生されたレーザーを集光するレンズ45等からなる結晶化器による加熱によって結晶化される。ただし、熱分解と結晶化の温度領域が重なる場合には、1つの装置にて熱分解と結晶化を同時に行なっても良い。結晶化は、基材/薄膜界面からの結晶成長や膜中での核形成・結晶成長などそのプロセスは複雑である。結晶化の温度は材料により様々だが、500℃〜1500℃程度が望ましい。また、特に多成分系の場合、各成分の融点の違いに起因する偏析を低減するため、昇温レートは高い方が望ましい。その意味で結晶化器としてはレーザー発生器が好適である。また、レーザーの場合、被加熱部を局所的に発生させ、加熱時間も短くできるため、加熱後の冷却も早く、基材自体の温度上昇を抑制できる点でも有利である。
以上に記載されているような実施形態の薄膜形成装置を使用することにより長尺基材の表面に高速で連続的に薄膜を形成できる。なお、本実施形態の薄膜形成装置は、上記記載の構成に限定されるものではない。
(塗布装置の参考例1)
図11に、前記塗布装置30の第1の参考例を示す。
この参考例は、片側ダイスを使用した塗布装置である。図11に示すように、ダイス31には、入口側から出口側に向かって順に、ニップル部31a、テーパー部31b、ダイ部31cが形成されている。テーパー部31bは、入口側から出口側に向かって次第に基材Bとのクリアランスが狭くなるように傾斜されている。かかるテーパー部31bをダイスに設けることによって、テーパー部31bによって形成されるキャビティ内で循環流が生じ、この循環流によって基材Bの走行方向と垂直な方向へ走行速度に比例するような反発力が生じるようになる。
また、ダイス31の上部には、ダイスを固定ステージ34側へ押圧する荷重付与装置32とダイスに作用する反発力を検出する荷重検出器33とが接続されており、制御装置60が荷重検出器33により検出された反発力に応じて荷重付与装置32を駆動し、所定の反発力となるように制御することで、ダイス31と基材Bとのクリアランスが一定になるように制御するように構成されている。これにより、膜厚精度の高い薄膜を板状基材の一方の面に塗布することができる。
なお、塗布を開始する際には、最初に、基材を止めた状態で、基材を塗布ダイス31と固定ステージ34で挟み、塗布材料を供給し基材を徐々に走行させる。塗布の厚さを一定にするようにあらかじめ決められた走行速度と塗布材料を所定の圧力で供給する。厚さの制御は、目標の走行速度に到達した時点で材料圧力、荷重付与装置32を所定の値となるように制御して行なう。このときダイスに作用する反発力を検出する代わりに、乾燥前の塗膜の厚みを非接触で検出する検出器を設けて、検出された厚みに応じて上記荷重付与装置32を制御するように構成しても良い。
さらに、ダイス31には、上記テーパー部31bによって形成されるキャビティ内に溶液を導入するための孔31dが上部に設けられており、孔31dには、溶液タンク35から溶液を供給するパイプ36の終端が結合されている。溶液タンク35には、途中に圧力調節用のバルブ37を有するパイプ38を介して加圧ガスが導入可能にされており、制御装置(図示省略)がバルブ37を調節することでダイス31に供給する溶液の圧力および流量を制御できるように構成されている。なお、図11においては、ダイス31のすぐ後に、加熱によって基材表面に塗布された溶液の溶媒を揮発させて乾燥させるヒーターを備えた乾燥器41が配置されている。
図11に示すような構成を有するダイスにおいては、テーパー部31bによって形成されるキャビティ内の走行方向の溶液の圧力分布は、塗布する溶液の粘度および基材の走行速度によって変化し、溶液の粘度が高く走行速度が速いほどピークが下流側にずれる。また、クリアランスが狭くなるほど、圧力が高くなるとともにピーク値の位置も変化する。さらに、溶液の粘度および基材の走行速度、出口のギャップが同一であれば、テーパー部31bの角度が小さいほどピーク値が大きくなるとともに、ピーク値の位置も変化する。
従って、使用する溶液の粘度および形成したい塗膜の厚みに応じて、所望の圧力分布が得られるように、テーパー部31bの角度、基材Bの走行速度、ダイス31に付与する荷重等を決定するのが望ましい。また、形成したい塗膜の厚みおよび基材Bの走行速度を決定してから、それらのパラメータに応じて使用する溶液の原料の希釈率を決定して粘度を調整するとともに、テーパー部31bの角度、ダイス31に付与する荷重等を決定するようにしてもよい。なお、荷重付与装置32によりダイス31に付与する荷重は、ダイスへの反発力に基づいて決定した荷重からダイス31の重量を差し引いた大きさである。
(塗布装置の実施例1)
図12に、塗布装置30の第1の実施例を示す。
この実施例は、図11と同様な片側ダイスを使用した塗布装置において、ダイス31内に、テーパー部31bによって形成されるキャビティの上流側と下流側とを連通するバイパス流路3fを設けるとともに、該バイパス流路の途中に流量調節手段39を設け、前記バイパス流路3fを通して下流側から上流側へ戻る溶液の量を調節可能に構成したものである。
この実施例においては、バイパス流路3fを通してキャビティ内の溶液の一部を下流側から上流側へ戻すことによって、テーパー部31bによって形成されるキャビティ内に生じる圧力分布のピークを低下させて平均化することができるとともに、制御装置60が流量調節手段39を調節して下流側から上流側へ戻る溶液の量を調節することによって圧力のピーク値(山の高さ)を制御することができるようになる。
その結果、参考例1で説明したような、使用する溶液の粘度および形成したい塗膜の厚みに応じてテーパー部31bの角度を決定するという設計が不要になる。これとともに、使用する溶液の粘度が変わったとしてもテーパー部の角度を変えない、つまりダイスを所望のテーパーを有するものに交換する必要がないという利点が得られる。また、形成する薄膜の膜厚を変える場合にも、参考例1では膜厚を変えることで圧力分布が変わってしまい、テーパー部31bの角度を変える必要が生じるような場合にも、本実施例を適用することで、ダイスを交換せずに、キャビティの下流側から上流側へ戻す溶液の量を調節することによって対応するようなことも可能になる。
(塗布装置の参考例2)
図13に、塗布装置30の第2の参考例を示す。
この参考例は、基材の表裏に同時に塗膜を形成できるようにしたもので、ダイス31の互いに対向する部位にそれぞれテーパー部31bA,31bBを設け、その間に形成されるキャビティに基材Bを通過させ、基材によって分離されるキャビティ内の空間C1,C2内に溶液を導入するための孔31dA,31dBをそれぞれ設けたものである。
各孔31d1,31d2には、溶液タンク35A,35Bから溶液を供給するパイプ36A,36Bの終端が結合されている。溶液タンク35A,35Bには、途中に圧力調整バルブ37A,37Bを有するパイプ38A,38Bを介して加圧ガスが導入可能にされており、制御装置60が圧力調整バルブ37A,37Bを調整することで、ダイス31のキャビティ内の2つの空間C1,C2に供給する溶液の圧力および流量をそれぞれ独立に制御できるように構成されている。
この実施例の塗布装置は、ダイス31内を走行する基材Bの表裏にそれぞれ塗膜を形成することができるが、表裏に塗膜を形成するのが主たる目的ではなく、キャビティの2つの空間C1,C2内の溶液に圧力差が生じるように制御して、基材の一方の面に形成される塗膜の厚みを制御することを目的としたものである。
具体的には、例えば図13において、基材Bの上側の面に形成する膜を薄くしたい場合には、上側の空間C1内の溶液の圧力を低くし下側の空間C2内の溶液の圧力を高くする。すると、走行する基材Bが相対的に上方へ移動して、ダイス31と基材Bとのクリアランスは上側が狭く下側が広くなる。その結果、基材Bの上側の面に形成する膜を薄くすることができる。
しかも、制御装置60によって圧力調整バルブ37A,37Bを制御して、2つの空間C1,C2内の溶液の圧力差を高精度に制御することによって、基材Bの上側の面に形成される塗膜の膜厚の精度を高くすることができる。また、この実施例の塗布装置は、図11および図12の実施例の塗布装置のように、基材を固定ステージ34に接触させる必要がないため、基材を傷つけるおそれがないという利点もある。
(塗布装置の参考例3)
図14に、塗布装置30の第4の参考例を示す。
この参考例は、ダイス31の互いに対向する部位に設けられてキャビティを形成するテーパー部31b1,31b2の傾斜をそれぞれ異なる角度に設定して、キャビティを通過する基材によって分離される2つの空間C1,C2内の溶液の圧力分布に差をつけて、基材の表裏に塗布される溶液の膜厚を変えるようにしたものである。また、ダイス31にはダイスを上下方向へ移動可能な移動装置61が接続されており、ダイス31を基材Bの走行面に対して相対的に上下に移動させることで膜厚を制御できるように構成されている。
図15に、図11に示すような片側ダイスを用いてそのテーパー部31dの角度を0.1〜5°の範囲で7段階に変えて、各角度におけるキャビティ内の溶液の圧力を測定した結果を示す。図15において、(A)は出口側のギャップを0.1mmとした場合の測定結果を、(B)は出口側のギャップを0.01mmとした場合の測定結果をそれぞれ示す。なお、基材の走行速度および使用した溶液の粘度はすべて同一である。
図15(A)より、ギャップが0.1mmの場合、角度が0.1〜1°の範囲では角度が大きいほど圧力のピーク値が高くなり、1.5°以上では角度が大きくなるほど圧力のピーク値が低くなることが分かる。また、図15(B)より、ギャップが0.01mmの場合には、角度が大きいほど圧力のピーク値が低くなることが分かる。なお、ギャップが0.001mmの場合についても測定した結果、ピーク点が出口側にずれ、全体として圧力値が高くなるものの図15(B)と同様の傾向となった。
上記測定結果より、図14のような上下2つの空間に分離されるキャビティを有するダイスを用いた塗布装置においては、キャビティの下側の空間C2を形成するテーパーの角度を上側の空間C1を形成するテーパーの角度よりも小さく設定することによって、下側の空間内の溶液の圧力を上側の空間内の溶液の圧力よりも高くすることができる。そのため、基材の走行面が、テーパーの角度が上下で同一の場合よりも上方へずれ、基材の裏面に形成される塗膜よりも表面に形成される塗膜の厚みを薄くすることができることが分かった。参考例3は、かかる知見に基づいてなされたものである。
なお、2つの空間C1,C2内に溶液を導入するための孔31d1,31d2には、それぞれ共通の溶液タンクから同一圧力の溶液を供給するようにパイプを接続しても良いし、図13と同様に異なる溶液タンク35A,35Bから異なる圧力の溶液を供給するようにしても良い。また、ダイスを上下方向へ移動させる代わりに、ダイス31をニップル部31aの始端を中心にして上下方向に回転させて基材走行面に対する角度を変えることで膜厚を制御することも可能である。
以上本発明の実施形態を幾つか説明したが、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、各実施形態で挙げた具体的材料や構成などはあくまで一例にすぎず、適宜変更可能である。例えば、前記実施例では、基材の表面に1層の薄膜を形成する場合を説明したが、図6(a),(b)に示すように、基材走行方向に沿って前後に2つ以上のキャビティ31A,31Bを設けたダイスを使用して、2層以上の薄膜を形成する装置に対しても前記実施例を適用することができる。
10 基材供給装置
11 ボビン(リール)
12 ガイドロール
13 ダンサー
20 前処理装置
21 ヘッド
22a,22b 電極
23 ガラス管
24 洗浄液を入れた液槽
30 塗布装置
31 ダイス
31a ニップル部
31b テーパー
31c ダイ部
32 荷重付与装置
33 荷重検出器
35 溶液タンク
37 圧力調整バルブ
40 熱処理装置
50 基材巻き取り装置
51 ボビン(リール)
52 ガイドロール
53 ダンサー
54 キャプスタン

Claims (9)

  1. 長尺基材を連続的に移送しながら、前記長尺基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
    前記長尺基材に対して対向配置されたキャビティを有する塗布ダイスを用いて前記長尺基材の表面に材料溶液を塗布し塗膜を形成する塗膜形成工程を有し、
    前記塗布ダイスは、
    前記キャビティを形成する前記長尺基材の走行方向の下流に向かって接近するテーパー部を有し、
    前記塗膜形成工程は、
    前記キャビティの上流側に接続する供給流路から前記キャビティ内へ所定の圧力で材料溶液を供給し、
    前記供給流路と前記キャビティ内の下流側とを連通するバイパス流路に設けられた流量調節手段により、前記バイパス流路を下流側から前記供給流路に流れる前記材料溶液の量を調節することによって、前記キャビティ内に発生する圧力を調整し、前記塗膜の厚さを制御することを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 前記塗膜形成工程は、前記塗布ダイスの前記基材と反対方向への反発力が所定の値に保たれるように、前記塗布ダイスに付与する基材へ向かう方向への荷重を制御して、前記長尺基材の表面に薄膜を形成する請求項1に記載の薄膜形成方法。
  3. 前記テーパー部の基材走行方向下流側の端部と走行する前記長尺基材の表面との隙間はそれぞれ0.01mm以下であり、各テーパー部の基材走行面に対する角度は5°以内である請求項1又は2に記載の薄膜形成方法。
  4. 前記長尺基材の表面に薄膜を形成する前に、走行する前記長尺基材の表面を洗浄または洗浄および表面改質する前処理工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
  5. 前記長尺基材の表面に薄膜を形成した後に、前記長尺基材の表面に形成された塗膜を加熱して溶媒を揮発除去する乾燥または乾燥および膜成分の分解もしくは結晶化を行なう熱処理工程を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
  6. 前記長尺基材を連続的に移送しながら前記長尺基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
    長尺基材をその長手方向へ移送可能な移送手段と、
    移送中の前記長尺基材の一方の面を案内するガイド部を有する基材ガイド手段と、
    前記長尺基材を挟んで前記基材ガイド手段と反対側に位置し、前記長尺基材の他方の面に対向するように配置されたキャビティを有する塗布ダイスと、
    前記塗布ダイスの前記キャビティ内へ所望の圧力で材料溶液を供給可能な材料溶液供給手段と、
    前記材料溶液を前記キャビティに導入する前記キャビティの上流側に接続する供給流路と、前記供給流路と前記キャビティ内の下流側とを連通するバイパス流路と、
    前記バイパス流路に設けられた流量調節手段と、
    を備え、
    前記塗布ダイスは、前記キャビティに対する入口を形成するニップル部と、前記キャビティに対する出口を形成するダイ部と、前記ニップル部から前記ダイ部へ向かうほど前記基材ガイド手段との間隔が狭くなるように傾斜され前記キャビティを形成するテーパー部と、を有し、
    前記流量調節手段により、前記バイパス流路を下流側から前記供給流路に流れる前記材料溶液の量を調節可能に構成されているとともに、
    前記流量調節手段により、前記バイパス流路を下流側から前記供給流路に流れる前記材料溶液の量を調節することによって、前記キャビティ内に発生する圧力を調整し、前記塗膜の厚さを制御可能に構成されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  7. 前記塗布ダイスに対して基材へ向かう方向への荷重を付与可能な荷重付与手段と、
    前記塗布ダイスによる材料溶液の塗布中に前記塗布ダイスへ加わる反発力を検出し該反発力が所定の値に保たれるように前記荷重付与手段によって前記塗布ダイスに付与する荷重を制御する荷重制御手段と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の薄膜形成装置。
  8. 前記塗布ダイスを備える塗布装置の前段に、走行する前記長尺基材の表面を洗浄または洗浄および表面改質する前処理装置を備える請求項6又は7に記載の薄膜形成装置。
  9. 前記塗布ダイスを備える塗布装置の後段に、前記長尺基材の表面に形成された塗膜を加熱して溶媒を揮発除去する乾燥または乾燥および膜成分の分解もしくは結晶化を行なう熱処理装置を備える請求項6〜8のいずれか1項に記載の薄膜形成装置。
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