JP2013128928A - 薄膜形成方法及び薄膜形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】長尺基材を連続的に移送しながら、少なくともその一方の表面に所定の間隔をおいて対向配置されたキャビティを有する塗布ダイスを用いて基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成方法において、塗布ダイスには、キャビティを形成する基材走行方向下流に向かって接近するテーパー部とキャビティの上流側と下流側とを連通するバイパス流路が設けられ、塗布ダイスのキャビティ内へ所定の圧力で材料溶液を供給しながら、バイパス流路に設けられた流量調節手段によりキャビティ内に発生する圧力を調整しつつ、該圧力により生じる塗布ダイスへの反発力が所定の値に保たれるように塗布ダイスに付与する基材へ向かう方向への荷重を制御して長尺基材の表面に薄膜を形成するようにした。
【選択図】図11
Description
長尺基材を連続的に移送しながら、少なくともその一方の表面に所定の間隔をおいて対向配置されたキャビティを有する塗布ダイスを用いて1種類以上の材料溶液を塗布し前記長尺基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記塗布ダイスには、前記キャビティを形成する基材走行方向下流に向かって接近するテーパー部と前記キャビティの上流側と下流側とを連通するバイパス流路が設けられ、
前記塗布ダイスの前記キャビティ内へ所定の圧力で材料溶液を供給しながら、前記バイパス流路に設けられた流量調節手段により、キャビティ内に発生する圧力を調整しつつ、該圧力により生じる前記塗布ダイスへの反発力が所定の値に保たれるように前記塗布ダイスに付与する基材へ向かう方向への荷重を制御して、前記長尺基材の表面に薄膜を形成するようにした。
また、前記長尺基材の表面に薄膜を形成する前に、走行する前記長尺基材の表面を洗浄または洗浄および表面改質する前処理工程を有するようにする。
また、前記長尺基材の表面に薄膜を形成した後に、前記長尺基材の表面に形成された塗膜を加熱して溶媒を揮発除去する乾燥または乾燥および膜成分の分解もしくは結晶化を行なう熱処理工程を有するようにする。
長尺基材をその長手方向へ移送可能な移送手段と、移送中の前記長尺基材の一方の面を案内するガイド部を有する基材ガイド手段と、前記長尺基材を挟んで前記基材ガイド手段と反対側に位置し前記長尺基材の他方の面に対向するように配置されたキャビティを有する塗布ダイスと、前記塗布ダイスの前記キャビティ内へ所望の圧力で材料溶液を供給可能な材料溶液供給手段と、を備え、前記長尺基材を連続的に移送しながらその一方の表面に前記塗布ダイスを用いて1種類以上の材料溶液を塗布し薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
前記塗布ダイスは、前記キャビティに対する入口を形成するニップル部と、前記キャビティを形成するテーパー部および前記キャビティに対する出口を形成するダイ部とを有し、前記テーパー部は前記ニップル部から前記ダイ部へ向かうほど前記基材ガイド手段との間隔が狭くなるように傾斜されるとともに、前記キャビティの上流側と下流側とを連通するバイパス流路と、該バイパス流路の途中に設けられた流量調節手段とを備え、前記バイパス流路を通して下流側から上流側へ戻る溶液の量を調節可能に構成されているとともに、
前記塗布ダイスに対して基材へ向かう方向への荷重を付与可能な荷重付与手段と、前記塗布ダイスによる材料溶液の塗布中に前記塗布ダイスへ加わる反発力を検出し該反発力が所定の値に保たれるように前記荷重付与手段によって前記塗布ダイスに付与する荷重を制御する荷重制御手段と、を備えるようにした。
図1は、本発明を適用して好適な薄膜形成装置全体の概略構成を示す全体構成図である。
(基材移送装置および工程)
基材移送装置は、図1に示すように、基材供給装置10からボビン(もしくはリール)11に巻かれた長尺基材Bを繰り出し、ガイドロール12、ダンサー13等を経てキャプスタン54で移送し、基材巻き取り装置50側のボビン(もしくはリール)51にて巻き取るように構成したものである。一般に、長尺基材はボビンに整列巻きされるが、図3に示すような平板型の基材の場合は、リールに重ね巻きするのが望ましい。
前処理装置20は、図1における繰り出し側ダンサー13と巻き取り側ダンサー53との間であって塗布装置30の前段に設置され、走行する長尺基材Bに対して所定の成分のガス(プラズマが望ましい)や液体を照射もしくは浸漬して表面の洗浄や表面改質を行なう。
塗布装置30は、図1における繰り出し側ダンサー13と巻き取り側ダンサー53との間であって前記前処理装置20の後段に設置され、図4に示すように、走行する長尺基材Bに対してダイス31により基材表面に溶液とを塗布するものである。ダイス31の設置場所は、図1に示すように前処理装置20の直後の位置がよく、かつ前処理装置20から塗布装置30にかけては不活性ガスを満たす等により基材が外気にさらされない構造にするのが望ましい。
平板型の基材への薄膜塗布に適したダイスの例が図9に示されている。ダイス31と基材Bとのクリアランスは数10μm以上で、接触することなく走行可能なレベルとする。上限値に制約はないが、クリアランスが大き過ぎると液だれを引き起こすので100μm程度を上限とするのが望ましい。
具体的な塗布装置の制御・設計パラメータは、基材への塗布時におけるダイス内での基材表面の圧力分布により決定される。平板型基材への塗布時の圧力分布P(x)は以下の式で与えられる。
熱処理装置40は、図1における繰り出し側ダンサー13と巻き取り側ダンサー53との間で前記塗布装置30の後段に設置されるもので、図5に示すように、走行する基材Bを周囲から加熱することで、前記塗布工程にて基材表面に形成された塗膜中の溶媒の揮発除去(乾燥)、および必要に応じて熱分解や結晶化といった膜質制御を行なう。従って、熱処理装置40は、乾燥器のみまたは乾燥器と熱処理器とから構成される。
図11に、前記塗布装置30の第1の参考例を示す。
この参考例は、片側ダイスを使用した塗布装置である。図11に示すように、ダイス31には、入口側から出口側に向かって順に、ニップル部31a、テーパー部31b、ダイ部31cが形成されている。テーパー部31bは、入口側から出口側に向かって次第に基材Bとのクリアランスが狭くなるように傾斜されている。かかるテーパー部31bをダイスに設けることによって、テーパー部31bによって形成されるキャビティ内で矢印Aのような循環流が生じ、この循環流によって基材Bの走行方向と垂直な方向へ走行速度に比例するような反発力が生じるようになる。
図12に、塗布装置30の第1の実施例を示す。
この実施例は、図11と同様な片側ダイスを使用した塗布装置において、ダイス31内に、テーパー部31bによって形成されるキャビティの上流側と下流側とを連通するバイパス流路3fを設けるとともに、該バイパス流路の途中に流量調節手段39を設け、前記バイパス流路3fを通して下流側から上流側へ戻る溶液の量を調節可能に構成したものである。
図13に、塗布装置30の第2の参考例を示す。
この参考例は、基材の表裏に同時に塗膜を形成できるようにしたもので、ダイス31の互いに対向する部位にそれぞれテーパー部31bA,31bBを設け、その間に形成されるキャビティに基材Bを通過させ、基材によって分離されるキャビティ内の空間C1,C2内に溶液を導入するための孔31dA,31dBをそれぞれ設けたものである。
図14に、塗布装置30の第4の参考例を示す。
この参考例は、ダイス31の互いに対向する部位に設けられてキャビティを形成するテーパー部31b1,31b2の傾斜をそれぞれ異なる角度に設定して、キャビティを通過する基材によって分離される2つの空間C1,C2内の溶液の圧力分布に差をつけて、基材の表裏に塗布される溶液の膜厚を変えるようにしたものである。また、ダイス31にはダイスを上下方向へ移動可能な移動装置61が接続されており、ダイス31を基材Bの走行面に対して相対的に上下に移動させることで膜厚を制御できるように構成されている。
11 ボビン(リール)
12 ガイドロール
13 ダンサー
20 前処理装置
21 ヘッド
22a,22b 電極
23 ガラス管
24 洗浄液を入れた液槽
30 塗布装置
31 ダイス
31a ニップル部
31b テーパー部31b
31c ダイ部
32 荷重付与装置
33 荷重検出器
35 溶液タンク
37 圧力調整バルブ
40 熱処理装置
50 基材巻き取り装置
51 ボビン(リール)
52 ガイドロール
53 ダンサー
54 キャプスタン
Claims (7)
- 長尺基材を連続的に移送しながら、少なくともその一方の表面に所定の間隔をおいて対向配置されたキャビティを有する塗布ダイスを用いて1種類以上の材料溶液を塗布し前記長尺基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記塗布ダイスには、前記キャビティを形成する基材走行方向下流に向かって接近するテーパー部と前記キャビティの上流側と下流側とを連通するバイパス流路が設けられ、
前記塗布ダイスの前記キャビティ内へ所定の圧力で材料溶液を供給しながら、前記バイパス流路に設けられた流量調節手段により、キャビティ内に発生する圧力を調整しつつ、該圧力により生じる前記塗布ダイスへの反発力が所定の値に保たれるように前記塗布ダイスに付与する基材へ向かう方向への荷重を制御して、前記長尺基材の表面に薄膜を形成する薄膜形成方法。 - 前記テーパー部の基材走行方向下流側の端部と走行する前記長尺基材の表面との隙間はそれぞれ0.01mm以下であり、各テーパー部の基材走行面に対する角度は5°以内である請求項1に記載の薄膜形成方法。
- 前記長尺基材の表面に薄膜を形成する前に、走行する前記長尺基材の表面を洗浄または洗浄および表面改質する前処理工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜形成方法。
- 前記長尺基材の表面に薄膜を形成した後に、前記長尺基材の表面に形成された塗膜を加熱して溶媒を揮発除去する乾燥または乾燥および膜成分の分解もしくは結晶化を行なう熱処理工程を有する請求項1〜3のいずれか1に記載の薄膜形成方法。
- 長尺基材をその長手方向へ移送可能な移送手段と、移送中の前記長尺基材の一方の面を案内するガイド部を有する基材ガイド手段と、前記長尺基材を挟んで前記基材ガイド手段と反対側に位置し前記長尺基材の他方の面に対向するように配置されたキャビティを有する塗布ダイスと、前記塗布ダイスの前記キャビティ内へ所望の圧力で材料溶液を供給可能な材料溶液供給手段と、を備え、前記長尺基材を連続的に移送しながらその一方の表面に前記塗布ダイスを用いて1種類以上の材料溶液を塗布し薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
前記塗布ダイスは、前記キャビティに対する入口を形成するニップル部と、前記キャビティを形成するテーパー部および前記キャビティに対する出口を形成するダイ部とを有し、前記テーパー部は前記ニップル部から前記ダイ部へ向かうほど前記基材ガイド手段との間隔が狭くなるように傾斜されるとともに、前記キャビティの上流側と下流側とを連通するバイパス流路と、該バイパス流路の途中に設けられた流量調節手段とを備え、前記バイパス流路を通して下流側から上流側へ戻る溶液の量を調節可能に構成されているとともに、
前記塗布ダイスに対して基材へ向かう方向への荷重を付与可能な荷重付与手段と、前記塗布ダイスによる材料溶液の塗布中に前記塗布ダイスへ加わる反発力を検出し該反発力が所定の値に保たれるように前記荷重付与手段によって前記塗布ダイスに付与する荷重を制御する荷重制御手段と、を備えた薄膜形成装置。 - 前記塗布ダイスを備える塗布装置の前段に、走行する前記長尺基材の表面を洗浄または洗浄および表面改質する前処理装置を備える請求項5に記載の薄膜形成装置。
- 前記塗布ダイスを備える塗布装置の後段に、前記長尺基材の表面に形成された塗膜を加熱して溶媒を揮発除去する乾燥または乾燥および膜成分の分解もしくは結晶化を行なう熱処理装置を備える請求項5または6に記載の薄膜形成装置。
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