JP5666281B2 - 水硬性粉体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粉砕助剤を用いて水硬性化合物を粉砕する工程を有する、水硬性粉体の製造方法に関する。
水硬性化合物、例えばポルトランドセメントクリンカ、高炉スラグ等を粉砕して種々の水硬性粉体が製造されている。例えば、ポルトランドセメントは、石灰石、粘土、鉄さい等の原料を焼成して得られたクリンカに適量の石膏を加え、粉砕して製造される。その際、水硬性化合物の粉砕効率を高めるために、ジエチレングリコールやトリエタノールアミンなどの粉砕助剤が用いられている。粉砕工程においては、得られる水硬性粉体を用いた硬化体の強度を低下させることなく、水硬性化合物をできるだけ能率良く所望の粒径にすることが望ましい。
粉砕助剤として例えば、特許文献1には、クリンカの粉砕効率、及びセメントの硬化時の圧縮強度を向上させることを目的として、クリンカを粉砕するに際し、グリセリンモノ酢酸エステル(モノアセチン)を、クリンカ100重量部に対し0.05〜0.50重量部を添加して粉砕するセメントの製造方法が開示されている。
また特許文献2には、水硬性セメントを製造する際の粉砕補助剤、及び詰込み固化防止剤類として使用するための添加組成物、及びこれらの組成物類を含有する水硬性セメント類に関して、水溶性ポリオールと、3個以下の炭素を持っている脂肪族酸の水溶性塩からなる添加組成物が開示されている。そして、水溶性ポリオールとして、プロピレングリコール、ジエチングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタンジオール、ブタンジオール、ブチンジオール、ブテンジオール等が挙げられている。
米国特許第2203809号明細書 特公昭48−42697号公報
しかしながら、水硬性粉体の製造方法では、水硬性化合物の粉砕性と得られる水硬性粉体を用いた水硬性組成物の硬化時の圧縮強度の双方において、さらなる向上が望まれる。
本発明の課題は、水硬性化合物の粉砕効率が良いこと、即ち、所望の粒径に到達するまでの時間を短縮することができること、及び得られる水硬性組成物の硬化時(24時間)の圧縮強度を向上させるセメント等の水硬性粉体が得られることを両立する水硬性粉体の製造方法を提供することである。硬化時の圧縮強度(24時間)は、例えばコンクリート二次製品の生産サイクルに関連する脱型可能な時間の指標となる。
本発明者は、グリセリンモノ酢酸エステルと、ジエチレングリコール、ジグリセリンといった炭素数が3〜8のポリオールとを、粉砕助剤として併用することで、水硬性化合物の粉砕性と水硬性組成物の硬化時の圧縮強度の双方が大きく向上することを見出した。
本発明は、グリセリンモノ酢酸エステルと炭素数が3〜8のポリオールとの存在下で、水硬性化合物を粉砕する工程を有する、水硬性粉体の製造方法に関する。
また、本発明は、上記本発明の製造方法で得られた水硬性粉体であって、ブレーン比表面積測定法により測定された比表面積が2000〜5000cm2/gである水硬性粉体に関する。
また、本発明は、グリセリンモノ酢酸エステルと炭素数が3〜8のポリオールとを含有する水硬性化合物用の粉砕助剤に関する。
本発明によれば、グリセリンモノ酢酸エステル(モノアセチン)と炭素数が3〜8である他のポリオールとを併用することで、水硬性化合物の粉砕効率が良いこと、即ち、所望の粒径に到達するまでの時間を短縮することができること、及び得られる水硬性組成物の硬化時の圧縮強度を向上させるセメント等の水硬性粉体が得られることを両立する水硬性粉体の製造方法が提供される。
粉砕助剤による粉砕性が向上する理由は2つあると考えられる。第1の理由は被粉砕物の静電気的なアグロメレーションを抑制する点、第2の理由は空気中の水分、粉砕助剤の希釈水、添加する二水石こう結晶水からの脱水等による水分を介して被粉砕粒子同士が凝集する液架橋を抑制する点である。
本発明の効果を発現する機構は不明であるが、以下の様に推定される。すなわち、本発明に係る、グリセリンモノ酢酸エステルと炭素数3〜8のポリオールとを、水硬性化合物を粉砕する際に存在させることで、従来の粉砕助剤と比較して、より短時間で所望の粒径にまで粉砕することができる。グリセリンモノ酢酸エステルと前記ポリオールは、被粉砕物の破断面に対する被覆面積が異なるので、これらの化合物を併用することで、相補的に隙間を埋め、より隙間無く被粉砕物の破断面に分子が配列することが可能となると推定される。また、グリセリンモノ酢酸エステルは疎水性のメチル基を有しており、ポリオールとの併用により適度な間隔でメチル基を被粉砕物表面から外側に配向させることで、水分による液架橋の抑制がより効果的に発揮されるものと推定される。なお、このメチル基の数が過剰になると、得られる水硬性粉体の水和反応を阻害する要因となるため、メチル基には最適な量があるものと推定される。炭素数が2以下のポリオールでは1分子当たりの被覆面積が過度に小さくなり、グリセリンモノ酢酸エステルとの併用の効果は小さいと推定される。また、炭素数が9以上のポリオールは分子量が大きく、分子の運動性が極端に低下するため、破断面に対する濡れ広がり性が低下して、グリセリンモノ酢酸エステルとの併用の効果は小さいと推定される。より隙間の無い被粉砕物の破断面の被覆と、被粉砕物表面から外側に向かって配向された適度な数のメチル基(疎水基)により、静電気的なアグロメレーションと、水分による液架橋の双方が抑制され、粉砕効率が良好になるものと推定される。
一方、水硬性組成物の硬化時の圧縮強度の向上に関して、接水から24時間の初期圧縮強度を向上させるためには、水和生成物内の空隙率の減少と、水和生成物を構成する結晶構造の緻密化が効果的であると推定される。
本発明に係るグリセリンモノ酢酸エステルが、セメント水和系中において、加水分解を起こすことで、グリセリンと酢酸が生成する。そして、グリセリンはセメントに含まれる各鉱物であるC3A、C4AFと石こうからなる水和生成物であるエトリンガイトの生成を促進し、酢酸はセメント水和水のpHを徐々に低下させることにより、エトリンガイトとC3Aからなる水和生成物であるモノサルフェートの生成を促進する。エトリンガイトはその長い針状結晶の絡み合いによりセメント水和生成物内の空隙率を大きく減少させ、モノサルフェートはその緻密な六角板結晶の積層によりセメント水和生成物を構成する結晶構造の緻密性を大きく向上させる。これらのセメント水和物がより効率的に生成することで、セメントの接水から24時間の初期圧縮強度が向上すると推定される。
炭素数3〜8のポリオールは、そのカルシウムイオン捕捉能(pKCa)により、水和水中の石こうの溶解を促進する。この石こうの溶解促進作用が、先に述べたグリセリンのエトリンガイト生成促進作用と相乗的に働くものと考えられる。
本発明に係るグリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールは市販品を用いることができる。
グリセリンモノ酢酸エステルは、グリセリンジ酢酸エステル及びグリセリントリ酢酸エステルと比べ水への溶解性が高い。水硬性化合物の粉砕時には、水を添加してグリセリンモノ酢酸エステルを含む液の粘度を調整することができる。また、本発明により製造された水硬性粉体を水と混合して水硬性組成物を調製する際の水との混合性にも優れている。
本発明に係る炭素数3〜8のポリオールは、炭素数3〜8であって水酸基を2個以上有する化合物である。炭素数は、水硬性組成物の24時間後の強度発現の観点から3〜6が好ましく、4〜6がより好ましい。水酸基の数は、水硬性化合物の粉砕時の液架橋を抑制し、粉砕時間を短縮する観点から、2〜4個が好ましく、2個又は3個がより好ましい。ただし、当該ポリオールからは、グリセリンモノ酢酸エステルは除かれる。炭素数3〜8のポリオールのうち、炭素原子、水素原子及び酸素原子のみからなる(構成元素が炭素、水素及び酸素のみである)ものとしては、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタンジオール、ブタンジオール及びブチンジオール及び、ブテンジオールなどが挙げられる。また、炭素原子、水素原子、酸素原子以外の原子を含む(構成元素が炭素、水素及び酸素、並びにこれら以外の元素である)化合物として、アルキルアルカノールアミンが挙げられ、具体的にはトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−プロピルジエタノールアミン及びN−n−ブチルジエタノールアミンが挙げられる。
被粉砕物の破断面に対する吸着力が高く水硬性化合物の粉砕時間を短縮できる観点から、炭素数3〜8のポリオールとしては、炭素原子、水素原子、酸素原子のみからなるものが好ましく、これらの中でもさらにジエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン及びグリセリンのエチレンオキサイド付加物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ジエチレングリコール及びジグリセリンからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、水硬性化合物の粉砕時間の短縮の観点から、ジエチレングリコールがより更に好ましい。エチレンオキサイド付加物のエチレンオキサイドの平均付加モル数は、水硬性化合物の粉砕時間の短縮の観点から、0.5〜2が好ましい。
本発明では、グリセリンモノ酢酸エステルと炭素数3〜8のポリオールの重量比は、水硬性化合物の粉砕性の向上及び得られる水硬性組成物の硬化時の圧縮強度の向上、以上2つの観点から、グリセリンモノ酢酸エステル/炭素数3〜8のポリオール=3/7〜7/3が好ましく、4/6〜6/4がより好ましい。
本発明に係るグリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールは、通常、その混合物が常温、例えば20℃において、液状であるので、水硬性化合物を粉砕に用いる際の秤量や添加操作等の作業性に優れるものである。グリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールの混合物は、濃度100重量%の液状として用いることができるが、更に取扱いを容易にする観点から、水溶液として用いても良い。その場合のグリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールの水溶液中の合計の濃度は30〜99重量%が好ましく、40〜99重量%がより好ましく、50〜99重量%が更に好ましい。
本発明の水硬性粉体の製造方法では水硬性化合物を粉砕し水硬性粉体を得る。水硬性化合物とは、水と反応して硬化する性質をもつ物質、及び単一物質では硬化性を有しないが2種以上を組み合わせると水を介して相互作用により水和物を形成し硬化する化合物をいう。一般に、水硬性化合物はアルカリ土類金属の酸化物とSiO2、Al23、Fe23、TiO2、P25、ZnOなどの酸化物が常温又は水熱条件下で水和物を形成する。水硬性化合物としては、例えば、セメントに含有される鉱物(C3S、C2S、C3A、C4AF)、スラグ、フライアッシュ、石灰石、鉄さい、石膏、アルミナ、焼却灰等が挙げられ、水硬性粉体の原料として用いることができる。
水硬性粉体としてポルトランドセメントを得る場合、例えば、ポルトランドセメントは、石灰石、粘土、鉄さい等の原料を焼成して得られた水硬性化合物であるクリンカ(セメントクリンカとも言い、石膏が入っている場合もある)を予備粉砕し、必要に応じて石膏を加え、仕上粉砕して、ブレーン値2500cm2/g以上の比表面積を有する粉体として製造される。本発明に係るグリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールは、前記水硬性化合物、好ましくはクリンカ粉砕の際の粉砕助剤として、好適には仕上粉砕での粉砕助剤として用いられる。グリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールは、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物、例えばセメントクリンカ100重量部に対して合計の固形分で0.001〜0.2重量部、より0.005〜0.1重量部、更に0.01〜0.06重量部となるように用いることが、短時間で所望の粒径に粉砕する観点から好ましい。グリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールの存在下で粉砕する方法として、水硬性化合物、例えばクリンカを含む原料にグリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールの混合物、好ましくは水溶液を添加して行うことが好ましい。他の成分としては、消泡剤、水、グリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオール以外の公知の粉砕助剤等が挙げられる。
本発明の水硬性粉体の製造方法では、原料、用途等により、適当な粒径の粉体が得られるよう、粉砕の条件を調整すればよい。得られる水硬性粉体の硬化時の圧縮強度、及び製造コストの観点から、比表面積、ブレーン値が2000〜5000cm2/gが好ましく、2500〜5000cm2/gがより好ましく、3000〜4000cm2/gが更に好ましい。比表面積が前記範囲を満たす粉体となるまで、水硬性化合物、例えばクリンカの粉砕を行うことが好ましい。目的のブレーン値は、例えば粉砕時間を調整することにより得ることができる。粉砕時間を長くするとブレーン値が大きくなり、短くするとブレーン値が小さくなる傾向がある。
本発明において、水硬性化合物の粉砕に使用される粉砕装置は、特に限定されないが、例えばセメントなどの粉砕で汎用されているボールミルを挙げることができる。該装置の粉砕媒体(粉砕ボール)の材質は、被粉砕物(例えばセメントクリンカの場合、カルシウムアルミネート)と同等又はそれ以上の硬度を有するものが望ましく、一般に入用可能な市販品では、例えば鋼、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、チタニア、タングステンカーバイド等を挙げることができる。
本発明の製造方法で得られる水硬性粉体では、固形分でグリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールの合計量で水硬性粉体中、0.0005〜0.2重量%、より0.0025〜0.1重量%、更に0.005〜0.06重量%含有することが好ましい。
本発明に係るグリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールは、水硬性化合物用の粉砕助剤として、水硬性化合物の粉砕に用いられ、粉砕効率が良く、水硬性組成物の圧縮強度を向上させることができる。
本発明に係るグリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールは、水硬性化合物用、なかでもクリンカ用の粉砕助剤として好適である。すなわち、水硬性化合物を粉砕する際に、粉砕助剤として、グリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールを用いる、水硬性粉体の製造方法が提供される。本発明の水硬性粉体の製造方法では、水硬性化合物100重量部に対して、固形分でグリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールの合計量が0.001〜0.5重量部、より0.005〜0.2重量部、更に0.01〜0.1重量部の存在量となるように用いることが好ましい。なかでもクリンカ100重量部に対して、固形分でグリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールの合計量が0.001〜0.2重量部、より0.005〜0.1重量部、更に0.01〜0.06重量部の存在量となるように用いることが好ましい。
グリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオールを含有する水溶液を用いる場合は、水硬性化合物の粉砕性と硬性化合物の粉砕に用いる際の秤量や添加操作等の作業性の観点から、水硬性化合物100重量部に対して当該水溶液の水の量が0.001〜0.1重量部であること好ましく、0.001〜0.08重量部であることがより好ましく、0.001〜0.05重量部であることが更に好ましい。
水硬性組成物中の空気量増大現象による強度低下を抑制する観点から、更に消泡剤を併用することができる。また、消泡剤を、水硬性化合物の粉砕時に存在させることで、得られる水硬性粉体の表面に消泡剤を均一に分布させ、前記抑制効果をより効果的に発現させることもできる。
消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤及びエーテル系消泡剤が好ましく、シリコーン系消泡剤ではジメチルポリシロキサンがより好ましく、脂肪酸エステル系消泡剤ではポリアルキレングリコール脂肪酸エステルがより好ましく、エーテル系消泡剤ではポリアルキレングリコールエーテルがより好ましい。
グリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオール(a)と消泡剤(b)の重量比は、空気量増大現象による強度低下を抑制できる観点から、(a)/(b)=99/1〜50/50が好ましく、より97/3〜60/40、更に95/5〜70/30が好ましい。なお、グリセリンモノ酢酸エステル及び炭素数3〜8のポリオール(a)と消泡剤(b)の重量比は有効分(固形分)換算で算出される。
本発明の製造方法により得られた水硬性粉体を用いた水硬性組成物は圧縮強度が向上されたものとなる。水硬性粉体としては、ポルトランドセメント、高炉スラグ、アルミナセメント等のセメント、フライアッシュ、石灰石、石膏等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られた水硬性粉体は、コンクリート構造物やコンクリート製品の材料として用いることができる。本発明の製造方法により得られた水硬性粉体を用いたコンクリートは、接水から24時間後の圧縮強度が向上するので、例えば、本発明の製造方法により得られた水硬性粉体に、接水後の初期材齢強度が低い水硬性粉体(高炉スラグ、フライアッシュ、石灰石等)を配合・置換しても、本発明未実施の水硬性粉体を用いた場合と比較して、同等以上の、24時間後の圧縮強度を得ることが出来る、等の利点を有する。
以下の使用材料を以下の配合量で用いて、一括仕込みし、ボールミルにより粉砕したときの粉砕効率(目標ブレーン値までの到達粉砕時間)と、得られたセメントを使用した水硬性組成物の圧縮強度試験を以下のように評価した。結果を表1に示す。
(1−1)使用材料
・クリンカ:成分が、CaO:約66%、SiO2:約23%、Al23:約5%、Fe23:約3%、MgO他:約3%(重量基準)となるように、石灰石、粘土、けい石、酸化鉄原料等を組み合わせて焼成したものを、クラッシャー及びグラインダーにより一次粉砕して得た、普通ポルトランドセメント用クリンカ(3.5mmふるい通過物)
・二水石膏:SO3量45.93重量%の二水石膏
・粉砕助剤:表1参照。
(1−2)配合量
・クリンカ:1000g
・二水石膏:37.0g(クリンカ100重量部に対してSO3量1.7重量部)
・粉砕助剤:表1の化合物を、水硬性化合物(クリンカ)100重量部に対する添加量がグリセリン脂肪酸エステルとポリオールの合計量で0.04重量部となるように、50重量%水溶液で使用した。
(1−3)ボールミル
株式会社セイワ技研製AXB−15を用い、ステンレスポット容量は18リットル(外径300mm)とし、ステンレスボールは30mmφ(呼び1・1/4)を30個、20mmφ(呼び3/4)を70個の合計100個のボールを使用し、ボールミルの回転数は、35rpmとした。また粉砕途中で粉砕物を一部排出しサンプリングした。
(1−4)粉砕到達時間
目標ブレーン値を3300±100cm2/gとし、粉砕開始から60分、75分、90分後のサンプルについてブレーン値を測定し、目標ブレーン値3300cm2/gに達する時間をマイクロソフト社製マイクロソフトエクセル2003の二次回帰式により求めた。その時間を最終到達時間(粉砕到達時間)として粉砕を終了し、セメントを得た。セメント中のグリセリン脂肪酸エステルとポリオールの合計量は、用いた原材料の量から計算して0.04%である。なおブレーン値の測定は、セメントの物理試験方法(JIS R 5201)に定められるブレーン空気透過装置を使用した。この試験での粉砕到達時間の相違は、実機レベルではより大きな差となってあらわれる。粉砕時間が短いほど粉砕性に優れることを示す。
(1−5)圧縮強度試験
硬化強度の測定は、セメントの物理試験方法(JIS R 5201)附属書2(セメントの試験方法−強さの測定)に従った。用いたセメントは、前記で得られたブレーン値3300±100cm2/gのものである。コンクリート製品や構造物の製造の観点から、圧縮強度は大きいほど望ましい。
Figure 0005666281
・モノアセチン:グリセリンモノ酢酸エステル(炭素数5)、和光純薬工業(株)製、試薬
・ジエチレングリコール:和光純薬工業(株)製、試薬(純度99%)、炭素数4
・グリセリン:和光純薬工業(株)製、試薬(純度99%)、炭素数3
・ジグリセリン:和光純薬工業(株)製、試薬、炭素数6
・グリセリンEO1モル付加物:グリセリンエチレンオキサイド(平均1モル)付加物、炭素数5
・トリグリセリン:阪本薬品工業(株)製、試薬、炭素数9
表1より、グリセリンモノ酢酸エステルと炭素数3〜8のポリオールを併用することで、それぞれを単独で同じ量を用いた時よりも粉砕効率と圧縮強度の両方が大きく向上することがわかる。なお、表1の値はいずれも粉砕助剤を用いない場合を基準値(100)とする相対値である。参考として、圧縮強度の絶対値は、24時間後の基準値の平均値(N=10)が13N/mm2(±2N/mm2)であった。

Claims (4)

  1. グリセリンモノ酢酸エステルと炭素数が3〜8のポリオール(グリセリンモノ酢酸エステルを除く)との存在下で、水硬性化合物を粉砕する工程を有する、水硬性粉体の製造方法であって、前記ポリオールが、ジエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン及びグリセリンのエチレンオキサイド付加物からなる群から選ばれる1種以上である、水硬性粉体の製造方法。
  2. グリセリンモノ酢酸エステル及び前記ポリオールを、水硬性化合物100重量部に対して、合計の固形分で0.001〜0.2重量部用いる、請求項1記載の水硬性粉体の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の製造方法で得られた水硬性粉体であって、ブレーン比表面積測定法により測定された比表面積が2000〜5000cm2/gである水硬性粉体。
  4. グリセリンモノ酢酸エステルと炭素数が3〜8のポリオール(グリセリンモノ酢酸エステルを除く)とを含有する水硬性化合物用の粉砕助剤であって、前記ポリオールが、ジエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン及びグリセリンのエチレンオキサイド付加物からなる群から選ばれる1種以上である、水硬性化合物用の粉砕助剤
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