現在、電子機器の入力装置として、タッチパネルやタッチパッドなどが広く採用されている。そのような入力装置において、操作者がタッチパネルやタッチパッドなどを操作した際に、タッチパネルやタッチパッドを湾曲振動させることにより、操作者の指先などに操作感をフィードバックするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図8は、特許文献1に記載の電子機器を分解した外観斜視図である。図8に示すように、特許文献1に記載の電子機器(ディスプレイ装置)は、ディスプレイモニタ100、パネル固定用フレーム210、タッチパネル400、およびカバー500を備えている。この電子機器は、タッチパネル400等の各部品が、上記ディスプレイモニタ100に対して組付けられることにより構成されている。
特許文献1に記載の電子機器において、ディスプレイモニタ100は、液晶ディスプレイ(LCD)で構成され、全体が矩形かつ扁平な形状を有している。ディスプレイモニタ100は、図示しない制御装置による制御に従って、例えばキーやボタン等のオブジェクトまたは各種の情報などを、その表示面に表示する。このディスプレイモニタ100の表示面上には、当該モニタ100とほぼ同じ大きさのタッチパネル400が位置するように組付けられる。
タッチパネル400は、例えば透明な樹脂板にマトリクス状のスイッチ回路が形成され、パネル表面が操作者の指先などにより接触されると、その接触位置に応じた検出信号を前記制御装置に出力するように構成されている。つまり、操作者は、タッチパネル400を通して映し出されるディスプレイモニタ100の表示に従って当該パネル400に対して操作を行うことにより、前記電子機器に対して当該表示に応じた各種情報を入力することができる。
この電子機器においては、図8に示すように、タッチパネル400に裏面には、上部長辺(図の奥側)および下部長辺(図の手前側)に沿って、一対の圧電素子(ピエゾ素子)420が貼り付けられている。タッチパネル400が操作者による接触を検出すると、この電子機器は、前記制御装置から圧電素子420に駆動信号(電圧)を付与する。この駆動信号を受信すると、圧電素子420は伸縮してタッチパネル400を変形(湾曲)させるため、この電子機器は、タッチパネル400の操作面に対して振動を発生させることができる。すなわち、上記操作に伴って、タッチパネル400が振動することにより、操作者は操作感を得ることができるようになっている。
なお、この電子機器において、タッチパネル400は、パネル固定用フレーム210を介して前記ディスプレイモニタ100に組付けられている。パネル固定用フレーム210は、ABS等の硬質の樹脂材料から形成されることにより全体が剛性を有した構成となっている。
図8に示すように、パネル固定用フレーム210には、前記タッチパネル400をその四隅において保持するホルダ220が組付けられる。図9は、4つのホルダ220のうち1つが、タッチパネル400の隅に取り付けられる様子を示す拡大図である。各ホルダ220には、タッチパネル400の角部を差込み可能なスリット状の差込み部360がそれぞれ形成されている。また、図8に示すように、パネル固定用フレーム210の周囲側面には、各側面それぞれの端部付近に、ホルダ220を固定するための固定孔320が設けられている。そして、図9に示すホルダ220に形成されたフック340aが、図8に示す各固定孔320に差し込まれることにより、各ホルダ220は、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に固定する。
このように、各ホルダ220にタッチパネル400の四隅がそれぞれ差込まれると、各ホルダ220は、タッチパネル400を四隅で外側から拘束するとともに、厚み方向の両側からも拘束した状態で保持する。したがって、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネル400が固定されるように配置することができる。
また、ホルダ220は、それぞれ、パネル固定用フレーム210よりも弾性係数の小さい材料から形成されており、例えばシリコン系の樹脂またはゴムにより一体成型されている。このように、ホルダ220は、タッチパネル400を安定的に保持する一方で、タッチパネル400が振動できるように弾性変形可能に構成されている。なお、タッチパネル400とディスプレイモニタ100との間には、タッチパネル400の厚み方向の変位を可能とする隙間が確保される。このため、圧電素子420が振動する際に、当該振動に伴うタッチパネル400の厚み方向の変位が可能となっている。
したがって、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネル400を振動させる際に、その振動を大きく妨げることがないようになっているため、タッチパネル400の振動による操作感を良好に確保することができる。
以下、この発明にしたがう実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、この実施形態の電子機器(ここでは例として携帯電話端末)1は、操作者による操作入力を検出し、その入力に応じた振動をタッチパネル3に与えることにより、操作者に対してタッチパネル3を介して操作感をフィードバックする入力装置本体5と、内側に入力装置本体5を収容する筐体7と、を備える。
図2にこの電子機器1の詳細を示すように、筐体7は、上下方向(タッチパネル3の厚み方向)に相互に合わる上部筐体9および下部筐体10からなり、上部筐体9と下部筐体10とは図示しないパッキンを介して密に固定されている。また、上部筐体9および下部筐体10は、比較的硬質の合成樹脂材料や金属材料を用いて形成することができる。
上部筐体9は、タッチパネル3の操作を可能とするためにタッチパネル3のタッチ面の一部を外部に露出させる開口部9aを形成するとともに該開口部9aの周りでタッチパネル3の周縁部を覆い隠すベゼル部9bと、該ベゼル部9bの外周縁から垂下して下部筐体10に合わさる上部周壁9cとが一体に形成されてなる。なお、ベゼル部9bと上部周壁9cとは別体としてもよい。
また、下部筐体10は、入力装置本体5を支える略矩形の底壁10aと、該底壁10aの周縁から立ち上がり上部筐体9の上部周壁9cの下端に合わさる下部周壁10bとが一体に形成されてなる。
入力装置本体5は、上部筐体9のベゼル部9bに対向して配置されたタッチパネル3と、タッチパネル3を振動させる少なくとも1つ、ここでは2つの振動部15、16(図3参照)と、タッチパネル3の裏面側に配置された画像表示部18と、画像表示部18を保持する画像表示部用ホルダ20と、全体の動作を制御する制御部(図示省略)が設けられ、画像表示部用ホルダ20と下部筐体10との間に配置された基板22と、を有する。なお、基板22は、画像表示部用ホルダ20と下部筐体10との間に配置する必要はなく、例えば、画像表示部用ホルダ20の凹所内に納めるようにしてもよい。
入力装置本体5を構成する各部材の詳細を説明するに、先ず、タッチパネル3は平面視で矩形状であり、振動部15、16からの振動を受けて振動(湾曲変形)可能である。また、ここではタッチパネル3は、画像表示部18に表示したオブジェクトに対する操作者の操作、すなわち、タッチパネル3上での指やスタイラスペン等の位置を検出し、当該検出した位置を基板22に設けられた制御部に通知する機能を有している。タッチパネル3としては、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の既知の方式のものを用いることができる。また、タッチパネル3の周縁部上面には、後述のシール部材の第1膨出部を収める環状溝g1が形成されている。
なお、画像表示部18に表示したオブジェクトに対する操作者による操作を検出するにあたっては、指やスタイラスペン等がタッチパネル3に物理的に触れることは必須ではない。例えば、タッチパネル3として光学式(赤外線走査方式)のものを採用した場合は、ベゼル部9b内部等に配置することができる発光素子(図示省略)から発せられた、タッチパネル3の上面に沿って走査する赤外線が指等で遮られた位置を検出するため、指等がタッチパネル3に触れることは不要である。
振動部15、16は、図3に示すように、タッチパネル3の裏面に、タッチパネル3の対向する2つの辺(ここでは2つの短辺)の近傍に接着剤等により取り付けられている。ここでは、振動部15、16は、電圧を印加するとその長手方向に伸縮する圧電素子で構成する。振動部15、16が伸縮すると、タッチパネル3は、その厚み方向(タッチ面に直交する方向)に反り変形(湾曲変形)を繰り返す。振動部15、16は、例えば基板22に設けられた制御部からの信号に基づいて、所定の振動パターン(周波数、周期、波形、振幅)による振動を発生させることが可能であり、振動パターンによっては、タッチ面に接触している指等に対してあたかもボタンを操作したときのような触感を提供することが可能である。例えば、携帯端末に使用されているメタルドームスイッチに代表されるクリック感を提供する場合には、タッチパネル3に所定の荷重が加わった時点で、例えば、170Hzの一定周波数のSin波からなる1周期分の駆動信号により振動部15、16を駆動して、タッチパネル3を、所定の荷重が加わった状態で、約15μm振動させる。これにより、操作者にリアルなクリック感を提供することができる。
画像表示部18は、平面視で矩形状であるがタッチパネル3に比べて僅かに小さく、例えばキーのような押しボタンスイッチ等のオブジェクトを画像で表示することができる。画像表示部18に表示する画像は静止画に限らず、動画であってもよい。画像表示部18としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)のほか、有機ELディスプレイ、電子ペーパーを用いることができる。
画像表示部用ホルダ20は、図2に示すように、上面に画像表示部18を支持する矩形の底部20aと、該底部20aの周縁から起立して画像表示部18を取り囲む囲い壁20bとを有する。また、画像表示ホルダ20の周縁部、すなわち、囲い壁20bの外周面には、後述するシール部材の第2膨出部を収める環状溝g2が形成されている。
そして、この実施形態の電子機器1では、タッチパネル3と画像表示部用ホルダ20との間に、画像表示部ホルダ20に対してタッチパネル3を弾性支持する複数の支柱24を設けるとともに、タッチパネル3および画像表示部ホルダ20間を密封するシール部材26を設けてなる。
より詳細に説明するに、支柱24は、図3に示すように、タッチパネル3の周縁部の対向する長辺部分と、画像表示部用ホルダ20の囲い壁20bを構成する一対の短辺部分および一対の長辺部分のうちの長辺部分の上面との間に、互いに間隔を空けて各4つ配設されている。なお、支柱24の数は、支持するタッチパネル3の大きさ、重さ等に応じて適宜変更することができ、7つ以下でも9つ以上でもよいが、支柱24による振動の減衰を抑制する観点からはできる支柱24の数量はできる限り少なくすることが好ましい。各支柱24は、弾性体にて構成され、例えば、軟質のウレタンフォーム(好ましくは、マイクロセルウレタンフォーム)、シリコンフォーム、およびシリコンゴム等を用いることができる。また、タッチパネル3と支柱24との間、および支柱24と画像表示部用ホルダ20との間は、それぞれ両面テープや接着剤などを用いて接着することができる。なお、この実施形態および以降の他の実施形態では、タッチパネル3と画像表示部用ホルダ20との間隔を空けるために用いる弾性支持部材としての支柱24を用いて説明するが、該弾性支持部材はどのような形状であってもよい。
シール部材26は、図2及び図4に示すように、略球状でありタッチパネル3の周縁部と上部筐体9のベゼル部9bとに圧接してこれらの間を密閉する第1シール部としての第1膨出部26a、略球状であり画像表示部用ホルダ20の周縁部(すなわち、囲い壁20b)と下部筐体10の下部周壁10bとに圧接してこれらの間を密閉する第2シール部としての第2膨出部26b、および、第1膨出部26aと第2膨出部26bとの間を、全周に亘って(すなわちタッチパネル3の周縁部および画像表示部用ホルダ20の周縁部間に覆い被さるように)連結する連結部26cを有する。連結部26cの長さ(第1膨出部26aから第2膨出部26bまでの長さ)は、シール部材26をタッチパネル3および画像表示部ホルダ20に対して組み付けた状態にて、連結部26cに若干の撓みが発生する長さに設定されており、このため、シール部材26を、タッチパネル3の振動に追従させることができる。
また、この実施形態では、上述したように、タッチパネル3および画像表示部用ホルダ20の囲い壁20bにそれぞれ環状溝g1、g2を設けており、第1膨出部26aおよび第2膨出部26bの半球部分は、それぞれ環状溝g1、g2内に嵌り込んで位置決め(保持)されている。また、この実施形態では、シール部材26は、ゴムまたはシリコンゴムからなる一体物として形成されている。さらに、この実施形態では、第1膨出部26aと支柱24とは、タッチパネルの厚み方向にみて同一線n上に配置、すなわち、重複して配置されている。
このようになる電子機器1にあっては、制御部からの駆動信号に基づいて振動部15、16が振動するとその振動がタッチパネル3に伝達され、操作者に対してタッチパネル3を介して操作感がフィードバックされる。この際、タッチパネル3を、相互に間隔を空けて配置された複数の支柱24を介して支持する構成としたことから、タッチパネル3と画像表示部ホルダ20との間に全周に亘って弾性体からなる部材を配置してタッチパネル3を支持するとともにシールを形成した場合(図示省略)に比べて、タッチパネル3の振動減衰の一要因となる弾性体の使用量を削減することができるので、タッチパネル3の振動減衰を抑制することができる。その一方で、タッチパネル3と画像表示部18との間への埃や水分の侵入は、シール部材26によって確実に防止することができる。しかも、シール部材26は、タッチパネル3の変位(振動)を許容するよう構成されているため、シール部材26を設けたことによるタッチパネル3の振動への影響は小さい。さらに、シール部材26は、上部筐体9のベゼル部9bとタッチパネル3との間からの埃等の侵入をも防止するともに、上部筐体9と下部筐体10との境目から埃等が侵入した場合にも侵入した埃等が入力装置本体5内部へ入り込むのを阻止するため、すなわち、入力装置本体5に対して重畳したシールを形成することができるため、電子機器1の防塵性、防水性を格段に向上させることができる。
また、この実施形態の電子機器1によれば、第1シール部材としての第1膨出部26aと支柱24とを、タッチパネル3の厚み方向にみて同一線n上に配置したことから、タッチパネル3の振動の支点を当該線n上に位置させることができ、すなわちタッチパネル3の横方向の振動を抑制することができ、タッチパネル3の厚み方向の振動減衰をより一層抑制することができる。
さらに、この実施形態の電子機器1によれば、タッチパネル3にシール部材26の第1膨出部26aが入り込む環状溝g1を設けるとともに、画像表示部ホルダ20にシール部材26の第2膨出部26bが入り込む環状溝g2を設けたことから、シール部材26の、タッチパネル2および画像表示部ホルダ20への組み付けを確実に保持することができ、電子機器1に衝撃等が加わってもそれによってシール部材26が外れたり脱落したりするのを防止することができる。なお、上記実施形態では、環状溝g1、g2をタッチパネル3および画像表示部ホルダ20に設けると説明したが、これに加えて、あるいはこれに代えて、上部筐体9および下部筐体10に同様の環状溝を設けてもよい(図示省略)。
さらに、この実施形態の電子機器1によれば、シール部材26で、タッチパネル3の周縁部から画像表示部ボルダ20の周縁部までを包み込む構成としたことから、タッチパネル3と画像表示部ホルダ20を一旦、一つの組立体としてしまえば、その後の製造工程(組立工程)における取扱いを容易にすることができる。なお、本実施例では、画像表示部用ホルダ20に支柱24を接着したが、画像表示部18に支柱24を接着するようにしてもよい。
次に、図5を参照して、この発明にしたがう他の実施形態に係る電子機器について説明する。なお、先の実施形態と同様の要素には、同一の符号を付してその説明は省略する。
この実施形態では、シール部材が上記実施形態のものとは異なる。上記実施形態では、シール部材26を、第1シール部としての略球状の第1膨出部26aと、第2シール部としての略球状の第2膨出部26bと、これらの第1膨出部26aおよび第2膨出部26bを相互に連結する連結部26cとを、ゴムまたはシリコンゴムからなる一体成形物として構成すると説明したが、この実施形態では、シール部材30は、タッチパネル3の周縁部の上面から画像表示部ホルダ20の囲い壁20bまで全周に亘って延びる薄いシート状部材30aと、該シート状部材30aの上端部をタッチパネル3の周縁部の上面および上部筐体9のベゼル部9bに各々貼り付ける第1貼付部30bと、上記シート状部材30aの下端部を画像表示部ホルダ20の囲い壁20bおよび下部筐体10の下部周壁10bに各々貼り付ける第2貼付部30cとで構成している。
すなわち、第1貼付部30bは、タッチパネル3の周縁部および上部筐体9相互間を密閉する第1シール部を構成し、第2貼付部30cは、画像表示部用ホルダ20の周縁部および下部筐体10相互間を密閉する第2シール部を構成し、シート状部材30aは、第1シール部および第2シール部相互間を全周に亘って変位可能に連結する連結部を構成する。
ここで、第1および第2貼付部30b、30cとしては、例えば両面テープ(好ましくは防水用両面テープ)を用いることができる。また、薄いシート状部材30aとしては、厚さ0.01mm程度の合成樹脂製、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)製のシートを用いることができる。なお、シート状部材30aの長さ(第1貼付部30bから第2貼付部30cまでの長さ)は、シール部材30をタッチパネル3および画像表示部ホルダ20に対して組み付けた状態にて、該シート状部材30aに若干の撓みが発生する長さに設定されており、このため、シール部材30をタッチパネル3の振動に追従させることができる。
この実施形態の電子機器1によっても、タッチパネル3の振動が減衰されるのを抑制しつつ、防塵性、防水性を向上させることができる。また、第1シール部材としての第1貼付部30bと支柱24とを、タッチパネル3の厚み方向にみて同一線n上に配置したことから、タッチパネル3の振動の支点を当該線n上に位置させることができ、すなわちタッチパネル3の横方向の振動を抑制することができ、タッチパネル3の厚み方向の振動減衰をより一層抑制することができる。なお、図2および図5の実施形態において、画像表示部用ホルダ20が形成された場合について説明したが、画像表示部18のみとすることもでき、その場合は、第2膨出部26bや第2貼付部30cが画像表示部用ホルダ20の底面にて圧接や貼り付けが行われるようにすればよい。
次いで、この発明にしたがうさらに他の実施形態について説明する。図1〜4を参照して説明した実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図6に示す実施形態の電子機器1は、画像表示部18を直接下部筐体10内に配置、固定した点で図1〜4に示した実施形態とは異なる。すなわち、この電子機器1は、タッチパネル3、該タッチパネル3を振動させる振動部15、16、タッチパネル3の裏面側に配置された画像表示部18を有する入力装置本体5と、相互に合わさって内側に入力装置本体5を収容する上部筐体9および下部筐体10と、を備える。また、この電子機器1は、タッチパネル3と画像表示部18との間に配置され、該画像表示部18に対してタッチパネル3を弾性支持する複数の支柱24と、シール部材26とを備える。
支柱24は、図3と同様に配置されている。また、シール部材26は、タッチパネル3の周縁部の上面および上部筐体9のベゼル部9b相互間を密閉する第1シール部としての略球状の第1膨出部26aと、画像表示部18の周縁部の下面および下部筐体10の底壁10a相互間を密閉する第2シール部としての略球状の第2膨出部26bと、第1膨出部26aおよび第2膨出部26b相互間を全周に亘って変位可能に連結する連結部26cとからなる。連結部26cの長さは(第1膨出部26aから第2膨出部26bまでの長さ)は、シール部材26をタッチパネル3および画像表示部18に対して組み付けた状態にて、連結部26cに若干の撓みが発生する長さに設定されており、このため、シール部材26をタッチパネル3の振動に追従させることができる。また、シール部材26は、第1膨出部26a、第2膨出部26bおよび連結部26cをゴムまたはシリコンゴムで一体成形したものである。画像表示部18は、図示しない固定手段により下部筐体10に固定することができる。
さらにこの実施形態では、画像表示部18の周縁部の下面には、シール部材26の第2膨出部26bを収める環状溝g3が形成されている。また、シール部材26の第1膨出部26aおよび第2膨出部26bと支柱24とは、タッチパネルの厚み方向にみて同一線n上に配置されている。
かかる実施形態の電子機器1によっても、タッチパネル3の振動が減衰されるのを抑制しつつ、防塵性、防水性を向上させることができる。
また、この実施形態の電子機器1によれば、シール部材26の第1膨出部26aおよび第2膨出部26bと支柱24とを、タッチパネル3の厚み方向にみて同一線n上に配置したことから、タッチパネル3の振動の支点を当該線n上に位置させることができ、すなわちタッチパネル3の横方向への振動を抑制することができ、タッチパネル3の厚み方向の振動減衰をより一層抑制することができる。
次いで、この発明にしたがうさらに他の実施形態について説明する。図5を参照して説明した実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に示す実施形態の電子機器1は、図6の実施形態の電子機器1のように、画像表示部18を下部筐体10に固定しているものの、シール部材の構成が異なる。シール部材30は、タッチパネル3の周縁部の上面から画像表示部18の周縁部の下面まで全周に亘って延びる薄いシート状部材30aと、該シート状部材30aの上端部をタッチパネル3の周縁部の上面および上部筐体9のベゼル部9bに各々貼り付ける第1貼付部30bと、上記シート状部材30aの下端部を画像表示部3の周縁部の下面および下部筐体10の底壁10aに各々貼り付ける第2貼付部30cとで構成している。
すなわち、第1貼付部30bは、タッチパネル3の周縁部および上部筐体9相互間を密閉する第1シール部を構成し、第2貼付部30cは、画像表示部18の周縁部および下部筐体10相互間を密閉する第2シール部を構成し、シート状部材30aは、第1シール部および第2シール部相互間を全周に亘って変位可能に連結する連結部を構成する。
さらにこの実施形態では、シール部材30の第1貼付部30bおよび第2貼付部30cと支柱24とは、タッチパネルの厚み方向にみて同一線n上に配置している。
かかる実施形態の電子機器1によれば、タッチパネル3の振動が減衰されるのを抑制しつつ、防塵性、防水性を向上させることができる。
また、この実施形態の電子機器1によれば、シール部材30の第1貼付部30bおよび第2貼付部30cと支柱24とを、タッチパネル3の厚み方向にみて同一線n上に配置したことから、タッチパネル3の振動の支点を当該線n上に位置させることができ、すなわちタッチパネル3の横方向への振動を抑制することができ、タッチパネル3の厚み方向の振動減衰をより一層抑制することができる。
なお、図6および図7の実施形態において、画像表示部18のみで形成された場合について説明したが、画像表示部18を保持する画像表示部用ホルダ20を形成することもでき、その場合には第2膨出部26bや第2貼付部30cが画像表示部用ホルダ20の底面にて圧接や貼り付けが行われるようにすればよい。
以上、この発明を図示例に基づき説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜に変更することができる。例えば、本発明による電子機器1に用いるタッチパネル3は、タッチ面に対して指等が接触した位置を検出する機能(センシング機能)を有さない、単なる「パネル」のような平板部材とすることもできる。このような構成の電子機器においては、例えば、押圧の荷重を検出する荷重検出部を設け、検出された荷重が、所定の押圧荷重の基準を満たした場合に、タッチパネル3に対する接触がなされたものと判定することができる。このような荷重検出部は、任意の個数の歪みゲージセンサ等をタッチパネル3に設けることで構成することができる。また、振動部15、16を圧電素子とした場合には、当該圧電素子を歪みゲージセンサとしても用いることができる。
また、この発明は、上述の実施形態で説明した要素以外の他の要素、例えば、荷重検出部(図示省略)を備えていてもよい。この場合、制御部は、タッチパネル3への入力を監視するとともに、荷重検出部で検出された荷重を監視することができ、すなわち、タッチパネル3への入力が画像表示部18に表示された入力用のオブジェクトに対する入力で、かつ、荷重検出部により検出される押圧荷重が、タッチパネルの押圧によって増加しながら当該入力を受け付ける所定の基準を満たしたのかを検知すると、その時点のタッチパネル3への入力を受け付けるとともに、振動部15、16を所定の駆動振動で駆動して、タッチパネル3を予め設定した所定の振動パターンで振動させることができる。ここで、上記所定の基準は、表現したい押しボタンスイッチの押圧時の荷重特性に応じて適宜設定することができる。そして、荷重検出部としては、例えば、タッチパネル3の四隅に配置することができる4つの歪みゲージセンサを適用できるほか、抵抗膜方式のタッチパネル3の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から荷重を検出することができる。また、静電容量方式のタッチパネル3の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から荷重を検出することができる。
また、振動部15、16は、上述の実施形態では、一対の圧電素子を用いると説明したが、任意の個数の圧電振動子やタッチパネル3の全面に貼り付けることができる透明な膜圧電体、あるいは駆動信号の1周期で1回転するよう構成された偏心モータを用いることができる。
さらに、この発明は、携帯電話端末のみならず、画像表示部18と該画像表示部18で表示された画像を透過させるタッチパネル3とを備える種々の電子機器(ゲーム端末、タブレットPC、カーナビゲーション等)に適用することができる。