JP5663745B2 - 大気圧プラズマ発生装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、大気圧プラズマ発生装置及び大気圧プラズマ処理物製造方法に関する。
従来、表面処理の手法として大気圧プラズマが用いられている。大気圧プラズマは、電導部材からプラズマ電極へ電気を供給することで、プラズマ電極と処理対象との間のガスが大気圧下でプラズマ化するものである。従来の装置では、放電が十分に抑制されていないため、高電圧出力又は電離しやすい単原子ガス(アルゴンガス、ヘリウムガス等)の少なくとも一方を不可避に使用していた。
特開2003−267811号公報
しかし、アルゴンガスやヘリウムガス等は低電圧でもプラズマを発生することができるが、高価である。他方、窒素ガスや酸素ガス等の分子ガスは、電離しにくいため、プラズマ化するために高電圧の電源を要するが、高電圧電源を使用するのも煩雑である。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低電圧の電源であっても、ガスの種類に制限されず大気圧プラズマを発生しうる大気圧プラズマ発生装置及び大気圧プラズマ処理物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、プラズマ電極に電気を供給する電導部材を、プラズマ電極と絶縁体とで包囲することで低電圧でもプラズマ電極の近傍にある窒素ガスをプラズマ化しうることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には本発明は以下の通りである。
(1)プラズマ電極と、このプラズマ電極に対向配置された処理対象との間に供給されたガスをプラズマ化することで、前記処理対象に大気圧プラズマ処理を施す処理物製造方法であって、
前記大気圧プラズマ処理は、前記プラズマ電極に電圧を加える電導部材を、前記プラズマ電極と、第1絶縁体で構成された箱体とで包囲した状態で行う方法。
(2)前記プラズマ電極は、前記処理対象に対向する部分に金属で形成された表面を有し、
前記方法は、前記金属で形成された表面のある領域近傍に供給する前記ガスの量と、別の領域近傍に供給する前記ガスの量と、を独立に制御する工程をさらに有する(1)記載の方法。
(3)前記プラズマ電極は、前記処理対象に対向する部分に第2絶縁体で形成された表面を有する(1)記載の方法。
(4)前記箱体の内部は、前記プラズマ電極の露出表面の近傍に連通する貯留空間を有し、
前記ガスは、前記貯留空間に導入されて一時的に貯留された後、前記プラズマ電極の露出表面の近傍へと供給される(1)から(3)いずれか記載の方法。
(5)前記ガスを供給する部材が前記プラズマ電極と一体化されており、
前記プラズマ電極は、前記ガスを供給する部材よりも前記処理対象に対して近位に配置される(1)から(4)いずれか記載の方法。
(6)大気圧プラズマの発生に用いられる装置であって、
外部に少なくとも一部が露出したプラズマを生成するためのプラズマ電極と、
前記プラズマ電極に電気を供給する電導部材を、前記プラズマ電極とともに包囲するための、第1絶縁体で構成された箱体と、を有する装置。
(7)前記箱体内部は、前記プラズマ電極の露出表面の近傍に連通する貯留空間を有する(6)記載の装置。
(8)前記プラズマ電極は、その少なくとも外部に露出した部分に、金属で形成された表面を有し、
前記貯留空間は、互いに遮断された複数の区画に分断され、各区画は前記金属で形成された表面の異なる箇所近傍へと連通する(7)記載の装置。
(9)前記プラズマ電極は、前記処理対象に対向する部分に第2絶縁体で形成された表面を有する(6)又は(7)記載の装置。
本発明によれば、低電圧の電源であっても、ガスの種類に制限されず大気圧プラズマを発生しうる大気圧プラズマ発生装置及び大気圧プラズマ処理物を製造する方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る大気圧プラズマ処理物製造方法を示す図である。 本発明の一実施形態に係る大気圧プラズマ発生装置の部分分解図である。 前記実施形態に係る大気圧プラズマ発生装置の全体斜視図である。 本発明の一実施形態に係るプラズマ電極の平面図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
[大気圧プラズマ発生装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る大気圧プラズマ処理物製造方法を示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係る大気圧プラズマ発生装置の部分分解図であり、図3はこの実施形態に係る大気圧プラズマ発生装置の全体斜視図である。大気圧プラズマ発生装置1は、外部に少なくとも一部が露出したプラズマを生成するためのプラズマ電極10と、プラズマ電極10に電気を供給する電導部材60を前記プラズマ電極10とともに包囲するための第1絶縁体で構成された箱体50と、を有する。
(箱体)
箱体50は、プラズマ電極10とともに、少なくとも電導部材60(本実施形態では電導線61、電子端子62及び電導棒63)を包囲する。電導部材60が箱体50に包囲されることにより、電導部材60からプラズマ電極10以外の部材への放電が抑制され、プラズマ電極10に電気が集中し、低電圧であっても、ガスの種類によらずプラズマを発生することができる。
箱体50は、壁51だけでなく壁51に接触する部材(例えば、ガス供給手段70を接合させる部材80、壁51同士を接合させるねじ(図示せず))を含む。
箱体50を構成する第1絶縁体は、特に制限されないが、例えば、セラミックス、ナイロン、ポリイミド、繊維強化型ポリイミド又はベークライト等であり、それらの1種であってもよく、2種以上であってもよい。セラミックスは、特に制限されないが、例えば、アルミナ、窒化アルミ、マグネシア、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物を含み、絶縁性を有すればよい。第1絶縁体は成形し易さからナイロン又はベークライトであるのが好ましい。
箱体50の形状は、電導部材60を包囲できればよく、特に制限されないが、略三角柱、略立方体、略直方体、円柱型等であってもよい。形成し易さや後述の貯留空間を広く確保しやすい点から、略立方体、略直方体の形状が好ましい。
箱体50は、特に制限されないが、その内部に、露出したプラズマ電極10の表面の近傍に連通する貯留空間90を有していてもよい。この貯留空間90にガスが一時的に貯留された後、プラズマ電極10の表面近傍へと放出される。かかる貯留空間90を有することで、ガスの使用量が減る。これは、貯留空間の温度が上昇しガスの反応性が向上するためであると推測される。また、二以上のガスを併用したときは、貯留空間90で二以上のガスが混合されて、均一化した後に、プラズマ電極10の表面近傍へと放出されるので、処理対象3を均一にプラズマ処理しうる。
貯留空間90とプラズマ電極10の表面との連通のさせ方は、特に限定されない。例えば、図4に示されるように、プラズマ電極10同士の間にクリアランス11を設けて、このクリアランス11が貯留空間90に連通してよい。ガスは、箱体50とは別の部材からプラズマ電極10の表面近傍に供給してもよいが、供給を本実施形態のように箱体50を介して行うことで、無駄な部品点数を減らすことができ、また、当該別部材への放電を予防することもできる。従って、ガスを供給する部材(本実施形態ではクリアランス11)は、プラズマ電極10と一体化しているのが好ましい。
クリアランス11には、開閉可能な弁が設けられていてもよい。これにより、プラズマ電極10と処理対象3との間に供給するガスの量を迅速に調節できる。
箱体50は、さらに、ガス供給手段70が接続される部材80を有していてもよい。ガスを導入する部材80は、特に制限されないが、例えば、ガスを外部から供給するボンベと連結しうるガス導入孔や導入されるガスの量を調整できる弁を有するガス導入弁であってよい。次に述べるように、貯留空間90が複数の区画91に分断されている際には、区画91ごとに部材80が設けられることが好ましい。
貯留空間90は、互いに遮断された複数の区画91に分断され、各区画91がプラズマ電極10の異なる箇所近傍へと連通してもよい。これにより、プラズマ電極10の箇所ごとにプラズマ化されるガスの供給量を調整することができるので、処理対象3の一部分を処理することや、処理対象3がプラズマ電極10に対して小さいときに露出した搬送手段2がプラズマで損傷するのを抑制することができる。なお、本実施形態では、遮蔽壁52が貯留空間90を分断している。
(プラズマ電極)
プラズマ電極10は、特に制限されないが、例えば、金属、又は金属を第2絶縁体で被覆したものである。
金属は、大気圧プラズマを発生しうるものであれば特に制限されないが、例えば、ステンレス鋼である。ステンレス鋼は安価で成形性に優れ、好ましい。
金属で形成された部分のうち外部に露出した部分の形状は、処理対象3の形状に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、例えば平板又は曲面である。プラズマ電極を作製しやすい点で、平板が好ましい。その大きさは特に制限されず、処理対象3の大きさに応じて適宜変更しうる。
プラズマ電極10が金属で形成されている場合、後述の金属を第2絶縁体で被覆した電極と異なり、電気が蓄積されずに放出されやすい。このため、プラズマ電極10の表面近傍のプラズマ原料ガス量を少なくすれば、プラズマの発生を抑制することができる(電気が蓄積されると、プラズマ原料ガス量が少なくても、空気中の窒素ガスをプラズマ化してしまい得る)。これにより、プラズマの発生が起こる部分を調整しうる。
他の一実施形態において、プラズマ電極10の処理対象3に対向する露出表面は第2絶縁体で被覆されている。これにより、第2絶縁体がプラズマ電極10のコンデンサのように働くので、電源が低電圧であっても、プラズマを発生しうる。また、プラズマの原料ガスが、窒素ガスや酸素ガス等の分子ガスであっても、容易にプラズマを発生することができる。
第2絶縁体は、第1絶縁体と同じ素材であってもよく、異なる素材であってもよい。より低電圧でもプラズマを形成するため、又はプラズマ電極10を成形しやすいためセラミックスが好ましい。セラミックスは、特に制限されないが、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物を含んでよく、耐熱性を有しているのが好ましい。
プラズマ電極10は、電導部材60、具体的には電導棒63に電気的に接続され、この電導棒63は電子端子62を介して電導線61、さらには図示しない電源へと電気的に接続される。
[大気圧プラズマ処理物製造方法]
大気圧プラズマ処理物製造方法は、プラズマ電極10と、このプラズマ電極10に対向配置された処理対象3との間に供給されたガスをプラズマ化することで、処理対象3に大気圧プラズマ処理を施す処理物製造方法であって、大気圧プラズマ処理は、プラズマ電極10に電圧を加える電導部材60を、プラズマ電極10と、第1絶縁体で構成された箱体50とで包囲した状態で行う方法である。
大気圧プラズマ発生装置としては、上述したものを使用しうる。そのプラズマ電極10を、処理対象3と大気圧プラズマ処理し得る間隔をあけて対向配置することで、大気圧プラズマ処理をすることができる。処理対象3とプラズマ電極10の間隔は、電源の電圧やプラズマ化されるガスによって異なるため、特に制限されないが、例えば、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、5mm以上であってよく、0.1mm未満であってもよい。また、処理対象3とプラズマ電極10の間隔は、10cm以下、5cm以下、1cm以下であってよく、10cm超であってもよい。電源が9.5kVの出力電圧である場合、プラズマが発生しにくくなるため、処理対象3とプラズマ電極10の間隔は、3.5cm以下であるのが好ましい。
大気圧プラズマ処理物製造方法で使用する電源の電圧は、特に制限されないが、従来のプラズマ発生装置に必要な高電圧のものであってもよく、家庭用電源等の低電圧のものであってもよい。ただし、本発明では低電圧でも大気圧プラズマを形成可能であるため、後者が好ましい。具体的に、出力電圧は、ガスの種類にかかわらず、10kV以下であることができる。プラズマ電極10が第2絶縁体で被覆したものである場合、出力電圧が9kV以下であってもよい。また、出力電圧は5kV以上であるのが好ましい。
処理対象3の素材は、特に制限されず、ゴム、金属、プラスチック、セラミックス等であってよい。ただし、プラズマ電極10が金属のとき、処理対象3も金属であるとアーク放電が起こり、プラズマ発生のための電気が低減してしまうため、処理対象3の素材はゴム、プラスチック、セラミックス等であるのが好ましい。
プラズマを発生するために使用するガスは、特に制限されず、アルゴンガスやヘリウムガス等電離しやすい単原子ガス、窒素ガスや酸素ガス等電離しにくい分子ガスであってよく、空気であってもよい。ただし、本発明では、大気圧プラズマを効率的に発生できるので、電圧にかかわらず、分子ガスや空気を好適に使用することができる。
プラズマの原料ガスは、ガスを導入する部材80から導入し、ガスを供給する部材11からプラズマを発生したい場所の近傍に供給してもよく、処理対象3とプラズマ電極10との間に大気圧プラズマ発生装置1とは別の部材から導入してもよい。
複数に分断された区画毎のプラズマの原料ガスを調整して、部分的に大気圧プラズマ処理をしてもよい。また、プラズマを発生させたくない部分に対向するプラズマ電極10のガスを供給する部材11を第3絶縁体の部材で塞ぎ、部分的に大気圧プラズマ処理をしてもよい。第3絶縁体としては、特に制限されないが、例えば雲母、ポリカーボネート、シリコンゴム等を使用することができる。
大気圧プラズマ処理物の製造方法は、特に制限されないが、処理対象3を搬送する手段を使用してもよい。かかる手段としてはロール2を使用してよい。これらの搬送手段は、マイナスにアースされている。なお、処理対象3を搬送するのに限らず、プラズマ電極10を処理対象3に対して移動させてもよい。
プラズマの原料ガスを供給する部材(クリアランス11)がプラズマ電極10と一体化されている場合、プラズマ電極10は当該部材よりも処理対象3に対して近位に配置されることが好ましい。これにより、大気圧プラズマ処理が効率化される。なお、供給部材の位置は、プラズマ電極10とロール2との間隔が最短となる位置から、搬送機の送り手方向若しくは、それとは逆の方向にずれてよいが、前者が好ましい。これは、プラズマ発生箇所であるプラズマ電極の位置において、原料ガスの濃度が高くなりプラズマが発生しやすくなるためであると推測される。
なお、プラズマ電極10の周囲に存在する部材(例えば、ガス供給手段70を接合させる部材80、壁51同士を接合させるねじは、できる限り、絶縁体で構成されるのが好ましい。これにより、プラズマ電極10からの放電を抑制できる。
電源として、型式HVA10K(ケイテックリサーチ社製)(入力電圧AC100V±5%(50/60Hz)、入力電流2.5A以下、出力電圧9.5kV±1kVpp、出力電流120mAms、発信周波数8.5kHz)を使用した。
プラズマ電極として、ステンレスで形成した電極(以下、金属電極と称す)又はステンレスをセラミックスで被覆したもので形成した電極(以下、セラミックス電極と称す)を使用した。
[大気圧プラズマ発生装置に使用する材料の評価]
(実施例1〜4、比較例1〜16)
プラズマ電極として金属電極、セラミックス電極を有する大気圧プラズマ発生装置1に使用する部材(ガス導入口の継手又は箱体を形成するために使用するねじ等)の材質を金属又は第1絶縁体(ナイロン及びベークライト)にして、プラズマ発生の有無を目視で評価し、表1に示す。表中、○は、プラズマの発生を確認したことを、×は、プラズマの発生を確認できなかったことを意味する。
Figure 0005663745
大気圧プラズマ発生装置1を構成する、電極以外の部材全てに絶縁体を使用することで、ガスの種類にかかわらずプラズマの発生を確認できた。一方で、大気圧プラズマ発生装置1に使用する、電極以外の部材の少なくとも一部に金属を使用すると、窒素ガス又は空気を使用したときはプラズマの発生を確認できなかった。
(実施例5、比較例19)
大気圧プラズマ発生装置1に使用する部材に樹脂(ガス導入口の継手にポリイミド、箱体を形成するために使用するねじに繊維強化型ポリイミド(実施例5))又は金属(比較例19)を使用して、プラズマ電極に9.5kV加えて、低密度ポリエチレンを大気圧プラズマ処理した。プラズマ電極と低密度ポリエチレンフィルムとの間隔1mmで、窒素ガスを20L/minで供給して大気圧プラズマ処理を行った。
大気圧プラズマ処理後の低密度ポリエチレンフィルムの表面について、処理対象の被処理表面に1.5μlの水滴(蒸留水)を滴下し、滴下後100msec経ってから、2/θ法により接触角を測定した。この結果を表2に示す。なお、プラズマの発生を要しない部分からの放電を防止するため、その電極表面を厚さ2mmのシリコンゴムで保護した。
Figure 0005663745
大気圧プラズマ発生装置1に使用する部材が樹脂の場合、金属の場合と比べて接触角が小さく、表面処理が十分になされていることが分かった。実際、大気圧プラズマ発生装置1に使用する部材が金属の場合のフィルムにした印刷は、ウエスで軽く擦ると剥がれたが、大気圧プラズマ発生装置1に使用する部材が樹脂の場合のフィルムにした印刷は、強く複数回擦らないと印刷がとれず、印刷の密着性が高いことが分かった。
(実施例6、7、比較例20、21)
[大気圧プラズマ発生装置(電極:金属)の評価]
大気圧プラズマ発生装置1として、ステンレス製で図4の形状の平板電極(排出口31を含めた大きさが縦900mm×横51mm)のプラズマ電極を用いて実験を行った。平板電極は、箱体のガス導入管が固定されている蓋と反対側の面にある。箱体の長辺の長さは900mm(プラズマが発生する部分は800mm)であり、幅は51mm(処理対象とプラズマ電極との間ガスを導入するためのクリアランス(1mm幅)が中心にある)である。箱体の内部は、10cmごとに分断されている。
プラズマの原料ガス(アルゴンガス又は窒素ガス)を、厚さ2mmのシリコンゴムで平板電極のガスを供給する部材で塞ぎ、処理対象とプラズマ電極の間に、ガスを供給した部分とガスの供給を止めた部分を形成した。
処理対象として低密度ポリエチレンフィルムを使用し、平板電極の表面から1mm間隔を設け、プラズマの原料ガスを20m/秒で送り、大気圧プラズマ処理を行った。処理後の低密度ポリエチレンフィルムの表面について、接触角を計測した結果を表3に示す。なお、大気圧プラズマ処理前のフィルム表面の接触角は98.7°であった。
Figure 0005663745
プラズマの原料ガスを供給した部分では、接触角が大幅に小さくなり、プラズマが発生したことが認められる一方、原料ガスの供給を止めた部分では、接触角は、大気圧プラズマ処理前の接触角とほとんど同じであり、プラズマ発生が抑制されることが分かった。これにより、原料ガスの供給量を場所ごとに調整することで、大気圧プラズマ処理をする部分を選択できることが分かった。
[大気圧プラズマ発生装置と処理対象との相対的位置による評価]
(実施例8〜12)
セラミックス電極を使用した大気圧プラズマ発生装置1を、ロール2とプラズマ電極10の最短距離の位置を送り手方向若しくは、それとは逆の方向に表4に示すようにずらして配置した。なお、プラズマ電極10の中心がガス供給箇所である。先端は、プラズマ電極の端部のうち送り手方向側の端部を意味する。
大気圧プラズマ処理条件は、窒素ガス10L/min、処理対象のロールにより送る速度20m/min、ロールとプラズマ電極の最短の間隔が1mmとした。
Figure 0005663745
いずれの例でも接触角が小さくなり、プラズマが発生したことがわかった。その中でも、プラズマ電極の中心とその先端又は後端との間でより接触角が小さかった。これは、プラズマ電極10の中心は、原料ガスを供給する位置であり、プラズマ原料ガスの量は多いが、電圧が低いため、また、プラズマ電極10の先端又は後端は、電圧は十分高いが、プラズマ原料ガスの量が少ないため、プラズマ電極の中心とその先端又は後端との間でより効率的にプラズマが発生したと推測される。
プラズマの原料ガスを供給する部材(クリアランス11)がプラズマ電極10と一体化されている場合、プラズマ電極10は当該部材よりも処理対象3に対して近位に配置されることが好ましい。これにより、大気圧プラズマ処理が効率化される。なお、供給部材の位置は、プラズマ電極10とロール2との間隔が最短となる位置から、搬送機の送り手方向若しくは、それとは逆の方向にずれてよいが、前者が好ましい。これは、プラズマ発生箇所であるプラズマ電極の位置において、原料ガスの濃度が高くなりプラズマが発生しやすくなるためであると推測される。
金属電極を使用した大気圧プラズマ発生装置1でも、実施例8〜12と同様の結果が得られた。
1 大気圧プラズマ発生装置
2 ロール
3 処理対象
10 プラズマ電極
11 ガスを供給する部材
50 箱体
51 壁
52 遮蔽壁
60 電導部材
61 電導線
62 電子端子
63 電導棒
70 ガスを供給する手段
80 ガスを導入する部材
90 貯留空間
91 区画

Claims (13)

  1. プラズマ電極と、このプラズマ電極に対向配置された処理対象との間に供給されたガスをプラズマ化することで、前記処理対象に大気圧プラズマ処理を施す処理物製造方法であって、
    前記大気圧プラズマ処理は、前記プラズマ電極に電圧を加える電導部材を、前記プラズマ電極と、第1絶縁体で構成された箱体とで包囲した状態で行う方法。
  2. 前記プラズマ電極は、前記処理対象に対向する部分に金属で形成された表面を有し、
    前記方法は、前記金属で形成された表面のある領域近傍に供給する前記ガスの量と、別の領域近傍に供給する前記ガスの量と、を独立に制御する工程をさらに有する請求項1記載の方法。
  3. 前記プラズマ電極は、前記処理対象に対向する部分に第2絶縁体で形成された表面を有する請求項1記載の方法。
  4. 前記箱体の内部は、前記プラズマ電極の露出表面の近傍に連通する貯留空間を有し、
    前記ガスは、前記貯留空間に導入されて一時的に貯留された後、前記プラズマ電極の露出表面の近傍へと供給される請求項1から3いずれか記載の方法。
  5. 前記貯留空間は、前記電導部材に接している請求項4記載の方法。
  6. 前記ガスを供給する部材が前記プラズマ電極と一体化されており、
    前記プラズマ電極は、前記ガスを供給する部材よりも前記処理対象に対して近位に配置される請求項1からいずれか記載の方法。
  7. 前記プラズマ電極は、外部に少なくとも一部が露出している請求項1から6いずれか記載の方法。
  8. 大気圧プラズマの発生に用いられる装置であって、
    外部に少なくとも一部が露出したプラズマを生成するためのプラズマ電極と、
    前記プラズマ電極に電気を供給する電導線を、前記プラズマ電極とともに包囲するための、第1絶縁体で構成された箱体と、を有する装置。
  9. 箱体内部は、前記プラズマ電極の露出表面の近傍に連通する貯留空間を有する請求項記載の装置。
  10. 前記プラズマ電極は、その少なくとも外部に露出した部分に、金属で形成された表面を有し、
    前記貯留空間は、互いに遮断された複数の区画に分断され、各区画は前記金属で形成された表面の異なる箇所近傍へと連通する請求項記載の装置。
  11. 前記貯留空間は、前記電導線に接している請求項9又は10記載の装置。
  12. 前記プラズマ電極は、処理対象に対向する部分に第2絶縁体で形成された表面を有する請求項8から11いずれか記載の装置。
  13. 前記プラズマ電極と、前記処理対象との間に供給されたガスをプラズマ化することで、前記処理対象に大気圧プラズマ処理を施す請求項12記載の装置。
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