JP7157919B2 - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基材上に膜を成膜するための成膜装置及び成膜方法に関する。
従来、プラスチックなどの長尺状のフィルムやシートの基材上に成膜された膜を備えた積層フィルムが、様々な用途で利用されている。例えば、プラスチックフィルム上に、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の薄膜からなるバリア層を設けて、酸素および水蒸気に対するバリア性の機能を持たせたバリア性積層フィルムも開発されている。
このようなプラスチックなどの基材の表面に膜を形成する手段として、真空蒸着法、スパッタリング法、ゲルゾル法などによるウェットコーティング、熱CVD、プラズマCVDなどの方法が知られている。また、それらの手段を用いて基材の表面に成膜する成膜装置が知られている。
また、膜と基材との密着性を向上するために、成膜の前に、基材の表面にプラズマを供給して、基材の表面物性を物理的ないしは化学的に改質制御する前処理を行う方法が知られている。例えば特許文献1に開示されているように、基材表面にプラズマを供給することにより、前処理を行う方法が知られている。さらに、特許文献2には、RIE(リアクティブイオンエッチング)によって、基材表面を改質する処理が開示されている。
国際公開第2013/100073号 特許第4784040号公報
膜と基材との密着性が向上されるように前処理を行うことができる成膜装置が求められている。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る成膜装置を提供することを目的とする。
本発明は、巻きかけられた基材を搬送する前処理ローラーと、前記前処理ローラーに対向するとともに前記前処理ローラーとの間で20kHz以上100kHz以下の周波数の交流電圧を印加される電極部材、及び前記電極部材の前記前処理ローラーと対向する側とは反対の側に設けられた磁場形成部材を有する対向電極と、を有し、前記交流電圧に基づいてプラズマを発生させるプラズマ前処理機構と、前記基材の搬送方向における前記プラズマ前処理機構よりも下流側に位置する成膜ローラーを有し、前記成膜ローラーに巻き掛けられた前記基材の表面に成膜する成膜機構と、を備える、成膜装置である。
本発明による成膜装置において、前記プラズマ前処理機構は、前記基材の搬送方向に沿って並ぶ2以上の前記対向電極を有してもよい。
本発明による成膜装置において、前記電極部材は、前記前処理ローラーに対向する第1面と、前記第1面の反対側の面である第2面と、を有し、前記磁場形成部材は、前記電極部材の前記第2面側に設けられ、N極及びS極を有する第1磁石と、前記電極部材の前記第2面側に設けられ、N極及びS極を有する第2磁石と、を有し、前記第1磁石のN極又はS極の一方は、他方よりも前記基材側に位置し、前記第2磁石のN極又はS極の他方は、一方よりも前記基材側に位置していてもよい。
本発明による成膜装置において、前記第1磁石は、前記前処理ローラーの回転軸に沿って延びる第1軸方向部分を有し、前記第2磁石は、前記前処理ローラーの回転軸に沿って延びる第2軸方向部分を有し、前記第1軸方向部分及び前記第2軸方向部分は、前記回転軸に直交する方向において間隔をあけて並んでいてもよい。
本発明による成膜装置において、前記第2磁石は、前記回転軸に直交する方向において前記第1軸方向部分を挟むように位置する少なくとも2つの前記第2軸方向部分を有してもよい。
本発明による成膜装置において、2つの前記第2軸方向部分を有する前記第2磁石は、前記第2面の法線方向に沿って前記磁場形成部材を見た場合に前記第1磁石を囲んでいてもよい。
本発明による成膜装置において、前記成膜機構は、物理蒸着用の成膜機構であってもよい。
本発明による成膜装置において、前記成膜機構は、化学蒸着用の成膜機構であってもよい。
本発明による成膜装置において、前記成膜装置は、前記前処理ローラーと、前記対向電極の前記電極部材と、に電気的に接続された、20kHz以上100kHz以下の周波数を有する交流電圧を印加することが可能な交流電源をさらに備え、前記プラズマ前処理機構は、前記交流電源を用いて、前記前処理ローラーと前記対向電極の前記電極部材との間に交流電圧を印加することによりプラズマを発生させてもよい。
本発明による成膜装置において、前記プラズマ前処理機構は、プラズマ前処理室に配置され、前記成膜機構は、前記プラズマ前処理室から隔てられるとともに前記基材の搬送方向における前記プラズマ前処理室よりも下流側に位置する成膜室に配置されていてもよい。
本発明は、成膜装置を用いて基材の表面に成膜する成膜方法であって、前記成膜装置は、巻きかけられた基材を搬送する前処理ローラーと、前記前処理ローラーに対向する電極部材、及び前記電極部材の前記前処理ローラーと対向する側とは反対の側に設けられた磁場形成部材を有する対向電極と、を有するプラズマ前処理機構と、前記基材の搬送方向における前記プラズマ前処理機構よりも下流側に位置する成膜ローラーを有する成膜機構と、を備え、前記前処理ローラーと前記電極部材との間に20kHz以上100kHz以下の周波数の交流電圧を印加することによりプラズマを発生させ、発生させたプラズマを用いて前記基材の表面に前処理を施すプラズマ前処理工程と、前記成膜ローラーに巻き掛けられた前記基材の表面に成膜する成膜工程と、を備えてもよい。
本発明によれば、膜と基材との密着性を向上させることができる。
膜を備えた積層フィルムの一例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る成膜装置の一例を示す図である。 成膜装置のプラズマ前処理機構の一例を示す断面図である。 成膜装置の対向電極の一例を示す平面図である。 図4のV-V線に沿った断面図である。
本実施の形態においては、前処理を実施する前処理機構の後述する対向電極と電位(電圧)のかけ方に注目し、従来技術にない手段で従来の課題を解決している。また、前処理が施されたプラスチックフィルムなどの基材の表面に膜を成膜している。膜は、例えば酸化ケイ素や酸化アルミニウム等を含み、例えばバリア層として機能し得る。本実施の形態の成膜装置及び成膜方法は、例えば、酸素および水蒸気に対するバリア性の機能を持たせたバリア性積層フィルムの製造に好適に用いられる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比などを、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1~図4は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。以下の実施の形態及びその変形例では、プラスチック基材の表面に成膜し、積層フィルムを形成する場合における成膜装置を例に挙げて説明する。
図1は、本実施の形態に係る成膜装置を用いて作製される積層フィルムの一例を示す断面図であり、図2は、本実施の形態に係る成膜装置の構成を模式的に示す図である。
積層フィルムAは、例えば図1に示すように、基材1と、基材1の一方の面上に位置する膜2と、を備える。後述する成膜装置によって基材1の一方の面に成膜される膜2は、例えば金属薄膜又は金属酸化物薄膜である。
基材1は、特に制限されるものではない。基材1としてプラスチック基材を用いる場合には、公知のプラスチックのフィルム又はシートを使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、バイオマス由来のポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂6、ポリアミド樹脂66、ポリアミド樹脂610、ポリアミド樹脂612、ポリアミド樹脂11、ポリアミド樹脂12などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα-オレフィンの重合体などのポリオレフィン系樹脂など、からなるフィルムを使用することができる。
上記のようなプラスチック基材としてのプラスチックフィルムの厚さは、特に制限を受けるものではなく、後述する成膜装置により膜2を成膜する際の前処理や成膜処理することができるものであればよいが、可撓性及び形態保持性の観点からは、6μm以上100μm以下の範囲が好ましい。プラスチックフィルムの厚さが前記範囲内にあると、曲げやすい上に搬送中に破けることもなく、密着性が向上された膜2を有する積層フィルムの製造に用いられる成膜装置で取り扱いやすい。
次に、膜2について説明する。膜2は、酸素および水蒸気に対するバリア性を有していてもよい。
膜2を形成する材料は、特に限定されないが、酸素および水蒸気に対するバリア性を有する膜として使用する際には、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸化窒化物、ケイ素炭化物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、又はこれらの金属窒化物、炭化物、及びこれらの混合物が挙げられる。
上記の構成を有する積層フィルムは、例えば、プラスチックフィルムである基材1の面上に、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムなどを含む膜2を設けた積層フィルムである。より具体的には、厚さ5nm以上50nm以下の、酸化アルミニウムを含む膜2を、厚さ12μmの、ポリエチレンテレフタレートを含む基材1の面上に設けた積層フィルムである。上記の構成を有する積層フィルムは、膜2が酸素および水蒸気に対するバリア性を有するために、バリア性に優れている。このため、電子ペーパーなどの電子デバイス、食品、医薬品、ペットフードなどの包装材料として好適に使用できる。
密着性が向上された膜2を有する積層フィルムの製造に好適に用いられる成膜装置10について説明する。成膜装置10は、図2に示すように、基材1を搬送するための基材搬送機構11Aと、基材1の表面にプラズマ前処理を施すプラズマ前処理機構11Bと、膜2を成膜する成膜機構11Cと、を備える。図2に示す例においては、成膜装置10は、さらに減圧チャンバ12を備える。減圧チャンバ12は、後述する真空ポンプなど、減圧チャンバ12の内部の空間の少なくとも一部の雰囲気を大気圧以下に調整する減圧機構を有する。
図2に示す例において、減圧チャンバ12は、基材搬送機構11Aが位置する基材搬送室12Aと、プラズマ前処理機構11Bが位置するプラズマ前処理室12Bと、成膜機構11Cが位置する成膜室12Cと、を含む。減圧チャンバ12は、好ましくは、各室の内部の雰囲気が互いに混ざり合うことを抑制するよう構成されている。例えば図2に示すように、減圧チャンバ12は、基材搬送室12Aとプラズマ前処理室12Bとの間、プラズマ前処理室12Bと成膜室12Cとの間、基材搬送室12Aと成膜室12Cとの間に位置し、各室を隔てる隔壁35a~35cを有していてもよい。
基材搬送室12A、プラズマ前処理室12B及び成膜室12Cについて説明する。プラズマ前処理室12B及び成膜室12Cは、それぞれ基材搬送室12Aと接して設けられており、それぞれ基材搬送室12Aと接続する部分を有する。これにより、基材搬送室12Aとプラズマ前処理室12Bとの間、及び基材搬送室12Aと成膜室12Cとの間において、基材1を大気に触れさせずに搬送することができる。例えば、基材搬送室12Aとプラズマ前処理室12Bとの間においては、隔壁35aに設けられた開口部を介して基材1を搬送することができる。基材搬送室12Aと成膜室12Cとの間も同様の構造となっており、基材搬送室12Aと成膜室12Cとの間において、基材1を搬送することができる。
減圧チャンバ12の減圧機構の機能について説明する。減圧チャンバ12の減圧機構は、成膜装置10の少なくともプラズマ前処理機構11B又は成膜機構11Cが配置されている空間の雰囲気を大気圧以下に減圧できるように構成されている。減圧機構は、隔壁35a~35cにより区画された、基材搬送室12A、プラズマ前処理室12B、成膜室12Cのそれぞれを大気圧以下に減圧することができるよう構成されていてもよい。
減圧チャンバ12の減圧機構の構成について説明する。減圧チャンバ12は、例えば、プラズマ前処理室12Bに接続されている真空ポンプを有していてもよい。真空ポンプを調整することにより、後述するプラズマ前処理を実施する際のプラズマ前処理室12B内の圧力を適切に制御することができる。また、後述の方法によりプラズマ前処理室12B内において発生させたプラズマが他室に拡散することを抑制できる。減圧チャンバ12の減圧機構は、プラズマ前処理室12Bに接続されている真空ポンプと同様に、成膜室12Cに接続されている真空ポンプを有していてもよい。真空ポンプとしては、ドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプなどを用いることができる。
本実施の形態に係る成膜装置10の基材1の基材搬送機構11Aについて、基材1の搬送経路とともに説明する。
基材搬送機構11Aは、基材搬送室12Aに配置された、基材1を搬送するための機構である。図2に示す例においては、基材搬送機構11Aは、基材1のロール状の原反が取り付けられた巻き出しローラー13、基材1を巻き取る巻き取りローラー15及びガイドロール14a~14dを有する。基材搬送機構11Aから送り出された基材1は、その後、プラズマ前処理室12Bに配置された、後述する前処理ローラー20と、成膜室12Cに配置された、後述する成膜ローラー25と、によって搬送される。
なお、図示はしないが、基材搬送機構11Aは、張力ピックアップローラーを更に有していてもよい。基材搬送機構11Aが張力ピックアップローラーを有することにより、基材1に加わる張力を調整しながら、基材1を搬送することができる。
(プラズマ前処理機構)
プラズマ前処理機構11Bについて説明する。プラズマ前処理機構11Bは、プラズマPを発生させ、発生させたプラズマPを用いて基材1の表面にプラズマ前処理を施すための機構である。図2に示すプラズマ前処理機構11Bは、プラズマ前処理室12Bに配置された前処理ローラー20と、前処理ローラー20に対向する対向電極21と、を有する。
前処理ローラー20について説明する。図3は、図2において符号IIIが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大した図である。なお、図3においては、図2に示されている交流電源32と、後述する電極部材22とを接続する電力供給配線31、及びプラズマ前処理機構11Bが発生させるプラズマPの記載を省略している。前処理ローラー20は、回転軸Xを有する。前処理ローラー20は、少なくとも回転軸Xが、隔壁35a、35bによって区画されるプラズマ前処理室12B内に位置するよう、設けられている。前処理ローラー20には、回転軸Xの方向における寸法を有する基材1が巻き掛けられる。以下の説明において、回転軸Xの方向における基材1の寸法のことを、基材1の幅とも称する。また、回転軸Xの方向のことを、基材1の幅方向とも称する。
図2に示すように、前処理ローラー20は、その一部が基材搬送室12A側に露出するように設けられていてもよい。図2に示す例においては、プラズマ前処理室12Bと基材搬送室12Aとは、隔壁35aに設けられた開口部を介して接続されており、その開口部を通じて、前処理ローラー20の一部が基材搬送室12A側に露出している。基材搬送室12Aとプラズマ前処理室12Bとの間の隔壁35aと、前処理ローラー20との間には隙間があいており、その隙間を通じて、基材搬送室12Aからプラズマ前処理室12Bへと、基材1を搬送することができる。
図示はしないが、前処理ローラー20は、その全体がプラズマ前処理室12B内に位置するよう設けられていてもよい。
図示はしないが、前処理ローラー20は、前処理ローラー20の表面の温度を調整する温度調整機構を有していてもよい。例えば、前処理ローラー20は、冷媒や熱媒等の温度調整媒体を循環させる配管を含む温度調整機構を前処理ローラー20の内部に有していてもよい。温度調整機構は、前処理ローラー20の表面の温度を例えば-20℃以上100℃以下の範囲内の目標温度に調整する。
前処理ローラー20が温度調整機構を有することにより、プラズマ前処理時、熱による基材1の収縮や破損が生じることを抑制することができる。
前処理ローラー20は、少なくともステンレス、鉄、銅及びクロムのいずれか1以上を含む材料により形成される。前処理ローラー20の表面には、傷つき防止のために、硬質のクロムハードコート処理などを施してもよい。これらの材料は加工が容易である。また、前処理ローラー20の材料として上記の材料を用いることにより、前処理ローラー20自体の熱伝導性が高くなるので、前処理ローラー20の温度の制御が容易になる。
対向電極21について説明する。図2及び図3に示すように、対向電極21は、前処理ローラー20に対向する電極部材22と、電極部材22の、前処理ローラー20と対向する側とは反対の側に設けられた磁場形成部材23と、を有する。電極部材22は、前処理ローラー20との間で交流電圧を印加することにより、前処理ローラー20との間においてプラズマを発生させる部材である。電極部材22は、好ましくは、前処理ローラー20との間において、発生したプラズマが、基材1の表面に向かうように、基材1の表面に対して垂直方向に運動するように、電場を形成する。これにより、効率的に基材1を前処理することができる。また、磁場形成部材23は、前処理ローラー20と電極部材22との間に磁場を形成する部材である。
対向電極21の数は、好ましくは2以上である。2以上の対向電極21は、好ましくは、基材1の搬送方向に沿って並んでいる。図2及び図3に示す例においては、成膜装置10が2つの対向電極21を有する例が示されている。また、対向電極21の数は、例えば12以下である。
2以上の対向電極21が基材1の搬送方向に沿って並んでいることの効果について説明する。上述の通り、プラズマは、対向電極21の電極部材22と前処理ローラー20との間に発生する。プラズマが発生する領域は、搬送方向における電極部材22の寸法が大きくなるほど拡大する。一方、電極部材22が平坦な板状の部材である場合、搬送方向における電極部材22の寸法が大きくなるほど、搬送方向における電極部材22の、前処理ローラー20に対向する面である第1面22aの端部から前処理ローラー20までの距離が大きくなり、プラズマの発生効率が低下してしまう。
本実施の形態に係る成膜装置10においては、2以上の対向電極21が基材1の搬送方向に沿って並んでいる。このため、基材1の搬送方向における電極部材22の寸法が小さい場合であっても、搬送方向における広い範囲にわたってプラズマを発生させることができる。また、電極部材22の寸法を小さくすることにより、搬送方向における電極部材22の第1面22aの端部から前処理ローラー20までの距離を小さくすることができ、プラズマを効率良く発生させることができる。
電極部材22について説明する。電極部材22は、前処理ローラー20に対向する第1面22aと、第1面22aの反対側に位置する第2面22bとを有する。図2及び図3に示す例において、電極部材22は板状の部材であり、第1面22a及び第2面22bはいずれも平面である。
図2及び図3に示すように、電極部材22は、電極部材22の第1面22a上に位置する第1端部22c及び第2端部22dを有する。第1端部22cは、基材1の搬送方向における上流側の端部であり、第2端部22dは、基材1の搬送方向における下流側の端部である。上述のように、基材1の搬送方向における電極部材22の寸法を小さくすることにより、搬送方向における電極部材22の第1端部22c及び第2端部22dから前処理ローラー20までの距離を小さくすることができる。基材1の搬送方向における電極部材22の寸法は、図3に示す角度θに対応する。角度θは、第1端部22c及び回転軸Xを通る直線と、第2端部22d及び回転軸Xを通る直線とがなす角度である。角度θは、20°以上90°以下となることが好ましく、60°以下となることがより好ましく、45°以下となることがさらに好ましい。角度θが上記の範囲となることにより、電極部材22の第1面22aが平面である場合に、電極部材22と前処理ローラー20との間にプラズマを効率良く発生させることができる。
電極部材22は、前処理ローラー20との間で交流電圧を印加される、導電性を有する部材である。電極部材22の材料は、導電性を有する限り、特に限定されない。具体的には、電極部材22の材料として、アルミニウム、銅、ステンレスが好適に用いられる。
電極部材22の第1面22aに垂直な方向に見た場合における電極部材22の厚みL3は、特に限定されないが、例えば15mm以下である。電極部材22の厚みが上記の値であることにより、後述の磁場形成部材23によって、前処理ローラー20と電極部材22との間に磁場を効果的に形成することができる。また、電極部材22の厚みL3は、例えば3mm以上である。
磁場形成部材23について説明する。磁場形成部材23は、前処理ローラー20と電極部材22との間に磁場を形成するための部材である。前処理ローラー20と電極部材22との間の磁場は、例えば、プラズマ前処理機構11Bを用いてプラズマを発生させる場合において、より高密度のプラズマの発生に寄与する。図2及び図3に示す磁場形成部材23は、電極部材22の第2面22b上に設けられた第1磁石231及び第2磁石232を有する。
まず、電極部材22の第2面22bの法線方向における第1磁石231及び第2磁石232の構造について説明する。図2及び図3に示すように、第1磁石231及び第2磁石232はそれぞれ、N極及びS極を有する。図2及び図3に示す符号Nは、第1磁石231又は第2磁石232のN極を示す。また、図2及び図3に示す符号Sは、第1磁石231又は第2磁石232のS極を示す。
第1磁石231のN極又はS極の一方は、他方よりも基材1側に位置する。また、第2磁石232のN極又はS極の他方は、一方よりも基材1側に位置する。図2及び図3に示す例においては、第1磁石231のN極が、第1磁石231のS極よりも基材1側に位置し、第2磁石232のS極が、第2磁石のN極よりも基材1側に位置する。図示はしないが、第1磁石231のS極が、第1磁石231のN極よりも基材1側に位置し、第2磁石232のN極が、第2磁石232のS極よりも基材1側に位置していてもよい。
続いて、電極部材22の第2面22bの面方向における第1磁石231及び第2磁石232の構造について説明する。図4は、図2に示す対向電極21を磁場形成部材23側からみた平面図である。図5は図4のV-V線に沿った断面を示す断面図である。また、図4において、方向D1は、前処理ローラー20の回転軸Xが延びる方向である。
図4及び図5に示すように、第1磁石231は、第1軸方向部分231cを有する。図4に示すように、第1軸方向部分231cは、方向D1に沿って、すなわち前処理ローラー20の回転軸Xに沿って延びている。
1つの電極部材22に設けられた第1磁石231は、1つの第1軸方向部分231cを有していてもよく、2つ以上の第1軸方向部分231cを有していてもよい。図4及び図5に示す例においては、1つの電極部材22に設けられた第1磁石231は、1つの第1軸方向部分231cを有している。
また、図4及び図5に示すように、第2磁石232は、第2軸方向部分232cを有する。図4に示すように、第2軸方向部分232cも、第1軸方向部分231cと同様に、方向D1に沿って、すなわち回転軸Xに沿って延びている。
第1磁石231及び第2磁石232がいずれも回転軸Xに沿って延びる部分を含むことにより、基材1の周囲に形成される磁場の強度の、基材1の幅方向における均一性を高めることができる。これにより、基材1の周囲に形成されるプラズマの分布密度の、基材1の幅方向における均一性を高めることができる。
1つの電極部材22に設けられた第2磁石232は、1つの第2軸方向部分232cを有していてもよく、2つ以上の第2軸方向部分232cを有していてもよい。図4及び図5に示す例においては、1つの電極部材22に設けられた第2磁石232は、2つの第2軸方向部分232cを有している。2つの第2軸方向部分232cは、電極部材22の第2面22bの面方向のうち回転軸Xに直交する方向D2において第1軸方向部分231cを挟むように位置していてもよい。
図5に示す、基材1の搬送方向における第1軸方向部分231cの寸法L4、及び第2軸方向部分232cの寸法L5は、特に限定されない。
また、基材1の搬送方向における第1軸方向部分231cの寸法L4と第2軸方向部分232cの寸法L5との比率は、特に限定されない。第1軸方向部分231cの寸法L4と第2軸方向部分232cの寸法L5とが等しくてもよく、第1軸方向部分231cの寸法L4が第2軸方向部分232cの寸法L5より大きくてもよい。
方向D2における第1軸方向部分231cと第2軸方向部分232cとの間隔L6は、第1軸方向部分231c及び第2軸方向部分232cによって生じる磁場が前処理ローラー20と電極部材22との間に形成されるよう設定される。
第2磁石232は、電極部材22の第2面22bの法線方向に沿って磁場形成部材23を見た場合に、第1磁石231を囲んでいてもよい。例えば図4に示すように、第2磁石232は、2つの第2軸方向部分232cとともに、2つの第2軸方向部分232cを接続するように設けられた2つの接続部分232dを有していてもよい。
第1磁石231及び第2磁石232など、磁場形成部材23として用いられる磁石の種類の例としては、フェライト磁石や、ネオジウム、サマリウムコバルト(サマコバ)などの希土類磁石などの永久磁石を挙げることができる。また、磁場形成部材23として、電磁石を用いることもできる。
第1磁石231及び第2磁石232などの磁場形成部材23の磁石の磁束密度は、例えば100ガウス以上10000ガウス以下である。磁束密度が100ガウス以上であれば、前処理ローラー20と電極部材22との間に十分に強い磁場を形成することによって、十分に高密度のプラズマを発生させることができ、良好な前処理面を高速で形成することができる。一方、基材1の表面での磁束密度を10000ガウスよりも高くするには、高価な磁石又は磁場発生機構が必要となる。
図示はしないが、プラズマ前処理機構11Bは、プラズマ原料ガス供給部を有していてもよい。プラズマ原料ガス供給部は、プラズマの原料となるガスをプラズマ前処理室12B内に供給する。プラズマ原料ガス供給部の構成は特に限定されない。例えば、プラズマ原料ガス供給部は、プラズマ前処理室12Bの壁面に設けられ、プラズマの原料となるガスを噴出する穴を含む。また、プラズマ原料ガス供給部は、プラズマ前処理室12Bの壁面よりも基材1に近い位置においてプラズマ原料ガスを放出するノズルを有していてもよい。プラズマ原料ガス供給部によって供給されるプラズマ原料ガスとしては、例えば、アルゴンなどの不活性ガス、酸素、窒素、炭酸ガス、エチレンなどの活性ガス、又は、それらのガスの混合ガスを供給する。プラズマ原料ガスとしては、不活性ガスのうち1種を単体で用いても、活性ガスのうち1種を単体で用いても、不活性ガス又は活性ガスに含まれるガスのうち2種類以上のガスの混合ガスを用いてもよい。プラズマ原料ガスとしては、アルゴンのような不活性ガスと、活性ガスとの混合ガスを用いることが好ましい。
図2に示す例において、プラズマ前処理機構11Bは、基材搬送室12A及び成膜室12Cから隔壁によって隔てられたプラズマ前処理室12B内に配置されている。プラズマ前処理室12Bを基材搬送室12A及び成膜室12Cなどの他の領域と区分することにより、プラズマ前処理室12Bの雰囲気を独立して調整し易くなる。これにより、例えば、前処理ローラー20と対向電極21とが対向する空間におけるプラズマ原料ガス濃度の制御が容易となり、積層フィルムの生産性が向上する。
プラズマ前処理機構11Bの前処理ローラー20と電極部材22との間には、交流電圧が印加される。交流電圧の印加により、前処理ローラー20と電極部材22との間にプラズマを発生させる。好ましくは、交流電圧の印加により、発生したプラズマが、基材1の表面に向かうように、基材1の表面に対して垂直方向に運動するように、電場が形成される。
前処理ローラー20と電極部材22との間に印加される交流電圧は、例えば20kHz以上100kHz以下の周波数を有する。
(成膜機構)
次に、成膜機構11Cについて説明する。本実施の形態においては、一例として、物理蒸着用の成膜機構11Cであって、特に、蒸着法により膜を成膜する成膜機構11Cについて説明する。図2に示す例において、成膜機構11Cは、成膜室12Cに配置された成膜ローラー25と、蒸発機構24とを有する。
成膜ローラー25について説明する。成膜ローラー25は、プラズマ前処理機構11Bにおいて前処理された基材1の処理面を外側にして基材1を巻きかけて搬送するローラーである。
成膜ローラー25の材料について説明する。成膜ローラー25は、少なくともステンレス、鉄、銅及びクロムのうちいずれかを1以上含む材料から形成されることが好ましい。成膜ローラー25の表面には、傷つき防止のために、硬質のクロムハードコート処理などを施してもよい。これらの材料は加工が容易である。また、成膜ローラー25の材料として上記の材料を用いることにより、成膜ローラー25自体の熱伝導性が高くなるので、温度制御を行う際に、温度制御性が優れたものとなる。成膜ローラー25の表面の表面平均粗さRaは、例えば0.1μm以上10μm以下である。
また、図示はしないが、成膜ローラー25は、成膜ローラー25の表面の温度を調整する温度調整機構を有していてもよい。
温度調整機構は、例えば、冷却媒体又は熱源媒体を循環させる循環路を成膜ローラー25の内部に有する。冷却媒体(冷媒)は、例えばエチレングリコール水溶液であり、熱源媒体(熱媒)は、例えばシリコンオイルである。温度調整機構は、成膜ローラー25と対向する位置に設置されたヒータを有していてもよい。成膜機構11Cが蒸着法により膜を成膜する場合、関連する機械部品の耐熱性の制約や汎用性の面から、好ましくは、温度調整機構は、成膜ローラー25の表面の温度を-20℃以上200℃以下の範囲内の目標温度に調整する。
成膜ローラー25が温度調整機構を有することによって、成膜時に発生する熱に起因する基材1の温度の変動を抑えることができる。
蒸発機構24は、蒸着材料を蒸発させる機構である。蒸発した蒸着材料が基材1に付着することにより、基材1の表面に蒸着膜が形成される。蒸発機構24は、例えば、加熱機構と、加熱機構によって加熱される坩堝とを有する。
図示はしないが、成膜装置10は、蒸発機構24によって蒸発させた蒸着材料にガスを供給する、ガス供給機構を有していてもよい。ガス供給機構は、例えば、蒸着材料としてアルミニウムを用いて酸化アルミニウム蒸着膜を形成する場合に、蒸発機構24によって蒸発させたアルミニウムに酸素ガスを供給する。これにより、蒸発したアルミニウムを酸化して、酸化アルミニウム蒸着膜を形成することができる。
図示はしないが、成膜装置10は、基材搬送室12Aのうち、成膜室12Cよりも基材1の搬送方向の下流側に位置する部分に、成膜機構11Cによる成膜に起因して基材1に発生した帯電を除去する後処理を行う基材帯電除去部を備えてもよい。基材帯電除去部は、基材1の片面の帯電を除去するように設けられていてもよく、基材1の両面の帯電を除去するように設けられていてもよい。
基材1に後処理を行う基材帯電除去部として用いられる装置は、特に限定されないが、例えばプラズマ放電装置、電子線照射装置、紫外線照射装置、除電バー、グロー放電装置、コロナ処理装置などを用いることができる。
プラズマ処理装置、グロー放電装置を用いて放電を形成することにより後処理を行う場合、基材1の近傍に、アルゴン、酸素、窒素、ヘリウムなどの放電用ガス単体、またはこれらの混合ガスを供給し、交流(AC)プラズマ、直流(DC)プラズマ、アーク放電、マイクロウェーブ、表面波プラズマなど、任意の放電方式を用いて後処理を行うことが可能である。減圧環境下では、プラズマ放電装置を用いて後処理を行うことが最も好ましい。
基材帯電除去部を、基材搬送室12Aのうち、成膜室12Cよりも基材1の搬送方向の下流側に位置する部分に設置し、基材1の帯電を除去することにより、基材1を成膜ローラー25から所定位置で速やかに離して搬送することができる。このため、安定した基材搬送が可能となり、帯電に起因する基材1の破損や品質低下を防ぎ、基材表裏面の濡れ性改善により後加工適正の向上を図ることができる。
(交流電源)
図2に示す例において、成膜装置10は、前処理ローラー20と、対向電極21の電極部材22と、に電気的に接続された、交流電源32をさらに備える。図2に示す例において、交流電源32は、電力供給配線31を介して、前処理ローラー20、及び対向電極21の電極部材22に電気的に接続されている。交流電源32は、例えば20kHz以上100kHz以下の周波数を有する交流電圧を前処理ローラー20と対向電極21の電極部材22との間に印加することが可能である。交流電源32によって印加可能な投入電力(基材1の幅方向において、電極部材22の1m幅あたりに印加可能な電力)は、特に限定されないが、例えば、0.5kW/m 以上 20kW/m 以下である。前処理ローラー20は、電気的にアースレベルに設置されてもよく、電気的にフローティングレベルに設置されてもよい。
(成膜方法)
上述の成膜装置10を使用して、基材1の表面に成膜する成膜方法について説明する。成膜装置10を使用した成膜においては、上述の基材1の搬送経路に沿って基材1を搬送しつつ、プラズマ前処理機構11Bを用いて基材1の表面にプラズマ前処理を施すプラズマ前処理工程、及び成膜機構11Cを用いて基材1の表面に蒸着膜を成膜する成膜工程を行う。基材1の搬送速度は、好ましくは200m/min以上であり、より好ましくは480m/min以上1000m/min以下である。
(プラズマ前処理工程)
プラズマ前処理工程は、例えば以下の手順により行われる。まず、プラズマ前処理室12B内にプラズマ原料ガスを供給する。次に、前処理ローラー20と対向電極21の電極部材22との間に、上述の交流電圧を印加する。交流電圧の印加の際には、投入電力制御または、インピーダンス制御などを行ってもよい。
交流電圧の印加により、前処理ローラー20と電極部材22との間に電位差を生じさせ、前処理ローラー20と電極部材22との間にグロー放電を発生させる。グロー放電によって、前処理ローラー20と電極部材22との間に電子が放出される。放出された電子がプラズマ原料ガスに衝突することによって、プラズマ原料ガスが励起状態になり、プラズマPが発生する。発生したプラズマPによって、基材1の表面にプラズマ前処理を施すことができる。
前処理ローラー20と電極部材22との間に交流電圧を印加する際のプラズマ前処理室12B内の気圧は、交流電圧の印加により前処理ローラー20と電極部材22との間にグロー放電を生じさせることができる限り、特に限定されないが、例えば0.05Pa以上8Pa以下である。
プラズマ前処理工程における磁場形成部材23の作用について説明する。磁場形成部材23の第1磁石231及び第2磁石232は、前処理ローラー20と電極部材22との間に磁場を形成する。磁場は、前処理ローラー20と電極部材22との間に存在する電子の密度を高めるよう作用し得る。このため、磁場が形成されている領域(以下、磁場領域とも称する)において、電子とプラズマ原料ガスの衝突の頻度を高め、プラズマの密度を高め、且つ局在化させることがきるので、プラズマ前処理の効率を向上させることができる。
プラズマ前処理工程における交流電圧の印加の作用について説明する。交流電圧の印加によって、電場の作用により、発生したプラズマを、基材1の表面に向かうように、基材1の表面に対して垂直方向に運動させることができる。
(成膜工程)
成膜工程においては、成膜機構11Cを用いて、基材1の表面に成膜する。成膜工程の一例として、加熱機構及び坩堝を有する蒸発機構24を有する成膜機構11Cを用いて、物理蒸着法の一種である蒸着法により、酸化アルミニウム蒸着膜を成膜する場合について説明する。
まず、蒸発機構24の坩堝内に、成膜ローラー25に対向するように蒸着材料を配置する。蒸着材料としては、アルミニウムの金属線材を用いることができる。次に、加熱機構を用いて、坩堝内の蒸着材料を加熱する。蒸着材料としてアルミニウムの金属線材を用いる場合には、抵抗加熱式の加熱機構を用いて、蒸着材料のアルミニウムを加熱することによって、アルミニウムを蒸発させることができる。次に、蒸発させたアルミニウムを、ガス供給機構を用いて酸素を供給することによって酸化させる。以上により、蒸発し、酸化したアルミニウムが基材1に付着することによって、基材1の表面に酸化アルミニウム蒸着膜を成膜することができる。
本実施の形態においては、成膜工程の前に、基材1の表面にプラズマを供給するプラズマ前処理工程を実施している。プラズマ前処理工程においては、電極部材22と前処理ローラー20との間に交流電圧を印加する。また、電極部材22の面のうち前処理ローラー20と対向する面とは反対側の面の側に位置する磁場形成部材23を利用して、電極部材22と前処理ローラー20との間の空間に磁場を生じさせる。このため、電極部材22と前処理ローラー20との間の空間に効率良くプラズマを発生させたり、プラズマを前処理ローラー20に巻き掛けられている基材1の表面に垂直に接触させたりすることができる。従って、成膜工程によって成膜される膜と基材1との間の密着性を高めることができる。
(変形例1)
上述の実施の形態においては、成膜機構11Cが、物理蒸着用の成膜機構である例を示した。具体的には、成膜機構11Cが、真空蒸着法によって蒸着膜を成膜する成膜工程を実施する例を示した。しかしながら、成膜機構11Cが実施する物理蒸着法の例は真空蒸着法には限られない。例えば、成膜機構11Cは、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法又はクラスターイオンビーム法などの物理蒸着を実施してもよい。
(変形例2)
上述の実施の形態及び変形例においては、成膜機構11Cが、物理蒸着用の成膜機構である例を示した。しかしながら、成膜機構11Cによって実現される成膜方法の例は物理蒸着法には限られない。例えば、成膜機構11Cは、プラズマCVD法、プラズマ重合法、熱CVD法、又は触媒反応型CVD法などの化学蒸着法を実施してもよい。
化学蒸着用の成膜機構11Cの一例として、プラズマCVD法によって成膜する成膜機構11Cについて説明する。プラズマCVD法によって成膜する成膜機構11Cは、例えば、成膜室12Cに配置された成膜ローラー25と、成膜室12C内に成膜材料を供給する成膜材料供給機構と、プラズマを形成するプラズマ形成機構と、を有する。成膜ローラー25については、実施の形態において上述した成膜ローラー25と同一であるため、説明を省略する。プラズマ形成機構は、例えば、2つの対向する電極を有する。2つの電極の間に電圧を印加することにより、2つの電極の間にプラズマ放電を発生させることができる。プラズマ形成機構が2つの対向する電極を有する場合、プラズマ形成機構は、更に2つの電極に電気的に接続された電源を有していてもよい。
上述したプラズマCVD法によって成膜する成膜機構11Cを用いて、プラズマCVD法によって成膜する成膜工程について説明する。まず、成膜材料供給機構によって、成膜室12C内に成膜材料を供給する。次に、2つの対向する電極に電気的に接続された電源を用いて、2つの電極の間に電圧を印加する。これによって、2つの電極の間にプラズマ放電が発生し、2つの電極の間において、成膜材料が衝突により相互に活性化してラジカルとなる。このため、成膜材料の化学反応が活性化される。基材1上に、成膜材料の化学反応による生成物を形成することによって、基材1の表面に成膜することができる。
1 基材
2 膜
10 成膜装置
P プラズマ
X 回転軸
11A 基材搬送機構
11B プラズマ前処理機構
11C 成膜機構
12 減圧チャンバ
12A 基材搬送室
12B プラズマ前処理室
12C 成膜室
13 巻き出しローラー
14a~d ガイドロール
15 巻き取りローラー
20 前処理ローラー
21 対向電極
22 電極部材
22a 第1面
22b 第2面
22c 第1端部
22d 第2端部
23 磁場形成部材
231 第1磁石
231c 第1軸方向部分
232 第2磁石
232c 第2軸方向部分
232d 接続部分
24 蒸発機構
25 成膜ローラー
31 電力供給配線
32 交流電源
35a~35c 隔壁

Claims (11)

  1. 巻きかけられた基材を搬送する前処理ローラーと、前記前処理ローラーに対向するとともに前記前処理ローラーとの間で20kHz以上100kHz以下の周波数の交流電圧を印加される電極部材、及び前記電極部材の前記前処理ローラーと対向する側とは反対の側に設けられた磁場形成部材を有する対向電極と、を有し、前記交流電圧に基づいてプラズマを発生させるプラズマ前処理機構と、
    前記基材の搬送方向における前記プラズマ前処理機構よりも下流側に位置する成膜ローラーを有し、前記成膜ローラーに巻き掛けられた前記基材の表面に成膜する成膜機構と、を備える、成膜装置。
  2. 前記プラズマ前処理機構は、前記基材の搬送方向に沿って並ぶ2以上の前記対向電極を有する、請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記電極部材は、前記前処理ローラーに対向する第1面と、前記第1面の反対側の面である第2面と、を有し、
    前記磁場形成部材は、前記電極部材の前記第2面側に設けられ、N極及びS極を有する第1磁石と、前記電極部材の前記第2面側に設けられ、N極及びS極を有する第2磁石と、を有し、
    前記第1磁石のN極又はS極の一方は、他方よりも前記基材側に位置し、
    前記第2磁石のN極又はS極の他方は、一方よりも前記基材側に位置する、請求項1又は2に記載の成膜装置。
  4. 前記第1磁石は、前記前処理ローラーの回転軸に沿って延びる第1軸方向部分を有し、
    前記第2磁石は、前記前処理ローラーの回転軸に沿って延びる第2軸方向部分を有し、
    前記第1軸方向部分及び前記第2軸方向部分は、前記回転軸に直交する方向において間隔をあけて並んでいる、請求項3に記載の成膜装置。
  5. 前記第2磁石は、前記回転軸に直交する方向において前記第1軸方向部分を挟むように位置する少なくとも2つの前記第2軸方向部分を有する、請求項4に記載の成膜装置。
  6. 2つの前記第2軸方向部分を有する前記第2磁石は、前記第2面の法線方向に沿って前記磁場形成部材を見た場合に前記第1磁石を囲んでいる、請求項5に記載の成膜装置。
  7. 前記成膜機構は、物理蒸着用の成膜機構である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の成膜装置。
  8. 前記成膜機構は、化学蒸着用の成膜機構である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の成膜装置。
  9. 前記成膜装置は、前記前処理ローラーと、前記対向電極の前記電極部材と、に電気的に接続された、20kHz以上100kHz以下の周波数を有する交流電圧を印加することが可能な交流電源をさらに備え、
    前記プラズマ前処理機構は、前記交流電源を用いて、前記前処理ローラーと前記対向電極の前記電極部材との間に交流電圧を印加することによりプラズマを発生させる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の成膜装置。
  10. 前記プラズマ前処理機構は、プラズマ前処理室に配置され、
    前記成膜機構は、前記プラズマ前処理室から隔てられるとともに前記基材の搬送方向における前記プラズマ前処理室よりも下流側に位置する成膜室に配置されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の成膜装置。
  11. 成膜装置を用いて基材の表面に成膜する成膜方法であって、
    前記成膜装置は、巻きかけられた基材を搬送する前処理ローラーと、前記前処理ローラーに対向する電極部材、及び前記電極部材の前記前処理ローラーと対向する側とは反対の側に設けられた磁場形成部材を有する対向電極と、を有するプラズマ前処理機構と、前記基材の搬送方向における前記プラズマ前処理機構よりも下流側に位置する成膜ローラーを有する成膜機構と、を備え、
    前記前処理ローラーと前記電極部材との間に20kHz以上100kHz以下の周波数の交流電圧を印加することによりプラズマを発生させ、発生させたプラズマを用いて前記基材の表面に前処理を施すプラズマ前処理工程と、
    前記成膜ローラーに巻き掛けられた前記基材の表面に成膜する成膜工程と、を備える、成膜方法。
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