以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る屋根上取付具の第1実施形態の説明図であり、屋根上取付具を波形屋根へ取り付ける前の状態を示した分解斜視図である。図2は、屋根上取付具の挟着片の展開図である。図3は、屋根上取付具の波形屋根への取り付け後の状態を示した一部破断斜視図である。図4(a)、(b)および図5(c)は、屋根上取付具の施工手順を示す部分断面正面図である。図6は、屋根上取付具の波形屋根への載置状態を説明するための図である。
この屋根上取付具Aが取り付けされる波形屋根としては、図例として示した折板屋根Y(角波形屋根)や丸波形屋根が挙げられる。また、屋根の素材としては、金属や合成樹脂、セメント系等のものが適用できる。
図例として示した折板屋根Yは、山部Y1と谷部Y2が交互に連続する屋根であって、複数の折板屋根材を側端縁の山部Y1の頂部Y1aで重合し、その重合部でボルト体BとナットC1の螺着によって連結した重ね式連結構造となっている。
このナットC1は、図例においては、その下方の座金C2とともに座金部Cを構成している。座金C2は、ボルト孔からの水の浸入を防止するための防水パッキンC3を覆っている。なお、座金部Cは、図例のような座金C2を含まず螺着用のナットC1のみで構成してもよい。
また、折板屋根Yの裏側には、正面視で折板屋根Yと略同形状をなす、ボルト止めのための支持金具Y3が取り付けられている。折板屋根Yはこの支持金具Y3に支持される。なお、屋根上取付具Aを取り付けるためのボルト体Bの取付位置は、隣接する折板屋根材の重合部に限らず、他の頂部Y1aに支持金具Y3を用いてボルト体Bを取り付けてもよい。
この屋根上取付具Aは、金属板または硬質樹脂板よりなり、折板屋根Yの頂部Y1aより上方に突出した上記ボルト体Bに挟着させて、取り付け、固定する構造となっている。
具体的には、屋根上取付具Aは、台座部11と、その両端から下方に延びた一対の脚片12、12と、脚片12、12のそれぞれの下端から、先端が相対向するように折曲形成された挟着片13、13とが一体形成された、略門形の挟着具1により構成されており、両脚片12、12を緊締して、両挟着片13、13の先端を相互に近接させて、ボルト体Bに挟着させる構造となっている。
この両脚片12、12の緊締は、対向する両脚片12、12に開設された軸孔12a、12aに貫通された緊締用ボルト25と、緊締用ナット26との螺合によってなされる。
なお図例の屋根上取付具Aには、台座部11および両脚片12、12に、補強用のリブ11x、12xが形成されている。
挟着片13は、屋根上取付具Aを折板屋根Yの頂部Y1aに取り付けたときに頂部Y1aの上面に接触する屋根上載置部13aを有し、その先端部において上方に折曲されて立上り部13cが形成され、さらに折り返されて折返し片13dが形成され、立上り部13cの中央部には、折返し片13dにかけて、ボルト体Bが嵌め入れられる係止凹所13bbが形成され、その係止凹所13bbの底部にボルト体Bの雄ネジ部B1に係止する係止突片13baが形成されている。この係止凹所13bbと係止突片baとで、ボルト体Bの雄ネジ部B1に対する係止部13bを構成している。
この立上り部13cの両端には、屋根上取付具A(挟着具1)の中央開口の貫通方向(脚片12の幅方向)の各外側に突出した締付突出片14が形成されている。この締付突出片14にはボルト挿通孔14aが開設されており、対向する締付突出片14、14同士をボルト15、ナット16で締め付け固定できるようになっている。ボルト15、ナット16に代えてドリルビス等の固定具を用いてもよいし、カシメによって固定してもよい。なおドリルビスを使用する場合は、締付突出片14にはボルト挿通孔14aを設けなくてもよい。
また、屋根上載置部13aは、図2の挟着片13の展開図に示すように、中央部に大きな開口が形成され、その開口に連通する凹所(係止凹所13bb)が形成されている。この挟着片板材を折り曲げて挟着片13を形成したときには、その開口によって、屋根上取付具Aを頂部Y1aに設置したときに上記座金部Cを収容する(回避する)座金部収容空所13aaが形成される。
この座金部収容空所13aaは、平面的には座金C2の大きさ分を収容でき、高さ方向においてはナットC1の上端までを収容できる程度の空所であればよい。
また、係止突片13baは、脚片12の緊締によって両係止凹所13bb、13bbでボルト体Bを抱持することで雄ネジ部B1と係止される。こうして、雄ネジ部B1のネジ溝に係止突片13baが噛み合って、強固な挟着関係が形成され、それによって屋根上取付具Aがボルト体Bに固定される。なお、この係止突片13baはやや上向きに形成することが望ましい。
このように、ボルト体Bの雄ネジ部B1に対する係止部13bは、図例では係止突片13baと係止凹所13bbとで構成されているが、他の係止構造の係止部を採用してもよい。
また、図3に示すように、屋根上取付具Aは頂部Y1aの上面に載置されるように固定される。つまり、屋根上取付具Aを設置したときには挟着片13の屋根上載置部13aは頂部Y1aの上面に接触する。
したがって、この屋根上取付具Aによれば、係止部13bにより折板屋根Yの頂部Y1aより突出したボルト体Bにしっかりと係止、挟着でき、さらに、2組の締付突出片14、14同士を締め付け固定することで、しっかりと挟着した挟着片13、13間が開くことをほぼ確実に防止することができる。特に、本実施形態に示した締付突出片14は外側に突出しているので、ボルト止めの作業がしやすく、施工の負担にならない。
このように、係止部13bによるボルト体Bの雄ネジ部B1への係止と、挟着片13によるボルト体Bへの挟着と、締付突出片14、14同士の締付固定との協働によって、屋根上取付具Aのボルト体Bからの抜け出しや、ぐらつきをほぼ確実に防止することができる。
またさらに、波形屋根Yに取り付けたときに、屋根上載置部13aが頂部Y1aに接触する構成となっているので、屋根上取付具Aのボルト体Bへの固定安定化を補完できる。
また、図1に示すように座金C2の径が大きいため頂部Y1aの幅方向の両側に広いスペースが得られない場合でも、座金部収容空所13aaが形成された屋根上載置部13aが挟着片13に形成されているため、図例のように頂部Y1aの幅方向に両脚片12、12を並べるように設置する場合でも、挟着片13は座金部Cに抵触することなく、挟着片13を安定的に頂部Y1aの上面に接触、載置させることができる。
また、図6は屋根上取付具Aの折板屋根Yへの載置状態を示した概略平面図であるが、両挟着片13、13の屋根上載置部13a、13aは、クロスハッチングで示しているように座金部Cに接触することなく、頂部Y1aの上面に面接触している。図6に示すように、屋根上載置部13aは、座金部Cの周回部において頂部Y1a上面に接触するので、安定的な設置が望める。
以上のように構成した本発明の屋根上取付具Aは、以下の要領で折板屋根Yに取り付けて使用する。
まず、両脚片12、12の軸孔12a、12aの一方から緊締用ボルト25の軸部25aを貫通させ、緊締用ボルト25の先端側から緊締用ナット26を軽く締めて仮止め状態にしたうえで、折板屋根Yに立設されたボルト体Bの上方から、両挟着片13、13の係止部13b、13b間の間隙Sを通じてボルト体Bを嵌挿する(図4(a)、(b)参照)。
次に、仮止め状態にしていた緊締用ボルト25および緊締用ナット26を緊締すると、この締め付け力によって両脚片12、12が近接して、両挟着片13、13の係止部13b、13bも互いに近接し、両係止凹所13bb、13bbがボルト体Bの雄ネジ部B1を挟み込み、係止突片13ba、13baがボルト体Bの雄ネジ部B1の外周面のネジ溝に係止してボルト体Bを挟持する(図4(b)、図5(c)参照)。
そして最後に、向かい合い接触あるいは近接状態となった締付突出片14、14同士をボルト15、ナット16の螺合により締め付け固定する(図3参照)。
こうして折板屋根Yに取り付けた屋根上取付具Aの台座部11の上方には、各種機器・部材類(不図示)を取り付けることができる(図5(c)参照)。
本実施形態の屋根上取付具Aによれば、挟着具1は、挟着片13、13を下端に折曲形成させた両脚片12、12と、脚片12、12を両端に有した台座部11とを含んで一体形成されているため、挟着具1を頑丈かつシンプルな形状に構成できる。
さらに、一対の脚片12、12を緊締することで一対の挟着片13、13を近接させる構造としているため、一対の脚片12、12を緊締するための緊締用ボルト25等を設けるだけで緊締の構造を実現でき、そのため構造をシンプルにできる。
ついで、第2実施形態について説明する。
図7は、本発明に係る屋根上取付具の第2実施形態の説明図であり、屋根上取付具の波形屋根への取り付け前の状態を示した斜視図である。図8は、屋根上取付具に使用される挟着具の分解斜視図である。図9(a)、(b)および図10(c)、(d)は、図7で示した屋根上取付具の施工手順を示す部分断面正面図である。
なお、本実施形態においては、屋根上取付具Aの波形屋根への取り付け後の斜視図については図示を省略する。また、屋根上取付具Aの載置状態の斜視図については第1実施形態と略同様であるため図示を省略する。
この屋根上取付具Aが取り付けされる波形屋根としては、第1実施形態のものと同様、図例として示した折板屋根Y(角波形屋根)や丸波形屋根が挙げられる。また、屋根の素材としては、金属や合成樹脂、セメント系等のものが適用できる。
また、屋根上取付具Aの取付対象である折板屋根Yについても、第1実施形態で示した折板屋根Yと同一であり、その構造については、同一の符号を付して説明を省略する。
この屋根上取付具Aは、一対の挟着部材10、10を開閉自在に支点連結して挟着具1´を構成し、挟着具1´の作用点とされる相対向した一対の挟着片13、13を相互近接させ固定して、折板屋根Yの頂部Y1aより突出したボルト体Bに挟着させる構造とした取付具である。
まず、挟着部材10の構成部のうちボルト体Bの挟着を担う挟着片13について説明する。
この挟着片13は、第1実施形態と同様に、屋根上取付具Aを折板屋根Yの頂部Y1aに取り付けたときに頂部Y1aの上面に接触する屋根上載置部13aを有し、その先端部において上方に折曲されて立上り部13cが形成され、さらに折り返されて折返し片13dが形成され、立上り部13cの中央部には、折返し片13dにかけて、ボルト体Bが嵌め入れられる係止凹所13bbが形成され、その係止凹所13bbの底部にボルト体Bの雄ネジ部B1に係止する係止突片13baが形成されている。この係止凹所13bbと係止突片13baとで、ボルト体Bの雄ネジ部B1に対する係止部13bを構成している。
この立上り部13cの両端には、第1実施形態と同様に、屋根上取付具A(挟着具1´)の中央開口の貫通方向(脚片12の幅方向)の各外側に突出する締付突出片14が形成されている。この締付突出片14にはボルト挿通孔14aが開設されており、対向する締付突出片14、14同士をボルト15、ナット16で締め付け固定できるようになっている。なお、ドリルビスまたはカシメによって固定してもよい。
また、屋根上載置部13aは中央部が開口されており、その開口によって屋根上取付具Aを頂部Y1aに設置したときに座金部Cを収容する座金部収容空所13aaを形成している。この座金部収容空所13aaは、第1実施形態と同様に座金部Cが収容できる寸法のものであればよい。
なお、ボルト体Bの雄ネジ部B1に対する係止部13bは、第1実施形態と同様に、係止突片13baと係止凹所13bbとで構成したものを示しているが、これには限定されない。
このように、係止部13bによるボルト体Bの雄ネジ部B1への係止と、挟着片13によるボルト体B1への挟着と、締付突出片14、14同士の締付固定との協働によって、屋根上取付具Aのボルト体からの抜け出しや、ぐらつきをほぼ確実に防止することができる。
またさらに、屋根上載置部13aが頂部Y1aに接触した構成となっているので、屋根上取付具Aのボルト体Bへの固定安定化を補完できる。
また、図7に示すように座金C2の径が大きいため頂部Y1aの幅方向の両側に広いスペースが得られない場合でも、座金部収容空所13aaが形成された屋根上載置部13aが挟着片13に形成されているため、図例のように頂部Y1aの幅方向に両脚片12、12を並べるように設置する場合でも、挟着片13が座金部Cに抵触することなく、挟着片13を安定的に頂部Y1aの上面に接触させることができる。
ついで、挟着具1´の全体構造について説明する。
挟着具1´を構成する一対の挟着部材10、10のそれぞれは、中央にボルト貫通孔11eが開設され、ボルト貫通孔11eから一方の側端縁に至る切り溝11dが形成された上板11Aと、上板11Aの基端より折曲して下方に延びる脚片12、12と、脚片12、12の下端から上板11Aと略同一の方向に延びる挟着片13、13とより構成されている。
挟着具1´は、上記2つの挟着部材10、10の上板11A同士を相対向させた状態で、相互の上板11Aの先端が相手の上板11Aの基端の下に配されるように、上板11Aの切り溝11d同士を相互差し込みして両上板11A、11Aを揺動自在に噛み合わせてボルト貫通孔11e同士を一致させ、その一致させたボルト貫通孔11eに挟着具締付ボルト21を通し、締付ナット22を螺合することで挟着片13、13の先端に設けた係止凹所13bb、13bb同士を近接させる構造となっている。
ここで、挟着具締付ボルト21としては、図示するように、角根丸頭ボルトを使用すればよく、締付ナット22としては、ハット状の座金22bの頂面にナット22aが回動自在に取り付けられた座金付きナットを使用すればよい。ボルト止め23は合成樹脂等より製され、孔23aの周縁に複数の切り込み23bが形成してある。
以上の構造を要約すれば、2つの挟着部材10、10は上板11Aに形成された切り溝11dで交差状に連結され、挟着具締付ボルト21と締付ナット22で上下から2つの上板11A、11Aを締め付けることで、切り溝11d部分を支点として力点となる上板11A、11Aの先端を拡開させ、交差状態にある両上板11A、11Aをより平板状に近づけ、それによって作用点とされる両挟着片13、13を相互近接させるような変形鋏構造となっている。
また、さらに具体的には、図8に示すように、上板11Aは平板状の基端部11aと、その基端部11aより先端側に形成された段差部11cと、その段差部11cよりさらに先端側に形成された、基端部11aよりほぼ板厚1枚分低い位置にある先端部11bとを備えている。そして、上板11Aのほぼ中央には、段差部11cを中心に基端部11aと先端部11bにまたがる長孔が設けてあり、この長孔が上記ボルト貫通孔11eを構成している。さらに、この長孔の先端部11b側の端部側には、下向きに切り起こした押さえ爪11fが形成されている。また、このボルト貫通孔11eに連通する上記切り溝11dは、段差部11cに沿って形成されている。なお、上板11Aは、全体として緩い前方傾斜状となっていることが望ましい。
このように、段差部11cを、上板11Aの中央に設けたボルト貫通孔11eと切り溝11dとに沿って形成することで、上板11Aの先端部11bが開いたときに、交差重合した2枚の上板11Aがほぼ平板状となり、かつ上板11Aの基端部11aと相手の挟着部材10の上板11Aの先端部11bとの間の隙間がより小さくなって、ぐらつくおそれのない、より安定した形状とすることができる。こうして交差状に重なり合った両上板11A、11Aは、各種機器・部材類を設置するための台座部11を構成する。
このような屋根上取付具Aによれば、挟着具1´が2つの挟着部材10、10で構成され、それらが開閉自在に支点連結されているので、挟着具締付ボルト21と締付ナット22とが緩んだ状態にあるときは、2つの挟着部材10、10も緩んだ状態にある。そのため、両挟着片13、13を閉状態に固定するためには、締付ナット22を締め付けて上板11A、11A同士を固定するだけでよく、施工性がよい。
また、2つの挟着部材10、10で挟着する構造であるため挟着片13の先端が相互にずれるおそれがあるが、締付突出片14、14同士をボルト15、ナット16等の固定具で固定する構造であるため、そのようなずれの発生を阻止することができる。
以上のように構成した本発明の屋根上取付具Aは、以下の要領で折板屋根Yに取り付けて使用する。
まず、屋根上取付具Aを挟着具1´の両挟着片13、13が十分に開いた状態、つまり挟着具締付ボルト21、締付ナット22の螺合を緩めて、2つの挟着部材10、10を開閉自在に支点連結しておき、折板屋根Yに立設されたボルト体Bの上方から、両係止凹所13bb、13bb間の間隙Sを通じてボルト体Bを嵌挿する(図9(a)参照)。
次に、仮止め状態にしていた挟着具締付ボルト21および締付ナット22を締め付けていくと、揺動自在に緩んだ状態で交差状に重合していた両上板11A、11Aが平板状に近づき、それと同時に両脚片12、12の下端より延びた両挟着片13、13も互いに近接し、両係止部13b、13bがボルト体Bの雄ネジ部B1を挟み込み、係止凹所13bb、13bbの底部に形成された係止突片13ba、13baがボルト体Bの雄ネジ部B1の外周面のネジ溝に係止してボルト体Bを挟持する(図9(b)、図10(c)参照)。
そして最後に、向かい合い接触あるいは近接状態となった締付突出片14、14同士をボルト15、ナット16の螺合により締め付ける(図10(c)参照)。
なお、本実施形態で示した屋根上取付具Aは一対の挟着部材10、10で挟着具1´を構成しているため、挟着具締付ボルト21および締付ナット22による締め付け動作により、係止部13bがボルト体Bに係止する前の状態では挟着片13、13の先端同士が相互にずれてくるおそれがある。
このようなずれがあれば、係止凹所13bbにボルト体Bの雄ネジ部B1がうまく嵌らないおそれがあるので、それを防止するために、両挟着片13、13の先端同士がある程度近づいた段階で、締付突出片14、14同士をボルト15、ナット16で仮止めして、ボルト体Bへの係止を誘導できるようにしてもよい。
こうして折板屋根Yに取り付けた屋根上取付具Aの台座部11の上方には、各種機器・部材類Eを取り付けることができる(図10(d)参照)。
つぎに、本発明に係る屋根上取付具の第3実施形態について説明する。
図11は本発明に係る屋根上取付具の第3実施形態の説明図であり、図11(a)は屋根上取付具に使用される挟着具の分解斜視図、図11(b)は屋根上取付具の施工状態を示す正面図である。
この屋根上取付具Aは、一対の挟着部材10、10を開閉自在に挟着具締付ボルト21、締付ナット22で連結して挟着具1´を構成し、挟着具締付ボルト21、締付ナット22の螺進によって相対向した一対の挟着片13、13を相互近接させ固定して、挟着片13、13の係止部13b(係止突片13baおよび係止凹所13bb)で、折板屋根Yの頂部Y1aより突出したボルト体Bに係止、挟着する構造となっている。
挟着片13はさらに、第1実施形態と同様の締付突出片14を有している。よって、本実施形態の屋根上取付具Aについても、係止部13bによるボルト体Bの雄ネジ部B1への係止と、挟着片13によるボルト体Bへの挟着と、締付突出片14、14同士の締付固定との協働によって、屋根上取付具Aのボルト体Bからの抜け出しや、ぐらつきをほぼ確実に防止することができる。
またさらに、波形屋根Yに取り付けたときに、屋根上載置部13aが頂部Y1aに接触する構成となっているので、屋根上取付具Aのボルト体Bへの固定安定化を補完できる。
挟着具1´を構成する一対の挟着部材10、10のそれぞれは、中央にボルト貫通孔11eが開設され上板11Aと、上板11Aの基端より折曲して下方に延びる脚片12と、脚片12の下端から上板11Aと略同一の方向に延びる挟着片13とより構成されている。また挟着部材10は、上板11Aの端部から脚片12の下端にいたるまで、中央位置に上方に盛り上がったリブ18が形成されている。上板11A、11Aは上下にほとんど隙間なく重合、嵌合できるように、上側の挟着部材10のリブ18幅が下側の挟着部材10のリブ18幅よりも大きくなっている。こうして、両上板11A、11Aが重なり合って台座部11を構成している。
両挟着片13、13のそれぞれの先端には、上述したように、係止凹所13bbと、その底部に配された係止突片13baとよりなる係止部13bが形成されている。
挟着片13の先端の立上り部13cには、第1、第2実施形態と同様に、屋根上取付具A(挟着具1´)の中央開口方向(脚片12の幅方向)の各外側に突出した締付突出片14が形成されている。この締付突出片14にはボルト挿通孔14aが開設されており、対向する締付突出片14、14同士をボルト15、ナット16で締め付け固定できるようになっている。
このような挟着部材10、10を挟着具締付ボルト21、締付ナット22の螺合により連結し、螺進させていくと、下側に配されている上板11Aのリブ18による突出部が、上側のリブ18による凹部に嵌り込んで両挟着部材10、10は固定され、それとともに挟着片13、13の先端同士が近接し、係止部13b、13bがボルト体Bを係止、挟着して固定される。
本実施形態の屋根上取付具Aの効果は、第2実施形態のものと同様であり、さらに本実施形態では台座部11を重合させた構造であるため、屋根上取付具を頑丈に構成できるという効果も奏せられる。
以上に示した第1〜第3実施形態では、座金部収容空所13aa(図1、図7等参照)として開口により形成したものを例示したが、挟着片13(屋根上載置部13a)に、上方に向けて凹ませた(上方が開口していない)凹部を設けて、その凹部空間によって座金部収容空所を構成してもよい。
ついで、本発明に係る屋根上取付具の第4実施形態について説明する。
図12は本発明に係る屋根上取付具の第4実施形態の説明図であり、図12(a)は要部拡大斜視図、図12(b)は屋根上取付具の正面図である。
この屋根上取付具Aは、台座部11と、一対の脚片12、12と、一対の挟着片13、13とが一体形成されている点で第1実施形態と同様であるが、締付突出片14の形成態様が第1実施形態とは異なっている。以下では、第1実施形態と同一の構成部については同一の符号を付して説明を割愛する。
挟着片13は、脚片12の下端より湾曲しながら斜め上方のボルト体Bの雄ネジ部B1方向に延びている。挟着片13の先端には係止部13b(係止凹所13bbと係止突片13ba)が形成され、ボルト体Bを挟着できるようになっている。
また、締付突出片14は挟着片13の横方向に延びず、先端の両端部より下方に延びて脚部のごとく突出形成されており、折板屋根Yに取り付けたときに、ボルト挿通孔(本図では不図示)を有した締付突出片14の下端が屋根面に接触する構成となっている。締付突出片14の下端が屋根面に接触しないものでもよいが、より安定的に設置するために接触する構成とするほうが望ましい。
また、挟着片13を斜め方向に立ち上がり形成することで、その下方空間を座金部収容空所13aaとして構成することができる。
このように、本実施形態の屋根上取付具Aも第1実施形態のものと同様に、係止部13bによるボルト体Bの雄ネジ部B1への係止と、挟着片13によるボルト体Bへの挟着と、締付突出片14、14同士のボルト15、ナット16による締付固定との協働によって、屋根上取付具Aのボルト体Bからの抜け出しや、ぐらつきをほぼ確実に防止することができる。
また、締付突出片14が脚片12の幅方向の外側に突出していないため、屋根上取付具Aの取り扱いにおいて他の物と接触して破損するおそれはない。なお、ボルト止め作業は第1実施形態のものに比べれば、ややしにくくなることが想定されるが、図12の例のように挟着片13を湾曲形成して作業空間を大きくしているので作業性はほとんど問題はなく、また図12(a)の2点鎖線で示すように、締付突出片14を外側に延出したものであれば、第1〜第3実施形態と同様、作業がきわめてしやすい。
以上の4実施形態で示した屋根上取付具Aはいずれも、相対する2つの締付突出片14を2対(4片)備えているが、いずれか1対を備えたものであってもよい。さらに上記4実施形態では、締付突出片14に対して横方向にボルト止めしているが、上下方向にボルト止めできるようにした締付突出片であってもよい。つまりこの場合、一方の挟着片から突出した締付突出片と、他方の挟着片から突出した締付突出片とが挟着時に上下に重なるように形成されていればよい。
また、以上の実施形態では屋根上取付具Aの一部が折板屋根Yの頂部Y1aに接触するものを示したが、屋根上載置部がなく、脚片の下端部(挟着片の基端部)や締付突出片の下端部が頂部Y1aに接することがない屋根上取付具であってもよい。