以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る溶液濃度検出装置280の構成を示した図である。図1に示す構成は、後記の液体現像剤循環装置LY(図28)の一部に相当する。溶液濃度検出装置280は、現像剤収容容器272に接続される。現像剤収容容器272には、キャリアタンク274と、トナータンク275と、ワニスタンク279とが接続されている。キャリアタンク274には、液体現像剤LDの溶媒に相当するキャリア液Cが貯留されている。トナータンク275には、液体現像剤LD内の固形分に相当するトナーが、キャリア液C内に分散した状態で貯留されている。ワニスタンク279には、液体現像剤LD内で、キャリア液Cに溶解される樹脂成分Rが貯留されている。キャリアタンク274、トナータンク275、ワニスタンク279から、現像剤収容容器272に対して、それぞれ、純粋なキャリア液C、高濃度のトナーを含んだキャリア液C、および、高濃度の樹脂成分Rを含んだキャリア液Cが、供給される。現像剤収容容器272には、攪拌装置276が配置され、供給された濃度の異なるキャリア液Cを攪拌する。この結果、溶液としての液体現像剤LDが生成される。該液体現像剤LDは、第4パイプ84を介して、溶液濃度検出装置280に流入される。そして、溶液濃度検出装置280は、現像剤収容容器272内に貯留された液体現像剤LDの固形分濃度DSおよび溶解樹脂濃度CRを検出する。固形分濃度DSは、液体現像剤LD中において、キャリア液Cに溶解されずに分散されるトナーの濃度に相当する。また、溶解樹脂濃度CRは、液体現像剤LD中において、キャリア液Cに溶解される樹脂成分Rの濃度に相当する。なお、本実施形態において使用される液体現像剤LDの成分については、後記で詳述する。
溶液濃度検出装置280は、溶解樹脂濃度検出装置280Aと、測定部280Bと、固形分濃度検出装置280Cと、から構成される。溶解樹脂濃度検出装置280Aは、溶解樹脂濃度CRを検出する測定装置であり、固形分濃度検出装置280Cは、固形分濃度DSを検出する測定装置である。測定部280Bは、後記の測定用の電気回路を備える。また、測定部280Bは、溶解樹脂濃度検出装置280Aおよび固形分濃度検出装置280Cと接続されることによって、最終的に、溶解樹脂濃度CRおよび固形分濃度DSを導出する。
以後、溶解樹脂濃度検出装置280Aおよび固形分濃度検出装置280Cについて、順に説明する。
<溶解樹脂濃度検出装置280Aについて>
図2は、本発明の実施形態に係る溶解樹脂濃度検出装置280Aの断面図と測定部280Bの電気的なブロック図を組み合わせた図である。図3は、前記溶解樹脂濃度検出装置280AのQCM(Quarts Crystal Microbalance)センサーの断面図である。また、図4は、前記QCMセンサーの(a)平面図および(b)側面図である。
溶解樹脂濃度検出装置280Aは、液体現像剤LD中に溶解された樹脂成分の濃度(以後、溶解樹脂濃度CR)を測定する装置本体部である。溶解樹脂濃度検出装置280Aは、QCMセンサー60と、回路ユニット64と、ハウジング65と、濃度検出槽691と、液温センサー692とを備える。
QCMセンサー60は、内部に水晶振動子611(図4)を備え、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRに応じた振動周波数を発振する。QCMセンサー60は、測定対象となる液体現像剤LD中に浸漬される。QCMセンサー60は、センサー電極61と、台座部62とを備える。センサー電極61は、内部に水晶振動子611を備え、正面視で、円板形状からなる。また、台座部62は、センサー電極61の上方で、液体現像剤LD中に浸漬される。台座部62は、平面視で円板形状からなり、貫通された2つの孔部を備える(不図示)。台座部62は、センサー電極61と回路ユニット64との間に配設される第1リード部63aおよび第2リード部63bを、該孔部を通じて固定する機能を備える。QCMセンサー60は、後記のハウジング65の底面部651の下方で、該ハウジング65から突出するように配設される。
図4を参照して、QCMセンサー60のセンサー電極61は、側面視で3層構造からなり、水晶振動子611と、第1電極部612と、第2電極部613と、を備える。第1電極部612および第2電極部613は、水晶振動子611を両側から挟むように配設される。水晶振動子611を回路の一部とした閉回路が形成されることによって、水晶振動子611の両側に所定の電圧が印加される。そして、周囲の液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRに応じて、該水晶振動子611が異なる振動周波数で発振する。なお、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRと該振動周波数との関係については、後記で詳述する。
水晶振動子611を挟む第1電極部612および第2電極部613の一方には、その表面に片面規制部材612Aが配設される。本実施形態では、片面規制部材612Aは、第1電極612の表面に配設される。片面規制部材612Aは、第1電極612の表面を覆うように配設され、耐油性絶縁シールやコーティングなどによって形成される。これにより、第2電極部613の表面だけに、液体現像剤LDが付着し、第1電極612の表面が、液体現像剤LDから保護される。この結果、液体現像剤LDを介して、第1電極部612と第2電極部613との間に電流が流れ、回路がショートすることが防止される。
回路ユニット64は、QCMセンサー60の上方に配置され、内部にインターフェース回路を含む発振回路641を備える。発振回路641は、外部からの電気的なノイズの影響を受けないようにするために、可及的に小さな配線基板上に配設される。また、回路ユニット64は、コネクタ642を備える。回路ユニット64は、第1リード部63aおよび第2リード部63b(図3)によって、QCMセンサー60と電気的に接続される。また、回路ユニット64は、第1配線部694によって、電源693に電気的に接続される。更に、回路ユニット64は、第2配線部695によって、後記の周波数計696と電気的に接続される。回路ユニット64内の発振回路641は、水晶振動子611を発振させるための回路である。本実施形態では、発振回路641には、マルチバイブレータ発振回路が採用される。回路ユニット64には、第1配線部694を介して、電源693から所定の駆動電圧が供給される。また、回路ユニット64は、QCMセンサー60の水晶振動子611の振動周波数を、クロック信号として、第2配線部695を介して、測定部280Bの周波数計696に出力する。
ハウジング65は、略円筒形状の筐体であり、内部に回路ユニット64を収容する。ハウジング65は、水平に配置された円形の平板からなる底面部651を備える。ハウジング65の底面部651の中心部には、円形状の開口部(不図示)が形成される。QCMセンサー60が、ハウジング65の内部空間を介して、該開口部に挿通される。これにより、QCMセンサー60が、ハウジング65の外部に配設されるとともに、回路ユニット64がハウジング65の内部に収容される。そして、QCMセンサー60は、ハウジング65の底面部651の中心部の直下に配設される。前記開口部には、ハウジング65内への液体現像剤LDの進入を防ぐために、不図示のシール部材が配設される。また、ハウジング65の内壁には、回路ユニット64を周囲の電気的ノイズから保護するためのシールド66が配設される。ハウジング65が内部に回路ユニット64を収容した状態で、ハウジング65の底面部651は、液体現像剤LD中に浸漬される。これにより、QCMセンサー60が、液体現像剤LD内に浸漬されても、可及的に、回路ユニット64をQCMセンサー60に近接して配設することが可能となる。この結果、第1リード部63aおよび第2リード部63bの長さを短くすることができ、QCMセンサー60と回路ユニット64内の発振回路641との間に、電気的なノイズがもたらされることが抑止される。
濃度検出槽691は、内部に測定対象となる液体現像剤LDを貯留する。濃度検出槽691内に貯留された液体現像剤LDの中に、QCMセンサー60が浸漬される。なお、濃度検出槽691のより詳細な構造については、後記の固形分濃度検出装置280Cとして詳述する。
液温センサー692は、濃度検出槽691に貯留された液体現像剤LDの液温Tを測定する。液温センサー692には、熱電対、白金測温抵抗体など、各種の温度測定手段が採用される。液温センサー692によって測定された液体現像剤LDの液温Tは、測定部280B内の濃度算出部698によって、溶解樹脂濃度CRの算出に使用される。
電源693は、QCMセンサー60に対して、所定の駆動電圧を供給する。電源693は、不図示の安定化電源回路を備える。
測定部280Bは、QCMセンサー60から発振された振動周波数に基づいて、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRを求める。測定部280Bは、周波数計696と、記憶部697と、濃度算出部698とを備える。測定部280Bは、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。測定部280Bは、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、周波数計696、記憶部697および濃度算出部698を備えるように機能する。
周波数計696は、水晶振動子611の振動に応じて回路ユニット64が出力するクロック信号からノイズをカットし、水晶振動子611の出力周波数Fを算出する。出力周波数Fは、濃度算出部698によって、溶解樹脂濃度CRの算出に使用される。なお、周波数計696の代わりに各種の演算器が使用されてもよい。最終的に、溶解樹脂濃度CRが、PPMオーダーで算出されるように、回路ユニット64から出力されたクロック信号に基づいて、QCMセンサー60の発振周波数が解析されればよい。
記憶部697は、濃度算出部698による溶解樹脂濃度CRの算出のための各種記憶情報を格納する。記憶部697は、後記の温度補正値Vtおよび濃度換算値Vdを格納する。
濃度算出部698は、周波数計696から算出された出力周波数Fおよび、記憶部697に格納された温度補正値Vt、濃度換算値Vd、および液温センサー692によって測定された液温Tを用いて、溶解樹脂濃度CRを算出する。
<溶解樹脂濃度CRの検出について>
本実施形態では、溶解樹脂濃度検出装置280Aの測定対象として、液体現像剤LDが使用される。液体現像剤LDは、電気絶縁性のキャリア液Cと、キャリア液C中に分散された着色粒子Pと、を含む。更に、液体現像剤LDは、樹脂材料Rを含有する。画像形成装置に使用される上で、該液体現像剤LD中の着色粒子Pの濃度および樹脂材料Rの濃度が管理される。
液体現像剤LD中の着色粒子Pは、キャリア液Cに溶解されない。このため、着色粒子Pの濃度は、キャリア液C中に分散される固形分濃度DSとして測定される。固形分濃度DSは、後記の固形分濃度検出装置280Cによって、測定される。液体現像剤LD中の樹脂材料Rは、キャリア液Cに溶解される。したがって、液体現像剤LD中の樹脂材料Rの濃度は、溶解樹脂濃度CRとして測定される。キャリア液Cの比重と、溶解された樹脂材料Rの比重とは、近似している。このため、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRが変化しても、液体現像剤LDの全体の比重は、変化しにくい。したがって、液体の比重に基づいた濃度測定技術を、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRの測定に採用することが、困難となる。
また、樹脂材料Rが溶解した液体現像剤LDは、無色または白薄色であり、無極性である。更に、樹脂材料Rが溶解した液体現像剤LDは、高粘度という特徴を備える。このため、液体現像剤LD中に回転体を浸漬させ、液体現像剤LDの粘度の変化に応じて、回転体のトルクが変化することを利用し、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRを測定する技術が考えられる。しかしながら、溶解樹脂濃度CRに応じて、液体現像剤LDの粘度は大きく変動する。
表1は、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRを予め変化させた場合の、各溶解樹脂濃度CRに応じた液体現像剤LDの粘度を示している。このように、液体現像剤LDは、溶解樹脂濃度CRに応じて、粘度が大きく変化する。なお、液体現像剤LDの粘度測定には、「JIS−Z8803液体の粘度−測定方法」に基づいた回転粘度計を使用した。
このような液体現像剤LDの粘度の変化があるため、粘度が高い(トルクが大きい)濃度領域では、所望する精度で濃度が検出されたとしても、粘度が低い(トルクが小さい)濃度領域では、所望する精度で濃度が検出されない。また、粘度が極めて高い(トルクが極めて大きい)領域では、回転体の回転数が著しく低下し、濃度検出の精度が落ちてしまう。更に、回転体のトルクが上昇しすぎると、回転体の回転が停止し、濃度検出が困難となる。
本実施形態に係る溶解樹脂濃度検出装置280Aでは、回転体が回転する濃度検出装置のように、液体現像剤LDに対して、機械的な作用を施すことがないため、液体現像剤LDの粘度の変化に対応することが可能となる。そして、以下に示すとおり、本実施形態に係る溶解樹脂濃度検出装置280Aは、該液体現像剤LDの粘度の変化を利用する点にも特徴を有する。以下に、本実施形態に係る溶解樹脂濃度検出装置280Aによる溶解樹脂濃度CRの測定について詳述する。
図5は、溶解樹脂濃度検出装置280Aの溶解樹脂濃度CRおよび周波数計696の出力周波数Fの関係を示した図である。図6は、溶解樹脂濃度検出装置280Aにおける周波数計696の出力周波数Fと、QCMセンサー60の浸漬深さD3との関係を示した図である。また、図7は、液体現像剤LDの液温Tと、液体現像剤LDの粘度ηとの関係を示した図である。図8は、液体現像剤LDの液温Tと、周波数計696の出力周波数Fとの関係を示した図である。更に、図9は、溶解樹脂濃度検出装置280Aが備える発振回路641の温度依存性を示した図である。
図5は、溶解樹脂濃度検出装置280Aの各種条件を一定にし、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRを予め変化させた場合において、周波数計696が検出する出力周波数Fを示している。このように、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRに応じて、QCMセンサー60内の水晶振動子611の出力周波数Fが変化することがわかる。これは、前述のように、液体現像剤LDの粘度が、溶解樹脂濃度CRによって変化することに起因している。そして、溶解樹脂濃度CRと出力周波数Fとの間に一定の相関関係が存在する。したがって、水晶振動子611の出力周波数Fを利用して、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRを検出することが可能となる。
一方、水晶振動子611の出力周波数Fは、液体現像剤LDに浸漬される水晶振動子611の深さに影響されることを本発明者は知見した。図6は、所定の溶解樹脂濃度CRの液体現像剤LDにおいて、QCMセンサー60のセンサー電極61の深さD3(図6ではd)を変化させた場合の出力周波数Fの様子を示している。なお、センサー電極61の深さD3は、図3に示されている。図6によれば、同じ溶解樹脂濃度CRであっても、センサー電極61が浸漬される深さD3に応じて、水晶振動子611の出力周波数Fが変化することがわかる。該出力周波数Fの変化には、センサー電極61の上方を覆う液体現像剤LDの液高さが影響している。センサー電極61よりも上方の液高さが増大すれば、水晶振動子611の振動エネルギーが多く必要となるためである。
更に、図7は、所定の溶解樹脂濃度CRを供えた液体現像剤LDの液温Tを、不図示のヒーターまたは冷却装置によって、変化させた場合の粘度ηの変化を表している。このように、液体現像剤LDの液温Tが変化すると、キャリア液C中の樹脂材料Rの流動性が変化し、液体現像剤LDの粘度ηが変化する。そして、図8に示すように、この液体現像剤LDの粘度ηの影響を受け、同一の溶解樹脂濃度CRの液体現像剤LDであっても、液温Tが変化すると水晶振動子611の出力周波数Fが変化してしまう。なお、該出力周波数Fの変化には、回路ユニット64内の発振回路641の温度依存性が含まれている可能性があった。しかしながら、図9に示すように、発振回路641自体の温度を変化させても、周波数計696が検出する出力周波数Fは、ほとんど変化しないことがわかった。したがって、上記の液温Tの変化に伴う出力周波数Fの変化は、液体現像剤LDの粘度ηの変化によるものであることがわかる。
液体現像剤LDにおける溶解樹脂濃度CRを、水晶振動子611の振動作用を用いて測定する場合の上記の問題を踏まえ、本実施形態では、QCMセンサー60の支持構造および濃度算出部698の濃度算出方法に特徴を備える。
前述のとおり、QCMセンサー60は、濃度検出槽691内の液体現像剤LD内に浸漬される(図2)。この際、QCMセンサー60の直上には、ハウジング65の底面部651が配置される。そして、QCMセンサー60の台座部62が、底面部651に当接するように配設される。すなわち、底面部651は、液体現像剤LDの中で、QCMセンサー60の上方を覆い、かつ、QCMセンサー60との深さ方向の距離が一定に保持される。これにより、QCMセンサー60のセンサー電極61と底面部651との鉛直方向における距離D1が常に一定に保持される。このため、QCMセンサー60の上方を覆う液体現像剤LDの液高さが常に一定に保持される。この結果、センサー電極61の浸漬深さによる出力周波数Fの変動を抑止することが可能となる。なお、QCMセンサー60の上方に存在する液体現像剤の影響を更に回避するためには、図2において、浸漬されるQCMセンサー60の底面部651に対する深さD1は、6mm以上であることが好ましい。また、QCMセンサー60を覆う底面部651の面積については、底面部651の直径が34mm以上であることが好ましい。これにより、QCMセンサー60の上方が、底面部651によって十分覆われる。
濃度算出部698は、周波数計696が検出する出力周波数Fを、溶解樹脂濃度CRに換算する。この際、濃度算出部698は、液体現像剤LDの液温Tによってもたらされる溶解樹脂濃度CRの変動量を補正する。まず、液温センサー692によって検出された液体現像剤LDの液温Tが、記憶部697に格納される。一方、記憶部697には、予め、温度補正値Vtが格納されている。温度補正値Vtは、図8に基づいて算出された補正値であり、液温Tにおける出力周波数Fを、基準液温25度における換算周波数FCに換算するために使用される。濃度算出部698は、検出された液温Tおよび出力周波数Fから、換算周波数FCを導出する。
また、記憶部697には、予め、濃度換算値Vdが格納されている。濃度換算値Vdは、図5の検量線に基づいて、換算周波数FC(図5における出力周波数F)を溶解樹脂濃度CRに換算するために使用される。このため、本実施形態では、濃度換算値Vdは、所定の周波数毎に格納されている。濃度算出部698は、該濃度換算値Vdに基づいて、上記の換算周波数FCから、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRを導出する。
このように、本実施形態では、液体現像剤LD中に浸漬されるQCMセンサー60の浸漬深さD3(D1)の影響や、液体現像剤LDの液温Tの影響を補正した上で、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRを検出することが可能となる。
<固形分濃度検出装置280Cについて>
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態にかかる固形分濃度検出装置280Cについて、詳述する。図10は、本実施形態に係る固形分濃度検出装置280Cの構成を模式的に示す図である。
図10を参照して、固形分濃度検出装置280Cは、キャリア液Cとなる誘電性液体中に固形分としてのトナーを分散させた液体現像剤LDにおいてトナーの濃度を検出するための装置である。より具体的には、固形分濃度検出装置280Cは、後述する現像装置14に供給する液体現像剤LDを調整する現像剤調整部27に適用されるものであって、現像剤調整部27が調整したトナー濃度が所定の濃度値か否かを判別するために用いられる。固形分濃度検出装置280Cは、前述の濃度検出槽691に加え、錘32、ロードセル33を含む。また、固形分濃度検出装置280Cは、前述の測定部280Bに電気的に接続される。
図11は、固形分濃度検出装置280Cの濃度検出槽691およびロードセル33を示す図であり、(a)は濃度検出槽691およびロードセル33の上面図であり、(b)は濃度検出槽691の側面図であり、(c)は、(b)とは反対側から見た濃度検出槽691の側面図であり、(d)は濃度検出槽691およびロードセル33の縦断面図である。濃度検出槽691は、図11に示すように、上方に開口した円筒状の容器であって、液体現像剤LDが貯留される。濃度検出槽691の開口は蓋部材38によって閉塞される。濃度検出槽691は、その容量を規定する内側壁面691aを有する。内側壁面691aは、内周面691bと内底面691cとからなる。濃度検出槽691は、湿式画像形成装置内の適所に設置された保持部材37によって保持されている。
また、濃度検出槽691は、その下部に設けられた2つの第1注入口43および第2注入口44と、その上部に設けられた2つの第1排出口46および第2排出口45とを有する。液体現像剤LDは、第1注入口43および第2注入口44から濃度検出槽691内に導入され、第1排出口46および第2排出口45から排出される。
第1注入口43および第2注入口44のそれぞれには、液体現像剤LDを濃度検出槽691内に導入するために、第4パイプ84(図9)の上流側が接続されている。一方、第1排出口46および第2排出口45のそれぞれには、液体現像剤LDを濃度検出槽691から排出するために、第4パイプ84の下流側が接続されている。第4パイプ84は、現像剤収容容器272に接続されている。したがって、本実施形態では、濃度検出槽691と現像剤収容容器272との間で液体現像剤LDが時間的に連続して流れるように構成されている。
ロードセル33は、図11に示すように、起歪体35と、起歪体35に設置された歪みゲージ36とを有する。起歪体35は、その形状は特に限定されないが、本実施形態では、細長のブロック状に成形された形状を有し、濃度検出槽691の上方で延びている。起歪体35は、その基端部において、濃度検出槽691の上部に固定された支持ブロック39によって支持されている。したがって、起歪体35の先端部は、蓋部材38を介して濃度検出槽691内の液体現像剤LDの上方に位置している。起歪体35は、例えばアルミ合金からなる。
歪みゲージ36は、図11では起歪体35の上面に設置されているが、その設置位置は、図11に示す部位に限定されず、後述する錘32によって起歪体35において歪みが最も大きく発生する部位に設定される。歪みゲージ36は、例えば、伸縮によって抵抗値が変化する抵抗体と、その抵抗値変化を電圧に変換するホイートストンブリッジ回路とを含むものであって、起歪体35の歪みに起因して変動する電気抵抗値を電圧値として出力するものである。
錘32は、例えばSUSからなる球形のものである。錘32は、蓋部材38に形成された貫通孔を通る金属ワイヤ47によって起歪体35の先端部に接続され、濃度検出槽691内に収容されている。錘32の重さは、錘32が濃度検出槽691内に流入した液体現像剤LDの液面から突出しない程度に没入するように設定されている。また、錘32は、濃度検出槽691を上方から見た場合に濃度検出槽691内で略中央位置を占めるように配置されていると共に、濃度検出槽691の内周面31bおよび内底面31cに接触しないように配置されている。なお、錘32の材料は、錘32が液体現像剤LD中に没入するために十分な程度の密度差を有する材料であればよく、コストを考慮して適宜選択される。また、錘32と起歪体35の先端部とを接続する部材は、必ずしも金属ワイヤ47を用いる必要はなく、液体現像剤LDによって錘32に作用する浮力に影響を与えない部材であればよい。
測定部280Bは、前述の電源693、記憶部697および濃度算出部698に加え、増幅回路53と、A/Dコンバータ55と、温度補正部58と、を含む。
増幅回路53は、ロードセル33の歪みゲージ36に接続され、歪みゲージ36が出力した電圧値を増幅する。電圧値の増幅倍数は適宜設定される。増幅回路53は、起歪体35に作用する風袋重量、つまり濃度検出槽691内に液体現像剤LDが無い状態で錘32によって起歪体35に作用する力をキャンセルすることができる。なお、増幅回路53は、後述するA/Dコンバータ55および濃度算出部698とは電気回路的に分離されている。
固形分濃度検出装置280Cにおいて、電源693は、増幅回路53の出力電圧が常に一定の値になるように制御する。
A/Dコンバータ55は、増幅回路53から増幅出力された電圧値をデジタル信号値に変換する。
温度補正部58は、液体現像剤LDの液温Tと比重ρとの関係に基づいた温度補正値を、予め格納している。温度補正値は、濃度算出部698によって、固形分濃度DSの算出時に、参照される。
固形分濃度検出装置280Cにおいて、濃度算出部698は、デジタル信号値に基づいて液体現像剤LDの固形分濃度DS(トナー濃度)を求める。図12は、液体現像剤LDの比重ρと、固形分濃度DSとの関係を示した図である。濃度算出部698は、液体現像剤LDの比重ρが、図12に示すように液体現像剤LDの固形分濃度DSに応じて変動し、液体現像剤LDによって錘32に作用する浮力が液体現像剤LDの比重ρに応じて変動する特性を利用する。そして、錘32によって起歪体35に作用する荷重Frは、アルキメデスの原理に基づき、
Fr=Mg−ρVg・・・(式1)
によって求めることができる(Mは錘32の質量、gは重力加速度、ρは液体現像剤LDの比重、Vは錘32の体積)。
すなわち、錘32によって起歪体35に作用する荷重Frは、錘32に作用する重力から錘32に作用する浮力を減算することで求められる。そこで、本実施形態では、荷重Fr、つまり増幅電圧値に対応するデジタル信号値と、液体現像剤LDの固形分濃度DSとの関係を示す検量線を予め作成し、その検量線をROM等の記憶部697に記憶させ、記憶部697を濃度算出部698に接続させている。検量線は、図13に示すものである。したがって、濃度算出部698は、実際に得たデジタル信号値(増幅電圧値)を検量線に照合することで、固形分濃度DSを求めることができる。
なお、図13の検量線に示すように、液体現像剤LDによって錘32に作用する浮力が大きくなり、起歪体35に作用する荷重Frが小さくなると、歪みゲージ36が出力する電圧値は小さくなる。一方、浮力が小さくなり、荷重Frが大きくなると、電圧値は大きくなる。トナー濃度は、電圧値が小さくなるにつれて高くなる。
図14は、増幅回路53から出力された増幅電圧値をオシロスコープによって測定した例を示すグラフである。この例では、液体現像剤LDを現像剤収容容器272から濃度検出槽691に時間的に連続して導入しつつ、固形分濃度DSを意図的に7%上昇させた。矢印で示すように、7%分の固形分濃度DSの上昇に対応して増幅電圧値が下降した。この出力変化は図14から明らかなように10秒弱で現れた。本実施形態では、液体現像剤LDは、現像剤調整部27から濃度検出槽691に時間的に連続して導入されているが、図14に示す例から明らかなように、固形分濃度DSが経時的に変化した場合であっても固形分濃度DSを速やかに精度良く検出することができる。
なお、第4ポンプP4によって、液体現像剤LDを濃度検出槽691に導入しているため、第4ポンプP4の駆動に起因する脈動がノイズ成分として捉えられる。図15は、第4ポンプP4の駆動に伴うノイズ成分の推移を示した図である。このように、第4ポンプP4が安定して動作している限り、増幅電圧値には、規則的なノイズ成分が出現する。測定部280Bは、固形分濃度DSを求める際にそのような規則的なノイズ成分をキャンセルすることができるように構成されている。
固形分濃度検出装置280Cは、溶解樹脂濃度検出装置280Aにおいて使用された液温センサ692をさらに備えることができる。図16は、液体現像剤LDの液温Tと比重ρの関係を示した図である。液体現像剤LDの比重ρは、同一の固形分濃度DS条件下であっても液体現像剤LDの液温Tによって変動する。すなわち、液体現像剤LDの比重ρは、温度が高くなるにつれて大きくなる。そのため、固形分濃度DSが変動しなくても液温Tが変動すると、錘32に作用する浮力、ひいては錘32によって起歪体35に作用する荷重Frも変動する。したがって、液体現像剤LDの液温Tが変動している場合、ロードセル33が出力する電圧値をそのまま用いたのでは精度良く固形分濃度DSを検出することができない。
そこで、本実施形態では、液温Tと比重ρとの関係に基づき温度補正値を予め作成し、その温度補正値を含む温度補正テーブルを温度補正部58に記憶させている。濃度算出回路56は、液温センサ692および温度補正部58に接続されている。これにより、濃度算出部698は、液温センサ692が検出した液温Tに基づく所定の温度補正値で増幅電圧値を補正することにより、固形分濃度DSを精度良く検出することができる。
濃度算出部698が求めた固形分濃度DSは、現像剤収容容器272に接続された図略の制御部に伝送される。前記制御部は、濃度算出部698が求めた固形分濃度DSが所定の濃度値よりも高いと判定した場合、キャリアタンク274からキャリア液Cが現像剤収容容器272に供給されるように制御する。一方、前記制御部は、濃度算出部698が求めた固形分濃度DSが所定の濃度値よりも低いと判定した場合、トナータンク275からトナー濃度の高い液体現像剤Tが現像剤収容容器272に供給されるように制御する。液体現像剤LDは濃度検出槽691に時間的に連続して供給されているので、前記制御部は、経時的に変化し得る固形分濃度DSの変化を濃度算出部698によって知ることができ、液体現像剤LDの固形分濃度DSが所定の濃度値に達するまでキャリア液Cまたはトナー濃度の高い液体現像剤Tの供給の制御を行う。
現像剤収容容器272は攪拌装置276を有しているため、攪拌装置276による液体現像剤LDの攪拌によって液体現像剤LD中に視認困難な程度の気泡が発生し、そのような気泡が錘32に作用する浮力に影響を与えることが懸念される。しかしながら、トナー濃度が30%の液体現像剤LD中で攪拌装置276の回転数を変化させながら、出力される増幅電圧値を観察したところ、図17に示すように、攪拌装置276の回転数が大きくなっても増幅電圧値において大きな変動は観察されなかった。したがって、攪拌装置276の攪拌によって発生する気泡が錘32に作用する浮力にほとんど影響を与えないことが分かった。錘32としてSUS球を用いていても、気泡が浮力に影響を与える場合、錘32の重さを適宜大きくすることで気泡の影響を打ち消すことができる。
以上説明した本実施形態に係る固形分濃度検出装置280Cは、(1)液体現像剤LDの比重ρが固形分濃度DSに応じて変動すること、(2)錘32に作用する浮力が液体現像剤LDの比重ρに応じて変動すること、(3)錘32によって起歪体35に作用する力が、錘32に作用する重力から錘32に作用する浮力を減算することで求められること、を利用して、歪みゲージ36からの電圧値に基づいて固形分濃度DSを求めるように構成されている。そのため、固形分濃度検出装置280Cは、固形分濃度DSが高濃度であっても、光吸収率を利用するような従来の検出装置とは異なり、精度良く固形分濃度DSを検出することができる。また、固形分濃度検出装置280Cは、液体現像剤LDが高粘度であっても、錘32の重さを適宜大きくすることで、錘32に作用する気泡の影響を低減することができる。このため、精度良く固形分濃度DSを検出することができる。さらに、固形分濃度検出装置280Cは、液体現像剤LDが流動していても、精度良く固形分濃度DSを検出することができる。さらに、固形分濃度検出装置280Cは、ロードセル33を用いているので、導電率を利用する従来の装置と異なり、出力電圧の大きい電源を必要としない。
また、本実施形態に係る固形分濃度検出装置280Cによれば、固形分濃度DSと歪みゲージ36が出力する電圧値との関係を示す検量線を記憶部697に記憶させているので、歪みゲージ36が出力した電圧値を検量線に照合するだけで容易に固形分濃度DSを求めることができる。
さらに、本実施形態に係る固形分濃度検出装置280Cによれば、濃度検出槽691中の液体現像剤LDの温度を検出する液温センサ692が設けられ、濃度算出部698は、温度に基づく所定の温度補正値で歪みゲージ36からの電圧値を補正して、固形分濃度DSを求める。これにより、液体現像剤LDの温度が変動して比重ρが変動した場合であっても、固形分濃度DSを精度良く検出することができる。
さらに、本実施形態に係る固形分濃度検出装置280Cによれば、液体現像剤LDは現像剤収容容器272から濃度検出槽691内に時間的に連続して導入されるので、固形分濃度DSが経時的に変化した場合であっても、固形分濃度DSを精度良く検出することができる。
以上、図10〜17を参照して本実施形態に係る固形分濃度検出装置280Cについて説明したが、固形分濃度検出装置280Cでは、固形分濃度DSの検出精度を向上させるために、第1注入口43および第2注入口44と第1排出口46および第2排出口45との間の位置関係を規定している。以下、その位置関係について図18および図19を参照しながら説明する。図18は、第1注入口43および第2注入口44と第1排出口46および第2排出口45との間の位置関係を断面で示す模式図である。図19は、濃度検出槽691を上方から見た場合における、第1注入口43および第2注入口44と第1排出口46および第2排出口45との間の位置関係を模式的に示す図である。
図18に示すように、第1注入口43および第2注入口44は、水平面において錘32と同一線上に位置しないように設けられている。この構成によれば、第1注入口43および第2注入口44から濃度検出槽691内に流入した液体現像剤LDの流れは、錘32に直接衝突しないので、液体現像剤流れが、錘32に作用する浮力、ひいては錘32によって起歪体35に作用する力に影響を及ぼすことを避けることができる。これにより、固形分濃度DSを精度良く検出することを維持できる。
また、図18に示すように、第1注入口43および第2注入口44は、錘32よりも低い位置に設けられており、一方、第1排出口46および第2排出口45は、錘32よりも高い位置に設けられている。この構成によれば、錘32を液体現像剤LD中に容易に没入させることができる。これにより、錘32に作用する浮力、ひいては錘32によって起歪体35に作用する力を正確に得ることができる。
さらに、図19に示すように、第1注入口43は、第2注入口44とは略90°離間して設けられており、第1排出口46は、第2排出口45とは略90°離間して設けられている。また、図18に示すように、第1注入口43は、鉛直方向で見て第1排出口46と略対向しており、第2注入口44は、鉛直方向で見て第2排出口45と略対向している。このように第1注入口43および第2注入口44と第1排出口46および第2排出口45とを配置することで、液体現像剤LDの一部が濃度検出槽691内で滞留してしまうことを抑制することができる。これにより、液体現像剤LDの固形分濃度DSが濃度検出槽691内でほぼ均一となる。その結果、固形分濃度DSを精度良く検出することができる。
また、本実施形態では、図1に示すように、濃度検出槽691の中に、固形分濃度検出装置280Cと、前述の溶解樹脂濃度検出装置280Aとが、配置される。この際、固形分濃度検出装置280Cの錘32は、液体現像剤LDに対して、溶解樹脂濃度検出装置280AのQCMセンサー60のセンサー電極61よりも下方に浸漬される。これは、固形分濃度検出装置280Cの方が、溶解樹脂濃度検出装置280Aよりも、多くの液体現像剤LDを必要とするためである。このように、錘32およびセンサー電極61を配置することによって、溶解樹脂濃度CRおよび固形分濃度DSを効率的に検出することが可能となる。
<溶解樹脂濃度検出装置および固形分濃度検出装置の相互補正について>
以上のように、本実施形態では、溶解樹脂濃度検出装置280Aおよび固形分濃度検出装置280Cによって、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRおよび固形分濃度DSが好適に検出される。ここで、本発明者は、溶解樹脂濃度検出装置280Aおよび固形分濃度検出装置280Cを相互に利用することによって、更に、誤差の少ない、高精度な溶解樹脂濃度CRHおよび固形分濃度DSHが導出されることを知見した。
図20は、液体現像剤LD中の固形分濃度DSを変化させた場合の、溶解樹脂濃度CRと液体現像剤LDの粘度ηとの関係を示した図である。また、図21は、図20において、液体現像剤LDの固形分濃度DSの違いを、比重ρの違いとして表したものである。更に、図22は、液体現像剤LDの粘度η(溶解樹脂濃度CR)を変化させた場合の固形分濃度DSと液体現像剤LDの比重ρとの関係を示した図である。
図20および図21において、同じ溶解樹脂濃度CRであっても、固形分濃度DSが異なると、粘度ηが僅かに異なる。換言すれば、同じ粘度ηであっても、固形分濃度DSが異なると、溶解樹脂濃度CRが異なることとなる。このため、前述の溶解樹脂濃度検出装置280Aにおいて、水晶振動子611の振動に基づく出力周波数Fが溶解樹脂濃度CRに変換される際に、液体現像剤LDの固形分濃度DSの分だけ、誤差が生じることとなる。
また、図22において、同じ固形分濃度DSであっても、溶解樹脂濃度CR(粘度η)が異なると、比重ρが僅かに異なる。換言すれば、同じ比重ρであっても、溶解樹脂濃度CRが異なると、固形分濃度DSが異なることとなる。このため、前述の固形分濃度検出装置280Cにおいて、液体現像剤LDの比重ρに基づき、ロードセル33が出力する電圧値から固形分濃度DSを導出する際に、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRの分だけ、誤差が生じることとなる。このように、溶解樹脂濃度検出装置280Aおよび固形分濃度検出装置280Cから導出された溶解樹脂濃度CRおよび固形分濃度DSは、相互に影響していることが知見された。
そこで、本実施形態では、溶解樹脂濃度CRおよび固形分濃度DSの相互に寄与しあう誤差が可及的に取り除かれた固形分濃度DSHおよび溶解樹脂濃度CRHが導出される。以下に、その導出過程について説明する。本実施形態では、溶液濃度検出装置280Aは、液体現像剤LDの粘度ηに応じて振動する水晶振動子611の出力周波数Fを検出する周波数検出手段として使用される。また、固形分濃度検出装置280Cは、液体現像剤LDの比重ρを検出する比重検出手段として使用される。
図25は、濃度算出部698(図1)によって、溶解樹脂濃度CRHおよび固形分濃度DSHが導出される際のフローチャートである。本実施形態では、記憶部697は、後述される既知の各定数を格納する。また、記憶部697は、検量線データD1、D2を格納する。検量線データD1は、固形分濃度検出装置280Cにおいて、ロードセル33の歪みゲージ36(図11)から出力される電圧値Vが、A/Dコンバータ55によってデジタル信号VDに変換された値と、実際に歪みゲージ36に付与される荷重Frとの関係について検量されたデータである。また、検量線データD2は、液体現像剤LDにおいて、比重ρを変数とした場合の溶解樹脂濃度CRおよび固形分濃度DSと粘度ηとの関係(または、粘度ηを変数とした場合の溶解樹脂濃度CRおよび固形分濃度DSと比重ρとの関係)を示した検量データである。
図1および図25を参照して、濃度検出槽691に液体現像剤LDが流入されると、固形分濃度検出装置280Cのロードセル33の歪みゲージ36(図11)から、電圧値Vが出力される(ステップS001)。該電圧値Vは、増幅回路53によって増幅された後、A/Dコンバータ55によってデジタル信号VDに変換される。
濃度算出部698は、予め、記憶部697に格納された検量線データD1に基づいて、デジタル信号VDを荷重Frに変換する(ステップS002)。
次に、濃度算出部698は、上記で得られた荷重Fに基づいて、液体現像剤LDの比重ρを導出する(ステップS003)。この際、濃度算出部698は、前述の(式1)に基づき、
ρ=(Mg−Fr)/Vg・・・(式2)
の関係から、ρを導き出す(ρ:液体現像剤LDの比重、M:錘32の質量、g:重力加速度、V:錘32の体積、Fr:ステップS002で導出された荷重Fr)。
その後、濃度算出部698は、上記にて導出された液体現像剤LDの比重ρを用いて、液体現像剤LDの粘度ηを導出する(ステップS004)。この際、濃度算出部698は、次式を参照する。
Δf=−f0 3/2(ρη/πρTμT)1/2 ・・・(式3)
(Δf:f−f0、f:水晶振動子611の振動に基づく出力周波数F、f0:表面に試料が付着していない状態での水晶振動子611の共振周波数、ρT:水晶振動子611の密度、μT:水晶振動子611のずり弾性率。)
なお、(式3)は粘性流体における粘度と振動体の共振周波数に関する公知の関係式である。上記(式3)において、f0、ρT、μTは、既知の定数であり、記憶部697に予め格納される。濃度算出部698は、溶解樹脂濃度検出装置280Aから得られるf(出力周波数F)およびステップS003にて得られる比重ρから、液体現像剤LDの粘度ηを導出する。
かくして、濃度算出部698は、測定対象である液体現像剤LDの比重ρおよび粘度ηを得る。そして、濃度算出部698は、予め、記憶部697に格納される検量線データD2から、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRHおよび固形分濃度DSHを導出する(ステップS005)。この際、記憶部697に格納される検量線は、図21および図22に示されるものと同種の情報である。図23および図24は、液体現像剤LDの比重ρおよび粘度ηが得られた結果、溶解樹脂濃度CRHおよび固形分濃度DSHが導き出された例を示すものである。
このように、本実施形態によれば、液体現像剤LDの比重ρおよび粘度ηの2つの変数を利用して、溶解樹脂濃度CRHおよび固形分濃度DSHを個別に導き出すことが可能となる。このため、溶解樹脂濃度CRおよび固形分濃度DSに含まれ、相互に寄与する誤差の影響が、可及的に抑止された状態で、溶解樹脂濃度CRHおよび固形分濃度DSHが導出される。したがって、液体現像剤LDの比重ρのみに基づいて、液体現像剤LD中の固形分濃度DSを検出する場合と比べて、液体現像剤LD中の溶解した樹脂成分によって、固形粒子の濃度に生じる誤差が低減される。また、前記水晶振動子611の振動周波数(出力周波数F)のみに基づいて、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRを検出する場合と比べて、液体現像剤LD中の固形粒子(トナー)によって、液体現像剤LD中の溶解した樹脂成分の濃度に生じる誤差が低減される。この結果、液体現像剤LDに溶解された樹脂材料Rと、液体現像剤LD中に分散された固形粒子の濃度が、広いレンジで精度良く把握され、液体現像剤LDの濃度調整が好適に実現される。
<画像形成装置としての実施形態>
次に、上記の実施形態に係る溶液濃度検出装置280が組み込まれた画像形成装置について説明する。図26は、溶液濃度検出装置280が組み込まれたカラープリンタ1(画像形成装置)の概略構成図、図27は、液体現像剤循環装置の部分を除いたカラープリンタ1の概略断面図、図28は、画像形成部の一つを拡大して示す断面図である。なお、図26乃至図28に示される画像形成装置はカラープリンタであるが、コピー機、ファクシミリ装置、これらの機能を含む複合機(MFP)や、シート上に画像を形成することができる他の装置とすることもできる。
図26に示される如く、カラープリンタ1は、画像形成のための様々なユニットや部品が収納される上側本体部1Aと、この上側本体部1Aの下部に配置され、各色用の液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが収納される下側本体部1Bとから構成されている。ここでは、上側本体部1Aと下側本体部1Bとを結ぶ配管類は図示を省略している。
図27に示すように、上側本体部1Aには、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式の画像形成部2と、用紙を収容する用紙収納部3と、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙上に転写する二次転写部4と、転写されたトナー画像を用紙上に定着させる定着部5と、定着の完了した用紙を排紙する排出部6と、用紙収納部3から排出部6まで用紙を搬送する用紙搬送部7とが含まれている。
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のクリーニング部22と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBとを備える。
中間転写ベルト21は、導電性を有し、使用可能な用紙搬送方向に直角な方向の長さが最大の用紙より幅広であって、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、図26、図27において時計回りに循環駆動される。中間転写ベルト21の循環駆動において外側を向く面を以下、表面と称し、他方の面を裏面と称する。
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルト21の近傍であって、中間転写ベルト21のクリーニング部22と二次転写部4との間に、それぞれ平行に配置される。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色がもたらす完成画像への影響を配慮すると、この配置の順番が好ましい。
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、感光体ドラム10と、帯電器11と、LED露光装置12と、現像装置14と、一次転写ローラー20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラー30とを備える。なお、画像形成ユニットのうち、最も二次転写部4に近い位置に位置する画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラー30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
また、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBに対応して、それぞれ液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが設けられ、各色の液体現像剤LDの供給、並びに回収が行われる。液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBについては後に詳述する。
感光体ドラム10は、円柱状の部材であって、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持する。感光体ドラム10は、図26、図27において反時計回りに回転される。帯電器11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる。LED露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機器から入力される画像データに応じて、一様に帯電した感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面には、静電潜像が形成される。
現像装置14は、トナー及び液体のキャリアを含む液体現像剤LDを、感光体ドラム10表面の静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付着させる。これにより、静電潜像はトナー像として現像される。
図28を参照して、現像装置14は、現像容器140、現像ローラー141、供給ローラー142、支持ローラー143、供給ローラーブレード144、現像クリーニングブレード145、現像剤回収装置146及び現像ローラー帯電器147を含む。
現像容器140は、内部にトナー粒子と液体のキャリアとからなる液体現像剤LDの供給を受ける。この液体現像剤LDは、トナーとキャリアとの濃度調整が予め行われた状態で、供給ノズル278から現像容器140内へ供給される。液体現像剤LDは、供給ローラー142と支持ローラー143とのニップ部へ向けて供給され、その余剰分は支持ローラー143の下方へ落下し、現像容器140の底部において貯留される。貯留された液体現像剤LDは、パイプ82を通して液体現像剤循環装置で回収される(図29参照)。
支持ローラー143は現像容器140の略中央に配置され、下方から供給ローラー142に当接されてニップ部を形成する。供給ローラー142は、支持ローラー143の直上ではなく、供給ノズル278から離れる方向の斜め上に配置される。供給ローラー142の周面には、液体現像剤LDを保持するための溝が設けられている。図28に点線矢印で示すように、支持ローラー143は反時計方向に、供給ローラー142は時計方向に回転する。
供給ノズル278から供給される液体現像剤LDは、前記ニップ部の回転方向上流側で一時的に滞留される。液体現像剤LDは、両ローラー142、143の回転に伴って、供給ローラー142の前記溝に保持された状態で上方へ運ばれる。供給ローラーブレード144は、供給ローラー142の周面に圧接され、供給ローラー142に保持される液体現像剤LDの量が所定量になるように。液体現像剤LDを規制する。供給ローラーブレード144により掻き落とされた余剰の液体現像剤LDは、現像容器140の底部で受け取られる。
現像ローラー141は、現像容器140の上部開口部に、供給ローラー142と接するように配置されている。現像ローラー141は供給ローラー142と同方向に回転される(現像ローラー141と供給ローラー142とが当接するニップ部では、現像ローラー141の表面は供給ローラー142の表面と逆方向に移動する)。現像ローラー141の周面に、供給ローラー142の周面に保持された液体現像剤LDが受け渡される。供給ローラー142の液体現像剤の層厚が所定値に規制されているため、現像ローラー141の表面に形成される液体現像剤層の層厚も所定値に保たれる。
現像ローラー帯電器147は、トナーの帯電極性と同極性の帯電電位を、現像ローラー141の表面上に与える。このため、現像ローラー141に担持された現像剤層中のトナーが、現像ローラー141の表面側に移動され、現像効率が向上する。現像ローラー帯電器147は、現像ローラー141のうち、供給ローラー142との接触部よりも回転方向下流側であって、感光体ドラム10との接触部よりも上流側において、現像ローラー141の周面に対向するように配設される。
現像ローラー141は、感光体ドラム10に当接する。感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラー141に印加される現像バイアスとの電位差によって、画像データに応じたトナー像が、感光体ドラム10表面に形成される。
現像クリーニングブレード145は、現像ローラー141の感光体ドラム10との当接部よりも回転方向下流側に接触するように配置され、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラー141の表面の液体現像剤LDを除去する。
現像剤回収装置146は、現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤を回収して、液体現像剤循環装置のパイプ81へ該液体現像剤LDを送り出す。液体現像剤LDは現像クリーニングブレード145の表面に沿って流下するが、液体現像剤LDの粘度が高いため、現像剤回収装置146には液体現像剤LDの送り出しを補助する送り出しローラー(不図示)が備えられている。
一次転写ローラー20は、中間転写ベルト21の裏面に、感光体ドラム10と対向して配置されている。一次転写ローラー20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧が印加される。一次転写ローラー20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21にトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。中間転写ベルト21は、トナー像を担持して、シートまで搬送する像担持体として機能する。
クリーニング装置26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤LDをクリーニングする。クリーニング装置26は、残留現像剤搬送スクリュー261と、クリーニングブレード262とを備えている。残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、クリーニング装置26内に収納された残留現像剤をクリーニング装置の外部に搬送するための部材であって、クリーニング装置26内に配置されている。
クリーニングブレード262は、感光体ドラム10の表面に残留した液体現像剤LDを掻き取るための部材であって、感光体ドラム10の回転軸方向に延びる板状の部材である。クリーニングブレード262は、その端部が感光体ドラム10の表面に摺接しており、感光体ドラム10の回転に伴って感光体ドラム10上に残留した液体現像剤LDを掻き取る。
除電装置13は、除電用の光源を有し、次の周回における画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤LDの除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。
キャリア液除去ローラー30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として、感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラー30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも、二次転写部4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する。
図27に戻って、用紙収納部3は、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、上側本体部1Aの下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙を収納する給紙カセットを有している。
二次転写部4は、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像を用紙に転写する。二次転写部4は、中間転写ベルト21を支持する支持ローラー41と、支持ローラーに対向して配置された二次転写ローラー42とを有している。
定着部5は、用紙にトナー像を定着させる。定着部5は、二次転写部4の上側に配置されている。また、定着部5は、加熱ローラー51と、加熱ローラー51に対向して配置された加圧ローラー52とを有している。
排出部6は、定着部5でトナー像が定着された用紙が排出される。排出部6は、カラープリンタ1の上部に配置されている。用紙搬送部7は、複数の搬送ローラー対を備え、用紙収納部3から二次転写部4や定着部5、排出部6に用紙を搬送する。
図29は、一つの液体現像剤循環装置LYの全体の概略を示すブロック図である。他の液体現像剤循環装置LM、LC、LBも同じ構成である。この液体現像剤循環装置LYは、感光体ドラム10へ液体現像剤LDを供給した後に現像クリーニングブレード145によって現像ローラー141の表面から掻き取られた残留現像剤(トナーとキャリア液との混合物)を循環させ再利用するための装置である。
液体現像剤循環装置LYは、残留現像剤タンク271、現像剤収容容器272、固形分濃度検出装置273、キャリアタンク274、トナータンク275、ワニスタンク279、攪拌装置276、現像剤リザーブタンク277、液体現像剤供給装置278、溶解樹脂濃度検出装置280、液体現像剤分離装置28、複数のポンプP1〜P14及び制御部550を備えている。
残留現像剤タンク271は、現像装置14に第1パイプ81及び第2パイプ82を介して接続され、現像装置14側から回収された液体現像剤LDを収容可能なタンクである。第1パイプ81及び第2パイプ82の途中には、それぞれ第1ポンプP1及び第5ポンプP5が取り付けられている。
感光体ドラム10へトナーを供給した後に、現像クリーニングブレード145によって現像ローラー141の表面から掻き取られた液体現像剤は、第1ポンプP1の駆動により第1パイプ81を通して残留現像剤タンク271に送られる。また、現像容器140内において、供給ローラー142から現像ローラー141へ供給されずに、現像容器140にて貯留された液体現像剤LDは、第5ポンプP5の駆動により第2パイプ82を通して、残留現像剤タンク271に送られる。
現像剤収容容器272は、残留現像剤タンク271と接続されている。現像剤収容容器272は、残留現像剤に、現像装置14で用いられる現像剤よりも固形分濃度DS(トナー濃度)が高い現像剤、あるいはキャリア液を加えることで、固形分濃度DSを適正範囲に調整する。この固形分濃度DSが調整された液体現像剤LDは、現像装置14に補給される。現像剤収容容器272は、第3パイプ83を介して、残留現像剤タンク271と接続されている。また、この第3パイプ83には、第2ポンプP2が取り付けられている。残留現像剤タンク271内の液体現像剤LDは、第2ポンプP2の駆動により、第3パイプ83を通して現像剤収容容器272に送られる。
溶液濃度検出装置280は、現像剤収容容器272内の液体現像剤LDの固形分濃度DS(DSH)および溶解樹脂濃度CR(CRH)を検出する。溶液濃度検出装置280は、現像剤収容容器272に接続されている環状の第4パイプ84に、接続されている。この環状の第4パイプ84には、第4ポンプP4が取り付けられている。現像剤収容容器272内の液体現像剤LDは、第4ポンプP4の駆動により、第4パイプ84の入口端から溶液濃度検出装置280へ導かれ、その後、第4パイプ84の出口端から現像剤収容容器272に戻される。
キャリアタンク274は、キャリア液を収納する。固形分濃度検出装置273により、現像剤収容容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも高いと判定された場合に、キャリアタンク274から現像剤収容容器272内にキャリア液が供給され、容器272内の液体現像剤の固形分濃度DSが下げられる。キャリアタンク274と現像剤収容容器272とは、第5パイプ85で接続されており、前記キャリア液の供給は、第5パイプ85の途中に設けられた第3ポンプP3の駆動によって実行される。
トナータンク275は、現像装置14で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い液体現像剤LDを収納する。固形分濃度検出装置273により、現像剤収容容器272内の固形分濃度DS(DSH)が適正範囲よりも低いと判定された場合に、トナータンク275から現像剤収容容器272内に固形分濃度DSが高い液体現像剤LDが供給され、容器272内の液体現像剤LDの固形分濃度DSが上げられる。トナータンク275と現像剤収容容器272とは第6パイプ86で接続されており、前記液体現像剤LDの供給は、第6パイプ86の途中に設けられた第8ポンプP8の駆動によって実行される。
ワニスタンク279は、現像装置14で用いられる液体現像剤LDよりも溶解樹脂濃度CRが高い液体現像剤LDを収納する。溶解樹脂濃度検出装置280により、現像剤収容容器272内の溶解樹脂濃度CR(CRH)が適正範囲よりも低いと判定された場合に、ワニスタンク279から現像剤収容容器272内に、溶解樹脂濃度CRが高い液体現像剤LDが、供給される。この結果、現像剤収容容器272内の液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRが上げられる。ワニスタンク279と現像剤収容容器272とは第11パイプ891で接続されており、前記液体現像剤LDの供給は、第11パイプ891の途中に設けられた第13ポンプP13の駆動によって実行される。
攪拌装置276は、現像剤収容容器272内の液体現像剤を攪拌するための部材である。この攪拌の目的は、濃度調整のために現像剤収容容器272内へ導入されたトナー又はキャリア液が、現像剤収容容器272内の既存の液体現像剤と均一に混ざるようにするため、また、現像剤収容容器272内に収容されている液体現像剤LDにおいて凝集することがあるトナーを再分散させることである。攪拌装置276は、回転軸と、この回転軸の先端に取り付けられた攪拌羽根とを含む。前記回転軸には液面検知部材276aが同軸で組み付けられている。この液面検知部材276aは図略のモータで駆動され、液面検知部材276aが、液体現像剤LDの液面と接触することに伴う前記モータの負荷変化に基づいて、液体現像剤量が検出される。
現像剤リザーブタンク277は、現像装置14に補給する液体現像剤LDを収納するタンクである。現像剤リザーブタンク277は、現像剤収容容器272と第7パイプ871で接続されている。現像剤リザーブタンク277は、第7パイプ871の途中に設けられた第6ポンプP6の駆動によって、現像剤収容容器272から液体現像剤LDの供給を受ける。さらに現像剤リザーブタンク277は、キャリアタンク274と第1直結管路910で、また、トナータンク275と第2直結管路920でそれぞれ接続されている。さらに、現像剤リザーブタンク277は、ワニスタンク279と第3直結管路930で接続されている。第1、第2、第3直結管路910、920、930には第11ポンプP11、第12ポンプP12、第14ポンプP14がそれぞれ配置され、各タンクからキャリア、トナーおよび溶解樹脂を直接的に現像剤リザーブタンク277へ供給可能とされている。これら第1、第2、第3直結管路910、920、930からのキャリア、トナー及び溶解樹脂供給系統は、未だ回収液体現像剤が発生していないカラープリンタ1の使用開始時等に、既知の配合比に従って速やかに液体現像剤LDを生成する場合に活用される。
供給ノズル278は、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤LDを、現像装置14(現像容器140)へ供給する。供給ノズル278と現像剤リザーブタンク277とは、第8パイプ872で接続されている。前記液体現像剤LDの供給は、第8パイプ872に取り付けられた第7ポンプP7の駆動によって実行される。
更に、液体現像剤循環装置LYは、キャリアタンク274から現像剤リザーブタンク277へ延びる直結管路910と、トナータンク275から現像剤リザーブタンク277へ延びる直結管路920と、を備える。これら直結管路910、920は、液体現像剤LDの循環が行なわれる前に、所定量のキャリア及びトナーを現像剤リザーブタンク277に供給するために用いられる。これにより、現像工程を素早く開始させることが可能となる。
なお、図示は省略しているが、残留現像剤タンク271、キャリアタンク274、トナータンク275及び現像剤リザーブタンク277、ワニスタンク279の適所には、これらタンク内の液面高さを検知するための液面検出装置が備えられている。
液体現像剤分離装置28は、クリーニング装置26で回収された残留現像剤からトナーと、樹脂材料Rが溶解されたキャリア液Cと、を分離し、トナーとキャリア液Cとを別々に抽出する。クリーニング装置26および液体現像剤分離装置28は、第9パイプ881によって接続されている。第9パイプ881には、第9ポンプP9が取り付けられている。第9ポンプP9の駆動により、クリーニング装置26内の残留現像剤は、液体現像剤分離装置28に送られる。また、液体現像剤分離装置28およびキャリアタンク274は、第10パイプ882によって接続されている。第10パイプ882には、第10ポンプP10が取り付けられている。液体現像剤分離装置28で抽出されたキャリア液Cは、第10ポンプP10の駆動によってキャリアタンク274へ送られる。
制御部550は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、各制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算処理や制御処理などのデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)などを含む。制御部550は、第1〜第11ポンプP1〜P14の駆動、液面検知部材276aを動作させるモータの駆動等を制御する。
続いて、カラープリンタ1の動作を説明する。カラープリンタ1に接続されたパーソナルコンピュータ(図略)からの画像形成指示を受けたカラープリンタ1は、作成指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY,FM、FC、FBを用いて形成する。具体的には、感光体ドラム10上に画像データに基づいた静電潜像が形成され、この静電潜像に現像装置14からトナーが供給される。このようにして各画像形成ユニットFY,FM,FC,FBで形成された画像は中間転写ベルト21に転写されて、中間転写ベルト21上で重ね合わされてカラートナー像となる。
このカラートナー像の形成と同期して、用紙収納部3に収容されている用紙が図示しない給紙装置によって、用紙収納部3から一枚ずつ取り出され、用紙搬送部7に沿って搬送される。そして、用紙は二次転写部4に送り込まれ、二次転写部4で中間転写ベルト21上のカラートナー像が該用紙に二次転写される。
カラートナー像が転写された用紙は、さらに定着部5に搬送され、カラートナー像が、熱と圧力により用紙に定着される。さらに用紙は、排出部6によってカラープリンタ1の外部に排紙される。二次転写後、中間転写ベルト21に残留したトナーは、中間転写ベルト21のクリーニング部22によって中間転写ベルト21から除去される。
画像形成動作時に感光体ドラム10に供給されずに現像ローラー141上に残留した液体現像剤LDは、現像クリーニングブレード145によって掻き取られ、第1パイプ81を介して残留現像剤タンク271に回収される。また、供給ローラー142から現像ローラー141へ供給されずに現像容器140にて回収された液体現像剤LDも、第2パイプ82を通して残留現像剤タンク271に回収される。さらに、クリーニング装置26で回収された残留現像剤から液体現像剤分離装置28にて抽出されたキャリア液が、キャリアタンク274へ回収される。このような液体循環を実行させるため、第1、第5、第9、第10ポンプP1、P5、P9、P10は、制御部550によって駆動制御される。
現像剤収容容器272内の液体現像剤量が無くなると、制御部550は、第2ポンプP2を駆動させる。制御部550は、残留現像剤タンク271に対して、現像剤収容容器272に残留現像剤を供給させる。現像剤収容容器272が残留現像剤で満たされると、溶液濃度検出装置280により液体現像剤LDの固形分濃度DS(DSH)(トナー濃度)が検出される。この検出結果に応じて、制御部550は、第3ポンプP3又は第8ポンプP8を駆動させて、必要量のキャリア液又は高濃度液体現像剤を現像剤収容容器272へ供給させる。その後、再度、溶液濃度検出装置280により液体現像剤LDの固形分濃度DSが検出される。そして、固形分濃度DSが適正範囲ならば、必要に応じて液体現像剤LDは、現像剤リザーブタンク277へ供給される。また、同様に、現像剤収容容器272中の液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CR(CRH)が、溶液濃度検出装置280によって測定された後、必要量の樹脂成分Rが、制御部550によって、調整される。
液体現像剤分離装置28の内部では、キャリア液とトナー粒子との分離動作が行われる。すなわち、第9パイプ881を通して、回収された液体現像剤が液槽510へ導入される。キャリア液回収ローラー540で分離されたキャリア液は、第10パイプ882を通してキャリアタンク274へ送られる。一方、トナー回収ローラー530から回収されたトナーは、廃棄タンクに導かれる。このような液体現像剤分離装置28を備えたカラープリンタ1によれば、トナーとキャリア液との分離速度を高速化することができるので、高速印刷処理に対応することが可能となる。
<液体現像剤について>
次に、上記の実施形態において、溶液濃度検出装置280の測定対象として使用される液体現像剤LDについて説明する。前述のとおり、液体現像剤LDは、電気絶縁性のキャリア液Cと、キャリア液C中に分散された着色粒子Pと、を含む。また、液体現像剤LDは、樹脂材料Rを含有する。上記の画像形成装置に使用される上で、好ましくは、液体現像剤LDは、測定温度25℃において、30〜400mPa・sの粘度を有する。より好ましくは、液体現像剤の粘度(測定温度25℃)は、40〜300mPa・sであり、さらに好ましくは50〜250mPa・sである。
<キャリア液>
液体キャリアの役割を果たす電気絶縁性のキャリア液Cは、液体現像剤LDの電気絶縁性を高める。電気絶縁性のキャリア液Cとしては、例えば、25℃における体積抵抗が1012Ω・cm以上(換言すれば導電率が1.0pS/cm以下)の電気絶縁性有機溶剤が好ましい。さらに前記物性に加えて、後述の樹脂材料Rを溶解させることができるもの(樹脂材料Rの溶解度が相対的に高いもの)が好ましく用いられる。
また、液体現像剤LDの全体の粘度(測定温度25℃)が30〜400mPa・sとなるように、キャリア液Cの粘度・種類・配合量を適宜調整・選択される。液体現像剤LDの粘度は、キャリア液Cとして用いられる有機溶剤と後述される樹脂材料Rとの組み合わせによっても左右される。したがって、所望の液体現像剤LDの粘度及び選択される樹脂材料Rの種類に合わせて有機溶剤の種類及び配合量が適宜決定される。
このような電気絶縁性の有機溶剤としては、例えば、常温で液体の脂肪族炭化水素や植物油が挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、液状のn−パラフィン系炭化水素、iso−パラフィン系炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、分岐鎖を有する脂肪族炭化水素又はそれらの混合物が好ましい。例えば、脂肪族炭化水素として、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、シクロヘキサン、パークロロエチレン、トリクロロエタンが用いられる。環境対応(VOC対策)の観点から、不揮発性の有機溶剤及び揮発性が相対的に低い有機溶剤(例えば、沸点が200℃以上のもの)が好ましく、例えば、炭素数が16以上の脂肪族炭化水素を比較的多く含む流動パラフィンが好ましく用いられる。
上記の実施形態では、樹脂材料Rがキャリア液Cに溶解する限り、キャリア液Cとして、樹脂材料Rの溶解度が相対的に高いもの(樹脂材料Rの良溶媒)のみを用いてもよく、又は、樹脂材料Rの溶解度が相対的に低いもの(樹脂材料Rの貧溶媒)を混合して用いてもよい。
キャリア液C中の上述の油類の含有量は、液体現像剤LD中に含まれる樹脂材料Rの種類や含有量に依存する。好適な油類の含有量として、例えば、70〜95質量%が挙げられる。70質量%未満では、樹脂材料Rをキャリア液Cに良好に溶解させることが困難となる。
上記の実施形態では、液体現像剤LDの導電率は、例えば、200pS/cm以下であることが好ましい。キャリア液Cは、単体では、絶縁溶液であるが、着色粒子である顔料や分散剤などが分散されることで、液体現像剤LDは、所定の導電率を有する。したがって、トール油脂肪酸といった油類に樹脂材料Rを溶解させることにより得られた溶液(以下、「樹脂溶液」と称される)に高電気抵抗の脂肪族炭化水素を混合することにより、液体現像剤LDの導電率が、例えば200pS/cm以下に調整されることが好ましい。
<着色粒子>
上記の実施形態では、トナーとしての着色粒子Pには、顔料そのものが用いられる。尚、上述の画像形成ユニットFMに用いられる着色粒子Pは、マゼンタ色の色相を有する。上述の画像形成ユニットFCに用いられる着色粒子Pは、シアン色の色相を有する。上述の画像形成ユニットFYに用いられる着色粒子Pは、イエロー色の色相を有する。上述の画像形成ユニットFBに用いられる着色粒子Pは、ブラック色の色相を有する。
上記の実施形態における顔料としては、例えば、従来公知の有機顔料や無機顔料が特に限定することなく用いられる。
例えば、黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラックといったアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。青色顔料としては、C.I.Pigment Blue 15:3、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキが挙げられる。
液体現像剤LD中の顔料の含有量は、1〜30質量%が好ましい。より好ましくは、3質量%以上であり、さらに好ましくは、5質量%以上である。また、より好ましくは、20質量%以下であり、さらに好ましくは、10質量%以下である。
液体現像剤LD中の顔料の平均粒子径すなわち体積基準の中位径(D50)は、0.1〜1.0μmが好ましい。0.1μm未満の平均粒子径を有する顔料は、例えば、画像濃度の低下を引き起こす。1.0μmを超える平均粒子径を有する顔料は、例えば、定着性の低下を引き起こす。ここで、体積基準の中位径(D50)とは、一般に、粒度分布が求められている1群の粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたときの累積カーブが50%となる点の粒子径をいう。
<高分子化合物(樹脂材料)>
上記の実施形態に係る液体現像剤LDに含有される樹脂材料Rは、有機高分子化合物である。キャリア液Cに溶解性を有する有機高分子化合物として、液体現像剤の粘度を上げ、且つ、画像形成におけるにじみ発生を抑制できる材料が選択される。有機高分子化合物として、環状オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、セルロースエーテル、ポリビニルブチラールが例示される。好ましくは、有機高分子化合物として、スチレン系エラストマーが用いられる。樹脂材料Rとしては、単一種の有機高分子化合物が用いられてもよいし、或いは、複数種の有機高分子化合物が用いられてもよい。
そして、上記の実施形態に係る液体現像剤LDでは、有機高分子化合物は、キャリア液Cに溶解される。キャリア液Cに溶解している有機高分子化合物は、ゲルの状態であってもよい。有機高分子化合物の種類や分子量によっては、キャリア液C中で相互に絡み合ったゲル状の有機高分子化合物が得られる。ゲル状の有機高分子化合物は、比較的低い流動性を有する。例えば、有機高分子化合物の濃度が高い場合、有機高分子化合物とキャリア液Cとの親和性が低い場合、或いは、気温が低い場合には、ゲル状の有機高分子化合物が得られやすい。一方、キャリア液C中での相互の絡み合いが少ない有機高分子化合物は、比較的流動性が高い溶液となる。
液体現像剤LD中の有機高分子化合物の含有量は、有機高分子化合物の種類応じて、適切に決定される。有機高分子化合物の含有量は、例えば、1〜10質量%であることが好ましい。
有機高分子化合物の含有量が1質量%未満であると、液体現像剤LDにおける十分な粘度が得られず、画像形成におけるにじみ発生が十分に抑制できない可能性がある。また、有機高分子化合物の含有量が10質量%を超えると、シートSの表面上に留まる有機高分子化合物による被膜の量が多くなり過ぎ、被膜の乾燥性が過度に低下する。この結果、被膜の粘着性(タック性)が過度に大きくなり、画像の耐擦過性が過度に低下する可能性がある。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、溶解樹脂濃度検出装置280Aにおいて、平板からなるハウジング65の底面部651が、水平に配設される態様にて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、底面部651は、予め所定の角度で、水平面に対して僅かに傾斜した面であってもよい。この場合、液体現像剤LD中に気泡が発生することがあっても、該気泡はハウジング65の底部651に滞留することなく、底部651の斜面に沿って逃がされる。したがって、該気泡が水晶振動子611の発振に影響を与えることが抑止される。
(2)また、上記の実施形態では、QCMセンサー60の上方を覆い、QCMセンサー60の浸漬深さを一定に保持する規制部材として、ハウジング65の底面部651を用いて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、ハウジング65(底面部651)とは別の部材が、QCMセンサー60の上方に、QCMセンサー60を覆うように配置される構成であってもよい。
(3)また、上記の実施形態では、固形分濃度検出装置280Cおよび溶解樹脂濃度検出装置280Aは、それぞれ同じ濃度検出槽691内の液体現像剤LDの濃度を検出する態様にて説明した。しかし、これに限定されるものではなく、固形分濃度検出装置280Cおよび溶解樹脂濃度検出装置280Aは、異なるパイプを介して現像剤収容容器272から採取された液体現像剤LDを測定対象とし、それぞれ固形分濃度DSおよび溶解樹脂濃度CRを検出する態様であってもよい。
(4)更に、上記の実施形態では、溶解樹脂濃度CRHおよび固形分濃度DSHが導出されるステップS004において、(式3)を用いて、液体現像剤LDの粘度ηが導出される態様にて説明した。しかし、液体現像剤LDの粘度ηの導出は、このステップに限られるものではない。予め、記憶部697に、Δf(=f−f0)と粘度ηとの関係を規定する検量線データD3が格納されることで、該検量線データD3から、直接、液体現像剤LDの粘度ηが導きだされる態様であってもよい。この場合であっても、液体現像剤LDの比重ρおよび粘度ηの両方が得られることにより、誤差が低減された溶解樹脂濃度CRHおよび固形分濃度DSHが導き出される。また、いずれの実施形態においても、特性値として粘度ηを算出することなく、液体現像剤LDの比重ρおよび中間的な特性値である振動周波数(出力周波数F)によって、溶解樹脂濃度CRHおよび固形分濃度DSHが導出されてもよい。この場合、記憶部697には、予め、出力周波数Fと比重ρの2変数に対する溶解樹脂濃度CRHおよび固形分濃度DSHの検量線データD4が格納される。
(5)また、上記の実施形態では、溶液濃度検出装置280が、現像剤収容容器272に接続されるにあたり、第4パイプ84上の、溶液濃度検出装置280よりも上流側の位置に、第4ポンプP4を備える態様にて説明したが、これに限られるものではない。現像剤収容容器272と溶液濃度検出装置280との間の距離が離れているような場合は、液体現像剤LDの循環性能を高めるために、溶液濃度検出装置280よりも、下流側の位置に、新たなポンプが配置されてもよい。この場合、第4パイプ84には、溶液濃度検出装置280の上下流側にそれぞれに、液体現像剤LDを搬送するためのポンプが配置される。このため、溶液濃度検出装置280内の濃度検出槽691に効率的に、液体現像剤LDが流入されるともに、濃度検出槽691から液体現像剤LDが速やかに排出される。