以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る濃度検出装置の構造を示すための断面図と電気的なブロック図を組み合わせた図である。図2は、前記濃度検出装置の構造を示すためのQCM(Quarts Crystal Microbalance)センサー周辺の断面図である。また、図3は、前記QCMセンサーの(a)平面図および(b)側面図である。
図1を参照して、溶解樹脂濃度検出装置280は、液体現像剤LD中に溶解された樹脂材料Rの濃度を検出するための装置である。溶解樹脂濃度検出装置280は、検出装置本体280Aと、電源693と、測定部280Bとを備える。なお、検出装置本体280Aは、本実施形態の基本構造を説明するためのものであり、より詳細な構造は、後記の検出装置本体部280Cにて説明される。
検出装置本体280Aは、液体現像剤LD中に溶解された樹脂成分の濃度(以後、溶解樹脂濃度CR)を測定する装置本体部である。検出装置本体280Aは、QCMセンサー60と、回路ユニット64と、ハウジング65と、濃度検出槽691と、液温センサー692とを備える。
QCMセンサー60は、内部に水晶振動子611(図3)を備え、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRに応じた振動周波数を発振する。QCMセンサー60は、測定対象となる液体現像剤LD中に浸漬される。QCMセンサー60は、センサー電極61と、台座部62とを備える。センサー電極61は、内部に水晶振動子611を備え、正面視で、円板形状からなる。また、台座部62は、センサー電極61の上方で、液体現像剤LD中に浸漬される。台座部62は、平面視で円板形状からなり、貫通された2つの孔部を備える(不図示)。台座部62は、センサー電極61と回路ユニット64との間に配設される第1リード部63aおよび第2リード部63bを、該孔部を通じて固定する機能を備える。QCMセンサー60は、後記のハウジング65の底面部651の下方で、該ハウジング65から突出するように配設される。
図3を参照して、QCMセンサー60のセンサー電極61は、側面視で3層構造からなり、水晶振動子611と、第1電極部612と、第2電極部613と、を備える。第1電極部612および第2電極部613は、水晶振動子611を両側から挟むように配設される。水晶振動子611を回路の一部とした閉回路が形成されることによって、水晶振動子611の両側に所定の電圧が印加される。そして、周囲の液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRに応じて、該水晶振動子611が異なる振動周波数で発振する。なお、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRと該振動周波数との関係については、後記で詳述する。
水晶振動子611を挟む第1電極部612および第2電極部613の一方には、その表面に片面規制部材612A(表面規制部材)が配設される。片面規制部材612Aは、第1電極612の表面に配設される。片面規制部材612Aは、第1電極612の表面を覆うように配設され、耐油性絶縁シールやコーティングなどによって形成される。これにより、第2電極部613の表面だけに、液体現像剤LDが付着し、第1電極612の表面が、液体現像剤LDから保護される。この結果、液体現像剤LDを介して、第1電極部612と第2電極部613との間に電流が流れ、回路がショートすることが防止される。
回路ユニット64は、QCMセンサー60の上方に配置され、内部にインターフェース回路を含む発振回路641を備える。発振回路641は、外部からの電気的なノイズの影響を受けないようにするために、可及的に小さな配線基板上に配設される。また、回路ユニット64は、コネクタ642を備える。回路ユニット64は、第1リード部63aおよび第2リード部63b(図2)によって、QCMセンサー60と電気的に接続される。また、回路ユニット64は、第1配線部694によって、電源693に電気的に接続される。更に、回路ユニット64は、第2配線部695によって、後記の周波数計696と電気的に接続される。回路ユニット64内の発振回路641は、水晶振動子611を発振させるための回路である。発振回路641には、マルチバイブレータ発振回路が採用される。回路ユニット64には、第1配線部694を介して、電源693から所定の駆動電圧が供給される。また、回路ユニット64は、QCMセンサー60の水晶振動子611の振動周波数を、クロック信号として、第2配線部695を介して、測定部280Bの周波数計696に出力する。
ハウジング65は、略円筒形状の筐体であり、内部に回路ユニット64を収容する。ハウジング65は、水平に配置された円形の平板からなる底面部651を備える。ハウジング65の底面部651の中心部には、円形状の開口部(不図示)が形成される。QCMセンサー60が、ハウジング65の内部空間を介して、該開口部に挿通される。これにより、QCMセンサー60が、ハウジング65の外部に配設されるとともに、回路ユニット64がハウジング65の内部に収容される。そして、QCMセンサー60は、ハウジング65の底面部651の中心部の直下に配設される。前記開口部には、ハウジング65内への液体現像剤LDの進入を防ぐために、不図示のシール部材が配設される。また、ハウジング65の内壁には、回路ユニット64を周囲の電気的ノイズから保護するためのシールド66が配設される。ハウジング65が内部に回路ユニット64を収容した状態で、ハウジング65の底面部651は、液体現像剤LD中に浸漬される。これにより、QCMセンサー60が、液体現像剤LD内に浸漬されても、可及的に、回路ユニット64をQCMセンサー60に近接して配設することが可能となる。この結果、第1リード部63aおよび第2リード部63bの長さを短くすることができ、QCMセンサー60と回路ユニット64内の発振回路641との間において、電気的なノイズが混入すれることが抑止される。
濃度検出槽691は、内部に測定対象となる液体現像剤LDを貯留する。濃度検出槽691内に貯留された液体現像剤LDの中に、QCMセンサー60が浸漬される。
液温センサー692は、濃度検出槽691に貯留された液体現像剤LDの液温を測定する。液温センサー692には、熱電対、白金測温抵抗体など、各種の温度測定手段が採用される。液温センサー692によって測定された液体現像剤LDの液温Tは、測定部280B内の濃度算出部698によって、溶解樹脂濃度CRの算出に使用される。
電源693は、QCMセンサー60に対して、所定の駆動電圧を供給する。電源693は、不図示の安定化電源回路を備える。
測定部280Bは、QCMセンサー60から発振された振動周波数に基づいて、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRを求める。測定部280Bは、周波数計696と、記憶部697と、濃度算出部698とを備える。測定部280Bは、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。測定部280Bは、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、周波数計696、記憶部697および濃度算出部698を備えるように機能する。
周波数計696は、水晶振動子611の振動に応じて回路ユニット64が出力するクロック信号からノイズをカットし、水晶振動子611の出力周波数Fを算出する。出力周波数Fは、濃度算出部698によって、溶解樹脂濃度CRの算出に使用される。なお、周波数計696の代わりに各種の演算器が使用されてもよい。最終的に、溶解樹脂濃度CRが、PPMオーダーで算出されるように、回路ユニット64から出力されたクロック信号に基づいて、QCMセンサー60の発振周波数が解析されればよい。
記憶部697は、濃度算出部698による溶解樹脂濃度CRの算出のための各種記憶情報を格納する。記憶部697は、後記の温度補正値Vtおよび濃度換算値Vdを格納する。
濃度算出部698は、周波数計696から算出された出力周波数Fおよび、記憶部697に格納された温度補正値Vt、濃度換算値Vd、および液温センサー692によって測定された液温Tを用いて、溶解樹脂濃度CRを算出する。
<溶解樹脂濃度CRの検出について>
本実施形態では、溶解樹脂濃度検出装置280の測定対象として、液体現像剤LDが使用される。液体現像剤LDは、電気絶縁性のキャリア液Cと、キャリア液C中に分散された着色粒子Pと、を含む。更に、液体現像剤LDは、樹脂材料Rを含有する。画像形成装置に使用される上で、該液体現像剤LD中の着色粒子Pの濃度および樹脂材料Rの濃度が管理される。なお、液体現像剤LDの成分については、後記で詳述する。
液体現像剤LD中の着色粒子Pは、キャリア液Cに溶解されない。このため、着色粒子Pの濃度は、キャリア液C中に分散される固形分濃度Dsとして測定される。固形分濃度Dsは、液体の比重に基づいた公知の濃度測定技術、または、その改良測定技術によって、測定される。一方、液体現像剤LD中の樹脂材料Rは、キャリア液Cに溶解される。したがって、液体現像剤LD中の樹脂材料Rの濃度は、溶解樹脂濃度CRとして測定される。キャリア液Cの比重と、溶解された樹脂材料Rの比重とは、近似している。このため、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRが変化しても、液体現像剤LDの全体の比重は、変化しにくい。したがって、上記のような、液体の比重に基づいた濃度測定技術を、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRの測定に採用することが、困難となる。
また、樹脂材料Rが溶解した液体現像剤LDは、無色または白薄色であり、無極性である。更に、樹脂材料Rが溶解した液体現像剤LDは、高粘度という特徴を備える。このため、液体現像剤LD中に回転体を浸漬させ、液体現像剤LDの粘度の変化に応じて、回転体のトルクが変化することを利用し、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRを測定する技術が考えられる。しかしながら、溶解樹脂濃度CRに応じて、液体現像剤LDの粘度は大きく変動する。
表1は、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRを予め変化させた場合の、各溶解樹脂濃度CRに応じた液体現像剤LDの粘度を示している。このように、液体現像剤LDは、溶解樹脂濃度CRに応じて、粘度が大きく変化する。なお、液体現像剤LDの粘度測定には、「JIS−Z8803液体の粘度−測定方法」に基づいた回転粘度計を使用した。
このような液体現像剤LDの粘度の変化があるため、粘度が高い(トルクが大きい)濃度領域では、所望する精度で濃度が検出されたとしても、粘度が低い(トルクが小さい)濃度領域では、所望する精度で濃度が検出されない。また、粘度が極めて高い(トルクが極めて大きい)領域では、回転体の回転数が著しく低下し、濃度検出の精度が落ちてしまう。更に、回転体のトルクが上昇しすぎると、回転体の回転が停止し、濃度検出が困難となる。
本実施形態に係る溶解樹脂濃度検出装置280では、回転体が回転する濃度検出装置のように、液体現像剤LDに対して、機械的な作用を施すことがないため、液体現像剤LDの粘度の変化に対応することが可能となる。そして、以下に示すとおり、本実施形態に係る溶解樹脂濃度検出装置280は、該液体現像剤LDの粘度の変化を利用する点にも特徴を有する。以下に、本実施形態に係る溶解樹脂濃度検出装置280による溶解樹脂濃度CRの測定について詳述する。
図4は、本実施形態に係る溶解樹脂濃度検出装置280の溶解樹脂濃度CRおよび周波数計696の出力周波数Fの関係を示した図である。図5は、溶解樹脂濃度検出装置280における周波数計696の出力周波数Fと、QCMセンサー60の浸漬深さD3との関係を示した図である。また、図6は、液体現像剤LDの液温Tと、液体現像剤LDの粘度ηとの関係を示した図である。図7は、溶解樹脂濃度検出装置280における液体現像剤LDの液温Tと、周波数計696の出力周波数Fとの関係を示した図である。更に、図8は、溶解樹脂濃度検出装置280が備える発振回路641の温度依存性を示した図である。
図4は、検出装置本体280Aの各種条件を一定にし、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRを予め変化させた場合において、周波数計696が検出する出力周波数Fを示している。このように、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRに応じて、QCMセンサー60内の水晶振動子611の出力周波数Fが変化することがわかる。これは、前述のように、液体現像剤LDの粘度が、溶解樹脂濃度CRによって変化することに起因している。そして、溶解樹脂濃度CRと出力周波数Fとの間に一定の相関関係が存在する。したがって、水晶振動子611の出力周波数Fを利用して、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRを検出することが可能となる。
一方、水晶振動子611の出力周波数Fは、液体現像剤LDに浸漬される水晶振動子611の深さに影響されることを本発明者は知見した。図5は、所定の溶解樹脂濃度CRの液体現像剤LDにおいて、QCMセンサー60のセンサー電極61の深さD3(図5ではd)を変化させた場合の出力周波数Fの様子を示している。なお、センサー電極61の深さD3は、図2に示されている。図5によれば、同じ溶解樹脂濃度CRであっても、センサー電極61が浸漬される深さD3に応じて、水晶振動子611の出力周波数Fが変化することがわかる。該出力周波数Fの変化には、センサー電極61の上方を覆う液体現像剤LDの液高さが影響している。センサー電極61よりも上方の液高さが増大すれば、水晶振動子611の振動エネルギーが多く必要となるためである。
更に、図6は、所定の溶解樹脂濃度CRを供えた液体現像剤LDの液温Tを、不図示のヒーターまたは冷却装置によって、変化させた場合の粘度ηの変化を表している。このように、液体現像剤LDの液温Tが変化すると、キャリア液C中の樹脂材料Rの流動性が変化し、液体現像剤LDの粘度ηが変化する。そして、図7に示すように、この液体現像剤LDの粘度ηの影響を受け、同一の溶解樹脂濃度CRの液体現像剤LDであっても、液温Tが変化すると水晶振動子611の出力周波数Fが変化してしまう。なお、該出力周波数Fの変化には、回路ユニット64内の発振回路641の温度依存性が含まれている可能性があった。しかしながら、図8に示すように、発振回路641自体の温度を変化させても、周波数計696が検出する出力周波数Fは、ほとんど変化しないことがわかった。したがって、上記の液温Tの変化に伴う出力周波数Fの変化は、液体現像剤LDの粘度ηの変化によるものであることがわかる。
液体現像剤LDにおける溶解樹脂濃度CRを、水晶振動子611の振動作用を用いて測定する場合の上記の問題を踏まえ、本実施形態では、QCMセンサー60の支持構造および濃度算出部698の濃度算出方法に特徴を備える。
前述のとおり、QCMセンサー60は、濃度検出槽691内の液体現像剤LD内に浸漬される(図1)。この際、QCMセンサー60の直上には、ハウジング65の底面部651が配置される。そして、QCMセンサー60の台座部62が、底面部651に当接するように配設される。すなわち、底面部651は、液体現像剤LDの中で、QCMセンサー60の上方を覆い、かつ、QCMセンサー60との深さ方向の距離が一定に保持される。これにより、QCMセンサー60のセンサー電極61と底面部651との鉛直方向における距離D1が常に一定に保持される。このため、QCMセンサー60の上方を覆う液体現像剤LDの液高さが常に一定に保持される。この結果、センサー電極61の浸漬深さによる出力周波数Fの変動を抑止することが可能となる。なお、QCMセンサー60の上方に存在する液体現像剤の影響を更に回避するためには、図1において、浸漬されるQCMセンサー60の底面部651に対する深さD1は、6mm以上であることが好ましい。また、QCMセンサー60を覆う底面部651の面積については、底面部651の直径が34mm以上であることが好ましい。これにより、QCMセンサー60の上方が、底面部651によって十分覆われる。なお、後記の検出装置本体部280C(図10)では、液体現像剤LDを内部空間Xに充填させているため、上記のD1および底面部651の直径に相当する値については、この限りではない。
濃度算出部698は、周波数計696が検出する出力周波数Fを、溶解樹脂濃度CRに換算する。この際、濃度算出部698は、液体現像剤LDの液温によってもたらされる溶解樹脂濃度CRの変動量を補正する。まず、液温センサー692によって検出された液体現像剤LDの液温Tが、記憶部697に格納される。一方、記憶部697には、予め、温度補正値Vtが格納されている。温度補正値Vtは、図7に基づいて算出された補正値であり、液温Tにおける出力周波数Fを、基準液温25度における換算周波数FCに換算するために使用される。濃度算出部698は、検出された液温Tおよび出力周波数Fから、換算周波数FCを導出する。
また、記憶部697には、予め、濃度換算値Vdが格納されている。濃度換算値Vdは、図4の検量線に基づいて、換算周波数FC(図4における出力周波数F)を溶解樹脂濃度CRに換算するために使用される。このため、本実施形態では、濃度換算値Vdは、所定の周波数毎に格納されている。濃度算出部698は、該濃度換算値Vdに基づいて、上記の換算周波数FCから、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRを導出する。
このように、本実施形態では、液体現像剤LD中に浸漬されるQCMセンサー60の浸漬深さD3(D1)の影響や、液体現像剤LDの液温Tの影響を補正した上で、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRを検出することが可能となる。
次に、上記のような基本構造をもった溶解樹脂濃度検出装置280を、後記の液体現像剤循環装置LY(LM、LC、LB)(図14)に適用する際の、より詳細な構造について説明する。液体現像剤循環装置LYにおいて、液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRが速やかに検出されるためには、対象となる液体現像剤LDが、濃度検出槽691(図1)に流入され、かつ、該液体現像剤LDが濃度検出槽691から流出される必要がある。また、このように、濃度検出槽691内に液体現像剤LDの流れが生じる場合、図1における液体現像剤LDの液面付近に生じる気泡が、QCMセンサー60の水晶振動子611に影響を与える場合がある。このため、本実施形態では、液体現像剤LDが密閉された状態で、溶解樹脂濃度CRが検出される。
図9は、本実施形態に係る検出装置本体部280Cの断面図であり、図10は、検出装置本体部280Cの分解斜視図である。検出装置本体部280Cは、前述の検出装置本体280Aを、液体現像剤循環装置LYに適用する場合の形態である。すなわち、検出装置本体部280Cは、図1の電源693および測定部280Bと組み合わされることで、液体現像剤循環装置LY(LM、LC、LB)(図14)に搭載される。
図9および図10を参照して、検出装置本体部280Cは、QCMセンサー60と、回路ユニット64とを備える。なお、QCMセンサー60及び回路ユニット64は、いずれも、前述の検出装置本体280Aに搭載されたものと同じ構造及び機能を備える。検出装置本体部280Cは、更に、本体部65A(貯留容器)と、シールド容器654と、Oリング655とを備える。なお、検出装置本体部280Cの本体部65Aは、前述の検出装置本体280Aのハウジング65および濃度検出槽691に対応する。
本体部65Aは、底面と該底面から立設される円筒面を備えた円筒形状からなり、内部に溶解した樹脂成分を含む液体現像剤LDが充填される内部空間Xを備える。本体部65Aは、上蓋652(蓋部)と、収容部653(容器本体)と、を備える。
上蓋652は、QCMセンサー60を固定的に支持する。上蓋652は、上下方向に円筒軸が延伸される略円筒形状を有し、収容部653に嵌合されることで、内部空間Xを形成する。上蓋652は、上蓋天板652Aと、上蓋内壁部652Bと、上蓋挿入部652Cと、係合部652Dと、係合先端部652Eと、上蓋底面部652F(規制部材)と、開口部652Gと、を備える。
上蓋天板652Aは、上蓋652の上端において、径方向に広がる鍔部分である。上蓋挿入部652Cは、上蓋652の円筒部分に相当する。上蓋挿入部652Cは、上蓋天板652Aを基端とし、下方に向かって延設される。上蓋内壁部652Bは、上蓋挿入部652Cの内周面に相当する。
係合部652Dは、上蓋挿入部652Cの外周部から、径方向に突設される凸部である。係合部652Dの上端は、上蓋天板652Aに連設される。係合部652Dは、上蓋挿入部652Cの外周面において、所定の箇所に配設されるとともに、該箇所とは周方向において反対側の箇所にも配設される。なお、図10では、一方の係合部652Dしか現れていない。係合先端部652Eは、係合部652Dの下方先端が、周方向に、直角に屈曲されることで形成される。
上蓋底面部652Fは、上蓋挿入部652Cの下端に連接され、上蓋652の円筒底面を形成する。開口部652Gは、上蓋底面部652Fの中心部、すなわち、上蓋底面部652Fのうちの上蓋652の円筒軸上に形成される円形の開口部である。図9を参照して、該開口部652Gに、QCMセンサー60が上方から挿通される。そして、QCMセンサー60の台座部62が、該開口部652Gに係止される。この結果、センサー電極61が、上蓋652から下方に突設されるとともに、上蓋652に固定的に支持される。該上蓋底面部652Fは、前述の検出装置本体280A(図1)における底面部651と同様の機能を備える。後記の内部空間Xに充填された液体現像剤LD中に、該上蓋底面部652Fは浸漬される。この際、上蓋底面部652Fと、センサー電極61との円筒軸方向における距離が一定に保持される。また、QCMセンサー60との間で、第1リード部63aおよび第2リード部63bによって接続される回路ユニット64は、上蓋652の上方に配置される。
収容部653は、上蓋652と嵌合されることで、内部空間Xを形成する。収容部653は、上下方向に円筒軸が延伸される略円筒形状を有し、上端部は開口されるとともに、下端部は、部分的に塞がれた形状を備える。収容部653は、円筒部653Aと、内壁部653Bと、収容底部653G(底面)と、を備える。
円筒部653Aは、収容部653の円筒部分に相当する。また、内壁部653Bは、円筒部653Aのうちの内周面に相当する。収容底部653Gは、円筒部653Aの下端に連接され、収容部653の底面を形成する。そして、収容部653の上方から、内壁部653Bが形成する空間に、上蓋652の上蓋挿入部652Cが挿入される。収容部653は、更に、切欠部653Cと、切欠先端部653Dと、排出口653Eと、注入口653Fと、を備える。なお、収容部653の内壁部653Bには、不図示の液温センサーが配置される。
切欠部653Cは、円筒部653Aの上端部653Hの一部が、下方に切り欠かれることで形成される。切欠部653Cは、上端部653Hの周上において、所定の箇所に形成されるとともに、該箇所とは周方向において反対側の箇所にも形成される。切欠部653Cが周方向に切り欠かれる幅は、上蓋652の係合部652Dの周方向における幅よりも広く設定される。切欠先端部653Dは、切欠部653Cの下端部において、周方向の一端側が、更に周方向に突出するように切り欠かれることで形成される。切欠先端部653Dには、上蓋652の係合先端部652Eが挿入される。
排出口653Eは、パイプ形状を有し、収容部653の円筒部653Aから、径方向に突設されている。排出口653Eの内部には、液体現像剤LDが排出される水平流路Fhが形成される。水平流路Fhは、排出口653Eの先端から内壁部653Bまで配設される。したがって、水平流路Fhは、内壁部653Bが形成する空間に連通されている。
注入口653Fは、パイプ形状を有し、収容部653の収容底部653Gから、下方に突設されている。注入口653Fの内部には、液体現像剤LDが流入される鉛直流路Fvが形成される。鉛直流路Fvは、注入口653Fの先端から収容底部653Gまで配設される。したがって、鉛直流路Fvは、内壁部653Bが形成する空間に連通されている。
Oリング655は、上蓋652の上蓋挿入部652Cの周上に形成された溝部652Hに嵌めこまれる。Oリング655は、上蓋652と収容部653との隙間から、液体現像剤LDが漏れることを防止する。
QCMセンサー60を支持した状態の上蓋652が、収容部653に嵌合される。この際、上蓋652の係合部652Dが、収容部653の切欠部653Cに、円筒軸方向に挿入される。そして、上蓋652が周方向に回転されることによって、上蓋652の係合先端部652Eが、収容部653の切欠先端部653Dに挿入され、係合先端部652Eおよび切欠先端部653Dが係合する。この結果、上蓋652の上蓋挿入部652Cは、収容部653の内壁部653Bが形成する空間の円筒軸方向の約半分の高さまで挿入される。また、収容部653の収容底部653Gと、上蓋652の上蓋底面部652Fとの間に、内部空間Xが形成される。QCMセンサー60のセンサー電極61は、内部空間Xの中央に配置される。また、排出口653Eの内部に形成される水平流路Fhは、上蓋652の上蓋底面部652Fによって画定される内部空間Xの上端部に連通される。
シールド容器654は、底部の一部が塞がれ、上端が開口された円筒形状からなり、上蓋652および収容部653を収容する。シールド容器654は、円筒周面の上端の一部が切り欠かれた排出口挿入部654Bを備える。該排出口挿入部654Bには、収容部653の排出口653Eが挿通される。また、シールド容器654は、底部の中心部が開口された注入口挿入部654Cを備える。該注入口挿入部654Cには、収容部653の注入口653Fが挿通される。シールド容器654は、嵌合された上蓋652および収容部653によって形成された内部空間Xを、外部から電気的に保護する機能を備える。
後記の液体現像剤循環装置LY(LM、LC、LB)(図14)に、検出装置本体部280Cが搭載された場合、液体現像剤循環装置LYの環状の第12パイプ892に、上記の注入口653Fおよび排出口653Eが接続される。これにより、検出装置本体部280C内に、検出対象となる液体現像剤LDが流入されるとともに、内部空間Xが液体現像剤LDで充填される。そして、内部空間Xから溢れる量の液体現像剤LDが、排出口653Eから排出される。この際、注入口653Fは、収容部653の円筒軸上に配置され、液体現像剤LDを鉛直上方に向かって、内部空間X内に流入させる。このように、内部空間Xに対して、鉛直下方から上方に向かって、液体現像剤LDが流入されるため、流入過程において、内部空間Xに気泡が流入しにくい。また、液体現像剤LDが、内部空間Xの中心部に流入されるため、内部空間Xに液体現像剤LDの渦が生じにくい。このため、該液体現像剤LDの渦が、水晶振動子611の振動に影響を与えることが抑止される。
QCMセンサー60の水晶振動子611は、内部空間Xに充填された液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRに応じた振動周波数を発振する。この際、上蓋652の上蓋底面部652Fとセンサー電極61との液体現像剤LDの深さ方向の距離が一定に保持される。このため、液体現像剤LDの液高さによって、水晶振動子611の振動周波数が変動されることが抑止される。また、QCMセンサー60が、上蓋652の円筒軸上に配設されているため、センサー電極61は、内部空間Xに流入した液体現像剤LDの中心部で、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRを検出する。したがって、センサー電極61の周囲が上蓋底面部652Fによって覆われ、広い範囲で、液体現像剤LDの液高さが保持される。この結果、安定して溶解樹脂濃度CRが検出される。
また、上蓋652および収容部653によって形成される内部空間Xは、液体現像剤LDによって充填されるため、QCMセンサー60の周囲に、液体現像剤LDと空気層の境界面が存在しない。したがって、QCMセンサー60のセンサー電極61に、該境界面にて発生する気泡が付着することが抑止される。
更に、本実施形態では、円板形状からなるセンサー電極61が配設される向きが、好適に設定される。図11は、収容部653の内部空間Xに配置されたセンサー電極61を上方から見た模式図である。本実施形態では、図11(a)に示すように、内部空間X内における液体現像剤LDの流動方向Zが、センサー電極61の第1電極部612(第2電極部613)(図3)における平面部Daに沿うように、排出口653Eが配置されている。つまり、平面部Daの面が延びる方向と、流動方向Zとが概ね平行になるように、注入口653Fおよび排出口653Eが配置されている。このため、内部空間X内において、排出口653Eに向かって流動する液体現像剤LDが、センサー電極61の平面部Daに衝突することが抑止される。この結果、該液体現像剤LDの衝突によって、センサー電極61内の水晶振動子611の振動が、影響を受けることが抑制される。
一方、図11(b)に示すように、内部空間X内における液体現像剤LDの流動方向が、センサー電極61の平面部Dbに沿っていない場合、液体現像剤LDが、センサー電極61の平面部Dbに衝突する。このため、該液体現像剤LDの衝突が、センサー電極61の水晶振動子611の振動に影響を与えてしまう。この結果、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRが正確に検出されないという不具合が生じる。
更に、本実施形態では、上蓋652と収容部653とが嵌合することで、内部空間Xが形成される。したがって、QCMセンサー60を固定的に支持する上蓋652を、収容部653から取り外すことで、QCMセンサー60の修理や清掃を容易に行うことができる。液体現像剤LDに溶解される樹脂材料Rの中には、空気中に晒されると析出されやすいものが含まれる場合がある。そして、上蓋652および収容部653が嵌合されたまま、内部空間Xから排出口653Eを介して液体現像剤LDを抜いた後に、センサー電極61の清掃を行おうとすると、センサー電極61の表面に付着した液体現像剤LDの樹脂材料Rが、既に析出している場合がある。この場合、水晶振動子611を含むセンサー電極61を清掃することが困難となる。本実施形態では、内部空間Xに液体現像剤LDが充填された状態であっても、上蓋652を収容部653から取り外すことが可能となる。このため、センサー電極61に付着した液体現像剤LDが拭われ易く、センサー電極61の清掃や修理が容易に実現される。
また、本実施形態では、上蓋652および収容部653の嵌合が、係合部652Dおよび切欠部653Cの係合によって実現される。したがって、ネジなどの締結部材を介さずに、上蓋652を収容部653に、嵌合させることが可能となる。ネジによって、上蓋652と収容部653とが固定される場合、該ネジの締め付け度合いによって、収容部653に対する上蓋底面部652Fの位置が変動してしまう。この結果、内部空間Xの容積が変化し、水晶振動子611の振動周波数に誤差を生じる。これに対し、本実施形態では、係合部652Dおよび切欠部653Cの位置が、予め、上蓋652および収容部653の中で決定されている。このため、係合部652Dおよび切欠部653Cの係合によって形成される内部空間Xの容積が、変動しにくい。したがって、液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRを安定して検出することが可能となる。
更に、排出口653Eの内部には、水平方向に延設され、上蓋底面部652Fが形成する内部空間Xの上端部に連通される水平流路Fhが配設される。このため、内部空間Xに充填された液体現像剤LDは、上蓋底面部652Fに沿って、水平流路Fhに流入しやすい。この結果、排出口653E付近で、液体現像剤LDの流れが乱れにくく、水晶振動子611の振動が、該流れの影響を受けることが抑止される。
また、本実施形態では、シールド容器654が、上蓋652および収容部653を収容する。シールド容器654には、排出口挿入部654Bおよび注入口挿入部654Cが形成される。これによって、内部空間Xにおける液体現像剤LDの流出入が可能とされつつ、該内部空間Xが外部との間で電気的に保護される。この際、上蓋652の上蓋天板652Aと、シールド容器654の内壁の上端である上蓋対向部654Aとが当接することによって、シールド容器654の内部に密閉された断熱空間Asが形成される。該断熱空間Asによって、上蓋652および収容部653によって形成される内部空間X内の温度が変化することが抑止される。このため、液体現像剤LDの溶解樹脂温度CRが安定して検出される。
<画像形成装置としての実施形態>
次に、上記の実施形態に係る検出装置本体部280Cを備えた溶解樹脂濃度検出装置280が組み込まれた画像形成装置について説明する。図12は、前記溶解樹脂濃度検出装置280が組み込まれたカラープリンタ1(画像形成装置)の概略構成図、図13は、液体現像剤循環装置の部分を除いたカラープリンタ1の概略断面図、図14は、画像形成部の一つを拡大して示す断面図である。なお、図12乃至図14に示される画像形成装置はカラープリンタであるが、コピー機、ファクシミリ装置、これらの機能を含む複合機(MFP)や、シート上に画像を形成することができる他の装置とすることもできる。
図12に示される如く、カラープリンタ1は、画像形成のための様々なユニットや部品が収納される上側本体部1Aと、この上側本体部1Aの下部に配置され、各色用の液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが収納される下側本体部1Bとから構成されている。ここでは、上側本体部1Aと下側本体部1Bとを結ぶ配管類は図示を省略している。
図13に示すように、上側本体部1Aには、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式の画像形成部2と、用紙を収容する用紙収納部3と、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙上に転写する二次転写部4と、転写されたトナー画像を用紙上に定着させる定着部5と、定着の完了した用紙を排紙する排出部6と、用紙収納部3から排出部6まで用紙を搬送する用紙搬送部7とが含まれている。
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のクリーニング部22と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBとを備える。
中間転写ベルト21は、導電性を有し、使用可能な用紙搬送方向に直角な方向の長さが最大の用紙より幅広であって、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、図12、図13において時計回りに循環駆動される。中間転写ベルト21の循環駆動において外側を向く面を以下、表面と称し、他方の面を裏面と称する。
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルト21の近傍であって、中間転写ベルト21のクリーニング部22と二次転写部4との間に、それぞれ平行に配置される。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色がもたらす完成画像への影響を配慮すると、この配置の順番が好ましい。
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、感光体ドラム10と、帯電器11と、LED露光装置12と、現像装置14と、一次転写ローラー20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラー30とを備える。なお、画像形成ユニットのうち、最も二次転写部4に近い位置に位置する画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラー30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
また、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBに対応して、それぞれ液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBが設けられ、各色の液体現像剤LDの供給、並びに回収が行われる。液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBについては後に詳述する。
感光体ドラム10は、円柱状の部材であって、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持する。感光体ドラム10は、図12、図13において反時計回りに回転される。帯電器11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる。LED露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機器から入力される画像データに応じて、一様に帯電した感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面には、静電潜像が形成される。
現像装置14は、トナー及び液体のキャリアを含む液体現像剤LDを、感光体ドラム10表面の静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付着させる。これにより、静電潜像はトナー像として現像される。
図14を参照して、現像装置14は、現像容器140、現像ローラー141、供給ローラー142、支持ローラー143、供給ローラーブレード144、現像クリーニングブレード145、現像剤回収装置146及び現像ローラー帯電器147を含む。
現像容器140は、内部にトナー粒子と液体のキャリアとからなる液体現像剤LDの供給を受ける。この液体現像剤LDは、トナーとキャリアとの濃度調整が予め行われた状態で、供給ノズル278から現像容器140内へ供給される。液体現像剤LDは、供給ローラー142と支持ローラー143とのニップ部へ向けて供給され、その余剰分は支持ローラー143の下方へ落下し、現像容器140の底部において貯留される。貯留された液体現像剤LDは、パイプ82を通して液体現像剤循環装置で回収される(図15参照)。
支持ローラー143は現像容器140の略中央に配置され、下方から供給ローラー142に当接されてニップ部を形成する。供給ローラー142は、支持ローラー143の直上ではなく、供給ノズル278から離れる方向の斜め上に配置される。供給ローラー142の周面には、液体現像剤LDを保持するための溝が設けられている。図14に点線矢印で示すように、支持ローラー143は反時計方向に、供給ローラー142は時計方向に回転する。
供給ノズル278から供給される液体現像剤LDは、前記ニップ部の回転方向上流側で一時的に滞留される。液体現像剤LDは、両ローラー142、143の回転に伴って、供給ローラー142の前記溝に保持された状態で上方へ運ばれる。供給ローラーブレード144は、供給ローラー142の周面に圧接され、供給ローラー142に保持される液体現像剤LDの量が所定量になるように。液体現像剤LDを規制する。供給ローラーブレード144により掻き落とされた余剰の液体現像剤LDは、現像容器140の底部で受け取られる。
現像ローラー141は、現像容器140の上部開口部に、供給ローラー142と接するように配置されている。現像ローラー141は供給ローラー142と同方向に回転される(現像ローラー141と供給ローラー142とが当接するニップ部では、現像ローラー141の表面は供給ローラー142の表面と逆方向に移動する)。現像ローラー141の周面に、供給ローラー142の周面に保持された液体現像剤LDが受け渡される。供給ローラー142の液体現像剤の層厚が所定値に規制されているため、現像ローラー141の表面に形成される液体現像剤層の層厚も所定値に保たれる。
現像ローラー帯電器147は、トナーの帯電極性と同極性の帯電電位を、現像ローラー141の表面上に与える。このため、現像ローラー141に担持された現像剤層中のトナーが、現像ローラー141の表面側に移動され、現像効率が向上する。現像ローラー帯電器147は、現像ローラー141のうち、供給ローラー142との接触部よりも回転方向下流側であって、感光体ドラム10との接触部よりも上流側において、現像ローラー141の周面に対向するように配設される。
現像ローラー141は、感光体ドラム10に当接する。感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラー141に印加される現像バイアスとの電位差によって、画像データに応じたトナー像が、感光体ドラム10表面に形成される。
現像クリーニングブレード145は、現像ローラー141の感光体ドラム10との当接部よりも回転方向下流側に接触するように配置され、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラー141の表面の液体現像剤LDを除去する。
現像剤回収装置146は、現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤を回収して、液体現像剤循環装置のパイプ81へ該液体現像剤LDを送り出す。液体現像剤LDは現像クリーニングブレード145の表面に沿って流下するが、液体現像剤LDの粘度が高いため、現像剤回収装置146には液体現像剤LDの送り出しを補助する送り出しローラー(不図示)が備えられている。
一次転写ローラー20は、中間転写ベルト21の裏面に、感光体ドラム10と対向して配置されている。一次転写ローラー20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧が印加される。一次転写ローラー20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21にトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。中間転写ベルト21は、トナー像を担持して、シートまで搬送する像担持体として機能する。
クリーニング装置26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤LDをクリーニングする。クリーニング装置26は、残留現像剤搬送スクリュー261と、クリーニングブレード262とを備えている。残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、クリーニング装置26内に収納された残留現像剤をクリーニング装置の外部に搬送するための部材であって、クリーニング装置26内に配置されている。
クリーニングブレード262は、感光体ドラム10の表面に残留した液体現像剤LDを掻き取るための部材であって、感光体ドラム10の回転軸方向に延びる板状の部材である。クリーニングブレード262は、その端部が感光体ドラム10の表面に摺接しており、感光体ドラム10の回転に伴って感光体ドラム10上に残留した液体現像剤LDを掻き取る。
除電装置13は、除電用の光源を有し、次の周回における画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤LDの除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。
キャリア液除去ローラー30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として、感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラー30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも、二次転写部4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する。
図13に戻って、用紙収納部3は、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、上側本体部1Aの下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙を収納する給紙カセットを有している。
二次転写部4は、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像を用紙に転写する。二次転写部4は、中間転写ベルト21を支持する支持ローラー41と、支持ローラーに対向して配置された二次転写ローラー42とを有している。
定着部5は、用紙にトナー像を定着させる。定着部5は、二次転写部4の上側に配置されている。また、定着部5は、加熱ローラー51と、加熱ローラー51に対向して配置された加圧ローラー52とを有している。
排出部6は、定着部5でトナー像が定着された用紙が排出される。排出部6は、カラープリンタ1の上部に配置されている。用紙搬送部7は、複数の搬送ローラー対を備え、用紙収納部3から二次転写部4や定着部5、排出部6に用紙を搬送する。
図15は、一つの液体現像剤循環装置LYの全体の概略を示すブロック図である。他の液体現像剤循環装置LM、LC、LBも同じ構成である。この液体現像剤循環装置LYは、感光体ドラム10へ液体現像剤LDを供給した後に現像クリーニングブレード145によって現像ローラー141の表面から掻き取られた残留現像剤(トナーとキャリア液との混合物)を循環させ再利用するための装置である。
液体現像剤循環装置LYは、残留現像剤タンク271、現像剤収容容器272、固形分濃度検出装置273、キャリアタンク274、トナータンク275、ワニスタンク279、攪拌装置276、現像剤リザーブタンク277、液体現像剤供給装置278、溶解樹脂濃度検出装置280、液体現像剤分離装置28、複数のポンプP1〜P15及び制御部550を備えている。
残留現像剤タンク271は、現像装置14に第1パイプ81及び第2パイプ82を介して接続され、現像装置14側から回収された液体現像剤LDを収容可能なタンクである。第1パイプ81及び第2パイプ82の途中には、それぞれ第1ポンプP1及び第5ポンプP5が取り付けられている。
感光体ドラム10へトナーを供給した後に、現像クリーニングブレード145によって現像ローラー141の表面から掻き取られた液体現像剤は、第1ポンプP1の駆動により第1パイプ81を通して残留現像剤タンク271に送られる。また、現像容器140内において、供給ローラー142から現像ローラー141へ供給されずに、現像容器140にて貯留された液体現像剤LDは、第5ポンプP5の駆動により第2パイプ82を通して、残留現像剤タンク271に送られる。
現像剤収容容器272は、残留現像剤タンク271と接続されている。現像剤収容容器272は、残留現像剤に、現像装置14で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い現像剤、あるいはキャリア液を加えることで、トナー濃度を適正範囲に調整する。このトナー濃度が調整された液体現像剤LDは、現像装置14に補給される。現像剤収容容器272は、第3パイプ83を介して、残留現像剤タンク271と接続されている。また、この第3パイプ83には、第2ポンプP2が取り付けられている。残留現像剤タンク271内の液体現像剤LDは、第2ポンプP2の駆動により、第3パイプ83を通して現像剤収容容器272に送られる。
固形分濃度検出装置273は、現像剤収容容器272内の液体現像剤LDのトナーの濃度を検出する。固形分濃度検出装置273は、現像剤収容容器272に接続されている環状の第4パイプ84に、接続されている。この環状の第4パイプ84には、第4ポンプP4が取り付けられている。現像剤収容容器272内の液体現像剤LDは、第4ポンプP4の駆動により、第4パイプ84の入口端から固形分濃度検出装置273へ導かれ、その後、第4パイプ84の出口端から現像剤収容容器272に戻される。
溶解樹脂濃度検出装置280は、現像剤収容容器272内の液体現像剤LD中の溶解樹脂濃度CRを検出する。現像剤収容容器272に接続されている環状の第12パイプ892に、溶解樹脂濃度検出装置280が接続されている。この環状の第12パイプ892には、第15ポンプP15が取り付けられている。現像剤収容容器272内の液体現像剤LDは、第15ポンプP15の駆動により第12パイプ892の入口端から溶解樹脂濃度検出装置280へ導かれ、その後、第12パイプ892の出口端から現像剤収容容器272に戻される。該溶解樹脂濃度検出装置280には、本発明の実施形態に係る検出装置本体部280Cを備えた溶解樹脂濃度検出装置280が適用される。すなわち、前述の検出装置本体部280Cの排出口653Eおよび注入口653Fに、環状の第12パイプ892が接続される。
キャリアタンク274は、キャリア液を収納する。固形分濃度検出装置273により、現像剤収容容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも高いと判定された場合に、キャリアタンク274から現像剤収容容器272内にキャリア液が供給され、容器272内の液体現像剤のトナー濃度が下げられる。キャリアタンク274と現像剤収容容器272とは、第5パイプ85で接続されており、前記キャリア液の供給は、第5パイプ85の途中に設けられた第3ポンプP3の駆動によって実行される。
トナータンク275は、現像装置14で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い液体現像剤LDを収納する。固形分濃度検出装置273により、現像剤収容容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも低いと判定された場合に、トナータンク275から現像剤収容容器272内にトナー濃度が高い液体現像剤LDが供給され、容器272内の液体現像剤LDのトナー濃度が上げられる。トナータンク275と現像剤収容容器272とは第6パイプ86で接続されており、前記液体現像剤LDの供給は、第6パイプ86の途中に設けられた第8ポンプP8の駆動によって実行される。
ワニスタンク279は、現像装置14で用いられる液体現像剤LDよりも溶解樹脂濃度CRが高い液体現像剤LDを収納する。溶解樹脂濃度検出装置280により、現像剤収容容器272内の溶解樹脂濃度CRが適正範囲よりも低いと判定された場合に、ワニスタンク279から現像剤収容容器272内に、溶解樹脂濃度CRが高い液体現像剤LDが、供給される。この結果、現像剤収容容器272内の液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRが上げられる。ワニスタンク279と現像剤収容容器272とは第11パイプ891で接続されており、前記液体現像剤LDの供給は、第11パイプ891の途中に設けられた第13ポンプP13の駆動によって実行される。
攪拌装置276は、現像剤収容容器272内の液体現像剤を攪拌するための部材である。この攪拌の目的は、濃度調整のために現像剤収容容器272内へ導入されたトナー又はキャリア液が、現像剤収容容器272内の既存の液体現像剤と均一に混ざるようにするため、また、現像剤収容容器272内に収容されている液体現像剤LDにおいて凝集することがあるトナーを再分散させることである。攪拌装置276は、回転軸と、この回転軸の先端に取り付けられた攪拌羽根とを含む。前記回転軸には液面検知部材276aが同軸で組み付けられている。この液面検知部材276aは図略のモータで駆動され、液面検知部材276aが、液体現像剤LDの液面と接触することに伴う前記モータの負荷変化に基づいて、液体現像剤量が検出される。
現像剤リザーブタンク277は、現像装置14に補給する液体現像剤LDを収納するタンクである。現像剤リザーブタンク277は、現像剤収容容器272と第7パイプ871で接続されている。現像剤リザーブタンク277は、第7パイプ871の途中に設けられた第6ポンプP6の駆動によって、現像剤収容容器272から液体現像剤LDの供給を受ける。さらに現像剤リザーブタンク277は、キャリアタンク274と第1直結管路910で、また、トナータンク275と第2直結管路920でそれぞれ接続されている。さらに、現像剤リザーブタンク277は、ワニスタンク279と第3直結管路930で接続されている。第1、第2、第3直結管路910、920、930には第11ポンプP11、第12ポンプP12、第14ポンプP14がそれぞれ配置され、各タンクからキャリア、トナーおよび溶解樹脂を直接的に現像剤リザーブタンク277へ供給可能とされている。これら第1、第2、第3直結管路910、920、930からのキャリア、トナー及び溶解樹脂供給系統は、未だ回収液体現像剤が発生していないカラープリンタ1の使用開始時等に、既知の配合比に従って速やかに液体現像剤LDを生成する場合に活用される。
供給ノズル278は、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤LDを、現像装置14(現像容器140)へ供給する。供給ノズル278と現像剤リザーブタンク277とは、第8パイプ872で接続されている。前記液体現像剤LDの供給は、第8パイプ872に取り付けられた第7ポンプP7の駆動によって実行される。
更に、液体現像剤循環装置LYは、キャリアタンク274から現像剤リザーブタンク277へ延びる直結管路910と、トナータンク275から現像剤リザーブタンク277へ延びる直結管路920と、を備える。これら直結管路910、920は、液体現像剤LDの循環が行なわれる前に、所定量のキャリア及びトナーを現像剤リザーブタンク277に供給するために用いられる。これにより、現像工程を素早く開始させることが可能となる。
なお、図示は省略しているが、残留現像剤タンク271、キャリアタンク274、トナータンク275及び現像剤リザーブタンク277、ワニスタンク279の適所には、これらタンク内の液面高さを検知するための液面検出装置が備えられている。
液体現像剤分離装置28は、クリーニング装置26で回収された残留現像剤からトナーと、樹脂材料Rが溶解されたキャリア液Cと、を分離し、トナーとキャリア液Cとを別々に抽出する。クリーニング装置26および液体現像剤分離装置28は、第9パイプ881によって接続されている。第9パイプ881には、第9ポンプP9が取り付けられている。第9ポンプP9の駆動により、クリーニング装置26内の残留現像剤は、液体現像剤分離装置28に送られる。また、液体現像剤分離装置28およびキャリアタンク274は、第10パイプ882によって接続されている。第10パイプ882には、第10ポンプP10が取り付けられている。液体現像剤分離装置28で抽出されたキャリア液Cは、第10ポンプP10の駆動によってキャリアタンク274へ送られる。
制御部550は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、各制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算処理や制御処理などのデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)などを含む。制御部550は、第1〜第12ポンプP1〜P15の駆動、液面検知部材276aを動作させるモータの駆動等を制御する。
続いて、カラープリンタ1の動作を説明する。カラープリンタ1に接続されたパーソナルコンピュータ(図略)からの画像形成指示を受けたカラープリンタ1は、作成指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY,FM、FC、FBを用いて形成する。具体的には、感光体ドラム10上に画像データに基づいた静電潜像が形成され、この静電潜像に現像装置14からトナーが供給される。このようにして各画像形成ユニットFY,FM,FC,FBで形成された画像は中間転写ベルト21に転写されて、中間転写ベルト21上で重ね合わされてカラートナー像となる。
このカラートナー像の形成と同期して、用紙収納部3に収容されている用紙が図示しない給紙装置によって、用紙収納部3から一枚ずつ取り出され、用紙搬送部7に沿って搬送される。そして、用紙は二次転写部4に送り込まれ、二次転写部4で中間転写ベルト21上のカラートナー像が該用紙に二次転写される。
カラートナー像が転写された用紙は、さらに定着部5に搬送され、カラートナー像が、熱と圧力により用紙に定着される。さらに用紙は、排出部6によってカラープリンタ1の外部に排紙される。二次転写後、中間転写ベルト21に残留したトナーは、中間転写ベルト21のクリーニング部22によって中間転写ベルト21から除去される。
画像形成動作時に感光体ドラム10に供給されずに現像ローラー141上に残留した液体現像剤LDは、現像クリーニングブレード145によって掻き取られ、第1パイプ81を介して残留現像剤タンク271に回収される。また、供給ローラー142から現像ローラー141へ供給されずに現像容器140にて回収された液体現像剤LDも、第2パイプ82を通して残留現像剤タンク271に回収される。さらに、クリーニング装置26で回収された残留現像剤から液体現像剤分離装置28にて抽出されたキャリア液が、キャリアタンク274へ回収される。このような液体循環を実行させるため、第1、第5、第9、第10ポンプP1、P5、P9、P10は、制御部550によって駆動制御される。
現像剤収容容器272内の液体現像剤量が無くなると、制御部550は、第2ポンプP2を駆動させる。制御部550は、残留現像剤タンク271に対して、現像剤収容容器272に残留現像剤を供給させる。現像剤収容容器272が残留現像剤で満たされると、固形分濃度検出装置273により液体現像剤LDのトナー濃度が検出される。この検出結果に応じて、制御部550は、第3ポンプP3又は第8ポンプP8を駆動させて、必要量のキャリア液又は高濃度液体現像剤を現像剤収容容器272へ供給させる。その後、再度、固形分濃度検出装置273により液体現像剤LDのトナー濃度が検出される。そして、トナー濃度が適正範囲ならば、必要に応じて液体現像剤LDは、現像剤リザーブタンク277へ供給される。また、同様に、現像剤収容容器272中の液体現像剤LDの溶解樹脂濃度CRが、溶解樹脂濃度検出装置280によって測定された後、必要量の樹脂成分Rが、制御部550によって、調整される。
液体現像剤分離装置28の内部では、キャリア液とトナー粒子との分離動作が行われる。すなわち、第9パイプ881を通して、回収された液体現像剤が液槽510へ導入される。キャリア液回収ローラー540で分離されたキャリア液は、第10パイプ882を通してキャリアタンク274へ送られる。一方、トナー回収ローラー530から回収されたトナーは、廃棄タンクに導かれる。このような液体現像剤分離装置28を備えたカラープリンタ1によれば、トナーとキャリア液との分離速度を高速化することができるので、高速印刷処理に対応することが可能となる。
<液体現像剤について>
次に、上記の実施形態において、溶解樹脂濃度検出装置280の測定対象として使用される液体現像剤LDについて説明する。前述のとおり、液体現像剤LDは、電気絶縁性のキャリア液Cと、キャリア液C中に分散された着色粒子Pと、を含む。また、液体現像剤LDは、樹脂材料Rを含有する。上記の画像形成装置に使用される上で、好ましくは、液体現像剤LDは、測定温度25℃において、30〜400mPa・sの粘度を有する。より好ましくは、液体現像剤の粘度(測定温度25℃)は、40〜300mPa・sであり、さらに好ましくは50〜250mPa・sである。
<キャリア液>
液体キャリアの役割を果たす電気絶縁性のキャリア液Cは、液体現像剤LDの電気絶縁性を高める。電気絶縁性のキャリア液Cとしては、例えば、25℃における体積抵抗が1012Ω・cm以上(換言すれば導電率が1.0pS/cm以下)の電気絶縁性有機溶剤が好ましい。さらに前記物性に加えて、後述の樹脂材料Rを溶解させることができるもの(樹脂材料Rの溶解度が相対的に高いもの)が好ましく用いられる。
また、液体現像剤LDの全体の粘度(測定温度25℃)が30〜400mPa・sとなるように、キャリア液Cの粘度・種類・配合量を適宜調整・選択される。液体現像剤LDの粘度は、キャリア液Cとして用いられる有機溶剤と後述される樹脂材料Rとの組み合わせによっても左右される。したがって、所望の液体現像剤LDの粘度及び選択される樹脂材料Rの種類に合わせて有機溶剤の種類及び配合量が適宜決定される。
このような電気絶縁性の有機溶剤としては、例えば、常温で液体の脂肪族炭化水素や植物油が挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、液状のn−パラフィン系炭化水素、iso−パラフィン系炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、分岐鎖を有する脂肪族炭化水素又はそれらの混合物が好ましい。例えば、脂肪族炭化水素として、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、シクロヘキサン、パークロロエチレン、トリクロロエタンが用いられる。環境対応(VOC対策)の観点から、不揮発性の有機溶剤及び揮発性が相対的に低い有機溶剤(例えば、沸点が200℃以上のもの)が好ましく、例えば、炭素数が16以上の脂肪族炭化水素を比較的多く含む流動パラフィンが好ましく用いられる。
上記の実施形態では、樹脂材料Rがキャリア液Cに溶解する限り、キャリア液Cとして、樹脂材料Rの溶解度が相対的に高いもの(樹脂材料Rの良溶媒)のみを用いてもよく、又は、樹脂材料Rの溶解度が相対的に低いもの(樹脂材料Rの貧溶媒)を混合して用いてもよい。
キャリア液C中の上述の油類の含有量は、液体現像剤LD中に含まれる樹脂材料Rの種類や含有量に依存する。好適な油類の含有量として、例えば、70〜95質量%が挙げられる。70質量%未満では、樹脂材料Rをキャリア液Cに良好に溶解させることが困難となる。
上記の実施形態では、液体現像剤LDの導電率は、例えば、200pS/cm以下であることが好ましい。キャリア液Cは、単体では、絶縁溶液であるが、着色粒子である顔料や分散剤などが分散されることで、液体現像剤LDは、所定の導電率を有する。したがって、トール油脂肪酸といった油類に樹脂材料Rを溶解させることにより得られた溶液(以下、「樹脂溶液」と称される)に高電気抵抗の脂肪族炭化水素を混合することにより、液体現像剤LDの導電率が、例えば200pS/cm以下に調整されることが好ましい。
<着色粒子>
上記の実施形態では、トナーとしての着色粒子Pには、顔料そのものが用いられる。尚、上述の画像形成ユニットFMに用いられる着色粒子Pは、マゼンタ色の色相を有する。上述の画像形成ユニットFCに用いられる着色粒子Pは、シアン色の色相を有する。上述の画像形成ユニットFYに用いられる着色粒子Pは、イエロー色の色相を有する。上述の画像形成ユニットFBに用いられる着色粒子Pは、ブラック色の色相を有する。
上記の実施形態における顔料としては、例えば、従来公知の有機顔料や無機顔料が特に限定することなく用いられる。
例えば、黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラックといったアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。青色顔料としては、C.I.Pigment Blue 15:3、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキが挙げられる。
液体現像剤LD中の顔料の含有量は、1〜30質量%が好ましい。より好ましくは、3質量%以上であり、さらに好ましくは、5質量%以上である。また、より好ましくは、20質量%以下であり、さらに好ましくは、10質量%以下である。
液体現像剤LD中の顔料の平均粒子径すなわち体積基準の中位径(D50)は、0.1〜1.0μmが好ましい。0.1μm未満の平均粒子径を有する顔料は、例えば、画像濃度の低下を引き起こす。1.0μmを超える平均粒子径を有する顔料は、例えば、定着性の低下を引き起こす。ここで、体積基準の中位径(D50)とは、一般に、粒度分布が求められている1群の粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたときの累積カーブが50%となる点の粒子径をいう。
<高分子化合物(樹脂材料)>
上記の実施形態に係る液体現像剤LDに含有される樹脂材料Rは、有機高分子化合物である。キャリア液Cに溶解性を有する有機高分子化合物として、液体現像剤の粘度を上げ、且つ、画像形成におけるにじみ発生を抑制できる材料が選択される。有機高分子化合物として、環状オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、セルロースエーテル、ポリビニルブチラールが例示される。好ましくは、有機高分子化合物として、スチレン系エラストマーが用いられる。樹脂材料Rとしては、単一種の有機高分子化合物が用いられてもよいし、或いは、複数種の有機高分子化合物が用いられてもよい。
そして、上記の実施形態に係る液体現像剤LDでは、有機高分子化合物は、キャリア液Cに溶解される。キャリア液Cに溶解している有機高分子化合物は、ゲルの状態であってもよい。有機高分子化合物の種類や分子量によっては、キャリア液C中で相互に絡み合ったゲル状の有機高分子化合物が得られる。ゲル状の有機高分子化合物は、比較的低い流動性を有する。例えば、有機高分子化合物の濃度が高い場合、有機高分子化合物とキャリア液Cとの親和性が低い場合、或いは、気温が低い場合には、ゲル状の有機高分子化合物が得られやすい。一方、キャリア液C中での相互の絡み合いが少ない有機高分子化合物は、比較的流動性が高い溶液となる。
液体現像剤LD中の有機高分子化合物の含有量は、有機高分子化合物の種類応じて、適切に決定される。有機高分子化合物の含有量は、例えば、1〜10質量%であることが好ましい。
有機高分子化合物の含有量が1質量%未満であると、液体現像剤LDにおける十分な粘度が得られず、画像形成におけるにじみ発生が十分に抑制できない可能性がある。また、有機高分子化合物の含有量が10質量%を超えると、シートSの表面上に留まる有機高分子化合物による被膜の量が多くなり過ぎ、被膜の乾燥性が過度に低下する。この結果、被膜の粘着性(タック性)が過度に大きくなり、画像の耐擦過性が過度に低下する可能性がある。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、検出装置本体部280Cにおいて、QCMセンサー60の上方を覆い、QCMセンサー60の浸漬深さを一定に保持する規制部材として、上蓋652の上蓋底面部652Fを用いて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、上蓋底面部652Fとは別の部材が、QCMセンサー60の上方に、QCMセンサー60を覆うように配置される構成であってもよい。
(2)また、上記の検出装置本体部280Cでは、上蓋652の上方に回路ユニット64が配置される態様にて説明したが、これに限定されるものではない。回路ユニット64内に配設される発振回路641が、可及的に小さく設計されることで、回路ユニット64は、上蓋652の上蓋内壁部652Bが形成する空間に収容されてもよい。この場合、第1リード部63aおよび第2リード部63bの長さを短くすることができ、QCMセンサー60と回路ユニット64内の発振回路641との間において、電気的なノイズが混入することが抑止される。
(3)また、上記の実施形態では、液体現像剤循環装置LYにおいて、固形分濃度検出装置273および溶解樹脂濃度検出装置280は、それぞれ異なる環状のパイプを介して、現像剤収容容器272の液体現像剤LDの濃度を測定するものとして説明した。しかし、これに限定されるものではなく、固形分濃度検出装置273および溶解樹脂濃度検出装置280は、同一のパイプを介して現像剤収容容器272から採取された液体現像剤LDを測定対象とし、それぞれ固形分濃度および溶解樹脂濃度を検出する態様であってもよい。