JP5656541B2 - 銀含有樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
消臭機能に関しては、例えば、活性炭や、多孔質ゼオライトやセピオライト等の無機フィラーや、或いは光触媒作用を応用した酸化チタン等が、広範な臭気成分を消臭可能であることが知られている(特許文献1)。しかしながら上記無機フィラーによる消臭方法は、臭気成分を多孔性物質に吸着させることにより除去する方法であるため、吸着量が一定量を超えると効果がなくなるという問題がある。一方、光触媒作用により臭気成分を酸化分解して除去する酸化チタン等においては光源が必須であることに加え、臭気成分のみならず触媒と接している担体も酸化劣化されることから、特別な技術上の対策が必要とするといった問題を有する。また、金属の超微粒子を用いた消臭剤も既に提案されており、例えば、金属イオン含有液を還元して得られた金属超微粒子コロイド液を有効成分とする消臭剤が提案されている(特許文献2)。かかる金属の超微粒子のコロイドは、高い消臭性に加え、抗菌性をも有することが知られているが、凝集性が非常に強く、安定した状態で長期間保存することや、熱可塑性樹脂、塗料成分等のマトリクス中へ、粒子同士の凝集を防止し、安定に分散させるのは極めて困難である。
また銀超微粒子含有樹脂組成物は、メチルメルカプタンや硫化水素、硫化メチル等の硫黄系の臭気成分に対して非常に高い消臭効果を有するが、ジメチルアミンやトリメチルアミン等の窒素系の臭気成分に対しては、消臭効果が充分ではない。従って多様な悪臭を効率よく消臭する為には改善の余地がある。
本発明の他の目的は、硫黄系の臭気成分のみならず、窒素系の臭気成分をも消臭可能な銀含有樹脂組成物を提供することである。
本発明の更に他の目的は、低温での成形・塗膜形成が可能で、成形性に優れた銀含有樹脂組成物を提供することである。
本発明の銀含有樹脂成形体においては、
1.ジカルボン酸銀が、樹脂100重量部当り0.001乃至5重量部の量で配合されていること、
2.ジカルボン酸が、炭素数3以上のジカルボン酸であること、特に、コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ドデカン二酸,オクタンデカン二酸の何れかである請求項1乃至4の何れかであること、
3.樹脂分が熱可塑性樹脂であること、
が好適である。
本発明によればまた、塗料成分に、コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ドデカン二酸,オクタンデカン二酸の何れかの銀塩の少なくとも1種であるジカルボン酸銀、及び該ジカルボン酸銀に含まれる銀1モル当り0.1モル乃至10モルの量のジカルボン酸、が配合されていることを特徴とする銀含有塗料組成物が提供される。
本発明によれば更にまた、熱可塑性樹脂に、炭素数4以上12以下のジカルボン酸銀、及び該ジカルボン酸銀に含まれる銀1モル当り0.1モル乃至10モルの量のジカルボン酸を配合し、熱可塑性樹脂の融点以上且つジカルボン酸銀の熱分解開始温度未満の温度で加熱混合することにより、ジカルボン酸銀及び遊離カルボン酸を熱可塑性樹脂中に分散させて成ることを特徴とする銀含有樹脂成形体の製造方法が提供される。
またジカルボン酸を更に配合することにより、メチルメルカプタン等の硫黄系の臭気成分のみならず、ジメチルアミン等の窒素系の臭気成分についても優れた消臭性能を有することが可能になる。
更に、従来の銀超微粒子含有樹脂組成物に比して、少ない含有量の銀で優れた抗菌性能を発現することが可能になり、抗菌性が向上している。
更にまた本発明の銀含有分散液においては、抗菌効果及び消臭効果に優れた分散液として提供できるため、繊維製品等に噴霧、塗布、含浸等させて用いる他、除菌及び抗菌剤として直接使用することも可能になる。
本発明の銀含有樹脂組成物の製造方法においては、熱可塑性樹脂にモノカルボン酸銀と共にジカルボン酸を配合し、ジカルボン酸銀の熱分解開始温度未満の温度で加熱混合することにより、低温成形で成形性よく、優れた抗菌性、及び硫黄系の臭気成分のみならず窒素系の臭気成分をも消臭可能な消臭性をも有する銀含有樹脂組成物を提供することが可能になった。
すなわち、熱可塑性樹脂にジカルボン酸銀を配合し、ジカルボン酸銀の熱分解開始温度未満の温度で加熱混合し、成形して成る試験片(実施例1〜4)、塗料成分にジカルボン酸銀を配合し、ジカルボン酸銀の熱分解開始温度未満の温度で乾燥することにより形成した塗膜を有するフィルム(実施例7)、及びシリコーン樹脂にジカルボン酸銀を配合してなる分散液を塗布乾燥して成るフィルム(実施例9)においては、プラズモン吸収がないことから明らかなように銀超微粒子形成に伴う着色がなく、また抗菌効果及びメチルメルカプタンの消臭効果に顕著に優れていることが明らかである。またジカルボン酸銀のみならずジカルボン酸を配合し、ジカルボン酸銀の熱分解開始温度未満の温度で加熱混合し、成形して成る試験片(実施例5〜6)、及び塗料成分にジカルボン酸銀及びジカルボン酸を配合し、ジカルボン酸銀の熱分解開始温度未満の温度で乾燥することにより形成した塗膜を有するフィルム(実施例8)においては、抗菌効果及びメチルメルカプタンの消臭効果に顕著に優れていることは勿論、ジメチルアミンに対してもメチルメルカプタンと同程度の消臭効果を有していることが明らかである。
これに対して、熱可塑性樹脂にジカルボン酸銀を配合し、ジカルボン酸銀の熱分解開始温度以上の温度で加熱混合し、成形して成る試験片(比較例1)では、抗菌効果及び消臭効果は優れているとしても、プラズモン吸収があり、着色されていることが明らかであり(比較例3)、本発明において、ジカルボン酸銀、及び必要によりジカルボン酸を配合し、ジカルボン酸銀の熱分解開始温度未満の温度で加熱混合することが、抗菌性能、消臭性能、更には着色のない樹脂組成物を得る上で重要であることが明らかである。
尚、本発明において「無色」とは樹脂組成物がプラズモン吸収に起因する着色がないことを意味するものであり、用いる樹脂及び製造条件等に起因する着色まで排除するものではない。
本発明に用いるジカルボン酸銀としては、脂肪族ジカルボン酸の銀塩を用いることが望まし、
脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、オクタデカン二酸等を挙げることができ、特にコハク酸、グルタル酸、アジピン酸を好適に使用することができる。
ジカルボン酸銀は、一種類のみを用いてもよいし、複数種を組み合わせで使用することもできる。
ジカルボン酸銀に加えて更に配合するジカルボン酸は、上述した中から選択することができ、ジカルボン酸銀と同種のものであってもよいし、異なるジカルボン酸を組み合わせてもよい。
本発明において、モノカルボン酸銀及びジカルボン酸を配合する熱可塑性樹脂としては、溶融成形が可能な熱可塑性樹脂であれば従来公知のものをすべて使用でき、例えば、低−,中−,高−密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体等のオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタエート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。
本発明においては、臭気成分の吸着を容易に行うことができ、消臭効果を向上させるという観点から、特に酸素透過係数が1.0×10−4cc・m/m2・day・atm以上の樹脂であることが好ましく、特にポリエチレン、ポリプロピレンを用いることが好適である。
本発明の銀含有樹脂組成物は、前述した通り、熱可塑性樹脂、ジカルボン酸銀、更に必要によりジカルボン酸を配合し、これを加熱混合して成り、ジカルボン酸銀及び遊離カルボン酸が熱可塑性樹脂中に分散して成るものである。
本発明において、ジカルボン酸銀は、熱可塑性樹脂100重量部当たり、0.001乃至5重量部、特に0.01乃至5重量部の量で配合することが好ましい。上記範囲よりもジカルボン酸銀の配合量が少ない場合には、上記範囲にある場合に比して抗菌効果及び消臭効果が劣るようになり、一方上記範囲よりも多いと成形性に劣るようになる。
また、窒素系臭気成分の消臭効果を高めるために、ジカルボン酸を更に配合する場合には、ジカルボン酸は、ジカルボン酸銀に含まれる銀1モル当り0.1乃至10モル、特に1乃至10モルの量で配合されていることが好ましい。上記範囲よりもジカルボン酸の量が少ない場合には、上記範囲にある場合に比してジカルボン酸を配合した場合の効果である窒素系の臭気成分の消臭効果が弱くなるおそれがあり、一方上記範囲よりもジカルボン酸の量が多いと成形性に劣るようになる。
本発明の銀含有樹脂組成物においては、その用途に応じて、それ自体公知の各種配合剤、例えば、充填剤、可塑剤、レベリング剤、増粘剤、減粘剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従って配合することができる。
銀含有樹脂組成物の熱処理条件は、用いる熱可塑性樹脂、モノカルボン酸銀及びジカルボン酸の種類によって一概に規定できないが、本発明においては銀超微粒子が形成されないことが樹脂組成物を無色に保つ上で重要であることから、ジノカルボン酸銀の熱分解しない温度、すなわち熱分解開始温度未満且つ熱可塑性樹脂の融点以上の温度であることが重要である。
尚、ジカルボン酸銀は熱分解開始温度未満の温度であっても、押出機の設定温度以外にスクリューによる剪断発熱或いは滞留時間等による影響を受けるため、滞留時間、加熱時間、スクリュー回転数等の加工条件を調整して熱処理を行うことが望ましい。
本発明の吸着性樹脂組成物から得られた樹脂成形品は、抗菌効果及び硫黄系臭気成分に対する消臭効果に優れていると共に、無色の成形体を得ることが可能である。またジカルボン酸を配合することにより、硫黄系消臭成分のみならず、ジメチルアミン等の窒素系の臭気成分に対しても優れた消臭効果を発現することが可能になる。
本発明の銀含有樹脂組成物としては、塗膜を形成可能な塗料組成物とすることができる。かかる塗料組成物を基体に塗布焼付けすることにより、基体上に抗菌性及び消臭性を有する塗膜を形成することが可能となる。
ジカルボン酸銀の配合量は、塗料成分(樹脂分)100重量部当たり0.001乃至5重量部、特に0.01乃至5重量部の量で配合されていることが好適である。上記範囲よりも少ないと十分な抗菌効果及び消臭効果を得ることができず、一方上記範囲よりも多いと塗膜形成性が低下する恐れがあるので好ましくない。
また窒素系臭気成分の消臭効果を高めるために、ジカルボン酸を更に配合する場合には、ジカルボン酸の配合量は、上述した樹脂組成物の場合と同様に、モノカルボン酸銀に含まれる銀1モル当り0.1モル乃至10モル、特に1乃至10モルの量で配合されていることが好ましい。
本発明の塗料組成物から得られた塗膜は、優れた抗菌効果と共に、メチルメルカプタン等の硫黄系臭気成分に対して優れた消臭効果を有している。しかも実質的に無色の塗膜を形成することが可能である。またジカルボン酸が更に配合されていることにより、硫黄系臭気成分のみならず、ジメチルアミン等の窒素系の臭気成分に対しても優れた消臭効果を有すると共に抗菌効果にも優れており、
本発明の銀含有分散液は、分散媒にジカルボン酸銀、及び必要によりジカルボン酸を配合し、加熱混合して成るものである。
本発明の銀含有分散液に用いる分散媒としては、多価アルコールを好適に用いることができる。多価アルコールは用いる脂肪酸金属塩が分散媒中で熱分解する温度よりも高い沸点を有するものであることが好ましく、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロールを挙げることができるが、特にポリエチレングリコールを好適に用いることができる。
ポリエチレングリコールは、平均分子量200乃至20000、特に400乃至10000の範囲のものを好適に使用することができ、また異なる分子量のものを複数種混合して用いることもできる。
また本発明の銀含有分散液においては、分散媒として熱硬化性樹脂の熱硬化前のプレポリマーを用いることもできる。このような熱硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができるが、特にシリコーン樹脂を好適に使用することができる。
この銀含有分散液に硬化剤を配合して、加熱混合して成形することにより、成形体を生成することができる。
またジカルボン酸の配合量は、上述した樹脂組成物の場合と同様に、ジカルボン酸銀に含まれる銀1モル当り0.1モル乃至10モル、特に1乃至10モルの量で配合されていることが好ましい。
本発明の銀含有分散液においては、ジカルボン酸銀及びジカルボン酸に加えて更に、保護剤として酸化防止剤を配合することが好ましく、酸化防止剤を配合することにより、加熱時の熱劣化を防止することが可能となる。
用いる酸化防止剤としては、これに限定されないが、トコフェロール (ビタミンE)類、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、エチレンビスステアリン酸アミド等従来より公知のものを挙げることができるが、特にIrganox1010(登録商標:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を好適に使用することができる。酸化防止剤は、分散媒中に0.01乃至20重量%の量で配合することが好ましい。
希釈に用いる溶媒としては、これに限定されないが、精製水、イオン交換水等の水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール;メタノール変性、ベンゾール変性、トリオール変性、メチルエチルケトン変性、安息香酸デナトニウム変性、香料変性等の一般変性アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、クロロホルム、炭酸ジエチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン、工業用エチルエーテル等の変性アルコール;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコール系溶剤等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で用いても又2種以上併用しても良い。
本発明においては、特に水又はエタノール等の沸点100℃以下の低沸点溶媒を好適に使用することができ、特に1乃至30%の濃度のエタノール水溶液を好適に使用できる。
低密度ポリエチレンに対してコハク酸銀を0.5wt%となるように混合し、180℃に温度設定した射出成形機(JSW社製)によって、大きさ2.4mm×2.9mm×厚み3.0mmの無色の試験片を得た。後述する手法によって銀超微粒子の生成の確認、試験片のメチルメルカプタンの消臭率、ジメチルアミンの消臭率、及び抗菌効果を評価した。
実施例1のコハク酸銀をグルタル酸銀に変更した以外は、全て実施例1と同様に試験片を作成し、評価を行なった。
実施例1のコハク酸銀をアジピン酸銀に変更した以外は、全て実施例1と同様に試験片を作成し、評価を行なった。
実施例1のコハク酸銀をドデカン二酸銀に変更した以外は、全て実施例1と同様に試験片を作成し、評価を行なった。
実施例1に、さらにアジピン酸を0.5wt%配合した以外は、全て実施例1と同様に試験片を作成し、評価を行なった。
実施例1のコハク酸銀をグルタル酸銀に変更し、ドデカン二酸を0.5wt%配合した以外は、全て実施例1と同様に試験片を作成し、評価を行なった。
コハク酸銀をアジピン酸銀に変更し、かつ成形加工温度を180℃から300℃に変更した以外は、全て実施例1と同様に試験片を作成し、評価を行なった。
高分子量ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂(レゾール型)溶液、硬化触媒(リン酸)、アジピン酸銀とを47:47:3.5:2.5の樹脂分比率で攪拌混合し、混合溶液(シクロヘキサノン:MIBK:MEK=1:1:1)で樹脂塗料分濃度が20%となるようにプライマーを調整した。厚み50μmの2軸配向PET/I(テレフタル酸/イソフタル酸=88/12)共重合ポリエステルフィルムに、プライマーを乾燥重量で0.6g/m2となるように塗布、180℃で乾燥しプライマー塗布フィルムを作成し、実施例1記載の評価を行なった。サンプルはフィルムを5cm角に切り取って使用した。
実施例7において、更にアジピン酸を配合し、高分子量ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂(レゾール型)溶液、硬化触媒(リン酸)、アジピン酸銀とを46:46:3:2.5:2.5の樹脂分比率とした以外は、全て実施例7と同様にして試験片を作成し、評価を行なった。
アルコール縮合型、2液硬化型シリコーン樹脂(KE−108、信越化学工業)に対し、アジピン酸銀0.5wt%を添加して混合した。さらに硬化剤CAT−108を5wt%添加して混合し、PETフィルムに厚み200μmのアプリケーターで製膜し、室温で72時間硬化させてシリコーン樹脂の薄膜を作製した。このフィルムを5cm角に切り取り、実施例1記載の評価を行った。
各実施例、及び比較例で得た試験片について、紫外-可視分光光度計(日本分光製)を用いて拡散反射吸収スペクトルを測定することにより、銀超微粒子の生成を確認した。即ち、前述した通り、粒子径が100nm以下の銀超微粒子は自由電子が光電場による振動を受ける為に、波長420nm付近にプラズモン吸収を生じることが知られている。故に、拡散反射吸収スペクトルの波長420nm付近に吸収を有する試験片中には、粒子径100nm以下の銀超微粒子を含有しているといえる。そこで、プラズモン吸収の有無を銀超微粒子の生成の有無として、評価結果を表1に示した。
[消臭前メチルメルカプタン量の測定]
口部をゴム栓で密封した窒素ガス置換した500mlガラス製瓶内に、悪臭物質メチルメルカプタン5μlをマイクロシリンジにて注入し、室温(25℃)で1日放置した。1日放置後、瓶中へガステック製検知管を挿入し残存メチルメルカプタン量を測定し消臭前のメチルメルカプタン量(A)とした。
[消臭後メチルメルカプタン量の測定]
得られた試験片を、窒素ガス置換した500mlガラス製瓶内に入れてゴム栓で密封した後、前記瓶内に悪臭物質メチルメルカプタン5μlをマイクロシリンジにて注入し、室温(25℃)で1日放置した。1日放置後、瓶中へガステック製検知管を挿入し残存メチルメルカプタン量を測定し、消臭後メチルメルカプタン量(B)とした。
[メチルメルカプタン消臭率の算出]
前記消臭前メチルメルカプタン量(A)から消臭後メチルメルカプタン量(B)を引いた値を消臭前メチルメルカプタン量(A)で割り百分率で表した値を消臭率とした。消臭率については下記した通り5段階評価にまとめ、表1に示した。
消臭率評価 消臭率
A 100〜80%
B 80〜60%
C 60〜40%
D 40〜20%
E 20〜0%
[消臭前ジメチルアミン量の測定]
口部をゴム栓で密封した窒素ガス置換した500mlガラス製瓶内に、悪臭物質ジメチルアミン5μlをマイクロシリンジにて注入し、室温(25℃)で1日放置した。1日放置後、瓶中へガステック製検知管を挿入し残存ジメチルアミン量を測定し消臭前ジメチルアミン量(A)とした。
[消臭後ジメチルアミン量の測定]
得られた試験片を、窒素ガス置換した500mlガラス製瓶内に入れてゴム栓で密封した後、前記瓶内に悪臭物質ジメチルアミン5μlをマイクロシリンジにて注入し、室温(25℃)で1日放置した。1日放置後、瓶中へガステック製検知管を挿入し残存メチルメルカプタン量を測定し、消臭後ジメチルアミン量(B)とした。
[ジメチルアミン消臭率の算出]
前記消臭前ジメチルアミン量(A)から消臭後ジメチルアミン量(B)を引いた値を消臭前ジメチルアミン量(A)で割り百分率で表した値を消臭率とした。消臭率については下記した通り5段階評価にまとめ、表1に示した。
消臭率評価 消臭率
A 100〜80%
B 80〜60%
C 60〜40%
D 40〜20%
E 20〜0%
抗菌効果の確認はJIS Z 2801により行なった。菌種は大腸菌(escherichia coli)を用いた。カルボン酸銀、カルボン酸いずれも添加していない試験片の培養後菌数を各実施例、及び比較例の試験片の培養後菌数を除した数の対数値を抗菌活性値とし、抗菌効果は抗菌活性値が2.0以上のものを○、2.0未満の場合を×とした。なお、抗菌効果の確認について黄色ブドウ球菌(S.aureus)には行なっていないが、大腸菌(escherichia coli)と同様の抗菌効果があるものと推察される。
Claims (8)
- 樹脂に、コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ドデカン二酸,オクタンデカン二酸の何れかの銀塩の少なくとも1種であるジカルボン酸銀、及び該ジカルボン酸銀に含まれる銀1モル当り0.1モル乃至10モルの量のジカルボン酸、を配合し、加熱混合して成り、前記ジカルボン酸銀から生成される銀超微粒子に由来のプラズモン吸収がないことを特徴とする銀含有樹脂成形体。
- 前記ジカルボン酸銀が、樹脂100重量部当り0.001乃至5重量部の量で配合されている請求項1記載の銀含有樹脂成形体。
- 前記ジカルボン酸が、炭素数3以上のジカルボン酸である請求項1又は2記載の銀含有樹脂成形体。
- 前記ジカルボン酸が、コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ドデカン二酸,オクタンデカン二酸の何れかである請求項1乃至3の何れかに記載の銀含有樹脂成形体。
- 前記樹脂分が熱可塑性樹脂である請求項1乃至4の何れかに記載の銀含有樹脂成形体。
- 塗料成分に、コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ドデカン二酸,オクタンデカン二酸の何れかの銀塩の少なくとも1種であるジカルボン酸銀、及び該ジカルボン酸銀に含まれる銀1モル当り0.1モル乃至10モルの量のジカルボン酸、が配合されてなることを特徴とする銀含有塗料組成物。
- 多価アルコールに、コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ドデカン二酸,オクタンデカン二酸の何れかの銀塩の少なくとも1種であるジカルボン酸銀、及び該ジカルボン酸銀に含まれる銀1モル当り0.1モル乃至10モルの量のジカルボン酸、を配合し、加熱混合して成り、前記ジカルボン酸銀から生成される銀超微粒子に由来のプラズモン吸収がないことを特徴とする銀含有分散液。
- 熱可塑性樹脂に、コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ドデカン二酸,オクタンデカン二酸の何れかの銀塩の少なくとも1種であるジカルボン酸銀、及び該ジカルボン酸銀に含まれる銀1モル当り0.1モル乃至10モルの量のジカルボン酸、を配合し、熱可塑性樹脂の融点以上且つジカルボン酸銀の熱分解開始温度未満の温度で加熱混合することにより、ジカルボン酸銀及び遊離カルボン酸を熱可塑性樹脂中に分散させて成ることを特徴とする銀含有樹脂成形体の製造方法。
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