JP5655886B2 - 二液を用いるインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
従って、本発明の課題は、吸収性記録媒体に対しては、高発色性の実現が可能で、裏抜けがなく、しかもシワ発生がなく、一方、非吸収性記録媒体に対しても高発色性の実現が可能で、充分な定着性を示す二液インクジェット記録方法を提供することにある。
本発明方法の別の好ましい実施態様においては、前記光硬化型インク組成物が実質的に水を含まない。
本発明方法の更に別の好ましい実施態様においては、前記光硬化反応が紫外線硬化反応である。
本発明方法の更に別の好ましい実施態様においては、反応液の液滴を記録媒体に吐出するヘッドと、インク組成物の液滴を記録媒体に吐出するヘッドとが異なる。
本発明の好ましい実施態様においては、水性インク組成物の浸透が困難な非吸収性記録媒体又は水性インク組成物の浸透が容易な吸収性記録媒体である。
本発明による二液インクジェット記録方法においては、最初に、水と反応剤とを含み、場合により光重合開始剤を含む反応液を、インクジェット記録方式により記録媒体に付着させる。
前記の水系反応液は、反応剤として、例えば、多価金属塩、又はポリアリルアミン若しくはその誘導体を含むことができる。
ここで多価金属塩とは、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶な化合物である。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+などの二価金属イオン、又はAl3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンが挙げられる。陰イオンとしては、例えば、SO4 2-、Cl-、NO3 -、I-、Br-、ClO3 -及びCH3COO-などが挙げられる。
本発明方法においては、前記の水系反応液又は後述する光硬化型インク組成物のいずれか一方が光重合開始剤を含有する。
本発明における光重合開始剤は、光の作用、又は、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸及び、塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。
光重合開始剤は、照射される活性光線、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどに感度を有するものを適宜選択して使用することができる。
芳香族ケトン類の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.FOUASSIER J.F.RABEK(1993)、p77〜117記載のベンゾフェノン骨格あるいはチオキサントン骨格を有する化合物等を挙げることができる。
芳香族オニウム塩としては、周期律表の第V、VI及び、VII族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、又はIの芳香族オニウム塩が含まれる。例えば、欧州特許104143号明細書、米国特許4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、及び、同422570号各明細書、米国特許3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、及び、同2833827号各明細書に記載されるスルホニウム塩類、ジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、及び、特公昭46−42363号各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウムテトラフルオロボレート等)、更には特公昭52−147277号、同52−14278号、及び、同52−14279号各公報記載の化合物が好適に使用される。
有機過酸化物としては分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
ヘキサアリールビイミダゾールとしては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等を挙げることができる。
ケトオキシムエステルとしては3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等を挙げることができる。
ボレート塩の例としては米国特許3,567,453号明細書、同4,343,891号明細書、ヨーロッパ特許109,772号明細書、同109,773号明細書に記載されている化合物を挙げることができる。
アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号公報、特開昭63−142345号公報、特開昭63−142346号公報、特開昭63−143537号公報並びに特公昭46−42363号公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
光重合開始剤としてのメタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報記載のチタノセン化合物、並びに、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
活性エステル化合物の例としては、欧州特許0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、及び、同0388343号各明細書、米国特許3901710号、及び、同4181531号各明細書、特開昭60−198538号、及び、特開昭53−133022号各公報に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、及び、同0101122号各明細書、米国特許4618564号、同4371605号、及び、同4431774号各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、及び、特開平4−365048号各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、及び、特開昭59−174831号各公報に記載される化合物等を挙げることができる。
前記化合物の好ましい例としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物等を挙げることができる。
本発明方法で用いる反応液は、水系である。水の含有量は、反応液の全重量に対して、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは50〜95重量%である。
前記の反応液は、ポリオールを含むことができる。ここで、このポリオールは、20℃での蒸気圧が0.01mmHg以下である化合物であり、かつその添加量は多価金属塩に対して重量比で好ましくは1以上、より好ましくは1.0〜5.0である。更に、本発明の好ましい態様によれば、このポリオールの反応液に対する添加量は、10重量%以上であるのが好ましく、より好ましくは10〜30重量%程度である。
本発明による二液インクジェット記録方法においては、最初に、前記の反応液をインクジェット記録方式により記録媒体に付着させた後、続いて、着色剤及び重合性化合物(場合により、更に光重合開始剤)を含む光硬化型インク組成物をインクジェット記録方式により記録媒体に付着させる。
本発明方法で用いる光硬化型インク組成物は、着色剤を含有する。
着色剤としては、染料又は顔料のいずれであってもよいが、印刷物の耐久性の点から顔料の方が有利である。
本発明方法で使用される染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、又は反応分散染料などの通常インクジェット記録に使用される各種染料を使用することができる。
無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
前記インク組成物は、重合性化合物として、エネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する任意の化合物を含むことができるが、特に、光重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、光ラジカル重合性の重合性化合物として知られる各種公知の重合性の重合性化合物を含むことが好ましい。
重合性化合物は、反応速度や、インク物性、硬化膜物性等を調整する目的で1種又は複数を混合して用いることができる。また、重合性化合物は単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
ラジカル重合性の重合性化合物としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、等を挙げることができる。なお、本明細書において「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル基(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2Hパーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本発明で用いる重合性化合物は、PII値(Primary Irritation Index、一次皮膚刺激性)が2以下であることが好ましい。
アリル基を有する化合物として、例えば、アリルグリコール(日本乳化剤製)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル(以上、ダイソー株式会社)やユニオックス、ユニルーブ、ポリセリン、ユニセーフの商品名であるアリル基を持つポリオキシアルキレン化合物(日本油脂製)等を挙げることができる。
本発明方法において、前記の水系反応液が光重合開始剤を含有しない場合には、光硬化型インク組成物が光重合開始剤を含有する。光硬化型インク組成物は、前記の水系反応液において説明した光重合開始剤を含有することができる。
本発明方法で用いるインク組成物は、実質的に水を含まない非水系インク組成物であることが好ましい。ここで、「実質的に水を含まない」とは、光硬化型インクの光硬化スピードを低下させたり、硬化膜の機械的強度を低下させたり、光硬化型インクの長期保存安定性を低下させたり、滲み、カラーブリード等の印刷品質を低下させたりする影響がない程度以下に水の含有量が少ないものであり、光硬化型インク中に好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満の水分含有量である。
ウレタン系オリゴマーとは、分子中にウレタン結合とラジカル重合可能な不飽和二重結合とを一以上有するものをいう。ここで、本発明において用いられるオリゴマーとは、相対分子質量(分子量と同義である)の小さい分子から実質的あるいは概念的に得られる単位の少数回、一般的には約2〜20回、程度の繰返しで構成された構造をもつ中程度の大きさの相対分子質量を有する分子をいう。また、本発明において用いられるオリゴマーとは、光重合性プレポリマー、ベースレジン、又はアクリルオリゴマーと呼ばれるものでもある。
I デンドリマー
II リニア−デンドリティックポリマー
III デンドリグラフトポリマー
IV ハイパーブランチポリマー
V スターハイパーブランチポリマー
VI ハイパーグラフトポリマー
造を有しているのに対し、IV〜VIは欠陥を含んでいても良いランダムな分岐構造を有している。特にデンドリマーは、一般的に用いられている直線状の高分子に比べて、反応性の官能基をその最外面に高密度かつ集中的に配置することが可能であり、機能性高分子材料として期待が高い。また、ハイパーブランチポリマー、デンドリグラフトポリマー又はハイパーグラフトポリマーもデンドリマーほどではないにせよ、その最外面に反応性の官能基を数多く導入することが可能であり、硬化性に優れている。
本発明方法で用いるインク組成物には重合促進剤が含まれていてもよい。
重合促進剤としては、特に限定されないが、Darocur EHA、EDB(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
本発明による二液インクジェット記録方法においては、最初に、反応液をインクジェット記録方式により記録媒体に付着させ、続いて、光硬化型インク組成物をインクジェット記録方式により記録媒体に付着させる。これらを吐出するヘッドは、相互に異なることが好ましい。
最初に吐出させる反応液の液滴量(R)と、続いて吐出させる光硬化型インク組成物の液滴量(C)との比(R/C)は、好ましくは0.1〜3、より好ましくは0.2〜1である。比(R/C)を0.1以上にすることによりPVCやPET等の非吸収性媒体への印刷において滲みやカラーブリードの発生しない良好な印刷品質を得ることができ、3以下とすることにより普通紙や印刷本紙等の吸収性媒体への印刷においてカールやコックリングの発生を抑制することができる。
照射光源は特に制限されないが、照射光源は350nm以上、450nm以下の波長の光が好ましい。
紫外線の照射量は、好ましくは10mJ/cm2以上、20,000mJ/cm2以下であり、より好ましくは50mJ/cm2以上、15,000mJ/cm2以下の範囲で行う。かかる程度の範囲内における紫外線照射量であれば、十分硬化反応を行うことができる。
また、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や紫外線発光半導体レーザ等の紫外線発光半導体素子により、紫外線照射を行うことができる。
本発明におけるインクジェット記録方法は、記録媒体としては水性インク組成物の浸透が困難な非吸収性記録媒体から水性インク組成物の浸透が容易な吸収性記録媒体まで様々な吸収性能を持つ媒体に幅広く用いることができる。
非吸収性記録媒体として例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック類、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレート、ステンレスや真鋳等の合金等が挙げられる。
吸収性記録媒体として例えば、電子写真複写用紙などの普通紙、シリカ、アルミナ、PVA、PVP等を含む水性インク吸収層を備えたインクジェット用紙等が挙げられる。
また、比較的水性インク浸透スピードが遅いタイプの吸収性記録媒体として一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
純水83.6重量部に塩化マグネシウム・六水和物10重量部、N−メチル−2−ピロリドン5重量部、トリエタノールアミン(pH調整剤)1重量部、BYK−347(ビック・ケミー社製ポリシロキサン界面活性剤)0.2重量部、プロキセルXL2(アビシア社製防腐剤)0.2重量部を混合し、室温で1時間撹拌を行い、その後室温で5ミクロンのメンブランフィルター(ミリポア社製)を用いて吸引ろ過して調製した。
反応液1の調製方法と同様に、表2に示す組成の反応液2を調製した。
着色剤としてカーボンブラック20重量部、分散剤としてディスコノールN−509(大日精化工業社製)5重量部、モノマーとしてのアリルグリコール(日本乳化剤社製)75重量部を混合撹拌を行い、混合物を得た。この混合物をサンドミル(安川製作所社製)を用いて、平均直径1.5mmジルコニアビーズと共に室温で10時間分散処理を行った。
その後、ジルコニアビーズをセパレーターで分離し、ブラック顔料分散液を得た。
以下、同様にして所望の顔料種に変更し、それぞれの色に対する顔料分散液、すなわちピグメントイエロー151を用いたイエロー顔料分散液、ピグメントレッド122を用いたマゼンタ顔料分散液、ピグメントブルー15:3を用いたシアン顔料分散液を調製した。
上記の方法により調製された顔料分散液を用いて、紫外線を遮断した室内において各組成物を室温で混合撹拌を行い、表2に示す組成比の光硬化型インク組成物を調製した。
吸収性記録媒体として電子写真複写用紙ゼロックス4200、非吸収性記録媒体として及びPETフィルムPET50A(リンテック社製)を用いた。
(1)反応液付着方法
インクジェットプリンタPX−G920(セイコーエプソン社製)を用いて1列180dpi、8列のノズル配列構造の記録ヘッドの2列分に反応液を充填し、縦360dpi×横360dpiの解像度で1dot当たり7pL(ピコリットル)の吐出量でベタ印刷により反応液を付着させた。
同じくインクジェットプリンタPX−G920(セイコーエプソン社製)を用いて1列180dpi、8列のノズル配列構造の記録ヘッドの各1列に表3に示すインク1−B、1−Y、1−M、1−Cを充填し、縦720dpi×横720dpiの解像度で1dot当たり7pLで記録パターンを印刷した。
(1)反応液付着方法
インクジェットプリンタPX−G920(セイコーエプソン社製)を用いて1列180dpi、8列のノズル配列構造の記録ヘッドの2列分に反応液2を充填し、縦360dpi×横360dpiの解像度で1dot当たり20pLの吐出量でベタ印刷により反応液を付着させた。
同じくインクジェットプリンタPX−G920(セイコーエプソン社製)を用いて1列180dpi、8列のノズル配列構造の記録ヘッドの各1列に表3に示すインク2−B、2−Y、2−M、2−Cを充填し、縦720dpi×横720dpiの解像度で1dot当たり4pLで記録パターンを印刷した。
(1)反応液付着方法
インクジェットプリンタPX−G920(セイコーエプソン社製)を用いて1列180dpi、8列のノズル配列構造の記録ヘッドの2列分に反応液1を充填し、縦360dpi×横360dpiの解像度で1dot当たり7pLの吐出量でベタ印刷により反応液を付着させた。
同じくインクジェットプリンタPX−G920(セイコーエプソン社製)を用いて1列180dpi、8列のノズル配列構造の記録ヘッドの各1列に表3に示すインク2−B、2−Y、2−M、2−Cを充填し、縦720dpi×横720dpiの解像度で1dot当たり4pLで記録パターンを印刷した。
(1)吸収性記録媒体への印刷評価
(1−1)発色性
ゼロックス4200紙に反応液を付着させた後、光硬化型インクを、記録パターンをブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの100%dutyのベタとして付着させ、350〜410nmの紫外線を照射強度30mW/cm2、照射時間10秒、積算光量300mJ/cm2になるような条件で照射して硬化させて、印刷物の反射OD値を分光光度計Gretag SPM50(Gretag社製)を用いて測定した。この時の測色条件は光源D50、光源フィルターなしで白色基準は絶対白とし、視野角は2°とした(A値とする)。
次に反応液を付着させずに、光硬化型インクを上記と同様に付着、硬化させて、上記と同様に反射OD値を測定した(B値とする)。
以下の判定を行った。
A:ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンすべての色でB値に対してA値が10%以上高い場合
D:ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのうちの一色でもB値に対してA値の高いものがない場合
ゼロックス4200紙に反応液を付着させた後、光硬化型インクを、記録パターンをイエロー、マゼンタ、シアンの100%dutyのベタにブラックの5ポイントの大きさの文字が入ったものとして付着させ、350〜410nmの紫外線を照射強度30mW/cm2、照射時間10秒、積算光量300mJ/cm2になるような条件で照射して硬化させた。
以下の判定を行った。
A:5ポイントの文字がはっきり読み取れる
B:滲み・カラーブリードにより5ポイントの文字が読み取れない。
A4サイズのゼロックス4200紙に上下左右端に1cmの余白を設けて印刷領域を設定し、印刷領域全体に反応液を付着させた後、光硬化型インクを、記録パターンを100%dutyのベタとして付着させ、350〜410nmの紫外線を照射強度30mW/cm2、照射時間10秒、積算光量300mJ/cm2になるような条件で照射して硬化させて、室温下で平面状に放置した。1時間後に両端、上下端、もしくはベタパターン内の平面からの盛り上がりの高さを測定した。
以下の判定を行った。
AA:盛り上がり高さが1cm以下
A:盛り上がり高さが3cm以下
D:盛り上がり高さが3cm以上
(2−1)発色性
PETフィルムに反応液を付着させた後、光硬化型インクを、記録パターンをブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの100%dutyのベタとして付着させ、60℃で5分加熱処理後、350〜410nmの紫外線を照射強度30mW/cm2、照射時間10秒、積算光量300mJ/cm2になるような条件で照射して硬化させて、印刷物の反射OD値を分光光度計Gretag SPM50(Gretag社製)を用いて測定した。この時の測色条件は光源D50、光源フィルターなしで白色基準は絶対白とし、視野角は2°とした(A値とする)。
次に反応液を付着させずに、光硬化型インクを上記と同様に付着、硬化させて、反射OD値を測定した(B値とする)。
以下の判定を行った。
A:ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンすべての色でB値に対してA値が10%以上高い場合
D:ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのうちの一色でもB値に対してA値が高いものがない場合
ゼロックス4200紙に反応液を付着させた後、光硬化型インクを、記録パターンをイエロー、マゼンタ、シアンの100%dutyのベタにブラックの5ポイントの大きさの文字が入ったものとして付着させ、60℃で5分加熱処理後、350〜410nmの紫外線を照射強度30mW/cm2、照射時間10秒、積算光量300mJ/cm2になるような条件で照射して硬化させた。
以下の判定を行った。
A:5ポイントの文字がはっきり読み取れる
D:滲み・カラーブリードにより5ポイントの文字が読み取れない。
前期(2−1)で得られた印刷物表面を指、もしくは爪で強く擦り、表面の変化の状態を目視によって、以下の判定を行った。
AAA:指擦り、爪擦りで表面のキズが目立たない。
AA:指擦りではキズ目立たない。爪擦りでキズが付く。
A:指擦りでキズが付くが、印刷画像が流れることはない。
D:定着が不十分であり、擦りにより印刷画像が流れる。
Claims (10)
- インクジェット記録方式により、記録媒体に少なくとも、反応液の全重量に対して10重量%以上の水と、水に可溶な化合物である反応剤と、を含む反応液を付着させてから、少なくとも、着色剤として顔料と、光ラジカル重合性の重合性化合物と、ラジカルを生成する光重合開始剤と、を含みインク中の水分含有量が5重量%未満である光硬化型インク組成物を付着させた後、光硬化反応を実施することを特徴とする、インクジェット記録方法。
- インクジェット記録方式により、記録媒体に少なくとも、反応液の全重量に対して10重量%以上の水と、水に可溶な化合物である反応剤と、ラジカルを生成する光重合開始剤と、を含む反応液を付着させてから、少なくとも、着色剤として顔料と、光ラジカル重合性の重合性化合物と、を含みインク中の水分含有量が5重量%未満である光硬化型インク組成物を付着させた後、光硬化反応を実施することを特徴とする、インクジェット記録方法。
- 前記反応液中の反応剤が多価金属塩、又はポリアリルアミン若しくはその誘導体である、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記光硬化反応が紫外線硬化反応である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 反応液の液滴を記録媒体に吐出するヘッドと、インク組成物の液滴を記録媒体に吐出するヘッドとが異なる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記光硬化反応が、照射光源として350nm以上450nm以下の波長の光により行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記光硬化型インク組成物が分散剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 反応液が反応液の全重量に対して50重量%以上の水を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 反応液が前記反応剤として多価金属塩を含み、多価金属塩が、Ca 2+ 、Cu 2+ 、Ni 2+ 、Mg 2+ 、Zn 2+ 、Ba 2+、 Al 3+ 、Fe 3+ 、Cr 3+ の何れかの多価金属イオンと、SO 4 2- 、Cl - 、NO 3 - 、I - 、Br - 、ClO 3 - 、カルボン酸イオンの何れかの陰イオンとから構成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 記録媒体として非吸収性記録媒体を用いる、請求項1〜9の何れか一項に記載のインクジェット記録方法。
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