JP5655381B2 - 高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、自動車車体の内板、外板や自動車構造部品用として好適な、高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
近年、地球環境保全という観点から、自動車の燃費向上が強く要求され、自動車車体の軽量化が重要な課題となっている。このため、使用する鋼板の高強度化が指向されている。自動車車体の内板、外板用や構造部品用として広範に使用されている、溶融亜鉛めっき鋼板についても同様に、高強度化(高張力化)が要求され、とくに、自動車車体の内板、外板などでは複雑な加工が施されるため、所望の高強度とともに、優れた加工性も要求されている。さらに、耐食性を要求される箇所に使用される溶融亜鉛めっき鋼板には、優れた塗装後耐食性を具備することも必須の要件となっている。
鋼板を高強度化する方法としては、従来から、固溶強化、析出強化、変態強化、あるいは細粒強化による方法などが考えられている。いずれの方法もC,Si,Mn等の元素に加えて、さらにNb、Ti等の元素を微量添加しているが、安価に高強度化が可能な元素であるSi、Mnの含有量が多くなる傾向である。
しかし、Si、Mn量、とくにSi量が多くなると、めっき性が顕著に低下することが知られている。通常、溶融亜鉛めっき鋼板は、連続溶融亜鉛めっきラインを利用して、例えば冷延鋼板を、Feにとって還元性である雰囲気中、すなわち800〜850℃程度の温度域で、露点:−20〜−40℃、数%のHを含む雰囲気中で焼鈍したのち、引続き溶融亜鉛めっき処理を施して製造されている。Si、Mnは、Feに比べて酸化しやすい元素であり、上記した焼鈍雰囲気は、Si、Mnにとって酸化性の雰囲気であり、Si、Mnが選択的に酸化され酸化物となるとともに、鋼中のSi、Mnが表面に拡散し、表層にSi、Mnの濃化層が形成される。このSi、Mnの濃化層は、溶融亜鉛の濡れ性を阻害し、不めっきを発生させる。
一部にでも、不めっきが発生すればそのめっき鋼板は、製品とすることはできない。このため、不めっきは、めっき鋼板(溶融亜鉛めっき鋼板)にとって、致命的な欠陥である。なお、ここでいう「不めっき」とは、めっき層が地鉄(鋼板)表面を覆わない部分が存在し、部分的に地鉄(鋼板)が露出した状態となっている状態(欠陥)をいう。
このような問題に対し、例えば、特許文献1には、Al、Si、Mnの少なくとも1種を含有する鋼板を、空燃比を1.0以上とする雰囲気炉で焼鈍し、意識的に、厚みが40〜1000nm(ナノメートル)となるように酸化膜を形成させた後、水素を含む雰囲気中で焼鈍し、ついで溶融めっきする難めっき鋼板の溶融めっき方法が記載されている。特許文献1に記載された技術では、形成された薄い酸化膜は、酸化鉄を主成分とする皮膜であり、水素を含む雰囲気中で還元され、残存してもめっき品質に与える影響はほとんどゼロに等しいとしている。
また、特許文献2には、C:0.005〜0.12%、Si:0.7〜1.8%、Mn:0.5〜2.8%、P:0.1%以下、S:0.07%以下、Al:1.0%以下、N:0.008%以下を含む鋼板を、NOF(無酸化炉)型またはDFF(直火型加熱還元炉)型の加熱帯を有する連続溶融亜鉛めっきラインで、加熱帯の雰囲気ガス組成のCO/HO比を0.001〜0.8とし、加熱帯出側の鋼板温度が700℃以上で幅方向温度偏差が20℃未満とし、加熱帯内における400℃〜加熱帯出側温度までの平均昇温速度が10℃/s以上と成るようにして鋼板を加熱し、次いで700〜940℃の温度域で15〜600s焼鈍し、引続き3℃/s以上の冷却速度で440〜550℃の温度域の温度に冷却したのち、200s以内に440〜500℃の溶融亜鉛めっき浴に440〜550℃の鋼板を浸漬させる溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が記載されている。特許文献2に記載された技術では、NOF(無酸化炉)型またはDFF(直火型加熱還元炉)型の加熱帯で出側の鋼板温度を700℃以上とすることで鋼板表層にFe系スケールを付着させ、つぎの還元帯での酸素供給源として鋼板表層を内部酸化させて、Si、Mn等の易酸化性元素の選択酸化を防止し、不めっき、合金化遅延とそれによる合金ムラの発生を防止し、良好なめっき特性を保持するとともに、成形性に優れた引張強度590MPa級の高強度溶融亜鉛めっき鋼板を提供できるとしている。
特開昭55−122865号公報 特開2009−149938号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、薄い酸化膜を形成するために必須としている焼鈍炉の雰囲気調整が非常に難しく、実用的でないという問題がある。また、特許文献2に記載された技術では、NOF、DFFといった酸化雰囲気の加熱帯を必要とし、一般に使用されているラジアントチューブ型の加熱帯(焼鈍炉)を有する製造ラインでは、実施できないという問題がある。ラジアントチューブ型の加熱帯(焼鈍炉)を有する連続溶融亜鉛めっきラインで、めっき性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板を製造しようとすると、再結晶焼鈍を他の連続焼鈍ライン等で行い、室温まで冷却したのち、酸洗し、Si、Mnの濃化層を削除し、再度、加熱して溶融亜鉛めっき処理を施すことになる。このため、生産性の低下および製造コストの高騰を招くという問題がある。
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題を有利に解決し、ラジアントチューブ型の加熱帯(焼鈍炉)を有する連続溶融亜鉛めっきラインを利用して、優れためっき性と優れた加工性とを兼備した高張力溶融亜鉛めっき鋼板を、高い生産性で安価に製造できる、高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。なお、ここでいう「高張力溶融亜鉛めっき鋼板」とは、590MPa以上の引張強さを有する溶融亜鉛めっき鋼板をいうものとする。また、ここでいう「優れた加工性」とは、JIS5号試験片(GL:50mm)を用いた引張試験での伸びが20%以上である場合をいうものとする。また、ここでいう「優れためっき性」とは、不めっきの発生がない場合をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、ラジアントチューブ型の加熱帯(焼鈍炉)を利用した焼鈍を考慮して、加工性と、めっき性、とくに不めっき発生に及ぼす冷間圧延条件と焼鈍条件の影響、さらには組成の影響について鋭意研究した。
その結果、冷間圧下率を65%以上とする冷間圧延を施すことにより、800℃以下750℃以上の範囲の比較的低温で焼鈍を行っても、十分に再結晶し、しかも、800℃以下750℃以上の温度域での焼鈍ではその後の溶融亜鉛めっき時に不めっきの発生がなく、良好な加工性と優れためっき性を兼備する、高張力溶融亜鉛めっき鋼板を容易に製造できることを見出した。
また、本発明者らは、鋼板の組成を、Si含有量に比べてMn含有量を多く、好ましくはSi含有量の10倍以上とすることが、めっき性向上に大きく寄与できることを新たに知見した。Si、Mnはともに焼鈍時に表面に濃化し、めっき性を低下させる元素であるが、冷間圧下率の変動に伴い、その表面濃化挙動に明らかな相違が認められる。Siは、冷間圧下率が大きくなるにしたがい、表面に濃化しやすくなる傾向を有しているのに対し、Mnは、冷間圧下率が変動しても表面濃化の挙動には殆ど変化がない。本発明者らは、上記したSiとMnの表面濃化挙動の違いを利用し、冷間圧下率が高くなるとともにより表面濃化しやすい、Siを低減し、冷間圧下率が高くなっても表面濃化し難い、Mnを多く含有させることが、高い冷間圧下率を指向する本発明において、更なるめっき性の向上を図ることができることに思い至った。
まず、本発明の基礎となった実験結果について、説明する。
質量%で、0.08%C−0.03%Si−1.95%Mn−0.02%Ti−0.05%Nb−0.04%Al−残部Feからなる組成の熱延板を酸洗して、めっき用素材(板厚:3.5、4.0、4.7、6.0mm)とした。これら素材に冷間圧延を施し、板厚:1.6mmの冷延板とした。ついで、これら冷延板に、840〜750℃の範囲内の各温度に60s間保持する焼鈍を施した後、浴温:470℃の溶融亜鉛めっき浴に浸漬する、溶融亜鉛めっき処理を施し、表面に溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき板とした。なお、溶融亜鉛めっき層の目付け量は100g/mとした。なお、一部の溶融亜鉛めっき板については、さらに溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行った。合金化処理は、550℃×20sとした。
得られた溶融亜鉛めっき板について、目視および光学顕微鏡で表面を観察し、不めっきの有無を調査した。また、得られた溶融亜鉛めっき板から、圧延方向が引張方向にほぼ一致するように、JIS5号引張試験片(GL:50mm)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、引張強さTS、伸びElを測定し、強度および加工性を評価した。
得られた結果を、引張強さと冷間圧下率との関係で図1(a)に、伸びと冷間圧下率との関係で図1(b)に、不めっきの有無と焼鈍温度との関係で図2に示す。
図1から、冷間圧下率が増加しても、引張強さTS の変化は小さく、ほぼ一定であり、引張強さに対する冷間圧下率の影響は小さいといえる。一方、伸びは、冷間圧下率の増加に伴い、上昇する傾向を有する。これは、冷間圧延による歪蓄積量の増加により、再結晶が進行しやすくなるためと考えられる。なお、焼鈍温度が低いと、再結晶が十分に進行せず、加工組織が残留するため、焼鈍温度が低温となるほど引張強さは高く、伸びは低くなる傾向を示すことになる。しかし、冷間圧下率を65%以上とすることにより、焼鈍温度が840〜750℃の範囲内でも、伸びEl:20%以上を確保することができることがわかる。このようなことから、TS:590MPa以上、El:20%以上の目標引張特性は、焼鈍温度を840〜750℃の範囲内とし、冷間圧下率:65%以上とすることにより、十分に達成可能であるという結論を得た。一方、図2から、不めっきの発生には、焼鈍温度を低くすることが重要で、不めっきの発生防止のために、焼鈍温度を800℃以下とする必要があるということがわかる。
本発明はかかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)鋼素材に、熱間圧延し熱延板とする熱延工程と、該熱延板に酸洗処理を行ったのち、冷間圧延を行い冷延板とする冷延工程と、該冷延板に、連続溶融亜鉛めっきラインで、焼鈍処理と溶融亜鉛めっき処理とを連続して行い、表面に溶融亜鉛めっき層を形成し溶融亜鉛めっき鋼板とする連続溶融亜鉛めっき処理工程と、を施し溶融亜鉛めっき鋼板とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、前記鋼素材が、質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.01〜0.10%、Mn:1.5〜2.3%、Al:0.01〜0.07%を含み、さらにTiまたはNbを0.01〜0.10%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、前記冷間圧延を、圧下率:65%以上の圧延とし、前記連続溶融亜鉛めっきラインを、ラジアントチューブ型の焼鈍炉を有する連続溶融亜鉛めっきラインとし、前記焼鈍処理を、焼鈍温度:750〜800℃で行う処理とする、ことを特徴とする、優れためっき性と優れた加工性とを兼備した高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(2)(1)において、前記溶融亜鉛めっき処理工程に引続き、前記溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行う合金化処理工程を施すことを特徴とする高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、ラジアントチューブ型の加熱帯(焼鈍炉)を有する連続溶融亜鉛めっきラインを利用して、優れためっき性と優れた加工性とを兼備する高張力溶融亜鉛めっき鋼板を、安価に、しかも高い生産性で製造でき、産業上格段の効果を奏する。
引張強さ、伸びと冷間圧下率との関係に及ぼす焼鈍温度の影響を示すグラフである。 不めっきの発生に及ぼす焼鈍温度の影響を示すグラフである。
まず、本発明で使用する鋼素材の組成限定理由について、説明する。なお、以下、とくに断わらないかぎり、質量%は単に%で記す。
本発明で使用する鋼素材は、C:0.03〜0.15%、Si:0.01〜0.10%、Mn:1.5〜2.3%、Al:0.01〜0.07%を含み、さらにTiまたはNbを0.01〜0.10%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する。
C:0.03〜0.15%
Cは、鋼中に固溶し、鋼板強度を増加させる元素であり、引張強さ:590MPa以上の所望の高強度を確保するために、本発明では0.03%以上の含有を必要とする。一方、0.15%を超えて含有すると、溶接性が低下する。このため、Cは0.03〜0.15%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.10%以下である。
Si:0.01〜0.10%
Siは、鋼中に固溶して鋼板強度を増加させるとともに、鋼板伸びを向上させる、安価な元素であり、このような効果を得るためには0.01%以上含有する必要がある。一方、Siは、焼鈍時に表面に濃化し、めっき性を阻害する。とくに冷間圧下率を増加した場合にはこの傾向が増大する。このため、本発明ではSiは0.01〜0.10%以下に限定した。
Mn:1.5〜2.3%
Mnは、鋼板強度を増加させる作用を有する元素であり、所望の高強度を確保するために、本発明では1.5%以上の含有を必要とする。また、Mnは焼鈍時に表面濃化する傾向を示すが、冷間圧下率が増大しても、表面濃化の傾向は殆ど変化がなく、とくに冷間圧下率を増加した場合にはSiに比べて不めっき発生への影響は少ない。しかし、2.3%を超える多量のMn含有は、不めっき発生の危険性が増大する。このため、Mnは1.5〜2.3%の範囲に限定した。
Al:0.01〜0.07
Alは、脱酸剤として作用するとともに、AlNを形成し結晶粒の粗大化を防止する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有する一方、0.07%を超える含有は、酸化物系介在物の増加を招き、鋼の清浄度を低下させる。このため、Alは0.01〜0.07%に限定した。
TiまたはNb:0.01〜0.10%
Ti、Nbはいずれも、炭化物、窒化物として析出し、析出強化、あるいは結晶粒の細粒化強化で、鋼板の強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上の含有を必要とする。一方、Ti、Nbは高価な元素であるため、0.10%以下に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.06%である。
上記した成分が基本の成分であるが、上記した基本の成分に加えてさらに、選択元素として、Ni:0.1%以下、Cu:0.1%以下、Cr:0.1%以下、Mo:0.15%以下、B:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することができる。
Ni:0.1%以下、Cu:0.1%以下、Cr:0.1%以下、Mo:0.15%以下、B:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Ni、Cu、Cr、Mo、Bは、いずれも焼入れ性向上を介して、鋼の強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種以上含有できる。このような効果を得るためには、Ni:0.01%以上、Cu:0.01%以上、Cr:0.03%以上、Mo:0.03%以上、B:0.01%以上、含有することが望ましいが、Ni:0.1%、Cu:0.1%、Cr:0.1%、Mo:0.15%、B:0.02%を超える含有は、加工性、溶接性が低下する。このため、Ni:0.1%以下、Cu:0.1%以下、Cr:0.1%以下、Mo:0.15%以下、B:0.02%以下に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としてのP,Sは、溶接部の脆化を促進するため、P:0.01%以下、S:0.01%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくはP:0.03%以下、S:0.01%以下である。
上記した組成を有する鋼素材の製造方法については、とくに限定する必要はなく、転炉等の公知の溶製方法で、上記した組成の溶鋼を溶製したのち、連続鋳造法等の公知の鋳造方法等でスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。
本発明では、上記した組成を有する鋼素材に、熱延工程と、冷延工程と、溶融亜鉛めっき処理工程と、あるいはさらに合金化処理工程と、を順次施して、溶融亜鉛めっき鋼板とする。
熱延工程では、上記した鋼素材に、熱間圧延し熱延板とする。本発明では、所定の寸法形状の熱延板が製造できればよく、とくに熱間圧延条件を限定する必要はない。通常の熱間圧延条件がいずれも適用できる。
得られた熱延板は、ついで、酸洗処理を施されたのち、冷間圧延により冷延板とする冷延工程を施される。
本発明の冷延工程では、冷間圧延は、圧下率:65%以上の圧延とする。冷間圧延の圧下率(冷間圧下率)が65%未満では、焼鈍温度:750〜800℃の範囲の焼鈍で、十分な再結晶を進行させることができず、所望の加工性(伸び:20%以上)を確保できなくなる。冷間圧下率を65%以上とすることにより、焼鈍温度を800℃以下の焼鈍としても、十分に再結晶を完了することができ、所望の加工性(20%以上の伸び)を確保できる。なお、冷間圧下率の上限は、所望の寸法形状を確保でき、冷間圧延が困難とならない範囲であればよく、とくに限定する必要はないが、圧延機の能力と関連して、75%以下程度とすることが安定した冷間圧延を施すという観点からは好ましい。
ついで、得られた冷延板は、直送方式の連続溶融亜鉛めっきラインで、焼鈍処理と溶融亜鉛めっき処理とからなる連続溶融亜鉛めっき処理工程を施され、溶融亜鉛めっき鋼板とされる。本発明では、直送方式の連続溶融亜鉛めっきラインとして、ラジアントチューブ型の加熱帯(焼鈍炉)を有する連続溶融亜鉛めっきラインを使用する。このラジアントチューブ型の加熱帯(焼鈍炉)で、冷延板の焼鈍処理を行う。この焼鈍処理では、冷延板の再結晶処理と、表面の鉄酸化物の還元処理を同時に行う。
本発明における焼鈍処理では、焼鈍温度:750〜800℃とする。焼鈍温度が800℃を超えて高くなると、表面にMn、とくにSiが濃化し、溶融亜鉛めっき処理時に不めっきを生じ、めっき性が低下する。一方、焼鈍温度が750℃未満では、再結晶の進行が遅れ、所望の加工性を確保できなくなる。このため、焼鈍温度は750〜800℃の範囲に限定した。なお、好ましくは770〜800℃である。
なお、上記した焼鈍温度での保持時間は、20〜50sとすることが好ましい。上記した保持時間を外れると、再結晶の進行が不十分であるか、再結晶が完了し粗大な結晶粒となるかして、所望の加工性、所望の高強度を確保できにくくなる。
上記した焼鈍処理を施された冷延板(冷延焼鈍板)は、ついで連続して溶融亜鉛めっき処理を施される。溶融亜鉛めっき処理では、冷延板(冷延焼鈍板)を、焼鈍温度から、溶融亜鉛めっき浴と関連した所定の温度(450℃程度)まで冷却したのち、連続して、450℃程度の所定の温度に保持された溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、表面に溶融亜鉛めっき層を形成する。本発明における溶融亜鉛めっき処理では、通常の溶融亜鉛めっき処理がそのまま適用でき、その条件はとくに限定されない。なお、形成される溶融亜鉛めっき層の厚み(目付け量)は60〜100g/m程度とすることが耐食性の観点から好ましい。
また、上記した連続溶融亜鉛めっき処理工程に引続き、形成された溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行う合金化処理工程を施してもよい。合金化処理は、連続溶融亜鉛めっきラインの合金化炉を使用して行うことが好ましい。なお、合金化処理は、通常の溶融亜鉛めっき層の合金化処理温度である、450〜500℃に加熱する処理とすることが好ましい。
表1に示す組成の連鋳製鋼スラブ(鋼素材)に、まず熱延工程を施し、板厚:3.0〜5.5mmの熱延板とした。なお、熱間圧延の仕上圧延終了温度は、850〜920℃であった。ついで、これら熱延板に塩酸酸洗処理を施し、酸化スケールを除去したのち、表2に示す条件で冷間圧延を行い、1.4mm厚の冷延板(冷延鋼帯)とする冷延工程を施した。
得られた冷延板に、ラジアントチューブ型の加熱帯(焼鈍炉)を有する連続溶融亜鉛めっきラインを使用して、表2に示す焼鈍温度で焼鈍処理を施し、該焼鈍温度から450℃程度まで冷却したのち、500℃の溶融亜鉛めっき浴に浸漬する溶融亜鉛めっき処理を施し、表面に目付け量:100g/mの溶融亜鉛めっき層を形成し、合金化炉を用いて、溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行った。合金化処理温度は550℃とした。
得られた溶融亜鉛めっき板について、めっき性、引張特性を調査した。試験方法はつぎのとおりとした。
(1)めっき性試験
得られた溶融亜鉛めっき板のコイル全長にわたり、表面を目視で観察し、不めっきの有無を調査した。1箇所でも、不めっきが観察された場合を×、不めっきが観察されなかった場合を○とし、めっき性を評価した。
(2)引張試験
得られた溶融亜鉛めっき板から、圧延方向に直角方向が引張方向となるように、JIS5号試験片(GL:50mm)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、引張強さTSと伸びELを測定し、強度と加工性を評価した。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0005655381
Figure 0005655381
本発明例はいずれも、引張強さTS:590MPa以上の高強度と、伸びEl:20%以上の優れた加工性と、さらに不めっきの発生がない優れためっき性とを、兼備する高張力溶融亜鉛めっき鋼板(高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板)となっている。本発明の範囲を外れる比較例は、引張強さが590MPa未満であるか、あるいは伸びが20%未満であるか、あるいは不めっきが発生するかして、所望の高強度と、優れた加工性と、優れためっき性とを兼備できていない。

Claims (2)

  1. 鋼素材に、熱間圧延し熱延板とする熱延工程と、該熱延板に酸洗処理を行ったのち、冷間圧延を行い冷延板とする冷延工程と、該冷延板に、連続溶融亜鉛めっきラインで、焼鈍処理と溶融亜鉛めっき処理とを連続して行い、表面に溶融亜鉛めっき層を形成し溶融亜鉛めっき鋼板とする連続溶融亜鉛めっき処理工程と、を施し溶融亜鉛めっき鋼板とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、
    前記鋼素材が、質量%で、
    C:0.03〜0.15%、 Si:0.01〜0.10%、
    Mn:1.5〜2.3%、 Al:0.01〜0.07
    含み、さらにTiまたはNbを0.01〜0.10%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
    前記冷間圧延を、圧下率:65%以上の圧延とし、
    前記連続溶融亜鉛めっきラインを、ラジアントチューブ型の焼鈍炉を有する連続溶融亜鉛めっきラインとし、
    前記焼鈍処理を、焼鈍温度:750〜800℃で行う処理とする、
    ことを特徴とする、優れためっき性と優れた加工性とを兼備した高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記溶融亜鉛めっき処理工程に引続き、前記溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行う合金化処理工程を施すことを特徴とする請求項1に記載の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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