JP4790639B2 - 伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板及びその製造方法に関し、特に自動車などに用いて好適な高強度冷延鋼板に関する。
なお、本発明における高強度冷延鋼板とは、通常の冷延鋼板、亜鉛系めっき鋼板の他、アルミ系めっき鋼板を代表とする各種めっきを施したものも含む。亜鉛系めっき鋼板のめっき層には、純亜鉛の他、Fe、Al、Mg、Cr、Mnなどを含有しても構わない。
近年、特に自動車車体において燃費向上や耐久性向上を目的とした加工性の良い高強度冷延鋼板の需要が高まっている。加えて、衝突安全性やキャビンスペースの拡大のニーズから引張強さにして780MPa級以上の鋼板が、骨格部材やそのレインフォースなどの部材に使用されつつある。
しかしながら、このような780MPa級以上の鋼板には、捻れや反りの発生に代表される形状凍結性不良の問題がある。このため、780MPa級よりも強度が低く且つ衝突吸収エネルギーの大きな鋼材が待望されている。
低強度でも衝突吸収エネルギー特性を向上させるには、降伏比を高めることが必要である。また、湾曲部のフランジアップに代表される伸びフランジ成形性(穴広げ性)に優れていることが必須である。
例えば、非特許文献1には、主相をベイナイトとして穴拡げ性を向上させ、更には張り出し性成形性についても、第2相に残留オーステナイトを生成させることで、現行の残留オーステナイト鋼並みの張り出し性を示すことが開示されている。また、下記非特許文献1には、Ms温度以下でオーステンパ処理をすることで、体積率2〜3%の残留オーステナイトを生成させると、引張り強度×穴拡率が最大となることも示されている。
また、高強度材の高延性化を図るため、複合組織を積極的に活用することが一般的に行われている。しかしながら、第2相にマルテンサイトや残留オーステナイトを活用した場合には、穴拡げ性が著しく低下してしまうという問題がある(例えば、非特許文献2を参照)。この非特許文献2には、主相をフェライト、第2相をマルテンサイトとし、両者の硬度差を減少させることで穴拡げ率が向上することが開示されている。
さらに、溶融亜鉛めっきを施したものとして、いくつかの開示例があり、例えば特許文献1〜5がその代表例である。しかしながら、これら特許文献1〜5に開示された技術では、穴広げ性を良好にすることはできても、同時に高降伏比とすることは製造方法として非常に困難である。
一方、特許文献6には、組織をフェライト+パーライトとして降伏比を高める技術が開示されている。しかしながら、この特許文献6に開示される技術では、良好な伸びフランジ成形性を得ることは困難である。
特許第2607906号公報 特許第2862187号公報 特許第63−24741号公報 特開2001−355043号公報 特許第3037767号公報 特許第3780611号公報 CAMP−ISIJ、vol.13(2000)、p.395 CAMP−ISIJ、vol.13(2000)、p.391
以上のように、穴拡げ性などに代表される伸びフランジ成形性に優れた鋼板は多数開発されている。しかしながら、このような高強度冷延鋼板ではC又は多量の合金元素を含有するため、製品の組織が温度や冷却速度等の製造条件によって変化しやすく、必ずしも良好な伸びフランジ成形性が得られない場合がある。
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、無理のない製造条件にて良好な伸びフランジ性と高降伏比を確保することを可能とした伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、鋼板組織をフェライトとパーライト及び/又は鉄系炭化物とを含む組織した上で、鋼板中にOを含有する比較的粗大な化合物粒子とNbを含有する超微細粒子とを好適に分散させることにより、降伏比が高く且つ伸びフランジ性の良好な鋼板を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決することを目的とした本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 質量%で、
C:0.05%以上0.14%以下、
Si:0.001%以上0.60%未満、
Mn:1.3%以上1.9%未満、
P:0.001%以上0.03%未満、
S:0.0001%以上0.01%以下、
Al:0.010%未満、
N:0.0005%以上0.0040%未満、
Nb:0.014%以上0.032%以下、
Ti:0.009%以上0.025%未満、
O:0.002%以上0.011%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、鋼板組織が主としてフェライトとパーライト及び/又は鉄系炭化物とを含む組織からなり、Nbを含有する粒子径1nm以上20nm以下の化合物が、1平方mm当たり90個以上存在し、引張強さTSが490MPa以上720MPa未満であり、且つ、降伏比が0.70超0.92未満であることを特徴とする伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
(2) 更に、質量%で、
B:0.0001%以上0.001%未満
を含有することを特徴とする前記(1)に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
(3) 更に、質量%で、
Cr:0.01%以上1.0%未満、
Ni:0.01%以上2.0%以下、
Cu:0.001%以上2.0%以下
のうち何れか1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
(4) 更に、質量%で、
Mo:0.01%以上0.3%以下
W:0.01%以上0.3%以下
のうち何れか1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)乃至(3)の何れか一項に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
(5) 更に、質量%で、
Zr、Hf、Ta、Vのうち何れか1種又は2種以上を合計で0.001%以上1%以下含有することを特徴とする前記(1)乃至(4)の何れか一項に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
(6) 更に、質量%で、
Ca、La、Yのうち何れか1種又は2種以上を合計で0.0001%以上0.5%以下含有することを特徴とする前記(1)乃至(5)の何れか一項に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
(7) 更に、質量%で、
La、Y以外のREMを合計で0.0001%以上0.5%以下含有することを特徴とする前記(1)乃至(6)の何れか一項に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
(8) 更に、質量%で、
Ce、Mgのうち何れか一方又は両方を合計で0.0001%以上0.2%以下含有することを特徴とする前記(1)乃至(7)の何れか一項に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
(9) 前記(1)乃至(8)の何れか一項に記載の冷延鋼板の表面に亜鉛系めっき層を有することを特徴とする伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた亜鉛系めっき高強度冷延鋼板。
(10) 前記(1)乃至(8)の何れか一項に記載の化学成分を有するスラブを1140℃以上に加熱し、圧下率70%以上とする熱延を施した後、950℃以上1080℃以下の温度域にて2秒以上保持し、更に85%以上の圧下率で仕上温度を820℃以上930℃以下とする熱間圧延を行い、2秒超空冷した後、水冷を開始し、620℃以上720℃以下で水冷を完了し、その後空冷して440℃以上660℃以下で巻き取り、酸洗した後、40%以上80%以下の圧下率で冷延し、最高到達温度を730℃以上800℃未満とし、280℃以上420℃以下にて30秒以上保持することを特徴とする伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
(11) 前記(1)乃至(8)の何れか一項に記載の化学成分を有するスラブを1140℃以上に加熱し、圧下率70%以上とする熱延を施した後、950℃以上1080℃以下の温度域にて2秒以上保持し、更に85%以上の圧下率で仕上温度を820℃以上930℃以下とする熱間圧延を行い、2秒超空冷した後、水冷を開始し、620℃以上720℃以下で水冷を完了し、その後空冷して440℃以上660℃以下で巻き取り、酸洗した後、40%以上80%以下の圧下率で冷延し、最高到達温度を730℃以上800℃未満とし、440℃以上500℃以下の範囲まで冷却し、溶融亜鉛系めっきを施すことを特徴とする伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた亜鉛系めっき高強度冷延鋼板の製造方法。
(12) 溶融亜鉛系めっきを施した後、更に、460℃以上600℃未満の温度域で3秒以上保持することを特徴とする前記(11)に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた合金化溶融亜鉛系めっき高強度冷延鋼板の製造方法。
(13) 前記(10)に記載の製造方法で冷延鋼板を製造した後、亜鉛系の電気めっきを施すことを特徴とする伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた電気亜鉛系めっき高強度冷延鋼板の製造方法。
以上のように、本発明によれば、引張強さTSが490MPa以上720MPa未満であり、且つ、降伏比が0.70超0.92未満である伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板、並びに亜鉛系めっき高強度冷延鋼板を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
先ず、本発明における鋼板の成分範囲の限定理由、並びに鋼板組織の限定理由について説明する。なお、成分範囲の%は、特に断らない限り質量%を示す。
(C:0.05%以上0.14%以下)
Cは、良好な強度と穴拡げ性とのバランスを確保するために、主相(面積率最大の相)及び第2相の分率を制御する目的で添加する元素である。また、Cは、素地の微細均一化についても影響を与える。さらに、Cは、有用な脱酸元素でもある。Cは、所定の強度を確保するために0.05%以上を必要とするので、0.05%を下限とした。一方、Cが0.14%を超えると、穴拡げ性が著しく劣化するので、0.14%を上限とした。また、Cは、0.07以上0.12%未満がより好ましい範囲である。
(Si:0.001%以上0.60%未満)
Siは、強度延性バランスを向上させる他、比較的粗大な炭化物の生成を抑制することで穴拡げ性を向上させる元素である。また、Siは、脱酸元素としても有用である。しかしながら、Siの過剰添加は溶接性や延性、めっき性に悪影響を及ぼすので、0.6%未満とすることが好ましく、0.3%以上とすることがより好ましい。一方、極低Si化は製造コストの高騰を招くことから、0.001%以上とすることが好ましい。
(Mn:1.3%以上1.9%未満)
Mnは、強化元素として有効である。また、Mnは、粗大な炭化物生成を抑制し、穴広げ性を向上させる元素である。さらに、Mnは、脱酸元素としても有用である。しかしながら、Mnの過剰な添加は、マルテンサイトやベイナイトなどの生成を促進し、降伏比の低下をもたらす。さらに、偏析などによって延性や穴拡げ性の著しい低下を招く。このため、Mnは、1.9%未満とすることが好ましい。一方、Mnが1.3%未満では、必要な強度を得ることができないので、その下限を1.3%とした。また、Mnは、1.4%超え1.8%未満がより好ましい範囲である。
(P:0.001%以上0.03%未満)
Pは、強化元素である。一方、低P化は穴拡げ性を向上させるが、極低P化は経済的にも不利であることから、0.001%以上とすることが好ましい。また、Pの多量添加は、溶接性や鋳造時や熱延時の製造性、更には穴拡げ性にも悪影響を及ぼすため、0.03%未満とすることが好ましく、0.015%がより好ましい上限である。
(S:0.0001%以上0.01%以下)
Sは、強化元素である。一方、低S化は穴拡げ性向上に有効であるが、極低S化は経済的に不利であることから、0.0001%以上とすることが好ましい。また、0.01%以下としたのは、これを超えるSの添加は、鋼板の穴拡げ性に悪影響を及ぼすためである。また、Sは、0.004%以下とすることがより好ましい。
(Al:0.010%未満)
Alは、本発明にとって重要な元素である。すなわち、Alは、一般に脱酸元素として広く活用されているが、過剰に添加すると粗大なAl系の介在物、例えばアルミナのクラスターを形成し穴拡げ性を劣化させる元素である。このため、Alは、0.010%未満とすることが好ましい。Alの下限は特には規定しないが、0.0001%以下とするのは困難であるので、これを実質的な下限として0.0001%超とすることが好ましい。また、Alは、0.005%未満がより好ましく、0.003%未満とすることがより一層好ましい。
(N:0.0005%以上0.0040%未満)
Nは、機械的強度を高めたり、BH性(焼付き硬化性)を付与したりするのに役立つが、添加しすぎると粗大な化合物を形成し、穴拡げ性を劣化させるので、0.0040%未満とすることが好ましい。一方、Nを0.0005%未満とすることは技術的に極めて困難なので、0.0005%とすることが好ましい。
(Nb:0.014%以上0.032%以下)
Nbは、本発明において非常に重要な元素である。すなわち、Nbは、微細な炭化物、窒化物又は炭窒化物を形成して、鋼板の強化に極めて有効なばかりでなく、下記に述べる粒子径1〜20nmの微細な化合物の形成を通じて穴広げ性を顕著に向上させる元素である。また、Nbは、溶接熱影響部の軟化抑制にも効果的であることから、0.014%以上を添加することが好ましい。一方、Nbの過剰な添加は、延性や熱間圧延性を劣化させることから、0.032%以下とすることが好ましい。また、Nbは、0.017%以上0.026%以下がより好ましい範囲である。
ここで、本発明の鋼板において、Nbを含有する粒子径が1nm以上20nm以下の化合物は、1平方mm当たり90個以上存在することが好ましい。本発明では、このような微細な化合物が伸びフランジ成形時の亀裂の進展を抑制する効果があることを新たに見出した。また、この化合物は、1平方mm当たり200個以上存在することがより好ましい。さらに、Nbを含有する粒子径が1nm以上10nm以下の化合物が、1平方mm当たり300個以上存在することがより一層好ましい。なお、化合物の存在密度は、高分解能FE−SEMや高分解能FE−TEMで粒子を100個以上測定し、その個数を測定面積で除して求めればよい。
(Ti:0.009%以上0.025%未満)
Tiは、微細な析出物を形成して機械的強度を高めたり、穴拡げ性を向上させる元素である。また、Tiは、化合物を微細化し、穴拡げ性を向上させる効果を有する。また、Tiは、良好な強度及び穴拡げ性、並びにめっき材の溶接性や溶接後の疲労耐久性を向上させるのに有効である。Tiは、0.009%未満では十分な効果が得られないので、0.009%以上とすることが好ましい。一方、Tiを0.025%以上添加すると、粗大な窒化物や、炭化物、炭窒化物を形成し、穴拡げ性を劣化させるので、0.025%未満とすることが好ましい。また、Tiは、0.015%以上0.023%以下がより好ましい範囲である。なお、上記のNbを含有する化合物には、Tiが含まれていても構わない。
(O:0.002%以上0.011%以下)
Oは、本発明において極めて重要な元素である。すなわち、Oは、Feなどと結合して酸化物を形成するので、Oの量によって酸化物の大きさや粒子数に影響を与える。本発明は、酸化物を積極的に活用して穴拡げ性を向上させるものである。しかしながら、Oが0.002%未満では、酸化物分散による穴拡げ性向上の効果が小さくなるので、0.002%を下限とした。一方、Oを0.011%超添加すると、酸化物が大きくなりすぎたり、数が増えすぎたりするので、0.011%を上限とした。また、Oは、0.003%以上0.006%未満が穴拡げ性に対してより好ましい範囲である。
ここで、本発明の鋼板においては、Oを含有する粒子径が0.5μm以上8.0μm以下の化合物、例えば、酸化物、又は酸化物と硫化物や炭化物、窒化物などとの複合化合物を、1平方mm当たり2〜200個の密度で含有することが好ましい。本要件を満たすことによって穴拡げ性が向上する。
なお、複合化合物については、複数種の化合物のうち何れかを生成サイトとして形成したため、結果として一塊の化合物として認識されるもの、或いは炭窒化物や炭硫化物を代表とする結晶構造が単一でも複数の化学成分からなるものの両方を含む。さらに、前者(一塊の化合物)と後者(結晶構造が単一で複数の化学成分からなる化合物)が混在する場合もあり得る。また、Oを含有するということは、粒子全体に均一にOが存在する場合だけでなく、不均一又は部分的に存在する場合も含まれる。Oと共存する元素は、Fe以外にも、例えばSi、Mn、Ce、Ti、Nb、S、Al、C、Nなどがあり得る。
本発明者らは、高強度冷延鋼板の穴拡げ性を改善するために鋭意検討を行った結果、Oを含有する比較的微細な化合物が適度に分散していることと、下地の組織が主にフェライトとパーライト及び/又は鉄系炭化物とを含む組織であることとを同時に満たすことが、穴拡げ性向上に極めて重要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明の鋼板では、穴拡げ加工に先立つ、打ち抜き加工によって打ち抜き破面に生ずる欠陥を微細化し、その数を増やすことを通じて、比較的大きなクラックの発生と伝播を抑制するものと考えられる。さらに、本発明の鋼板では、製造条件のばらつきによる穴拡げ性のばらつきも小さいという特徴を有する。この理由は必ずしも明らかではないが、Alの量を低減しているため、化合物の大きさが比較的均一微細になりやすいことに起因すると思われる。
本発明の鋼板では、Oを含有する粒子径が0.5μm未満の化合物も当然存在するが、それらは伸びフランジ性には大きく影響しないのであえて対象外とした。また、粒子径が8μm超の化合物は、打ち抜き加工時や穴拡げ時に粗大クラック形成の起点となる場合があるので、少ない方が望ましい。
本発明の鋼板では、Oを含有する化合物の密度が1平方mm当たり2個未満では、穴拡げ性向上の効果が小さく、一方、200個超では多すぎて、かえって穴拡げ性が劣化する場合がある。また、より好ましい範囲は、1平方mm当たり15個以上99個以下である。さらに、Oを含有する1平方mm当たり粒子径が1.0μm以上5.0μm以下の化合物は、1平方mm当たり20個以上70個以下存在することがより一層好ましい。なお、この条件は、どのような化合物にも当てはまるわけではなく、下地の組織が主にフェライトとパーライト及び/又は鉄系炭化物とを含む組織である場合に成立することを新たに見出したものである。
Oを含有する化合物の粒子径と個数密度の測定については以下のようにして行う。すなわち、鋼板の圧延面と垂直且つ圧延方向に平行な断面を機械的に研磨した後、バフ研磨にて鏡面に仕上げる。これを走査型電子顕微鏡の2次電子像にて、400〜2000倍の倍率で観察を行い、最低60視野を無作為に測定し、且つ、0.5平方mm以上の面積について、0.5μm以上の粒子を個々に観察する。粒子径は、化合物の最長径とする。例えば、楕円の場合にはその長径を、長方形の場合にはその対角線長を粒子径とする。
また、密度を求める際には、複合化合物は1個として数える。組成分析は、EDXを用いる。組成分析の際には上記の倍率とする必要はなく、粒子組成を高倍率で観察しても構わない。但し、組成分析の際に電子線が粒子全体に照射されるように留意する必要がある。粒子が大きすぎて、一度の測定では粒子全体の化学組成情報を抽出できないときには、複数回の測定を行うこととする。Oが存在しているかどうかは、OのEDXピークがバックグランドよりも高いことによって確認する。密度は、上記のように求めた粒子径0.5μm以上8.0μm以下の個々の粒子の総和(個数)を観察面積の総和で除した値とする。なお、O以外にもFe、Si、Mn、S、Ti、Nb、N、C、Alなどの種々の元素が検出されても構わない。これはFeの酸化物形成に他の酸化物形成元素も寄与する場合やFe酸化物を析出核として種々の化合物が析出することがあるためである。一般にAl系の酸化物は穴広げ性を劣化させるので、化合物中のAlの含有量は10%未満であることが好ましい。
このように、本発明における穴広げ性の向上は、Oを含有する化合物を活用して、打ち抜き端面での微細亀裂の生成を意図的に促すことで、伸びフランジ変形により導入される歪の分散を図り、更にNbを含有する微細な化合物で、亀裂の進展を抑制するという亀裂の形成と伝播という2つのステージに異なる化合物を適用するという新しいメカニズムに立脚している。
本発明における鋼板のミクロ組織は、本発明において極めて重要である。すなわち、本発明の鋼板組織は、主としてフェライトとパーライト及び/又は鉄系炭化物とを含む組織で構成される。フェライトとは、ポリゴナルフェライト、アシキュラーフェライト、ベイニティックフェライト、未再結晶フェライトのうち何れか1種以上を含むものをいう。このうち、未再結晶フェライトは、必ず含まれており、L断面の光学顕微鏡組織観察やSEM観察により圧延方向に展伸した結晶粒として識別される。未再結晶フェライト粒をL断面から観察したとき、圧延方向と板厚方向のアスペクト比は、2.0以上であることが好ましい。これにより、高いYRが得られる。また、伸びフランジ性も、この組織と上述の化合物とを組み合わせることによって、初めて良好な値が得られる。
本発明における鋼板では、組織中にマルテンサイト、ベイナイト、残留オーステナイトが存在すると、YRが低下し、穴広げ性も低下するため、存在しないことが好ましい。しかしながら、これらを皆無とすることは困難である。一方、体積率の合計で3%以内であれば、特段にこれらの特性を劣化させることはなく、逆に延性を向上させる効果もあるので、これを上限として含有してもよい。
これらの組織の大きさは、5μm未満であることが好ましい。なお、上記ミクロ組織、フェライト(ポリゴナルフェライト、ベイニティックフェライト、アシキュラーフェライト)、ベイナイト、オーステナイト、マルテンサイト、界面酸化相及び残部組織の同定、存在位置の観察及び面積率の測定は、ナイタール試薬及び特開昭59−219473号公報に開示された試薬により、鋼板圧延方向断面又は圧延直角方向断面を腐食して、500〜1000倍の光学顕微鏡観察及び1000〜100000倍の電子顕微鏡(走査型及び透過型)により定量化が可能である。そして、各20視野以上の観察を行い、ポイントカウント法や画像解析により各組織の面積率を求めることができる。
本発明で得られる鋼板の引張強さTSは、490MPa以上720MPa未満であることが好ましい。TSが490MPa未満では、十分な衝突エネルギー吸収能を付与することが困難であるので、490MPaを下限とした。また、TSは、540MPa以上とすることがより好ましい。一方、衝突エネルギー吸収の観点からはTSが高いほうが好ましいが、形状凍結不良を初めとする成形不具合が発生しやすくなるので、720MPa未満とすることが好ましく、680MPa未満とすることがより好ましい。
一方、降伏強度YSをTSで除した値である降伏比YRは、0.70超0.92未満であることが好ましい。YRが0.70以下では良好な衝突エネルギー吸収特性を得ることが難しいので、これを下限に0.70超とした。一方、YRが0.92以上では成形不具合が発生しやすくなるので、これを上限に0.92未満とした。また、YRは、0.74以上0.89以下がより好ましく、0.78以上0.86以下がより一層好ましい範囲である。
本発明の鋼板では、引張試験によって降伏点伸びが0.3%以上出現することも特徴である。固溶C及び/又は固溶Nが残存することで、降伏点伸びが発生するが、これによって穴広げ性が向上すること、並びにYRが増加するメリットがある。また、降伏点伸びは0.5%以上がより好ましい。一方、降伏点伸びが7%を超えると、材質の時効劣化が懸念されるので、7%を上限とする。より一層好ましい範囲は、1〜5%である。
伸びフランジ性については、穴拡げ率λで評価し、鉄鋼連盟規格に準拠して測定する。本発明におけるλ値は40%以上とすることが好ましく、より好ましくは50%以上であり、更に好ましくは60%以上である。
さらに、本発明の鋼板において、伸び(El)と穴拡げ率(λ)とTSとの積、すなわちEl(%)×λ(%)×TS(MPa)は、80000以上とすることが好ましい。一般的な成形では伸びとλの両方が優れていることが求められ、本発明はこの要望を満足するものである。また、この値は90000以上であることがより好ましい。
(B:0.0001%以上0.001%未満)
Bは、0.0001質量%以上を添加することで、粒界の強化や鋼材の高強度化に有効となるが、0.001%以上添加すると、その効果が飽和するばかりでなく、λを低下させるので、これを上限に0.001%未満とすることが好ましい。
さらに、本発明の鋼板では、強度と穴拡げ性とのバランスに悪影響を与えずにめっき性を向上させることを目的として、Cr,Cu,Niのうち何れか1種又は2種以上を含有することができる。
(Cr:0.01%以上1.0%未満)
Crは、強化及び粗大炭化物生成の抑制による穴広げ性の向上を目的として添加する元素であり、0.01%以上添加することが好ましい。一方、1.0%以上添加すると、加工性やめっき性に悪影響を及ぼすため、これを上限に1.0%未満とすることが好ましい。
(Ni:0.01%以上2.0%以下)
Niは、めっき性向上以外に強度確保を目的とした元素であり、0.01%以上添加することが好ましい。一方、2%を超えて添加すると、加工性、特にマルテンサイト生成に伴う硬度の上昇を通じて、穴拡げ性に悪影響を及ぼすため、2.0%以下とすることが好ましい。
(Cu:0.001%以上2.0%以下)
Cuは、めっき性向上以外に強度の向上を目的とした元素であり、0.001質量%以上添加することが好ましい。一方、2質量%を超えて添加すると、加工性及び製造性に悪影響を及ぼすため、2.0%以下とすることが好ましい。
特に、本発明の鋼板において、Siが0.3%以上添加されている場合には、Niを0.2%以上、Cuを0.1%以上とすることがめっき性と合金化反応性の観点から望ましい。
さらに、本発明の鋼板では、Mo、Wのうち何れか1種又は2種以上を含有することができる。
(Mo:0.01%以上0.3%以下)
Moは、強化及び炭化物生成の抑制を目的とした元素であり、0.01%以上添加することによって、その効果を得ることができる。しかしながら、Moが0.3%を越えると、コストの上昇を招き、マルテンサイトやベイナイトの生成を促し、穴広げ性を劣化させるので、0.3%を上限とした。Moは、その他にも溶接時の熱影響部において軟化を防止する効果も有する。
(W:0.01%以上0.3%以下)
Wは、0.01%以上添加することで強化効果が現れる。一方、Wを0.3%を超えて添加すると、Moと同様の理由で穴拡げ性に悪影響を及ぼすため、0.3%を上限とした。
(Zr、Hf、Ta、V:合計で0.001%以上1%以下)
さらに、本発明の鋼板では、強度と穴拡げ性とのバランスの更なる向上を目的として、強炭化物形成元素であるZr、Hf、Ta、Vのうち何れか1種又は2種以上を合計で0.001%以上1%以下含有することができる。これらを合計で0.001質量%以上添加することによって、その効果を得ることができる。一方、1%を超えて添加すると、延性や熱間圧延性の劣化を招くことから、その上限を1%とした。
(Ca、La、Y:合計で0.0001%以上0.5%以下)
さらに、本発明の鋼板では、介在物の制御、特に微細分散化に寄与することを目的として、Ca、La、Yのうち何れか1種又は2種以上を合計で0.0001%以上0.5%以下含有することができる。これらを合計で0.0001質量%以上添加することによって、その効果を得ることができる。一方、0.5%を超えて添加すると、鋳造性や熱間圧延性などの製造性及び鋼板製品の延性を低下させるため、その上限を0.5%とした。
(La、Y以外のREM:合計で0.0001%以上0.5%以下)
さらに、本発明の鋼板では、介在物の制御、特に微細分散化に寄与することを目的として、La、Y以外のREMを合計で0.0001%以上0.5%以下含有することができる。これらを合計で0.0001質量%以上添加することによって、その効果を得ることができる。一方、0.5%を超えて添加すると、鋳造性や熱間圧延性などの製造性及び鋼板製品の延性を低下させるため、その上限を0.5%とした。
(Ce、Mg:合計で0.0001%以上0.2%以下)
さらに、本発明の鋼板では、介在物、特に酸化物の微細分散化に寄与する元素として、Ce、Mgのうち何れか一方又は両方を合計で0.0001%以上0.2%以下含有することができる。これらは合計で0.0001%以上添加することによって、その効果を得ることができる。一方、0.2%を超えて添加すると、鋳造性や熱間圧延性などの製造性及び鋼板製品の延性を低下させるため、その上限を0.2%とした。
(不可避不純物)
不可避的不純物としては、例えばSnやSbなどがあるが、これら元素を合計で0.2%以下の範囲で含有しても、本発明の効果を損なうものではない。
次に、本発明の鋼板を製造する際の限定理由について説明する。
成分調整は、通常の高炉−転炉法の他、電気炉等で行ってもよい。鋳造法も特に限定するものではなく、通常の連続鋳造法やインゴット法、薄スラブ鋳造法によって本発明の鋼板を鋳造すればよい。また、鋳造スラブを一旦冷却し、再加熱してから熱間圧延を施してもよいし、冷却せずに直接熱間圧延を行ってもよい。
再加熱する場合には、1140℃以上の温度に加熱する。この温度が1140℃未満では、上述したNbを含有する化合物を微細化することが困難となるため、穴広げ性が劣化する。また、未再結晶フェライトを得ることも困難になるため、YRも低下する。したがって、1140℃を下限とする。上限は特に定めないが、1300℃以上とするのは困難であるため、これを実質的な上限として1300℃未満とすることが好ましい。
次に、合計で70%以上の圧下率で熱延を施し、950〜1080℃の温度範囲にて2s以上保持する。この圧下率を70%以上とすることによって、硫化物や炭窒化物などを微細に析出させ、穴広げ性が良好になるため、その下限を70%とした。一方、この悪化率の上限は特に定めないが、生産性や設備制約の観点から90%超とすることは困難であるので、90%が実質的な上限である。
圧延後の保持は、950℃以上1080℃以下でなくてはならない。この温度範囲外では上記の析出が十分に起こらないためである。保持時間も同様の理由から2秒以上とする。保持時間の上限は特に定めないが、30秒超保持するのは生産性を低下させるので、30秒が実質的な上限である。なお、圧下率の計算は、圧延前の板厚から圧延完了後の板厚を引いた値を圧延前の板厚で除して100倍すればよい(以下、同様)。
次に、更に合計で85%以上の圧下率で圧延を施し、仕上温度を820℃以上930℃以下とする熱間圧延を行う。この圧下率と温度は、組織を微細化し、圧延後の冷却中や巻取り中のNbを含有する化合物の析出を促す観点から決定される。すなわち、圧下率が85%未満の圧延では、組織を十分に微細化することは困難であるため、85%を下限とした。一方、圧下率が98%を超える圧延は、設備にとって過大な付加となるので、98%を上限とした。また、90%以上94%以下がより好ましい圧下率である。
仕上温度は、820℃未満では一部がフェライト域圧延となり板厚制御が困難となったり、製品の材質に悪影響を及ぼすことがあるため、820℃を下限とした。一方、930℃を超えると組織の微細化を図ることが困難となるため、930℃を上限とした。また、仕上温度は、860℃以上900℃未満がより好ましい範囲である。
次に、熱間圧延後に2秒超空冷してから水冷を開始する。これによって製品のYRが増加し、穴広げ性も向上する。この理由は定かではないが、この空冷によってNb系化合物のエンブリオが形成され、後の冷却や巻き取り工程でNbを含有する化合物が微細且つ多量に析出するためと推測される。この時間は2秒以下では効果が乏しく、より好ましくは3秒以上である。一方、10秒以上空冷すると微細なNb含有化合物を得ることが困難となるので、10秒未満とすることが好ましい。より好ましくは3秒以上5秒以下である。
次に、水冷は620〜720℃の温度範囲で終了する。水冷は、720℃超とするとNbを含有する化合物が粗大となり、一方、620℃未満とするとNbを含有する化合物の量が少なくなってしまう。より好ましくは640℃以上690℃以下である。
次に、空冷して440℃以上660℃以下の温度で巻き取る。このように、巻き取り温度を660℃以下440℃以上とすることで、上記Nbを含有する化合物の析出を更に促すことができる。また、巻き取り温度は、480℃以上600℃未満がより好ましく、520℃以上580℃以下が更に好ましい。
次に、巻き取りされた熱延鋼板を酸洗した後、40%以上80%以下の圧下率で冷延を施す。40%未満の圧下率では冷延鋼板の形状不良を招く場合がある。一方、80%を超えた圧下率で冷延すると未再結晶フェライトが消失し、YRが低下する。また、冷延時の圧下率は、40%以上70%未満が好ましく、50%以上65%以下が更に好ましい。
次に、最高到達温度を730℃以上800℃以下とする熱処理を施した後、冷却し、280℃以上420℃以下の温度で30秒以上保持する。最高到達温度が730℃未満ではα→γ変態が起こらず、また、加工性が劣悪になりやすいので、730℃を下限とした。一方、最高到達温度を800℃超とすると再結晶が進みすぎること、またNbを含有する化合物が粗大化するので、800℃を上限とした。また、最高到達温度は、740℃以上780℃以下がより好ましい。なお、この温度域での熱処理時間は、特に限定しないが、鋼板の温度均一化のために10秒以上が必要である。一方、この熱処理時間が3分を超えると、粒界酸化相の生成が促進される上、コストの上昇を招く。
熱処理後に冷却し、280℃以上420℃以下にて30秒以上保持することによって、化合物を形成していない炭素を炭化物として微細に析出させることができる。この保持時間が30秒未満では、降伏点伸びが大きくなりすぎて材質の時効劣化代が大きくなる。一方、1000秒以上保持すると、生産性を阻害するだけでなく、降伏点伸びを消失させるので好ましくない。この保持時間は、30秒以上500秒以下がより好ましい範囲である。
なお、700℃以上450℃以下の温度範囲における平均冷却速度は、30℃/秒未満とすることが好ましく、より好ましくは15℃/秒以下である。これは、平均冷却速度を30℃/秒以上とすると、マルテンサイトやベイナイト、残留オーステナイトが生成しやすくなるためである。なお、本発明では、引き続きスキンパスを圧下率3%以内で行ってもよい。
このようにして製造した冷延鋼板に必要に応じて溶融亜鉛系めっきや、合金化溶融亜鉛系めっき、電気亜鉛系めっき等を施してもよい。さらに、その上に樹脂系を初めとする種々の被覆を目的に応じて施しても構わない。
溶融亜鉛めっきを施す場合には、上記冷間圧延後に、最高到達温度を730℃以上800℃以下とする熱処理を施した後、最高到達温度を730℃以上800℃未満とし、440℃以上500℃以下の範囲まで冷却し、亜鉛系めっき浴に鋼板を浸漬する。
さらに、合金化溶融亜鉛系めっき鋼板を製造する場合には、めっき浴に浸漬した後、更に、460℃以上600℃未満の温度に再加熱し、3秒以上保持する。この温度が460℃未満では合金化が十分に進まず、一方、600℃以上では合金化が過度に進行してプレス成形時にめっき層が剥離する場合がある。また、500℃以上540℃以下がより好ましい温度範囲である。
なお、700℃以上500℃以下の温度範囲における平均冷却速度は、30℃/秒未満とすることが好ましく、より好ましくは15℃/秒以下であり、更に好ましくは10℃/秒未満である。これは、平均冷却速度を30℃/秒以上とすると、マルテンサイトやベイナイト、残留オーステナイトが生成しやすくなるためである。なお、本発明では、引き続きスキンパスを圧下率3%以内で行ってもよい。さらに、その上に樹脂系を初めとする種々の被覆を目的に応じて施しても構わない。
また、本発明の鋼板は、溶接性にも優れている。溶接方法については、通常行われる溶接方法、例えば、アーク、スポット、TIG、MIG、マッシュ、フラッシュバット、プラズマ、レーザー等の溶接方法を適用可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施例1)
実施例1では、先ず、表1に示すような化学組成を有する各スラブを転炉にて調製した。次に、各スラブを1240℃に加熱し、表2に示す圧下率(R1)でそれぞれ熱延を施した後、950℃以上1080℃以下の温度域にて、表2に示す保持時間(t1)で保持し、更に、表2に示す圧下率(R2)で熱延を行い、仕上温度をAr3変態温度以上である約890℃で熱延を完了した。次に、表2に示す空冷時間(t2)で空冷し、平均冷却速度を約25℃/秒としながら水冷によって約630℃まで冷却した後、空冷し、約600℃で巻き取った。次に、得られた厚さ4.0mmの鋼帯を酸洗した後、圧下率60%の冷間圧延を施し、厚さ1.6mmの冷延鋼板を得た。次に、表2に示す最高到達温度(T)で焼鈍を行い、350℃にて150秒保持した後、室温まで冷却した。さらに圧下率0.6%のスキンパスを施した。
そして、得られた各鋼板について、鉄鋼連盟規定の穴拡げ試験、JISに準拠した引張り試験、及び鋼板組織内にある化合物の調査を行った。具体的には、各鋼板からJIS5号引張り試験片を採取して、圧延方向に対する垂直方向の引張特性を測定した。また、各鋼板について、引張試験における最高引張強さ(TS)、0.2%耐力(YS)、全伸び(El)を測定し、YS/TSで計算される降伏比(YR)、成形性を表す指標である(El×λ×TS)を求めた。また、各鋼板について、穴拡げ試験を行い、その穴拡げ率(λ)を求めた。また、鋼板板面と垂直で圧延方向と平行な断面について、EDXを搭載した走査型電子顕微鏡を用いて、鋼板組織内にある化合物の大きさと密度、さらに化学組成を分析した。以下、測定結果を表2に示す。
Figure 0004790639
Figure 0004790639
表2に示すように、本発明の要件を満たす鋼No.D−1,2、E−2,3、F−3、H1,2,3、I−1,2は、何れも鋼板の化学的成分が本発明で規定する範囲内にあり、且つ、鋼板の製造条件も本発明で規定する範囲内にある本発明例である。本発明例は、表2,3に示すように、何れも穴拡げ性と強度(引張強さ)のバランスに優れていることがわかる。一方、その他の鋼No.A−1,2、B−1,2、C−1,2、D−3、E−1、F−1,2、G−1,2、I−3、J−1,2は、鋼板の化学的成分が本発明で規定する範囲外にあるか、又は、鋼板の製造条件が本発明で規定する範囲外にある比較例であり、何れもYRが低く、El×λ×TSで表される成形性も劣位となっている。
(実施例2)
実施例2では、表1に示すような化学組成を有する各スラブを1240℃に加熱し、表3に示す圧下率(R1)でそれぞれ熱延を施した後、950℃以上1080℃以下の温度域にて、表3に示す保持時間(t1)で保持し、更に、表3に示す圧下率(R2)で熱延を行い、仕上温度をAr3変態温度以上である約890℃で熱延を完了した。次に、表2に示す空冷時間(t2)で空冷し、平均冷却速度を約25℃/秒としながら水冷によって約630℃まで冷却した後、空冷し、約600℃で巻き取った。次に、得られた厚さ4.0mmの鋼帯を酸洗した後、圧下率60%の冷間圧延を施し、厚さ1.6mmの冷延鋼板を得た。
次に、実施例2では、得られた冷延鋼板について、連続合金化溶融亜鉛めっき設備にて熱処理と溶融亜鉛めっきを施した。すなわち、各鋼板を加熱速度10℃/秒で700℃まで昇温し、加熱速度2℃/秒で最高到達温度760℃まで昇温した後、冷却速度0.2℃/秒で650℃まで冷却し、冷却速度10℃/秒で500℃まで冷却し、冷却速度2℃/秒で460℃まで冷却した。その後、めっき槽に浸漬し、加熱温度30℃/秒で500℃まで昇温し、500℃にて20秒保持して合金化処理を施した後、室温まで冷却した。
そして、得られた各めっき鋼板について、実施例1と同様の測定を行った。その測定結果を表3に示す。
Figure 0004790639
表3に示すように、本発明の要件を満たす鋼No.D−1、E−2,3、F−3、H−1,2,3、I−1は、何れも鋼板の化学的成分が本発明で規定する範囲内にあり、且つ、鋼板の製造条件も本発明で規定する範囲内にある本発明例である。本発明例は、表2,3に示すように、何れも穴拡げ性と強度(引張強さ)のバランスに優れていることがわかる。一方、その他の鋼No.A−1,2、B−1,2、C−1,2、D−3、E−1、F−1,2、G−1,2、I−3、J−1,2は、鋼板の化学的成分が本発明で規定する範囲外にあるか、又は、鋼板の製造条件が本発明で規定する範囲外にある比較例であり、何れもYRが低く、El×λ×TSで表される成形性も劣位となっている。

Claims (13)

  1. 質量%で、
    C:0.05%以上0.14%以下、
    Si:0.001%以上0.60%未満、
    Mn:1.3%以上1.9%未満、
    P:0.001%以上0.03%未満、
    S:0.0001%以上0.01%以下、
    Al:0.010%未満、
    N:0.0005%以上0.0040%未満、
    Nb:0.014%以上0.032%以下、
    Ti:0.009%以上0.025%未満、
    O:0.002%以上0.011%以下
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、鋼板組織が主としてフェライトとパーライト及び/又は鉄系炭化物とを含む組織からなり、Nbを含有する粒子径1nm以上20nm以下の化合物が、1平方mm当たり90個以上存在し、引張強さTSが490MPa以上720MPa未満であり、且つ、降伏比が0.70超0.92未満であることを特徴とする伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
  2. 更に、質量%で、
    B:0.0001%以上0.001%未満
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
  3. 更に、質量%で、
    Cr:0.01%以上1.0%未満、
    Ni:0.01%以上2.0%以下、
    Cu:0.001%以上2.0%以下
    のうち何れか1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
  4. 更に、質量%で、
    Mo:0.01%以上0.3%以下
    W:0.01%以上0.3%以下
    のうち何れか1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
  5. 更に、質量%で、
    Zr、Hf、Ta、Vのうち何れか1種又は2種以上を合計で0.001%以上1%以下含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
  6. 更に、質量%で、
    Ca、La、Yのうち何れか1種又は2種以上を合計で0.0001%以上0.5%以下含有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
  7. 更に、質量%で、
    La、Y以外のREMを合計で0.0001%以上0.5%以下含有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
  8. 更に、質量%で、
    Ce、Mgのうち何れか一方又は両方を合計で0.0001%以上0.2%以下含有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板。
  9. 請求項1乃至8の何れか一項に記載の冷延鋼板の表面に亜鉛系めっき層を有することを特徴とする伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた亜鉛系めっき高強度冷延鋼板。
  10. 請求項1乃至8の何れか一項に記載の化学成分を有するスラブを1140℃以上に加熱し、圧下率70%以上とする熱延を施した後、950℃以上1080℃以下の温度域にて2秒以上保持し、更に85%以上の圧下率で仕上温度を820℃以上930℃以下とする熱間圧延を行い、2秒超空冷した後、水冷を開始し、620℃以上720℃以下で水冷を完了し、その後空冷して440℃以上660℃以下で巻き取り、酸洗した後、40%以上80%以下の圧下率で冷延し、最高到達温度を730℃以上800℃未満とし、280℃以上420℃以下にて30秒以上保持することを特徴とする伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
  11. 請求項1乃至8の何れか一項に記載の化学成分を有するスラブを1140℃以上に加熱し、圧下率70%以上とする熱延を施した後、950℃以上1080℃以下の温度域にて2秒以上保持し、更に85%以上の圧下率で仕上温度を820℃以上930℃以下とする熱間圧延を行い、2秒超空冷した後、水冷を開始し、620℃以上720℃以下で水冷を完了し、その後空冷して440℃以上660℃以下で巻き取り、酸洗した後、40%以上80%以下の圧下率で冷延し、最高到達温度を730℃以上800℃未満とし、440℃以上500℃以下の範囲まで冷却し、溶融亜鉛系めっきを施すことを特徴とする伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた亜鉛系めっき高強度冷延鋼板の製造方法。
  12. 溶融亜鉛系めっきを施した後、更に、460℃以上600℃未満の温度域で3秒以上保持することを特徴とする請求項11に記載の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた合金化溶融亜鉛系めっき高強度冷延鋼板の製造方法。
  13. 請求項10に記載の製造方法で冷延鋼板を製造した後、亜鉛系の電気めっきを施すことを特徴とする伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた電気亜鉛系めっき高強度冷延鋼板の製造方法。
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