JP5654965B2 - シート成形品の製造方法 - Google Patents
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この種のシート成形品を作製するのに際しては、製造効率の観点から、通常、数十cmから1mを超えるような広幅な帯状の熱可塑性樹脂シートが用いられており、該熱可塑性樹脂シートが巻き取られてなるシートロールを用いた連続的な製造方法が採用されている。
この種の熱成形機には、通常、前記成形型による一度の熱成形に必要な長さだけ帯状の熱可塑性樹脂シートを長手方向に移動させる動作と該熱可塑性樹脂シートを前記成形型での熱成形のために一定期間停止させる動作とを交互に実施する間欠送りと呼ばれる搬送方法で熱可塑性樹脂シートを搬送するためのシート搬送手段がさらに備えられており、該熱成形機は、該シート搬送手段で熱可塑性樹脂シートを成形ゾーンに供給するとともに、該シート搬送手段で熱成形後の熱可塑性樹脂シートを前記成形ゾーンから排出させ得るように構成されている。
このとき、熱成形後の熱可塑性樹脂シートをトムソン刃型などで打抜いた打抜品などに対して曲面印刷等を施して図案を備えさせる方法が採用されたりしているが、一般的に曲面印刷は比較的高度な技術を要するためにその利用範囲が限定されている。
この曲面印刷に比べて簡便な方法としては、予め図案が備えられている熱可塑性樹脂シートを熱成形して当該図案をシート成形品に備えさせる方法が広く知られている。
一方でこのような方法においては、成形型の所定位置に図案を停止させて熱成形を実施しないとシート成形品の所定位置から図案がずれてしまうおそれを有する。
例えば、このような方法においては、間欠送りにおける熱可塑性樹脂シートの一回の移動量と熱可塑性樹脂シートの図案の間隔とを正確に一致させることが出来れば、最初の熱成形時において十分な位置合わせを行うことで以降作製されるシート成形品を最初に熱成形を行ったものと同等のものとすることができるが、間欠送りにおける移動量が図案の間隔と僅かにでも異なると、この誤差が熱成形の回数を重ねるに従って累積されてしまい成形型と図案との位置ズレが大きくなってシート成形品が不良品となってしまうおそれを有する。
また、従来、原材料の保管スペースの削減を図りつつ多品種少量生産への対応が容易であることから図案の施された帯状の樹脂フィルムを帯状の樹脂発泡シートに貼り合わせて積層発泡シートを作製しつつ該積層発泡シートを熱成形し、必要な数のシート成形品を得た後で、樹脂発泡シートをそのままにして前記樹脂フィルムのみを切り替えてデザインの異なるシート成形品を引き続き製造するようなことが行われているが、このような場合においては、樹脂フィルムを樹脂発泡シートに貼り合わせる際にも該樹脂フィルムが伸長されて図案の間隔が予定していた間隔と異なる状態になる場合があるために上記のような問題を抑制することがより一層困難である。
しかも、成形型の位置補正を行うためには大掛かりな制御機構が必要になり、位置補正のために成形型を移動させるのに多大な動力を必要とさせるおそれを有する。
即ち、本明細書における“帯状の熱可塑性樹脂シートの長手方向における図案の間隔”とは、成形型の同じ成形面に導入されるべき図案が熱可塑性樹脂シートの長手方向において保っている間隔を意味している。
そして、前記図案の間隔に相当する移動量となるように熱可塑性樹脂シートの移動量が調整されて図案の前記位置調整が行われることからシート成形品に対する図案のズレが抑制される。
即ち、熱可塑性樹脂シートの移動量を調整して図案の位置調整を行う本発明は、成形型自体を移動させて図案との位置調整を行っている従来の方法に比べて大掛かりな制御を必要とせずシート成形品に対する図案のズレを簡便に抑制させ得る。
従って、該熱可塑性樹脂シートが動いている最中にシャッターや成形型が熱可塑性樹脂シートに接触して熱可塑性樹脂シートを破損させる等の問題を生じさせるおそれを低減しつつ当該熱可塑性樹脂シートの停止前にシャッターや成形型の動作準備をさせておくことができる。
即ち、停止期間の時間短縮を図ることができ効率よくシート成形品を製造することができる。
前記丸皿容器1は、この丸皿容器1に備えさせる図案が施された樹脂フィルム2を白色無地の樹脂発泡シート3に積層させた積層発泡シート4によって形成されており、内面側が前記樹脂フィルム2で形成され、外表面側が樹脂発泡シート3で形成されている。
該丸皿容器1は、平面視円形の底面部11と該底面部11の外縁11eから外向きに広がって立ち上がる側壁部12と該側壁部12の上端縁12eから外向きに短く延びる鍔部13とを有し、前記側壁部12の上端縁12eによって円形の開口が上部に形成されている。
そして、前記丸皿容器1は、前記底面部11と鍔部13とを除く側壁部12の内面部分のみに前記市松模様による装飾が施されている。
なお、図においては、この積層発泡シート2(位置検出マーク21)の移動方向を矢印「D」で示している。
図2は前記丸皿容器を製造するのに使用する製造設備の構成を示す概略図で、正面視左側から右側に向けた方向が製造ラインの流れ方向となっている。
なお、図2(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
また、図3は、図2において破線Xで示されている領域を拡大した図であり、樹脂発泡シート3に樹脂フィルム4が積層された直後の積層発泡シート2と、熱成形機5の導入部分に設けられた加熱ゾーンにおける前記積層発泡シート2の様子を示した概略平面図である。
即ち、本実施形態の製造設備は、前記樹脂発泡シート3と前記樹脂フィルム4とを熱ラミネートによって積層一体化させて前記積層発泡シート2を作製しつつ該積層発泡シート2を前記熱成形機5に供給して前記丸皿容器1を製造し得るように構成されている。
そして、本実施形態において用いる前記ラミネート装置6は、前記原反ロール30から繰り出される樹脂発泡シート3と、前記フィルムロール40から繰り出される樹脂フィルム4とを熱ラミネートさせるべく構成されており、水平に配した前記樹脂発泡シート3の上面に前記樹脂フィルム4を重なり合わせて、これを上下に対をなすローラ61,62の間を通過させて積層一体化させ得るように構成されている。
即ち、この一対のローラ61,62は、樹脂フィルム4に当接される上側のローラが所定温度に設定可能な加熱ローラ61となっており、下側のローラは、通常、加熱を実施しない単なるバックアップローラ62として備えられている。
しかも、これらのローラ61,62は、その間のクリアランスを調整して樹脂発泡シート3に樹脂フィルム4を積層する際の圧力を調整し得るようにラミネート装置6に備えられている。
なお、前記熱成形機5には、積層発泡シート2の移動方向上流側から順に、積層発泡シート2を熱成形可能な軟化状態に加熱するための加熱ゾーン50a,50b,50cと前記成形型51の設置された成形ゾーン50dとが備えられており、前記成形ゾーン52dには、真空成形によって一度に複数の製品形状を積層発泡シート2に形成させ得る多数個取り金型が前記成形型51として備えられている。
即ち、本実施形態における前記熱成形機5は、前記成形型51による一度の熱成形に必要な分の積層発泡シート2を間欠送りによって第一加熱ゾーン50aから第三加熱ゾーン50cまでの間を順次滞留させて通過させ得るように形成されており、これらの領域を通過して軟化され且つ二次発泡した積層発泡シート2を前記成形ゾーン50dに導入させて前記成形型51で真空成形を行い得るように形成されている。
そして、この熱成形機5には、該成形ゾーン50dに隣接する前記第三加熱ゾーン50cから熱気が入り込んで成形型51が加熱されてしまうことを抑制すべく該成形ゾーン50dと前記第三加熱ゾーン50cとの間を仕切るシャッター55が設けられており、該シャッター55は、前記積層発泡シート2を停止させて熱成形を行う際には閉止状態となり、成形後の積層発泡シート2の移動時には開放状態となるように設けられている。
即ち、前記シャッター55は、シート搬送手段の動き(積層シートの間欠送り)に連動して開閉し得るように備えられている。
即ち、前記成形型51は、積層発泡シート2の間欠送りに連動して上下に移動するように熱成形機5に備えられており、積層発泡シート2の移動時には積層発泡シート2の下方において待機した状態となるように備えられている。
そして、前記成形型51は、積層発泡シート2が停止するのにあわせて上昇し、積層発泡シート2が停止した際には略同時に該積層発泡シート2の下面側に当接されるようにシート搬送手段の動きに連動した設定がなされて備えられている。
そして、該プラグアシスト機構52は、前記基板52aを上下動させ得るように構成されており、該上下動によって基板52aの下面に設けられた前記突出部52bを前記成形型51の凹部51aに対して進退させ得るように構成されている。
即ち、前記プラグアシスト機構52も、前記成形型51と同様に積層発泡シート2の間欠送りに連動して上下に移動するように熱成形機5に備えられており、積層発泡シート2の移動時には積層発泡シート2の上方において待機状態となるように備えられている。
そして、前記プラグアシスト機構52は、積層発泡シート2が停止するのにあわせて下降し、積層発泡シート2が停止した際には略同時に該積層発泡シート2の上面側に突出部52bの先端が当接されるようにシート搬送手段の動きに連動した設定がなされて備えられている。
なお、このプラグアシスト機構52は、積層発泡シート2の停止後も下降を継続し前記積層発泡シート2の上面側に当接させた突出部52bをさらに成形型51の凹部51aに侵入させ、前記積層発泡シート2の真空成形を補助させ得るように形成されている。
即ち、前記シート搬送手段は、積層発泡シート2の幅方向両端部(両側縁部)を前記クランプ54aによって把持させて該積層発泡シート2を前記加熱ゾーン50a,50b,50cから前記成形ゾーン50dまで搬送し得るように構成されている。
そして、前記位置検出マーク21は、積層発泡シート2の長手方向における図案の前記間隔(図2「P1」)に相当する間隔で当該積層発泡シート2の側縁部に沿って複数設けられている。
この位置検出マーク21は、積層発泡シート2の移動方向に対して横長となる長方形の黒ベタ印刷によって周囲とのコントラストを際立たせる形で設けられており、積層発泡シート2の長手方向に沿って前記図案22の間隔(P1)と同じ間隔(図2「P2」)を保って設けられている。
なお、以下においては、第一加熱ゾーン50aの上流側のものを第一光電管70aともいい、該第一光電管70aによる位置検出手段7を第一位置検出手段7aともいう。
また、以下においては、成形ゾーン50dの下流側のものを第二光電管70bともいい、該第二光電管70bによる位置検出手段7を第二位置検出手段7bともいう。
前記光電管70a,70bは、積層発泡シート2の上面に対して光を照射し、且つ、該上面からの反射光を受光し得るように積層発泡シート2の上方に備えられておりその下方を通過する位置検出マーク21を検出し得るように備えられている。
なお、これらの位置検出手段に備えられている前記駆動機構もシート搬送手段と連動されており、積層発泡シート2の停止中に前記光電管70a,70bを積層発泡シート2の移動方向(位置検出マークの移動経路)に沿って移動させ、前記停止中において前記位置検出マーク21の位置検出を実施し得るように備えられている。
このときラミネート装置6の加熱ローラ61とバックアップローラ62との間をあけた状態にしておき、加熱ローラ61が樹脂フィルム21に接触しないようにして熱成形機5の加熱ゾーンに設けられたヒーターの電源、並びに、加熱ローラ61の電源を入れ、それぞれが所定の温度となるまで待機する。
このことによって樹脂発泡シート3と樹脂フィルム4とを引取らせ一定のスピードで加熱ローラ61の下流側に積層発泡シート2を連続的に供給させることができる。
この実際の図案の間隔と設計値とのズレ量を「ΔP」とすると、積層発泡シートを間欠送りして熱成形をn回繰り返した際には、ズレ量の累積値が「ΔP×n」となる。
そして、この累積値(ΔP×n)が製品として許容できない値となった時点で製品が不良品になってしまうことになる。
例えば、設計値とのズレ量が0.1mmで丸皿容器においてこの程度の図案のズレを発生させたとしても実質上の問題が生じない場合であっても、本実施形態に示すような位置調整を実施せずに、単に決まったピッチで積層発泡シートを間欠送りして丸皿容器を形成させると10回の熱成形を行った際には1mmのズレとなってしまい、前記側壁部から市松模様がはみ出したような不良品が形成されるおそれを有する。
このことを防止するために、何回かに一度の割合で、製造ラインを止めて位置修正を行わせることも考え得るが、その場合には、積層発泡シートの一部を通常よりも前記位置修正に要する時間分長く加熱ゾーンに滞留させてしまうことになり、この部分を製品に利用できなくなるおそれを有する。
即ち、このようなラインを止めての位置修正を行ったのでは効率良く製品を作製することが難しい。
この場合は、原点から位置検出マーク21が検出されるまでの光電管70a,70bの移動距離(変動移動量(Px’))を図案の間隔(P1)に加えた移動量(P1+Px’)を固定移動量(Py’)として設定し、毎回の位置検出によって得られる変動移動量(Px’)を該固定移動量(Py’)から減じて次の移動における移動量とすればよい。
従って、本実施形態においては、試し成形から本生産に移行した後も、丸皿容器1対する図案22のズレが簡便に抑制される。
しかも、本生産を開始した後でこのズレ量に変化が生じたような場合にも、この変化に追従して間欠送りにおける各移動量が自動的に調整されることから、ラインを止めて位置修正を行う必要性がなく材料ロスを低減できるとともに不良品の発生を防止でき歩留り良く丸皿容器を製造することができる。
従って、移動中の積層発泡シート2に接触することなく、積層発泡シート2の停止後に、いち早く閉止するようにシャッター55を運転させることができるとともに前記プラグアシスト機構52も突出部52bを移動中の積層発泡シート2に接触させることなく、積層発泡シート2の停止後速やかに樹脂フィルム面に接触させることができる。
すなわち、タクトタイムの短縮化を図ることができ、丸皿容器1の製造効率をより一層向上させうる。
即ち、前記光電管は、少なくとも間欠送りによって位置検出マーク21が移動する経路の途中に配置されていれば上記のような製造方法を実施することができる。
しかし、第一加熱ゾーン50aの上流側の第一光電管70a(第一位置検出手段)のみで位置検出マークの位置検出を行ったのでは、加熱ゾーン内に、3ショット分の積層発泡シート2を残したままで丸皿容器1の製造を終了しなければならなくなる。
また、成形ゾーン50dの下流側の第二光電管70b(第二位置検出手段)のみで位置検出マークの位置検出を行ったのでは、少なくとも加熱ゾーンと成形ゾーンとの4ショット分の積層発泡シート2を予め熱成形機5に供給した後でなければ本生産を開始することができないため第一光電管70aのみを用い場合と同様に材料のロスを生じることになる。
このことから、作製した積層発泡シート2を出来るだけ使い切り、効率よく丸皿容器1を製造するために成形ゾーン50dの上流側と下流側との両方に光電管を設けて、この光電管で位置検出マークの位置検出を行わせ、本生産の開始時には第一位置検出手段での位置検出マークの位置検出による図案の位置調整を実施し、本生産開始後に第二位置検出手段で図案の位置調整を実施させるように切り替えて丸皿容器1を製造させることが好ましい。
例えば、位置検出マークが磁性材料によって描かれた樹脂フィルムを用い、前記位置検出手段として磁気センサーを採用することもできる。
また、位置検出マークを設ける方法としては、印刷等に限定されず、例えば、積層発泡シートの側縁に切欠を設けたり、側縁やや内側に貫通孔を設けたりして、この切欠や貫通孔を位置検出マークとして利用してもよい。
また、本実施形態においては、シート成形品の形成に利用可能な範囲をより広く確保させ得るようにクランプ54aによって把持される領域に位置検出マークを設けているが、例えば、クランプ54aによって把持される領域よりも内側に位置検出マークを設けてもよい。
この場合、位置検出マークがクランプによって隠れた状態になることがないので、例えば、第三加熱ゾーン50cに設置可能な耐熱性を有するセンサーを位置検出手段に用いて成形ゾーン50dの直前で位置検出させるようにしてもよい。
即ち、樹脂発泡シートや樹脂フィルム単体に図案を設けた熱可塑性樹脂シートを用いて丸皿容器などのシート成形品を製造する場合も本発明の意図する範囲のものである。
また、本発明においては、製造するシート成形品を上記のような丸皿容器に限定するものでもない。
さらに、シート成形品の製造方法などに関して従来公知の技術事項を、本発明のシート成形品の製造方法に適宜採用しうることは説明するまでもなく当然の事柄である。
Claims (2)
- 長手方向に所定間隔で図案が備えられている帯状の熱可塑性樹脂シートを前記長手方向への移動と停止とを交互に行う間欠送りによって熱成形機に供給し、前記停止における前記図案の停止位置が前記熱成形機の成形型に対する所定位置となるように位置調整しつつ前記間欠送りを実施して前記成形型で前記熱可塑性樹脂シートを熱成形することにより前記図案が所定位置に備えられたシート成形品を製造するシート成形品の製造方法であって、
前記図案の間隔に相当する間隔を設けて長手方向に沿って位置検出マークが備えられている熱可塑性樹脂シートを用い、
前記間欠送りにおける前記位置検出マークの移動経路に該位置検出マークを検出可能な位置検出手段を配置し、該位置検出手段を前記移動経路に沿って移動可能な状態で配置して前記間欠送りを実施し、
熱可塑性樹脂シートの停止中に前記位置検出手段を前記移動経路に沿って移動させて前記位置検出マークの位置検出を実施し、該位置検出によって得られた前記位置検出マークの位置情報に基づいて次の移動における熱可塑性樹脂シートの移動量を前記図案の間隔に相当する移動量となるように調整して図案の前記位置調整を実施することを特徴とするシート成形品の製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂シートが、前記図案とともに前記位置検出マークが設けられた熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂発泡シートとが積層された積層発泡シートであり、前記熱可塑性樹脂発泡シートと前記熱可塑性樹脂フィルムとを熱ラミネートによって積層一体化させて前記積層発泡シートを作製しつつ該積層発泡シートを前記熱成形機に供給して前記シート成形品を製造する請求項1記載のシート成形品の製造方法。
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2011
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