JP5654716B1 - はんだ合金、ソルダペーストおよび電子回路基板 - Google Patents

はんだ合金、ソルダペーストおよび電子回路基板 Download PDF

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Abstract

実質的にスズ、銀、インジウム、ビスマスおよびアンチモンからなるはんだ合金においてはんだ合金の総量に対して銀の含有割合を2.8質量%以上4質量%以下インジウムの含有割合を6.2質量%以上9.0質量%以下ビスマスの含有割合を0.7質量%以上5.0質量%以下アンチモンの含有割合を0.3質量%以上5.0質量%以下スズの含有割合を残部とし判別式(1)のAを4.36以下とする。A=0.87?[In含有割合(質量%)]−0.41?[Ag含有割合(質量%)]−0.82?[Sb含有割合(質量%)](1)

Description

本発明は、はんだ合金、ソルダペーストおよび電子回路基板に関し、詳しくは、はんだ合金、そのはんだ合金を含有するソルダペースト、さらに、そのソルダペーストを用いて得られる電子回路基板に関する。
一般的に、電気・電子機器などにおける金属接合では、ソルダペーストを用いたはんだ接合が採用されており、このようなソルダペーストには、従来、鉛を含有するはんだ合金が用いられる。
しかしながら、近年、環境負荷の観点から、鉛の使用を抑制することが要求されており、そのため、鉛を含有しないはんだ合金(鉛フリーはんだ合金)の開発が進められている。
このような鉛フリーはんだ合金としては、例えば、スズ−銅系合金、スズ−銀−銅系合金、スズ−銀−インジウム−ビスマス系合金、スズ−ビスマス系合金、スズ−亜鉛系合金などがよく知られているが、とりわけ、スズ−銀−銅系合金、スズ−銀−インジウム−ビスマス系合金などが広く用いられている。
鉛フリーはんだ合金として、より具体的には、Agを0.5〜5重量%、Inを0.5〜20重量%、Biを0.1〜3重量%の割合で含有し、さらに、Sb、Zn、Ni、Ga、GeおよびCuからなる群より選択される少なくとも1種を、3重量%以下の割合で含有し、残部がSnであるSn系はんだ合金が、提案されている(特許文献1参照)。
また、鉛フリーはんだ合金としては、上記の他、例えば、Agを1.0〜4.0重量%、Inを4.0〜6.0重量%、Biを0.1〜1.0重量%の割合で含有し、さらに、Cu、Ni、Co、FeおよびSbからなる群より選択される1種類以上の元素を1重量%以下の割合で含有し、残部がSnであるはんだ材料が、提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−188453号公報 国際公開第2010/122764号パンフレット
一方、このようなはんだ合金によりはんだ付される部品は、自動車のエンジンルームなど、比較的厳しい温度サイクル条件(例えば、−40〜150℃間の温度サイクルなど)下において用いられる場合がある。
そのため、はんだ合金としては、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露される場合にも、耐久性(とりわけ、耐冷熱疲労性)に優れることが要求される。また、はんだ付においては、比較的小さなサイズの電子部品(例えば、1005サイズ(1.0mm×0.5mm)のチップ部品)のみならず、比較的大きなサイズの電子部品(例えば、1608サイズ(1.6mm×0.8mm)のチップ部品、3216サイズ(3.2mm×1.6mm)のチップ部品など)が用いられる場合がある。
そのため、比較的厳しい温度サイクル条件下においても、サイズの大小によらず、電子部品を良好にはんだ付できるはんだ合金が、要求されている。
この点、特許文献1および特許文献2に記載のはんだ合金を用いて、比較的大きなサイズの電子部品をはんだ付し、得られた部品を比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露すると、例えば、相変態によってはんだ合金が変形し、互いに隣接するはんだ合金間に短絡を生じる場合や、例えば、はんだ合金にクラックを生じる場合があり、さらには、電子部品に損傷を生じる場合がある。
本発明の目的は、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができるはんだ合金、そのはんだ合金を含有するソルダペースト、さらに、そのソルダペーストを用いて得られる電子回路基板を提供することにある。
本発明の一観点に係るはんだ合金は、実質的に、スズ、銀、インジウム、ビスマスおよびアンチモンからなるはんだ合金であって、前記はんだ合金の総量に対して、前記銀の含有割合が、2.8質量%以上4質量%以下であり、前記インジウムの含有割合が、6.2質量%以上9.0質量%以下であり、前記ビスマスの含有割合が、0.7質量%以上5.0質量%以下であり、前記アンチモンの含有割合が、0.3質量%以上5.0質量%以下であり、前記スズの含有割合が、残部の割合であり、下記判別式(1)のAの値が、4.36以下であることを特徴としている。
A=0.87×[In含有割合(質量%)]−0.41×[Ag含有割合(質量%)]−0.82×[Sb含有割合(質量%)]・・・(1)
また、前記はんだ合金では、前記ビスマスの含有割合が、1.0質量%以上3.0質量%以下であることが好適である。
また、前記はんだ合金では、前記アンチモンの含有割合が、1、0質量%以上3.0質量%以下であることが好適である。
また、前記はんだ合金は、さらに、銅、ニッケル、コバルト、ガリウム、ゲルマニウムおよびリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有し、はんだ合金の総量に対して、前記元素の含有割合が、0質量%を超過し1質量%以下であることが好適である。
また、本発明の他の一観点に係るソルダペーストは、上記のはんだ合金からなるはんだ粉末と、フラックスとを含有することを特徴としている。
また、本発明のさらに他の一観点に係る電子回路基板は、上記のソルダペーストによるはんだ付部を備えることを特徴としている。
本発明の一観点に係るはんだ合金は、実質的に所定量のスズ、銀、インジウム、ビスマスおよびアンチモンからなるはんだ合金において、上記判別式(1)のAの値が、所定の値となるように設計されている。
そのため、本発明の一観点に係るはんだ合金によれば、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができる。
そして、本発明の他の一観点に係るソルダペーストは、上記はんだ合金を含有するので、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付けされた電子部品などの損傷を抑制することができる。
また、本発明のさらに他の一観点に係る電子回路基板は、はんだ付において、上記ソルダペーストが用いられるので、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができる。
本発明の一観点に係るはんだ合金は、スズ−銀−インジウム−ビスマス系のはんだ合金であって、必須成分として、スズ(Sn)、銀(Ag)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)およびアンチモン(Sb)を含有している。換言すれば、はんだ合金は、実質的に、スズ、銀、インジウム、ビスマスおよびアンチモンからなる。なお、本明細書において、実質的とは、上記の各元素を必須成分とし、また、後述する任意成分を後述する割合で含有することを許容する意味である。
このようなはんだ合金において、スズの含有割合は、後述する各成分の残余の割合であって、各成分の配合量に応じて、適宜設定される。
銀の含有割合は、はんだ合金の総量に対して、2.8質量%以上、好ましくは、3.0質量%以上であり、4質量%以下、好ましくは、3.8質量%以下である。
銀の含有割合が上記範囲であれば、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができる。
一方、銀の含有割合が上記下限未満である場合には、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露する場合の耐久性(とりわけ、比較的大きいサイズの電子部品に用いる場合の耐久性)に劣る。また、銀の含有割合が上記上限を超過する場合にも、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露する場合の耐久性(とりわけ、比較的大きいサイズの電子部品に用いる場合の耐久性)に劣り、さらには、はんだ付される電子部品などの破損を生じる場合がある。
インジウムの含有割合は、はんだ合金の総量に対して、6.2質量%以上、好ましくは、6.5質量%以上であり、9.0質量%以下、好ましくは、8.0質量%以下である。
インジウムの含有割合が上記範囲であれば、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができる。
具体的には、このはんだ合金は、スズおよび銀を含むので、通常、その中にAgSn(銀三スズ)組織が存在している。このようなAgSn組織は、繰り返し温度が上下されることにより凝集し、クラックを惹起する場合がある。
これに対して、はんだ合金にインジウムが上記割合で含有されている場合には、インジウムと銀が化合物を形成することにより、AgSnの凝集が抑制されるため、耐久性の向上を図ることができる。
さらに、このようなはんだ合金によりはんだ付される部品(回路基板など)は、繰り返し加温状態および冷却状態に曝露されることにより、破損を生じる可能性があるが、はんだ合金にインジウムが上記割合で含有されていれば、部品の破壊を良好に抑制できる。
なお、上記メカニズムは、本発明者等により推測されたものであり、したがって、本発明は、上記メカニズムに限定されない。
一方、インジウムの含有割合が上記下限未満である場合には、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露する場合の耐久性(とりわけ、比較的大きいサイズの電子部品に用いる場合の耐久性)に劣り、さらには、はんだ付される電子部品などの破損を生じる。また、インジウムの含有割合が上記上限を超過する場合にも、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露する場合の耐久性(とりわけ、比較的大きいサイズの電子部品に用いる場合の耐久性)に劣り、さらには、はんだ付される電子部品などの破損を生じる場合がある。
ビスマスの含有割合は、はんだ合金の総量に対して、0.7質量%以上、好ましくは、1.0質量%以上であり、5.0質量%以下、好ましくは、3.0質量%以下である。
ビスマスの含有割合が上記範囲であれば、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができる。
一方、ビスマスの含有割合が上記下限未満である場合には、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露する場合の耐久性(とりわけ、比較的大きいサイズの電子部品に用いる場合の耐久性)に劣る。また、ビスマスの含有割合が上記上限を超過する場合には、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露する場合の耐久性(とりわけ、比較的大きいサイズの電子部品に用いる場合の耐久性)に劣る場合があり、さらに、はんだ付される電子部品などの破損を生じる。
アンチモンの含有割合は、はんだ合金の総量に対して、0.3質量%以上、好ましくは、1.0質量%以上であり、5.0質量%以下、好ましくは、3.0質量%以下である。
アンチモンの含有割合が上記範囲であれば、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができる。
一方、アンチモンの含有割合が上記下限未満である場合には、はんだ合金が相変態する場合があるため、短絡を生じるおそれがあり、また、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露する場合の耐久性(とりわけ、比較的大きいサイズの電子部品に用いる場合の耐久性)に劣る。また、アンチモンの含有割合が上記上限を超過する場合には、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露する場合の比較的大きいサイズの電子部品に対する耐久性に劣る場合があり、また、はんだ付される電子部品などの破損を生じる。
また、上記はんだ合金は、任意成分として、さらに、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、リン(P)などを含有することができる。
任意成分として銅を含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下である。
銅の含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
任意成分としてニッケルを含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下である。
ニッケルの含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
任意成分としてコバルトを含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下である。
コバルトの含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
任意成分としてガリウムを含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下である。
ガリウムの含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
任意成分としてゲルマニウムを含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下である。
ゲルマニウムの含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
任意成分としてリンを含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下である。
リンの含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
これら任意成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
任意成分として上記の元素が含有される場合、その含有割合(2種類以上併用される場合には、それらの総量)は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下となるように、調整される。
任意成分の含有割合の総量が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
そして、このようなはんだ合金では、インジウムの含有割合、銀の含有割合、および、アンチモンの含有割合が、下記判別式(1)のAの値が後述する所定値となるように、調整される。
A=0.87×[In含有割合(質量%)]−0.41×[Ag含有割合(質量%)]−0.82×[Sb含有割合(質量%)]・・・(1)
上記の判別式(1)において、In含有割合とは、はんだ合金の総量に対するインジウムの含有割合(質量%)であり、また、Ag含有割合とは、はんだ合金の総量に対する銀の含有割合(質量%)であり、さらに、Sb含有割合とは、はんだ合金の総量に対するアンチモンの含有割合(質量%)である。
上記判別式(1)におけるAの値としては、4.36以下であることが挙げられ、好ましくは、4.20未満である。
上記判別式(1)におけるAの値が上記上限以下であれば、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができる。
一方、上記判別式(1)におけるAの値が上記上限を超過する場合には、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露する場合の耐久性(とりわけ、比較的大きいサイズの電子部品に用いる場合の耐久性)に劣る場合や、はんだ付される電子部品などの破損を生じる場合があり、さらに、相変態により短絡が生じる。
そして、このようなはんだ合金は、上記した各金属成分を溶融炉において溶融させ、均一化するなど、公知の方法で合金化することにより得ることができる。
なお、はんだ合金の製造に用いられる上記した各金属成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、微量の不純物(不可避不純物)を含有することができる。
不純物としては、例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、金(Au)などが挙げられる。
そして、このようにして得られるはんだ合金の、DSC法(測定条件:昇温速度0.5℃/分)により測定される融点は、例えば、190℃以上、好ましくは、200℃以上であり、例えば、250℃以下、好ましくは、240℃以下である。
はんだ合金の融点が上記範囲であれば、ソルダペーストに用いた場合に、簡易かつ作業性よく金属接合することができる。
そして、上記のはんだ合金は、実質的に所定量のスズ、銀、インジウム、ビスマスおよびアンチモンからなるはんだ合金において、上記判別式(1)のAの値が、所定の値となるように設計されている。
そのため、上記のはんだ合金によれば、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができる。
そのため、このようなはんだ合金は、好ましくは、ソルダペースト(ソルダペースト接合材)に含有される。
具体的には、本発明の他の一観点に係るソルダペーストは、上記したはんだ合金と、フラックスとを含有している。
ソルダペーストにおいて、はんだ合金は、好ましくは、粉末として含有される。
粉末形状としては、特に制限されず、例えば、実質的に完全な球状、例えば、扁平なブロック状、例えば、針状などが挙げられ、また、不定形であってもよい。粉末形状は、ソルダペーストに要求される性能(例えば、チクソトロピー、粘度など)に応じて、適宜設定される。
はんだ合金の粉末の平均粒子径(球状の場合)、または、平均長手方向長さ(球状でない場合)は、レーザ回折法による粒子径・粒度分布測定装置を用いた測定で、例えば、5μm以上、好ましくは、15μm以上、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
フラックスとしては、特に制限されず、公知のはんだフラックスを用いることができる。
具体的には、フラックスは、例えば、ベース樹脂(ロジン、アクリル樹脂など)、活性剤(例えば、エチルアミン、プロピルアミンなどアミンのハロゲン化水素酸塩、例えば、乳酸、クエン酸、安息香酸などの有機カルボン酸など)、チクソトロピー剤(硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックスなど)などを主成分とし、また、フラックスを液状にして使用する場合には、さらに有機溶剤を含有することができる。
そして、ソルダペーストは、上記したはんだ合金からなる粉末と、上記したフラックスとを、公知の方法で混合することにより得ることができる。
はんだ合金と、フラックスとの配合割合は、はんだ合金はんだ合金:フラックス(質量比)として、例えば、70:30〜90:10である。
そして、上記ソルダペーストは、上記はんだ合金を含有するので、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができる。
また、本発明は、上記のソルダペーストによるはんだ付部を備える電子回路基板を含んでいる。
すなわち、上記のソルダペーストは、例えば、電気・電子機器などの電子回路基板の電極と、電子部品とのはんだ付(金属接合)において、好適に用いられる。
電子部品としては、特に制限されず、例えば、チップ部品(ICチップなど)、抵抗器、ダイオード、コンデンサ、トランジスタなどの公知の電子部品が挙げられる。
電子部品のサイズとしては、例えば、電子部品が平面視略矩形状である場合などには、一辺の長さが、例えば、0.2mm以上であり、例えば、6.4mm以下である。
また、他辺の長さが、例えば、0.1mm以上であり、例えば、3.2mm以下である。
また、厚みが、例えば、0.05mm以上であり、例えば、3.0mm以下である。
また、一辺の長さと、他辺の長さとの積(平面視面積)が、例えば、0.02mm以上であり、例えば、21mm以下である。
なお、一辺の長さと、他辺の長さとの積(平面視面積)が、0.5mm以下の電子部品は、比較的小さなサイズの電子部品として扱われ、具体的には、例えば、1005サイズ(1.0mm×0.5mm)の電子部品などが挙げられる。
また、一辺の長さと、他辺の長さとの積(平面視面積)が、0.5mmを超過する電子部品は、比較的大きなサイズの電子部品として扱われ、具体的には、例えば、1608サイズ(1.6mm×0.8mm)の電子部品、3216サイズ(3.2mm×1.6mm)の電子部品などが挙げられる。
そして、このような電子回路基板は、はんだ付において、上記ソルダペーストが用いられるので、そのはんだ付部において、比較的厳しい温度サイクル条件下に曝露した場合においても、相変態による短絡を抑制することができ、はんだ付される電子部品の大小によらず、優れた耐久性を有し、さらに、はんだ付された電子部品などの損傷を抑制することができる。
なお、上記はんだ合金の使用方法は、上記ソルダペーストに限定されず、例えば、やに入りはんだ接合材の製造に用いることもできる。具体的には、例えば、公知の方法(例えば、押出成形など)により、上記のフラックスをコアとして、上記はんだ合金を線状に成形することにより、やに入りはんだ接合材を得ることもできる。
そして、このようなやに入りはんだ接合材も、ソルダペーストと同様、例えば、電気・電子機器などの電子回路基板のはんだ付(金属接合)において、好適に用いられる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。以下に示す実施例の数値は、実施形態において記載される数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
実施例1〜46および比較例1〜44
・はんだ合金の調製
表1〜2に記載の各金属の粉末を、表1〜2に記載の配合割合でそれぞれ混合し、得られた金属混合物を溶解炉にて溶解および均一化させて、はんだ合金を調製した。
なお、各実施例においては、下記判別式(1)のAの値が、4.36以下となるように調整した。
A=0.87×[In含有割合(質量%)]−0.41×[Ag含有割合(質量%)]−0.82×[Sb含有割合(質量%)]・・・(1)
また、各実施例および各比較例の配合処方におけるスズ(Sn)の配合割合は、表1〜2に記載の各金属(スズ(Sn)、銀(Ag)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、リン(P))の配合割合(質量%)を差し引いた残部である。
実施例1のはんだ合金は、Ag、In、BiおよびSbの各金属を表1に示す割合で配合して、残部をSnとしたものである。
実施例2〜3は、実施例1の処方に対して、Agの配合割合を増加させた処方の例であり、実施例4は、実施例3の処方に対して、Inの含有割合を増加させた処方の例である。
実施例5〜7は、実施例1〜3の処方に対して、Sbの配合割合を増加させた処方の例であり、実施例8〜10は、実施例5〜7の処方に対して、Inの配合割合を増加させた処方の例であり、実施例11〜12は、実施例9〜10の処方に対して、Inの配合割合をさらに増加させた処方の例である。
実施例13〜15は、実施例5〜7の処方に対して、Sbの配合割合をさらに増加させた処方の例であり、実施例16〜24は、実施例13〜15の処方に対して、Inの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例25〜30は、実施例9の処方に対して、Cu、Ni、Co、Ga、GeおよびPの内のいずれか1種を表1に示す割合で添加した処方の例であり、実施例31は、Cu、Ni、Co、Ga、GeおよびPの全てを表1に示す割合で添加した処方の例である。
実施例32および36は、実施例9の処方に対して、Sbの配合割合を増減させた処方の例である。
実施例33〜35は、実施例9の処方に対して、Biの配合割合を増減させた処方の例である。
実施例37は、実施例1の処方に対して、Biの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例38は、実施例1の処方に対して、Sbの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例39は、実施例3の処方に対して、Biの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例40は、実施例3の処方に対して、Sbの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例41は、実施例38の処方に対して、Inの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例42は、実施例38の処方に対して、Biの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例43は、実施例40の処方に対して、Inの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例44は、実施例40の処方に対して、Biの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例45は、実施例38の処方に対して、Inの配合割合およびBiの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例46は、実施例40の処方に対して、Inの配合割合およびBiの配合割合を増加させた処方の例である。
比較例1〜2は、実施例45〜46の処方に対して、Sbの配合割合を減少させ、上記の判別式(1)におけるAの値が上記所定値を超過するように調整した処方の例である。
比較例3〜6は、実施例1の処方に対して、Ag、In、BiおよびSbの内のいずれか1種の配合割合を減少させ、不十分とした処方の例である。
比較例7〜10は、実施例46の処方に対して、Ag、In、BiおよびSbの内のいずれか1種の配合割合を増加させ、過剰とした処方の例である。
比較例11〜18は、実施例9の処方に対して、Ag、In、BiおよびSbの内のいずれか1種の配合割合を増減させ、不十分または過剰とした処方の例である。
比較例19は、実施例5の処方に対して、Inの配合割合を増加させ、上記の判別式(1)におけるAの値が4.36を超過するように調整した処方の例である。
比較例20は、実施例5の処方に対して、Inの配合割合およびBiの配合割合を増加させ、上記の判別式(1)におけるAの値が4.36を超過するように調整した処方の例である。
比較例21は、実施例7の処方に対して、Inの配合割合を増加させ、上記の判別式(1)におけるAの値が4.36を超過するように調整した処方の例である。
比較例22は、実施例7の処方に対して、Inの配合割合およびBiの配合割合を増加させ、上記の判別式(1)におけるAの値が4.36を超過するように調整した処方の例である。
比較例23は、実施例23の処方に対して、Sbの配合割合を減少させ、上記の判別式(1)におけるAの値が4.36を超過するように調整した処方の例である。
比較例24は、実施例23の処方に対して、Sbの配合割合を減少させ、また、Biの配合割合を増加させ、上記の判別式(1)におけるAの値が4.36を超過するように調整した処方の例である。
比較例25〜32は、実施例1〜3のいずれかの処方に対して、Inの配合割合を増加させ、上記の判別式(1)におけるAの値が4.36を超過するように調整した処方の例である。
比較例33〜36は、実施例5〜7のいずれかの処方に対して、Inの配合割合を増加させ、上記の判別式(1)におけるAの値が4.36を超過するように調整した処方の例である。
比較例37〜44は、Ag、In、BiおよびSbの各金属を表1に示す割合で配合して、さらに、Cu、Ni、Pを表1に示す割合で添加して、残部をSnとしたものである。
・ソルダペーストの調製
得られたはんだ合金を、粒径が25〜38μmとなるように粉末化し、得られたはんだ合金の粉末と、公知のフラックスとを混合して、ソルダペーストを得た。
・ソルダペーストの評価
得られたソルダペーストをチップ部品搭載用のプリント基板に印刷して、リフロー法によりチップ部品を実装した。実装時のソルダペーストの印刷条件、チップ部品のサイズ等については、後述する各評価に応じて適宜設定した。
Figure 0005654716
Figure 0005654716
評価
<電子回路基板の製造>
各実施例および各比較例において得られたソルダペーストを、チップ部品搭載用プリント基板に印刷して、リフロー法によりチップ部品を実装した。ソルダペーストの印刷膜厚は、厚さ150μmのメタルマスクを用いて調整した。ソルダペーストの印刷後、1005サイズおよび3216サイズのチップコンデンサおよびチップ抵抗部品を、上記プリント基板の所定位置に搭載して、リフロー炉で加熱し、チップ部品を実装した。リフロー条件は、プリヒートを170〜190℃、ピーク温度を260℃として、220℃以上である時間が45秒間となるように設定し、また、ピーク温度から200℃までの降温時の冷却速度を3〜8℃/秒に設定した。
さらに、上記プリント基板を150℃の環境下で30分間保持し、次いで−40℃の環境下で30分間保持する冷熱サイクル試験に供した。
<相変態>
上記冷熱サイクルを3000サイクル繰り返したプリント基板について、0.4mmピッチのQFNランド部分(0.2mm幅ランド、0.2mm幅ギャップ)を外観観察し、下記の基準でランク付けした。
A:はんだ合金の変形が認められなかった。
B:はんだ合金の変形が認められたが、隣り合うランドのはんだ合金のブリッジは認められなかった。
C:隣り合うランドのはんだ合金との間にブリッジが形成されていた。
<耐久性>
冷熱サイクル3000サイクル後の1005サイズおよび3216サイズのチップコンデンサ部分を切断して、断面を研磨後、はんだフィレット部に発生した亀裂の割合を、以下の基準によりランク付けした。評価チップ数は、1005サイズまたは3216サイズのチップコンデンサを各10個とし、各チップサイズにおいて、亀裂が最大のものにより、ランク付けを実施した。
A:亀裂の割合がフィレット全長の70%以下であった。
B:亀裂の割合がフィレット全長の100%未満であった。
C:亀裂がフィレット部を完全に横断していた。
<部品破壊>
冷熱サイクル3000サイクル後の3216サイズチップ抵抗部分を切断して、断面を研磨後、チップ抵抗部品自体の電極部分に発生した亀裂の程度を、以下の基準によりランク付けした。なお、評価チップ数は10個とし、亀裂が最大のものでランク付けを実施した。
A:部品電極に亀裂が発生していなかった。
B:部品電極に亀裂が入っているが断裂していなかった。
C:部品電極の亀裂により、電極部分が断裂していた。
<総合評価>
「相変態」、「1005サイズチップを用いた際の耐久性」、「3216サイズチップを用いた際の耐久性」および「部品破壊」の各評価に対する評点として、評価“A”を2点、評価“B”を1点、評価“C”を0点とした。次いで、各評価項目の評点の合計を算出し、評価の合計に基づいて、各実施例および各比較例により得られたソルダペーストを、下記の基準によって総合的に評価した。
A:極めて良好(評点合計が8点である。)
B:良好(評点合計が6点または7点であり、かつ、評価“C”を含まない。)
C:不良(ランクCの項目を一つでも含む。)
Figure 0005654716
Figure 0005654716
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれる。
本発明のはんだ合金、はんだ組成物およびソルダペーストは、電気・電子機器などに用いられる電子回路基板において、利用される。

Claims (6)

  1. 実質的に、スズ、銀、インジウム、ビスマスおよびアンチモンからなるはんだ合金であって、
    前記はんだ合金の総量に対して、
    前記銀の含有割合が、2.8質量%以上4質量%以下であり、
    前記インジウムの含有割合が、6.2質量%以上9.0質量%以下であり、
    前記ビスマスの含有割合が、0.7質量%以上5.0質量%以下であり、
    前記アンチモンの含有割合が、0.3質量%以上5.0質量%以下であり、
    前記スズの含有割合が、残部の割合であり、
    下記判別式(1)のAの値が、4.36以下であることを特徴とする、はんだ合金。
    A=0.87×[In含有割合(質量%)]−0.41×[Ag含有割合(質量%)]−0.82×[Sb含有割合(質量%)]・・・(1)
    (ただし、
    前記銀の含有割合が3.2質量%であり、かつ、
    前記インジウムの含有割合が6.8質量%であり、かつ、
    前記ビスマスの含有割合が2.3質量%であり、かつ、
    前記アンチモンの含有割合が0.9質量%であり、かつ、
    前記スズの含有割合が残部の割合であるものを除く。)
  2. 前記ビスマスの含有割合が、1.0質量%以上3.0質量%以下である、請求項1に記載のはんだ合金。
  3. 前記アンチモンの含有割合が、10質量%以上3.0質量%以下である、
    請求項1に記載のはんだ合金。
  4. さらに、銅、ニッケル、コバルト、ガリウム、ゲルマニウムおよびリンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有し、
    はんだ合金の総量に対して、前記元素の含有割合が、0質量%を超過し1質量%以下である、請求項1に記載のはんだ合金。
  5. はんだ合金からなるはんだ粉末と、フラックスとを含有し、
    前記はんだ合金は、
    実質的に、スズ、銀、インジウム、ビスマスおよびアンチモンからなるはんだ合金であって、
    前記はんだ合金の総量に対して、
    前記銀の含有割合が、2.8質量%以上4質量%以下であり、
    前記インジウムの含有割合が、6.2質量%以上9.0質量%以下であり、
    前記ビスマスの含有割合が、0.7質量%以上5.0質量%以下であり、
    前記アンチモンの含有割合が、0.3質量%以上5.0質量%以下であり、
    前記スズの含有割合が、残部の割合であり、
    下記判別式(1)のAの値が、4.36以下である
    ことを特徴とする、ソルダペースト。
    A=0.87×[In含有割合(質量%)]−0.41×[Ag含有割合(質量%)]−0.82×[Sb含有割合(質量%)]・・・(1)
    (ただし、
    前記銀の含有割合が3.2質量%であり、かつ、
    前記インジウムの含有割合が6.8質量%であり、かつ、
    前記ビスマスの含有割合が2.3質量%であり、かつ、
    前記アンチモンの含有割合が0.9質量%であり、かつ、
    前記スズの含有割合が残部の割合であるものを除く。)
  6. ソルダペーストによるはんだ付部を備え、
    前記ソルダペーストは、
    はんだ合金からなるはんだ粉末と、フラックスとを含有し、
    前記はんだ合金は、
    実質的に、スズ、銀、インジウム、ビスマスおよびアンチモンからなるはんだ合金であって、
    前記はんだ合金の総量に対して、
    前記銀の含有割合が、2.8質量%以上4質量%以下であり、
    前記インジウムの含有割合が、6.2質量%以上9.0質量%以下であり、
    前記ビスマスの含有割合が、0.7質量%以上5.0質量%以下であり、
    前記アンチモンの含有割合が、0.3質量%以上5.0質量%以下であり、
    前記スズの含有割合が、残部の割合であり、
    下記判別式(1)のAの値が、4.36以下である
    ことを特徴とする、電子回路基板。
    A=0.87×[In含有割合(質量%)]−0.41×[Ag含有割合(質量%)]−0.82×[Sb含有割合(質量%)]・・・(1)
    (ただし、
    前記銀の含有割合が3.2質量%であり、かつ、
    前記インジウムの含有割合が6.8質量%であり、かつ、
    前記ビスマスの含有割合が2.3質量%であり、かつ、
    前記アンチモンの含有割合が0.9質量%であり、かつ、
    前記スズの含有割合が残部の割合であるものを除く。)
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