JP6053248B1 - はんだ合金、ソルダペーストおよび電子回路基板 - Google Patents

はんだ合金、ソルダペーストおよび電子回路基板 Download PDF

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Abstract

はんだ合金は、本質的に、スズ、銀、銅、ビスマス、アンチモンおよびコバルトからなるはんだ合金であって、はんだ合金の総量に対して、銀の含有割合が、3質量%以上3.5質量%以下であり、銅の含有割合が、0.4質量%以上1.0質量%以下であり、ビスマスの含有割合が、3.5質量%以上4.8質量%以下であり、アンチモンの含有割合が、3質量%以上5.5質量%以下であり、コバルトの含有割合が、0.001質量%以上0.1質量%以下であり、スズの含有割合が、残余の割合であり、かつ、ビスマスの含有割合と、アンチモンの含有割合との合計が、7.3質量%以上10.3質量%以下である。

Description

本発明は、はんだ合金、ソルダペーストおよび電子回路基板に関し、詳しくは、はんだ合金、そのはんだ合金を含有するソルダペースト、さらに、そのソルダペーストが用いられる電子回路基板に関する。
一般的に、電気・電子機器などにおける金属接合では、ソルダペーストを用いたはんだ接合が採用されており、このようなソルダペーストには、従来、鉛を含有するはんだ合金が用いられる。
しかしながら、近年、環境負荷の観点から、鉛の使用を抑制することが要求されており、そのため、鉛を含有しないはんだ合金(鉛フリーはんだ合金)の開発が進められている。
このような鉛フリーはんだ合金としては、例えば、スズ−銅系合金、スズ−銀−銅系合金、スズ−銀−インジウム−ビスマス系合金、スズ−ビスマス系合金、スズ−亜鉛系合金などがよく知られているが、とりわけ、スズ−銀−銅系合金、スズ−銀−インジウム−ビスマス系合金などが広く用いられている。
このような鉛フリーはんだ合金として、具体的には、例えば、Ag1〜4質量%、Cu0.6〜0.8質量%、Sb1〜5質量%、Ni0.01〜0.2質量%および残部のSnからなる鉛フリーはんだ合金が提案されており、さらに具体的には、例えば、Ag3.4質量%、Cu0.7質量%、Bi3.2質量%、Sb3.0質量%、Co0.01質量%または0.05質量%、Ni0.04質量%、および、残部のSnからなる鉛フリーはんだ合金が提案されている(特許文献1(実施例45〜46))。
国際公開第2014/163167号パンフレット
このような鉛フリーはんだ合金によりはんだ付される部品は、例えば、自動車のエンジンルームなど、比較的厳しい温度サイクル条件下(例えば、−40〜125℃間の温度サイクルなど)で用いられる場合がある。
とりわけ、近年においては、鉛フリーはんだ合金によりはんだ付される部品が、自動車のエンジンの極近傍など、とりわけ厳しい温度サイクル条件下(例えば、−40〜150℃間の温度サイクルなど)で用いられる場合がある。
このような場合、鉛フリーはんだ合金としては、上記の厳しい温度サイクル条件下に曝露される場合にも、耐熱疲労特性を維持することが要求されている。
しかし、特許文献1に記載の鉛フリーはんだ合金は、とりわけ厳しい温度サイクル条件下(例えば、−40〜150℃間の温度サイクルなど)において、耐疲労特性を維持することができない場合がある。
本発明の目的は、とりわけ厳しい温度サイクル条件下(例えば、−40〜150℃間の温度サイクルなど)においても、優れた耐熱疲労特性を維持できるはんだ合金、そのはんだ合金を含有するソルダペースト、さらに、そのソルダペーストを用いて得られる電子回路基板を提供することにある。
本発明は、
[1]本質的に、スズ、銀、銅、ビスマス、アンチモンおよびコバルトからなるはんだ合金であって、前記はんだ合金の総量に対して、前記銀の含有割合が、3質量%以上3.5質量%以下であり、前記銅の含有割合が、0.4質量%以上1.0質量%以下であり、前記ビスマスの含有割合が、3.5質量%以上4.8質量%以下であり、前記アンチモンの含有割合が、3質量%以上5.5質量%以下であり、前記コバルトの含有割合が、0.001質量%以上0.1質量%以下であり、前記スズの含有割合が、残余の割合であり、かつ、前記ビスマスの含有割合と、前記アンチモンの含有割合との合計が、7.3質量%以上10.3質量%以下であることを特徴とする、はんだ合金、
[2]前記ビスマスの含有割合と、前記アンチモンの含有割合との合計が、8.0質量%以上10.3質量%以下である、上記[1]に記載のはんだ合金、
[3]さらに、ニッケルおよびインジウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有し、はんだ合金の総量に対して、前記元素の含有割合が、0質量%を超過し0.2質量%以下である、上記[1]または[2]に記載のはんだ合金、
[4]前記銅の含有割合が、0.5質量%以上0.6質量%未満である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のはんだ合金、
[5]前記コバルトの含有割合が、0.008質量%を超過し0.03質量%以下である、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のはんだ合金、
[6]上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のはんだ合金からなるはんだ粉末と、フラックスとを含有することを特徴とする、ソルダペースト、
[7]上記[6]記載のソルダペーストのはんだ付によるはんだ付け部を備えることを特徴とする、電子回路基板
である。
本発明の一観点に係るはんだ合金は、本質的に、スズ、銀、銅、ビスマス、アンチモンおよびコバルトからなるはんだ合金であって、各成分の含有割合が、上記の所定量となるように設計されており、かつ、ビスマスの含有割合とアンチモンの含有割合との合計が上記の所定量となるように設計されている。
そのため、本発明の一観点に係るはんだ合金によれば、とりわけ厳しい温度サイクル条件下(例えば、−40〜150℃間の温度サイクルなど)においても、優れた耐熱疲労特性を維持することができる。
また、本発明の一観点に係るソルダペーストは、本発明のはんだ合金を含有するので、とりわけ厳しい温度サイクル条件下(例えば、−40〜150℃間の温度サイクルなど)においても、優れた耐熱疲労特性を維持することができる。
また、本発明の電子回路基板は、はんだ付において、本発明のソルダペーストが用いられるので、とりわけ厳しい温度サイクル条件下(例えば、−40〜150℃間の温度サイクルなど)においても、優れた耐熱疲労特性を維持することができる。
本発明の一観点に係るはんだ合金は、必須成分として、スズ(Sn)、銀(Ag)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびコバルト(Co)を含有している。換言すれば、はんだ合金は、本質的に、スズ、銀、銅、ビスマス、アンチモンおよびコバルトからなる。なお、本明細書において、本質的とは、上記の各元素を必須成分とし、また、後述する任意成分を後述する割合で含有することを許容する意味である。
このようなはんだ合金において、スズの含有割合は、後述する各成分の残余の割合であって、各成分の配合量に応じて、適宜設定される。
銀の含有割合は、はんだ合金の総量に対して、3質量%以上であり、3.5質量%以下、好ましくは、3.4質量%以下、より好ましくは、3.2質量%以下、さらに好ましくは、3.1質量%以下である。
銀の含有割合が上記範囲であれば、優れた耐熱疲労特性を得ることができ、とりわけ厳しい温度サイクル条件下においても、接合強度を維持することができる。
一方、銀の含有割合が上記下限を下回る場合には、耐熱疲労特性に劣り、また、銀の含有割合が上記上限を上回る場合にも、耐熱疲労特性に劣るという不具合がある。
銅の含有割合は、はんだ合金の総量に対して、0.4質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上であり、1.0質量%以下、好ましくは、0.7質量%以下、より好ましくは、0.6質量%未満である。
銅の含有割合が上記範囲であれば、優れた耐熱疲労特性を得ることができ、とりわけ厳しい温度サイクル条件下においても、接合強度を維持することができる。
一方、銅の含有割合が上記下限を下回る場合には、耐熱疲労特性に劣り、また、銅の含有割合が上記上限を上回る場合にも、耐熱疲労特性に劣るという不具合がある。
また、銅の含有割合は、優れた耐熱疲労特性を得る観点から、とりわけ好ましくは、はんだ合金の総量に対して、0.5質量%以上であり、0.6質量%未満である。
すなわち、銅の含有割合が上記範囲であれば、とりわけ優れた耐熱疲労特性を得ることができる。
また、銅の含有割合は、優れた耐衝撃性(具体的には、温度サイクル条件下に曝露した場合の耐衝撃性)を得る観点から、とりわけ好ましくは、はんだ合金の総量に対して、0.6質量%以上であり、0.7質量%以下である。
すなわち、銅の含有割合が上記範囲であれば、とりわけ優れた耐衝撃性を得ることができる。
ビスマスの含有割合は、はんだ合金の総量に対して、3.5質量%以上、好ましくは、3.8質量%以上、より好ましくは、4.0質量%以上であり、4.8質量%以下、好ましくは、4.5質量%以下、より好ましくは、4.2質量%以下である。
ビスマスの含有割合が上記範囲であり、かつ、ビスマスの含有割合とアンチモンの含有割合との合計が後述する範囲であれば、優れた耐熱疲労特性を得ることができ、とりわけ厳しい温度サイクル条件下においても、接合強度を維持することができる。
一方、ビスマスの含有割合が上記下限を下回る場合には、耐熱疲労特性に劣り、また、ビスマスの含有割合が上記上限を上回る場合にも、耐熱疲労特性に劣るという不具合がある。
アンチモンの含有割合は、はんだ合金の総量に対して、3質量%以上、好ましくは、3.5質量%以上であり、5.5質量%以下、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、4質量%以下である。
アンチモンの含有割合が上記範囲であり、かつ、ビスマスの含有割合とアンチモンの含有割合との合計が後述する範囲であれば、優れた耐熱疲労特性を得ることができ、とりわけ厳しい温度サイクル条件下においても、接合強度を維持することができる。
一方、アンチモンの含有割合が上記下限を下回る場合には、耐熱疲労特性に劣り、また、アンチモンの含有割合が上記上限を上回る場合にも、耐熱疲労特性に劣るという不具合がある。
また、本発明のはんだ合金では、ビスマスの含有割合とアンチモンの含有割合との合計が、7.3質量%以上、好ましくは、8.0質量%以上、より好ましくは、9.0質量%以上であり、10.3質量%以下、好ましくは、9.8質量%以下である。
ビスマスの含有割合とアンチモンの含有割合との合計が上記範囲であれば、優れた耐熱疲労特性を得ることができ、とりわけ厳しい温度サイクル条件下においても、接合強度を維持することができる。
一方、ビスマスの含有割合とアンチモンの含有割合との合計が上記下限を下回る場合には、耐熱疲労特性に劣る。また、ビスマスの含有割合とアンチモンの含有割合との合計が上記上限を上回る場合にも、耐熱疲労特性に劣る場合がある。
例えば、ビスマスの含有割合および/またはアンチモンの含有割合が、それぞれ、上記の範囲であっても、ビスマスの含有割合とアンチモンの含有割合との合計が7.3質量%以上でない場合には、耐熱疲労特性に劣る。
コバルトの含有割合は、はんだ合金の総量に対して、0.001質量%以上、好ましくは、0.005質量%以上、より好ましくは、0.008質量%を超過し、0.1質量%以下、好ましくは、0.05質量%以下、より好ましくは、0.03質量%以下である。
コバルトの含有割合が上記範囲であれば、優れた耐熱疲労特性を得ることができ、とりわけ厳しい温度サイクル条件下においても、接合強度を維持することができる。
一方、コバルトの含有割合が上記下限を下回る場合には、耐熱疲労特性に劣り、また、コバルトの含有割合が上記上限を上回る場合にも、耐熱疲労特性に劣るという不具合がある。
また、上記はんだ合金は、任意成分として、さらに、ニッケル(Ni)およびインジウム(In)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有することができる。
任意成分としてニッケルを含有する場合、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、0.2質量%以下である。
ニッケルの含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
任意成分としてインジウムを含有する場合、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、0.2質量%以下である。
インジウムの含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
これら任意成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
任意成分として上記の元素が含有される場合、その含有割合(2種類以上併用される場合には、それらの総量)は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、0.2質量%以下となるように、調整される。
任意成分の含有割合の総量が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
そして、このようなはんだ合金は、上記した各金属成分を溶融炉において溶融させ、均一化するなど、公知の方法で合金化することにより得ることができる。
なお、はんだ合金の製造に用いられる上記した各金属成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、微量の不純物(不可避不純物)を含有することができる。
不純物としては、例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、金(Au)などが挙げられる。
そして、このようにして得られるはんだ合金の、DSC法(測定条件:昇温速度0.5℃/分)により測定される融点は、例えば、200℃以上、好ましくは、210℃以上であり、例えば、240℃未満、好ましくは、230℃以下、より好ましくは、225℃以下である。
はんだ合金の融点が上記範囲であれば、ソルダペーストに用いた場合に、簡易かつ作業性よく金属接合することができ、また、はんだ付される部材の損傷を抑制できる。
そして、上記のはんだ合金は、本質的に、スズ、銀、銅、ビスマス、アンチモンおよびコバルトからなるはんだ合金であって、各成分の含有割合が、上記の所定量となるように設計されており、かつ、ビスマスの含有割合とアンチモンの含有割合との合計が上記の所定量となるように設計されている。
そのため、上記のはんだ合金によれば、とりわけ厳しい温度サイクル条件下(例えば、−40〜150℃間の温度サイクルなど)においても、優れた耐熱疲労特性を維持することができる。
そのため、このようなはんだ合金は、好ましくは、ソルダペースト(ソルダペースト接合材)に含有される。
具体的には、本発明の他の一観点に係るソルダペーストは、上記したはんだ合金と、フラックスとを含有している。
ソルダペーストにおいて、はんだ合金は、好ましくは、粉末として含有される。
粉末形状としては、特に制限されず、例えば、実質的に完全な球状、例えば、扁平なブロック状、例えば、針状などが挙げられ、また、不定形であってもよい。粉末形状は、ソルダペーストに要求される性能(例えば、チクソトロピー、粘度など)に応じて、適宜設定される。
はんだ合金の粉末の平均粒子径(球状の場合)、または、平均長手方向長さ(球状でない場合)は、レーザ回折法による粒子径・粒度分布測定装置を用いた測定で、例えば、5μm以上、好ましくは、15μm以上、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
フラックスとしては、特に制限されず、公知のはんだフラックスを用いることができる。
具体的には、フラックスは、例えば、ベース樹脂(ロジン、アクリル樹脂など)、活性剤(例えば、エチルアミン、プロピルアミンなどアミンのハロゲン化水素酸塩、例えば、乳酸、クエン酸、安息香酸などの有機カルボン酸など)、チクソトロピー剤(硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックスなど)などを主成分とし、また、フラックスを液状にして使用する場合には、さらに有機溶剤を含有することができる。
そして、ソルダペーストは、上記したはんだ合金からなる粉末と、上記したフラックスとを、公知の方法で混合することにより得ることができる。
はんだ合金と、フラックスとの配合割合は、はんだ合金はんだ合金:フラックス(質量比)として、例えば、70:30〜95:5である。
そして、上記ソルダペーストは、上記のはんだ合金を含有するので、とりわけ厳しい温度サイクル条件下(例えば、−40〜150℃間の温度サイクルなど)においても、優れた耐熱疲労特性を維持することができる。
また、本発明は、上記のソルダペーストによってはんだ付されているはんだ付部を備える電子回路基板を含んでいる。
すなわち、上記のソルダペーストは、例えば、電気・電子機器などのプリント基板の電極と、電子部品とのはんだ付(金属接合)において、好適に用いられる。
換言すると、電子回路基板は、電極を有するプリント基板と、電子部品と、電極および電子部品を金属接合するはんだ付部とを備え、はんだ付部が上記のソルダペーストをリフローすることにより形成されている。
電子部品としては、特に制限されず、例えば、チップ部品(ICチップなど)、抵抗器、ダイオード、コンデンサ、トランジスタなどの公知の電子部品が挙げられる。
そして、このような電子回路基板は、はんだ付において、上記のソルダペーストが用いられるので、とりわけ厳しい温度サイクル条件下(例えば、−40〜150℃間の温度サイクルなど)においても、優れた耐熱疲労特性を維持することができる。
なお、上記はんだ合金の使用方法は、上記ソルダペーストに限定されず、例えば、やに入りはんだ接合材の製造に用いることもできる。具体的には、例えば、公知の方法(例えば、押出成形など)により、上記のフラックスをコアとして、上記はんだ合金を線状に成形することにより、やに入りはんだ接合材を得ることもできる。
そして、このようなやに入りはんだ接合材も、ソルダペーストと同様、例えば、電気・電子機器などの電子回路基板のはんだ付(金属接合)において、好適に用いられる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
実施例1〜4、6〜7、9〜14、16〜22、23〜26、29〜31、参考例5、8、15、23、27、28および比較例1〜18
・はんだ合金の調製
表1に記載の各金属の粉末を、表1に記載の配合割合でそれぞれ混合し、得られた金属混合物を溶解炉にて溶解および均一化させて、はんだ合金を調製した。
また、各実施例および各比較例の配合処方におけるスズ(Sn)の配合割合は、表1に記載の各金属(銀(Ag)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)およびインジウム(In))の配合割合(質量%)を、はんだ合金の総量から差し引いた残部である。なお、表中には、残部を「Bal.」と表記する。
実施例1は、Ag、Cu、Bi、SbおよびCoを、表1に示す割合で配合し、残部をSnとしたはんだ合金である。
実施例2〜4および16〜18は、実施例1の処方に対して、Coの配合割合を増減させた処方の例である。
参考例5は、実施例1の処方に対して、AgおよびCuの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例6は、実施例1の処方に対して、Agの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例7、参考例8および27〜28は、実施例1の処方に対して、Cuの配合割合を増減させた処方の例である。
実施例9〜13および19〜20は、実施例1の処方に対して、Biおよび/またはSbの配合割合を増減させ、また、それらの合計量を調整した処方の例である。
実施例14は、実施例3の処方に対して、BiおよびSbの配合割合を増加させ、さらに、Niを配合した処方の例である。
実施例15は、実施例14の処方に対して、AgおよびCuの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例21および24は、実施例1の処方に対して、さらに、Niを配合し、また、Niの含有割合を増減させた処方の例である。
実施例22は、実施例1の処方に対して、Coの配合割合を減少させ、さらに、Niを配合した処方の例である。
参考例23は、実施例22の処方に対して、AgおよびCuの配合割合を増加させた処方の例である。
実施例25は、実施例1の処方に対して、さらに、Inを配合した処方の例である。
実施例26は、実施例1の処方に対して、さらに、NiおよびInを配合した処方の例である。
実施例29および30は、実施例3の処方に対して、Sbの配合割合を増加させ、さらに、Niを配合した処方の例である。
実施例31は、実施例3の処方に対して、BiおよびSbの配合割合を増加させ、さらに、Niを配合した処方の例である。
比較例1〜2は、実施例1の処方に対して、Agの配合割合を増減させ、Agを過剰または不十分とした処方の例である。
比較例3〜4は、実施例1の処方に対して、Cuの配合割合を増減させ、Cuを過剰または不十分とした処方の例である。
比較例5〜6は、実施例1の処方に対して、Biの配合割合を増減させ、Sbの配合量は適切な量であり、かつ、BiとSbとの合計量は適切な量でありながら、Biを過剰または不十分とした処方の例である。
比較例7〜8は、実施例1の処方に対して、Coの配合割合を増減させ、Coを過剰または不十分とした処方の例である。
比較例9〜10は、実施例1の処方に対して、BiまたはSbの配合割合を増減させ、Biの配合量とSbの配合量とは、それぞれ適切な量でありながら、それらの合計量を不十分とした処方の例である。
比較例11は、実施例1の処方に対して、Ag、CuおよびSbの配合割合を増加させ、Niを配合し、かつ、Coを配合しなかった処方の例である。
比較例12〜13は、比較例11の処方に対して、Coを配合し、また、BiおよびSbの配合割合を減少させ、Sbの配合量は適切な量でありながら、Biを不十分とし、かつ、BiおよびSbの合計量を不十分とした処方の例である。
比較例14〜15は、実施例1の処方に対して、Sbの配合割合を減少させ、Biの配合量は適切な量であり、かつ、BiとSbとの合計量は適切な量でありながら、Sbを過剰または不十分とした処方の例である。
比較例16は、実施例1の処方に対して、BiおよびSbの配合割合を増加させ、Biの配合量は適切な量でありながら、Sbを過剰とし、かつ、BiとSbとの合計量を過剰とした処方の例である。
比較例17は、実施例1の処方に対して、BiおよびSbの配合割合を増加させ、Sbの配合量は適切な量でありながら、Biを過剰とし、かつ、BiとSbとの合計量を過剰とした処方の例である。
比較例18は、実施例1の処方に対して、BiおよびSbの配合割合を増加させ、BiおよびSbを過剰とし、かつ、BiとSbとの合計量を過剰とした処方の例である。
・ソルダペーストの調製
得られたはんだ合金を、粒径が25〜38μmとなるように粉末化し、得られたはんだ合金の粉末と、公知のフラックスとを混合して、ソルダペーストを得た。
・ソルダペーストの評価
得られたソルダペーストをチップ部品搭載用のプリント基板に印刷して、リフロー法によりチップ部品を実装した。実装時のソルダペーストの印刷条件、チップ部品のサイズ等については、後述する各評価に応じて適宜設定した。その結果を、表1に示す。
Figure 0006053248
<評価>
各実施例、各参考例および各比較例において得られたソルダペーストを、チップ部品搭載用プリント基板に印刷して、リフロー法によりチップ部品を実装した。ソルダペーストの印刷膜厚は、厚さ150μmのメタルマスクを用いて調整した。ソルダペーストの印刷後、3216サイズ(3.2mm×1.6mm)のチップ部品を上記プリント基板の所定位置に搭載して、リフロー炉で加熱し、チップ部品を実装した。リフロー条件は、プリヒートを170〜190℃、ピーク温度を245℃、220℃以上である時間が45秒間、ピーク温度から200℃までの降温時の冷却速度を3〜8℃/秒に設定した。
さらに、上記プリント基板を−40℃の環境下で30分間保持し、次いで、150℃の環境下で30分間保持する冷熱サイクル試験に供した。
<耐熱疲労特性>
冷熱サイクルを1500、2000、2250、2500、2750、3000サイクル繰り返したプリント基板について、それぞれ3216チップ部品のはんだ部分を切断して、断面を研磨した。研磨後の断面を顕微鏡で観察して、はんだフィレット部に発生した亀裂がフィレット部を完全に横断しているか否かについて評価して、以下の基準によりランク付けした。各サイクルにおける評価チップ数は20個とした。
A:3000サイクル後においても、フィレット部を完全に横断する亀裂が発生しなかった。
B:2750サイクル後において、フィレットを完全に横断する亀裂が発生しなかったが、3000サイクル後において、フィレット部を完全に横断する亀裂が発生した。
B−:2500サイクル後において、フィレットを完全に横断する亀裂が発生しなかったが、2750サイクル後において、フィレット部を完全に横断する亀裂が発生した。
C:2250サイクル後において、フィレットを完全に横断する亀裂が発生しなかったが、2500サイクル後において、フィレット部を完全に横断する亀裂が発生した。
C−:2000サイクル後において、フィレットを完全に横断する亀裂が発生しなかったが、2250サイクル後において、フィレット部を完全に横断する亀裂が発生した。
D:1500サイクル後において、フィレットを完全に横断する亀裂が発生しなかったが、2000サイクル後において、フィレット部を完全に横断する亀裂が発生した。
E:1500サイクル後において、フィレット部を完全に横断する亀裂が発生した。
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記請求の範囲に含まれる。
本発明のはんだ合金およびソルダペーストは、電気・電子機器などに用いられる電子回路基板において、利用される。

Claims (6)

  1. ズ、銀、銅、ビスマス、アンチモンおよびコバルトからなり、不可避不純物の含有を許容するはんだ合金であって、
    前記はんだ合金の総量に対して、
    前記銀の含有割合が、3質量%以上3.5質量%以下であり、
    前記銅の含有割合が、0.5質量%以上0.6質量%未満であり、
    前記ビスマスの含有割合が、3.5質量%以上4.8質量%以下であり、
    前記アンチモンの含有割合が、3質量%以上5.5質量%以下であり、
    前記コバルトの含有割合が、0.001質量%以上0.1質量%以下であり、
    前記スズの含有割合が、残余の割合であり、
    かつ、
    前記ビスマスの含有割合と、前記アンチモンの含有割合との合計が、7.3質量%以上10.3質量%以下である
    ことを特徴とする、はんだ合金。
  2. 前記ビスマスの含有割合と、前記アンチモンの含有割合との合計が、8.0質量%以上10.3質量%以下である、請求項1に記載のはんだ合金。
  3. さらに、ニッケルおよびインジウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有し、
    はんだ合金の総量に対して、前記元素の含有割合が、0質量%を超過し0.2質量%以下である、請求項1または2に記載のはんだ合金。
  4. 前記コバルトの含有割合が、0.008質量%を超過し0.03質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のはんだ合金。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のはんだ合金からなるはんだ粉末と、フラックスとを含有することを特徴とする、ソルダペースト。
  6. 請求項5に記載のソルダペーストのはんだ付によるはんだ付け部を備えることを特徴とする、電子回路基板。
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