JP5653214B2 - 細胞膜透過性ペプチド - Google Patents

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Description

本発明は、細胞膜透過性を有する新規ペプチドおよび該ペプチドと親水性生理活性物質を含有する医薬組成物に関する。
細胞は、タンパク質および核酸などの親水性生理活性物質に対して不透過性の細胞膜により外界から隔てられている。これらの親水性生理活性物質を細胞内に送達する方法が無いことが、細胞内を作用部位とする多くの親水性生理活性物質の臨床使用の障害になってきた。
このような細胞不透過性の親水性生理活性物質を細胞内に送達する技術がいくつか報告されている。最も一般的な方法は脂質を用いて、親水性生理活性物質に疎水性を付与するもので、細胞膜の通過性を向上させることができる。また、ペプチド性のリガンドを用いて透過性を向上させる技術も報告されている。
細胞膜を破壊せずに細胞外から細胞内へ移行する性質を持つペプチドリガンドは細胞膜透過性ペプチドと呼ばれる。有名なものとしてはアルギニンが連なったオリゴアルギニン、HIV−1ウイルス由来のペプチドTat(特許文献1)、ショウジョウバエ由来ペプチドであるペネトラチン(特許文献2)などがある。これらの他にも単純な塩基性を特徴とするもの、ペプチドの一次構造あるいは二次構造の両親媒性を特徴とするもの、メカニズムが明確ではないものなど様々が報告されている。これらのペプチドは、自身の細胞内移行性に加えて、前述したように自身をビークルとして連結した遺伝子等の親水性生理活性物質を細胞内部に送達する用途の研究が盛んに行われている。しかし研究用試薬としては実績があるものの、臨床応用に用いられるものは少なく、様々な模索が行われ、それぞれの用途において、より効率良く細胞内に移行しうる配列が模索されている。
細胞膜透過性ペプチドの一部において、親水性生理活性物質と共に経口あるいは経鼻投与した場合、親水性生理活性物質の粘膜上皮細胞層の通過を促進させ、全身循環に高い効率で親水性生理活性物質を移行せしめることのできるペプチドが報告されている。全ての細胞膜透過性ペプチドが粘膜からの透過促進性を有しているわけではなく、細胞膜透過性に加え、細胞内での動態、細胞からの離脱などの特性が関係していると考えられており、これらの条件を満たす一部の細胞膜透過性ペプチドのみが親水性生理活性物質の経粘膜吸収促進能を有すると考えられるが、このような機能が報告されているペプチドの種類は少ない。また、粘膜透過促進性が報告されているペプチドであっても、特定の生理活性物質とのコンジュゲートでのみ、その効果が確認されているもの(特許文献2、3)や、薬物との共有結合を必要としない形で用いることのできる可能性が示されているものであっても、十分な効果を得るためには大量の細胞膜透過性ペプチドが必要であるもの(特許文献4)などであり、実用化には多くの課題が残されている状況である。
親水性生理活性物質は、近年、これまで主流を占めてきた低分子で疎水性の薬物に加えて医薬品の候補化合物として注目され、顕著な治療効果を示しているが、経粘膜からの難吸収性を理由に投与方法が注射剤にほとんど限られている状況であり、粘膜から親水性生理活性物質を吸収させる技術開発は親水性生理活性物質の非注射剤化の用途において強い期待がある。特に細胞膜透過ペプチドを用いた吸収促進技術は、これまで広く検討されてきた界面活性剤による吸収促進技術と比べて、粘膜への刺激性が低いことが期待され、効率よく吸収促進を起こす細胞膜透過ペプチドが見つかれば有望な技術となる可能性がある。
特開平10−33186号公報 特表2002−530059号公報 WO2004/037859 特開平10−95738号公報
本発明は、親水性生理活性物質を細胞内に移行させることのできる新規な細胞膜透過性ペプチドを提供することを課題とする。
本発明者らは、細胞膜透過性を有するペプチド配列の探索を行い、目的とする細胞膜透過性を有する新規ペプチド配列を見出した。すなわち、本発明は以下のような構成を有する。
(1)以下の(A)、(B)または(D)の細胞膜透過性ペプチド。
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1〜7個のリシンおよびアルギニンから選択される塩基性アミノ酸が別のリシンおよびアルギニンから選択される塩基性アミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなり、かつ細胞膜透過性を有するペプチド
D)(A)または(B)の逆配列で表されるアミノ酸配列からなり、かつ細胞膜透過性を有するペプチド。
(2)前記(B)のペプチドが配列番号2〜4,9〜10,13のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、(1)に記載の細胞膜透過性ペプチド。
(3)前記(D)のペプチドが配列番号5または14で表されるアミノ酸配列からなる、(1)に記載の細胞膜透過性ペプチド。
(4)配列番号12,15〜30のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、細胞膜透過性ペプチド。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質を含む、医薬組成物。
(6)(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質を含む、経口投与用医薬組成物。
(7)(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質を含む、経鼻投与用医薬組成物。
(8)親水性生理活性物質がペプチド、タンパク質または核酸である、(5)〜(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
本発明により、親水性生理活性物質の効率の良い細胞内への移行が可能となり、細胞内の分子を標的とした新たな薬物治療が可能となる。また、従来注射でしか投与できなかった親水性生理活性物質を経口、経鼻投与などによって非注射剤化することが可能となり、簡便で患者に優しい薬物治療が可能となる。
HeLa細胞への細胞膜透過性ペプチド移行を示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるHeLa細胞へのインスリン移行促進を示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるHeLa細胞へのポリスチレンビーズ移行促進を示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるインスリンの経鼻吸収性を血糖値により示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるインスリンの経鼻吸収性を血漿中のインスリン濃度により示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるインスリンの経鼻吸収性をバイオアベイラビリティにより示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるインターフェロンβの経鼻吸収性を血漿中のインターフェロンβ濃度により示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるエキセンジン4の経鼻吸収性を血漿中のエキセンジン4濃度により示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるインスリンの腸管吸収性を血糖値により示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるインスリンの腸管吸収性を血漿中のインスリン濃度により示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドの鼻腔障害性をLDH漏洩により示すグラフである。 各細胞膜透過性ペプチドによるHeLa細胞へのインスリン移行促進を示す共焦点レーザー顕微鏡観察像である。各図中のA(左上)はローダミン標識インスリンの局在、B(右上)はDiD‘Oilで染色した細胞膜、C(左下)は微分干渉像、A+B(右下)はAの像とBの像を重ねて表した像を示す。 細胞膜透過性ペプチドによるHeLa細胞へのインスリン移行促進を示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるインスリンの経鼻吸収性をAUCにより示すグラフである。 HeLa細胞への細胞膜透過性ペプチド移行を示すグラフである。 細胞膜透過性ペプチドによるHeLa細胞へのインスリン移行促進を示すグラフである。
本発明者は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(以下、配列番号1のペプチド、ともいう。)またはその改変ペプチドが、細胞膜透過性ペプチドであることを新規に見出し、本発明を完成させた。以下、本発明の細胞膜透過性ペプチドについて詳細に説明する。
本発明の細胞膜透過性ペプチドの細胞膜透過性とは、細胞の外部と内部を隔てる脂質の膜を通過する性質を示す。ペプチドが細胞膜透過性をするかどうかは、当該ペプチドに蛍光物質を連結したペプチドを細胞に添加し、共焦点レーザー顕微鏡などで観察し、細胞内部に蛍光物質が検出できるかどうかで確認できる。また、蛍光物質を連結した当該ペプチドを取り込ませた細胞を破砕し、破砕液を分光光度計を用いて蛍光強度を測定することで定量的に細胞内移行性を確認することができる。なお、本明細書においては蛍光物質(具体例としてフルオレセイン)と連結したペプチドの細胞内への移行量が、蛍光物質と連結した配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる細胞膜透過性でないペプチドの細胞内移行量と比較して3倍以上上昇した場合、当該ペプチドは細胞膜透過性ペプチドであると判断する。
また、本発明の細胞膜透過性ペプチドは、親水性生理活性物質に細胞膜透過性を付与する特徴を有している。なお、本明細書においては、蛍光標識した親水性生理活性物質とペプチドを連結または混合させて細胞に接触させた時の蛍光標識親水性生理活性物質の細胞内移行効率が、蛍光標識親水性生理活性物質のみを細胞に接触させた時の蛍光標識親水性生理活性物質の細胞内移行効率より3倍以上高い場合、当該ペプチドは親水性生理活性物質に細胞膜透過性を付与する特徴を有すると判断する。
さらに、本発明の細胞膜透過性ペプチドは、親水性生理活性物質に粘膜吸収性(好ましくは腸管吸収性または鼻腔吸収性)を付与する特徴を有している。具体的には、親水性生理活性物質単独では粘膜を通じて生体内に取り込まれにくいものが、細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質を連結または混合したものを粘膜組織(好ましくは腸管組織または鼻腔組織)に接触させると、親水性生理活性物質の経粘膜吸収(好ましくは腸管吸収性または鼻腔吸収性)が促進されるようになる。
配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドは、細胞膜透過性ペプチドのスクリーニングにより見いだされた新規ペプチドである。該ペプチドが通過する細胞の種類に特に制限は無く、原核細胞であっても真核細胞であっても良いが、好ましくは真核細胞、より好ましくは哺乳類細胞の細胞膜、さらに好ましくは哺乳類の粘膜細胞膜を通過しうる。また、該ペプチドは、それ自体が細胞膜透過性であるだけでなく、該ペプチドと親水性生理活性物質を共有結合させることで親水性生理活性物質に細胞膜透過性を付与しうることができ、好ましくは該ペプチドと親水性生理活性物質がそれぞれ独立して存在する組成物の状態であっても、親水性生理活性物質に細胞膜透過性を付与することができるペプチドである。
また、配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1〜7個の塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸に換されたアミノ酸配列からなる改変ペプチドについても、細胞膜透過性を有する範囲においては本発明の細胞膜透過性ペプチドである。ここで塩基性アミノ酸とはアルギニン、リシン、ヒスチジンいずれかのアミノ酸のことを示す。置換される塩基性アミノ酸の数は、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個、特に好ましくは1個である。なお、置換により変異したアミノ酸配列において、もとのアミノ酸配列の3つ以上のアミノ酸の連続した並びが保存されていることが好ましく、5つ以上のアミノ酸の連続した並びが保存されていることがより好ましい。さらに、同一の特性を持つアミノ酸への置換はペプチド全体の特性は変化しにくいため、最も許容されうる改変である。配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1〜7個の塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸に換されたアミノ酸配列からなり、かつ細胞膜透過性を有するペプチドの好ましい例としては、配列番号2〜4,9〜10,13のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
また、配列番号1で表されるアミノ酸配列において、塩基性アミノ酸に限らず1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1または2個、さらに好ましくは1個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加され、もとのアミノ酸配列の5つ以上のアミノ酸の連続した並びが保存されているアミノ酸配列からなる改変ペプチドについても、細胞膜透過性を有する範囲においては本発明の細胞膜透過性ペプチドである。さらに、配列番号1で表されるアミノ酸配列の塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸に置き換わる場合、親水性アミノ酸が別の親水性アミノ酸に置き換わる場合、疎水性アミノ酸が別の疎水性アミノ酸に置き換わる場合など、同一の特性を持つアミノ酸への置換はペプチド全体の特性は変化しにくいため、最も許容されうる。配列番号1で表されるアミノ酸配列において、塩基性アミノ酸に限らず1〜5個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加され、もとのアミノ酸配列の5つ以上のアミノ酸の連続した並びが保存されているアミノ酸配列からなり、かつ細胞膜透過性を有するペプチドの好ましい例としては、配列番号12,15〜30のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
また、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの逆配列で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、あるいは配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1〜7個の塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸に換されたアミノ酸配列の逆配列で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、あるいは配列番号1で表されるアミノ酸配列において、塩基性アミノ酸に限らず1〜5個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加され、もとのアミノ酸配列の5つ以上のアミノ酸の連続した並びが保存されているアミノ酸配列の逆配列で表されるアミノ酸配列からなるペプチドであっても、細胞膜透過性を有する範囲においては本発明の細胞膜透過性ペプチドである。ここで、逆配列からなるペプチドとは、構成するアミノ酸の並びが逆であることを示し、例を挙げるとN末端からC末端に向けてのアミノ酸配列の並びがアルギニン、グルタミン、イソロイシン、リシンである時、その逆ペプチドはN末端からC末端に向けてのアミノ酸配列の並びがリシン、イソロイシン、グルタミン、アルギニンであるペプチドを言う。本具体例として、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの逆配列で表されるアミノ酸配列からなるペプチドであって、細胞膜透過性を有するペプチドである配列番号5または14で表されるアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
本発明の細胞膜透過性ペプチドを構成するアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸である立体配置がL体であるアミノ酸の他に、天然のアミノ酸の構造を一部改変した誘導体など非天然のアミノ酸も使用されうる。例えば、立体配置がD体のアミノ酸は、蛋白分解酵素による分解を受けにくいことから有効に使用されうるため、該ペプチドのアミノ酸配列のうち、一部がD体であってもよい。
また、本発明の細胞膜透過性ペプチドを構成するアミノ酸は自然界での存在の有無に関わらずカルボキシル基とアミノ基を持つ分子であればよく、ヒドロキシル化、リン酸化、あるいはグリコシル化等の生体内で通常見られる翻訳後修飾をされたアミノ酸であっても良いが、好ましくは哺乳類細胞内に通常存在する天然アミノ酸およびその光学異性体からなる配列であり、例を挙げるとアルギニン(Arg)、リシン(Lys)、アスパラギン酸(Asp)、アスパラギン(Asn)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、ヒスチジン(His)、プロリン(Pro)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、メチオニン(Met)、システイン(Cys)、フェニルアラニン(Phe)、ロイシン(Leu)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)などからなるアミノ酸配列である。
本発明の細胞膜透過性ペプチドは、当業者に公知の手法により適宜修飾されてもよく、具体的には、糖鎖修飾あるいは蛍光標識、ポリエチレングリコール(PEG)化またはN末端のアセチル化もしくはC末端のアミド化などの化学的に修飾された誘導体であってもよい。ただし、本発明の細胞膜透過性ペプチドを後述の医薬組成物に使用する場合は、該ペプチドは修飾されていないことが好ましい。また、本発明の細胞膜透過性ペプチドは線状であっても環状であってもよい。
本発明の細胞膜透過性ペプチドは他の公知の細胞膜透過性ペプチドと併用して利用してもよい。また、本発明の細胞膜透過性ペプチドは、細胞膜透過性を有する範囲においては、後述の手法により該ペプチドと他のペプチドまたはタンパク質を融合させた融合ペプチドまたは融合タンパク質の状態で利用してもよい。
本発明の細胞膜通過性ペプチドは、一般的な化学合成法により製造することができる。製造する方法には、通常の液相法及び固相法によるペプチド合成法が含まれる。かかるペプチド合成法は、より詳しくは、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法とが含まれる。本発明の細胞膜通過性ペプチドの合成は、そのいずれによることもできる。
上記ペプチド合成に採用される縮合法も、公知の各種方法に従うことができる。その具体例としては、例えばアジド法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPPA(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCC+添加物(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシサクシンイミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド等)、ウッドワード法等を例示できる。これら各方法に利用できる溶媒もこの種ペプチド縮合反応に使用されることがよく知られている一般的なものから適宜選択することができる。その例としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホロアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等またはこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
上記ペプチド合成反応に際して、反応に関与しないアミノ酸やペプチドにおけるカルボキシル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエステル、エチルエステル、第三級ブチルエステル等の低級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、p−メトキシベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステル等のアラルキルエステル等として保護することができる。また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例えばTyrの水酸基は、アセチル基、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、第三級ブチル基等で保護されてもよいが、必ずしもかかる保護を行う必要はない。更に、例えばArgのグアニジノ基は、ニトロ基、トシル基、2−メトキシベンゼンスルホニル基、メチレン−2−スルホニル基、ベンジルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基等の適当な保護基により保護することができる。上記保護基を有するアミノ酸、ペプチド及び最終的に得られる本発明のペプチドにおけるこれら保護基の脱保護反応もまた、慣用される方法、例えば接触還元法や、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化水素、臭化水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、メタンスルホン酸等を用いる方法等に従って、実施することができる。
その他、本発明の細胞膜通過性ペプチドは、遺伝子工学的手法を用いて常法により調製することもできる。このようにして得られる本発明の細胞膜通過性ペプチドは、通常の方法に従って、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、向流分配法等のペプチド化学の分野で汎用されている方法に従って、適宜その精製を行うことができる。
その他、本発明の細胞膜透過性ペプチドは、そのペプチドをコードする核酸の状態で使用されうる。具体的に例をあげると本発明のペプチドとの融合タンパク質をコードする組換え核酸を含みこのペプチドを発現しうるプラスミドベクター、ウイルスベクター、ファージミド、トランスポゾンなどであるが、これに限定されない。また該組換え核酸は、例えば、本発明の細胞膜通過性ペプチドまたは本発明の細胞膜通過性ペプチドとの融合タンパク質の工業的生産や、体内より取り出した生体由来の細胞への本発明の細胞膜通過性ペプチドをコードする発現ベクターの導入、体内に本発明の細胞膜通過性ペプチドを投与し、体内の細胞に本発明の細胞膜通過性ペプチドまたは融合タンパク質を発現させることなどに、好ましく用いられる。特に、生体外にて本発明の細胞膜通過性ペプチドまたは本発明の細胞膜通過性ペプチドとの融合タンパク質を生産する方法として好適に用いられる。
なお、前記組換え核酸とは、人工的に作成されたDNAまたはRNAを表す。これはアデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシルなどの核酸を結合させ合成したものや、生物に含まれるDNAまたはRNAの一部を切り出して一部塩基を除去、他の塩基と結合などの修飾により作成したもの、またそれらを複製したものも組換え核酸に含まれる。
さらに、本発明は細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質を含有した医薬組成物、あるいは本発明の細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質を併用することによる親水性生理活性物質の生体内への投与方法に関する。
本発明の細胞膜透過性ペプチドは、該ペプチドそのものの細胞膜透過性だけではなく、親水性生理活性物質に細胞膜透過性を付与しうることから、親水性生理活性物質を有効成分とする医薬組成物に本発明の細胞膜透過性ペプチドを配合する、あるいは親水性生理活性物質と本発明の細胞膜透過性ペプチドを併用して投与することにより、親水性生理活性物質の細胞膜を経た生体内デリバリーが可能となる。より詳しくは、本発明の細胞膜透過性ペプチドは、粘膜細胞膜を好ましく通過しうるだけでなく、親水性生理活性物質に経粘膜吸収性(好ましくは腸管吸収性または鼻腔吸収性)を付与しうることから、親水性生理活性物質の粘膜を経た生体内デリバリーが可能となる。親水性生理活性物質の経粘膜吸収とは、粘膜に投与した親水性生理活性物質が、粘膜層を通過し血液中に移行することであり、その結果は、親水性生理活性物質の血中濃度の上昇または薬理活性の発現で確認できる。親水性生理活性物質の血中濃度は、免疫学的測定法など当業者に通常用いられる方法で測定することができる。薬理活性は、例えば、酵素であればその酵素活性、細胞の受容体に作用する物質であれば、標的細胞の機能あるいはマーカー物質の産生量を変化させる能力などを指標に測定することができる。例えば、インスリンの薬理活性であれば、投与した動物の血中グルコース濃度を指標に測定することが可能である。
親水性生理活性物質に細胞膜透過性、好ましくは経粘膜吸収性を付与しうる細胞膜透過性ペプチドとしては、前述の本発明の細胞膜透過性ペプチドであれば特に限定されず、具体的には、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、あるいは配列番号1で表されるアミノ酸配列の塩基性アミノ酸の1〜7個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜2個を別の塩基性アミノ酸に換させた改変ペプチドであって、かつ細胞膜透過性を有するペプチドが挙げられる。特に、親水性生理活性物質に鼻腔吸収性を付与し、経鼻投与用医薬組成物に好ましく使用される本発明の細胞膜透過性ペプチドとしては、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、あるいは配列番号1で表されるアミノ酸配列の塩基性アミノ酸の1または2個を別の塩基性アミノ酸に換させた改変ペプチドであって、かつ細胞膜透過性を有するペプチドが挙げられる。親水性生理活性物質に鼻腔吸収性を付与する本発明の細胞膜透過性ペプチドであって、配列番号1で表されるアミノ酸配列の塩基性アミノ酸を別の塩基性アミノ酸に1または2個置換させた改変ペプチドであって、かつ細胞膜透過性を有するペプチドの具体例を表1に示す
Figure 0005653214
配列番号1で表されるアミノ酸配列のうち、1〜7個の塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸に換されたアミノ酸配列からなり、かつ親水性生理活性物質の経粘膜吸収性を有するペプチドの好ましい例としては、配列番号4、配列番号9、配列番号10のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられ、特に、親水性生理活性物質の経鼻吸収性を有するペプチドの好ましい例としては、配列番号9または10で表されるアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
また、配列番号1で表されるアミノ酸配列において、塩基性アミノ酸に限らず1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1または2個、さらに好ましくは1個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加され、もとのアミノ酸配列の5つ以上のアミノ酸の連続した並びが保存されているアミノ酸配列で表される改変ペプチドであって、親水性生理活性物質を経粘膜吸収させうる本発明の細胞膜透過性ペプチドについても、本発明の医薬組成物に使用することができる。さらに、配列番号1で表されるアミノ酸配列の塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸に置き換わる場合、親水性アミノ酸が別の親水性アミノ酸に置き換わる場合、疎水性アミノ酸が別の疎水性アミノ酸に置き換わる場合など、同一の特性を持つペプチドへの置換はペプチド全体の特性は変化しにくいため、最も許容されうる相違である。
また、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの逆配列で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、あるいは配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1〜7個の塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸に換されたアミノ酸配列の逆配列で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、あるいは配列番号1で表されるアミノ酸配列において、塩基性アミノ酸に限らず1〜5個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加され、もとのアミノ酸配列の5つ以上のアミノ酸の連続した並びが保存されているアミノ酸配列の逆配列で表されるアミノ酸配列からなるペプチドであって、親水性生理活性物質を経粘膜吸収させうる本発明の細胞膜透過性ペプチドについても、本発明の医薬組成物に使用することができる。
親水性生理活性物質とは、親水性の特徴を有する生理活性物質のことを表す。親水性とは水への溶解度が高いことを表し、ここでは水1mlあたり1μg以上溶解する物質を親水性と定義する。また、生理活性物質とは、生体に作用し生体に変化を及ぼす物質全般を示し、特定の細胞の受容体に結合するタンパク質や、生体内の物質に親和性を有する酵素が例示され、さらに生体内物質と直接の反応を起こさない物質であっても良く、例えば、血漿の代わりとして増血用途に用いられるデキストランなど、医療用途として生体に投与されうる物質であってもよい。好ましくは、細胞膜や経粘膜構成細胞層などの生体バリアの透過性に乏しいペプチド、タンパク質または核酸であり、より好ましくはペプチドまたはタンパク質である。また、これらの親水性生理活性物質であるタンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質や、ポリエチレングリコール(PEG)化などの化学的な修飾を行った誘導体タンパク質に関しても親水性生理活性物質として好適に用いられる。
親水性生理活性物質の分子量は特に限定されるものでは無いが、細胞膜を通過するうえで分子量が大きすぎると障害となる場合があり、分子量は好ましくは500,000以下、より好ましくは30,000以下である。
親水性生理活性物質の具体例としては、副甲状腺ホルモン(PTH)、カルシトニン、インスリン、アンジオテンシン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、エキセンジン4、ガストリン、成長ホルモン、プロラクチン(黄体刺激ホルモン)、ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)、サイトトロピックホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、バソプレシン、オキシトシン、プロチレリン、黄体形成ホルモン(LH)、コルチコトロピン、ソマトロピン、チロトロピン(甲状腺刺激ホルモン)、ソマトスタチン(成長ホルモン刺激因子)、視床下部ホルモン(GnRH)、G−CSF、エリスロポエチン、HGF、EGF、VEGF、アンジオポエチン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン類、スーパーオキサイドジムスターゼ(SOD)、ウロキナーゼ、リゾチーム、ワクチン等が好ましい例として挙げられ、より好ましくはインスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン、インターフェロン類、インターロイキン類、G−CSF、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、エキセンジン4である。
本発明では、細胞膜通過性ペプチドと親水性生理活性物質はコンジュゲートを形成することは好ましい態様の1つである。ここでいう「コンジュゲート」とは、2つ以上の物質が同時に動きうる状態を表し、その物質間が共有結合により結合しているもの、イオン結合により静電的に結合しているもの、また結合が存在しない場合であっても立体構造により他方がもう他方の動きを制限し共に動きうる状態にしたものも含まれる。例えば本発明のペプチドを表面に修飾したミセル、リポソーム、高分子などの微粒子の中に生物学的に活性な薬物が封入されているものも「コンジュゲート」を形成していることに含まれる。例を挙げると本発明のペプチドと親水性生理活性物質が共有結合で結ばれているものである。例えば親水性生理活性物質であるタンパク質のアミノ基、カルボキシル基やシステインのもつチオール基と本発明の細胞膜通過性ペプチドが共有結合により結合している医薬組成物である。
細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質であるタンパク質をコンジュゲートとする場合には、融合タンパク質として作成してもよい。本発明の細胞膜透過性ペプチドを付与する位置としては特に場所は限定されないが、細胞膜通過性を有するペプチドがタンパク質の外側に提示されており、かつ融合させたタンパク質の活性、機能への影響が低いことが好ましく、N末端またはC末端に融合させることが好ましい。融合させるタンパク質の種類としては特に限定されるものでは無いが、細胞膜を通過するために分子量が大きすぎる薬物は障害となるため、分子量は好ましくは500,000以下、より好ましくは30,000以下である。
細胞膜通過性ペプチドとの融合タンパク質を製造する場合は、一般的な化学合成法により行うことができる。例を示すと、本発明の細胞膜通過性ペプチドとインスリンを混合し縮合剤を添加して結合させる方法や、ペプチド合成装置(例えばApplied Biosystems Medel 433)を用いる方法である。また塩基配列情報に基づいて遺伝子工学的手法を用いて常法により製造することもできる。例を挙げると、タンパク発現プロモーターを有する遺伝子発現ベクターに本発明の細胞膜通過性ペプチドおよび融合させるタンパク質をコードする塩基配列を組み込み製造する方法である。
また、本発明では、細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質は、それぞれが共有結合で連結されていない状態で使用されることも好ましい態様の1つである。本発明の医薬組成物を投与する時点で細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質が共有結合によるコンジュゲートを形成していない場合でも、投与後に細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質が混合され、イオン結合や、疎水的作用、電荷的作用によりペプチドと親水性生理活性物質がコンジュゲートを形成することにより目的とする効果を得ることができる。特にこの場合は、親水性生理活性物質への直接修飾が必要無いため、親水性生理活性物質が本来有する生理活性効果への影響が無く好ましい。
本発明において、親水性生理活性物質を経粘膜吸収しうる粘膜は特に限定されないが、例をあげれば、目、鼻腔、舌下、肺、口腔、皮膚、膣、腸の粘膜であり、好ましくは鼻腔または腸の粘膜である。また、本発明により親水性生理活性物質を経粘膜吸収させる場合の投与方法についても特に限定されず、経口、経鼻、経腸、経皮、注射投与が挙げられるが、好ましくは経口、経鼻または経腸投与である。
本発明において、親水性生理活性物質と細胞膜透過性ペプチドを生体に投与する際の投与量や投与回数は、親水性生理活性物質、投与形態、患者の年齢、体重、症状の重篤度によって適宜選択されうるが、通常成人1日あたり親水性生理活性物質含量として0.01〜50mg、好ましくは0.1〜20mgの範囲で投与されうる。その際、細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質の配合比率については特に限定されず、配合する親水性生理活性物質の種類、細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質の配合様態により決定することが好ましいが、親水性生理活性物質に十分な作用を付与するために、いずれの配合様態においても作用させる親水性生理活性物質のモル量に対して1倍以上の細胞膜透過性ペプチドを用いることが好ましく、2倍以上の細胞膜透過性ペプチドを用いることがより好ましい。これは細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質が共有結合でコンジュケートを形成している場合には親水性生理活性物質それぞれに1つ以上の細胞膜透過性ペプチドが結合されている状態を示し、独立した状態で用いる場合は、用いる親水性生理活性物質のモル量を1とした場合、1以上のモル量の細胞膜透過性ペプチドを含んでいる状態で作用させることを示す。
本発明において、親水性生理活性物質と細胞膜透過性ペプチドを動物(ヒトを含む)に投与する場合の具体的形態に制限はない。例えば、乾燥状態のものあるいは溶液状のものをそのまま投与したり、あるいは賦形剤とともにカプセルに充填して投与したり、さらには乾燥状態のものを水に一旦溶解分散させてから投与したりすることができる。
本発明の医薬組成物は、細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質に加えて、薬学的に許容される添加剤からなる粉末形態、あるいは、水等の媒体および該媒体以外の薬学的に許容される基剤との混合物等からなる液状形態、さらには、薬学的に許容される基剤との組み合わせにより固形化または半固形化した形態等が挙げられる。前記基剤としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機物質が挙げられ、例えば賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、吸収促進剤等が挙げられる。例を挙げると水、医薬的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤などが挙げられる。
また、単純な添加剤に留まらず高度な送達技術との併用も好適に行うことができる。例えば経口投与により本発明の医薬組成物を腸管に送達することを目的として、腸溶性のカプセルや粘膜付着性のヒドロキシプロピルセルロースやスマートハイドロゲルpoly(methacrylic acid) grafted with poly(ethylene glycol) P(MAA-g-EG)などに包含した医薬組成物とすることは、消化酵素によるペプチドおよび薬物の分解回避の上で好ましい。
実施例1:細胞内へのペプチド移行性評価
<方法>
HeLa細胞を、10% FBSを含むDMEM培地中で96ウェルガラスボトムプレートに0.2ml播種し、37℃で48〜72時間培養して底面に細胞を接着させた。200μlPBSで3回洗浄後、アミノ末端にフルオレセイン標識した配列番号1〜6のペプチド(シグマジェノシス社委託合成)を終濃度5μM、および終濃度10% FBSを含むDMEM培地50μlを各ウェルに加えた。COインキュベーターにて3時間インキュベーションした後、10% FBSを含むDMEM培地で3回洗浄し、50μlの溶解溶液(10mM Tris−HCl、5mM EDTA、100mM NaCl、1% SDS、100μg/mlプロテイナーゼK)を加え、室温で1時間インキュベーションし、細胞および細胞に取り込まれたペプチドを分解した。分解溶液は全量を回収し、蛍光強度測定装置(HORIBA FLUOROMAX−3)で細胞に取り込まれたフルオレセイン量を励起波長494nm、蛍光波長512nmで測定した。
<結果>
各ウェルに添加した量に対する細胞に取り込まれたフルオレセイン量を図1に示す。それぞれの値は3連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。配列番号6のランダムペプチドがほとんど細胞に取り込まれなかった、すなわち細胞膜透過性ペプチドでなかったのに対し、本発明のペプチドである配列番号1〜5のペプチドのフルオレセイン標識体は配列番号6のランダムペプチドの10倍以上の効率で細胞内に取り込まれた。
実施例2:細胞内へのインスリン移行促進性評価
<方法>
HeLa細胞を、10% FBSを含むDMEM培地中で96ウェルガラスボトムプレートに0.2ml播種し、37℃で48〜72時間培養して底面に細胞を接着させた。200μlPBSで3回洗浄後、アミノ末端にフルオレセイン標識した配列番号1〜6のペプチド(シグマジェノシス社委託合成)を終濃度5μM、およびローダミン標識ヒトインスリン終濃度100μg/ml)で含む10% FBSを含むDMEM培地50μlを各ウェルに加えた。COインキュベーターにて3時間インキュベーションした後、10%FBSを含むDMEM培地で3回洗浄した後、50μlの溶解溶液(10mM Tris−HCl、5mM EDTA、100mM NaCl、1% SDS、100μg/mlプロテイナーゼK)を加え、室温で1時間インキュベーションし、細胞および細胞に取り込まれたローダミン標識インスリンを分解した。分解溶液は全量を回収し、蛍光強度測定装置で細胞に取り込まれたローダミン標識インスリン量を励起波長555nm、蛍光波長580nmで測定した。
また、同様の方法でHeLa細胞にローダミン標識ヒトインスリンおよび配列番号1〜6で示されるペプチドを含む溶液を加えインキュベーションした後、10% FBSを含むDMEM培地300μlで3回洗浄し、4% パラホルムアルデヒド溶液で3時間固定し、300μl PBSで3回洗浄した。その後5% DiD‘Oil溶液(モルキュラープローブ社)で一晩インキュベーションし、共焦点レーザー顕微鏡(オリンパス社FV−1000)でローダミン標識インスリンの局在を観察した。
ローダミン標識インスリンは、以下の方法で作製した。20mgのヒトインスリンを0.5mlの0.1N 塩酸に溶解後、3mlのPBSおよび0.5mlの0.1N 水酸化ナトリウムを加えて中和した。これを脱塩カラム(PD−10カラム)を用いて溶液置換し、50mM NaHCO溶液5ml(インスリン濃度4mg/ml)を得た。0.5ml DMSOに溶解した4mgのNHS−ローダミン(ピアス社)をこれに添加し、室温で終夜反応させた。1M Tris−HCl(pH8)0.5mlを加えてさらに室温で30分間反応させた後、PD−10カラムを用いて水に対して脱塩し、さらに水を加えて最終量10ml(インスリン濃度として2mg/ml)の溶液を得た。
<結果>
各ウェルに添加した量に対する細胞に取り込まれたローダミン標識インスリン量を図2に示す。それぞれの値は3連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。ローダミン標識インスリンのみ、または配列番号6のランダムな配列を持つペプチドと共に細胞に添加した場合、ほとんど細胞に取り込まれなかったのに対し、本発明のペプチドである配列番号1〜5のペプチドを添加したものでは、ランダムペプチドである配列番号6のペプチドを用いた場合に比べ50倍以上の効率でローダミン標識インスリンが細胞内に取り込まれた。
また、共焦点レーザー顕微鏡でそれぞれ配列番号1〜6のペプチドをローダミン標識インスリンと共に添加し、観察した結果を図12に示す。細胞膜透過性ペプチドでない配列番号6のランダムペプチドがローダミン標識インスリンを細胞内部に移行させなかったのに対し、配列番号1〜5の本発明の細胞膜透過性ペプチドはローダミン標識インスリンを細胞内部に移行させていることが確認できた。
実施例3:細胞内へのポリスチレンビーズ移行促進性評価
<方法>
HeLa細胞を10% FBSを含むDMEM培地中で96ウェルガラスボトムプレートに0.2ml播種し、37℃で48〜72時間培養して底面に細胞を接着させた。200μl PBSで3回洗浄後、アミノ末端にフルオレセイン標識した配列番号1〜6で示されるペプチド(シグマジェノシス社委託合成)を終濃度1μMおよび蛍光ポリスチレンビーズ(モルキュラープローブ製Fluorospheres Carboxylated Microbeads 0.1μm)終濃度1μl/ウェル、および10% FBSを含むDMEM培地50μlを各ウェルに加えた。COインキュベーターにて3時間インキュベーションした後、10% FBSを含むDMEM培地で3回洗浄した後、50μlの溶解溶液(10mM Tris−HCl、5mM EDTA、100mM NaCl、1% SDS、100μg/mlプロテイナーゼK)を加え、室温で1時間インキュベーションし、細胞を分解した。分解溶液は全量を回収し、蛍光強度測定装置で細胞に取り込まれた蛍光ポリスチレンビーズ量を励起波長580nm、蛍光波長605nmで測定した。
<結果>
各ウェルに添加した量に対する細胞に取り込まれた蛍光ポリスチレンビーズ量を図3に示す。それぞれの値は3連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。蛍光ポリスチレンビーズのみ、または細胞膜透過性ペプチドでない配列番号6のランダムペプチドと共に細胞に添加した場合、ほとんど細胞に取り込まれなかったのに対し、本発明のペプチドである配列番号1〜5のペプチドを添加したものでは、添加した量の0.7%以上の蛍光ポリスチレンビーズが回収された。
実施例4:インスリンの経鼻投与
<方法>
インスリン(WAKO社)粉末を1.5mlチューブ(エッペンドルフ社)に一定量計りとり、0.1N HClに溶解した後、同量の0.1N NaOHを加えインスリン溶液を作製した。インスリン溶液単独、または全アミノ酸配列がL体の配列番号1のペプチド(シグマジェノシス社委託合成)をPBSに溶解し、前述のインスリン溶液と合わせ、それぞれの投与実験においてインスリン(1IU/kg)、それぞれのペプチド0.5mMの40μl混合溶液を調製した。24時間絶食した体重約200gのSD系雄性ラットにペントバルビタール50mg/kgを腹腔内注射することにより麻酔した後、頸部を切開し気管を露出した。ポリエチレンチューブ(INTRAMEDIC PE205,Clay Adams)を気管に挿入し、次に食道を一部切開し同径のチューブを食道の切開部から後鼻孔へむけて慎重に組織に傷をつけぬよう挿入した。後鼻孔へ挿入するチューブの先端を予め脱脂綿と接着剤で密栓した。薬液の漏れを防ぐために口腔に開いている上顎部の鼻口蓋管を合成接着剤(第一三共株式会社製“アロンアルファA”)で閉じた。そして、調製したインスリン、ペプチド混合液またはインスリンのみを投与前および投与後5、10、15、30、60、120、180、240分後に頸静脈より0.25mlを採血し、血糖値測定装置“ノボアシストプラス”(ノボ社)を用いて血糖値の測定を行った。残りの血液は遠心分離により血漿を分離させ、血漿中インスリン濃度をEIAキット(レビス社)により測定した。生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)はインスリン皮下投与時との比較により算出した。
<結果>
投与後の血中グルコース濃度推移を図4に血中インスリン濃度推移を図5に示す。それぞれの値は3連または6連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。インスリンのみを経鼻投与したラットでは血中のインスリン濃度上昇はほとんど確認できないのに対し、インスリンと共に配列番号1のペプチドを投与したラットでは投与直後よりインスリンの血中移行が認められた。またインスリンの血中移行に伴う薬理活性である血糖値の低下も認められ、血中のインスリン濃度に対応する血糖値低下が確認された。
実施例5:インスリンの経鼻投与2
<方法>
実施例4と同様の方法にてインスリンを調整し、インスリン溶液単独、あるいは全アミノ酸配列がL体の配列番号1、配列番号7(オリゴアルギニン)または配列番号8(ペネトラチン)のペプチド(シグマジェノシス社委託合成)をPBSに溶解し、前述のインスリン溶液と合わせ、それぞれの投与実験においてインスリン(1IU/kg)、それぞれのペプチド0.5mMの40μl混合溶液を調製した。それぞれの混合溶液を実施例4に記載と同じ方法でラットに投与し、経時的に採血、測定を行い、血漿中のインスリン濃度を測定し、インスリン皮下投与時との比較により生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)を算出した。
<結果>
3連で行った評価におけるインスリン単独、あるいは配列番号1,7または8のペプチドとインスリンの混合液を投与した場合のバイオアベイラビリティの平均値および標準誤差を図6に示す。配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する本発明の細胞膜透過性ペプチドは、配列番号7または8の既知の細胞膜透過性ペプチドに対して、有意に高いバイオアベイラビリティを示した。
実施例6:インターフェロンβの経鼻投与
<方法>
氷冷下、ヒト天然型インターフェロンβ(東レ株式会社製“フエロン”)にTween20添加PBSを1ml加え、6,000,000IU/mlとし、この溶液を100μl分取し、Tween20添加PBSを566μl加えて900,000IU/ml溶液とした。インターフェロンβ単独、あるいは全アミノ酸配列がL体の配列番号1または4のペプチド(シグマジェノシス社委託合成)をPBSに溶解し、前述のインターフェロンβ溶液と合わせ、それぞれの投与実験においてインターフェロンβ(0.18×10IU/kg)、それぞれのペプチド0.5mMの40μl混合溶液を調製し、実施例4に記載の方法と同じ方法で評価を行った。血漿中インターフェロンβ濃度は“ヒトインターフェロンβELISAキット”(株式会社鎌倉テクノサイエンス)により測定した。
<結果>
投与後の血漿中インターフェロンβ濃度推移を図7に示す。それぞれの値は3連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。インターフェロンβのみを経鼻投与したラットでは血中のインターフェロンβ濃度上昇は低かったのに対し、インターフェロンβと共に配列番号1または4のペプチドを投与したラットでは投与直後よりインターフェロンβの血中移行が認められた。
実施例7:エキセンジン4の経鼻投与
<方法>
エキセンジン4(シグマジェノシス社委託合成)単独、または全アミノ酸配列がL体の配列番号1または配列番号4のペプチド(シグマジェノシス社委託合成)をPBSに溶解し、前述のエキセンジン4溶液と合わせ、それぞれの投与実験においてエキセンジン4(0.25mg/kg)、それぞれのペプチド0.5mMの40μl混合溶液を調製し、実施例4に記載の方法と同じ方法で評価を行った。血漿中エキセンジン4濃度は抗エキセンジン4モノクローナル抗体を固相に、ビオチン標識抗エキセンジン4ポリクローナル抗体およびストレプトアビジン−HRPを検出に用いる、サンドイッチ法ELISA(酵素免疫測定法)により測定した。
<結果>
投与後の血漿中エキセンジン4濃度推移を図8に示す。それぞれの値は3連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。エキセンジン4のみを経鼻投与したラットでは血中のエキセンジン4濃度の上昇はほとんど見られなかったのに対し、エキセンジン4と共に配列番号1または4のペプチドを投与したラットでは投与直後よりエキセンジン4の血中移行が認められた。
実施例8:インスリンの腸管投与
<方法>
実施例4と同様の方法でインスリン溶液を調製した。インスリン単独、または全アミノ酸配列がL体の配列番号1または4のペプチド(シグマジェノシス社委託合成)をPBSに溶解し、前述のインスリン溶液と合わせ、それぞれの投与実験においてインスリン(50IU/kg)、それぞれのペプチド0.5mMの500μl混合溶液を調製した。24時間絶食した体重約200gのSD系雄性ラットにペントバルビタールナトリウム50mg/kgを腹腔内注射することにより麻酔した後、正中線に沿って開腹し、腸管を露出した。回盲接合部から2−3cm回腸よりの部分からシリコンチューブを、およびその上部約10cmの部分からゾンデを挿入し、さらに内側6cmの部分に縫合糸を通した。ゾンデから、あらかじめ37℃に加温したpH7.4のリン酸生理緩衝液(PBS)20mlを流速5ml/minで流し込んで内容物を排出させた後、シリコンチューブに栓をして、ゾンデからあらかじめ37℃に加温したPBSを1ml投与し、30分貯留させた。投与後は速やかにゾンデに栓をして、腸管を腹腔内に戻して切開部をクリップで閉じ安静にした。貯留後、ゾンデおよびシリコンチューブの栓をはずし、ループ内にあらかじめ37℃に加温したPBS20mlを流速5ml/minで流し込んで内容物を排出させた後、あらかじめ縫合糸を通した6cmの部分を結紮してループを作成した。このループ内にインスリン溶液単独、またはインスリンおよび配列番号1または配列番号4のペプチド混合溶液0.5mlを投与し、腸管を腹腔内に戻し、切開部をクリップで閉じ安静にした。実験中のラットは、温水循環ポンプにより37℃に加温したホットプレート上に背位で固定し体温調節を行った。投与前および投与後5、10、15、30、60、120、180分後に頸静脈より0.25mlを採血し、血糖値測定装置“ノボアシストプラス”(ノボ社)を用いて血糖値の測定を行った。残りの血液は遠心分離により血漿に分離し、酵素免疫測定法によりインスリン濃度を定量した。同量のインスリン溶液のみを皮下に投与したラットについても、同様にして採血、測定を行なった。
<結果>
投与後の血中グルコース濃度推移を図9に血中インスリン濃度推移を図10に示す。それぞれの値は3連〜6連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。コントロールのインスリン単独の投与時と比較して、配列番号1または4のペプチドとインスリンを併用投与することにより、血中インスリン濃度の明らかな上昇、および血糖値の明らかな低下が認められた(図9および図10)。
実施例9:鼻腔傷害性評価
<方法>
実施例4と同様の方法でインスリン単独、またはインスリンおよび配列番号1のペプチド、または5%(w/v)のタウロデオキシコール酸溶液を鼻腔投与した。15分後、鼻腔を10mlの37℃に加温したPBSで2ml/minで洗浄した。洗浄溶液は回収し、溶液中に漏洩したLDHをLDH活性測定キット(Pointe scientific社)で測定した。
<結果>
洗浄溶液のLDH活性を図11に示す。それぞれの値は3連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。5% タウロデオキシコール酸ナトリウムと比較し、配列番号1のペプチドとインスリン混合溶液を投与したマウス鼻腔からのLDH放出は有意に低く、PBSやインスリン単独を投与した場合と同程度に低かった。
実施例10:細胞内へのインスリン移行促進性評価2
<方法>
配列番号1,6,9〜11のアミノ末端未標識ペプチド(シグマジェノシス社委託合成)を用いる以外は実施例2と同様の方法によりHeLa細胞へのインスリン移行促進性評価を行った。COインキュベーターでのインキュベーション時間は5時間とし、蛍光強度測定装置で細胞に取り込まれたローダミン標識インスリン量を測定した。
<結果>
各ウェルに添加した量に対する細胞に取り込まれたローダミン標識インスリン量を図13に示す。それぞれの値は3連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。細胞膜透過性ペプチドでないことが確認されている配列番号6または11のランダムペプチドを細胞に共添加した場合には添加した量の0.05%以下のローダミン標識インスリンしか細胞に取り込まれなかったのに対し、本発明の細胞膜透過性ペプチドである配列番号1または配列番号9または10のペプチドを共添加したものでは、添加したローダミン標識インスリンの0.7%以上が細胞に取り込まれた。
実施例11:インスリンの経鼻投与2
<方法>
実施例4と同様の方法にてインスリンを調整し、インスリン溶液単独、または全アミノ酸配列がL体の配列番号1,9,10のペプチド(シグマジェノシス社委託合成)をPBSに溶解し、前述のインスリン溶液と合わせ、それぞれの投与実験においてインスリン(1IU/kg)、それぞれのペプチド0.5mMの40μl混合溶液を調製した。それぞれの混合溶液を実施例4に記載と同じ方法でラットに投与し、経時的に採血、測定を行い、血漿中のインスリン濃度を測定し、血中濃度(μU/ml)と時間(分)の推移を元にAUC(薬物血中濃度−時間曲線下面積)を算出した。
<結果>
3連または6連で行った評価におけるインスリン単独、および、配列番号1、配列番号9または10のペプチドとインスリンの混合液を投与した場合のAUCの平均値および標準誤差を図14に示す。配列番号1,9,10の細胞膜透過性ペプチドとインスリンを併用投与した場合は、インスリン単独を投与した場合に対して、有意に高いインスリンの鼻腔吸収性を示した。
実施例12:細胞内へのインスリン移行促進性評価3
<方法>
実施例2と同様の方法を用いて配列番号6,12〜30のアミノ末端にフルオレセイン標識したペプチド(シグマジェノシス社委託合成)を用いてHeLa細胞へのインスリン移行促進性評価を行った。COインキュベーターでのインキュベーション時間は5時間とし、蛍光強度測定装置で細胞に取り込まれたローダミン標識インスリン量を測定した。また、実施例1と同様の方法で細胞に取り込まれたフルオレセイン量を測定した。
<結果>
各ウェルに添加した量に対する細胞に取り込まれたフルオレセイン量を図15に示す。それぞれの値は2連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。配列番号6で示すランダムな配列を持つペプチドでは、添加したフルオレセイン量の0.2%程度しか細胞内に取り込まれなかったのに対し、配列番号12〜30で示される本発明の細胞膜透過性ペプチドでは、いずれも0.8%以上が細胞内に取り込まれた。
また、各ウェルに添加した量に対する細胞に取り込まれたローダミン標識インスリン量を図16に示す。それぞれの値は2連で行った評価の平均値と標準誤差を示す。細胞膜透過性ペプチドでない配列番号6のランダムペプチドでは、添加したローダミン標識インスリン量の0.2%程度しか細胞内に取り込まれなかったのに対し、配列番号12〜30の本発明の細胞膜透過性ペプチドを共添加した場合ではいずれも1%以上が細胞内に取り込まれた。
本発明により、これまで困難であった親水性生理活性物質の細胞内導入が容易になり、新たな医療技術の展開が期待できる。具体的には、本発明の細胞膜透過性ペプチドにより親水性生理活性物質を経粘膜投与可能な製剤が得られるため、従来の親水性生理活性物質を含む製剤(例えば、注射剤)が与える患者の苦痛、不便を大幅に改善することにより医療現場における患者本位の医療を実現するだけではなく、これまでの親水性生理活性物質製剤の概念を根底から変え、画期的製剤の創製につながる。
配列番号1〜5 本発明の細胞膜透過性ペプチド
配列番号6 ランダムペプチド
配列番号7 オリゴアルギニン
配列番号8 ペネトラチン
配列番号9〜10 本発明の細胞膜透過性ペプチド
配列番号11 ランダムペプチド2
配列番号12〜30 本発明の細胞膜透過性ペプチド

Claims (8)

  1. 以下の(A)、(B)または(D)の細胞膜透過性ペプチド。
    (A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
    (B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1〜7個のリシンおよびアルギニンから選択される塩基性アミノ酸が別のリシンおよびアルギニンから選択される塩基性アミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなり、かつ細胞膜透過性を有するペプチド
    D)(A)または(B)の逆配列で表されるアミノ酸配列からなり、かつ細胞膜透過性を有するペプチド。
  2. 前記(B)のペプチドが配列番号2〜4,9〜10,13のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の細胞膜透過性ペプチド。
  3. 前記(D)のペプチドが配列番号5または14で表されるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の細胞膜透過性ペプチド。
  4. 配列番号12,15〜30のいずれかで表されるアミノ酸配列からなる、細胞膜透過性ペプチド。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質を含む、医薬組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質を含む、経口投与用医薬組成物。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の細胞膜透過性ペプチドと親水性生理活性物質を含む、経鼻投与用医薬組成物。
  8. 親水性生理活性物質がペプチド、タンパク質または核酸である、請求項5〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
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