JP5651495B2 - 電力系統安定化制御方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、連系線の分離により単独系統となった場合の電力系統安定化制御技術に係り、特に、単独系統が送電側である時に発電機遮断あるいは調相制御を行うことで周波数及び電圧の安定化を図る電力系統安定化制御方法及びその装置に関する。
一般に、電力系統において系統事故等が起きて連系送電線が分離されると、電力系統の一部が単独系統となる。単独系統では周波数変動に加えて電圧変動が起きる場合があるため、周波数及び電圧がそれぞれの運用許容値を超えないように運用管理し、両者を共に安定化させる制御が不可欠である。電力系統安定化制御技術の従来例としては、特許文献1〜3に記載の技術などが提案されている。
特許文献1は、単独系統の周波数を安定化させるために、電制対象となる発電機を選択する技術である。ここではまず、電力系統に接続された発電機の運転情報及び連系線の潮流値に基づいて、想定事故に対する予測周波数が算出され、求めた予測周波数から不安定状態に至る発電機の有無が判定される。そして、事故発生時に不安定な発電機が存在すると判定された場合、予め設定された複数の系統制御パターンのうち、任意の系統制御パターンを実施したものと仮定して、予測周波数が再度演算される。
最終的に、再演算結果である予測周波数に基づいて、不安定状態に至るすべての発電機を安定状態に遷移できるような系統制御パターンが、予め決めておいた優先順位に従って選択される。この技術によれば、単独系統後の発電機の安定状態を維持しつつ、周波数異常を適正な周波数に制御することが可能となる。
また、特許文献2の技術は、大きな対地静電容量を持つ地中ケーブルなどで構成される電力系統の安定化制御技術であって、他の電力系統から受電する側の電力系統を制御するものである。特許文献2の技術では、系統分離して電力系統の一部が受電側の単独系統となった時、負荷遮断量が決定されると共に、調相設備投入量が算出される。
負荷遮断量は、系統分離点の故障前の有効電力に基づいて周波数を制御するための値である。一方、調相設備投入量は、負荷端子電圧を予め設定した目標値に制御するための値であって、負荷遮断後に残存する有効電力及び無効電力、変圧器のリアクタンス値などを含む演算式から求められる。そして、単独系統となった場合に負荷遮断量と調相設備投入量と一致するように、負荷の選択遮断と調相設備の選択投入とを実施する。
特許文献3の技術は、電力系統に系統事故が発生した場合に、過渡安定度と周波数安定度と電圧安定度という3つの系統安定度の協調を図るようにしたものである。特許文献3の技術では、上記3つの安定度を維持すべく、以下のようにして遮断対象となる発電機を選定している。
まず、系統の過渡安定度維持に効果のある指標と、周波数安定度維持に効果のある指標と、電圧安定度維持に効果のある指標において、各指標値が系統内の発電機毎に算出される。そして、前記指標値に基づいて総合化した電制効果指標値が、発電機毎に演算される。そして、演算結果の中から、電制効果指標値の最も高い発電機が、安定化に必要な電源制限に最適な発電機として、選定される。
特許第3084343号 特許第2504405号 特開2001−352678号
上記の従来技術には次のような課題が指摘されていた。特許文献1の技術は、単独系統後の発電機状態を安定に維持しつつ、周波数異常を適正な周波数に制御することを目的としている。このため、単独系統後に変動する電圧に関しては、その運用許容値内へと収めるような制御を考慮していない。したがって、単独系統発生後に無効電力の変化に伴って、事故後の早い段階で線路や母線の耐電圧値を超えるような電圧過昇が起きたとしても、電圧過昇解消のための調相制御に対応することができなかった。その結果、単独系統の電圧が運用許容値を逸脱するおそれがあった。
特許文献2の技術は、受電側である単独系統を安定化させる技術なので、単独系統が送電側である場合には対応することができない。また、特許文献2の技術では、最初に周波数の安定化に必要な負荷遮断量を求め、その後から電圧の安定化に必要な調相設備投入量を決めている。
このとき、調相設備投入量は、負荷遮断後の残存有効・無効電力等をもとに算出するので、負荷遮断箇所の選定結果次第で、調相設備投入量の値が変化することになる。したがって、調相設備投入量を最小化することは困難であり、投入すべき調相設備が不足してしまい、単独系統後の電圧が運用許容値から逸脱する可能性があった。
また、特許文献3の技術では、過渡安定度と周波数安定度と電圧安定度の維持を目的としており、遮断発電機を選定するものである。したがって、単独系統後の電圧を運用許容値の範囲に収めるべく調相制御が必要となった場合、調相設備の選定に関しては何の対策も無く、単独系統後の電圧が運用許容値から逸脱するおそれがあった。
通常、大容量発電機は電力需要地の遠隔にあるので、送電線は大電力を長距離にわたって送電している。このような長距離送電線を含む電力系統にて系統事故等が発生して系統の一部が単独系統になれば、送電線のリアクタンス値が大きいので、送電線の有効電力潮流の変化は大きく、それに応じて送電線の無効電力ロスも大きく変化する。つまり、長距離送電線を含む電力系統の一部が単独系統となり、その単独系統が送電側である時、単独系統後の母線電圧値は大きく変動し易い。
また、単独系統での周波数安定化を目指して単独系統内の発電機が選択的に遮断されるが、この発電機遮断時の発電機無効電力出力に応じて単独系統内の無効電力が変化する。その結果、単独系統内の電圧はさらに変動することになる。
しかも、遮断時の発電機の無効電力出力は発電機毎に異なっており、どの発電機が、どのタイミングで遮断動作を行うかによって電圧変動量は違ってくる。したがって、単独系統における電圧変動を予測することは難しく、単独系統後の電圧を運用許容値に収めることは困難であった。
以上述べたように、周波数安定化のために実施する発電機遮断は、周波数だけでなく電圧とも密接な関係があるため、電圧変動の要因となり、遮断対象とした発電機の選定により電圧安定化制御に用いる調相設備の制御量が変化する。このため、調相設備の制御量が増大し、系統内の調相設備が不足してしまうことがあり、単独系統の電圧を運用許容値にすることが難しかった。
また、調相設備の制御量が大きくなれば、系統安定化までに時間が長くかかり、迅速な安定化制御を実現し難く、系統運用の効率低下を招くことになった。そこで、調相設備の制御量を極力少なくして、系統安定化までの制御時間の短縮化を図り、系統運用の効率を高めることが要請されていた。
本発明は、以上の課題を解決するために提案されたものであって、電力を他の電力系統に送電している電力系統が送電線事故等により単独系統となった場合に、周波数安定化用の遮断発電機の選定に際して発電機遮断による電圧変動への影響を十分に考慮して、最小の調相設備等の制御量で、単独系統後の電圧を運用許容値内に制御することが可能な電力系統安定化制御方法及びその装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、電力系統の連系線に分離が生じた場合に、事前に選定した発電機や調相設備の制御対象を遮断制御あるいは投入制御あるいは開放制御することにより、前記電力系統の安定度を維持すると共に、周波数を周波数の指定範囲内に、電圧を電圧の指定範囲内に、それぞれ制御する電力系統安定化制御方法であって、前記電力系統の系統状態情報をもとにして系統データを作成する系統データ作成ステップと、前記系統データ作成ステップにて作成した前記系統データにより想定事故に対する前記電力系統の安定度計算を行う安定度計算ステップと、前記安定度計算ステップにて求めた安定度計算結果に基づいて前記電力系統における発電機の安定状態、周波数状態及び電圧状態を段階的に判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果を受けて前記安定度計算ステップでの安定度計算結果から前記電力系統内の発電機または調相設備の選定を行う選定ステップ、を含み、前記選定ステップでは、前記判定ステップにて前記電力系統に不安定な発電機が存在すると判定した場合、前記電力系統の安定化のために遮断制御される系統安定化用発電機を選定し、前記判定ステップにて前記電力系統の全ての発電機が安定であるが前記電力系統の周波数がその指定範囲を逸脱すると判定した場合、周波数安定化のために遮断制御される周波数安定化用発電機を選定し、さらに前記判定ステップにて前記電力系統の周波数はその指定範囲内に収まるが前記電力系統の電圧がその指定範囲を逸脱すると判定した場合、前記電力系統の電圧安定化のために投入制御または開放制御される調相設備を選定することを特徴としている。
本発明の電力系統安定化制御方法及びその装置によれば、送電側の単独系統において電制対象機である遮断発電機を選定する時、発電機遮断による電圧変動への影響を考慮することにより、最小の調相制御量で運用許容値内に電圧を安定化することができ、電制対象である遮断発電機並びに調相制御対象である調相設備について、最適な選定が可能であり、制御時間の短縮化及び系統運用の効率向上を図ることができる。
本発明の代表的な実施形態に係る電力系統安定化制御装置の構成図。 連系送電線が分離された時の電力系統の周波数及び電圧の変化を示すグラフ。 本実施形態による制御対象機器の選定処理全体の流れを示すフローチャート。 本実施形態による調相制御対象の選定処理の流れを示すフローチャート。
(1)代表的な実施形態の構成
[全体構成]
図1は、本発明に係る電力系統安定化制御装置の代表的な実施形態を適用した電力系統の構成図である。図1において、符号1は系統安定化対象である電力系統A、符号2は電力系統Aの外部系統である電力系統Bである。
電力系統A1と電力系統B2とは、連系送電線3で連系されており、電力系統A1から電力系統B2へ有効電力P1が送電されている。本実施形態は、系統事故等の発生により連系送電線3が分離されて、送電側の電力系統A1が単独系統になった場合に適用される電力系統安定化制御技術である。
図1に示すように、電力系統A1には、8本の母線4〜11と、7本の送電線12〜18と、3台の発電機20〜22と、2つの調相装置23、24と、8台の遮断器30〜37と、6つの負荷40〜45と、1つの計測端末60と、6つの制御端末61〜66とが設けられている。
また、電力系統A1には、給電指令所50、演算装置51、制御器52が設置されており、これらの部分から本実施形態に係る電力系統安定化制御装置が構成される。電力系統安定化制御装置は、発電機20〜22、調相装置23、24及び送電線12を制御対象機器としており、演算装置51の演算結果を受けた制御器52が制御端末61〜66を制御することで、単独系統となった電力系統A1の安定化制御を実施するようなっている。
[電力系統A1の概略]
本実施形態である電力系統安定化制御装置の構成を説明する前にまず、電力系統A1の概略について述べる。母線4、5間には送電線12が、母線5、6間には送電線15が、母線6、7間には送電線16が、母線5、8間には送電線13が、母線8、11間には送電線14が、母線8、9間には送電線17が、母線9、10間には送電線18が、それぞれ接続されている。また、母線4、5、6、8、11、9にそれぞれ負荷40〜45が設けられている。
さらに、母線4、7、10に発電機20〜22が接続されており、発電機20〜22に遮断器30、34、36が設置されている。これら遮断器30、34、36にそれぞれ制御端末61、64、66が取り付けられている。これら制御端末61、64、66は、制御器52からの制御信号を受けて、遮断器30、34、36を介して発電機20〜22の遮断制御を行う端末である。
また、母線6、9に調相装置23、24が接続されており、調相装置23、24には遮断器33、35が設置されている。遮断器33、35には制御端末63、65が取り付けられている。制御端末63、65は、制御器52からの制御信号を受けて、遮断器33、35を介して調相装置23、24を開放または投入させる端末である。
送電線12の両端には遮断器31、32が設置されており、遮断器31、32には制御端末62が取り付けられている。制御端末62は、制御器52からの制御信号を受けて、遮断器31、32を介して送電線12を開放させる端末である。また、連系送電線3には遮断器37が設置されており、遮断器37には計測端末60が取り付けられている。計測端末60は連系送電線3の有効電力P1の変化または遮断器37の開放等によって連系送電線3の分離を検出する端末である。
[給電指令所50]
次に、電力系統安定化制御装置の構成について説明する。上述したように、本実施形態に係る電力系統安定化制御装置は、給電指令所50、演算装置51、制御器52から構成されている。このうち、給電指令所50は、電力系統A1内の各種の系統状態情報を収集する部分である。系統状態情報には、発電機20〜22における出力値を含む運転状態、系統周波数、負荷40〜45の負荷量、送電線12〜18や母線4〜11における有効電力と無効電力と電圧値、遮断器30〜37の投入開放状態、変圧器のタップ位置等が含まれる。
[演算装置51]
演算装置51は、本実施形態の主要部分であって、給電指令所50及び制御器52に接続されている。演算装置51は、演算処理を行う手段として、系統データ作成部53と、安定度計算部54と、判定部55と、選定部56と、選定可否判断部57が組み込まれている。選定可否判断部57には所定の警告を表示するための警告表示部58が接続されている。
[系統データ作成部53]
系統データ作成部53は、給電指令所50が収集した系統状態情報を利用して、安定度計算用のノード・ブランチモデルを作成し、公知の系統状態推定計算を行うことで系統データを作成する部分である。
[安定度計算部54]
安定度計算部54は、系統データ作成部53の作成した系統データに基づいて、想定事故に対する電力系統A1の安定度計算を行う部分である。安定度計算部54における安定度計算では、次のような変化量を求めるようになっている。
すなわち、安定度計算部54は、各発電機20〜22における有効電力出力や無効電力出力の各変化量、位相角や周波数や母線4〜11の電圧に関する変化量、さらには送電線12〜18の有効電力や無効電力の時系列の変化量について、求めている。また、安定度計算部54は、選定部56にて制御対象機器が選定された場合には、選定された各制御対象機器の制御タイミングで制御を実行し、安定度計算を行うようになっている。
[判定部55]
判定部55は、安定度計算部54の求めた安定度計算結果に基づいて、発電機20〜22の安定状態、電力系統A1の周波数状態及び母線4〜11の電圧状態を段階的に判定する演算を行う部分である。判定部55では、次のような判定処理を段階的に行っている。
まず、判定部55では、安定度計算部54の計算した位相角変化等を基にして、電力系統A1にて不安定状態に至る発電機20〜22が存在するか否かを判定する。ここで電力系統A1に不安定な発電機20〜22が存在しない、つまり全ての発電機20〜22が安定状態であると判定すれば、判定部55はそのような判定を下した後、電力系統A1の周波数がその指定範囲を逸脱するか否かを判定する。
さらに、判定部55は、電力系統A1の周波数がその指定範囲内に収まると判定すれば、それに続いて、電力系統A1内の母線4〜11の電圧がその指定範囲を逸脱するか否かを判定する。なお、判定部55は、同一の想定事故で任意のフロー処理が2回目以上であるかどうかも判定するようになっている。
[選定部56]
選定部56は、単独系統となった電力系統A1の周波数及び母線4〜11の電圧値を、その運用許容値内に制御することを目的として、下記の機器を選定するための演算処理を行う部分である。選定部56にて選定される機器とは、遮断制御される発電機20〜22、開放制御または投入制御される調相装置23、24、さらには開放制御される送電線12である。また、選定部56には、発電機遮断量算出部56aと、無効電力制御量算出部56bと、調相制御量算出部56cが設けられている。
選定部56は、判定部55の判定結果を受け、安定度計算部54による安定度計算結果に基づき、次のようにして段階的に制御対象機器を選定している。判定部55が電力系統A1に不安定となる発電機20〜22が存在すると判定する限り、選定部56は予め設定された順序に従って、発電機20〜22の選定を続ける。この時に選定される発電機20〜22を、電力系統A1の安定化用遮断発電機と呼ぶ。全ての発電機20〜22が安定となる安定化用遮断発電機の組み合わせが見つかるまで、前記安定度計算部54は安定度計算を繰り返し行い、選定部56は安定化用遮断発電機の選定を続けることになる。
次に、判定部55が電力系統A1の全ての発電機20〜22が安定であるという判定を下し、続いて電力系統A1の周波数がその指定範囲を逸脱すると判定した場合に、選定部56は、周波数安定化のために遮断制御される発電機(これを周波数安定化用遮断発電機と呼ぶ)を選定するようになっている。
このとき、選定部56は、遮断タイミング時の遅れ無効電力出力が大きい順に、制御対象候補の発電機20〜22の中から優先して制御対象機器を選定するように構成されている。判定部55が電力系統A1の周波数がその指定範囲内に収まると判定するまで、安定度計算部54は安定度計算を繰り返すと共に、発電機遮断量算出部56aによる発電機遮断量の算出を繰り返し、選定部56は周波数安定化用遮断発電機の選定を続けるようになっている。
さらに、判定部55において電力系統A1の周波数がその指定範囲内に収まると判定した上で、電力系統A1の母線4〜11の電圧がその指定範囲を逸脱すると判定すれば、選定部56は、母線4〜11の電圧安定化のために投入制御または開放制御される調相設備23、24あるいは開放制御される送電線12を選定するようになっている。
選定部56による調相設備23、24及び送電線12の選定に際しては、選定部56は電力系統A1の安定度計算結果をもとにして、次のようにして選定する。まず、選定部56の無効電力制御量算出部56bが、電力系統A1における各送電線12〜18の対地静電アドミタンス及び母線4〜11の電圧値から無効電力を概算する。
そして、選定部56の調相制御量算出部56cが、想定事故が発生する前と後での無効電力の差を求める。選定部56は、この無効電力の差を調相設備23、24の最大制御量として、最大制御量以下で調相設備23、24あるいは送電線12の選定を行うようになっている。
また、選定部56の調相制御量算出部56cでは、調相設備の最大制御量と、初期値を零とする最小制御量とを用いた二分探索法によって、調相制御量を算出している。なお、判定部55が電力系統A1の電圧がその指定範囲内に収まると判定するまで、安定度計算部54は安定度計算を繰り返すと共に、調相制御量算出部56cが各制御量の算出を繰り返し、選定部56は調相設備23、24あるいは送電線12の選定を続けるようになっている。
[選定可否判断部57]
ところで、本実施形態は、電力系統A1の周波数及び電圧を運用許容値内に制御するものであるが、上記選定部56によって制御対象機器(発電機20〜22、調相設備23、24あるいは送電線12)を選定しても、電力系統A1の周波数及び電圧が運用許容値から逸脱する場合が考えられる。そこで本実施形態では、電力系統A1の安定化が不可かどうかを判断するための選定可否判断部57が、演算装置51に組み込まれている。
選定可否判断部57は、上記選定部56によって制御対象機器の選定が実質的に可能であるかどうかを判断する部分である。すなわち、選定可否判断部57は、機器を継続して選定可能であると判断すれば、安定度計算部54に対し電力系統A1の安定度計算処理を再度行うように再計算指令を出力する。また、選定可否判断部57は、制御対象機器を全て選定した後、制御可能な機器を追加選定できないと判断すれば、安定化不可である旨の警告を、警告表示部58に出力するようになっている。
[制御器52]
制御器52は、演算装置51、計測端末60及び制御端末61〜66に接続されており、演算装置51の選定部56が選定した制御対象を記憶する部分である。また、制御器52は、計測端末60が連系送電線3の分離を検出した時に、制御器52にて記憶した発電機20〜22や調相装置23、24や送電線12などの制御対象機器に対し、制御端末61〜66を介して、遮断や開放または投入の制御信号を出力するようになっている。
(2)電力系統A1における周波数及び電圧の変動
[電力系統A1の周波数変動]
既に述べたように、連系送電線3が分離された場合、単独系統となった電力系統A1では周波数及び電圧が変動する。この点に関して、図2のグラフを参照して具体的に説明する。図1に示すように連系送電線3が分離する前には、電力系統A1から電力系統B2へ有効電力P1が送出されている(図2の上段のグラフ参照)。
この状態から、時間(t1)時に連系送電線3が系統事故で分離され、電力系統A1が単独系統になったとする。連系送電線3が系統事故で分離されると、電力系統A1では有効電力が過剰となり、周波数fが上昇して過渡的にピークに至る。その後、電力系統A1内の発電機20〜22の調速機(ガバナ)の動作によって、電力系統A1の周波数は連系送電線3の事故発生前よりも高い値で収束することになる。なお、本実施形態では、周波数の運用許容値として、周波数の最大値と収束値の各上限値が設定されている(図2の中段のグラフ参照)。
[電力系統A1の電圧変動]
また、連系送電線3が分離された時、電力系統A1では電圧が変動する。すなわち、連系送電線3の分離によって電力系統A1内の送電線12〜18を通過する有効電力は低下するので、送電線12〜18の無効電力ロスが低下する。したがって、電力系統A1内の遅れ無効電力は余剰となり、電力系統A1内の母線4〜11の電圧値が過渡的に上昇する。本実施形態では電圧の運用許容値としては、最大値の上限値が設定されている(図2の下段のグラフ参照)。
(3)電力系統A1の安定化制御
[電力系統A1の周波数安定化制御]
電力系統A1の周波数変動を安定化させる制御としては、電力系統A1内の発電機20〜22を遮断して周波数上昇を抑制させる制御が基本である。電力系統A1を制御対象とする本実施形態では、制御器52からの制御信号により、制御端末61、64、66を介して遮断器30、34、36を開放し、発電機20〜22を遮断制御する。これにより、電力系統A1の周波数上昇を抑え、周波数を運用許容値内に収めて、電力系統A1の周波数安定化を図っている。
[電力系統A1の電圧安定化制御]
一方、電力系統A1の母線4〜11の電圧値の安定化制御に関しては、調相装置23、24の調相制御(より具体的には並列コンデンサの開放や分路リアクトルの投入)によって電圧上昇を抑制している。また、本実施形態では、厳密には調相設備ではないが、対地静電容量の大きい送電線12に関して、その開放制御を行うことにより、電力系統A1の電圧安定化が図られる。
すなわち、電力系統A1では、制御器52からの制御信号により、制御端末63、65、62にて遮断器33、35、31、32を開放または投入し、調相装置23、24の調相制御並びに送電線12の開放制御を行うことにより、電力系統A1の電圧上昇を抑えることができ、電圧の運用許容値内に収めて安定化させている。
(4)制御対象機器の選定処理
ところで、電力系統A1の周波数・電圧安定化制御を実施する場合、遮断発電機の選定に伴って、電圧安定化制御に用いる調相設備の制御量が変化することは既に述べた。したがって、発電機遮断による電圧変動への影響を考慮する必要がある。そこで本実施形態では、演算装置51の判定部55によって電力系統A1の状態を判定し、その判定結果を受け、選定部56によって、制御対象機器である発電機20〜22や調相装置23、24、送電線12を選定している。
このような選定部56による制御対象機器の選定処理について、図3、図4のフローチャートを参照して具体的に説明する。図3のフローチャートは制御対象機器の選定処理全体の流れ、図4のフローチャートは調相制御対象を選定する処理(図3におけるステップ11の内容)の流れを示している。
[制御対象機器の選定処理全体の流れ]
電力系統A1において、選定部56が選定処理を実施する制御対象機器は、発電機20〜22、調相装置23、24及び送電線12であるが、電力系統A1の状態は時々刻々と変化し、最新の系統状態に対応した制御対象機器を選定しなくてはならない。このため、図3のフローチャートの処理は、数秒から数分の所定の周期で実行し、電力系統A1の状態変化に対応している。
図3のフローチャートに示すように、まず、演算装置51に組み込まれた系統データ作成部53は、給電指令所50で収集された系統状態情報を入力する(ステップ1)。系統データ作成部53は、安定度計算に使用するノード・ブランチモデルを作成し、公知の系統状態推定計算を行って、安定度計算に用いる系統データを作成する(ステップ2)。
次に、ステップ3では、安定度計算部54が想定事故に対する安定度計算を行う。なお、選定部56にて制御対象機器が既に選定されている場合には、安定度計算部54は各制御対象機器の制御タイミングで制御を実行して安定度計算を行う。ここで安定度計算部54は、各発電機20〜22の有効電力出力や無効電力出力の各変化や、位相角や周波数や母線4〜11の電圧の変化、さらには送電線12〜18の有効電力や無効電力の時系列変化を計算し、位相角変化等を基にして各発電機20〜22の安定度を判別する。
続いてステップ4では、安定度計算部54の求めた安定度計算結果から、判定部55は、不安定となる発電機20〜22が電力系統A1内に存在するか否かの判定を行う。不安定となる発電機20〜22が電力系統A1内に1台でも存在する場合は(ステップ4のNo)、予め設定された遮断制御する発電機の選定順序に従って、選定部56が安定化用遮断発電機20〜22を選定する(ステップ5)。
さらにステップ5bに進み、ここでは選定可否判断部57が遮断制御可能な発電機を追加選定できるかどうかを確認する。選定可否判断部57の判断結果が、発電機を選定可能である場合には(ステップ5bのYes)、ステップ3に戻って、全ての発電機20〜22が安定となる安定化用遮断発電機の組み合わせが見つかるまで、安定度計算部54が安定度計算を繰り返し行う(ステップ3〜5bを含むループとなる)。
また、遮断制御可能な発電機20〜22を全て選定し、遮断制御可能な発電機20〜22を追加選定できないと、選定可否判断部57が判定すれば(ステップ5bのNo)、ステップ12bに移行する。ステップ12bでは、安定化不可の警告を警告表示部58により表示し、処理を終了する。
ステップ4において、全ての発電機20〜22が安定となった場合(ステップ4のYes)、ステップ6に進む。ステップ6では、安定度計算部54の安定度計算結果から、電力系統A1の周波数がその運用許容値内であるかどうかを、判定部55が判定する。このとき、本実施形態では、周波数の運用許容値として周波数の上限値及び収束値を設定しており、判定部55は、周波数の上限値の範囲内であるか否か、及び収束値の範囲内であるか否かについて、一方若しくは両方を判定する。
判定部55において、周波数が運用許容値の上限値または/且つ収束値の範囲を逸脱すると判定すれば(ステップ6のYes)、選定部56は制御対象を選定するための演算処理を行う(ステップ7)。すなわちステップ7では、選定部56の発電機遮断量算出部56aが、周波数を運用許容値内とするために安定化に必要な発電機遮断量ΔPgについて、
(数1)
ΔPg=P1−(Po×K×Δf)/10…式1
に従って算出する。
上記式1において、P1は連系送電線3の事故前有効電力(MW)、Poは周波数を制御する電力系統A1の総負荷量である系統容量(MW)、Kは電力系統A1の系統特性定数(%MW/0.1Hz)、Δfは周波数上昇値(Hz)を示している。周波数上昇値Δfは電力系統A1における周波数の運用許容値を基にして事前に決定した固定値とする。また、系統特性定数Kについても、電力系統A1の特性を反映し、且つ発電機遮断不足とならないよう事前に決定した固定値である。
電力系統A1の総負荷量である系統容量Poと、連系送電線3の事故前有効電力P1については、給電指令所50で収集した系統状態情報を利用する。つまり、選定部56の発電機遮断量算出部56aは、時々刻々変化する連系送電線3の有効電力P1と系統容量Poの現時点の値を用いて、発電機遮断量ΔPgを算出可能である。
さらに、ステップ5において安定化用遮断発電機が選定されている場合は、選定部56の発電機遮断量算出部56aは、前記式1によって求めたΔPgから、安定化用遮断発電機の事故前有効電力出力値の合計Psallを減じた値を、ΔPgの新値として更新する。そして、ステップ7にて発電機遮断量算出部56aが算出した発電機遮断量を基にして、選定部56はステップ8にて周波数安定化用遮断発電機を選定する。
次にステップ8bでは、選定可否判断部57が遮断制御可能な発電機を追加選定できるかどうかを確認する。発電機を選定可能であると選定可否判断部57が判断する場合には(ステップ8bのYes)、ステップ3に戻る。選定部56による周波数安定化用遮断発電機の選定に関しては、ステップ3、4、6〜8bを含むループとなる。
ここでは、電力系統A1の周波数が運用許容値の範囲内となるまで、安定度計算部54が安定度計算を繰り返して行う。また、遮断制御可能な発電機20〜22を全て選定し、遮断制御可能な発電機20〜22を追加選定できないと、選定可否判断部57が判定すれば(ステップ8bのNo)、ステップ12bに移行して、警告表示部58が安定化不可の警告を表示し、処理を終了する。
なお、ステップ3と7と8とを含むループの繰り返し過程において、ステップ4で不安定となる発電機20〜22が存在すると再び判断された場合には、選定部56は、ステップ5において現時点まででステップ5で選定される安定化用遮断発電機から、次位の選定順序の安定化用遮断発電機へと、選定を更新する。また選定部56は、ステップ8で選定部56の選定した周波数安定化用遮断発電機については、選定無しの状態に更新する。
ここで、選定部56による発電機20〜22の選定方法について、表1及び表2を用いて、具体的に説明する。表1は、周波数を制御する電力系統A内にG1、G2、G3、G4の4機の周波数安定化用遮断発電機の候補があると想定した場合の、各発電機の系統事故前の有効電力出力値と、発電機遮断タイミング時点での遅れ無効電力出力の一覧である。
遅れ無効電力出力とは、ステップ3の安定度計算結果から得られるもので、その値が正の場合には当該発電機は電力系統A1に遅れ無効電力を供給して電力系統A1の電圧を上昇させる。
Figure 0005651495
下記の表2は、上記の表1について、発電機遮断タイミング時点での遅れ無効電力出力が降順になるようにソートしたものである。すなわち、+10MVarを出力する発電機G3、次に+5MVarを出力する発電機G2という順にソートされている。表2の最右列にソート後の順に事故前発電機有効電力出力の積算値が示されている。
例えば、発電機G1の行にはG3とG2とG1の事故前発電機有効電力出力である150MW、50MW、100MWの合計である300MWが表示されている。
Figure 0005651495
遮断制御する発電機の選定は、上記の表2にて示すように、事故前発電機有効電力出力の積算値が、ステップ7にて選定部56が算出したΔPg以上であって、かつ最小となる発電機までとする。例えば、ΔPg=250MWと仮定した場合は、250MW以上の最小値である積算値300MWまでを遮断発電機として、発電機G3とG2とG1という3台の発電機を選定することになる。
全ての発電機20〜22が安定となって(ステップ4のYes)、かつ電力系統A1の周波数が運用許容値を逸脱しなければ(ステップ6のNo)、ステップ9に移る。ステップ9では、安定度計算部54の安定度計算結果から電力系統A1内の母線4〜11の電圧値が運用許容値を逸脱していないかどうかについて、判定部55が判定する。
ステップ9において、電力系統A1内の母線4〜11の電圧値が運用許容値を逸脱していないと、判定部55が判断すれば(ステップ9のNo)、選定部56の選定した安定化用遮断発電機と周波数安定化用遮断発電機と調相制御対象を、制御器52に送出して(ステップ12)、処理を終了する。
一方、判定部55にて、母線4〜11の電圧値が運用許容値を逸脱すると判定する場合は(ステップ9のYes)、ステップ10に進む。ステップ10では、選定部56の無効電力制御量算出部56bが、母線4〜11の電圧を運用許容値内とするために必要となる無効電力制御量を算出する。
選定部56の無効電力制御量算出部56bは、次のようにして無効電力制御量を算出している。事故前の電力系統A1内の各送電線において、対地静電アドミタンスYg1を送電線毎にパイ形配置しておく。そして、無効電力制御量算出部56bは、各母線4〜11の電圧値から事故前の対地静電アドミタンスYg1による無効電力Q1を算出する。
また、無効電力制御量算出部56bは、事故後の電力系統A1内の母線4〜11の電圧で運用許容値からの超過量が最大となる図2の時間tvmaxにおいて、電力系統A1内の対地静電アドミタンスYg2による無効電力Q2について算出する。そして、無効電力制御量算出部56bは、事故後の無効電力Q2と事故前の無効電力Q1との差からΔQchargeを求める。
(数2)
ΔQcharge=Q2−Q1…式2
事故発生前後での対地静電アドミタンスYg1、Yg2が同一値の場合、上記ΔQchargeは、事故の前後における母線4〜11の電圧値変化に対応した遅れ無効電力の増加量である。したがって、事故後の母線4〜11の電圧値を、事故前の母線4〜11の電圧値とするためには、電力系統A1から無効電力制御量の概算値ΔQcharge相当の無効電力を系統外部へ出力しなくてはならないことになる。
ただし、事故後の母線4〜11の電圧値を運用許容値の範囲内に収める場合に、事故後の母線4〜11の電圧値を事故前の電圧値のレベルにまで戻す必要はない。このため、事故後の母線4〜11の電圧値を運用許容値内にするために必要となる無効電力制御量は、ΔQcharge以下となる。そこで本実施形態では、ΔQchargeを無効電力制御量の概算値とする。
上記のようにして選定部56の無効電力制御量算出部56bが無効電力制御量ΔQchargeを概算し、その後、ステップ11に移行する。ステップ11では、選定部56が調相設備23、24若しくは送電線12を制御対象として選定する。選定部56は、ステップ10にて求めた無効電力制御量の概算値であるΔQchargeを利用し、事前に設定された調相設備一覧表から、調相設備23、24や、送電線12の調相制御対象を選定する。
下記の表3は、選定優先順に調相設備の定格容量と制御タイミングを示した調相設備一覧表の一例である。なお、送電線Aの定格容量は送電線Aの対地静電アドミタンス値と定格電圧値とから算出しており、例えば1回線当たりの対地静電容量による無効電力値を設定する。
Figure 0005651495
続いて、ステップ11bでは、選定可否判断部57が調相制御可能な調相設備23、24もしくは送電線12を追加選定できるかどうかを確認する。調相設備23、24もしくは送電線12を選定可能であると選定可否判断部57が判断する場合には(ステップ11bのYes)、ステップ3に戻って、調相設備もしくは送電線の選定に関し、母線4〜11の電圧値が運用許容値内となるまで、安定度計算部54が安定度計算を繰り返す(ステップ3、4、6、9〜11bを含むループとなる)。
なお、ステップ3と10と11とを含むループの繰り返し過程において、ステップ4で不安定となる発電機20〜22が存在すると再度判断された場合は、選定部56は、ステップ5で現時点の安定化用遮断発電機20〜22から次位の選定順序の安定化用遮断発電機20〜22を選定する。と同時に、選定部56は、ステップ8で選定した周波数安定化用遮断発電機20〜22およびステップ11で選定した調相設備23、24や送電線12の制御対象を、選定無しに更新する。
また、投入または開放制御可能な調相設備23、24や送電線12の制御対象を全て選定し、新たな調相設備や送電線の制御対象を追加選定できないと、選定可否判断部57が判定する場合には(ステップ11bのNo)、ステップ12bに移行する。ステップ12bでは、警告表示部54が安定化不可の警告を表示して、処理を終了する。
[調相制御対象を選定する処理の流れ]
ここで、図3に示したフローチャートのステップ11、つまり調相制御対象の選定処理の流れについて、図4のフローチャートを用いて詳しく説明する。まず、判定部55が同一の想定事故で本フロー処理が2回目以上であるかどうかを判定し、判定結果が1回目ならば、ステップ21へ移行する。
また、判定部55の判定結果が2回目以上であれば、ステップ24bに移行し、現時点までに選定している調相制御対象に対し、調相制御一覧表の選定優先順位に従って、調相制御対象を1つ追加して本フローを終了する。ステップ21では、安定度計算部54の求めた安定度計算結果から、図2に示す電圧が運用許容値を逸脱する時間tfを読み取り、上記表3の調相設備一覧表から制御タイミングがtf以下の調相設備を、選定部56が抽出する。
上記表3の調相設備一覧表において、例えば運用許容値逸脱時間tfを1.3秒と仮定した場合、制御タイミングが1.3秒より大きい分路リアクトルAと分路リアクトルBは、調相設備23、24及び送電線12の選定過程で無視される。そのため、調相設備の選定優先順は並列コンデンサB、並列コンデンサA、送電線Aの順となる。
なお、初期設定としては、調相制御対象なし、調相制御最小容量値0、調相制御最大容量値をΔQchargeと設定している(ステップ22)。そして、下記の式3に示すように、二分探索法を用いて、選定部56の調相制御量算出部56cが調相制御量Qcを算出する(ステップ23)。
(数3)
(調相制御最大容量値−調相制御最小容量値)/2…式3
そして、表3の調相設備一覧表に基づき、選定部56は、選定優先順に調相制御量Qc以上で最小容量の調相制御対象を選定する(ステップ24)。例えば表3の調相制御一覧表において、運用許容値逸脱時間tfが1.3秒で、調相制御量Qcを70Mvarと仮定すると、制御タイミングが1.3秒より小さい制御対象の選定優先順で、且つ調相制御量Qcを超える値の中で最小値となる並列コンデンサBと並列コンデンサAの合計容量150Mvarが、選定部56にて選定されることになる(下記の表4参照)。
Figure 0005651495
ステップ25において、選定した調相制御対象が前回から変化有りの場合(ステップ25のYes)はステップ26へ、変化無しの場合(ステップ25のNo)は処理を終了する。ステップ26では、安定度計算部54の安定度計算結果から時間tvmaxの系統状態を反映した潮流計算データを作成する。潮流計算データを利用した潮流計算により、時間tvmaxで選定した調相制御対象を投入制御または開放制御した場合の電力系統A1内の母線4〜11の電圧値を、調相制御量算出部56cで算出する。
続いて、調相制御量算出部56cの算出した潮流計算結果から、母線4〜11の電圧値が運用許容値を逸脱しているか否かを判定し(ステップ27)、母線4〜11の電圧値が運用許容値を逸脱している場合は(ステップ27のYes)、ステップ28へと移行し、母線4〜11の電圧値が運用許容値以内となる場合には(ステップ27のNo)、ステップ29へ移行する。
ステップ28では、選定部56は、調相制御最小容量値を調相制御量Qcに更新してステップ23へ戻る。また、ステップ29では、選定部56は、調相制御最大容量値を調相制御量Qcに更新してステップ23へ移る。ステップ23と26と27とを含むループで選定する調相制御対象が一定になるまで繰り返し行い、選定部56が調相制御対象を選定してステップ11を終了する。
(5)作用効果
以上のような本実施形態の作用効果は次の通りである。すなわち、本実施形態では、他の電力系統B2へ送電している電力系統A1が送電線事故等により単独系統となった場合に、時々刻々と変化する系統情報を取り入れてリアルタイムの系統データを作成し、それを反映させた安定度計算を行っている。
そして、本実施形態では、この安定度計算結果に基づいて、単独系統が安定で、かつ周波数及び電圧値を運用許容値内に収めるようにした遮断発電機の選定及び調相設備の選定を実現する。このような本実施形態によれば、送電線事故等を検出した時点で、制御対象を投入または開放することが可能であり、単独系統である電力系統A1の周波数及び電圧を、適正範囲で安定して運用することができる。
また、本実施形態においては、制御対象機器の選定に際して、まず遮断発電機を選定し、その後から調相制御対象機器(調相設備、送電線)を選定している。すなわち、発電機20〜22を遮断した場合の無効電力出力による電圧変動を考慮した上で、調相制御対象である調相設備23、24及び送電線12を選定することができる。すなわち、電制対象選定時における発電機20〜22の無効電力出力を勘案し、発電機遮断による周波数の安定化と、調相制御による電圧の安定化との協調を図ることができる。その結果、発電機と調相制御対象機器とを効率的に選定可能であり、設備制御量の最小化を図ることができる。
しかも、本実施形態では、無効電力制御量の概算値を算出し、この概算値を目標として制御対象を選定している。無効電力制御量の概算値は制御対象である電力系統A1の無効電力のバランス式に基づいて算出可能なので、繰り返し計算回数を減らすことができ、制御対象選定の効率化向上に寄与することができる。
さらに、本実施形態によれば、母線4〜11の電圧値が運用許容値を超える時間tfより前に制御可能な調相設備だけを抽出して、制御対象を選定している。このため、効率的に調相設備23、24の制御対象を選定することができる。また、本実施形態では、周波数を運用許容値内にするための遮断発電機を選定する際、発電機の遮断タイミングでの遅れ無効電力出力が大きいものから優先的に選定している。
このため、発電機遮断による電圧値上昇を小さく抑えることができ、母線4〜11の電圧値を運用許容値内にするために必要な調相制御量を、より少なくすることができる。しかも、調相制御量の選定に二分探索法を用いているので、制御対象の選定計算量を低減させて、計算時間を短縮化することが可能である。
また、本実施形態においては、母線4〜11の電圧値を運用許容値内にするための調相制御対象を選定する際、対象系統内の対地静電アドミタンスによる無効電力の系統事故前後の差を調相制御量の上限値としており、調相制御量の上限値内で、調相制御量を変えた潮流計算を繰り返して調相制御対象を選定している。したがって、少ない計算量で効率的に調相制御対象を選定することが可能であり、制御時間の短縮化や調相設備の不足状態を低減できるといった効果がある。
さらに、本実施形態では、送電線12の開放制御を調相制御対象として選定している。送電線12の開放制御時間は通常、分路リアクトルの投入制御時間や並列コンデンサの開放制御時間に比較して高速なので、高速制御が可能である。しかも、想定事故時に制御対象を制御した場合に、安定度計算で安定度を確認しながら、電圧値の安定化制御が可能であり、系統事故後、急速に変化する電圧値の変動に即座に対応することができる。
(6)他の実施形態
なお、本発明に係る電力系統安定化制御装置及びその方法は、上記の実施形態に限定されるものではなく、電力系統の構成や演算装置51の構成等は適宜変更可能である。また、安定度計算の手法等や、周波数安定化に必要な発電機遮断量ΔP、電圧値の運用許容値逸脱時間tf、電圧安定化に必要な調相制御量Qc等は適宜選択可能である。
1…系統安定化対象の電力系統A
2…電力系統B
3…連系送電線
4〜11…母線
12〜18…母線4〜11間の送電線
20…母線4に接続された発電機
21…母線7に接続された発電機
22…母線10に接続された発電機
23…母線6に接続された調相装置
24…母線9に接続された調相装置
30〜37…遮断器
40〜45…母線の負荷
50…電力系統Aの給電指令所
51…演算装置
52…制御器
53…系統データ作成部
54…安定度計算部
55…判定部
56…選定部
56…発電機遮断量算出部
56…無効電力制御量算出部
56…調相制御量算出部
57…選定可否判断部
58…警告表示部
61〜66…制御端末

Claims (6)

  1. 電力系統の連系線に分離が生じた場合に、事前に選定した発電機や調相設備の制御対象を遮断制御あるいは投入制御あるいは開放制御することにより、前記電力系統の安定度を維持すると共に、周波数を周波数の指定範囲内に、電圧を電圧の指定範囲内に、それぞれ制御する電力系統安定化制御方法であって、
    前記電力系統の系統状態情報をもとにして系統データを作成する系統データ作成ステップと、
    前記系統データ作成ステップにて作成した前記系統データにより想定事故に対する前記電力系統の安定度計算を行う安定度計算ステップと、
    前記安定度計算ステップにて求めた安定度計算結果に基づいて前記電力系統における発電機の安定状態、周波数状態及び電圧状態を段階的に判定する判定ステップと、
    前記判定ステップの判定結果を受けて前記安定度計算ステップでの安定度計算結果から前記電力系統内の発電機または調相設備の選定を行う選定ステップ、を含み、
    前記選定ステップでは、
    前記判定ステップにて前記電力系統に不安定な発電機が存在すると判定した場合、前記電力系統の安定化のために遮断制御される系統安定化用発電機を選定し、
    前記判定ステップにて前記電力系統の全ての発電機が安定であるが前記電力系統の周波数がその指定範囲を逸脱すると判定した場合、周波数安定化のために遮断制御される周波数安定化用発電機を選定し、
    さらに前記判定ステップにて前記電力系統の周波数はその指定範囲内に収まるが前記電力系統の電圧がその指定範囲を逸脱すると判定した場合、前記電力系統の電圧安定化のために投入制御または開放制御される調相設備を選定することを特徴とする電力系統安定化制御方法。
  2. 前記電力系統が前記連系線により他の電力系統へ有効電力を送出する場合、前記選定ステップにて前記周波数安定化用発電機を選定する際、前記発電機の遮断タイミング時の遅れ無効電力出力が大きい発電機を、制御対象候補の発電機の中から優先して選定することを特徴とする請求項1記載の電力系統安定化制御方法。
  3. 前記選定ステップにて前記調相設備を選定する際、前記電力系統の安定度計算結果をもとにして前記電力系統における送電線の対地静電アドミタンス及び母線の電圧値から無効電力を算出し、想定事故の発生前後での前記無効電力の差を求め、当該無効電力の差を前記調相設備の最大制御量として、この最大制御量以下で調相設備の選定を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の電力系統安定化制御方法。
  4. 前記選定ステップにて前記調相設備を選定する際、前記調相設備の最大制御量と、初期値を零とする最小制御量とを用いた二分探索法により前記調相設備の選定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力系統安定化制御方法。
  5. 前記選定ステップにて選定される前記調相設備として開放制御される送電線を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力系統安定化制御方法。
  6. 電力系統の連系線に分離が生じた場合に、事前に選定した発電機や調相設備の制御対象を遮断制御あるいは投入制御あるいは開放制御することにより、前記電力系統の安定度を維持すると共に、周波数を周波数の指定範囲内に、電圧を電圧の指定範囲内に、それぞれ制御する電力系統安定化制御装置であって、
    前記電力系統の系統状態情報をもとにして系統データを作成する系統データ作成手段と、
    前記系統データ作成手段にて作成した前記系統データにより想定事故に対する前記電力系統の安定度計算を行う安定度計算手段と、
    前記安定度計算手段にて求めた安定度計算の結果に基づいて前記電力系統における発電機の安定状態、周波数状態及び電圧状態を段階的に判定する判定手段と、
    前記判定手段による判定結果を受けて前記安定度計算手段による安定度計算の結果から、前記電力系統内の発電機または調相設備の選定を行う選定手段、が設けられ、
    前記選定手段は、
    前記判定手段が前記電力系統に不安定な発電機が存在すると判定した場合、前記電力系統の安定化のために遮断制御される系統安定化用発電機を選定し、
    前記判定手段が前記電力系統の全ての発電機が安定であるが前記電力系統の周波数がその指定範囲を逸脱すると判定した場合、周波数安定化のために遮断制御される周波数安定化用発電機を選定し、
    さらに前記判定手段が前記電力系統の周波数はその指定範囲内に収まるが前記電力系統の電圧がその指定範囲を逸脱すると判定した場合、前記電力系統の電圧安定化のために投入制御または開放制御される調相設備を選定するように構成されたことを特徴とする電力系統安定化制御装置。
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