以下、実施形態の系統安定化装置を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態の中央演算装置1が適用される系統安定化システムSの構成を示すブロック図である。系統安定化システムSは、中央演算装置1により電力系統Pを安定化するための制御を行う系統安定化システムである。つまり、中央演算装置1は、電力系統Pを安定化させるための処理を行う装置であり、「系統安定化装置」の一例である。
系統安定化システムSは、例えば、中央演算装置1と、事故検出端末装置2と、制御端末装置3と、給電情報網Nとにより構成される。中央演算装置1は、事故検出端末装置2と、制御端末装置3と、給電情報網Nとを介して電力系統Pに接続される。電力系統Pは、電力を発電し、発電した電力を需要家の負荷設備まで送電するための一連の設備であり、例えば、発電機、母線、変圧器あるいは送電線、負荷、調相設備、遮断器、断路器等の電力設備(系統設備とも称する)により構成され、電力設備に供給される電力を計測するための電圧計測用変成器、及び電圧計測用変成器を備える。
事故検出端末装置2は、電力系統Pにおいて設置する必要があると判定された電力設備、例えば、変電所、開閉所、発電所等に設けられ、当該設けられた電力設備における系統情報、および事故情報を取得し、中央演算装置1に出力する。
ここでの系統情報は、電力系統Pの接続状態および電力の需給状態に関する情報である。系統情報は、例えば、電力系統の接続状態に関するオンオフ情報や、電力の需給状態に関する計測情報を含む。電力系統のオンオフ情報とは、遮断器や断路器等の開閉状態に関する情報である。計測情報とは、発電機出力、負荷、送電線の有効及び無効電力、各電気所の母線電圧に関する情報を含む。
事故情報は、電力設備やその電力設備に接続する送電線等の設備に生じた事故に関する情報であり、例えば、事故を検出する箇所ごとに事故の発生の有無を示す情報である。
給電情報網Nは、電力系統Pを構成する電力設備の各々と中央演算装置1とを通信可能に接続する通信ネットワークである。電力設備の各々と中央演算装置1との間で、給電情報網Nを介して、電力系統Pにおける給電に関する情報のやり取りが行われ、例えば、電力系統Pを構成する電力設備の各々における系統情報が中央演算装置1に出力される。
中央演算装置1は、給電情報網Nからの系統情報と、事故検出端末装置2からの系統情報および事故情報とを取得し、取得した情報用いて、制御対象とする発電機の組合せを選択する。ここで、制御対象とする発電機は、電力系統Pに想定事故が発生した場合に生じる不安定現象を安定化するために遮断の対象とする発電機のことである。
中央演算装置1は、周期的に給電情報網N、及び事故検出端末装置2から情報を取得し、最新の系統の状態を反映させて、制御対象の選択結果を更新する。中央演算装置1は、実際に想定事故が発生した場合に、事前に求めておいた制御対象に対応する発電機に対して、当該発電機を遮断するための制御指令を制御端末装置3に出力する。
制御端末装置3は、中央演算装置1から入力した制御指令に基づいて、該当遮断器を制御して、該当発電機を遮断する。制御端末装置3は、例えば、発電所など、必要箇所に設置される。
中央演算装置1は、例えば、オンライン事前演算部100と、バックアップ整定情報導出部200と、バックアップ制御演算部300と、制御テーブル切替部400と、制御対象事故判定部500と、制御指令出力部600と、を備える。ここで、バックアップ整定情報導出部200は、「導出部」の一例である。バックアップ制御演算部300は、「選択部」の一例である。
オンライン事前演算部100は、系統情報取得部101と、系統モデル作成部102と、潮流計算・過渡安定度計算部103と、制御テーブル設定部104と、異常検出部105とを備える。ここで、系統情報取得部101は、「取得部」の一例である。系統モデル作成部102は、「作成部」の一例である。潮流計算・過渡安定度計算部103は、「計算部」の一例である。制御テーブル設定部104は、「設定部」の一例である。
以下の説明において、オンライン事前演算部100の構成要素(系統情報取得部101、系統モデル作成部102、潮流計算・過渡安定度計算部103、制御テーブル設定部104)の各々が行う処理を、オンライン事前演算、又はオンライン演算と称することがある。
系統情報取得部101は、系統情報を一定の周期で取得する。図1の例では、系統情報取得部101は、給電情報網N経由で系統情報を取得する場合を例示しているが、電力系統Pから給電情報網Nとは異なる通信網を介したオンラインにより取得してもよい。系統情報取得部101は、事故検出端末装置2から系統情報を取得してもよい。系統情報取得部101は、取得した系統情報を、系統モデル作成部102に出力する。
系統モデル作成部102は、系統情報取得部101により取得された系統情報に基づいてオンライン系統モデルを生成する。ここで、系統モデルは、ノードとブランチから構成される。ノードは母線、発電機、負荷をデータ化したものであり、識別情報であるノード番号に対して、ノードタイプ、有効電力、無効電力、及び電圧等の情報が対応付けられた情報である。ブランチは送電線、変圧器をデータ化したものであり、識別情報であるブランチ番号に対して、接続先のノード番号(始端ノードと終端ノード)、運用回線数、インピーダンス等が対応付けられた情報である。系統モデル作成部102は、事故発生前において、取得した系統情報とあらかじめ記憶されている系統設備データとに基づいて、状態推定計算を行い、その時点の系統状態と等価なオンライン系統モデルを作成する。
潮流計算・過渡安定度計算部103は、系統モデル作成部102により生成された解析用系統モデルを用いて、解析シミュレーションを行う。潮流計算・過渡安定度計算部103は、まず系統情報を用いた潮流計算を行い、系統に流れる潮流(電力)値を算出する。潮流計算・過渡安定度計算部103は、この潮流値を基に、事故発生、事故除去、制御対象とする発電機を遮断した後の系統の動きについて、過渡安定度計算によるシミュレーションを行う。潮流計算・過渡安定度計算部103は、遮断対象の発電機を変化させながら、系統が安定となる結果を得るまで繰り返し過渡安定度計算を行う。潮流計算・過渡安定度計算部103は、解析シミュレーションの結果を、制御テーブル設定部104、及びバックアップ整定情報導出部200に出力する。
制御テーブル設定部104は、潮流計算・過渡安定度計算部103により計算された解析シミュレーションの結果を基に、制御対象とする発電機の組み合わせを選択し、想定事故ごとに制御テーブルに設定する。ここで、制御テーブルは、全ての想定事故ケースについて、事故発生時に遮断する発電機の組合せを設定するものである。制御テーブルは、オンライン事前演算を周期的に実行することにより、想定事故発生に備えて周期的に更新される。制御テーブル設定部104は、設定した制御テーブルの情報を、バックアップ整定情報導出部200、及び制御テーブル切替部400に出力する。
異常検出部105は、オンライン事前演算の過程で発生する異常を検出する。異常検出部105は、異常の一例として、例えば、系統情報取得部101における系統情報が取得不可となる伝送系の異常や、潮流計算・過渡安定度計算部103におけるオンライン演算処理の異常を検出する。異常検出部105は、異常を検出した結果を制御テーブル切替部400に出力する。
バックアップ整定情報導出部200は、オンライン演算実績情報記憶部201と、整定情報導出部202と、整定情報記憶部203と、を備える。
バックアップ整定情報導出部200は、最新の系統の状態に対応する制御内容が、例えば通信障害などの何らかの障害により更新されなくなった場合に備えて、バックアップ整定情報を計算(導出)する。
バックアップ整定情報は、過去の解析シミュレーションによる結果を用いて導出される、想定事故ごとの監視対象潮流値と制御内容との関係を示す情報である。
バックアップ整定情報導出部200が予めバックアップ整定情報を導出することにより、オンライン事前演算の過程で異常が発生し、最新の系統の状態に対応する解析シミュレーションが正しく実行できない可能性がある場合であってもバックアップ整定情報を参照することにより、制御対象とする発電機を選択することが可能となる。
オンライン演算実績情報記憶部201は、オンライン演算実績情報を蓄積(記憶)する。オンライン演算実績情報は、オンライン事前演算により周期的に求められた解析シミュレーションの結果の各々を示す情報であり、例えば、監視対象潮流値と、制御の内容に関する情報とを対応付けた情報である。
監視対象潮流値は、想定事故の過酷度と相関が強い潮流値である。監視対象潮流値は、潮流計算・過渡安定度計算部103による系統情報を用いた潮流計算により求められる、想定事故が発生する前の系統に流れる潮流値である。
制御の内容に関する情報は、想定事故が発生した場合に生じる不安定な現象を安定化するための制御の内容であり、例えば、制御対象として選択された発電機の台数、又は組み合わせ、制御対象とする発電機を遮断した場合において系統から切り離される電力量(以下、必要制御量)などである。
本実施形態では、制御の内容に関する情報として、制御対象として選択された発電機の台数を用いる。
オンライン演算実績情報記憶部201は、潮流計算・過渡安定度計算部103により求められた潮流値(監視対象潮流値)と、制御テーブル設定部104により設定された設定テーブルに示される制御対象の選択結果とを取得する。オンライン演算実績情報記憶部201は、監視対象潮流値と、それに対応する制御対象の選択結果とを取得する度に、オンライン演算実績情報を生成し、生成したオンライン演算実績情報を記憶する。
本実施形態では、オンライン演算実績情報記憶部201は、制御テーブル設定部104から取得した制御対象の選択結果を遮断する発電機の台数に換算する。オンライン演算実績情報記憶部201は、監視対象潮流値と、換算した台数との関係をオンライン演算実績情報として記憶する。なお、オンライン演算実績情報記憶部201は、オンライン演算実績情報を記憶する際に、監視対象潮流値の昇順に並べ替えを行い、監視対象潮流値の昇順にオンライン演算実績情報を記憶するようにしてもよい。
整定情報導出部202は、オンライン演算実績情報記憶部201に記憶されたオンライン演算実績情報を用いて、バックアップ整定情報を導出する。整定情報導出部202がバックアップ整定情報を導出する方法については、後述する。
整定情報記憶部203は、整定情報導出部202により導出されたバックアップ整定情報を記憶する。
バックアップ制御演算部300は、バックアップ制御対象決定部301と、選択対象リスト作成部302と、バックアップ制御選択部303とを備える。
バックアップ制御演算部300は、制御テーブル設定部104により設定される制御テーブルが、何らかの障害によりに更新されなくなった場合に備えて、制御テーブルに代わるバックアップ用の制御テーブルを設定する。
バックアップ用の制御テーブルは、バックアップ整定情報と、現在の電力系統Pを流れる潮流値と基づいて選択された、制御対象とする発電機の組み合わせを示す情報である。
ここで、オンライン事前演算の過程で異常が発生した場合、給電情報網Nを介した系統情報が取得できない可能性がある。また、給電情報網Nを介した系統情報が取得できた場合であっても、潮流計算・過渡安定度計算部103による最新の潮流計算が正しく実行されない可能性がある。
バックアップ制御対象決定部301は、事故検出端末装置2から監視対象潮流計測値を取得する。監視対象潮流計測値は、電力系統Pを流れる潮流の計測値を示す情報である。なお、事故検出端末装置2から取得される監視対象潮流計測値と、潮流計算・過渡安定度計算部103により求められる監視対象潮流値とは、対象系統の同一箇所における潮流値である。
バックアップ制御対象決定部301は、取得した監視対象潮流計測値に基づいて、バックアップ整定情報を参照し、監視対象潮流計測値に対応する制御の内容を取得する。バックアップ制御対象決定部301は、取得した制御の内容に応じて、(バックアップの)制御の内容、例えば、制御する発電機の台数を決定する。
なお、バックアップ制御対象決定部301は、系統安定化システムSにおけるシステムの構成や、系統安定化システムSを構成する各装置に配置する機能部の構成等によっては制御端末装置3を介して系統情報を取得するようにしてもよい。
選択対象リスト作成部302は、事故検出端末装置2を介して、電力系統Pにおける制御対象発電機情報を取得する。制御対象発電機情報は、制御対象とする発電機の有効電力出力値や、当該発電機が制御対象として選択できるか否か情報などを含む情報である。
選択対象リスト作成部302は、取得した制御対象発電機情報を基に、制御することが可能な発電機のリストを作成する。制御することが可能な発電機とは、例えば、現在稼動中でまだ遮断されておらず、系統運用者が遮断対象から除外する操作を行っていない等、所定の条件を満たす発電機である。
バックアップ制御選択部303は、バックアップ制御対象決定部301により決定された制御する発電機の台数と、選択対象リスト作成部302により作成された選択対象リストを基に、想定事故ごとに制御対象とする発電機の組み合わせを選択する。バックアップ制御選択部303は選択した発電機の組み合わせを用いて、バックアップ用の制御テーブルを設定する。
制御テーブル切替部400は、異常検出部105により異常が検出されていない平常時において、オンライン事前演算部100により求められた制御対象の選択結果が反映された制御テーブルを、制御対象とする発電機を決定する際に用いるテーブルとして使用する。
制御テーブル切替部400は、異常検出部105にて異常が検出された場合、制御対象とする発電機を決定する際に用いるテーブルを、制御テーブルからバックアップ用の制御テーブルに切り替える。
制御対象事故判定部500は、事故検出端末装置2から得られる事故情報を基に、事故様相を判別し、制御対象事故判定結果を出力する。制御対象事故判定結果は、制御の対象とする事故と判定された事故に関する情報であって、例えば、当該事故に対応する想定事故を示す情報である。
制御指令出力部600は、制御対象事故判定部500により出力された制御対象事故判定結果に基づいて、制御テーブル切替部400により選択されたテーブル(制御テーブル、又は、バックアップ用の制御テーブル)を参照し、制御対象事故判定結果に対応する制御対象を読み出す。制御指令出力部600は、読み出した制御対象である発電機を遮断する制御指令を制御端末装置3に出力する。
ここで、整定情報導出部202によるバックアップ整定情報を導出する方法について、図2、図3、及び図8を用いて説明する。以下では、電力系統Pの規模が比較的小さく、電力系統Pに設けられる発電機の数が少ない場合を前提に説明する。また、図2、図3、及び図8の横軸に監視対象潮流値、縦軸に必要制御量を示すが、縦軸は、制御の内容に基づく指標であればよい。例えば、図2、図3、及び図8の縦軸は、遮断する発電機の台数であってもよい。
まず、図8を用いて、従来のバックアップ整定情報を導出する方法について説明する。図8は従来のバックアップ整定情報を説明する図である。図8のグラフにプロットされている大きい丸印は、オンライン演算実績情報における監視対象潮流値と必要制御量との関係を示す点群(オンライン演算実績値、と記載)である。小さい丸印は、従来のバックアップ整定情報における監視対象潮流値と必要制御量との関係を示す点群(従来技術のバックアップ制御の制御量の例、と記載)である。
従来において、系統安定化装置は、オンライン演算実績情報から、最小二乗法などを用いてオンライン演算実績に示される監視対象潮流値と必要制御量との関係を近似する近似直線L0を求める。そして、安定化装置は、近似直線L0の傾きを保ちつつ、同じ監視対象潮流値に対して、最も厳しい(大きい)必要制御量を持つオンライン実績情報を通るように近似直線L0を平行移動させた直線L1を、バックアップ整定情報とした。
ここで、発電機の数が少ない場合、選択可能な発電機の組み合わせは少ない。また、原子力発電所では発電機は定格出力運転されることが広く知られており、火力発電所においても運転コスト抑制のため定格出力付近の一定した出力で運転される発電機も多い。
つまり、規模が比較的小さい電力系統Pでは、数少ない発電機の組み合わせ毎に決定される必要制御量は、一定の電力量となる。この場合、潮流値に対する想定事故ごとの必要制御量は、数少ない発電機の組み合わせのいずれかが該当することとなり、数少ない発電機の組み合わせに対応する一定の電力量となる。
発電機の数が少ない場合、オンライン演算実績値をプロットすると、図8の例に示すように、不連続な階段状の分布特性を示す。ここでの各段は、発電機の組み合わせに対応する必要制御量(一定値)である。発電機の組み合わせが少ないために、段数も少なくなる。
このような発電機の数が少ない場合における、階段状の分布特性を用いて、バックアップ整定情報を導出した場合、必要制御量が過剰となる傾向にある。これは、全てのオンライン実績情報における必要制御量を上回る直線L1に対し、更にそれを上回る最小の必要制御量に対応する制御対象の発電機の組み合わせが選択されるためである。
図8の例で、直線L1(バックアップ整定情報)において、監視対象潮流値C1に対応する必要制御量はh10であるが、発電機の数が少ないために、必要制御量がh10となる組み合わせは存在せず、必要制御量がh10以上となる発電機の組み合わせの中で、最も必要制御量がh10に近い組み合わせが選択される。この例では、選択された組み合わせに対応する必要制御量がH1である場合を示している。監視対象潮流値C1の近傍においても、同等の理由により、必要制御量H1で制御する選択がなされてしまう。つまり、必要制御量が過剰となる傾向にある。
また、オンライン演算実績値により、制御対象がない、つまり発電機を遮断せずに安定化が図れると判断された監視対象潮流値の領域の一部において、制御対象が選択されてしまう場合がある。図8の例で、図8における領域E1は、オンライン演算実績値により制御対象がない、と判定された領域である。しかし、直線L1(バックアップ整定情報)に基づいて選択すると、領域E1から領域E0を除いた領域において、必要制御量が正の値となり、必要制御量に対応する制御対象が選択されてしまう。すなわち、図8の監視対象潮流値に対応する必要制御量のうち、領域M0、及びM1に対応する制御量は、本来必要ない過剰な制御である。
この対策として、本実施形態では、バックアップ整定情報を導出する方法を変更する。整定情報導出部202が、バックアップ整定情報を導出する方法について、図2及び図3を用いて説明する。図2、図3は、第1の実施形態のバックアップ整定情報を説明する図である。
図2は、図8に示す従来のバックアップ整定情報L1に対して、本実施形態におけるバックアップ整定情報(制御量の例、と記載)をプロットしたものである。図2の縦軸は必要台数、横軸は監視対象潮流値を示す。必要台数は、必要制御量に対応する発電機の台数(遮断する発電機の台数)である。必要台数は、必要制御量に応じた制御対象とする発電機の組合せに応じて一意に決定される。つまり、必要台数は「必要制御量」の一例である。
図2に示すように、整定情報導出部202は、オンライン演算実績情報おける必要制御量が所定の閾値を越えてステップ状に変化するポイント(以下、立ち上がりポイントと称する)に応じて、監視対象潮流値と必要台数との関係を示すバックアップ整定情報を導出する。
整定情報導出部202は、オンライン演算実績情報における立ち上がりポイントから、次の立ち上がりポイントまでの間を、オンライン演算実績情報に示される制御対象の選択結果に対応する、一定の必要台数としてバックアップ整定情報を導出する。これにより、従来のバックアップ整定情報に基づく必要制御量から、過剰な制御量(図8における領域M0やM1に対応する制御量)を低減させた、適切な必要制台数を選択することが可能である。
図3は、図2とは異なる、実施形態におけるバックアップ整定情報(制御量の例、と記載)をプロットしたものである。図3の横軸は、図2と同様に監視対象潮流値を示しているが、縦軸は、図2の必要台数とは異なり、必要制御量を示している。つまり、図3におけるバックアップ整定情報は、監視対象潮流値と必要制御量との関係を示す関数である。
図3に示すように、整定情報導出部202は、オンライン演算実績情報における監視対象潮流値に対する必要制御量の増加量を算出する。整定情報導出部202は、算出した増加量が所定の閾値以上であるオンライン演算実績情報を、一段高い制御量レベルのバックアップ整定情報に反映させる。
一方、整定情報導出部202は、算出した増加量が0(ゼロ)より大きく、且つ所定の閾値未満である場合、当該オンライン演算実績情報の必要制御量を、現状の制御量レベルのバックアップ整定情報に反映させる。つまり、整定情報導出部202は、各段階におけるバックアップ整定情報の必要制御量を、その各段に含まれるオンライン演算実績情報の必要制御量の最大値と同じ値に設定する。
具体的に、整定情報導出部202は、図3の矢印Dの方向に、順に、オンライン演算実績情報における監視対象潮流値の増加量に対する必要制御量の増加量(以下、単に増加量と称する)を算出する。整定情報導出部202は、算出した増加量が0(ゼロ)、つまり必要制御量が0(ゼロ)の無制御で安定する領域から、算出した増加量が所定の閾値以上に増加した地点(図3におけるオンライン演算実績情報P4)における必要制御量h10を、まず第1制御量レベルH1とし、その時の監視対象潮流値C1を第1制御量レベル潮流値とする。
さらに、整定情報導出部202は、図3の矢印Dの方向に増加量を算出し、増加量が0(ゼロ)以上であるが所定の閾値未満である地点(必要制御量h11に対応するオンライン実績情報)において、第1制御量レベルH1を、必要制御量h11にスライドさせる。整定情報導出部202は、このように、同じ制御レベルに含めるオンライン実績情報のうち必要制御量の最大値を第1制御量レベルH1とする処理を行う。整定情報導出部202は、最終的に、増加量が所定の閾値以上となる地点(オンライン演算実績情報P6)の一つ手前の地点(オンライン演算実績情報P5)までのオンライン演算実績情報のうち、必要制御量の最大値(例えば、オンライン演算実績情報P5における必要制御量h12)を、第1制御量レベルH1として確定させる。
同様に、整定情報導出部202は、まず、オンライン演算実績情報P6に対応する必要制御量h21を第2制御量レベルH2とし、最終的に、オンライン演算実績情報P7に対応する必要制御量h22を第2制御量レベルH2として確定させる。
整定情報導出部202は、さらにこの要領で、第3制御量レベル、第4制御量レベル、…、第n制御量レベルといように、制御量レベルの各々を決定する。整定情報導出部202は、上記により決定した制御量レベルの各々を発電機の台数の各々に換算し、換算した発電機の台数と監視対象潮流値との関係を、バックアップ整定情報として順次記憶する。
なお、ここで説明したバックアップ整定情報の導出の方法は一例であり、オンライン演算実績情報の並べ替えは、この例に限定されることはない。また、整定情報導出部202は、横軸方向(監視対象潮流値が変化する方向)にオンライン演算実績情報をみる代わりに、縦軸方向(必要制御量が変化する方向)にオンライン演算実績情報をチェックするようにしてもよい。
以上説明したように、第1の実施形態の中央演算装置1(系統安定化装置)は、系統情報取得部101(取得部)と、系統モデル作成部102(作成部)と、潮流計算・過渡安定度計算部103(計算部)と、制御テーブル設定部104(設定部)と、バックアップ整定情報導出部200(導出部)と、バックアップ制御演算部300(選択部)と、制御テーブル切替部400(切替部)とを備える。
系統情報取得部101は、電力系統Pから系統情報を取得する。系統モデル作成部102は、系統情報取得部101により取得された系統情報に基づいて解析用系統モデルを作成する。潮流計算・過渡安定度計算部103は、電力系統Pを流れる潮流値を監視対象潮流値とし、電力系統Pに想定事故が生じた場合における系統解析シミュレーション計算を、解析用系統モデルを用いて行う。制御テーブル設定部104は、潮流計算・過渡安定度計算部103により求められた計算結果に基づいて、想定事故ごとに電力系統Pを安定化させるために制御対象とする発電機の組合せを選択して制御テーブルに設定する。バックアップ整定情報導出部200は、系統情報取得部101、系統モデル作成部102、潮流計算・過渡安定度計算部103、および制御テーブル設定部104によるオンライン演算処理が所定の周期で実行される際に、それぞれの周期において求められた監視対象潮流値と制御内容との関係を示すオンライン演算実績情報を蓄積し、蓄積したオンライン演算実績情報に示される制御内容に対応する制御対象の発電機の台数、又は制御する必要がある電力量を示す必要制御量が所定の閾値を越えてステップ状に変化するポイント(立ち上がりポイント)に応じて、監視対象潮流値と制御対象とする発電機の台数又は必要制御量との関係を示すバックアップ整定情報を導出する。バックアップ制御演算部300は、バックアップ整定情報を用いて、現在の潮流値に対して想定事故ごとに電力系統Pを安定化させるために制御対象とする発電機の組合せを選択する。制御テーブル切替部400は、前記オンライン演算処理が実行される過程において異常が発生した場合、制御対象とする発電機を決定する際に用いる情報を、前記制御テーブルから前記選択部により選択された選択結果に切り替える。
これにより、第1の実施形態の中央演算装置1は、蓄積したオンライン演算実績情報に示される必要制御量の立ち上がりポイントに応じて、バックアップ整定情報を導出することにより、電力系統Pに設けられる発電機の数が少ない場合等において、階段状にオンライン演算実績情報が分布する場合であっても、必要制御量の立ち上がりポイントに沿って、階段状に変化するバックアップ整定情報を導出することができる。このため、従来の近似直線を平行移動させた直線(一次関数)を用いる場合よりも、過剰な制御を抑制し、適切な制御対象を選択することが可能なバックアップ整定情報を導出できる。
また、第1の実施形態の中央演算装置1では、バックアップ整定情報導出部200は、オンライン演算実績情報における監視対象潮流値に対して制御対象の必要制御量の増加量を算出し、算出した増加量が所定の閾値以上であるオンライン演算実績情報を、一段高い制御量レベルのバックアップ整定情報に反映させ、算出した増加量が0(ゼロ)より大きく、且つ所定の閾値未満である場合、当該オンライン演算実績情報の必要制御量を、現状の制御量レベルのバックアップ整定情報に反映させるようにしてバックアップ整定情報を導出する。これにより、第1の実施形態の中央演算装置1は、算出した増加量と所定の閾値とを比較するという簡単な方法により適切な制御対象を選択することが可能なバックアップ整定情報を導出できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、バックアップ整定情報が、監視対象潮流値と必要制御量との関係を示す情報である点において、上述した実施形態と相違する。以下の説明においては、上述した実施形態と相違する構成についてのみ説明する。上述した実施形態と同等の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図4は、第2の実施形態の中央演算装置1Aが適用される系統安定化システムSの構成を示すブロック図である。中央演算装置1Aは、例えば、バックアップ整定情報導出部200Aと、バックアップ制御演算部300Aとを備える。
バックアップ整定情報導出部200Aは、オンライン演算実績情報記憶部201Aと、整定情報導出部202Aと、整定情報記憶部203Aとを備える。
オンライン演算実績情報記憶部201Aは、監視対象潮流値と必要制御量との関係を示す情報を、をオンライン演算実績蓄積情報として記憶する。オンライン演算実績情報記憶部201Aは、制御テーブル設定部104から取得した制御対象の選択結果を遮断する必要制御量に換算する。オンライン演算実績情報記憶部201Aは、監視対象潮流値と、換算した必要制御量との関係をオンライン演算実績情報として記憶する。
整定情報導出部202Aは、オンライン演算実績情報記憶部201Aに記憶されたオンライン演算実績蓄積情報を用いて、バックアップ整定情報を導出する。本実施形態のバックアップ整定情報は、オンライン演算実績蓄積情報を用いて導出した、監視対象潮流値と、必要制御量との関係を示す情報である。整定情報導出部202Aがバックアップ整定情報を導出する方法は、上述した実施形態と同様であるため、その説明を省略する。整定情報記憶部203Aは、整定情報導出部202Aにより導出されたバックアップ整定情報を記憶する。
バックアップ制御演算部300Aは、バックアップ制御対象決定部301Aと、バックアップ制御選択部303Aとを備える。バックアップ制御対象決定部301Aは、バックアップ整定情報導出部200Aにより求められたバックアップ整定情報を用いて、現在の電力系統Pにおける監視対象潮流計測値に対応するバックアップ制御のための必要制御量を決定する。バックアップ制御選択部303Aは、バックアップ制御対象決定部301Aにより決定された必要制御量、及び選択対象リスト作成部302により作成された選択対象リストを基に、想定事故ケース毎に、バックアップ制御必要制御量を上回る最小の制御対象発電機組み合わせを選択し、バックアップ用の制御テーブルとする。
以上説明したように、第2の実施形態の中央演算装置1Aでは、オンライン演算実績情報として、監視対象潮流値と必要制御量との関係を示す情報を用いる。これにより、第2の実施形態の中央演算装置1Aでは、必要制御量をMW(メガワット)単位で決定することができる。この方法でも、上述した第1の実施形態と同様に、バックアップ整定情報は階段状の特性を示す。また、バックアップ整定情報は、監視対象潮流値の全領域において、従来技術での近似直線(図8の直線L1)よりも少ない必要制御量となり、過剰な制御を抑制する効果が期待できる。特に、無制御安定領域で(図8の領域E1)における過剰な制御を確実に無くすことができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、バックアップ整定情報が、系統パターン毎に導出される点において、上述した実施形態と相違する。ここでの系統パターンとは、断路器のオンオフを基に決定される系統設備の接続の状況に応じた構成である。以下の説明においては、上述した実施形態と相違する構成についてのみ説明する。上述した実施形態と同等の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図5は、第3の実施形態の中央演算装置1Bが適用される系統安定化システムSの構成を示すブロック図である。中央演算装置1Bは、バックアップ整定情報導出部200Bと、バックアップ制御演算部300Bと、系統パターン判定部700とを備える。
系統パターン判定部700は、系統パターン判定部A701と、系統パターン判定部B702とを備える。系統パターン判定部A701は、オンライン事前演算部100によるオンライン事前演算に用いられた系統情報を基に、系統設備の接続状況を示す系統パターン(図6において、系統パターンAと記載)を判定し、判定した系統パターンごとに、バックアップ整定情報導出部200Bにバックアップ整定情報を導出させる。
系統パターン判定部B702は、事故検出端末装置2、又は制御端末装置3から系統情報を取得し、取得した系統情報を基に、現在の系統設備の接続状況を示す系統パターン(図6において、系統パターンBと記載)を判定する。系統パターン判定部B702は、判定した現在の系統パターンを示す情報を、バックアップ制御演算部300Bに出力する。
バックアップ整定情報導出部200Bは、オンライン演算実績情報記憶部201Bと、整定情報導出部202Bと、整定情報記憶部203Bとを備える。バックアップ整定情報導出部200Bは、系統パターン判定部A701により判定された系統パターン毎に、オンライン演算実績情報を記憶する。整定情報導出部202Bは、オンライン演算実績情報記憶部201Bに記憶された系統パターン毎のオンライン演算実績情報を用いて、系統パターン毎のバックアップ整定情報を導出する。整定情報導出部202Bが系統パターン毎のバックアップ整定情報を導出する方法は、上述した実施形態と同様であるため、その説明を省略する。整定情報記憶部203Bは、整定情報導出部202Bにより導出された、系統パターン毎のバックアップ整定情報を、その系統パターン毎に記憶する。
バックアップ制御演算部300Bは、バックアップ制御対象決定部301Bを備える。バックアップ制御対象決定部301Bは、バックアップ整定情報導出部200Bにより導出された系統パターン毎のバックアップ整定情報を参照する。バックアップ制御対象決定部301Bは、系統パターン判定部B702から現在の系統パターンを取得し、取得した現在の系統パターンに対応したバックアップ整定情報を用いて、バックアップ制御における制御の内容(例えば、遮断する発電機の台数)を決定する。
なお、本実施形態において、図6に示すように、中央演算装置1Bが、系統パターンごとにバックアップ整定情報導出部200Bを備える構成であってもよいし、バックアップ整定情報導出部200Bにおいて、整定情報導出部202Bにより系統パターンごとに導出させたバックアップ整定情報を、整定情報記憶部203Bが系統パターンに対応付けて記憶するようにしてもよい。
以上説明したように、第3の実施形態の中央演算装置1Bでは、系統パターン毎にバックアップ整定情報を導出する。これにより、第3の実施形態の中央演算装置1Bでは、系統パターン毎の安定度の違いに対応させた、バックアップ制御の内容を決定することができ、制御の内容を適正化することが可能になる。例えば、系統の安定度に余裕がある系統パターンでは過剰な制御を抑える方向に制御の内容を決定することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。本実施形態では、バックアップ整定情報が、初期に用いる初期情報(バックアップ整定デフォルト情報)を有する点において、上述した実施形態と相違する。ここでの初期とは、オンライン演算実績情報記憶部201に記憶されたオンライン演算実績情報の数が所定の閾値未満である期間である。以下の説明においては、上述した実施形態と相違する構成についてのみ説明する。上述した実施形態と同等の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図6は、第4の実施形態の中央演算装置1Cが適用される系統安定化システムSの構成を示すブロック図である。中央演算装置1Cは、バックアップ整定情報導出部200Cと、バックアップ制御演算部300Cと、バックアップ整定デフォルト情報記憶部800とを備える。
バックアップ整定デフォルト情報記憶部800は、バックアップ整定デフォルト情報を記憶する。バックアップ整定デフォルト情報は、監視対象潮流値と、その監視対象潮流値に対して予め設定した必要制御量(或いは、遮断する発電機の台数)の初期値と、の関係を示す情報である。バックアップ整定デフォルト情報は、例えば、システム運用者によるオフラインのシミュレーション計算によって求められる。オフラインのシミュレーション計算では、制御が不足にならない、安全サイドの必要制御量が得られるようバックアップ整定デフォルト情報を導出する。
バックアップ整定情報導出部200Cは、実績データ蓄積不足判定部204を備える。実績データ蓄積不足判定部204は、オンライン演算実績情報記憶部201から蓄積したオンライン演算実績情報の数を取得する。実績データ蓄積不足判定部204は、オンライン演算実績情報記憶部201から取得した数が所定の閾値未満である場合、バックアップ整定情報導出部200により計算されたオンライン演算実績情報の代わりに、バックアップ整定デフォルト情報記憶部800より読み出した、オンライン演算デフォルト情報を用いて、バックアップ整定情報を導出する。
なお、上記において、実績データ蓄積不足判定部204は、オンライン演算実績情報を用いるか、オンライン演算デフォルト情報を用いるかの判定を、蓄積したオンライン演算実績情報の数に基づいて判定する場合を説明したが、これに限定されない。実績データ蓄積不足判定部204は、例えば、システム運用開始からの経過した時間の長さ(大きさ)により、オンライン演算実績情報を用いるか、オンライン演算デフォルト情報を用いるかの判定を行ってもよい。
以上説明したように、第4の実施形態の中央演算装置1Cでは、蓄積したオンライン演算実績情報が所定の条件を充足しない場合、蓄積したオンライン演算実績情報に代えて、予め定めたオンライン演算デフォルト情報を用いて、バックアップ整定情報を導出する。これにより、第4の実施形態の中央演算装置1Cでは、システムの運用を開始した直後等、オンライン演算実績情報が十分に蓄積されていない場合であっても、オンライン演算デフォルト情報を用いてバックアップ整定情報を導出することができ、系統に事故が発生した場合に備えることができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。本実施形態では、バックアップ整定情報が、初期に用いる初期情報(バックアップ整定デフォルト情報)を更新することにより導出される点において、上述した実施形態と相違する。以下の説明においては、上述した実施形態と相違する構成についてのみ説明する。上述した実施形態と同等の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図7は、第5の実施形態の中央演算装置1Dが適用される系統安定化システムSの構成を示すブロック図である。中央演算装置1Dは、バックアップ整定情報導出部200Dと、バックアップ整定デフォルト情報記憶部800とを備える。
バックアップ整定デフォルト情報記憶部800は、第4の実施形態と同様に、バックアップ整定デフォルト情報を記憶する。
バックアップ整定情報導出部200Dは、整定情報導出部202Dを備える。整定情報導出部202Dは、初期において、制御指令出力部600に記憶されたバックアップ整定デフォルト情報を使用してバックアップ整定情報を導出する。オンライン演算実績情報記憶部201にオンライン演算実績蓄積情報が記憶された場合、その情報を用いてバックアップ整定情報を逐次更新する。
以上説明したように、第5の実施形態の中央演算装置1Dでは、初期の段階においてオンライン演算デフォルト情報を用いてバックアップ整定情報を導出し、オンライン演算実績蓄積情報が記憶された場合、その情報を用いてバックアップ整定情報を逐次更新する。これにより、第5の実施形態の中央演算装置1Dでは、まずは安全サイドのバックアップ整定情報を導出でき、徐々に実績に基づいた適正なバックアップ整定情報に更新させることにより系統に事故が発生した場合に備えつつ、適正な制御に近づけていくことが可能である。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、蓄積したオンライン演算実績情報に示される制御内容に対応する、制御する必要がある電力量を示す必要制御量の立ち上がりポイントに応じて、監視対象潮流値と必要制御量との関係を示すバックアップ整定情報を導出する。これにより、電力系統Pに設けられる発電機の数が少ない場合等において、階段状にオンライン演算実績情報が分布する場合であっても、必要制御量の立ち上がりポイントに沿って、階段状に変化するバックアップ整定情報を導出することができる。このため、従来の近似直線を平行移動させた直線(一次関数)を用いる場合よりも、過剰な制御を抑制し、適切な制御対象を選択することが可能なバックアップ整定情報を導出できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。