本発明は、粉体をプラズマ処理するプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
近年、材料にプラズマを照射して、その材料の表面を改質したり、あるいは、洗浄したりするプラズマ処理が行われている。具体的に言うと、プラズマ処理によって、例えば、表面の親水性を高めたり、表面の酸化膜を除去したりすることができる。このようなプラズマ処理は、粉体とされている材料に施されることもある。つまり、粉体を構成する個々の粒子の表面を改質、あるいは、洗浄するためにプラズマ処理が行われるのである。下記特許文献1には、プラズマ発生器において発生するプラズマ中に炭素粉末を放出し、炭素粉末を黒鉛化する方法が記載されている。また、下記特許文献2には、窒素で満たされた容器の内壁に堆積された酸化チタン粉末をプラズマ処理することによって、酸化チタン粉末に窒素を複合化させて、窒素含有酸化チタン粉末を製造する装置が記載されている。
特開2000−29009号公報
WO2004/112964号公報
上記特許文献1に記載の方法では、プラズマの流れによって炭素粉末が回収容器に運ばれる間だけ、炭素粉末にプラズマを照射するため、プラズマが短時間しか炭素粉末に照射されない。そのため、全ての炭素粒子に対して、黒鉛化するのに必要なだけのプラズマが照射されているのかどうかが不確実である。一方、上記特許文献2に記載の装置では、酸化チタン粉末にプラズマを繰り返し照射することで、プラズマが長時間酸化チタン粉末に照射される。しかしながら、プラズマは、堆積された状態の酸化チタン粉末に照射されるため、その堆積された粉末の深部に位置する粉末に対して、必要なだけのプラズマが照射されるのかどうかが不確実である。本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、粉体の全体にわたって充分かつ均一なプラズマ処理を実行することができるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のプラズマ処理装置は、
下方に向かって先細りとされた円筒内周面形状の側周面を有し、内部に粉体が入れられるチャンバと、
前記チャンバの上面の中心からそのチャンバ内のガスを吸引する吸引装置と、
前記チャンバの側周面に設けられ、そのチャンバ内にガスを取り入れるための取入口と、
ガスをプラズマ化して前記チャンバの側周面から送り出すプラズマ化ガス発生器と
を備え、
前記吸引装置によって前記チャンバ内のガスが吸引されることで、前記取入口から取り入れられるガスがそのチャンバ内をそのチャンバの中心軸線回りに側周面に沿って巡回するとともに、そのチャンバ内に入れられた粉体がそのガスの流れに乗って流動して前記チャンバの側周面に沿って回流するように構成され、
その回流する粉体に対して、前記プラズマ化ガス発生器によってプラズマ化されたガスであるプラズマ化ガスによるプラズマ処理を行うことを特徴とし、
また、本発明のプラズマ処理方法は、
下方に向かって先細りとされた円筒内周面形状の側周面を有するチャンバ内において、そのチャンバの上面の中心からそのチャンバ内のガスを吸引しつつその側周面からガスを取り入れることで、取り入れられたガスをそのチャンバの中心軸線回りにその側周面に沿って巡回させるとともに、当該チャンバ内に入れられた粉体を、そのガスの流れに乗って流動させることで、そのチャンバの側周面に沿って回流させ、
その回流する粉体に対して、プラズマ化されたガスであるプラズマ化ガスを前記チャンバの側周面からそのチャンバ内に送り出すことで、プラズマ処理を行うことを特徴とする。
プラズマ化ガスは、プラズマ化ガス発生器からある距離(以下、「プラズマ到達距離」という場合がある。)だけ離れると、電位的に安定した状態、つまり、もはやプラズマ状態ではなくなる。このプラズマ到達距離は比較的短く、そのため、チャンバ内の特定箇所においてプラズマ照射しても、粉体全体に、充分なプラズマ処理を行うことはできない。本発明のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法では、粉体はチャンバ内を流動させられ、その流動している粉体に対して、特定の箇所にてプラズマ化ガスを当てる、つまり、プラズマ照射する。そのため、粉体を構成する個々の粒子は、プラズマ化ガス発生器からプラズマ到達距離内の空間を、繰り返し通過することとなる。したがって、本プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法は、粉体の個々の粒子に、均等に、かつ、繰り返しプラズマを照射することで、粉体にプラズマを充分に照射することができるのである。したがって、本発明のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法では、特定箇所においてプラズマ照射するにも拘わらず、粉体の全体にわたって充分かつ均一なプラズマ処理が施されることになる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項に下記変形例7に関する限定を加えたものが請求項1に相当し、請求項1に「粉体の排出口」に関する発明特定事項を付加するものが請求項2に、請求項2に「排出口に設けられた開閉弁」に関する発明特定事項を付加するものが請求項3に、(10)項が請求項4に、請求項4に「粉体侵入防止装置の構成」に関する限定を加えたものが請求項5に、(21)項に下記変形例7に関する限定を加えたものが請求項6に、それぞれ相当する。
(1)粉体が入れられるチャンバと、ガスをプラズマ化して送り出すプラズマ化ガス発生器とを備え、前記粉体を前記チャンバ内においてガスの流れに乗せて流動させつつ、前記プラズマ化されたガスであるプラズマ化ガスを前記チャンバ内の特定の箇所において導入して、その粉体に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置。
本プラズマ処理装置によれば、チャンバ内のガスの流れに乗って、粉体の個々の粒子が、チャンバ内を泳動するような状態で、粉体はチャンバ内を流動させられる。そのため、粉体の個々の粒子は、プラズマ化ガス発生器からプラズマ到達距離内の空間を、繰り返し通過することとなる。したがって、本プラズマ処理装置は、粉体の個々の粒子に、均等に、かつ、繰り返しプラズマを照射することで、粉体にプラズマを充分に照射することができる。
上記「チャンバ」は、その形状が特に限定されるものではない。上記チャンバは、内部において粉体を滞りなく流動させるために、粉体の流れを塞き止めたり、滞留させることのない形状とされていることが望ましい。例えば、円筒形状,球形状のチャンバを採用することができる。そのような形状のチャンバであれば、粉体を内壁に沿ってスムースに流動させることができる。
本項の態様において、粉体を流動させる手段は、特に限定されない。例えば、後に説明するように、導入されるプラズマ化ガスの勢いによって、チャンバ内の粉体を流動させることができる。また、例えば、チャンバに別途送風機を設け、その送風機によって粉体を流動させることも可能である。さらには、チャンバの内壁面の一部を移動させることによって粉体を流動させたり、マグネチックスターラのような撹拌器を用いて粉体を流動させることも可能である。なお、流動は、層流であっても乱流であっても構わないが、粉体全体に均一にプラズマ処理を施すという観点からすれば、層流若しくはそれに近い状態での流動であることが望ましい。
プラズマ化されるガスである被プラズマ化ガスは、その種類が特に限定されるものではない。例えば、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなど、プラズマ化処理の内容,粉体の種類等応じて、種々のガスの中から任意に選択することが可能である。
(2)当該プラズマ処理装置が、前記粉体を、それが前記チャンバ内を回流するように流動させつつ、前記プラズマ処理を行う(1)項に記載のプラズマ処理装置。
本項の態様のプラズマ処理装置によれば、粉体がチャンバ内を巡回するように流動するため、プラズマ化ガスを特定の箇所によってチャンバ内に導入しても、つまり、特定の箇所においてプラズマ照射しても、粉体を構成する粒子に対して繰り返しプラズマ処理を施すことが可能となる。
なお、円筒形状をなすチャンバ内において粉体を回流させる場合、そのチャンバの中心軸線周りに円筒面に沿って粉体を回流させてもよく、また、中心軸線に沿ってチャンバ内の中心部付近を一方向に流動させつつ、外周部において反対方向に流動させるようにして回流させてもよい。
(3)当該プラズマ処理装置が、前記チャンバ内に導入されたプラズマ化ガスの勢いによって、前記粉体を前記チャンバ内において流動させるように構成された(1)項または(2)項に記載のプラズマ処理装置。
プラズマ化ガスの勢い、つまり、プラズマの噴射圧によって粉体を流動させれば、プラズマ発生器の他に、粉体を流動させるための機器を必要とせず、プラズマ処理装置の構造の簡素化が可能となる。
(4)当該プラズマ処理装置が、前記チャンバ内のガスを吸引する吸引装置を備え、その吸引装置によるガスの吸引によって、前記粉体を前記チャンバ内において流動させるように構成された(1)項または(2)項に記載のプラズマ処理装置。
チャンバ内のガスを吸引すれば、それによってチャンバ内のガスに流れが発生するため、その流れによって粉体を流動させることができる。
(5)前記プラズマ化ガス発生器が、前記チャンバの内壁面より突出しない状態で、前記チャンバに取り付けられた(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
プラズマ化ガス発生器が、チャンバの内壁面から突出していなければ、プラズマ化ガス発生器によって、チャンバ内のガスおよび粉体の流動が妨げられることがない。本項の態様は、層流となるガスの流れに乗せて粉体を流動させようとする場合に、好適である。
(6)当該プラズマ処理装置が、前記粉体を前記チャンバ内に留めつつ前記チャンバ内のガスを排出する排気装置を備えた(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
本項の態様によれば、粉体をチャンバ外に排出することなしに、プラズマ化ガスの導入によるチャンバ内の圧力の上昇を避けることが可能である。
(7)前記排気装置が、前記粉体を通過させずに前記ガスを通過させるフィルタを有する(6)項に記載のプラズマ処理装置。
排気装置にフィルタを設けることで、確実に、粉体をチャンバ内に留めることが可能である。なお、粉体が微粒子から構成されている場合、その微粒子によるフィルタの目詰まりを防止するために、フィルタ自体を振動させる等の手段を採用することが望ましい。また、フィルタによって捕集された粉末粒子を重力によってそのフィルタから離脱させることができるという利点を享受するためには、フィルタの捕集面が下方に向いていることが望ましい。
(8)前記排気装置が、前記チャンバ内に連通するとともに前記フィルタが配設されたダクトを有する(7)項に記載のプラズマ処理装置。
本項のプラズマ処理装置は、ダクトを介して、チャンバ内のガスを排出する態様である。ダクトのチャンバへの開口部は、粉末粒子が可及的にそのダクトを通って移動しない位置に設けられることが望ましい。例えば、チャンバが円筒形をなし、当該プラズマ処理装置がその円筒面に沿って粉体を流動させるように構成されている場合において、ダクトの上記開口部は、円筒端面となる内壁の中心に設けられることが望ましい。ダクトの開口部がそのような位置に設けられることで、粉末粒子に作用する遠心力を利用して、ダクトに向かう粉末粒子を比較的少なくすることが可能となる。なお、本項の態様では、ダクトは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。
(9)前記排気装置が、(a)それぞれが前記ダクトである複数のダクトと、(b)その複数のダクトに対応して設けられ、それぞれが、前記排出されるガスを前記フィルタを通過させて逆流させる複数の逆流器とを備え、前記複数のダクトのうちの一部である1以上のダクトにおいて、その1以上のダクトに対応する前記複数の逆流器のうちの1以上のものによって前記ガスを逆流させつつ、そのガスが逆流させられる1以上のダクトを順次変更するように構成された(8)項に記載のプラズマ処理装置。
本項の態様によれば、複数のダクトの一部からガスが排出され、他の一部からガスがチャンバ内に流入させられる。つまり、ガスを一部のダクトから排出しつつ、他の一部のダクトに設けられたフィルタに捕集された粉末粒子を、逆流するガスによってそのフィルタから離脱させることが可能である。ガスを逆流させるダクトの変更を相当に短い時間間隔で行う場合、1つのダクトに着目すれば、そのダクトにおいて相当に短い周期でガスの排出と流入とが繰り返され、そのダクトに設けられたフィルタに粉末粒子が殆ど捕集されない状態を実現することも可能である。なお、本項の態様では、逆流器によってチャンバ内に流入させられるガスの量とプラズマ発生器によってチャンバ内に導入されるガスの量との和に相当する量のガスを、一部のダクトから排出するように構成すればよい。
(10)当該プラズマ処理装置が、前記プラズマ化ガスが前記プラズマ化ガス発生器から前記チャンバ内に導入されていないときに、前記粉体が前記プラズマ化ガス発生器に侵入することを防止する粉体侵入防止装置を備えた(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
本項の態様によれば、粉体に対してプラズマ処理が行われていない場合において、チャンバ内のガスの圧力がプラズマ化ガス発生器内のガスの圧力より高くなるときに、チャンバ内のガスがプラズマ化ガス発生器内に逆流して、粉体がプラズマ化ガス発生器に侵入するのを防ぐことができる。例えば、プラズマ化ガス発生器内の圧力がチャンバ内の圧力より低くなる場合に、プラズマ化ガス発生器内の圧力を高めるべく、外部からプラズマ化ガス発生器内にガスを供給することで、チャンバ内のガスおよび粉体の逆流を防止することができる。このような粉体侵入防止装置を採用する場合、プラズマ化ガス発生器に外部から供給されるガスは、プラズマ処理中にプラズマ化されるガスと同じガスであってもよく、それとは異なる種類のガスであってもよい。
(11)当該プラズマ処理装置が、カーボン粒子からなる粉末を前記粉体として、そのカーボン粒子に対してプラズマ処理を行う(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(12)前記プラズマ化ガス発生器が、アルゴンに酸素が混合された混合ガスをプラズマ化するものであり、当該プラズマ処理装置が、カーボン粒子に親水基を形成させるためのプラズマ処理を行うものである(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
上記2つの態様は、本請求可能発明のプラズマ処理装置の用途を限定した態様である。請求可能発明のプラズマ処理装置は、上記用途に好適である。
(21)粉体をチャンバ内においてガスの流れに乗せて流動させつつ、プラズマ化されたガスであるプラズマ化ガスを前記チャンバ内の特定の箇所において導入して、その粉体に対してプラズマ処理を行うことを特徴とするプラズマ処理方法。
本プラズマ処理方法によれば、粉体の個々の粒子に、均等に、かつ、繰り返しプラズマを照射することで、粉体にプラズマを充分に照射することができる。なお、本プラズマ処理方法は、前述のプラズマ処理装置の各態様において記載されている技術的特徴を加えた種々の態様で実施可能である。
実施例のプラズマ処理装置の斜視図である。
実施例のプラズマ処理装置の断面図である。
実施例のプラズマ処理装置が備える排気装置の模式図である。
実施例のプラズマ処理装置が備えるプラズマ化ガス発生器の断面図である。
実施例のプラズマ処理装置が備えるプラズマ化ガス発生器のプラズマ化ガスを送り出す部分の断面図である。
実施例のプラズマ処理装置が備える排気装置において、粉体がダクトに設けられたフィルタによって捕集される様子を説明するための模式図である。
第1変形例のプラズマ処理装置が備えるチャンバの断面図である。
第2変形例のプラズマ処理装置が備えるチャンバの断面図である。
第3変形例のプラズマ処理装置が備えるチャンバの断面図である。
第4変形例のプラズマ処理装置が備えるチャンバの断面図である。
第5変形例のプラズマ処理装置が備えるチャンバの断面図である。
第6変形例のプラズマ処理装置が備えるチャンバの断面図である。
第7変形例のプラズマ処理装置が備えるチャンバの断面図である。
以下、請求可能発明を実施するための形態として、実施例のプラズマ処理装置およびそれのいくつかの変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明のプラズマ処理装置は、下記の実施例および変形例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良が施された種々の形態にて実施することができる。
≪プラズマ処理装置の構成≫
図1および図2に、実施例であるプラズマ処理装置の全体構成を示す。本プラズマ処理装置は、粉体が入れられるチャンバ10と、プラズマ化ガスを発生させるプラズマ化ガス発生器12と、プラズマ化されるガスをプラズマ化ガス発生器12に供給する給気装置14と、チャンバ内のガスを排出する排気装置16とを含んで構成されている。なお、本プラズマ処理装置は、略同じ構造の3つのプラズマ化ガス発生器12a,12b,12cを有しており、それらの各々を、総称として、プラズマ化ガス発生器12と呼ぶことにする。
チャンバ10は、大まかには、両端が塞がれた円筒形状とされており、筒状の部分を形成する円筒部20と、それの両端部をそれぞれ塞ぐ端面部22a,22bとから構成されている。円筒部20は、中央部においては一定の直径を有しており、両端に向かうにつれて、直径が小さくされている。ちなみに、本プラズマ処理装置では、中央部の直径は、約200mmとされている。チャンバ10は、その円筒部20において、支持台30に固定支持されている。なお、円筒部20は、2つに分割することができ、支持台30に一体的に固定されている部分と、支持台30から取り外すことができる部分とから構成されている。上記3つのプラズマ化ガス発生器12は、円筒部20のうち、支持台30から取り外すことができる部分に固定されている。プラズマ化ガス発生器12の構造については、後に詳しく説明する。
給気装置14は、主供給部40と、副供給部42とを含んで構成されている。主供給部40は、プラズマ化されるガスが貯められた主貯留容器44と、その主貯留容器44と各プラズマ化ガス発生器12とを繋ぐ主管路46に設けられた主開閉弁48とを有している。一方、副供給部42は、主貯留容器44に貯められたガスと同じガスが貯められた副貯留容器50と、その副貯留容器50と主管路46とを主開閉弁48の下流側において繋ぐ副管路52に設けられた副開閉弁54とを有している。なお、副貯留容器50に貯められたガスには、主貯留容器44に貯められたガスと異なるガスを使用することもできる。ちなみに、主供給部40および副供給部42は、副貯留容器50内のガスの圧力が主貯留容器44内のガスの圧力より低くなるように構成されており、副管路52には、主貯留容器44から副貯留容器50へのガスの流れを禁止するための逆止弁56が設けられている。このように構成される供給装置14によって、プラズマ処理が行われる間は、主供給部40からのガスが各プラズマ化ガス発生器12に供給され、プラズマ処理が行われないときには、チャンバ10から給気装置14への粉体の侵入を防止すべく、副供給部42からのガスが各プラズマ化ガス発生器12に供給される。つまり、副供給部44は、チャンバ10内のガスおよび粉体がプラズマガス発生器12に侵入するのを防止する粉体侵入防止装置として機能する。なお、主開閉弁48および副開閉弁54は、主貯留容器44,副貯留容器50内のガスの圧力が高くなり過ぎた場合を考慮して、閉弁状態においてリリーフ弁として機能するものとなっている。
排気装置16は、図3に模式的に示すように、チャンバ10に接続される2つのダクト60a,60bと、ガスをチャンバ内の圧力以下の圧力で貯留する貯留容器62と、貯留容器62内のガスを送り出すための送風機64とを含んで構成されている。また、排気装置16には、2つのダクト60a,60bの各々から貯留容器62へガスを流すための排気路66と、2つのダクト60a,60bの各々に送風機64からのガスを流すための送風路68とが設けられ、2つのダクト60a,60bの各々のガスの流れの方向を切換えるために、それら2つのダクト60a,60bの各々に対応して、2つの切換弁70a,70bが設けられている。それら2つの切換弁70a,70bによって、2つのダクト60a,60bの各々において、チャンバ10からガスが排出される状態(排出状態)と、チャンバ10にガスが送り込まれる(送風状態)とが切換えられる。ちなみに、図3(a)では、ダクト60aが送風状態,ダクト60bが排気状態とされており、図3(b)では、ダクト60bが送風状態,ダクト60aが排気状態とされている。なお、後に詳しく説明するが、2つのダクト60a,60bには、それぞれ、フィルタ72a,72bが配設されている。
図2から解るように、プラズマ化ガス発生器12は、大まかには、給気装置14からガスを受給するガス受給部80と、そのガスをプラズマ化する、つまり、プラズマ状態とするプラズマ発生部82と、プラズマ化されたガスを送り出すガス送出部84とに区分けすることができる。3つのプラズマ化ガス発生器12の各々は、ガス送出部84の先端がチャンバ10内に臨み出るようにして配設されている。
プラズマ発生部82とガス送出部84との断面を、図4に、図4におけるA−A断面を、図5に、それぞれ示す。それらの図から解るように、ガス受給部80に供給されるプラズマ化されるガスは、流入口100からプラズマ発生部82の内部に流入する。このガスは、そのガスの流れを案内するための複数の案内板102の間を通過して、プラズマ発生域104に導かれる。プラズマ発生域104の両端には、1対の放電電極106a、106bが設けられている。それらの電極106a、106b間に電圧を印加することで、プラズマ発生域104に放電が発生する。そして、ガスは、この放電の中を通過することにより、プラズマ化ガス、つまり、プラズマ状態となる。プラズマ化ガスは、ガス送出部84に設けられた複数のノズル108から、噴き出るようにして、チャンバ10の特定の箇所からチャンバ10内に導入される。ちなみに、このプラズマ化ガスの噴き出す方向は、チャンバ10の円周部20における周方向(上記特定の箇所における円周部20に対する接線に平行な方向)とされている。また、本プラズマ化ガス発生器12によるプラズマ化ガスの噴出速度は、約30m/sとされている。
≪プラズマ処理装置の作動≫
本実施例のプラズマ処理装置は、それの用途が限定されないが、例えば、粒子の直径が数μm〜数十μm程度の比較的細かいカーボン粒子からなる粉末(カーボン粉末)に対して、カーボン粒子の各々の表面に親水基を形成する目的で、アルゴンに酸素が数%混合された混合ガスを用いてプラズマ処理を行う。そのプラズマ処理はバッチ処理によって行われるため、処理に先立って、処理に供される粉体が、チャンバ10内に適当量だけ投入される。そして、その状態において、3つのプラズマ化ガス発生器12によるプラズマ化ガスをチャンバ10内に導入することで、プラズマ処理が行われる。
本実施例のプラズマ処理装置では、プラズマ化ガス発生器12から噴出するプラズマ化ガスは、ノズル108から約20mm程度のところで、プラズマ状態を脱する。つまり、プラズマ到達距離が20mm程度とされている。したがって、プラズマ化ガスの噴出箇所、つまり、特定箇所から、その距離までの領域に存在する粉末粒子にしかプラズマ処理を施せない。言い換えれば、その領域に存在する粒子にのみプラズマ照射が可能とされている。
ところが、本プラズマ処理装置では、プラズマ化ガスの噴出の勢いによって、中のガス(その多くは、プラズマ状態ではなくなったガスである)によるガス流が作られているため、そのガス流に乗るようにして、粉体は、チャンバ10内を流動する。詳しく言えば、粉体は、チャンバ10の円筒部20の内周壁に沿って巡回するようにして、チャンバ10内を回流するのである。このように粉体が回流している状態において、上記特定箇所においてプラズマ化ガスを所定の時間導入し続ければ、粉体を構成する粉末粒子が、順繰りに、何度も、特定箇所の近傍、つまり、プラズマ照射され得る領域を通過し、粉体の全体にわたって均一かつ充分なプラズマ処理が実行されることになる。
プラズマ化ガスをプラズマ化ガス発生器12からチャンバ10内に導入し続ければ、チャンバ10のガスの圧力が上昇する。そのことに鑑みて、本プラズマ処理装置では、チャンバ10に、上記2つのダクト60a,60bが配設されており、プラズマ処理が行われている間中、プラズマ化ガス発生器12から導入されるガスと同量のガスが、それら2つのダクト60a,60bから排出されるようになっている。
ガスのダクト60a,60bからの排気に伴い、チャンバ10内には、ダクト60a,60bに向かうガスの流れが生じる。上述の粉体の回流がある程度乱され、粉体の一部がダクト60a,60b内に移動することになる。そのことに鑑み、本プラズマ処理装置では、ダクト60a,60bの各々のチャンバ10内への開口を、端面部22aおよび22bの中心に位置させている。詳しく言えば、粉体は、それに作用する遠心力によって、チャンバ10の円筒部20の周壁に沿って回流する傾向にあり、上記位置にダクト60a,60bの開口を設けることで、ダクト60a,60bに向かう粉末粒子が比較的少なくされているのである。
しかしながら、粉末の一部が、ダクト60a,60b内に向かうことを、完全には阻止できない。そこで、ダクト60a,60bには、上記フィルタ72a,72bが設けられている。それらフィルタ72a,72bは、粉末粒子を通過させずにガスを通過させるものであり、それらフィルタ72a,72bにより、本プラズマ処理装置が備える排気装置16は、粉体をチャンバ10内に留めつつ、チャンバ10内のガスを排出する機能を有するのである。
さらに、本プラズマ処理装置では、排気装置16は、特徴的な作動を行う。具体的に言えば、2つのダクト60a,60bの各々について、先に説明した排出状態と送風状態とが交互に切換えられる。さらに、詳しく言えば、ダクト60aが送風状態,ダクト60bが排気状態とされた第1状態(図3(a)参照)と、ダクト60bが送風状態,ダクト60aが排気状態とされた第2状態(図3(b)参照)とを、比較的短い時間で交互に切換えるのである。
図6(a)に示すように、第1状態では、ダクト60bに設けられたフィルタ72bによって、チャンバ10から排出されようとする粉末粒子が捕集され、一方で、ダクト60aに設けられたフィルタ72aにすでに補集された粉末粒子が、そのフィルタ72aから離脱させられる。逆に、図6(b)に示すように、第2状態では、ダクト60aに設けられたフィルタ72aによって、チャンバ10から排出されようとする粉末粒子が捕集され、一方で、ダクト60bに設けられたフィルタ72bにすでに補集された粉末粒子が、そのフィルタ72bから離脱させられる。このような切換を行うことで、フィルタ72a,72bの目詰まりのない状態が、プラズマ処理の間維持される。このような機能に鑑みれば、排気装置16は、ダクト60a,60bから排出されるガスを逆流させる逆流器を有していると考えることができる。そして、その逆流器は、ダクト60a,60bの数に対応した数設けられ、送風機64,2つの切換弁70a,70b等によって構成されているのである。
上記第1状態と第2状態との切換を、例えば、数Hz〜数十Hzといった相当に短い周期で行えば、粉末粒子がフィルタ72a,72bに殆ど捕集されない状態を実現させることが可能である。ちなみに、本排気装置16では、フィルタ72a,72bの捕集面は下方に向いているため、フィルタ72a,72bの捕集面からの粉末粒子の離脱は、重力によって助長される。なお、第1状態および第2状態の各々において、2つのダクト60a,60bの一方からのガスの排出量は、他方からのガスの流入量とプラズマ化ガス発生器12からチャンバ10に送出されるプラズマ化ガスの量との和と等しくなるように、送風機84の作動が制御されている。なお、前述のようにチャンバ10は分割可能とされており、プラズマ処理のされた粉体は、チャンバ10を開けることによって取り出せる。
変形例1
図7は、第1変形例のプラズマ処理装置のチャンバ140の断面図を示している。この変形例の装置が備えるチャンバ140は、有底円筒形状の本体142と、その本体142の上部に配設された蓋144とを含んで構成されている。本体142の下部には、チャンバ140内部にプラズマ化ガスを導入するための導入口146a、146bが設けられており、それらの導入口146a、146bには、実施例のプラズマ処理装置が有するものと同様のプラズマ化ガス発生器12が接続されている。本体142の底部148は、それの中心が頂点となる円錐形状とされており、その底部148の円錘面は、頂点から底面にかけて緩やかに曲がる曲面となるように形成されている。なお、本第1変形例のプラズマ処理装置では、プラズマ化ガス発生器12のガス送出部84は、ガスの流れを妨げないように、チャンバ140の内周壁より突出しないように形成されている。
蓋144には、ダクトとされた排気口150a、150bが設けられている。排気口150a、150bは、上方に向かって開口しており、フィルタ151a、151bがそれぞれ設けられている。それら排気口150a、150bには、実施例のプラズマ処理装置が有するものと同様の作動を行う排気装置が接続されている。蓋部材144の下面には、断面が半円形とされた環状の溝152が、下面の中心を取り囲むようにして形成されている。
このようなチャンバ140を有する本プラズマ処理装置において、プラズマ化ガスが、流入口146a、146bから本体部材142の底部の中心方向へと噴出されると、チャンバ140内のガスは、底部148の円錐面に沿って流れ、チャンバ140の中心軸線近傍において、上方に向かって流れる。このようにチャンバ140の中心軸線近傍において上方に向かって流れるガスは、溝152によって、下方へ向かうように方向転換させられ、さらに、底部148によって、再び、中心軸線近傍において上方に向かって流れることになる。チャンバ140内の粉体は、そのようなガスの流れに乗って回流する。このようにして回流する粉体に、チャンバ140の下部にてプラズマ照射することで、その粉体は、全体にわたって均一にかつ充分なプラズマ処理が施される。
変形例2
図8は、第2変形例のプラズマ処理装置のチャンバ160の断面図を示している。この変形例の装置が備えるチャンバ160は、有底円筒形状の本体162と、その本体162の上部に配設された蓋164とを含んで構成されている。本体162の下部には、チャンバ160内部にプラズマ化ガスを導入するための導入口166a、166bが設けられており、それらの導入口166a、166bには、実施例のプラズマ処理装置が有するものと同様のプラズマ化ガス発生器12が接続されている。蓋162には、ダクトとされた排気口168a、168bが設けられている。排気口168a、168bは、上方に向かって開口しており、フィルタ169a、169bが設けられている。それら排気口168a、168bには、実施例のプラズマ処理装置が有するものと同様の作動を行う排気装置が接続されている。なお、本第2変形例のプラズマ処理装置でも、上記第1変形例のプラズマ処理装置と同様に、プラズマ化ガス発生器12のガス送出部84は、ガスの流れを妨げないように、チャンバ160の内周壁より突出しないように形成されている。
本体162の底部170の外側には、チャンバ160内部のプラズマ化ガスを撹拌するための撹拌器172が設けられている。撹拌器172は、チャンバ160の底部170の内側の中心部に存置された撹拌子174を回転させる機能を有している。撹拌子174は、内部に強磁性体を有しており、撹拌器172は、自身が有する磁石を自身が有するモータによって回転させることで、撹拌子174を回転させ、その回転によって、チャンバ160のガスを撹拌する。チャンバ140内の粉体は、そのようなガスの流れに乗って撹拌されるようにして流動する。このように流動する粉体に、チャンバ140の下部の特定の箇所にてプラズマ照射することで、その粉体は、全体にわたって均一にかつ充分なプラズマ処理が施される。
変形例3
図9は、第3変形例のプラズマ処理装置のチャンバ180の断面図を示している。この変形例の装置が備えるチャンバ180は、大まかには、両端を塞がれた円筒形状とされており、周囲の2箇所に、チャンバ180内部にプラズマ化ガスを導入するための導入口182a、182bが設けられている。それらの導入口182a、182bには、実施例のプラズマ処理装置が有するものと同様のプラズマ化ガス発生器12が接続されている。また、チャンバ180には、上方に向かって延び出す排気ダクト184a、184bが設けられている。排気ダクト184a、184bには、フィルタ186が設けられており、実施例のプラズマ処理装置が有するものと同様の作動を行う排気装置が接続されている。なお、本第3変形例のプラズマ処理装置も、上記2つの変形例のプラズマ処理装置と同様に、プラズマ化ガス発生器12のガス送出部84は、ガスの流れを妨げないように、チャンバ160の内周壁より突出しないように形成されている。
このようなチャンバ180を有する本プラズマ処理装置において、プラズマ化ガスが、導入口182a、182bからチャンバ180内に噴出されると、ガスは、チャンバ180の内周壁に沿って巡回するようにして、チャンバ180内を回流する。粉体は、そのガスの流れにのって回流することになる。このようにして回流する粉体に、チャンバ180の特定箇所にてプラズマ照射することで、その粉体は、全体にわたって均一にかつ充分なプラズマ処理が施される。
変形例4
図10は、第4変形例のプラズマ処理装置のチャンバ200の断面図を示している。この実施例の装置が備えるチャンバ200は、第3変形例のプラズマ処理装置が備えるチャンバ180と略同様に構成されたものであるが、そのチャンバ180と異なり、ガス流生成器206が設けられている。ガス流生成器206は、大まかには、チャンバ200の内部に設けられた回転羽208と、チャンバ200の外部に設けられるモータ210とから構成されている。モータ210によって回転羽208が回転させられることで、チャンバ内200を巡回するガス流が生成され、そのガス流にのって粉体が回流する。本変形例のプラズマ処理装置では、プラズマ化ガスが噴出される勢いに依らずに、主に、ガス流生成器206によって、粉体が回流させられる。このようにして回流する粉体であっても、その粉体に、チャンバ200の特定箇所にてプラズマ照射することで、その粉体は、全体にわたって均一にかつ充分なプラズマ処理が施される。
変形例5
図11は、第5変形例ののプラズマ処理装置のチャンバ220の断面図を示している。この変形例の装置が備えるチャンバ220は、有底円筒形状の本体222と、その本体222の上部に配設された蓋224と、内部の下部に配設された整流板226とを含んで構成されている。本体222の底面の中心部には、チャンバ220内部にプラズマ化ガスを導入するための導入口228が設けられており、その導入口228には、実施例のプラズマ処理装置が有するものと同様のプラズマ化ガス発生器12が接続されている。蓋224は、の上部は、すり鉢状に形成され、その蓋224の上端に、フィルタ230が渡されるようにして張設されている。プラズマ化ガスは、本体222の下部に設けられた導入口228から、チャンバ220内に導入される。本変形例のプラズマ処理装置では、粉体は、第1変形例のプラズマ処理装置における粉体の回流と同じような態様で、回流する。この変形例のプラズマ処理装置によっても、粉体は、全体にわたって均一にかつ充分なプラズマ処理が施される。
本変形例のプラズマ処理装置では、チャンバ220内のガスは、蓋224に設けられた開口232を通り、さらに、フィルタ230を通過して排気される。先に説明した実施例,変形例のプラズマ処理装置と異なり、送風機等によって構成される逆流器は備えていないが、その代わりに、チャンバ220の上部に、振動器234が取付られている。この振動器234は、捕集された粉体によるフィルタ230の目詰まりを防止するためのもので、フィルタ230に振動を与える。この振動器234による振動によって、フィルタ230に捕集された粉末粒子は、フィルタ230から離脱し、重力によって下降し、蓋224の上部のすり鉢状の面に沿って移動して、蓋224に設けられた開口232からチャンバ220の上記回流に戻される。
変形例6
図12は、第6変形例のプラズマ処理装置のチャンバ240の断面図を示している。本変形例のプラズマ処理装置が備えるチャンバ240は、有底円筒形状の本体242と、その本体242の上部に配設された蓋244とを含んで構成されている。本体242の下部には、チャンバ240内部にプラズマ化ガスを導入するための導入口246a、246bが設けられており、それらの導入口246a、246bには、実施例のプラズマ処理装置のものと同様のプラズマ化ガス発生器12が接続されている。本体242の底部248は、それの中心が頂点となる円錐形状とされており、その底部248の円錘面は、頂点から周囲にかけて緩やかに曲がる曲面とされている。なお、本第6変形例のプラズマ処理装置でも、先に説明したいくつかの変形例のプラズマ処理装置と同様に、プラズマ化ガス発生器12のガス送出部84は、ガスの流れを妨げないように、チャンバ240の内周壁より突出しないように形成されている。
蓋244には、排気口250a、250bが設けられており、上面の中心部が頂点となるような円錐形状とされるとともに、下面が、断面が半円形とされている環状の溝252が形成されている。また、244の上方には、本体242の上端にかけ渡されるようにしてフィルタ254が張設されている。また、チャンバ240の上部には、第5変形例のプラズマ処理装置のものと同様の作動を行う振動器256が取付られており、フィルタ254には、振動が与えられる。
上記のような構造のチャンバ240を有する本プラズマ処理装置においては、粉体は、第5変形例のプラズマ処理装置における粉体の回流とは反対まわりに、回流する。この変形例のプラズマ処理装置によっても、粉体は、全体にわたって均一にかつ充分なプラズマ処理が施される。なお、振動によってフィルタ254から離脱させられた粉末粒子は、第5変形例のプラズマ処理装置の場合と同様に、底部248の円錘面に沿って移動して、排気口250a、250bからチャンバ240内の上記回流に戻される。
変形例7
図13は、第7変形例のプラズマ処理装置のチャンバ260の断面図を示している。チャンバ260は、下方に向かって先細りとされた円筒形状とされている。チャンバ260の側面には、チャンバ260内部へとプラズマ化ガスを導入するための導入口262が設けられており、その導入口262には、実施例のプラズマ処理装置のものと同様のプラズマ化ガス発生器12が接続されている。チャンバ260の上面には、チャンバ260内のガスを吸引する吸引装置264に接続される吸引口266が設けられており、吸引口266には、フィルタ268が設けられている。また、チャンバ260の側面には、チャンバ260内にガスを取り入れるための取入口270が設けられており、その取入口270には、チャンバ260の内部に粉体を供給する粉体供給機272も接続されている。チャンバ260の下面には、チャンバ260内の粉体を排出するための排出口274が設けられており、排出口274には、粉体を回収するための開閉弁276が設けられている。開閉弁276は、プラズマ処理中においては閉弁状態とされている。
このようなチャンバ260を有する本プラズマ処理装置において、吸引装置264によってチャンバ10内のガスが吸引されると、取入口270から、ガスがチャンバ260内に取り入れられる。取入口270から取り入れられるガスは、チャンバ260内を巡回するように流れ、吸引装置264へと吸引される。チャンバ260内にこのようなガスの流れが発生している状態において、粉体供給機272からチャンバ260内に粉体を供給すれば、粉体はチャンバ260内のガスの流れに乗って流動する。このように、本変形例のプラズマ処理装置では、プラズマ化ガスが噴出される勢いに依らずに、主に、吸引装置264のガスの吸引によって、粉体が回流させられる。このようにして回流する粉体であっても、その粉体に、チャンバ260の特定箇所にてプラズマ照射することで、その粉体には、全体にわたって均一にかつ充分なプラズマ処理が施される。なお、プラズマ処理された粉体は、開閉弁276を開弁状態とし、排出口276を介して回収される。
10:チャンバ 12a,12b,12c:プラズマ化ガス発生器 16:排気装置 42:副供給部(粉体侵入防止装置) 140:チャンバ 160:チャンバ 180:チャンバ 200:チャンバ 220:チャンバ 240:チャンバ 260:チャンバ 264:吸引装置