JP5651255B1 - 砂中子の除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳造品から砂中子を短時間で効率良く除去できるとともに、除去崩壊した廃砂をそのまま再使用できる除去方法を提供する。【解決手段】砂中子1が鋳込まれている鋳造品2から砂中子1を除去する方法であって、砂中子1の保形用樹脂が燃焼可能な温度に加熱した過熱水蒸気とこの過熱水蒸気に積極的に混入した酸素とを砂中子1に吹き込んで、砂中子1の保形用樹脂を燃焼させること。【選択図】図1

Description

本発明は、砂中子が鋳込まれている鋳造品から砂中子を除去する方法に関するものである。
例えばエンジンのシリンダヘッドは鋳造によって製造される。このシリンダヘッドには冷却水通路が必要とされ、しかして冷却水通路である中空部を形成する鋳造品を鋳造するために砂中子を用いる。砂中子を用いて鋳造すると、砂中子が鋳込まれている鋳造品から砂中子を除去することにより、冷却水通路を内部に形成した鋳造品が得られる。
砂中子は、鋳型に金属溶湯を充填する間、形状を維持している必要がある。そのため、砂中子を形成するケイ砂(Si2が主成分)等の砂粒子がフェノール樹脂等の保形用樹脂(バインダー)によって結合され、更に砂中子の表面が同じくフェノール樹脂等の保形用樹脂によってコーティングされ、そのような保形用樹脂によって砂粒子と砂粒子との結合力を高める技術が汎用されている。保形用樹脂によって保形力が高められた砂中子は強固で、鋳型に金属溶湯を充填する間に形状が崩れることがない。しかしながら、砂中子は、鋳造品から除去する必要があるが、砂中子は保形用樹脂によって保形力が高められており、非常に強固であり、容易なことでは除去することができない。
従来の砂中子除去方法としては、例えば、下記の特許文献1に記載されているように、砂中子が鋳込まれている鋳造品に対し、チッピングハンマー装置によって打撃を与えながら、エア噴出装置から鋳造品の砂中子に対し圧縮エアを吹き込むようにしたものである。この方法は、打撃によるショックで砂中子にクラックを発生させ、圧縮空気のエアブローによって砂中子の崩壊を促進するとういものである。
また、従来の砂中子除去方法として、下記の特許文献2に記載されているものがある。これは、砂中子が充填され排砂口を有する鋳造品を所定の衝撃力で打撃する砂中子崩壊工程と、この砂中子崩壊工程の衝撃力よりも小さい衝撃力で打撃する排砂工程とを有する砂中子除去方法である。
特開昭61−9962号公報 特開平07−314125号公報
特許文献1の方法では、打撃によって砂中子にクラックを発生させ、圧縮空気で砂粒子を吹き飛ばすだけでは、砂粒子を十分に除去しきれないことがあり、その場合には、鋳造品から砂を完全に除去するための更なる工程が必要となり、結局、砂中子の除去に相当な時間がかかる。また、特許文献2の方法では、鋳造強度よりも強い衝撃力を与えた場合には砂除去作業中に鋳物が破損してしまうという問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑み、鋳造品から砂中子を短時間で効率良く除去できると共に、除去崩壊した廃砂をそのまま再生(再使用)することができる除去方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、砂中子1が鋳込まれている鋳造品2から砂中子1を除去する方法であって、
砂中子1の保形用樹脂が燃焼可能な500℃〜700℃の温度に加熱した過熱水蒸気とこの過熱水蒸気に積極的に0.2〜0.3MPaの圧力で混入した酸素とを前記砂中子1に0.2〜0.3MPaの圧力で吹き込んで、この砂中子1の保形用樹脂を燃焼させることを特徴とする。
請求項2は、請求項1に記載の砂中子の除去方法において、前記砂中子1に過熱水蒸気と酸素との吹き込みを行なう工程の後の段階で、鋳造品2に打撃及び/又は振動を与えることを特徴とする。
請求項3は、請求項1に記載の砂中子の除去方法において、前記砂中子1に過熱水蒸気と酸素との吹き込みを行なう工程の前の段階で、鋳造品2に打撃及び/又は振動を与えることを特徴とする。
請求項4は、請求項1に記載の砂中子の除去方法において、前記砂中子1に過熱水蒸気と酸素との吹き込みを行なう工程と平行して、鋳造品2に打撃及び/又は振動を与えることを特徴とする。
請求項5は、請求項1〜4の何れかに記載の砂中子の除去方法において、前記過熱水蒸気として、ボイラー7で作った飽和水蒸気をヒーター8で加熱することによって発生する過熱水蒸気を使用する場合に、前記酸素は、ボイラー7から出てくる飽和水蒸気に積極的に混入させることを特徴とする。
請求項6は、請求項1〜4の何れかに記載の砂中子の除去方法において、前記過熱水蒸気として、ボイラー7で作った飽和水蒸気をヒーター8で加熱することによって発生する過熱水蒸気を使用する場合に、前記酸素は、ヒーター8から出てくる過熱水蒸気に積極的に混入させることを特徴とする。
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の砂中子の除去方法によれば、砂中子1の保形用樹脂が燃焼可能な500℃〜700℃の温度に加熱した過熱水蒸気とこの過熱水蒸気に積極的に0.2〜0.3MPaの圧力で混入した酸素とを砂中子1に0.2〜0.3MPaの圧力で吹き込むと、砂中子1の保形用樹脂、例えばフェノール樹脂が燃焼して気化し、砂中子1の保形力が低下する。即ち、砂中子1に、最大値700°C、例えば650℃という高温の過熱水蒸気とこれに積極的に混入した酸素を吹き込むことから、保形用樹脂であるフェノール樹脂は、酸素との化合(酸化反応)により、実験の結果約860°Cという高温に昇温した燃焼ガスによって燃焼され、CO2 とH2 Oとに分解し、大気中に放出される。このような保形用樹脂の燃焼分解によって、砂中子1は、巨視的に多孔状となって砂密度が減少し、砂中子1の保形力が短時間で急激に低下するから、鋳造品2からの砂中子1を短時間に除去でき、鋳造品2を効率よく製造することができる。また砂中子1の保形用樹脂が完全燃焼して分解することにより、残存する廃砂を砂粒子として、そのまま再使用することができる。
請求項2〜4に記載のように、砂中子1に過熱水蒸気と酸素との吹き込みを行なう工程の後の段階で、鋳造品2に打撃及び/又は振動を与えてもよく、また過熱水蒸気と酸素との吹き込みを行なう工程の前の段階で、鋳造品2に打撃及び/又は振動を与えてもよいし、更には過熱水蒸気と酸素との吹き込みを行なう工程と平行して、鋳造品2に打撃及び/又は振動を与えるようにしてもよい。いずれにしても、鋳造品2に打撃及び/又は振動を与えることにより、砂中子1にクラックを発生させて、砂中子1の崩壊を一層容易にすることができる。そして、砂中子1に対する過熱水蒸気と酸素との吹き込み工程と、鋳造品2に打撃及び/又は振動を与える工程とを併用することにより、鋳造品2からの砂中子1の除去・排出をより短時間で確実に行なうことができる。
また、過熱水蒸気として、ボイラー7で作った飽和水蒸気をヒーター8で加熱することによって発生する過熱水蒸気を使用する場合に、酸素は、請求項5に記載のように、ボイラー7から出てくる飽和水蒸気に混入させるようにしてもよいし、請求項6に記載のように、ヒーター8から出てくる過熱水蒸気に混入させるようにしてもよい。請求項5のように、酸素をボイラー7から出てくる飽和水蒸気に混入させるようにすれば、飽和水蒸気と酸素がヒーター8で同時に加熱されるから、高温の過熱水蒸気を供給できる利点があり、請求項6のように、酸素をヒーター8から出てくる過熱水蒸気に混入させるようにすれば、酸素がヒーター8に触れることがないため、ヒーター8を構成する部品が酸化劣化することがない利点がある。
本発明に係る砂中子の除去方法を実施するための砂中子除去装置の一実施形態を示す説明図である。 図1の砂中子除去装置の一部を示すもので、砂中子が鋳込まれてい鋳造品部分の拡大図である。 砂中子除去装置の他の実施形態を示す図1と同様な説明図である。
以下に本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明すると、図1には、本発明に係る砂中子除去方法を実施するための砂中子除去装置10を示している。この砂中子除去装置10は、砂中子1が鋳込まれている鋳造品2から砂中子1を除去する装置で、過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置3と、この過熱水蒸気発生装置3で発生した過熱水蒸気を鋳造品2に鋳込まれた砂中子1に吹き込むように配管された過熱水蒸気供給配管部4と、前記過熱水蒸気に酸素を積極的に供給するための酸素供給源6とを備えている。
過熱水蒸気発生装置3は、例えば約110°Cの飽和水蒸気を発生させるボイラー7と、このボイラー7によって発生した飽和水蒸気を更に加熱して過熱水蒸気を発生させるためのヒーター8、例えば高周波誘導加熱装置とからなり、ボイラー7からの飽和水蒸気は、飽和水蒸気送給管部9によってヒーター8に送給され、ヒーター8からの過熱水蒸気は、過熱水蒸気供給配管部4によって鋳造品2に鋳込まれた砂中子1に吹き込まれるようになっている。そして、酸素供給源6は、酸素ガスが圧縮充填された酸素ボンベ5Aと、外気を導入して圧縮空気を生成するためるコンプレッサー5Bとからなり、酸素ボンベ5A又は外気取り入れ用コンプレッサー5Bの何れかを選択的に使用にするようになっている。この酸素供給源6は、ボイラー7とヒーター8とをつなぐ飽和水蒸気送給管路9に接続配管されている。図1において、V1〜V5は夫々開閉操作弁を示す。
図1に示す砂中子1は、この砂中子1が鋳込まれているアルミニウム製の鋳造品2を砂中子除去装置10にセットした状態を示す。この鋳造品2は、鋳型(図示省略)から取り出された直後に砂中子除去装置10に対し砂中子1を鋳込んでいる状態でセットされる。ここに示される鋳造品2は、エンジンのシリンダヘッドの一部を例示したもので、内部に冷却水通路を成形するために、冷却水通路の形状を有する砂中子1を鋳込んだ状態で鋳造される。この砂中子1を除去することによって、この鋳造品2を上下に貫通する開口14(図2参照)が形成される。
砂中子1は、ケイ砂(Si2が主成分)等からなる砂粒子の表面に保形用樹脂(バインダー、例えばフェノール樹脂がコーティングされたレジンコーテッドサンド(RCS)によって形成され、更に砂中子1の表面が同じフェノール樹脂等の保形用樹脂でコーティングされ、その保形用樹脂によって砂粒子と砂粒子との結合力が高められ、砂中子1全体の保形力が高められている。保形用樹脂として、フェノール樹脂の他にはウレタン樹脂が使用される。
砂中子除去装置10の一部を示す図2において、砂中子1が鋳込まれているアルミニウム製の鋳造品2は、鋳造品取付台11に取り付けられている。また、この砂中子除去装置10は、鋳造品2に打撃を与える打撃手段としてのエアハンマー12、及び鋳造品取付台11を介して鋳造品2に振動を与える振動手段としての起振機13とを備えている。尚、この実施形態では、エアハンマー12(打撃手段)と起振機13(振動手段)との両方を備えているが、打撃手段のみでもよいし、振動手段のみでもよい。
鋳造品2を取り付け固定する鋳造品取付台11は、ベース15上にダンパー16を介して載設されたもので、その一側面側に鋳造品2をセットしてクランプ17で固定するようになっている。また、鋳造品取付台11は、ベース15上に立設された支持フレーム18に設けてある起振機13によって振動され、この鋳造品取付台11の振動が鋳造品2に与えられるようになっている。
また、鋳造品2に打撃を与える打撃手段としてのエアハンマー12は、図2に簡略図示するように、鋳造品取付台11に取付け固定される鋳造品2の上方に昇降自在に設けられたもので、鋳造品2の上面に近接する所定位置まで降下して、鋳造品2の上面に打撃を与えるようになっている。エアハンマー12の打撃力は適宜に調整可能である。
尚、この実施形態の砂中子除去方法に使用する過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置3は、飽和水蒸気を作るボイラー7と、このボイラー7によって作った飽和水蒸気を更に加熱して過熱水蒸気を発生させるためのヒーター8とからなるものであるが、過熱水蒸気発生装置3としては、ボイラー部とヒーター部とが一体になった過熱水蒸気発生装置を使用してもよい。
次に、上記した図1及び図2に示すような砂中子除去装置10を使用して、鋳造品2に鋳込まれている砂中子1を除去する方法について説明する。
鋳型から取り出された直後の鋳造品2は、まだ高温であり、砂中子1を鋳込んでいる。この状態の鋳造品2を図2示すように鋳造品取付台11にセットして固定し、過熱水蒸気供給配管部4の先端部4aを砂中子1側に接続する。この時、図1に示す開閉操作弁V1〜V5は夫々閉じている。それから、開閉操作弁V1、V2及びV3を夫々開放操作し、過熱水蒸気発生装置3のボイラー7及びヒーター8を作動させ、ボイラー7で作られた飽和水蒸気をヒーター8に送給して過熱水蒸気を発生させ、この過熱水蒸気を過熱水蒸気供給配管部4の先端部4aから砂中子1の上端部に供給して、砂中子1への過熱水蒸気の吹き込みを開始する。この時、過熱水蒸気供給配管部4の先端部4aから供給される過熱水蒸気の圧力は、大気圧(0.1MPa)より高い、例えば0.2MPaとされ、また過熱水蒸気の温度は例えば約650℃とされる。
こうして砂中子1への過熱水蒸気の吹き込みを開始したならば、酸素供給源6の酸素ボンベ5A又は外気を導入圧縮するコンプレッサー5Bのうち例えば酸素ボンベ5A側の開閉操作弁V4を開放操作して、この酸素ボンベ5Aから飽和水蒸気送給管部9内の飽和水蒸気に、この飽和水蒸気と同じく0.2MPaの酸素を連続的に混入させる。酸素を混入した飽和水蒸気は、ヒーター8で加熱されて過熱水蒸気となり、この過熱水蒸気と酸素の混合ガスS(図2参照)が過熱水蒸気供給配管部4の先端部4aから砂中子1の上端部に吹き込まれる。
上記のように圧力が約0.2MPa、温度が約650℃の過熱水蒸気と酸素との混合ガスSを砂中子1に例えば5分間吹き込むと、砂中子1の保形用樹脂である例えばフェノール樹脂は、混合ガスS中の酸素に触れることにより燃焼して気化し、砂中子1の保形力が低下する。即ち、砂中子1には、上記のように650℃という高温の過熱水蒸気とこれに積極的に混入された酸素が十分に吹き込まれるために、保形用樹脂であるフェノール樹脂は、酸素との化合により、実験の結果約860°Cという高温の燃焼ガスにより完全燃焼してCO2 とH2 Oとに分解し、大気中に放出される。このようなフェノール樹脂の燃焼分解によって、砂中子1は、巨視的に見て多孔状となって砂密度が減少し、砂中子1の保形力が短時間で急激に低下する。また砂中子1の保形用樹脂が完全燃焼して分解することにより、残存する廃砂を新砂の状態となる砂粒子として、そのまま使用することができる。また、大気中に放出されるCO2 とH2 Oは無害であるから、環境にも優しい。
因に、砂中子1に過熱水蒸気が吹き込まれても、砂中子1に酸素が供給されなければ、保形用樹脂が炭化反応を起こして、その炭化物がそのまま砂中子1中に残存することになるため、砂中子1は硬くなって崩壊しにくく、廃砂の再生にあたっては再生処理が必要となる。尚、砂中子1に酸素を供給しなくても、鋳造品2の隙間等から空気が入り込むことがあるが、そのように隙間等から入り込む程度の空気では、酸素の導入が不十分であり、保形用樹脂は燃焼不十分となって、炭化反応を起こすことがある。従って、砂中子1の保形用樹脂を酸化させるためには、この発明の方法のように、砂中子1に吹き込まれる過熱水蒸気に対し酸素を積極的に導入する必要がある。
ここで、過熱水蒸気の特性について説明すると、過熱水蒸気は、100℃で沸騰気化した水分子(空気を含まない)を常圧のまま、100℃以上に加熱した高温の水蒸気のことで、温度の上限は1000℃以上まで上昇させることは可能である。この過熱水蒸気は、同じ温度の高温空気と比べて約4倍の熱容量を有していることから、対象物を極めて短時間で完全に乾燥させることができる。また、過熱水蒸気の伝熱特性は、高温空気が対流伝熱のみであるのに対し、対象表面での水蒸気の凝縮による大きな凝縮伝熱が加味されて、対象物の温度が極めて短時間に上昇することである。また、過熱水蒸気は、170℃よりも低温域では、保水性が強く、それ以上の高温域では、乾燥力が非常に強くなると共に、脱脂洗浄作用を発揮する。
従って、図1及び図2に示すように、鋳造品2に鋳込まれている砂中子1に対しその上方から、上記のような特性を有する過熱水蒸気と、これに間断なく積極的に混入された酸素との混合ガスSを、その圧力が約0.2MPa、温度が約650℃の条件下で、例えば5分間吹き込むと、砂中子1中は例えば860°Cの高温の燃焼ガスに昇温されることになり、これによって砂中子1中の保形用樹脂が完全に燃焼して気化し、砂密度が減少し、砂中子1の保形力が急激に低下して、容易に崩落可能な状態となり、図2に示す開口14の下端部14aから自重によって自然落下し、鋳造品2から完全に除去排出される。
上述した砂中子除去方法の説明では、砂中子1への過熱水蒸気の吹き込み開始後に、酸素供給源6の酸素ボンベ5Aと外気を導入して圧縮空気を生成するためのコンプレッサー5Bのうち酸素ボンベ5A側の開閉操作弁V4を開放操作して、この酸素ボンベ5Aから飽和水蒸気送給管部9内の飽和水蒸気に酸素を供給したが、酸素ボンベ5Aに代えてコンプレッサー5Bを減圧調整弁(レギュレーター)で0.2MPa〜0.3MPaに減圧した圧縮空気を開閉操作弁V5で開放操作して、飽和水蒸気送給管部9内の飽和水蒸気に空気を供給してもよい。圧縮空気の組成は、約8割が窒素、約2割りが酸素であるから、この圧縮空気中の酸素をそのまま利用することができる。
また上述した砂中子除去方法の説明では、砂中子1の保形用樹脂の保形力が燃焼可能な所要温度に加熱された過熱水蒸気とこれに積極的に混入された酸素とを砂中子1に吹き込んで、そのような高温の過熱水蒸気と酸素が砂中子1の保形用樹脂に触れることにより、その保形用樹脂を燃焼させ、それにより砂中子1の保形力を低下させるようにしているが、このような工程だけでは、砂中子1を鋳造品2から完全に除去排出させることができない場合には、過熱水蒸気と酸素との吹き込み工程の後の段階で、エアハンマー12による打撃又は起振機13による振動の何れか、あるいはその打撃及び振動の両方を鋳造品2に与えることによって、砂中子1を鋳造品2から確実に除去排出することができる。
また、打撃及び又は振動を鋳造品2に与える工程は、砂中子1の材質、容量、形状等により、上記のように過熱水蒸気と酸素との吹き込み工程の後に行なってもよいし、この吹き込み工程の前に行なってもよく、あるいは過熱水蒸気と酸素との吹き込み工程と同時に平行して行なってもよい。何れにしても、鋳造品2に打撃を与えることにより砂中子1にクラックを発生させて、砂中子1の崩壊を容易にすることができるし、また鋳造品2に振動を与えることにより、砂中子1の全体に振動による衝撃を与えて砂中子1の崩壊を容易にすることができる。
図1に示す砂中子除去装置10では、酸素供給源6を、過熱水蒸気発生装置3のボイラー7とヒーター8をつなぐ飽和水蒸気送給管路9に接続しているが、こ酸素供給源6は、図3に示す砂中子除去装置10のように過熱水蒸気発生装置3のヒーター8と砂中子1とをつなぐ過熱水蒸気供給配管部4につないで、酸素を、ヒーター8から出てくる過熱水蒸気に混入させるようにしてもよい。図1に示すように、ヒーター8の前に酸素供給源6を接続した場合は、ヒーター8を構成する部品が若干酸化劣化されるという難点があるが、ヒーター8によって飽和水蒸気と酸素が同時に加熱されるため、高温の過熱水蒸気を供給することができる利点がある。これに対し、図3に示すように、ヒーター8の後に酸素供給源6を接続した場合には、過熱水蒸気が酸素供給源6の冷たい酸素に触れることから、若干温度の低下した過熱水蒸気が供給されるという難点はあるが、酸素供給源6からの酸素がヒーター8に触れることがないため、ヒーター8の構成部品が酸化劣化するようなことがなく、長期に亘って安定した使用ができるという利点がある。また、図1及び図3に示す砂中子除去装置10では、酸素供給源6として、酸素ボンベ5Aと外気取り入れ用コンプレッサー5Bを並設して何れかを選択的に使用できるようにしているが、酸素ボンベ5Aのみ、あるいは外気取り入れ用コンプレッサー5Bのみ設けてもよい。
図1〜図3に示す砂中子除去装置10によって、砂中子1が鋳込まれている鋳造品2から砂中子1を除去するに当たって、約690°Cの過熱水蒸気に酸素供給源6からの酸素が混入された混合燃焼ガスを、鋳造品2に鋳込まれている砂中子1中に吹き込むことによって、混合燃焼ガスが砂中子1の保形用樹脂であるフェノール樹脂に接することによって約860°Cまで急上昇して該フェノール樹脂をCO2 とH2 Oとに分解して砂中子1中のフェノール樹脂をほぼ完全に燃焼除去することが実験の結果判明している。一例を挙げると重量比2.5%のフェノール樹脂が混合されるている砂中子1に最大値700°C、具体的には約690°Cの上記混合燃焼ガスを吹き込むことによって約860°Cに昇温しフェノール樹脂をほぼ完全燃焼して、砂中子1中に残存する保形用樹脂(フェノール樹脂)の残存比率を示すイグロス値(砂中子1中の残存樹脂量が低いほどイグロス値が低くなる。)は−0.07%という完全除去された数値を示し、又、他の一例を挙げると、重量比2.7%のフェノール樹脂が混合されている砂中子1中に同様の条件で混合燃焼ガスを吹き込むことによってフェノール樹脂のイグロス値が0.04%というほぼ完全除去された数値を示した。これにより、砂中子1は鋳造品2中で完全崩壊されて廃砂状態で取り出され、従来のように鋳造品2中に砂中子1が残存することはなく、又、取り出された廃砂は樹脂成分が残存しないから新砂として再使用することが可能である。
上述した本発明の砂中子除去方法を実施するにあたり、過熱水蒸気の温度は、過熱水蒸気を砂中子に吹き込んだ時に砂中子の保形用樹脂が燃焼可能な温度であればよく、好ましくは500℃〜700°とされる。また、過熱水蒸気の圧力は、大気圧である0.1MPaより高い例えば0.2〜0.3MPaの範囲が好ましい。また酸素ボンベ5A又は外気取り入れ用コンプレッサー5Bから酸素又は空気を飽和水蒸気送給管部9内の飽和水蒸気又は過熱水蒸気供給配管部4内の過熱水蒸気に混入させる時の圧力は、過熱水蒸気の圧力と同じ例えば0.2〜0.3MPaの範囲とされる。
また、上述した本発明方法を実施するにあたって、酸素供給源6からの過熱水蒸気への酸素の混入時期は、過熱水蒸気が砂中子1に吹き込まれて、砂中子1がこの過熱水蒸気で予め所要温度に加熱された後でもよいし、酸素が過熱水蒸気が砂中子1に吹き込まれるのと同時でもよい。
1 砂中子
2 鋳造品
3 過熱水蒸気発生装置
4 過熱水蒸気供給配管部
5A 酸素ボンベ
5B 外気取り入れ用コンプレッサー
6 酸素供給源
7 過熱水蒸気発生装置のボイラー
8 過熱水蒸気発生装置のヒーター
9 飽和水蒸気送給管部
10 砂中子除去装置
11 鋳造品取付台
12 エアハンマー
13 起振機
14 鋳造品の開口

Claims (6)

  1. 砂中子が鋳込まれている鋳造品から砂中子を除去する方法であって、
    砂中子の保形用樹脂が燃焼可能な500℃〜700℃の温度に加熱した過熱水蒸気とこの過熱水蒸気に積極的に0.2〜0.3MPaの圧力で混入した酸素とを前記砂中子に0.2〜0.3MPaの圧力で吹き込んで、この砂中子の保形用樹脂を燃焼させることを特徴とする砂中子の除去方法。
  2. 前記砂中子に過熱水蒸気と酸素との吹き込みを行なう工程の後の段階で、鋳造品に打撃及び/又は振動を与えることを特徴とする請求項1に記載の砂中子の除去方法。
  3. 前記砂中子に過熱水蒸気と酸素との吹き込みを行なう工程の前の段階で、鋳造品に打撃及び/又は振動を与えることを特徴とする請求項1に記載の砂中子の除去方法。
  4. 前記砂中子に過熱水蒸気と酸素との吹き込みを行なう工程と平行して、鋳造品に打撃及び/又は振動を与えることを特徴とする請求項1に記載の砂中子の除去方法。
  5. 前記過熱水蒸気として、ボイラーで作った飽和水蒸気をヒーターで加熱することによって発生する過熱水蒸気を使用する場合に、前記酸素は、ボイラーから出てくる飽和水蒸気に積極的に混入させることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の砂中子の除去方法。
  6. 前記過熱水蒸気として、ボイラーで作った飽和水蒸気をヒーターで加熱することによって発生する過熱水蒸気を使用する場合に、前記酸素は、ヒーターから出てくる過熱水蒸気に積極的に混入させることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の砂中子の除去方法。
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