JP5651125B2 - Mek阻害剤に対する耐性を付与するmek突然変異 - Google Patents

Mek阻害剤に対する耐性を付与するmek突然変異 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、2008年12月10日に出願した米国仮特許出願第61/121,467号および2009年5月22日に出願した米国仮特許出願第61/180,739号に対する優先権を主張する。前述の特許出願の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
がんの処置は、現代医学における最大の課題の一つである。化学療法薬は典型的に、がんに付随する症状を処置または軽減する有効な手段であるものの、場合によっては、一つまたは複数の化学療法薬に対する耐性が処置中に現れる。結果として、所与の化学療法薬はある特定の個体において無効となりうる。様々な種類のがんにおける耐性の発現に関与する分子機構は、十分に理解されていない。特定の薬剤に対する耐性の根底にある機構を解明することは、薬物耐性を効果的に回避する処置アプローチの発見に必須である。
本発明は、がんの化学療法処置に対する、突然変異が媒介する耐性に関する。特定の態様において、本発明は、MEKポリペプチドおよびMEKポリペプチドをコードする核酸分子中に同定される突然変異を対象とする。これらの突然変異は、現在処置に使用されているMEK阻害剤に対する耐性を付与する。これらの突然変異の同定により、本明細書に記載する突然変異などの、一つまたは複数の突然変異を含むMEKポリペプチドに対して活性を示す第二世代MEK阻害剤の開発が可能になる。そのような第二世代MEK阻害剤は、がんの処置を含む、多くの臨床および処置への応用において有用である。
従って本発明は、第1の局面において、MEK活性を有する変異体MEKポリペプチドをコードする単離された核酸分子であって、該変異体MEKポリペプチドが、MEK1(SEQ ID NO:2)およびMEK2(SEQ ID NO:4)からなる群より選択される野生型MEKポリペプチドと比較して少なくとも一つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含み、少なくとも一つのアミノ酸置換が、一つまたは複数のMEK阻害剤に対する耐性を変異体MEKタンパク質に付与する、単離された核酸分子を特色とする。一つの態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK1であり、少なくとも一つの置換は、67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328G、および399Hからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる。別の態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK1であり、少なくとも一つの置換は、56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326P、および368Eからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる。一つの態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK2であり、少なくとも一つの置換は、71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、および336Gからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる。別の態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK2であり、少なくとも一つの置換は、6OQ、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334P、および376Eからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる。例示的な態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK1であり、少なくとも一つの置換は、67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>L、および399H>Dからなる群より選択される。別の例示的な態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK1であり、少なくとも一つの置換は、56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>L、368E>Kからなる群より選択される。別の例示的な態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK2であり、少なくとも一つの置換は、71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>L、および336G>Rからなる群より選択される。別の例示的な態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK2であり、少なくとも一つの置換は、60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>L、376E>Kからなる群より選択される。
前述の局面の一つの態様において、変異体MEKポリペプチドは、野生型MEKポリペプチドと比較してアミノ酸置換1〜5個を有する。別の態様において、変異体MEKポリペプチドは、野生型MEKポリペプチドと比較してアミノ酸置換1個を有する。例示的な態様において、変異体MEKポリペプチドは、111I>N置換、115L>R置換、124P>L置換、および/または129F>L置換を含むMEK1ポリペプチドである。別の例示的な態様において、変異体MEKポリペプチドは、115I>N置換、119L>R置換、128P>L置換、または133F>L置換を含むMEK2ポリペプチドである。前述の局面の様々な態様において、MEK阻害剤は、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-4-(4-フェノキシ-フェニルアミノ)-キノリン-3-カルボニトリル(本明細書では「化合物A」と称する)、および4-[3-クロロ-4-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イルスルファニル)-フェニルアミノ]-6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-キノリン-3-カルボニトリル(本明細書では「化合物B」と称する)からなる群より選択される。
変異体MEKポリペプチドをコードする単離された核酸分子を、発現ベクター中に挿入し、宿主細胞において発現させることができる。従って別の局面において、本発明は、本明細書に記載の核酸分子を含む発現ベクターを特色とする。別の局面において、本発明は、前述の発現ベクターを含む宿主細胞を特色とする。別の局面において、本発明は、変異体MEKポリペプチドが細胞によって産生されるように、変異体MEKポリペプチドをコードする発現ベクターを含む宿主細胞を培養する段階を含む、変異体MEKポリペプチドを産生する方法を特色とする。
他の局面において、本発明は、MEK活性を有する単離された変異体MEKポリペプチドであって、該変異体MEKポリペプチドが、MEK1(SEQ ID NO: 2)およびMEK2(SEQ ID NO:4)からなる群より選択される野生型MEKポリペプチドと比較して少なくとも一つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含み、少なくとも一つのアミノ酸置換が、一つまたは複数のMEK阻害剤に対する耐性を変異体MEKポリペプチドに付与する、単離された変異体MEKポリペプチドを特色とする。本局面の一つの態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK1であり、少なくとも一つの置換は、67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328G、および399Hからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる。別の態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK1であり、少なくとも一つの置換は、56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326P、および368Eからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる。一つの態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK2であり、少なくとも一つの置換は、71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、および336Gからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる。別の態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK2であり、少なくとも一つの置換は、6OQ、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334P、および376Eからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる。例示的な態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK1であり、少なくとも一つの置換は、67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>L、および399H>Dからなる群より選択される。別の例示的な態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK1であり、少なくとも一つの置換は、56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>L、および368E>Kからなる群より選択される。別の例示的な態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK2であり、少なくとも一つの置換は、71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>L、および336G>Rからなる群より選択される。別の例示的な態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK2であり、少なくとも一つの置換は、60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>L、および376E>Kからなる群より選択される。
前述の局面の一つの態様において、変異体MEKポリペプチドは、野生型MEKポリペプチドと比較してアミノ酸置換1〜5個を有する。別の態様において、変異体MEKポリペプチドは、野生型MEKポリペプチドと比較してアミノ酸置換1個を有する。例示的な態様において、変異体MEKポリペプチドは、111I>N置換、115L>R置換、124P>L置換、および/または129F>L置換を含むMEK1ポリペプチドである。別の例示的な態様において、変異体MEKポリペプチドは、115I>N置換、119L>R置換、128P>L置換、または133F>L置換を含むMEK2ポリペプチドである。前述の局面の様々な態様において、MEK阻害剤は、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、および化合物Bからなる群より選択される。
別の局面において、本発明は、がんの処置において有用な化合物を同定する方法であって、変異体MEKポリペプチドおよびMEK基質を含むアッセイ組成物を提供する段階;試験化合物の非存在下でMEK基質のリン酸化を可能にする条件下で、アッセイ組成物を試験化合物と接触させる段階;ならびにMEK基質のリン酸化に及ぼす化合物の効果を測定する段階を含み;適切な対照と比較してMEK基質のリン酸化が下方制御されることにより、化合物ががんの処置において有用な化合物として同定される方法を特色とする。
関連局面において、本発明は、化合物を第二世代MEK阻害剤として同定する方法であって、変異体MEKポリペプチドおよびMEK基質を含むアッセイ組成物を提供する段階;試験化合物の非存在下でMEK基質のリン酸化を可能にする条件下で、アッセイ組成物を試験化合物と接触させる段階;ならびにMEK基質のリン酸化に及ぼす化合物の効果を測定する段階を含み;適切な対照と比較してMEK基質のリン酸化が下方制御されることにより、化合物が第二世代MEK阻害剤として同定される方法を特色とする。
前述の局面の例示的な態様において、MEK基質はERK1/2である。他の態様において、アッセイ組成物は細胞抽出物である。
別の局面において、本発明は、がんの処置において有用な化合物を同定する方法であって、変異体MEKポリペプチドを含む細胞を提供する段階;細胞を試験化合物と接触させる段階;およびERK1/2リン酸化に及ぼす化合物の効果を測定する段階を含み;適切な対照と比較してERK1/2リン酸化が下方制御されることにより、化合物ががんの処置において有用な化合物として同定される方法を特色とする。関連局面において、本発明は、第二世代MEK阻害剤である化合物を同定する方法であって、変異体MEKポリペプチドを含む細胞を提供する段階;細胞を試験化合物と接触させる段階;およびERK1/2リン酸化に及ぼす化合物の効果を測定する段階を含み;適切な対照と比較してERK1/2リン酸化が下方制御されることにより、化合物が第二世代MEK阻害剤として同定される方法を提供する。
別の局面において、本発明は、がんの処置において有用な化合物を同定する方法であって、変異体MEKポリペプチドを含む細胞を提供する段階;細胞を試験化合物と接触させる段階;および細胞増殖に及ぼす化合物の効果を測定する段階を含み;適切な対照と比較して細胞増殖が減少することにより、化合物ががんの処置において有用な化合物として同定される方法を特色とする。関連局面において、本発明は、第二世代MEK阻害剤である化合物を同定する方法であって、変異体MEKポリペプチドを含む細胞を提供する段階;細胞を試験化合物と接触させる段階;および細胞増殖に及ぼす化合物の効果を測定する段階を含み;適切な対照と比較して細胞増殖が減少することにより、化合物が第二世代MEK阻害剤として同定される方法を提供する。
別の局面において、本発明は、試験化合物を第二世代MEK阻害剤として同定するための細胞に基づくスクリーニング法であって、変異体MEKポリペプチドを含む宿主細胞を試験化合物と接触させる段階を含み、試験化合物に対する宿主細胞の感受性により、化合物が第二世代MEK阻害剤として同定される方法を特色とする。本局面の一つの態様では、試験化合物に対する宿主細胞の感受性は、細胞増殖アッセイ法、細胞生存度アッセイ法、およびERK1/2リン酸化アッセイ法からなる群より選択されるアッセイ法を用いて測定され、試験化合物の存在下において細胞増殖、細胞生存度、またはERK1/2リン酸化が減少することにより、化合物が第二世代MEK阻害剤として同定される。
別の局面において、本発明は、第二世代MEK阻害剤を同定する方法であって、変異体MEKポリペプチドの三次元結晶構造または溶液構造によるコンピュータ支援のモデリングを用いて潜在的薬物を選択する段階、ここで、該変異体MEKポリペプチドは、MEK1(SEQ ID NO: 2)およびMEK2(SEQ ID NO:4)からなる群より選択される野生型MEKポリペプチドと比較して少なくとも一つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含み、少なくとも一つのアミノ酸置換は、一つまたは複数のMEK阻害剤に対する耐性を変異体MEKポリペプチドに付与する;該潜在的薬物を変異体MEKポリペプチドと接触させる段階;および該潜在的薬物と変異体MEKポリペプチドとの相互作用を測定する段階、を含み;変異体MEKポリペプチドと相互作用しうる化合物を第二世代MEK阻害剤として同定する方法を特色とする。
前述の局面の一つの態様において、試験化合物は化合物のライブラリのメンバーである。
別の局面において、本発明は、前述の方法の一つによって同定された化合物を特色とする。そのような化合物は、例えば、変異体MEKポリペプチドの活性を阻害するのに有用である。従って別の局面において、本発明は、変異体MEKポリペプチドの活性を阻害する方法であって、変異体MEKポリペプチドを、前述の方法の一つに従って同定された化合物と接触させる段階を含む方法を特色とする。例示的な態様において、化合物は、変異体MEKポリペプチドおよび野生型MEKポリペプチドの活性を阻害する。一つの態様において、該接触段階はインビトロで行う。別の態様において、該接触段階はインビボで行う。別の態様において、該接触段階は対象内で行う。例示的な態様において、該接触段階は、がんを有する対象内で行う。一つの態様において、がんを有する対象は、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、および化合物Bからなる群より選択される第一世代MEK阻害剤による処置から再発している。例示的な態様において、がんは黒色腫である。
別の局面において、本発明は、がんを有する対象を処置する方法であって、前述の方法の一つに従って同定された化合物を対象に投与する段階を含む方法を特色とする。例示的な態様において、化合物は、変異体MEKポリペプチドおよび野生型MEKポリペプチドの活性を阻害する。一つの態様において、対象は、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、および化合物Bからなる群より選択される第一世代MEK阻害剤による処置から再発している。特定の態様において、がんは、野生型MEKポリペプチドに関して一つもしくは複数の突然変異を有するMEKポリペプチド、および/または野生型MEKポリペプチドに関して一つもしくは複数の突然変異を有するMEKポリペプチドをコードするMEK核酸分子を含み、この場合、一つまたは複数の突然変異は、一つまたは複数のMEK阻害剤に対する耐性を変異体MEKポリペプチドに付与する。例示的な態様において、がんは黒色腫である。
別の局面において、本発明は、がんを有する対象をスクリーニングする方法であって、対象からがん細胞含有試料を採取する段階;およびがん細胞含有試料中の、MEK1(SEQ ID NO: 2)およびMEK2(SEQ ID NO:4)からなる群より選択される野生型ポリペプチドにおける一つまたは複数のアミノ酸置換の有無を判定する段階を含む方法を特色とする。本局面の一つの態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK1であり、一つまたは複数のアミノ酸置換は、67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328G、および399Hからなる群より選択される一つまたは複数の残基において起こる。別の態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK1であり、一つまたは複数のアミノ酸置換は、56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326P、および368Eからなる群より選択される一つまたは複数の残基において起こる。一つの態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK2であり、一つまたは複数のアミノ酸置換は、71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、および336Gからなる群より選択される一つまたは複数の残基において起こる。別の態様において、野生型MEKポリペプチドはMEK2であり、一つまたは複数のアミノ酸置換は、6OQ、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334P、および376Eからなる群より選択される一つまたは複数の残基において起こる。
前述の局面の一つの態様では、MEK1またはMEK2ポリペプチド中に一つまたは複数の突然変異が検出されることにより、対象が、第一世代MEK阻害剤による処置中に再発するリスクが比較的高いと同定される。別の態様では、MEK1またはMEK2ポリペプチド中に一つまたは複数の突然変異が検出されることにより、対象が、第一世代MEK阻害剤による処置に反応しないと同定される。例示的な態様において、第一世代MEK阻害剤は、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、および化合物Bからなる群より選択される。前述の局面の別の態様では、MEK1またはMEK2ポリペプチド中に一つまたは複数の突然変異が存在することにより、対象は第二世代MEK阻害剤による処置に分類される。別の態様では、MEKポリペプチド中に一つまたは複数の突然変異が存在することにより、対象は、MEK阻害剤(例えば、第一世代MEK阻害剤または第二世代MEK阻害剤)およびRAF阻害剤の両方の投与を含む併用療法による処置に分類される。
別の局面において、本発明は、MEK阻害剤およびRAF阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定する方法であって、(a) SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸残基の同一性を変更する、MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つもしくは複数の突然変異の存在について、がんから採取された核酸試料をアッセイする段階、ならびに/またはSEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸残基の同一性を変更する、MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つもしくは複数の突然変異の存在について、がんから採取された核酸試料をアッセイする段階;ならびに(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つまたは複数の突然変異の存在を、MEK阻害剤およびRAF阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い対象と相関させる段階を含む方法を提供する。
別の局面において、本発明は、がんを有する対象の処置を最適化する方法であって、(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階を含み;SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在、またはSEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在により、MEK阻害剤およびRAF阻害剤で対象を処置する必要性が示される、方法を提供する。
別の局面において、本発明は、がんを有する対象の処置を最適化する方法であって、(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および(b) 試料をPCRに供し、MEKポリペプチドをコードする核酸分子のヌクレオチド配列を同定する段階を含み;SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在、またはSEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在により、MEK阻害剤およびRAF阻害剤で対象を処置する必要性が示される、方法を提供する。
別の局面において、本発明は、がんを有する対象を処置する方法であって、(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階;ならびに(c) 核酸分子が、SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドを含む場合、または核酸分子が、SEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドを含む場合に、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を対象に投与する段階を含む方法を提供する。
別の局面において、本発明は、がんを有する対象を処置する方法であって、(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;(b) 試料をPCRに供し、MEKポリペプチドをコードする核酸分子のヌクレオチド配列を同定する段階;ならびに(c) 核酸分子が、SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドを含む場合、または核酸分子が、SEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドを含む場合に、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を対象に投与する段階を含む方法を提供する。
前述の局面の例示的な態様において、RAF阻害剤は、PLX4720、PLX4032、BAY 43-9006(ソラフェニブ)、ZM 336372、RAF 265、AAL-881、LBT-613、またはCJS352である。
別の局面において、本発明は、がんを有する対象を、第一世代MEK阻害剤による処置中に再発するリスクが高いと同定する方法であって、(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階を含み;SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在、またはSEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在により、対象が第一世代MEK阻害剤による処置中に再発するリスクが高いと同定される、方法を提供する。
別の局面において、本発明は、がんを有する対象を、第一世代MEK阻害剤による処置中に再発するリスクが高いと同定する方法であって、(a) SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸残基の同一性を変更する、MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つもしくは複数の突然変異の存在について、がんから採取された核酸試料をアッセイする段階、ならびに/またはSEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸残基の同一性を変更する、MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つもしくは複数の突然変異の存在について、がんから採取された核酸試料をアッセイする段階;ならびに(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つまたは複数の突然変異の存在を、第一世代MEK阻害剤による処置中に再発する高いリスクを有する対象と相関させる段階を含む方法を提供する。
別の局面において、本発明は、がんを有する対象を、第一世代MEK阻害剤による処置に反応しないと同定する方法であって、(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階を含み;SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在、またはSEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在により、対象が第一世代MEK阻害剤による処置に反応しないと同定される、方法を提供する。
別の局面において、本発明は、がんを有する対象を、第一世代MEK阻害剤による処置に反応しないと同定する方法であって、(a) SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸残基の同一性を変更する、MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つもしくは複数の突然変異の存在について、がんから採取された核酸試料をアッセイする段階、ならびに/またはSEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸残基の同一性を変更する、MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つもしくは複数の突然変異の存在について、がんから採取された核酸試料をアッセイする段階;ならびに(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つまたは複数の突然変異の存在を、第一世代MEK阻害剤による処置に反応しない対象と相関させる段階を含む方法を提供する。
前述の局面の例示的な態様において、MEK阻害剤は、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、または化合物Bである。
別の局面において、本発明は、第二世代MEK阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定する方法であって、(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階を含み;SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在、またはSEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在により、対象が第二世代MEK阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高いと同定される、方法を提供する。
別の局面において、本発明は、第二世代MEK阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定する方法であって、(a) SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸残基の同一性を変更する、MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つもしくは複数の突然変異の存在について、がんから採取された核酸試料をアッセイする段階、ならびに/またはSEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸残基の同一性を変更する、MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つもしくは複数の突然変異の存在について、がんから採取された核酸試料をアッセイする段階;ならびに(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つまたは複数の突然変異の存在を、第二世代MEK阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い対象と相関させる段階を含む方法を提供する。
前述の局面の一つの態様において、第二世代MEK阻害剤はRoche化合物RG7420である。
前述の局面のいくつかの態様において、がんは、白血病、リンパ腫、骨髄腫、がん腫、転移性がん腫、肉腫、腺腫、神経系がん、または泌尿生殖器がんである。例示的な態様において、がんは黒色腫である。
一つの局面において、本発明は、がんを有する対象の処置を最適化するための、MEK阻害剤およびRAF阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定するための、第一世代MEK阻害剤による処置中に再発するリスクが高い、がんを有する対象を同定するための、第一世代MEK阻害剤による処置に反応しない、がんを有する対象を同定するための、ならびに/または第二世代MEK阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定するためのキットであって、(a) SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2のMEKポリペプチドにおける一つまたは複数の突然変異の有無を同定するのに有用な検出試薬;および(b) 本明細書に記載の方法を説明する指示書を含むキットを提供する。例示的な態様において、検出試薬は、MEKポリペプチドの増幅に有用な核酸プライマーを含む。
前述の局面の様々な態様において、例えばがん細胞含有試料中のMEKポリペプチドといったMEKポリペプチド中の一つまたは複数の突然変異の存在は、MEKポリペプチドをコードする核酸分子の配列を決定する段階を含む方法によって判定される。他の態様において、MEKポリペプチド中の一つまたは複数の突然変異の存在は、一つまたは複数の突然変異を含むMEKポリペプチドを認識する抗体を用いて判定される。別の態様において、前述の方法は、本明細書に記載の方法に従って同定された化合物を、MEKポリペプチド中の一つまたは複数の突然変異の存在が検出された対象に投与する段階をさらに含む。
別の局面において、本発明は、対象においてMEKポリペプチドを阻害する方法であって、前述の方法の一つによって同定された化合物を、MEKポリペプチド中の一つまたは複数の突然変異の存在が検出された対象に投与する段階をさらに含む。
[本発明1001]
MEK活性を有する変異体MEKポリペプチドをコードする単離された核酸分子であって、該変異体MEKポリペプチドが、MEK1(SEQ ID NO: 2)およびMEK2(SEQ ID NO:4)からなる群より選択される野生型MEKポリペプチドと比較して少なくとも一つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含み、該少なくとも一つのアミノ酸置換が、一つまたは複数のMEK阻害剤に対する耐性を変異体MEKタンパク質に付与する、単離された核酸分子。
[本発明1002]
野生型MEKポリペプチドがMEK1であり、少なくとも一つの置換が、67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328G、および399Hからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる、本発明1001の核酸分子。
[本発明1003]
野生型MEKポリペプチドがMEK1であり、少なくとも一つの置換が、56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326P、および368Eからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる、本発明1001の核酸分子。
[本発明1004]
野生型MEKポリペプチドがMEK2であり、少なくとも一つの置換が、71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、および336Gからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる、本発明1001の核酸分子。
[本発明1005]
野生型MEKポリペプチドがMEK2であり、少なくとも一つの置換が、6OQ、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334P、および376Eからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる、本発明1001の核酸分子。
[本発明1006]
野生型MEKポリペプチドがMEK1であり、少なくとも一つの置換が、67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>L、および399H>Dからなる群より選択される、本発明1001の核酸分子。
[本発明1007]
野生型MEKポリペプチドがMEK1であり、少なくとも一つの置換が、56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>L、および368E>Kからなる群より選択される、本発明1001の核酸分子。
[本発明1008]
野生型MEKポリペプチドがMEK2であり、少なくとも一つの置換が、71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>L、および336G>Rからなる群より選択される、本発明1001の核酸分子。
[本発明1009]
野生型MEKポリペプチドがMEK2であり、少なくとも一つの置換が、60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>L、および376E>Kからなる群より選択される、本発明1001の核酸分子。
[本発明1010]
変異体MEKポリペプチドが、野生型MEKポリペプチドと比較して1〜5個のアミノ酸置換を有する、本発明1001の核酸分子。
[本発明1011]
変異体MEKポリペプチドが、野生型MEKポリペプチドと比較して1個のアミノ酸置換を有する、本発明1001の核酸分子。
[本発明1012]
変異体MEKポリペプチドが、111I>N置換または115L>R置換を含むMEK1ポリペプチドである、本発明1001の核酸分子。
[本発明1013]
変異体MEKポリペプチドが、124P>L置換または129F>L置換を含むMEK1ポリペプチドである、本発明1001の核酸分子。
[本発明1014]
変異体MEKポリペプチドが、115I>N置換または119L>R置換を含むMEK2ポリペプチドである、本発明1001の核酸分子。
[本発明1015]
変異体MEKポリペプチドが、128P>L置換または133F>L置換を含むMEK2ポリペプチドである、本発明1001の核酸分子。
[本発明1016]
MEK阻害剤が、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、および化合物Bからなる群より選択される、本発明1001〜1015のいずれかの核酸分子。
[本発明1017]
少なくとも一つのアミノ酸置換が、一つまたは複数のRAF阻害剤に対する耐性をさらに付与する、本発明1001〜1016のいずれかの核酸分子。
[本発明1018]
RAF阻害剤がPLX4720である、本発明1017の核酸分子。
[本発明1019]
本発明1001〜1018のいずれかの核酸を含む発現ベクター。
[本発明1020]
本発明1019の発現ベクターを含む宿主細胞。
[本発明1021]
変異体MEKポリペプチドが細胞によって産生されるように、本発明1020の宿主細胞を培養する段階を含む、変異体MEKポリペプチドを産生する方法。
[本発明1022]
MEK活性を有する単離された変異体MEKポリペプチドであって、該変異体MEKポリペプチドが、MEK1(SEQ ID NO: 2)およびMEK2(SEQ ID NO:4)からなる群より選択される野生型MEKポリペプチドと比較して少なくとも一つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含み、該少なくとも一つのアミノ酸置換が、一つまたは複数のMEK阻害剤に対する耐性を変異体MEKポリペプチドに付与する、単離された変異体MEKポリペプチド。
[本発明1023]
野生型MEKポリペプチドがMEK1であり、少なくとも一つの置換が、67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328G、および399Hからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1024]
野生型MEKポリペプチドがMEK1であり、少なくとも一つの置換が、56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326P、および368Eからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1025]
野生型MEKポリペプチドがMEK2であり、少なくとも一つの置換が、71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、および336Gからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1026]
野生型MEKポリペプチドがMEK2であり、少なくとも一つの置換が、6OQ、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334P、および376Eからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1027]
野生型MEKポリペプチドがMEK1であり、少なくとも一つの置換が、67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>L、および399H>Dからなる群より選択される、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1028]
野生型MEKポリペプチドがMEK1であり、少なくとも一つの置換が、56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>L、および368E>Kからなる群より選択される、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1029]
野生型MEKポリペプチドがMEK2であり、少なくとも一つの置換が、71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>L、および336G>Rからなる群より選択される、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1030]
野生型MEKポリペプチドがMEK2であり、少なくとも一つの置換が、60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>L、および376E>Kからなる群より選択される、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1031]
野生型MEKポリペプチドと比較して1〜5個のアミノ酸置換を有する、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1032]
野生型MEKポリペプチドと比較して1個のアミノ酸置換を有する、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1033]
変異体MEKポリペプチドが、111I>N置換または115L>R置換を含むMEK1ポリペプチドである、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1034]
変異体MEKポリペプチドが、124P>L置換または129F>L置換を含むMEK1ポリペプチドである、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1035]
変異体MEKポリペプチドが、115I>N置換または119L>R置換を含むMEK2ポリペプチドである、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1036]
変異体MEKポリペプチドが、128P>L置換または133F>L置換を含むMEK2ポリペプチドである、本発明1022の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1037]
MEK阻害剤が、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、および化合物Bからなる群より選択される、本発明1022〜1036のいずれかの変異体MEKポリペプチド。
[本発明1038]
少なくとも一つのアミノ酸置換が、一つまたは複数のRAF阻害剤に対する耐性をさらに付与する、本発明1022〜1037のいずれかの変異体MEKポリペプチド。
[本発明1039]
RAF阻害剤がPLX4720である、本発明1038の変異体MEKポリペプチド。
[本発明1040]
がんを有する対象の処置を最適化する方法であって、
(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および
(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階
を含み、
SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在、または
SEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在
により、MEK阻害剤およびRAF阻害剤で対象を処置する必要性が示される、方法。
[本発明1041]
がんを有する対象の処置を最適化する方法であって、
(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および
(b) 試料をPCRに供し、MEKポリペプチドをコードする核酸分子のヌクレオチド配列を同定する段階
を含み、
SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在、または
SEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在
により、MEK阻害剤およびRAF阻害剤で対象を処置する必要性が示される、方法。
[本発明1042]
がんを有する対象を処置する方法であって、
(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;
(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階;ならびに
(c) 核酸分子が、SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドを含む場合、または核酸分子が、SEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドを含む場合に、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を対象に投与する段階
を含む方法。
[本発明1043]
がんを有する対象を処置する方法であって、
(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;
(b) 試料をPCRに供し、MEKポリペプチドをコードする核酸分子のヌクレオチド配列を同定する段階;ならびに
(c) 核酸分子が、SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドを含む場合、または核酸分子が、SEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドを含む場合に、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を対象に投与する段階
を含む方法。
[本発明1044]
MEK阻害剤およびRAF阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定する方法であって、
(a) SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つまたは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つまたは複数のアミノ酸残基の同一性を変更する、MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つまたは複数の突然変異の存在について、がんから採取された核酸試料をアッセイする段階;ならびに
(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つまたは複数の突然変異の存在を、MEK阻害剤およびRAF阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い対象と相関させる段階
を含む方法。
[本発明1045]
MEK阻害剤およびRAF阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定する方法であって、
(a) SEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つまたは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つまたは複数のアミノ酸残基の同一性を変更する、MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つまたは複数の突然変異の存在について、がんから採取された核酸試料をアッセイする段階;ならびに
(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子中の一つまたは複数の突然変異の存在を、MEK阻害剤およびRAF阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い対象と相関させる段階
を含む方法。
[本発明1046]
がんを有する対象を、第一世代MEK阻害剤による処置中に再発するリスクが高いと同定する方法であって、
(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および
(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階
を含み、
SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在、または
SEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在
により、対象を、第一世代MEK阻害剤による処置中に再発するリスクが高いと同定する、方法。
[本発明1047]
がんを有する対象を、第一世代MEK阻害剤による処置に反応しないと同定する方法であって、
(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および
(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階
を含み
SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在、または
SEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在
により、対象を、第一世代MEK阻害剤による処置に反応しないと同定する、方法。
[本発明1048]
第二世代MEK阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定する方法であって、
(a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および
(b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階
を含み、
SEQ ID NO:2の56Q、67D、74L、99I、103I、104K、106A、107I、111I、113R、115L、119H、120E、124P、128G、129F、133F、167G、203E、211V、215L、237G、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、326P、328G、368E、および399Hからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在、または
SEQ ID NO:4の6OQ、71D、78L、103I、107I、108K、110A、111I、115I、117R、119L、123H、124E、128P、132G、133F、137F、171G、207E、215V、219L、241G、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、334P、336G、および376Eからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存在
により、対象を、第二世代MEK阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高いと同定する、方法。
[本発明1049]
MEK阻害剤が、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、および化合物Bからなる群より選択される、本発明1040〜1047のいずれかの方法。
[本発明1050]
RAF阻害剤が、PLX4720、PLX4032、BAY 43-9006(ソラフェニブ)、ZM 336372、RAF 265、AAL-881、LBT-613、およびCJS352からなる群より選択される、本発明1040〜1045のいずれかの方法。
[本発明1051]
がんが、白血病、リンパ腫、骨髄腫、がん腫、転移性がん腫、肉腫、腺腫、神経系がん、および泌尿生殖器がんからなる群より選択される、本発明1040〜1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
がんが黒色腫である、本発明1040〜1050のいずれかの方法。
[本発明1053]
がんを有する対象の処置を最適化するためのキットであって、
(a) SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2のMEKポリペプチドの増幅に有用な核酸プライマー;および
(b) 本発明1041の方法を説明する指示書
を含むキット。
[本発明1054]
MEK阻害剤およびRAF阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定するためのキットであって、
(a) SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2のMEKポリペプチドの増幅に有用な核酸プライマー;および
(b) 本発明1044または1045の方法を説明する指示書
を含むキット。
[本発明1055]
第一世代MEK阻害剤による処置中に再発するリスクが高い、がんを有する対象を同定するためのキットであって、
(a) SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2のMEKポリペプチドの増幅に有用な核酸プライマー;および
(b) 本発明1046の方法を説明する指示書
を含むキット。
[本発明1056]
第一世代MEK阻害剤による処置に反応しない、がんを有する対象を同定するためのキットであって、
(a) SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2のMEKポリペプチドの増幅に有用な核酸プライマー;および
(b) 本発明1047の方法を説明する指示書
を含むキット。
[本発明1057]
第二世代MEK阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定するためのキットであって、
(a) SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2のMEKポリペプチドの増幅に有用な核酸プライマー;および
(b) 本発明1048の方法を説明する指示書
を含むキット。
[本発明1058]
MEK阻害剤とRAF阻害剤とを含む組成物を対象に投与する段階を含む、それを必要としている対象におけるがんを処置する方法。
[本発明1059]
MEK阻害剤を含む組成物とRAF阻害剤を含む組成物とを対象に投与する段階を含む、それを必要としている対象におけるがんを処置する方法。
[本発明1060]
MEK阻害剤が、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、および化合物Bからなる群より選択される、本発明1058または1059の方法。
[本発明1061]
RAF阻害剤が、PLX4720、PLX4032、BAY 43-9006(ソラフェニブ)、ZM 336372、RAF 265、AAL-881、LBT-613、およびCJS352からなる群より選択される、本発明1058〜1060のいずれかの方法。
[本発明1062]
がんが、白血病、リンパ腫、骨髄腫、がん腫、転移性がん腫、肉腫、腺腫、神経系がん、および泌尿生殖器がんからなる群より選択される、本発明1058〜1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
がんが黒色腫である、本発明1058〜1061のいずれかの方法。
[本発明1064]
MEK阻害剤およびRAF阻害剤を含む薬学的組成物。
[本発明1065]
MEK阻害剤が、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、および化合物Bからなる群より選択される、本発明1064の薬学的組成物。
[本発明1066]
RAF阻害剤が、PLX4720、PLX4032、BAY 43-9006(ソラフェニブ)、ZM 336372、RAF 265、AAL-881、LBT-613、およびCJS352からなる群より選択される、本発明1064または1065の薬学的組成物。
インビトロおよびインビボにおける、「標的における」耐性突然変異を同定するための研究の設計を示す模式図を示す。臨床開発における第一世代MEK阻害剤のクラスを用いて、ランダム突然変異誘発スクリーンを行った。MEK1中の高頻度突然変異を同定し、また患者試料の大規模配列決定により、対応するエクソンを精査した。代表的なMEK1対立遺伝子の耐性表現型を実験研究により確認した。 突然変異誘発スクリーンにおいて同定されたMEK1耐性突然変異を示す。AZD6244突然変異誘発スクリーンに由来する、MEK1コード配列にわたる突然変異の候補の平均変種スコア(Illumina配列決定のレーンに基づく)を示す。スコアが高い突然変異(>15%)からの対応するアミノ酸置換を太字で示す。 突然変異誘発スクリーンにおいて同定されたMEK1耐性突然変異を示す。推定上のMEK1阻害剤耐性対立遺伝子の位置を、MEK1の結晶構造内に示す(赤色)。ATPおよびアリールアミンMEK阻害剤(PD318088)の両方がMEK1に結合することが示されている;この阻害剤の化学型は、ATP結合部位に隣接する疎水性ポケットと結合する。耐性対立遺伝子の候補は、ヘリックスC、疎水性薬物結合ポケット、および活性化ループ内に密集している。 突然変異誘発スクリーンにおいて同定されたMEK1耐性突然変異を示す。高頻度突然変異の大部分は、MEK1のエクソン3および6によってコードされる二つの異なる領域内に密集している。Cヘリックスおよび活性化ループの位置を示す。 第一世代MEK阻害剤CI-1040を用いる突然変異誘発スクリーンに由来する、MEKコード配列にわたる突然変異の頻度を示す。高頻度対立遺伝子に関して、対応するアミノ酸を示す(パネルA)。パネルBは、耐性MEK1対立遺伝子を発現するA375細胞におけるpERK1/2、pMEK1/2、MEK1/2、およびα-チューブリンの相対レベルを示す。 AZD6244耐性転移性黒色腫において獲得されたMEK1突然変異の同定を示す。AZD6244で処置を受けた再発黒色腫から、MEK1エクソン3および6に対応するPCR産物を生成した;産物をプールし、大規模並行配列決定(単一Illuminaレーン)により調べた。(A):この解析により、一つの突然変異、MEKP/24-Lが回収された。(B):患者#7からの処置前および再発後黒色腫DNAに対応する、MEK1エクソン3からのサンガー配列決定クロマトグラムを示す。再発試料においてのみ、MEKP124Lを示すC>T転位が明らかである。(C):患者#7の臨床過程にわたる、RECIST総カウント(青色グラフ)および血清S100レベル(赤色グラフ)の変化を示す。処置前および再発後生検の時点を示す。テモゾロミド処置およびAZD6244処置の間隔を示す。 MEK1耐性突然変異の機能的特徴づけを示す。(A):処置未経験BRAFV600E黒色腫細胞(黒色)、またはAZD6244耐性転移巣から培養した細胞(赤色)のエクスビボでのAZD6244媒介性増殖阻害を示す。(B):エクスビボで培養した処置未経験またはAZD6244耐性黒色腫細胞における、漸増濃度のAZD6244による処理後のERKリン酸化(p-ERK)を示す。チューブリン添加対照(α-チューブリン)と共に、リン酸化MEKおよび全MEK(p-MEK1/2およびMEK1/2)もまた示す。(C):インビトロスクリーンに由来するMEK1耐性突然変異(青色)、AZD6244耐性転移物に由来するMEK1耐性突然変異(MEKP124L;赤色)、恒常的に活性のあるMEK変種(MEK-DD;緑色)、野生型MEK1(黒色破線)を発現するA375細胞、および親A375(黒色実線)に関して、増殖阻害曲線を示す。(D):上記のパネルAからの培養黒色腫細胞に関して、PLX4720増殖阻害曲線を示す。(E):処置未経験またはAZD6244耐性黒色腫細胞における、漸増濃度のPLX4720による処理後のp-ERK、p-MEK1/2、およびMEK1/2レベルの免疫ブロット研究を示す。(F):上記のパネルCで概説したMEK1耐性突然変異または対照を発現するA375細胞のPLX4720増殖阻害曲線を示す。(G):親A375細胞、または突然変異誘発MEK1 cDNAライブラリを発現する細胞のコロニー形成を示す。媒体、AZD6244のみ(1.5μM)、PLX4720のみ(1.5μM)、またはAZD6244 + PLX4720(各1.5μM)で細胞を処理した。 耐性突然変異を含むA375細胞における増殖阻害曲線およびシグナル伝達の変化を示す。(A):インビトロスクリーンに由来するMEK1耐性突然変異(青色)、AZD6244耐性転移物に由来するMEK1耐性突然変異(MEKP124L;赤色)、恒常的に活性のあるMEK変種(MEK-DD;緑色)、野生型MEK1(黒色破線)を発現するA375細胞、および親A375(黒色実線)に関する、CI-1040による増殖阻害曲線を示す。(B):10μM、5μM、2μM、0.4μM、0.08μM、および0μMのCI-1040と共に16時間インキュベートした後の、耐性MEK1対立遺伝子を発現するA375細胞におけるpERK1/2、pMEK1/2、MEK1/2、およびα-チューブリンのレベルを示す。(C):MEK1野生型(MEK1WT)、恒常的活性化MEK1(MEKDD)、およびMEKP124Lを発現するA375と比較した、A375細胞における、AZD6244による処理後のタンパク質レベルを示す。 10μM、5μM、2μM、0.4μM、0.08μM、および0μMのPLX4720と共に16時間インキュベートした後の、耐性MEK1対立遺伝子を発現するA375細胞におけるpERK1/2、pMEK1/2、MEK1/2、およびα-チューブリンのレベルを示す。 野生型ヒトMEK1核酸配列(SEQ ID NO:1)(アクセッション番号NM_002755; gi:169790828)を示す。 野生型ヒトMEK1ポリペプチド配列(SEQ ID NO:2)(アクセッション番号NP_002746; gi:5579478)を示す。 野生型ヒトMEK2核酸配列(SEQ ID NO:3)(アクセッション番号NM_030662; gi:187171274)を示す。 野生型ヒトMEK2ポリペプチド配列(SEQ ID NO:4)(アクセッション番号NP_109587; gi:13489054)を示す。 野生型ヒトMEK1(SEQ ID NO:2)と野生型ヒトMEK2(SEQ ID NO:4)との間の配列アライメントを示す。
発明の詳細な説明
本発明は、特にMAPキナーゼシグナル伝達経路の異常な活性化を有するがんにおける、がん化学療法に対する耐性の発現に関する。MAPキナーゼシグナル伝達の異常な活性化は、一つまたは複数のMAPキナーゼシグナル伝達成分の突然変異または過剰発現から生じうる。MAPキナーゼシグナル伝達経路の成分の突然変異または過剰発現によって、がん細胞は一つまたは複数の化学療法剤に対して耐性を持つようになりうる。特定の態様において、本発明は、MEKポリペプチドを標的にする薬物に対する耐性の発現に関する。MEKポリペプチドは、MAPキナーゼシグナル伝達経路の重要な成分である。具体的な態様において、本発明は、MEKポリペプチドを標的にする薬物に対する耐性を与える、がしかしMEKポリペプチドの内因性酵素活性を破壊しない、MEKポリペプチドにおける突然変異に関する。例示的な態様において、MEKポリペプチドにおける突然変異は、MEK阻害剤CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物Aおよび化合物Bに対する耐性を与える。従って、本明細書において用いられる「耐性突然変異」とは、一つまたは複数のMEK阻害剤、例えばCI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物Aおよび化合物Bに対する耐性を与えるMEKポリペプチドにおける突然変異である。化合物AおよびB (それぞれ、6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-4-(4-フェノキシ-フェニルアミノ)-キノリン-3-カルボニトリルおよび4-[3-クロロ-4-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イルスルファニル)-フェニルアミノ]-6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-キノリン-3-カルボニトリル)は、Zhang et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 11(11):1407-1410 (2001) and Mallon et al., Mol Cancer Ther. Jun;3(6):755-62 (2004)にさらに記述されており、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
MEKポリペプチドを標的にする薬物に対する耐性を与えるMEKポリペプチドにおける突然変異の特定によって、「第二世代MEK阻害剤」の開発が可能になる。本明細書において用いられる場合、「第二世代MEK阻害剤」という用語は、本明細書において記述される突然変異のような、一つまたは複数の耐性突然変異を含むMEKポリペプチドの生物活性を阻害する薬剤をいう。好ましい態様において、第二世代MEK阻害剤はまた、野生型MEKポリペプチドの生物活性を阻害する。従って、本発明の第二世代MEK阻害剤は、一つまたは複数の耐性突然変異を含むMEKポリペプチドの生物活性を阻害することができ、野生型MEKポリペプチドの生物活性を阻害することができる。このような第二世代MEK阻害剤は多くの臨床的および治療的用途において、例えば、がんの処置において有用である。対照的に、本明細書において用いられる「第一世代MEK阻害剤」という用語は、野生型MEKポリペプチドの生物活性を阻害する、がしかし本明細書において記述される突然変異のような、一つまたは複数の耐性突然変異を含むMEKポリペプチドの生物活性を阻害しない薬剤をいう。例示的な第一世代MEK阻害剤としては、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物Aおよび化合物Bが挙げられる。一つの態様において、第一世代MEK阻害剤はMEKポリペプチドのATP結合部位でまたはその近傍でMEKポリペプチドに結合する。例示的な第二世代MEK阻害剤はRoche化合物RG7420である。
さらなるMEK阻害剤には、以下の特許公報に記述されている化合物が含まれ、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる:
Figure 0005651125
Figure 0005651125
Figure 0005651125
Figure 0005651125

上記の公報に記述されている化合物を、本明細書において記述される方法を用いて試験し、それらが「第一世代MEK阻害剤」または「第二世代MEK阻害剤」であるかを判定することができる。
MEKポリペプチドにおける耐性突然変異の特定から、がんにおける一つまたは複数のMEK耐性突然変異の有無を判定するために、がんを有する患者をスクリーニングすることも可能になる。がんにおける一つまたは複数のMEK耐性突然変異の有無を判定することで、がん患者の処置戦略の変更が可能になる。そのような変更は、例えば、第一世代MEK阻害剤による処置の開始もしくは中止、または第二世代MEK阻害剤による処置の開始もしくは中止を含むことができる。
本発明はさらに、がんを有する対象におけるMEK耐性突然変異の出現を抑制する方法について記述する。このような方法は、MEK阻害剤(例えば、第一世代MEK阻害剤または第二世代MEK阻害剤)およびRAF阻害剤の併用投与を伴う。従って、本発明は、MEK阻害剤およびRAF阻害剤の投与を含む、がんの症状を処置または予防するための併用療法を提供する。MEK阻害剤はRAF阻害剤の投与と同時に、その前に、またはその後に投与することができる。本明細書において記載される場合、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を伴う併用療法は、MEK阻害剤またはRAF阻害剤のいずれかだけの投与よりもMEK耐性突然変異の出現を大きく抑制する。
本発明の様々な局面を以下の小節においてさらに詳細に記述する。特に定義のない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合、定義を含めて、本明細書が優先される。本明細書において記述されるものと類似のまたは同等の方法および材料を本発明の実践において使用できるが、適当な方法および材料の例を以下に記述する。本明細書において記述される材料、方法および実施例は単なる例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。
I. MEK生物活性
本明細書において用いられる場合、「MEKタンパク質」および「MEKポリペプチド」という用語は、MEK1およびMEK2のような、MEKアイソフォームを包含するよう意図される。MEK1ならびにMEK2 (別名MKK1 (MAPキナーゼキナーゼ1)およびMKK2 (MAPキナーゼキナーゼ2))は、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)細胞内シグナル伝達において重要な役割を果たす二重特異性チロシンおよびセリン/トレオニンキナーゼである。どちらのMEKアイソフォームもともにサイズがおよそ45 kDaであり、哺乳類細胞において遍在的に発現される。MEK1およびMEK2は高度の相同性を示し、MEK2はMEK1に対して80%同一かつ90%類似である。MEK1およびMEK2にはそれぞれ、217位および221位に二つのセリン残基を含む活性化ループが含まれる。タンパク質キナーゼRafによるこれらの残基のリン酸化は、MAPKシグナル伝達の間にMEKの活性化をもたらす。MEKはまた、活性化ループの外側に二つの調節性リン酸化部位を含む。セリン298でのリン酸化はMEK1を活性化刺激する補助となりうる。逆に、セリン212でのリン酸化はMEK1活性を低減しうる。
分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)カスケードは、増殖因子、サイトカインおよびがん原遺伝子を含む、多様な細胞外刺激に応じてシグナル伝達を調節する重要な細胞内シグナル伝達経路である。この経路の活性化は転写因子の活性化および遺伝子発現の変化をもたらし、これが最終的には細胞増殖、細胞周期調節、細胞生存、血管形成および細胞移動を含む細胞機能の変化につながる。古典的なMAPKシグナル伝達は細胞表面の受容体チロシンキナーゼによって開始されるが、他の多くの細胞表面分子がインテグリン、ヘテロ三量体Gタンパク質およびサイトカイン受容体を含めて、MAPKカスケードを活性化することができる。
細胞表面受容体、例えば、受容体チロシンキナーゼとのリガンドの結合は、典型的には受容体のリン酸化をもたらす。アダプタタンパク質Grb2は活性化受容体のリン酸化細胞内ドメインと結合し、この結合が、SOS-1およびCDC25を含むグアニンヌクレオチド交換因子を細胞膜に動員する。これらのグアニンヌクレオチド交換因子はGTPase Rasと相互作用し、GTPase Rasを活性化する。共通のRasアイソフォームはK-Ras、N-Ras、H-Rasなどを含む。Ras活性化の後、セリン/トレオニンキナーゼRaf (例えば、A-Raf、B-RafまたはRaf-1)はRasとの相互作用を通じて細胞膜に動員される。次いでRafがリン酸化される。Rafは217位および221位の二つのセリン残基のリン酸化によってMEK1およびMEK2を直接的に活性化する。活性化の後、MEK1およびMEK2はセリン/トレオニンキナーゼErk1およびErk2におけるチロシン(Tyr-185)残基およびトレオニン(Thr-183)残基をリン酸化し、Erkの活性化をもたらす。活性化Erkは細胞質ゾル中の多くの標的を調節し、また、核へ移行し、ここで活性化Erkは、遺伝子発現を調節するいくつかの転写因子をリン酸化する。Erkキナーゼは、Elk-1、c-Ets1、c-Ets2、p90RSK1、MNK1、MNK2、MSK1、MSK2およびTOBを含む数多くの標的を有する。上記の経路はMAPKシグナル伝達の古典的表現であるが、MAPK経路と他のシグナル伝達カスケードとの間には多数のクロストークが存在している。
MAPKシグナル伝達の異常はがん生物学において重要な役割を果たす。Ras発現の変化は多くのがんでよく見られ、Rasの活性化突然変異も特定されている。そのような変異は全てのがんのうちの最大30%で見られ、膵臓がん(90%)および結腸がん(50%)で特によく見られる。さらに、活性化Raf突然変異は黒色腫および卵巣がんで特定されている。最もよく見られる突然変異BRAF 600V>Eは、下流のMAPキナーゼ経路の恒常的活性化をもたらし、黒色腫細胞増殖、軟寒天増殖および腫瘍異種移植片形成に必要である。ヒトがんにおけるMAPK過剰活性化の定義済みの役割に基づけば、特異的阻害剤を用いてMAPK経路の成分を標的化することは、がん療法に対する有望な手法である。MEK1およびMEK2は、これらがそのErk1/2基質に対して示す高度の特異性のため、魅力的な治療標的である。MEK1とMEK2との間の高度の相同性は、小分子MEK阻害剤が両タンパク質を効果的に阻害することを可能にする。CI-1040 (別名PD184352)は、第I相および第II相臨床試験において試験されたMEK阻害剤である。CI-1040は17 nmol/LのインビトロIC50でMEK1を阻害することが分かった(Friday et al. Clin. Cancer Res. (2008) 14(2):342-346; その全体が参照により本明細書に組み入れられる)。CI-1040はさらに、細胞に基づくアッセイ法においてMEKを阻害し、ヒト結腸がん異種移植片増殖を低減したのは、MEK阻害ががん療法の実行可能な方法であることを示唆するものであった。
本明細書において互換的に用いられる場合、「MEK活性」、「MEK生物活性」または「MEKの機能活性」という用語は、標準的な技術に従って、インビボでまたはインビトロで判定したときに、MEK応答性細胞もしくは組織、例えば、がん細胞に対して、またはMEK核酸分子もしくはタンパク質標的分子に対して、MEKタンパク質、例えば、MEK1またはMEK2が及ぼす活性を含む。MEK活性は、MEK標的分子、例えばERK1/2との結合、または基質(例えば、ERK1/2)のリン酸化などの直接的な活性であることができる。あるいは、MEK活性は、MEK標的分子、例えばERK1/2とのMEKタンパク質の相互作用によって媒介される下流の生物学的事象などの、間接的な活性である。MEKは、ERK1/2を伴うシグナル伝達経路にあるので、MEKの調節により、ERK1/2を伴うシグナル伝達経路における分子が調節される。
II. MEK耐性突然変異
CI-1040を含むMEK阻害剤でのがんの処置は有望な治療手法であるが、そのような治療法を受けている患者は再発を起こすまたは反応を示さないことが多く、結果として、患者の疾患が進行する。本明細書において記述される場合、本発明は、現在臨床開発中のMEK阻害剤に対する耐性を与える、MEKにおける突然変異の発見に関する。がん細胞におけるそのような突然変異の獲得によって、患者はある種のMEK阻害剤での処置に対して耐性になる。例示的な態様において、本発明は、MEK阻害剤CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物Aおよび化合物Bに対する耐性の発現に関する。
本明細書において記述される場合、新薬の開発につながるようながん遺伝子に依存性を有する腫瘍は、点突然変異を通じて標的の臨床的耐性を発現する傾向がある。標的の耐性機構の精緻化によって、様々な範囲の耐性変種に対して効力の増強を有する第二世代阻害剤のデザインが可能になった。このような目的で、本明細書において特定された大部分の耐性突然変異は、ATP結合モチーフに隣接するMEKアロステリックな薬物結合ポケットの中に場所を占める。ある種の第一世代MEK阻害剤、例えば、アリールアミン阻害剤は、MEKを「閉じられた」しかし不活性な立体配座の中に閉じ込めることによって機能し、ここで活性化ループはCヘリックスが外側に回転かつ移動するようになる原因となる。理論によって束縛されることを望むわけではないが、MEK突然変異は薬物結合の直接的な妨害を通じてまたは結合ポケットを破壊する閉じられた立体配座の方向にCヘリックスを追いやることによって耐性を導入しうる。第二世代MEK阻害剤、例えば、ATP競合的阻害剤または新規のアロステリック調節剤のデザインは、この非競合的キナーゼ阻害様式に対する耐性を無効化することができる。
本明細書において記述の転移性BRAFV600E黒色腫における耐性MEK1突然変異の臨床的出現は、RAF/MEKに関係した依存性の生物学的関連性が悪性腫瘍の進行期でさえも維持されることを示唆している。すなわち、第一世代RAFまたはMEK阻害剤が多くのBRAFV600E黒色腫において長持ちする腫瘍反応を誘発できないことは、臨床の現場での薬物効力または薬物動態が最適以下であることを示唆する可能性がある。本明細書において記述される所見に基づき、RAF由来またはMEK由来の腫瘍における標的薬剤を伴う処置法では、より強力な薬物、既存薬の投薬の変更、または複合RAFおよびMEK阻害から恩恵を受けることができる。これらの治療法の革新は、患者を分類するための確固たる腫瘍ゲノムプロファイリングとともに、「新薬の開発につながるような」がん遺伝子変異を有するがんでの個人向けがん処置の到来を加速するはずである。
(A) MEK阻害剤に対する耐性を与えるMEK突然変異の特定
様々な態様において、本発明は、MEK活性を阻害する薬物に対してMEKポリペプチドの耐性を与える、MEKポリペプチドにおける突然変異、またはMEKポリペプチドをコードする核酸分子における突然変異を特定する方法に関する。本明細書において言及される「変異体MEKポリペプチド」は、一つまたは複数の公知のMEK阻害剤に対する耐性を与える一つまたは複数の突然変異を含んだMEKポリペプチドを含む。同様に、本明細書において言及される「変異体MEK核酸分子」は、変異体MEKポリペプチドをコードする核酸分子を含む。一つまたは複数の突然変異を含むMEKポリペプチドをコードする核酸分子は、例えば、大腸菌(E. coli)の中で行うことができる、野生型MEK核酸配列のランダム突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発を含めて、当技術分野において公知の任意の適当な方法を用いて作出することができる。例示的な態様において、野生型MEK核酸配列はヒト野生型MEK核酸配列である。具体的な態様において、野生型MEK核酸配列は野生型ヒトMEK1 (SEQ ID NO:1)または野生型ヒトMEK2 (SEQ ID NO:3)である。変異体MEK核酸分子を次に、そうでなければMEK阻害剤での処置に感受性の細胞においてスクリーニングし、MEK阻害剤での処置に対して耐性の変異体MEKポリペプチドをコードする核酸を特定することができる。
任意の適当な方法を用いMEK阻害剤での処置に対する耐性について変異体MEK核酸および変異体MEKポリペプチドをスクリーニングすることができる。例えば、変異体MEKポリペプチドをコードする核酸分子を、そうでなければMEK阻害剤での処置に感受性の細胞において発現させることができる。この目的に有用な例示的な細胞株は、黒色腫細胞株A375である。変異体MEKポリペプチドの発現の後、細胞をMEK阻害剤で処理することができる。次いで変異体MEKポリペプチドの活性を測定し、同様に発現させ、MEK阻害剤で処理した野生型MEKポリペプチドの活性と比較することができる。MEKポリペプチドの活性は、例えば、MEK阻害剤での処置後の細胞の増殖または生存性を測定することによって判定することができ、ここで増殖または生存性とMEK活性との間には正の相関が認められる。細胞の成長、増殖または生存性は、当技術分野において公知の任意の適当な方法を用いて判定することができる。一つの態様において、細胞の成長は、MEK阻害剤の存在下で成長させた細胞がMEK阻害剤の非存在下で培養された非処理細胞で認められたものの割合として表現される、MTSまたはCell Titer Gloのような、ウェルに基づく細胞増殖/生存性アッセイ法を用いて判定することができる。ある種の態様において、耐性は適当な対照に対して、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、最も好ましくは少なくとも4〜5倍のGI50値の変化として定義される。他の態様において、耐性はおよそ1 uMのGI50値として定義される。MEKポリペプチドの活性は、例えば、MEK阻害剤での処置後の細胞に存在するリン酸化ERK1/2の相対量を判定することによって測定することもできる。野生型または変異体MEKポリペプチドの活性は、MEK阻害剤での処置後にアッセイ法のなかでリン酸化ERK1/2基質の割合を測定することによってMEK活性が判定されるインビトロリン酸化アッセイ法を用いて判定することもできる。MEK阻害剤での処置後に野生型MEKポリペプチドよりも高い活性を有する変異体MEKポリペプチドは、MEK阻害剤に対する耐性を与える突然変異を含んでいると特定される。次いで変異体MEKポリペプチドをコードする核酸を配列決定することにより、または直接的に変異体MEKポリペプチドを配列決定することにより、MEK阻害剤に対する耐性を与える突然変異を特定することができる。
このようにして、突然変異時に、MEK阻害剤CI-1040に対する耐性を与える、ヒトMEK1ポリペプチドのいくつかのアミノ酸残基が特定された。これらのアミノ酸残基には以下の一つまたは複数が含まれる: 67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328G、399H、56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pおよび368E。ある種の態様において、本発明の変異体MEKポリペプチドは、これらのアミノ酸残基の一つまたは複数の位置に野生型ヒトMEK1ポリペプチド配列に対して突然変異を含む。関連する態様において、本発明の変異体MEK核酸分子は、これらのアミノ酸残基の一つまたは複数をコードする一つまたは複数のヌクレオチドの位置に野生型ヒトMEK1核酸配列に対して突然変異を含む。例示的な態様において、本発明の変異体MEKポリペプチドは、以下の耐性突然変異の一つまたは複数を含む: 67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>L、399H>D、56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>K。他の例示的な態様において、本発明の変異体MEK核酸分子は、以下の耐性突然変異の一つまたは複数を含む変異体MEKポリペプチドをコードする: 67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>L、399H>D、56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>K。
上記に特定されたMEK耐性突然変異はまた、MEK2における対応残基の位置に導入された場合にMEK阻害剤に対する耐性を与える。従って、突然変異時に、MEK阻害剤CI-1040に対する耐性を与えるヒトMEK2ポリペプチドのアミノ酸残基には、以下の一つまたは複数が含まれる: 71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、336G、60Q、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pおよび376E。ある種の態様において、本発明の変異体MEKポリペプチドは、これらのアミノ酸残基の一つまたは複数の位置に野生型ヒトMEK2ポリペプチド配列に対して突然変異を含む。関連する態様において、本発明の変異体MEK核酸分子は、これらのアミノ酸残基の一つまたは複数をコードする一つまたは複数のヌクレオチドの位置に野生型ヒトMEK2核酸配列に対して突然変異を含む。例示的な態様において、本発明の変異体MEKポリペプチドは、以下の耐性突然変異の一つまたは複数を含む: 71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>L、336G>R、60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>Lおよび376E>K。本発明の全ての態様において、変異体MEK分子または変異体MEKポリペプチドは、MEK阻害剤に対する耐性を与える一つまたは複数の突然変異を有するMEK1またはMEK2ポリペプチドのいずれかをいう。
本明細書において記述される場合、MEK阻害剤に対する耐性を与えるMEKにおける突然変異の特定によって、一つまたは複数の耐性突然変異を有するMEKタンパク質の阻害で有効な、「第二世代MEK阻害剤」のデザインおよびスクリーニングが可能になる。このような第二世代MEK阻害剤は多くの臨床的および治療的用途において、例えば、がんの処置において有用である。MEKポリペプチドにおける耐性突然変異の特定によっても、がんにおける一つまたは複数のMEK耐性突然変異の有無を判定するためにがんを有する患者をスクリーニングすることが可能になる。がんにおける一つまたは複数のMEK耐性突然変異の有無を判定することで、がん患者の処置戦略の変更が可能になる。例えば、がんを有する患者由来のがん細胞含有試料での本明細書において記述される一つまたは複数のMEK耐性突然変異の特定を用いて、第二世代MEK阻害剤での処置に対して患者を分類することができる。MEK耐性突然変異の特定によっても、ある種のMEK阻害剤での処置に対して反応がないまたは再発のリスクが高い患者のスクリーニングおよび特定が可能になる。
上記のMEK耐性突然変異はまた、RAFキナーゼ阻害剤、例えばB-RAF阻害剤PLX4720に対する耐性を与える。RAFキナーゼ阻害剤に対する耐性は、例えば、RAF阻害剤の存在下で変異体MEKポリペプチドの活性を測定し、その活性を、RAF阻害剤で同様に処理した野生型MEKポリペプチドの活性と比較することによって判定することができる。MEKポリペプチドの活性は、本明細書において記載の方法を用いて判定することができる。
III. 第二世代MEK阻害剤を特定するための方法
MEK耐性突然変異の特定によって「第二世代MEK阻害剤」の開発および/または特定が可能になる。本明細書において用いられる場合、第二世代MEK阻害剤は、本明細書において記述される一つまたは複数の突然変異を含んだMEKポリペプチドの活性を効果的に阻害する薬剤である。第二世代MEK阻害剤は変異体MEKポリペプチドに加えて野生型MEKポリペプチドの活性を阻害しても阻害しなくてもよい。好ましい態様において、第二世代MEK阻害剤は野生型MEKポリペプチドと変異体MEKポリペプチドの両方の活性を阻害する。例示的な態様において、第二世代MEK阻害剤は、以下のアミノ酸残基: 67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328Gおよび399Hの一つまたは複数の位置に突然変異を含むMEK1ポリペプチド; ならびに/または以下の残基71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316Mおよび336Gの一つまたは複数の位置に突然変異を含むMEK2ポリペプチドの活性を阻害する。別の例示的な態様において、第二世代MEK阻害剤は、以下のアミノ酸残基: 56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pおよび368Eの一つまたは複数の位置に突然変異を含むMEK1ポリペプチド; ならびに/または以下の残基: 60Q、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pおよび376Eの一つまたは複数の位置に突然変異を含むMEK2ポリペプチドの活性を阻害する。
従って、本発明は、試験化合物を第二世代MEK阻害剤と特定するための方法を提供する。一つの態様において、化合物の存在下または非存在下で変異体MEKポリペプチドの、野生型MEKポリペプチドに対する相対MEK活性を判定することにより、化合物を第二世代MEK阻害剤と特定することができる。第二世代MEK阻害剤である化合物の存在下では、変異体MEKポリペプチドは化合物の非存在下でよりも低いレベルのMEK活性を有する。第二世代MEK阻害剤でない化合物の存在下では、変異体MEKポリペプチドは化合物の非存在下でよりも高いまたは等しいレベルのMEK活性を有する。ある種の態様において、MEK活性は組換えMEKポリペプチドを用いインビトロのアッセイ法で測定することができる。他の態様において、MEK活性は培養細胞または実験動物を用いインビボのアッセイ法で測定することができる。
MEK活性のいずれの指標でも、化合物が第二世代MEK阻害剤であるかないかを判定するのに適している。例示的な態様において、MEK活性は、MEK基質ERK1/2のリン酸化を測定することにより測定され、ここでERK1/2リン酸化の減少はMEK活性の減少を示す。一つの態様において、ERK1/2リン酸化は細胞または細胞抽出物において測定される。代替的な態様において、ERK1/2リン酸化は、精製タンパク質または組換えタンパク質を用いインビトロでのリン酸化アッセイ法で測定される。当技術分野において公知のERK1/2リン酸化を検出する方法は、MEKポリペプチドまたは変異体MEKポリペプチドの活性の指標としてERK1/2リン酸化を測定するのに適している。そのような方法は、ウエスタンブロットおよび質量分析を含むが、これらに限定されることはない。ある種の態様において、ERK1/2リン酸化アッセイ法は組換えタンパク質を用いインビトロで行うことができる。他の態様において、ERK1/2リン酸化アッセイ法は培養細胞または実験動物を用いインビボで行うことができる。
一つの態様において、変異体MEKポリペプチドを発現する宿主細胞が第二世代MEK阻害剤の特定において用いられ、ここで試験化合物に対する宿主細胞の感受性により、試験化合物が第二世代MEK阻害剤と特定される。本明細書において用いられる場合、「試験化合物に対する宿主細胞の感受性」という用語は、試験化合物が、細胞成長、細胞増殖、細胞生存性および/または細胞内シグナル伝達(例えば、ERK1/2のような、一つまたは複数のMEK基質のリン酸化で明らかなようにMEKが媒介するシグナル伝達)を含む一つまたは複数のパラメータに対して測定可能な効果を及ぼすことを意味するよう意図される。
化合物の存在下または非存在下で変異体MEKポリペプチドを発現する細胞の生存性または増殖速度を判定することにより、化合物を第二世代MEK阻害剤と特定することができる。そのようなアッセイ法において用いられる細胞株は、細胞株が野生型MEKポリペプチドを発現する場合にMEK阻害剤に感受性のはずであり、細胞株が変異体MEKポリペプチドを発現する場合にはMEK阻害剤(すなわち、第一世代MEK阻害剤)に耐性のはずである。第二世代MEK阻害剤の特定に有用な、例となる細胞株は、黒色腫細胞株A375である。A375細胞は、野生型MEKポリペプチドを発現する場合にMEK阻害剤CI-1040に感受性であるが、変異体MEKポリペプチド、例えば、以下の耐性突然変異: 67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>L、399H>D、56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>Kの一つまたは複数を含むMEK1ポリペプチド; または以下の耐性突然変異: 71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>L、336G>R、60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>Lおよび376E>Kの一つまたは複数を含むMEK2ポリペプチドを発現する場合にCI-1040に耐性である。
第二世代MEK阻害剤である化合物の存在下では、変異体MEKポリペプチドを発現する細胞株は、化合物の非存在下でよりも低い生存性もしくは増殖速度、および/または化合物の存在下で野生型MEKポリペプチドを発現する細胞株よりも低い生存性もしくは増殖速度を有する。第二世代MEK阻害剤でない化合物の存在下では、変異体MEKポリペプチドを発現する細胞株は、化合物の非存在下でよりも高いもしくは等しい生存性もしくは増殖速度、および/または化合物の存在下で野生型MEKポリペプチドを発現する細胞株よりも高いもしくは等しい生存性もしくは増殖速度を有する。当技術分野において公知の細胞生存性および/または増殖速度を測定する方法は、MEKポリペプチドまたは変異体MEKポリペプチドを発現する細胞株の、試験化合物に対する感受性を判定するのに適している。そのような方法は、トリパンブルー排除の測定、テトラゾリウム化合物の代謝、トリチウム化チミジン取り込み、BrdU取り込み、グルコース取り込み、ATP濃度およびアポトーシスのレベルを含むが、これらに限定されることはない。一つの態様において、細胞増殖は、MTSまたはCell Titer Gloのような、ウェルに基づく細胞増殖/生存性アッセイ法を用いて判定することができる。ある種の態様において、感受性は適当な対照に対して、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、最も好ましくは少なくとも4〜5倍のGI50値の変化として定義される。
従って、一つの態様において、本発明は、MEK基質および野生型MEKポリペプチドに対して一つまたは複数の突然変異を有するMEKポリペプチドを含むアッセイ組成物を提供する段階、試験化合物の非存在下でMEK基質のリン酸化を可能にする条件の下でアッセイ組成物を試験化合物と接触させる段階、ならびにMEK基質のリン酸化に関する化合物の効果を判定する段階を含み、適当な対照と比べてMEK基質のリン酸化の下方制御によって化合物が第二世代MEK阻害剤と特定される、第二世代MEK阻害剤である化合物を特定する方法を提供する。このようにして特定された化合物は、がん、例えば、変異体MEKポリペプチドが検出されているがんを処置するのに有用な化合物である。上記の方法において有用なMEKポリペプチドはMEK阻害剤CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物Aおよび化合物Bに対する耐性を与える一つまたは複数の突然変異を含むMEKポリペプチド、例えば、本明細書において記述される突然変異の一つまたは複数を含むMEKポリペプチドである。上記の方法において有用なMEK基質はERK1/2である。ERK1/2リン酸化の減少、低減または下方制御は、化合物がMEK阻害剤であるという指標である。上記の方法は、MEKポリペプチドおよびMEK基質が単離されまたは精製されたタンパク質であるインビトロで行うことができる。上記の方法はまた、MEKポリペプチドおよびMEK基質が細胞抽出物の成分であるインビトロで行うこともできる。この態様において、アッセイ組成物は細胞抽出物である。適当な対照は、本方法を行う当業者に明らかであるような任意の対照であり、例えば、試験化合物で処理されていないもしくは対照化合物で処理された同様のもしくは同一のアッセイ組成物、または「野生型」MEK1もしくはMEK2ポリペプチドを含んだ類似のアッセイ組成物もしくは細胞抽出物を含む。
別の態様において、本発明は、変異体MEKポリペプチドを含む細胞を提供する段階、細胞を試験化合物と接触させる段階、およびERK1/2リン酸化または細胞増殖に及ぼす化合物の効果を判定する段階を含み、適切な対照と比べてERK1/2リン酸化または細胞増殖の減少、低減または下方制御によって化合物が第二世代MEK阻害剤と特定される、第二世代MEK阻害剤である化合物を特定する方法を提供する。このようにして特定された化合物は、がん、例えば、変異体MEKポリペプチドが検出されているがんを処置するのに有用な化合物である。適当な対照は、本方法を行う当業者に明らかであるような任意の対照であり、例えば、試験化合物で処理されていないもしくは対照化合物で処理された同様のもしくは同一の細胞、または組換え「野生型」MEK1もしくはMEK2が発現された類似の細胞もしくは細胞抽出物を含む。
一つの態様において、上記の方法において用いられる試験化合物は、野生型MEKポリペプチドの生物活性を阻害するMEK阻害剤である。第二世代MEK阻害剤であるMEK阻害剤は、本明細書において記述されている。
別の態様において、試験化合物は、試験化合物のライブラリの一員である。「試験化合物のライブラリ」とは、非常に多数の試験化合物を含むパネルをいう。有機小分子の分子ライブラリの合成のための手法が記述されている(Carell et al. (1994). Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061)。本発明の化合物は、生物学的ライブラリ、空間的にアドレス可能な平行固相ライブラリまたは液相ライブラリ、逆重畳積分を必要とする合成ライブラリ法、「一ビーズ一化合物」ライブラリ法、および親和性クロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリ法を含め、当技術分野において公知のコンビナトリアルライブラリ法における多数の手法のうちのいずれかを用いて得ることができる。生物学的ライブラリ法はペプチドライブラリに限定されるが、他の四手法はペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の小分子ライブラリに適用可能である(Lam, K.S. (1997) Anticancer Drug Des. 12:145)。分子ライブラリの合成のための他の例示的な方法は、当技術分野において、例えばErb et al. (1994). Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422; Horwell et al. (1996) Immunopharmacology 33:68-において、およびGallop et al. (1994); J. Med. Chem. 37:1233-において見出すことができる。化合物のライブラリは溶液中で(例えば、Houghten (1992) Biotechniques 13:412-421)、またはビーズ上で(Lam (1991) Nature 354:82-84)、チップ上で(Fodor (1993) Nature 364:555-556)、細菌上で(Ladner USP 5,223,409)、胞子上で(Ladner USP '409)、プラスミド上で(Cull et al. (1992) Proc Natl Acad Sci USA 89:1865-1869)もしくはファージ上で(Scott and Smith (1990) Science 249:386-390); (Devlin (1990) Science 249:404-406); (Cwirla et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382); (Felici (1991) J. Mol. Biol. 222:301-310)提示されることができる。別の態様において、コンビナトリアルポリペプチドはcDNAライブラリから産生される。活性をスクリーニングできる例示的な化合物は、ペプチド、核酸、炭水化物、有機小分子および天然産物抽出物ライブラリを含むが、これらに限定されることはない。
第二世代MEK阻害剤はまた、本明細書において記述される耐性突然変異の一つまたは複数を含むMEK1またはMEK2対立遺伝子の構造に基づき合理的にデザインすることもできる。本明細書において記述される場合、MEK阻害剤に対する耐性を与えるMEKの残基は、MEKポリペプチドのCヘリックス、活性化ループおよびATP結合ポケットの中にまたはその近傍に位置している。MEKポリペプチドのこの領域は、第一世代MEK阻害剤CI-1040およびAZD6244が結合する同一領域である。MEK阻害剤に対する耐性を与えるMEK1およびMEK2変異体対立遺伝子の特定によって、変異体対立遺伝子および野生型タンパク質のCヘリックス、活性化ループおよびATP結合ポケットの構造の間の比較が可能になる。第一世代MEK阻害剤に対する耐性を与える構造的特徴の変化に関する知見により、変異体対立遺伝子のCヘリックス、活性化ループおよび/またはATP結合ポケットに結合する、阻害剤を含めて、リガンドの合理的なデザインおよび構築が可能になる。そのような阻害剤は、変異体および野生型のMEK対立遺伝子の両方に結合するようにデザインすることができる。本明細書において記述される一つまたは複数の突然変異を含むMEK対立遺伝子のCヘリックス、活性化ループおよび/またはATP結合ポケットに結合するようにデザインされた阻害剤は第二世代MEK阻害剤である。そのような合理的にデザインされた阻害剤が変異体MEKポリペプチドの生物活性を阻害する能力は、本明細書において記述されるインビトロおよび/またはインビボのアッセイ法を用いて確認することができる。
本明細書において記述される耐性突然変異の一つまたは複数を含むMEKポリペプチドの構造は、コンピュータ支援のモデリングにより、または変異体MEKポリペプチドの結晶構造もしくは溶液構造の決定により決定することができる。当技術分野において公知の任意の適当な方法を用いて、変異体MEKポリペプチドの構造を決定することができる。
例示的なコンピュータ支援のモデリング法としては、PYMOL、CAVITY (J. Comp. Aided. Mol. Des. (1990) 4:337-354 (参照により本明細書に組み入れられる)に記述されている)およびDiscovery Studio(登録商標) (Accelrys, San Diego, CA)のようなソフトウェアプログラムの使用が挙げられる。コンピュータ支援の分子モデリングに有用なさらなる技術は、J BUON. (2007) 12 Suppl 1:S101-18 (参照により本明細書に組み入れられる)に記述されている。既知の構造を有するタンパク質のコンピュータに基づく分析を用いて、タンパク質に結合する分子を特定することもできる。そのような方法では分子を、受容体部位に相補的なその形状に基づいてランクづけする。例えば、3-Dデータベースを使い、DOCKのようなプログラムを用いてXBP-1、IRE-1αおよび/またはEDEMに結合する分子を特定することができる。DesJarlias et al. (1988) J. Med. Chem. 31:722; Meng et al. (1992) J. Computer Chem. 13:505; Meng et al. (1993) Proteins 17:266; Shoichet et al. (1993) Science 259:1445を参照されたい。さらに、標的タンパク質に対する分子の電子的相補性を分析して、標的に結合する分子を特定することもできる。これは、例えば、Meng et al. (1992) J. Computer Chem. 13:505およびMeng et al. (1993) Proteins 17:266に記述されているように分子力学力場を用いて判定することができる。使用できる他のプログラムには、推定リガンドのドッキングにおいてGRID力場を用いるCLIXが含まれる(例えば、Lawrence et al. (1992) Proteins 12:31; Goodford et al. (1985) J. Med. Chem. 28:849; およびBoobbyer et al. (1989) J. Med. Chem. 32:1083を参照されたく、それらの全体が参照により組み入れられる)。
結晶化は、バッチ法、透析法ならびに蒸気拡散(例えば、シッティング・ドロップおよびハンギング・ドロップ)法を含むが、これらに限定されない、任意の結晶化法によって行うことができる。結晶のミクロ、マクロおよび/またはストリーク・シーディングを行って、結晶化を促進することもできる。MEK1またはMEK2変異体対立遺伝子を含む結晶は、当技術分野において公知の様々な異なる方法によって形成させることができる。例えば、結晶化は、バッチ法、透析法ならびに蒸気拡散(例えば、シッティング・ドロップおよびハンギング・ドロップ)法によって行うことができる。基本的なタンパク質結晶化の手順に関する詳細な記述は、McRee, D., Practical Protein Crystallography, 2nd Ed. (1999), Academic Press Incのなかで見出すことができる。結晶化実験の実施に関するさらなる記述は、Stevens et al. (2000) Curr. Opin. Struct. Biol.: 10(5):558-63、ならびに米国特許第6,296,673号; 同第5,419,278号; および同第5,096,676号において提供されており、それらの全内容が参照により本明細書に組み入れられる。MEK変異体対立遺伝子の三次元構造を決定するためにそのような結晶を用いて、X線または中性子回折分析を行うことができる。MEKポリペプチドまたは変異体MEKポリペプチドの溶液構造は、当技術分野において公知の技術を用い核磁気共鳴分光法を用いて特定することができる。X線結晶構造解析またはNMR分光法によるポリペプチド構造決定に適した方法はBrunger et al., (1998) 「Crystallography & NMR system (CNS): A new software system for macromolecular structure determination」、Acta Crystallogr D54, 905-921; Brunger et al. (1987) 「Solution of a Protein Crystal Structure With a Model Obtained From NMR Interproton Distance Restraints」、Science 235, 1049-1053; Drenth, 「Principles of Protein X-ray Crystallography」, (1994), Springer-Verlag. pp. 1-19; およびNarula et al. (1995) 「Solution structure of the C-terminal SH2 domain of the human tyrosine kinase Syk complexed with a phosphotyrosine pentapeptide」, Structure 3, 1061-1073において記述されており、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。変異体MEKポリペプチドの結晶構造または溶液構造の特定により、上記のコンピュータ支援のモデリング法を用いて変異体MEKポリペプチドの阻害剤を特定することができる。
上記の方法によって特定された第二世代MEK阻害剤は、野生型および/または変異体MEKポリペプチドの発現と関連する疾患または状態を処置するのに有用である。例えば、第二世代MEK阻害剤は、対象におけるがん、特に変異体MEKポリペプチドが特定されているがんを処置するのに有用である。例示的な態様において、第二世代MEK阻害剤は、以下のアミノ酸残基: 67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328Gおよび399Hの一つまたは複数の位置に突然変異を有するMEK1ポリペプチド、ならびに/または以下のアミノ酸残基: 71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316Mおよび336Gの一つまたは複数の位置に突然変異を有するMEK2ポリペプチドを含むがんを処置するのに有用である。別の例示的な態様において、第二世代MEK阻害剤は、以下のアミノ酸残基: 56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pおよび368Eの一つまたは複数の位置に突然変異を有するMEK1ポリペプチド; ならびに/または以下のアミノ酸残基: 60Q、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pおよび376Eの一つまたは複数の位置に突然変異を有するMEK2ポリペプチドを含むがんを処置するのに有用である。関連する態様において、第二世代MEK阻害剤は、以下の突然変異: 67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>Lおよび399H>Dの一つまたは複数を有するMEK1ポリペプチド、ならびに/または以下の突然変異: 71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>Lおよび336G>Rの一つまたは複数を有するMEK2ポリペプチドを含むがんを処置するのに有用である。別の例示的な態様において、第二世代MEK阻害剤は、以下の突然変異: 56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>Kの一つまたは複数を有するMEK1ポリペプチド、ならびに/または以下の突然変異: 60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>Lおよび376E>Kの一つまたは複数を有するMEK2ポリペプチドを含むがんを処置するのに有用である。
IV. 単離された核酸分子
本発明は、MEK遺伝子に関連するポリヌクレオチドまたは核酸分子およびその各遺伝子産物に関する。これらのポリヌクレオチドまたは核酸分子は、哺乳類細胞から単離可能かつ精製可能である。本発明の特定の局面において、本明細書において記述される単離MEK核酸分子は、MEK阻害剤に対する耐性を与える一つまたは複数の突然変異を含む。本明細書において言及される「変異体MEK核酸分子」は、変異体MEKポリペプチド、すなわち、一つまたは複数の公知のMEK阻害剤に対する耐性を与える一つまたは複数の突然変異を含んだMEKポリペプチドをコードするMEK核酸分子を含む。
単離され精製されたMEK核酸分子、例えば、変異体MEK核酸分子は、RNAまたはDNAの形態をとることができるものと考えられる。本明細書において用いられる場合、「RNA転写産物」という用語は、DNA核酸分子由来の転写産物であるRNA分子をいう。そのような転写産物は、一つまたは複数のポリペプチドをコードすることができる。
本出願において用いられる場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、全ゲノム核酸を含まないように、単離されている核酸分子、RNAまたはDNAをいう。それゆえ、「MEKをコードするポリヌクレオチド」とは、MEKコード配列を含むが、全ゲノムDNAおよびタンパク質から単離されまたは精製され、かつこれらを含まない、核酸セグメントをいう。本出願が、MEKをコードするポリヌクレオチドもしくは核酸の機能または活性をいう場合、このポリヌクレオチドは、野生型MEKポリヌクレオチドの活性、例えば、ERK1/2基質のリン酸化を行いうる分子をコードすることが意図される。
「cDNA」という用語は、鋳型としてRNAを用いて調製されたDNAをいうよう意図される。ゲノムDNAまたはRNA転写産物とは対照的に、cDNAを用いることの利点は、安定性および組換えDNA技術を用いて配列を操作する能力である(Sambrook, 1989; Ausubel, 1996を参照のこと)。全ゲノム配列または部分的ゲノム配列が好まれる場合もありうる。あるいは、cDNAはポリペプチドのコード領域に相当し、かつイントロンおよび他の調節領域を取り除いているので、cDNAが有利でありうる。
所与の細胞由来の所与のMEKコード核酸またはMEK遺伝子は、わずかに異なる核酸配列を有するが、それでもなお、活性なMEKポリペプチドをコードする天然の変種または系統によって表されうることも考えられる。好ましい態様において、活性なMEKポリペプチドは活性なヒトMEKポリペプチドである。特に好ましい態様において、活性なMEKポリペプチドは、野生型MEKポリペプチドの活性を有するが、一つまたは複数の公知のMEK阻害剤に耐性である変異体MEKポリペプチドである。結果として、本発明のある種の局面では、最小のアミノ酸変化を有するが、同じ生物学的機能を保有するMEK誘導体を包含する。
「遺伝子」という用語は、簡潔さを目的に機能的なタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドをコードする単位をいうように用いられる。当業者によって理解されるように、この機能的用語は、タンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質および変異体を発現する、または発現するように適合できるゲノム配列、cDNA配列、ならびにさらに小さな遺伝子操作遺伝子セグメントを含む。MEKをコードする核酸分子は以下の長さ: 少なくとも約
Figure 0005651125
またはそれ以上のヌクレオチド、ヌクレオシドまたは塩基対の連続した核酸配列を含むことができる。このような配列は、例えば、SEQ ID NO:1またはその断片と同一または相補的でありうる。
本発明の様々な態様はMEKにおける遺伝子突然変異に関する。本明細書において用いられる場合、突然変異とは、MEK核酸分子中の部位での単一ヌクレオチドの付加、欠失または置換をいう。例示的な態様において、変異体MEK核酸分子は、MEK阻害剤、例えば、CI-1040のような、特定の治療法に対して耐性を与える一つまたは複数の突然変異を含む。関連する態様において、変異体MEK核酸分子は、MEK阻害剤、例えば、CI-1040のような、特定の治療法に対して耐性を与える一つまたは複数の突然変異を含む変異体MEKポリペプチドをコードするように、一つまたは複数の突然変異を含む。従って、本発明の特定の局面において、配列の変化は、MEK阻害剤での治療のような、治療に対して少なくともある程度の耐性が結果として生じるように、その配列がコードするポリペプチドの特性に影響を与える変化をもたらす。
「他のコード配列から実質的に単離されている」とは、関心対象の遺伝子が核酸セグメントのコード領域の一部を形成していること、かつこのセグメントが、大きな染色体断片またはその他の機能的遺伝子もしくはcDNAコード領域のような、天然に存在するコード核酸の大部分を含んでいないことを意味する。もちろん、これは、もともと単離されているような核酸セグメントをいい、ヒトによる操作で後になってセグメントに付加された遺伝子またはコード領域を除外するものではない。
特定の態様において、本発明は、アミノ酸配列のなかに、変異体MEKポリペプチドに従うまたは変異体MEKポリペプチドに本質的に対応する連続したアミノ酸配列を含んだ変異体MEKポリペプチドまたはペプチドをコードするDNA配列を組み入れてある単離された核酸セグメントおよび組換えベクターに関する。例示的な態様において、本発明は、アミノ酸配列のなかに、MEK阻害剤に対する耐性を与える一つまたは複数の突然変異を含むMEKポリペプチドの連続したアミノ酸配列を含んだMEKタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードするDNA配列を組み入れてある単離されたDNAセグメントおよび組換えベクターに関する。ある種の態様において、一つまたは複数の突然変異はMEK1ポリペプチドの位置67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328Gまたは399Hに生じる。他の態様において、一つまたは複数の突然変異はMEK1ポリペプチドの位置56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pまたは368Eに生じる。他の態様において、一つまたは複数のMEK1突然変異は以下を含む: 67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>Lまたは399H>D。他の態様において、一つまたは複数のMEK1突然変異は以下を含む: 56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lまたは368E>K。ある種の態様において、一つまたは複数の突然変異はMEK2ポリペプチドの位置71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316Mまたは336Gに生じる。他の態様において、一つまたは複数の突然変異はMEK2ポリペプチドの位置6OQ、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pまたは376Eに生じる。他の態様において、一つまたは複数のMEK2突然変異は以下を含む: 71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>Lおよび336G>R。他の態様において、一つまたは複数のMEK2突然変異は以下を含む: 60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>L、376E>K。
本明細書において用いられる核酸セグメントは、それ自体のコード配列の長さにかかわらず、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、付加的な制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなどのような、他のDNAまたはRNA配列と組み合わせてもよく、従ってその全長はかなり変化しうる。それゆえ、ほぼ全ての長さの核酸断片が利用されてもよいが、その全長は意図した組換えDNAプロトコルにおける調製および使用の容易さによって限定されることが好ましいものと考えられる。
本発明の核酸構築体は、MEKポリペプチドまたは変異体MEKポリペプチドをコードするものと考えられる。「異種」配列とは、残りの配列に対して外来性または外因性の配列をいう。異種遺伝子とは、そのときに配置されている配列に隣接した状態で、天然には、見られることのない遺伝子をいう。
非限定的な例において、MEK遺伝子の全部または一部に同一または相補性の連続したヌクレオチドのストレッチを含む一つまたは複数の核酸構築体を調製することができる。核酸構築体は、長さが少なくとも50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、20,000、30,000、50,000、100,000、250,000、約500,000、750,000から約1,000,000ヌクレオチド、ならびに酵母人工染色体のような核酸構築体の出現が当業者には公知であることを考えると、染色体サイズを含めそのサイズまでの(全ての中間の長さおよび中間の範囲を含む)、より大きなサイズの構築体を含むことができる。本明細書において用いられる「中間の長さ」および「中間の範囲」は、引用された値を含むまたはその間にある任意の長さまたは範囲(すなわち、このような値を含むおよびその間にある全ての整数)を意味することが容易に理解されよう。中間の長さの非制限的な例としては、約11、約12、約13、約16、約17、約18、約19など; 約21、約22、約23など; 約31、約32など; 約51、約52、約53など; 約101、約102、約103など; 約151、約152、約153、約97001、約1,001、約1002、約50,001、約50,002、約750,001、約750,002、約1,000,001、約1,000,002などが挙げられる。中間の範囲の非制限的な例としては、約3〜約32、約150〜約500,001、約3,032〜約7,145、約5,000〜約15,000、約20,007〜約1,000,003などが挙げられる。
本発明のある種の態様は、細胞での形質転換および発現に関わるベクター、プロモーター、治療用核酸、および他の核酸要素を含めて、様々な核酸に関する。ある種の局面において、核酸は野生型または変異体核酸を含む。特定の局面において、核酸は転写核酸をコードするまたは含む。
「核酸」という用語は当技術分野において周知である。本明細書において用いられる「核酸」とは一般に、核酸塩基を含むDNA、RNAまたはその誘導体もしくは類似体の分子(すなわち、鎖)をいう。核酸塩基には、例えば、DNA (例えば、アデニン「A」、グアニン「G」、チミン「T」もしくはシトシン「C」)またはRNA (例えば、A、G、ウラシル「U」またはC)中に認められる、天然に存在するプリンまたはピリミジン塩基が含まれる。「核酸」という用語は、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語を、それぞれ「核酸」という用語の亜属として包含する。「オリゴヌクレオチド」という用語は、長さが約3〜約100核酸塩基の分子をいう。「ポリヌクレオチド」という用語は、長さが約100核酸塩基超の少なくとも一つの分子をいう。「遺伝子」とは、遺伝子産物のコード配列、ならびに遺伝子産物のイントロンおよびプロモーターをいう。MEK遺伝子に加えて、MEKに対するエンハンサーのような他の調節領域は、主張される発明の組成物および方法とともに用いるための核酸と考えられる。
これらの定義は一般に、一本鎖分子をいうが、具体的な態様において、一本鎖分子と部分的に、実質的にまたは完全に相補的なもう一つの鎖も包含する。従って、核酸は、ある分子を含む特定の配列の一つまたは複数の相補鎖または「相補体」を含む、二本鎖分子または三本鎖分子を包含しうる。本明細書において用いられる場合、一本鎖核酸を接頭語「ss」によって、二本鎖核酸を接頭語「ds」によって、および三本鎖核酸を接頭語「ts」によって示すことができる。
核酸は当業者に公知の任意の技術により、例えば、化学的合成により、または酵素的産生もしくは生物学的産生により作出されることができる。合成核酸(例えば、MEK阻害剤に対する耐性を与える突然変異の特定を容易にするMEKプライマー)の非制限的な例としては、リン酸トリエステル、亜リン酸塩もしくはホスホルアミダイト化学および参照により本明細書に組み入れられるEP 266,032に記述されているような固相技術を用いて、またはそれぞれが参照により本明細書に組み入れられるFroehler et al., 1986および米国特許第5,705,629号に記述されているデオキシヌクレオシドH-ホスホネート中間体を介して、インビトロ化学合成によって作出された核酸が挙げられる。本発明の方法には、一つまたは複数のオリゴヌクレオチドを用いることができる。オリゴヌクレオチド合成の種々の異なる機構が、例えば、米国特許第4,659,774号、同第4,816,571号、同第5,141,813号、同第5,264,566号、同第4,959,463号、同第5,428,148号、同第5,554,744号、同第5,574,146号、同第5,602,244号に開示されており、これらの各々が参照により本明細書に組み入れられる。
酵素的に産生される核酸の非制限的な例としては、PCRのような増幅反応(例えば、各々が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,683,202号および同第4,682,195号を参照のこと)のなかで酵素により産生されるもの、または参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,645,897号に記述されている、オリゴヌクレオチドの合成により産生されるものが挙げられる。生物学的に産生される核酸の非制限的な例としては、細菌内で複製される組換えDNAベクターなどの、生きている細胞内で産生(すなわち、複製)される組換え核酸が挙げられる(例えば、参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al. 1989を参照のこと)。
核酸はポリアクリルアミドゲル、塩化セシウム勾配遠心分離にて、またはMEKに対する耐性を与える突然変異の評価の一環として当業者に公知の任意の他の手段(例えば、参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al., 1989を参照のこと)によって精製することができる。好ましい局面において、核酸は薬理学的に許容される核酸である。薬理学的に許容される組成物は当業者に公知であり、本明細書において記述される。
ある種の局面において、本発明は、単離された核酸である核酸に関する。本明細書において用いられる場合、「単離(された)核酸」という用語は、一つまたは複数の細胞のゲノム核酸および転写された核酸の全体のうち大部分を含まないように単離されているか、またはさもなくば含まない核酸分子(例えば、RNA分子またはDNA分子)をいう。ある種の態様において、「単離(された)核酸」とは、例えば、脂質またはタンパク質、低分子量生体分子などのような高分子を含む、細胞成分またはインビトロ反応成分の大部分を含まないように単離されているか、またはさもなくば含まない核酸をいう。
V. 発現ベクターおよび宿主細胞
本発明は、発現ベクター組成物およびMEKポリペプチド、例えば、変異体MEKポリペプチドをコードするようにこのようなベクターを用いること、ならびにこのような発現ベクターが導入されている宿主細胞組成物を包含する。「ベクター」という用語は、細胞への導入のために核酸配列を内部に挿入でき、細胞内でそれを複製できる、担体核酸分子をいうように用いられる。核酸配列は「外因性」であってもよく、このことはベクターが導入される細胞に対してそれが外来性であること、または配列は細胞内の配列に対して同種性であるが宿主細胞核酸内の通常は認められない位置にあることを意味する。ベクターには、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルスおよび植物ウイルス)ならびに人工染色体(例えば、YAC)が含まれる。当業者であれば、標準的な組換え技術によってベクターを構築するのに必要なものを十分に持っているはずであり、その技術は、ともに参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al., 1989およびAusubel et al., 1996に記述されている。
「発現ベクター」または「発現構築体」という用語は、転写されうる遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含んだベクターをいう。ある場合には、RNA分子は次いで、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに翻訳される。他の場合には、これらの配列は、例えばアンチセンス分子またはリボザイムの産生時には、翻訳されない。発現ベクターは種々の「制御配列」を含むことができ、これは、特定の宿主生物における機能的に連結されたコード配列の転写および場合によっては翻訳に必要な核酸配列をいう。転写および翻訳を司る制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能を同様に果たす、かつ以下に記述する核酸配列を含んでもよい。
1. プロモーターおよびエンハンサー
「プロモーター」とは、転写の開始および速度が制御される核酸配列の領域である制御配列のことである。それは、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子のような、調節タンパク質および分子が結合しうる遺伝子要素を含んでもよい。「機能的に配置された」、「機能的に連結された」、「制御下の」および「転写制御下の」という語句は、プロモーターが、その配列の転写開始および/または発現を制御するために核酸配列との関連で正しい機能的な位置および/または方向にあることを意味する。プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関わるシス作用性の調節配列をいう「エンハンサー」とともに用いられてもよく、そうでなくてもよい。
プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエクソンの上流に位置する5'非コード配列を単離することによって得ることができるような、遺伝子または配列に生来付随しているものであってもよい。このようなプロモーターは「内因性」ということができる。同様に、エンハンサーは、核酸配列に生来付随し、その配列の下流または上流に位置するものであってもよい。あるいは、コード核酸セグメントを、天然の環境にある核酸配列に通常は付随していないプロモーターをいう、組換えまたは異種プロモーターの制御下に配置することで、ある種の利点が得られる。組換えまたは異種エンハンサーとは同様に、天然の環境にある核酸配列に通常は付随していないエンハンサーをいう。このようなプロモーターまたはエンハンサーには、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、およびその他任意の原核細胞、ウイルスまたは真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、ならびに「天然に存在する」のではない、すなわち、異なる転写調節領域の異なる要素および/または発現を変化させる突然変異を含む、プロモーターまたはエンハンサーを含めることができる。
当然ながら、発現用に選択した細胞型、細胞小器官および生物において核酸セグメントの発現を効果的に指令するプロモーターおよび/またはエンハンサーを利用することが重要であろう。分子生物学の当業者は一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサーおよび細胞型の組み合わせの使用を承知しており、例えば、参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al. (1989)を参照されたい。利用されるプロモーターは、構成性、組織特異性、誘導性、および/または導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指令するのに適した条件の下で有用であることができる。プロモーターは異種性または外因性であってよく、例えば、MEKコード配列に対して非MEKプロモーターであってよい。いくつかの例では、原核生物プロモーターは所望の配列のインビトロでの転写で用いるために利用される。多くの市販の系で用いるための原核生物プロモーターには、T7、T3およびSp6が含まれる。
2. 開始シグナルおよび内部リボソーム結合部位
特異的な開始シグナルも、コード配列の効率的な翻訳には必要とされうる。これらのシグナルはATG開始コドンまたは隣接配列を含む。ATG開始コドンを含めて、外因性の翻訳制御シグナルが提供される必要がありうる。当業者であれば容易に、これを判定することおよび必要なシグナルを提供することができよう。開始コドンが、挿入断片全体の翻訳を確実とするために所望のコード配列の読み枠と「インフレーム」でなければならないことは周知である。外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然または合成のいずれであってもよい。発現の効率は適切な転写エンハンサー要素の包含によって増強されうる。本発明のある種の態様において、内部リボソーム侵入部位(IRES)要素を用いて、多重遺伝子、またはポリシストロン性の伝達暗号を作出する。
3. マルチクローニング部位
ベクターは、複数の制限酵素部位を含んだ核酸領域であるマルチクローニング部位(MCS)を含むことができ、それらの部位のいずれかを標準的な組換え技術とともに用いて、ベクターを消化することができる(例えば、参照により本明細書に組み入れられるCarbonelli et al., 1999、Levenson et al., 1998およびCocea, 1997を参照のこと)。「制限酵素消化」とは、核酸分子中の特定の位置でのみ機能する酵素での核酸分子の触媒的切断をいう。これらの制限酵素の多くが市販されている。このような酵素の使用は、当業者によって広範に理解されている。ベクターは、MCS内で切断を行う制限酵素を用いて線状化または断片化され、外因性配列がベクターにライゲーションされるのを可能にすることが多い。「ライゲーション」とは、二つの核酸断片間でホスホジエステル結合を形成する過程をいい、これらの断片は互いに連続していてもよく、そうでなくてもよい。制限酵素およびライゲーション反応を伴う技術は、組換え技術の分野の当業者には周知である。
4. スプライシング部位
大部分の転写された真核生物RNA分子は、RNAスプライシングを受けて、一次転写産物からイントロンを除去する。真核生物ゲノム配列を含むベクターは、タンパク質発現に向けて転写産物の適切なプロセッシングを確実とするようにドナーおよび/またはアクセプタ・スプライシング部位を要することがある(例えば、参照により本明細書に組み入れられるChandler et al., 1997を参照のこと)。
5. 終結シグナル
本発明のベクターまたは構築体は、一般的に、少なくとも一つの終結シグナルを含む。「終結シグナル」または「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写産物の特異的終結に関与するDNA配列から構成される。従って、ある種の態様において、RNA転写産物の産生を終わらせる終結シグナルが企図される。ターミネーターは、望ましい伝達暗号のレベルを達成するためにインビボで必要とされうる。
6. ポリアデニル化シグナル
発現、特に真核生物発現の場合、典型的には、転写産物の適切なポリアデニル化をもたらすためのポリアデニル化シグナルが含まれる。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の首尾よい実践のためには決定的であると考えられるわけではなく、および/または任意のこのような配列が利用されてもよい。好ましい態様では、様々な標的細胞において十分に機能するために便利なおよび/または十分に機能することが公知の、SV40ポリアデニル化シグナルおよび/またはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含む。ポリアデニル化は転写産物の安定性を高めることができ、または細胞質輸送を容易にしうる。
7. 複製起点
宿主細胞中でベクターを増殖させるために、これは一つまたは複数の複製部位の起点(しばしば「ori」と呼ばれる)を含んでもよく、これは、複製が開始される特定の核酸配列である。あるいは、宿主細胞が酵母なら、自己複製配列(ARS)が利用されてもよい。
8. 選択可能なおよびスクリーニング可能なマーカー
本発明のある種の態様において、本発明の核酸構築体を含む細胞は、発現ベクターの中にマーカーを含めることにより、インビトロまたはインビボで特定することができる。このようなマーカーは、細胞に特定可能な変化を与え、発現ベクターを含む細胞の容易な特定を可能にする。一般的に、選択可能なマーカーは、選択を可能にする特性を与えるものである。陽性の選択可能なマーカーは、マーカーの存在がその選択を可能にするものであるのに対し、陰性の選択可能なマーカーは、その存在がその選択を阻止するものである。陽性の選択可能なマーカーの例は、薬物耐性マーカーである。
通常、薬物選択マーカーを含めることは形質転換体のクローニングおよび同定において補助となり、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン、およびヒスチジノールに対する耐性を与える遺伝子が有用な選択可能なマーカーである。実施条件に基づいて形質転換体の識別を可能にする表現型を与えるマーカーに加えて、基礎が比色定量分析である、GFPなどのスクリーニング可能なマーカーを含む他の種類のマーカーも企図される。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などのスクリーニング可能な酵素が利用されてもよい。当業者であれば、おそらくFACS分析とともに、免疫学的マーカーをいかにして利用するかも承知しているであろう。使用されるマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現されうる限り重要であるとは考えられない。選択可能なおよびスクリーニング可能なマーカーのさらなる例は、当業者に周知である。
9. 宿主細胞
本明細書において用いられる場合、「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」という用語は、互換的に用いることができる。変異型または野生型のいずれかの、MEKポリヌクレオチドを含む細胞を、本発明において利用することができる。これらの用語は全て、ありとあらゆる後続の世代をいうその子孫も含む。全ての子孫は、意図的なまたは不注意な突然変異に起因して、同一でなくてもよいことを理解されたい。異種核酸配列の発現との関連で、「宿主細胞」とは、原核細胞または真核細胞をいい、かつこれは、ベクターを複製可能であり、および/またはベクターによってコードされる異種遺伝子を発現可能である形質転換可能な任意の生物を含む。宿主細胞はベクターのレシピエントとして用いることができ、用いられている。宿主細胞は「トランスフェクトされ」または「形質転換され」ることができるが、これらは、外因性核酸が宿主細胞中に移入されまたは導入される過程をいう。形質転換された細胞は、初代の対象の細胞およびその子孫を含む。「組換え宿主細胞」とは、組換え核酸、すなわちインビトロで操作された核酸、またはそのように操作された核酸の複製コピーである核酸を保有する宿主細胞をいう。
宿主細胞は、所望の結果がベクターの複製、ベクターにコードされた核酸配列の一部もしくは全部の発現、または感染性ウイルス粒子の産生であるかどうかに応じて、原核生物または真核生物に由来することができる。多数の細胞株および培養物が宿主細胞用として利用可能であり、これらは、生きている培養物および遺伝子物質の保管場所としての機能を果たす組織であるアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection; ATCC)を通じて入手することができる。当業者はベクターのバックボーンおよび所望の結果に基づき適切な宿主を判定することができる。例えば、プラスミドまたはコスミドを、多くのベクターの複製のため原核生物宿主細胞に導入することができる。ベクター複製および/または発現のために宿主細胞として使用される細菌細胞には、DH5α、JM109およびKC8、ならびにSURE(商標)コンピテント細胞およびSolopack(商標) Gold Cells (Strategene(登録商標), La Jolla)のような、いくつかの市販の細菌宿主が含まれる。あるいは、大腸菌 LE392などの細菌細胞を、ファージウイルスのための宿主細胞として用いることもできる。
本発明の好ましい真核生物宿主細胞は、MEKポリペプチド、例えば、本発明の変異体MEKポリペプチドをコードする発現ベクターで形質転換されている黒色腫細胞株A375である。
10. 発現系
上記の組成物の少なくとも一部または全部を含む多数の発現系が存在する。原核生物および/または真核生物に基づく系を本発明で用いるために利用して、MEK核酸配列、またはその同族のポリペプチド、タンパク質およびペプチドを産生することができる。多くのこのような系が市販されており、広範に利用可能である。
昆虫細胞/バキュロウイルス系は、ともに参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,871,986号、同第4,879,236号に記述されているような、異種核酸セグメントの高レベルのタンパク質発現をもたらすことができ、これは、例えば、Invitrogen(商標)からMaxBac(商標) 2.0の名でおよびClontech(商標)からBacPack(商標) Baculovirus Expression Systemの名で購入することができる。
他の発現系の例には、合成エクダイソン誘導性受容体を含む、StratageneのComplete Control(商標) Inducible Mammalian Expression System、またはそのpET Expression System、つまり大腸菌発現系が含まれる。誘導性発現系の別の例はInvitrogenから入手可能であり、これには、全長CMVプロモーターを用いる誘導性哺乳類発現系であるT-Rex(商標) (テトラサイクリン調節発現)系が含まれる。Clontech(商標)のTet-On(商標)およびTet-Off(商標)系を用い、テトラサイクリンまたはその誘導体を使って哺乳類宿主で発現を調節することができる。これらの系の実施はGossen et al., 1992およびGossen et al., 1995ならびに米国特許第5,650,298号に記述されており、これらの全てが参照により組み入れられる。
Invitrogenはまた、ピキアメタノリカ(Pichia methanolica) Expression Systemと呼ばれる酵母発現系を提供しており、これは、メチロトローフ酵母ピキアメタノリカにおける組換えタンパク質の高レベル産生用にデザインされている。当業者であれば、核酸配列またはその同族のポリペプチド、タンパク質もしくはペプチドを産生するために、発現構築体のような、ベクターをいかにして発現させるかを承知しているであろう。
VI. 単離されたポリペプチド分子
本発明の別の局面は、単離されおよび/または精製されたMEKタンパク質、ならびに生物学的に活性なその部分に関する。本発明の特定の局面において、本明細書において記述されるMEKポリペプチドは、MEK阻害剤に対する耐性を与える一つまたは複数の突然変異を含む。本明細書において言及される「変異体MEKポリペプチド」は、一つまたは複数の公知のMEK阻害剤に対する耐性を与える一つまたは複数の突然変異を含んだMEKポリペプチドを含む。
「単離された」または「精製された」タンパク質または生物学的に活性なその部分は、組換えDNA技術によって産生される場合には細胞物質を実質的に含まないか、または化学的に合成される場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。「細胞物質を実質的に含まない」という言葉遣いは、タンパク質が、天然にまたは組換えにより産生される細胞の細胞成分から分離されている、MEKタンパク質の調製物を含む。一つの態様において、「細胞物質を実質的に含まない」という言葉遣いは、約30% (乾燥重量で)未満の非MEKタンパク質(本明細書では「夾雑タンパク質」ともいわれる)、より好ましくは約20%未満の非MEKタンパク質、なおより好ましくは約10%未満の非MEKタンパク質、および最も好ましくは約5%未満の非MEKタンパク質を有するMEKタンパク質の調製物を含む。MEKタンパク質または生物学的に活性なその部分が組換えにより産生される場合、これはまた、好ましくは、培地を実質的に含まない、すなわち、培地は、タンパク質調製物の量が約20%未満、より好ましくは約10%未満、および最も好ましくは約5%未満に当たる。「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」という言葉遣いは、タンパク質の合成に関わる化学的前駆体または他の化学物質からタンパク質が分離されているMEKタンパク質の調製物を含む。一つの態様において、「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」という言葉遣いは、約30% (乾燥重量で)未満の化学的前駆体または非MEK化学物質、より好ましくは約20%未満の化学的前駆体または非MEK化学物質、なおより好ましくは約10%未満の化学的前駆体または非MEK化学物質、および最も好ましくは約5%未満の化学的前駆体または非MEK化学物質を有するMEKタンパク質の調製物を含む。
MEKタンパク質の生物学的に活性な部分には、全長MEKタンパク質またはMEKタンパク質に相同な全長タンパク質よりも少ないアミノ酸を含み、かつMEKタンパク質の少なくとも一つの活性を示す、MEKタンパク質のアミノ酸配列、例えば、SEQ ID NO:2および4に示されるアミノ酸配列、またはMEKタンパク質に相同なタンパク質のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含むペプチドが含まれる。典型的には、生物学的に活性な部分(ペプチド、例えば、長さが5、10、15、20、30、35、36、37、38、39、40、50、100またはそれ以上のアミノ酸であるペプチド)は、MEKタンパク質の少なくとも一つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。さらに、タンパク質の他の領域が欠失されている、他の生物学的に活性な部分を組換え技術によって調製し、本明細書において記述される活性の一つまたは複数について評価してもよい。好ましくは、MEKタンパク質の生物学的に活性な部分は、生物活性を有する一つまたは複数の選択されたドメイン/モチーフまたはその部分を含む。好ましい態様において、MEKタンパク質の生物学的に活性な部分は、野生型MEK配列に対して一つまたは複数の突然変異を含み、該一つまたは複数の突然変異は、全長変異体MEKポリペプチドの中に存在する場合に、既知のMEK阻害剤に対する変異体MEKポリペプチドの耐性を与える。例示的な態様において、突然変異は野生型MEK1タンパク質における以下の位置: 67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328Gおよび399Hの一つもしくは複数に対応するアミノ酸の位置で; または野生型MEK2タンパク質における以下の位置: 71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316Mおよび336Gの一つもしくは複数において生じる。他の態様において、突然変異は野生型MEK1タンパク質における以下の位置: 56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pおよび368Eの一つもしくは複数に対応するアミノ酸の位置で; または野生型MEK2タンパク質における以下の位置: 60Q、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pおよび376Eの一つもしくは複数において生じる。関連する態様において、突然変異は以下のMEK1残基: 67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>Lおよび399H>Dの一つもしくは複数; または以下のMEK2残基: 71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>Lおよび336G>Rの一つもしくは複数を含む。別の態様において、突然変異は以下のMEK1残基: 56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>Kの一つもしくは複数; または以下のMEK2残基: 60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>L、376E>Kの一つもしくは複数を含む。
MEKタンパク質は組換えDNA技術によって産生されることが好ましい。例えば、タンパク質をコードする核酸分子を(上記のように)発現ベクターにクローニングし、発現ベクターを(上記のように)宿主細胞に導入し、MEKタンパク質を宿主細胞中で発現させる。MEKタンパク質を次に、標準的なタンパク質精製技術を用いて適切な精製スキームにより細胞から単離することができる。組換え発現に代えて、MEKタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを標準的なペプチド合成技術を用いて化学的に合成することができる。さらに、天然MEKタンパク質および/または変異体MEKタンパク質を細胞(例えば、がん細胞)から、例えば、本発明のMEKタンパク質またはその断片を利用して標準的な技術により産生できる抗MEK抗体を用いて単離することができる。
本発明はまた、MEKキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本明細書において用いられる場合、MEK「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」とは、非MEKポリペプチドに機能的に連結されたMEKポリペプチドを含む。「MEKポリペプチド」とは、MEKタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいうのに対し、「非MEKポリペプチド」とは、MEK活性を示さない、かつ同じまたは異なる生物に由来する、MEKタンパク質に実質的に相同でないタンパク質、例えば、MEKタンパク質とは実質的に異なるタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。融合タンパク質の範囲内で、「機能的に連結された」という用語は、MEKポリペプチドおよび非MEKポリペプチドが互いにインフレームで融合されることを示すように意図される。非MEKポリペプチドをMEKポリペプチドのN末端またはC末端に融合させることができる。例えば、一つの態様において、融合タンパク質は、MEK配列がGST配列のC末端に融合されているGST-MEK融合タンパク質である。このような融合タンパク質は組換えMEKタンパク質の精製を容易にすることができる。別の態様において、融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル配列を含むMEKタンパク質である。ある種の宿主細胞(例えば、哺乳類宿主細胞)では、異種シグナル配列の使用を通じてMEKタンパク質の発現および/または分泌を高めることができる。
好ましくは、本発明のMEKキメラタンパク質または融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術によって産生される。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNA断片は、従来の技術に従ってって、例えば、ライゲーション用の平滑末端または突出末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じて付着末端のフィルイン、望ましくない接合を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的なライゲーションを利用することによって、インフレームで互いにライゲーションされる。別の態様において、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来の技術によって合成することができる。あるいは、二つの連続的な遺伝子断片間の相補的な突出をもたらすアンカープライマーを用いて遺伝子断片のPCR増幅を行うこともでき、これを引き続きアニールさせ再増幅させてキメラ遺伝子配列を作出することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, eds. Ausubel et al. John Wiley & Sons: 1992を参照のこと)。さらに、融合部分(例えば、GSTポリペプチド)をすでにコードしている多くの発現ベクターが市販されている。MEKコード核酸は、融合部分がMEKタンパク質にインフレームで連結されるように、このような発現ベクターにクローニングすることができる。
好ましい態様において、本発明の単離されたMEKポリペプチドは、野生型MEKポリペプチド配列に対して一つまたは複数の突然変異(例えば、置換または欠失)を含む。一つの態様において、変異体MEKポリペプチドは、ヒト野生型MEKポリペプチド配列(SEQ ID NO:2)に対して一つまたは複数の突然変異を含む。特に好ましい態様において、一つまたは複数の突然変異はMEK阻害剤に対する耐性を与える。例示的な態様において、MEK阻害剤はCI-1040である。本発明の変異体MEKタンパク質は、野生型MEKタンパク質に特徴的な生物活性を示す。このような生物活性は、例えば、ERK1/2のリン酸化を含むことができる。本発明の例示的な変異体MEKポリペプチドとしては野生型ヒトMEK1ポリペプチドに対して以下のアミノ酸残基: 67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328Gおよび399Hの一つもしくは複数の位置に、または野生型ヒトMEK2ポリペプチドに対して以下のアミノ酸残基: 71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316Mおよび336Gの一つもしくは複数の位置に突然変異を含むMEKポリペプチドが挙げられる。別の態様において、本発明の例示的な変異体MEKポリペプチドとしては野生型ヒトMEK1ポリペプチドに対して以下のアミノ酸残基: 56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pおよび368Eの一つもしくは複数の位置に、または野生型ヒトMEK2ポリペプチドに対して以下のアミノ酸残基: 60Q、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pおよび376Eの一つもしくは複数の位置に突然変異を含むMEKポリペプチドが挙げられる。本発明の例示的な変異体MEKポリペプチドとしてはまた、野生型ヒトMEK1タンパク質に対して以下のアミノ酸置換: 67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>Lおよび399H>D; または野生型MEK2タンパク質に対して以下のアミノ酸置換: 71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>Lおよび336G>Rの一つまたは複数を含むMEKポリペプチドが挙げられる。別の態様において、本発明の例示的な変異体MEKポリペプチドとしてはまた、野生型ヒトMEK1タンパク質に対して以下のアミノ酸置換: 56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>K; または野生型MEK2タンパク質に対して以下のアミノ酸置換: 60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>L、376E>Kの一つまたは複数を含むMEKポリペプチドが挙げられる。
変異体MEKタンパク質は野生型MEKタンパク質の、または野生型MEKタンパク質をコードする核酸分子の突然変異誘発によって作出することができる。変異体MEKタンパク質はまた、所望の活性、例えば、MEK阻害剤に対する耐性を有する変異体MEKタンパク質を求めてMEK変異体のコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって特定することができる。点突然変異またはトランケーションによって作出されたコンビナトリアルライブラリの遺伝子産物をスクリーニングするための、および選択された特性を有する遺伝子産物を求めてcDNAライブラリをスクリーニングするためのいくつかの技術が当技術分野において公知である。このような技術は、コンビナトリアル突然変異誘発によって作出された遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに適合可能である。大規模の遺伝子ライブラリをスクリーニングするための、高速大量処理分析に従順な、最も広く使われている技術には、典型的には、遺伝子ライブラリを複製可能な発現ベクターにクローニングする段階、得られたベクターのライブラリで適切な細胞を形質転換する段階、および所望の活性の検出によって、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離が容易になる条件の下でコンビナトリアル遺伝子を発現させる段階が含まれる。
VIII. 突然変異の検出
別の局面において、本発明は、試料(例えば、がん患者由来の生体試料)における変異体MEKタンパク質の存在を検出する方法に関する。種々のスクリーニング方法を用いて、試料、例えば、核酸および/またはポリペプチド試料における本発明の変異体MEKタンパク質の存在を検出することができる。具体的な態様において、試料は細胞または細胞抽出物を含む。例示的な態様において、試料は対象、例えば、がんを有する対象から得られる。
MEKタンパク質、または生物学的に活性なその部分をコードする配列を含んだゲノムDNA、cDNAおよびRNA (すなわち、mRNA)における耐性突然変異の存在を検出するための方法を、本発明の範囲内で用いることができる。同様に、MEKポリペプチド、または生物学的に活性なその部分における耐性突然変異の存在を検出するための方法を、本発明の範囲内で用いることができる。特定の態様において、限定するものではないが、以下を含む方法を用いて、以下のアミノ酸残基: 67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328G、399H、56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pおよび368Eの一つもしくは複数の位置に突然変異を有する、MEK1ポリペプチド、もしくはMEK1ポリペプチドをコードする核酸分子の存在を検出することができ; または以下のアミノ酸残基: 71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316M、336G、60Q、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pおよび376Eの一つもしくは複数の位置に突然変異を有する、MEK2ポリペプチド、もしくはMEK2ポリペプチドをコードする核酸分子の存在を検出することができる。例示的な態様において、限定するものではないが、以下を含む方法を用いて、以下の突然変異: 67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>L、399H>D、56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>Kの一つもしくは複数を有する、MEK1ポリペプチド、もしくはMEK1ポリペプチドをコードする核酸分子の存在を検出することができ; または以下の突然変異: 71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>L、336G>R、60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>Lおよび376E>Kの一つもしくは複数を有する、MEK2ポリペプチド、もしくはMEK2ポリペプチドをコードする核酸分子の存在を検出することができる。
例えば、変性剤濃度勾配電気泳動法(「DGGE」)、制限断片長多型解析(「RFLP」)、化学的もしくは酵素的切断法、PCRにより増幅された標的領域の直接配列決定(上記参照)、一本鎖高次構造多型解析(「SSCP」)、ポリメラーゼ連鎖反応、配列決定、ハイブリダイゼーション、またはピロ配列決定もしくは単分子配列決定に先立つ「ハイブリッド捕捉」を含む、当技術分野において公知の任意の適当な方法を用いて点突然変異を検出することができる。点突然変異のスクリーニング方法の一つは、RNA/DNAまたはRNA/RNAヘテロ二重鎖中の塩基対ミスマッチのRNase切断に基づく。本明細書において用いられる「ミスマッチ」という用語は、二本鎖RNA/RNA、RNA/DNAまたはDNA/DNA分子中の一つまたは複数の不対合または誤対合ヌクレオチドの領域と定義される。この定義はしたがって、挿入/欠失突然変異、および単一または複数の塩基点突然変異によるミスマッチを含む。米国特許第4,946,773号は、一本鎖DNAまたはRNA試験試料をRNAプローブにアニーリングさせる段階と、その後RNase Aを用いて核酸二重鎖を処理する段階とを含む、RNase Aミスマッチ切断アッセイ法について記述している。ミスマッチの検出のため、サイズに従ってって電気泳動的に分離されたRNase A処理の一本鎖産物を、同様に処理された対照の二重鎖と比較する。対照の二重鎖には見られない、より小さな断片(切断産物)を含む試料を陽性と記録する。
その他の研究者らは、ミスマッチアッセイ法でのRNase Iの使用について記述している。例えば、Promega は、四つのうち三つの公知のミスマッチを切断すると報告されているRNase Iを含むキットを市販している。他者らは、単一塩基ミスマッチの検出のためMutSタンパク質またはその他のDNA修復酵素を使用することについて記述している。
本発明の実践に際して使用できる欠失、挿入または置換変異の検出のための代替法は米国特許第5,849,483号、同第5,851,770号、同第5,866,337号、同第5,925,525号および同第5,928,870号に開示されており、これらの文献の各々はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
スクリーニング方法を行って、上記の突然変異の発生について個体をスクリーニングすることができる。例えば、一つの態様において、試料(血液もしくは他の体液または細胞もしくは組織試料のような)を分析のために患者から採取する。例示的な態様において、患者はがん患者である。MEK核酸またはMEKポリペプチドにおける突然変異の検出のためこのような試料を処理するのに適した方法は、当技術分野において公知であり、当業者は選択の検出方法に従ってってこのような試料の処理を適合することができる。例えば、MEKポリペプチドをコードする核酸における突然変異の存在を検出する場合、突然変異を検出するために用いられる試薬(例えば、核酸プローブ、プライマーなど)に試料中の核酸物質が接近可能であるように、生体試料(例えば、細胞試料または組織試料)を処理することができる。従って、ある種の態様において、生体試料中の核酸物質は試料内の細胞から抽出される。本明細書において用いられる核酸物質の「抽出」とは、検出のために用いられる試薬による接触に対して生体試料中の核酸物質を近づけるようにさせる過程をいう。例えば、細胞試料において、核酸物質(例えば、MEKポリペプチドをコードするmRNA、MEKポリペプチドをコードするDNAなど)は細胞膜の内部に位置しており、それを、試料に添加された検出試薬に近づけなくしている。従って、細胞膜の完全性を破壊することによる核酸物質の抽出が一般に利用される。細胞から核酸物質を抽出する例示的な手段は、当技術分野において公知であり、機械的破砕(例えば、超音波処理、加圧型細胞破壊、ボルテックス処理、ダウンス型ホモジナイゼーションなど)、および/または界面活性剤を介した破砕(例えば、Triton-X-100、CHAPS、SDSなどのような界面活性剤を含有する溶解緩衝液中での破砕)を含むが、これらに限定されることはない。検出の方法に依って、核酸物質は抽出の間にまたは後に試料の他の成分から単離されてもよく、そうでなくてもよい。例えば、MEKポリペプチドをコードする核酸分子のPCR増幅を利用する検出方法の場合、細胞から抽出された核酸物質をさらなる単離なしに(例えば、粗細胞溶解物の成分として)使用することができる。一つの態様において、生体試料をフィルタ紙上に単離し、これを次に、MEKポリペプチドをコードする核酸分子のPCR増幅の前に標準的な抽出技術を用いて処理することができる。このようなフィルタ紙は、細胞を溶解する化学試薬を含むことができ、核酸物質を安定化かつ保護する試薬をさらに含むことができる(例えば、Whatman FTA(商標), GE Healthcare)。MEK核酸分子のPCR増幅は、他の細胞成分からの単離なしに、フィルタ紙上に貯蔵された試料から行うことができる。他の態様において、核酸物質は、例えば、Sambrook, Fritsch and Maniatis, Molecular Cloning: Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)により、およびCurrent Protocols in Molecular Biology, eds. Ausubel et al, John Wiley & Sons (1992)により記述されているものを含む、当技術分野において公知の技術を用いて試料中の他の非核酸成分から単離されてもよい。その中に記述されているように、アッセイされる核酸物質(例えば、DNAまたはRNA)の種類に依って、抽出および/または単離の方法の修正が使われてもよい。MEKポリペプチドにおける突然変異を検出する方法ではまた、生体試料からのポリペプチドの抽出および/または単離を利用することもできる。生体試料からポリペプチドを抽出するおよび/または単離するのに適した技術は、当技術分野において周知であり、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, eds. Ausubel et al, John Wiley & Sons (1992)にさらに記述されている。
本明細書において記述される一つまたは複数の突然変異の有無によって、スクリーニングされている個体が第一世代MEK阻害剤による治療に抵抗する能力が判定される。本発明によって提供される方法によれば、これらの結果を用いて、第一世代MEK阻害剤の用量を調整および/もしくは変更するか、または第二世代MEK阻害剤による処置過程を選択する。がんを有する対象の効果的な処置は、がん細胞の根絶、がん(固形腫瘍などの)成長速度の停止もしくは低減、または少なくとも一つのがん症状の改善を含むことができる。
MEKポリペプチドにおける、またはMEKポリペプチドをコードする核酸分子における耐性突然変異は、以下に記述される方法を含め、当技術分野において公知の任意の適当な方法、またはその変法を用いて検出することができる。このような方法は、対立遺伝子特異的なポリメラーゼ連鎖反応、直接的もしくは間接的な部位配列決定の使用、部位の各対立遺伝子が制限部位を作出もしくは破壊する制限酵素の使用、対立遺伝子特異的なハイブリダイゼーションプローブの使用、変異体MEKポリペプチドに特異的な抗体の使用、またはその他任意の生化学的解釈を含む。
1. DNA配列決定
突然変異を特徴づけるのに最もよく用いられる方法は、多型の側方に位置し、かつ多型を含む遺伝子座の直接的なDNA配列決定である。このような分析は「サンガー法」(Sanger, F., et al., 1975)としても知られる「ダイデオキシ媒介連鎖終結法(dideoxy-mediated chain termination method)」、または「マクサム-ギルバート法」(Maxam, A. M., et al., 1977)としても知られる「化学的分解法」のいずれかを用いて行うことができる。配列決定とポリメラーゼ連鎖反応などのゲノム配列特異的な増幅技術との組み合わせを利用して、所望の遺伝子の回収を容易にすることができ(Mullis, K. et al., 1986; 欧州特許出願第50,424号; 欧州特許出願第84,796号、欧州特許出願第258,017号、欧州特許出願第237,362号; 欧州特許出願第201,184号; 米国特許第4,683,202号; 同第4,582,788号; および同第4,683,194号)、これらの全てが参照により本明細書に組み入れられる。プールした試料の配列決定を、Solexa/Illumina配列決定(Illumina(登録商標), San Diego, CA)、ピロ配列決定または他の単分子配列決定法を用いて行うこともできる。一つの態様において、MEK遺伝子における突然変異は、対象から得られた試料中に存在するMEK対立遺伝子をクローニングかつ配列決定することによって検出することができる。必要に応じて、MEK mRNAを直接的に配列決定することができ、またはポリメラーゼ連鎖反応技術(「PCR」)を用いてMEK DNAまたはmRNAを増幅し、コード化DNA (「cDNA」)を産生することができ、得られたcDNAを配列決定することができる。PCRを用いてMEK対立遺伝子の領域を選択的に増幅することもできる。MEK核酸における一つまたは複数の突然変異を検出するために使用できる技術は、Sambrook, Fritsch and Maniatis, Molecular Cloning: Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989); Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., eds., John Wiley & Sons (1992); PCR Protocols, Current Methods and Applications, White, B. A., ed., Humana Press Inc. (1993), PCR Sequencing Protocols, Rapley R. et al., eds., Humana Press Inc. (1996)に記述されているものを含むが、これらに限定されることはない。
2. エキソヌクレアーゼ耐性
突然変異部位に存在するヌクレオチドの実体を決定するために利用できる他の方法では、特化したエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導体を用いる(米国特許第4,656,127号)。多型部位のすぐ3'側の対立遺伝子配列に相補的なプライマーを研究中のDNAとハイブリダイズさせる。DNA上の多型部位が、存在する特定のエキソヌクレオチド耐性ヌクレオチド誘導体に相補的なヌクレオチドを含むなら、その誘導体は、ハイブリダイズされたプライマーの末端にポリメラーゼによって組み込まれると考えられる。そのような組み込みは、そのプライマーをエキソヌクレアーゼ切断に対して耐性にし、それによってその検出を可能にする。エキソヌクレオチド耐性誘導体の実体は分かっているため、そのDNAの多型部位に存在する特異的なヌクレオチドを決定することができる。
3. ミクロ配列決定法
DNA中の突然変異部位をアッセイするための、プライマーによって導かれるヌクレオチド組み込み法が、他にいくつか記述されている(Komher, J. S. et al., 1989; Sokolov, B. P., 1990; Syvanen 1990; Kuppuswamy et al., 1991; Prezant et al., 1992; Ugozzoll, L. et al., 1992; Nyren et al., 1993)。これらの方法は、突然変異部位の塩基を識別するために、標識されたデオキシヌクレオチドの組み込みに依存している。シグナルは組み込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するため、同じヌクレオチドの連続物(run)に存在する突然変異は、連続物の長さに比例したシグナルを生じる(Syvanen et al., 1993)。
4. 溶液中での伸長
仏国特許第2,650,840号およびPCT出願第WO91/02087号では突然変異部位のヌクレオチドの実体を決定するための溶液に基づく方法を考察している。これらの方法によれば、多型部位のすぐ3'側の対立遺伝子配列に相補的なプライマーが用いられる。その部位のヌクレオチドの実体は、多型部位のヌクレオチドに相補的な場合にプライマーの末端に組み込まれる標識ジデオキシヌクレオチド誘導体を用いて決定される。
5. 遺伝子ビット(Genetic Bit(商標))分析または固相伸長
PCT出願第WO92/15712号には、標識されたターミネーターおよび多型部位の3'側の配列に相補的なプライマーの混合物を用いる方法が記述されている。組み込まれる標識されたターミネーターは、評価される標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドに相補的であり、従って特定される。この場合には、プライマーまたは標的分子は固相に固定化されている。
6. オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ法(OLA)
オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ法は、上記のものとは異なる方法を用いる固相法である(Landegren et al., 1988)。標的DNAの一本鎖の隣接配列とハイブリダイズしうる二つのオリゴヌクレオチドが用いられる。これらのオリゴヌクレオチドの一方はビオチン化され、もう一方は検出可能なように標識される。標的分子中に正確に相補的な配列が認められる場合には、これらのオリゴヌクレオチドは、それらの末端が隣接してライゲーション基質を作り出すようにハイブリダイズすると考えられる。ライゲーションは、アビジンを用いることによる標識オリゴヌクレオチドの回収を可能にする。PCRと組み合わせた、この方法を基にした他の核酸検出アッセイ法も記述されている(Nickerson et al., 1990)。この場合には、標的DNAの指数関数的増幅を実現するためにPCRを用い、続いてそれをOLAを用いて検出する。
7. リガーゼ/ポリメラーゼを介した遺伝子ビット分析
米国特許第5,952,174号には、標的分子に隣接する配列とハイブリダイズしうる二つのプライマーを同じく伴う方法が記述されている。標的が固定化された固形支持体上に、ハイブリダイズした産物が形成される。この場合、ハイブリダイゼーションは、プライマーが単一ヌクレオチドの間隔で互いに隔てられるように起こる。このハイブリダイズした産物を、ポリメラーゼ、リガーゼ、および少なくとも一種のデオキシヌクレオシド三リン酸を含むヌクレオシド三リン酸混合物の存在下でインキュベートすることにより、隣接するハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド対のライゲーションが可能になる。リガーゼの添加は、シグナルが生じるために必要な二つの事象である伸長およびライゲーションを生じさせる。これは伸長またはライゲーションのいずれかを単独で用いる方法よりも高い特異性および低い「ノイズ」をもたらし、かつ、ポリメラーゼに基づくアッセイ法とは異なり、この方法はシグナルを固相に結び付ける第二のハイブリダイゼーションおよびライゲーションの段階を兼ね備えることにより、ポリメラーゼ段階の特異性を増強する。
8. 核酸移入法
本発明のいくつかの方法のために、核酸移入法を利用することができる。本発明の組成物の発現を行うための核酸送達に適した方法は、本明細書において記述されるように、または当業者に公知であるように、核酸(例えば、ウイルスおよび非ウイルスベクターを含むDNA)を細胞小器官、細胞、組織または生物に導入できる実質的にいかなる方法も含むものと考えられる。このような方法は、微量注入(参照により本明細書に組み入れられるHarlan and Weintraub, 1985; 米国特許第5,789,215号)を含む、注入(各々が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号および同第5,580,859号)による; 電気穿孔(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,384,253号)による; リン酸カルシウム沈殿(Graham and Van Der Eb, 1973; Chen and Okayama, 1987; Rippe et al., 1990)による; DEAE-デキストランの後にポリエチレングリコールを用いることによる(Gopal, 1985); 直接超音波負荷(Fechheimer et al., 1987)による; リポソーム媒介トランスフェクション(Nicolau and Sene, 1982; Fraley et al, 1979; Nicolau et al, 1987; Wong et al, 1980; Kaneda et al., 1989; Kato et al., 1991)による; 微小発射物の衝突(各々が参照により本明細書に組み入れられるPCT出願第WO94/09699号および同第95/06128号; 米国特許第5,610,042号; 同第5,322,783号、同第5,563,055号、同第5,550,318号、同第5,538,877号、および同第5,538,880号)による; 炭化ケイ素繊維との攪拌(各々が参照により本明細書に組み入れられるKaeppler et al., 1990; 米国特許第5,302,523号および同第5,464,765号)による; アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換(各々が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,591,616号および同第5,563,055号)による; プロトプラストのPEG媒介形質転換(各々が参照により本明細書に組み入れられるOmirulleh et al., 1993; 米国特許第4,684,611号および同第4,952,500号)による; または乾燥/阻害媒介DNA取り込み(Potrykus et al., 1985)によるようなDNAの直接送達を含むが、これらに限定されることはない。これらのような技術の適用によって、細胞小器官、細胞、組織または生物は、安定的にまたは一過的に形質転換されうる。
9. 対立遺伝子特異的な抗体
本明細書において記述される一つまたは複数の耐性突然変異を有するMEK1またはMEK2ポリペプチドは、変異体MEK1またはMEK2ポリペプチドを特異的に認識するが、野生型MEK1またはMEK2ポリペプチドを認識しない抗体を用いて検出することができる。抗体は、一つまたは複数の耐性突然変異を有するMEK1またはMEK2ポリペプチドの一つまたは複数の対立遺伝子型に対して作製することができる。ペプチドまたはタンパク質のエピトープを特異的に認識する抗体を導出するために抗原として特異的なタンパク質またはオリゴペプチドを用いるための技術は、周知である。一つの態様において、標的遺伝子の所望の対立遺伝子型のDNA配列を適切な発現ベクターへの挿入によってクローニングし、原核生物または真核生物宿主細胞中でタンパク質に翻訳することができる。このタンパク質を回収し、抗原として用いて特異的抗体の産生を導出することができる。別の態様において、標的遺伝子の所望の対立遺伝子型のDNAはPCR技法により増幅され、その後、特異的抗体の産生を導出するための抗原として用いられるタンパク質にインビトロで翻訳される。第三の態様は、特異的抗体の産生を導出するための抗原として用いる対立遺伝子のアミノ酸配列に対応する合成ペプチドの作製の基礎として代替的対立遺伝子のDNA配列を用いることである。
抗体は標準的なモノクローナル抗体技術によって作製されてもよく、または組換えに基づく発現系を通じて作製されてもよい。一般的には、Abbas, Lichtman, and Pober, Cellular and Molecular Immunology, W. B. Saunders Co. (1991)を参照されたい。「抗体」という用語は、無傷の抗体分子、ならびに抗原に特異的に結合できる、FabおよびF(ab')2のような、抗体断片または誘導体を含むよう意図される。そのようにして産生された抗体は、この抗体を作出するために抗原として用いられた対立遺伝子型において産生される変異体タンパク質だけに選択的に結合するものと考えられる。対立遺伝子特異的な抗体を作製する方法も米国特許第6,200,754号および米国特許第6,054,273号に記述されており、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
変異体MEKポリペプチドに特異的なそのような抗体を用いて、試料、例えば、アッセイ試料、細胞試料、細胞抽出物、生体試料、または患者試料中の一つまたは複数の耐性突然変異を有するMEKポリペプチドの存在を、当技術分野において公知の技術により検出することができる。これらの技術は、例えば、ウエスタンブロット法、免疫組織化学法、間接免疫蛍光法および抗体マイクロアレイ法を含む。変異体MEKポリペプチドを特異的に認識する抗体も第二世代MEK阻害剤でありうる。変異体MEKポリペプチドを特異的に認識する抗体が変異体MEKポリペプチドの生物活性を阻害する能力は、第二世代MEK阻害剤を特定するために本明細書において記述されている方法を用いて判定することができる。
IX. 診断的およびスクリーニング的適用
上述の技術を用いて、患者から得られた試料における、MEK核酸またはポリペプチド分子中の先に特定された耐性突然変異の有無を判定することができる。患者試料における変異体MEK核酸またはポリペプチド分子の特定は、患者における疾患または状態を特徴づけるのに有用でありうる。例えば、MEKの異常な発現または活性化に関連する疾患(例えば、がん)を有する患者において、患者から得られた試料(例えば、がん細胞を含む試料)における変異体MEK核酸またはポリペプチド分子の特定により、患者はMEK阻害剤での処置に対して比較的高い再発のリスクまたは反応の欠如があることが示唆される。一つの態様において、患者から得られたがん細胞を含む試料での本明細書において記述される一つまたは複数の突然変異を含んだMEK核酸またはポリペプチド分子の特定により、患者は第一世代MEK阻害剤、例えば、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物Aまたは化合物Bでの処置に対して比較的高い再発のリスクまたは反応の欠如があることが示唆される。
本明細書において記述されるMEK耐性突然変異を有する患者は、MEK耐性突然変異を検出できない患者よりも第一世代MEK阻害剤での処置からの再発のリスクが高い。したがって、本明細書において記述される場合、「比較的高い再発のリスク」という用語は、変異体MEK核酸またはポリペプチド分子を検出できない患者に関連している。すなわち、「比較的高い再発のリスク」を有する患者は、変異体MEK核酸またはポリペプチド分子を検出できない患者と比べて再発のリスクがさらに大きい患者である。
ある種の態様において、以下の残基の一つまたは複数の位置に突然変異を有する、MEKポリペプチドまたはMEKポリペプチドをコードする核酸の特定によって、患者は第一世代MEK阻害剤、例えば、CI-1040での処置に対して比較的高い再発のリスクまたは反応の欠如があることが示唆される: MEK1中の67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328Gおよび399H; ならびにMEK2中の71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316Mおよび336G。他の態様において、以下の残基の一つまたは複数の位置に突然変異を有する、MEKポリペプチドまたはMEKポリペプチドをコードする核酸の特定によって、患者は第一世代MEK阻害剤、例えば、CI-1040での処置に対して比較的高い再発のリスクまたは反応の欠如があることが示唆される: MEK1中の56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pおよび368E; ならびにMEK2中の6OQ、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pおよび376E。例示的な態様において、以下の耐性突然変異の一つまたは複数を有する、MEKポリペプチドまたはMEKポリペプチドをコードする核酸の特定によって、患者はMEK阻害剤、例えば、CI-1040での処置に対して比較的高い再発のリスクまたは反応の欠如があることが示唆される: MEK1中の67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>Lおよび399H>D; ならびにMEK2中の71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>Lおよび336G>R。他の態様において、以下の耐性突然変異の一つまたは複数を有する、MEKポリペプチドまたはMEKポリペプチドをコードする核酸の特定によって、患者はMEK阻害剤、例えば、CI-1040での処置に対して比較的高い再発のリスクまたは反応の欠如があることが示唆される: MEK1中の56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>K; ならびにMEK2中の60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>Lおよび376E>K。
患者試料における変異体MEK核酸またはポリペプチド分子の有無を判定することで、患者に対して最適化された処置計画の選択、またはある種の処置群に対する患者の層別化も可能になる。一つの態様において、第一世代MEK阻害剤での処置を含む処置計画は、患者由来のがん細胞を含む試料が変異体MEK核酸またはポリペプチド分子を含まない患者に対して選択される。そのような患者は、第一世代MEK阻害剤を含む処置計画に層別化されうる。MEK阻害剤を標準的な投与量にて、標準的な投薬間隔でそのような患者に投与することができる。
別の態様において、MEK阻害剤およびRAF阻害剤での併用療法を含む処置計画は、患者由来のがん細胞を含む試料が変異体MEK核酸またはポリペプチド分子を含まない患者に対して選択される。そのような患者は、RAF阻害剤と組み合わせて、第一世代MEK阻害剤または第二世代MEK阻害剤を含む処置計画に層別化されうる。MEK阻害剤およびRAF阻害剤での併用療法を含む処置計画は、がんが変異体MEK分子を含まない患者におけるMEK耐性対立遺伝子の出現を有利に抑制する。
別の態様において、MEK阻害剤なしの処置を含む処置計画は、患者由来のがん細胞を含む試料が変異体MEK核酸またはポリペプチド分子、例えば、本明細書において記述される突然変異の一つまたは複数を含むMEK核酸またはポリペプチド分子を含む患者に対して選択される。そのような患者は、MEK阻害剤を含まない処置計画に層別化されうる。
別の態様において、第一世代MEK阻害剤の投与量の増強を伴う処置を含む処置計画は、患者由来のがん細胞を含む試料が変異体MEK核酸またはポリペプチド分子を含む患者に対して選択される。そのような患者は、第一世代MEK阻害剤の投与量の増強を含む処置計画に層別化されうる。上記の態様の例示的な局面において、第一世代MEK阻害剤はCI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物Aまたは化合物Bである。
代替的な態様において、患者から得られたがん細胞を含む試料における変異体MEK核酸またはポリペプチド分子の特定によって、患者は第二世代MEK阻害剤での処置に反応する可能性が高いことが示唆される。従って、一つの態様において、第二世代MEK阻害剤での処置含む処置計画は、患者由来のがん細胞を含む試料が変異体MEK核酸またはポリペプチド分子を含む患者に対して選択される。そのような患者は、第二世代MEK阻害剤を含む処置計画に層別化されうる。
上記の態様の特定の局面において、変異体MEKポリペプチドは、以下の残基: 67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328Gおよび399Hの一つまたは複数の位置に突然変異を有する変異体MEK1ポリペプチドである。別の態様において、変異体MEKポリペプチドは、以下の残基: 56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pおよび368Eの一つまたは複数の位置に突然変異を有する変異体MEK1ポリペプチドである。例示的な態様において、変異体MEK1ポリペプチドは、以下の突然変異: 67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>Lおよび399H>Dの一つまたは複数を有する。他の態様において、変異体MEK1ポリペプチドは、以下の突然変異: 56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>Kの一つまたは複数を有する。関連する態様において、変異体MEKポリペプチドは、以下の残基: 71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316Mおよび336Gの一つまたは複数の位置に突然変異を有する変異体MEK2ポリペプチドである。別の態様において、変異体MEKポリペプチドは、以下の残基: 60Q、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pおよび376Eの一つまたは複数の位置に突然変異を有する変異体MEK2ポリペプチドである。例示的な態様において、変異体MEK2ポリペプチドは、以下の突然変異: 71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>Lおよび336G>Rの一つまたは複数を有する。他の態様において、変異体MEK2ポリペプチドは、以下の突然変異: 60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>Lおよび376E>Kの一つまたは複数を有する。好ましい態様において、変異体MEK核酸分子は、上記のアミノ酸残基の一つまたは複数の位置に突然変異を含む変異体MEKポリペプチドをコードする。
X. 処置の方法
様々な態様において、本発明は、がんを有する対象を処置する方法を提供する。この方法は広くは、本明細書において記述されるように、MEK阻害剤、例えば、第二世代MEK阻害剤の投与を含む。例示的な態様において、対象は、一つまたは複数の突然変異、例えば、本明細書において記述される一つまたは複数の耐性突然変異を有するMEKポリペプチドを含んだがんを有する。関連する態様において、対象は、一つまたは複数の突然変異、例えば、本明細書において記述される一つまたは複数の耐性突然変異を有するMEKポリペプチドをコードする核酸分子を含んだがんを有する。「処置される」、「処置する」または「処置」という用語は、処置されている状態に関連する少なくとも一つの症状の縮減または軽減を含む。例えば、処置は障害の一つもしくはいくつかの症状の縮減またはがんなどの、障害の完全な根絶でありうる。
MEKにおける突然変異はいくつかの種類のがんで耐性を幅広く増強するので、本明細書において記述される方法および第二世代MEK阻害剤は、全ての固形腫瘍および血液悪性腫瘍を含む、広範囲の腫瘍を処置するうえで有用である。そのような腫瘍の例としては、白血病、リンパ腫、骨髄腫、がん腫、転移性がん、肉腫、腺腫、神経系のがんおよび泌尿生殖器がんが挙げられるが、これらに限定されることはない。例示的な態様において、上記の方法は、成人および小児急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質がん、エイズによるがん、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、骨肉腫、線維性組織球腫、脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小脳星細胞腫、悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視床下部膠腫、乳がん、男性乳がん、気管支腺腫、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原因不明のがん腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星細胞腫、悪性神経膠腫、子宮頸がん、小児がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸直腸がん、皮膚T細胞性リンパ腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、ユーイングファミリー腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼球内黒色腫、網膜芽腫、胆嚢がん、胃がん、消化管間質腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頚部がん、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視床下部および視経路神経膠腫、眼球内黒色腫、膵島細胞腫、カポジ肉腫、腎臓がん、胃細胞がん、咽頭がん、口唇がんおよび口腔がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、中枢神経系原発リンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞がん、悪性中皮腫、頚部扁平上皮がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄増殖性疾患、鼻腔がんおよび副鼻腔がん、鼻咽腔がん、神経芽細胞腫、口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体芽細胞腫およびテント上原始神経外胚葉腫瘍、下垂体がん、形質細胞腫、胸膜肺芽腫、前立腺がん、直腸がん、横紋筋肉腫、唾液腺がん、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、非黒色腫皮膚がん、小腸がん、扁平上皮がん、頚部扁平上皮がん、テント上原始神経外胚葉腫瘍、精巣がん、咽喉がん、胸腺腫および胸腺がん、甲状腺がん、移行上皮がん、絨毛性腫瘍、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ならびにウィルムス腫瘍を処置するうえで有用である。
いくつかの態様において、本発明の化合物(または組み合わせ)の薬学的組成物は、経口投与、直腸投与、または非経口注射による投与に適した単位剤形であってよい。例えば、経口剤形の組成物の調製では、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤および溶剤のような経口液体調製物の場合、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような、任意の通常の薬学的媒体を利用することができ; または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合、デンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を利用することができる。投与の容易さから、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口単位剤形に当たり、この場合、固体の薬学的担体が利用される。非経口組成物の場合、担体は通常、少なくとも主として、滅菌水を含むが、例えば、溶解性を促進するための他の成分を含めることができる。例えば、注射可能な溶液は、食塩溶液、グルコース溶液または食塩溶液およびグルコース溶液の混合液を含む担体を用いて調製される。注射可能な懸濁液を調製することもでき、この場合、適切な液体担体、懸濁化剤などを利用することができる。経皮投与に適した組成物の場合、担体は任意で浸透促進剤および/または適当な湿潤剤を含んでもよく、これらは、皮膚に著しい悪影響を引き起こさない、わずかな割合の、任意の性質の適当な添加物と組み合わせることができる。添加物は皮膚への投与を促進することができ、および/または所望の組成物を調製するのに有用であることができる。これらの組成物は様々な方法で、例えば、経皮貼布として、スポットオン(spot-on)として、軟膏剤として投与することができる。
投与の簡略化および投与量の均一化のために、本明細書において記述される薬学的組成物を単位投与剤形として製剤化することが特に好都合である。単位投与剤形とは、本明細書において用いられる場合、単一の投与量として適当な物理的に分離した単位であって、このそれぞれが必要とされる薬学的担体との関連で所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性成分を含有している単位をいう。このような単位投与剤形の例は、錠剤(分割錠またはコーティング錠を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末分包、オブラート、注射可能な溶液または懸濁液、茶さじ量、食さじ量など、およびそれらの区分けした複数の剤である。
一般に、治療上有効量の第一または第二の化合物は、約0.0001 mg/kg〜0.001 mg/kg体重、0.001 mg/kg〜約10 mg/kg体重または約0.02 mg/kg〜約5 mg/kg体重であるものと考えられる。いくつかの態様において、治療上有効量の第一または第二の化合物は約0.007 mg〜約0.07 mg、約0.07 mg〜約700 mgまたは約1.4 mg〜約350 mgである。また、予防的または治療的処置の方法は、1日当たり摂取1回〜5回の投与計画で組成物を投与する段階を含むことができる。
いくつかの態様において、第一の化合物または第二の化合物の治療上有効量は約0.01 mg/用量未満、または約0.5 mg/用量未満、または約1 mg/用量未満、または約2 mg/用量未満、または約5 mg/用量未満、または約10 mg/用量未満、または約20 mg/用量未満、または約25 mg/用量未満、または約50 mg/用量未満、または約100 mg/用量未満の量を含むが、これらに限定されることはない。1日に第一または第二の化合物が対象に投与される回数は、当技術分野においてよく用いられる様々な基準および/または本明細書において記述される基準に基づき判定することができる。
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの、湿潤剤、乳化剤および滑沢剤ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香料添加剤および香料剤、保存剤および抗酸化剤を組成物中に存在させることもできる。
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのような水溶性抗酸化剤; アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなどのような油溶性抗酸化剤; ならびにクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などのような金属キレート剤が挙げられる。
本発明の処方物は、経口投与、経鼻投与、局所投与、口腔投与、舌下投与、直腸投与、膣内投与および/または非経口投与に適したものを含む。この処方物は単位投与剤形として好都合に供与することができ、これは製薬の技術分野においてよく知られているいずれかの方法により調製することができる。担体材料と組み合わせて単位投与剤形を生成することができる活性成分の量は、一般に治療効果をもたらす組成物のその量になる。一般に、100%のうち、この量は活性成分が約1%から約99%、好ましくは約5%から約70%、最も好ましくは約10%から約30%に及ぶであろう。
これらの処方物または組成物を調製する方法は、本発明の組成物を担体および、任意で、一つまたは複数の副成分と結び付ける段階を含む。一般に、この処方物は、本発明の組成物を液状の担体と、もしくは微粉化した固形状の担体と、またはその両方と均一におよび密に結び付け、その後、必要に応じて、その生成物を成型することにより調製される。
経口投与に適した本発明の処方物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(フレーバーベース、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントを用いて)、散剤、顆粒剤の形状で、あるいは水性液もしくは非水性液に入った溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型の乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、または芳香錠(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を用いて)としてならびに/またはうがい薬などとして、その各々が活性成分として本発明の組成物を所定の量で含有するようにして存在することができる。本発明の組成物は巨丸剤、舐剤、または糊状剤として投与することもできる。
経口投与用の本発明の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤など)では、活性成分をクエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウムなどの薬学的に許容される担体、および/または以下のいずれかの一つまたは複数と混合する: デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの賦形剤または増量剤; 例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤; グリセロールなどの保湿剤; 寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、パラフィンなどの溶液遅延剤; 第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤; 例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤; カオリンおよびベントナイト陶土などの吸収剤; タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体状ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物などの滑沢剤; ならびに着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、薬学的組成物は緩衝剤を含むこともできる。類似型の固体状組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤、ならびに高分子量のポリエチレングリコールなどを用いて、軟質および硬質ゼラチンカプセル中で増量剤として利用することもできる。
錠剤は圧縮または成型により、任意で一つまたは複数の副成分とともに作出することができる。圧縮錠は結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性な希釈剤、保存剤、錠剤分解物質(例えば、グリコールデンプンナトリウムまたは架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製することができる。成型錠剤は不活性の液体希釈剤で湿らせた粉末組成物の混合物を適当な機械のなかで成型することにより作出することができる。
糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤などの、本発明の薬学的組成物の錠剤、およびその他の固体剤形は、任意で、腸溶性コーティングおよび薬剤の製剤化の技術分野において周知のその他のコーティングのような、コーティングおよびシェルとともに得られまたは調製されてもよい。それらは、例えば、所望の放出プロファイルを供与する様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて、その中の活性成分の持続放出または制御放出を供与するように製剤化することもできる。それらは、例えば、細菌保持フィルタに通すろ過により、または使用直前に滅菌水、もしくはその他の無菌の注射可能な媒体に溶解できる無菌の固体状組成物の形態として抗菌剤を組み入れることにより滅菌することができる。これらの組成物は任意で乳白剤を含んでもよく、これらの組成物はそれらが活性成分を単独で、または選択的に、胃腸管のある部分に、任意で、遅延的に放出する組成物のものとしてもよい。利用できる埋封組成物の例としては、重合物質およびろう状物質が挙げられる。その活性成分はマイクロカプセル化した形態の中に、必要に応じて、前記の賦形剤の一つまたは複数とともに存在させてもよい。
本発明の組成物を経口投与するための液体剤形としては、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、溶剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性成分のほかに、この液体剤形は、例えば、水またはその他の溶媒などの、当技術分野において一般的に使用されている不活性な希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤、ならびにその混合物を含むことができる。
不活性な希釈剤のほかに、この経口組成物は湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、香料剤ならびに保存剤などの補助剤を含むこともできる。
懸濁剤は、活性組成物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物のような懸濁化剤を含むことができる。
直腸投与または膣内投与用の本発明の薬学的組成物の処方物は、坐薬として供与することができる。この坐薬は本発明の一つまたは複数の組成物を一つまたは複数の刺激性のない適当な賦形剤または、例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐薬用ワックスもしくはサリチル酸塩を含有する担体と混合することにより調製することができ、この坐薬は室温では固形状であるが体温では液状であり、従って、直腸または膣腔内で融解し、活性化合物を放出するはずである。
膣内投与に適している本発明の処方物は同様に、適切であることが当技術分野において知られているような担体を含有する腟坐薬状、止血栓状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、泡状または噴霧状処方物を含む。
本発明の組成物の局所投与または経皮投与用の剤形は、散剤、噴霧剤、軟膏剤、糊状剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶剤、貼布剤および吸入剤を含む。この活性組成物は薬学的に許容される担体と、および必要になる可能性のあるいずれかの保存剤、緩衝剤、または噴射剤と無菌条件の下で混合することができる。
この軟膏剤、糊状剤、クリーム剤およびゲル剤は、本発明の活性組成物に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ろう状物質、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクならびに酸化亜鉛、またはその混合物などの賦形剤を含むことができる。
散剤および噴霧剤は、本発明の組成物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミドパウダー、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含むことができる。噴霧剤はクロロフルオロハイドロカーボンなどの通常の噴射剤ならびにブタンおよびプロパンなどの揮発性の無置換炭化水素をさらに含むことができる。
経皮貼布剤は体内への本発明の組成物の送達制御を実現するというさらなる利点を有する。このような剤形は、組成物を適切な媒体に溶解させるかまたは分散させることにより作製することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚を通した組成物の流れを増大させることもできる。このような流れの速さは、速度制御膜を供与することによりまたは活性組成物をポリマーマトリックスもしくはゲルの中に分散させることにより制御することができる。
眼科用処方物、眼軟膏剤、散剤、溶剤なども本発明の範囲内であるものと考えられる。
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、本発明の一つまたは複数の組成物を一つまたは複数の薬学的に許容される無菌的な等張性の水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、あるいは使用する直前に無菌の注射可能な溶液または分散液中に再構成することができ、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、対象とするレシピエントの血液と処方物を等張にさせる溶質または懸濁化剤もしくは増粘剤を含むことができる無菌の散剤と組み合わせて含む。
本発明の薬学的組成物に利用できる適当な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適当な混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用により、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。
これらの組成物は保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの補助剤を含むこともできる。様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含有させることにより、微生物の作用の阻止を確実にすることができる。糖類、塩化ナトリウムなどのような等張剤を組成物の中に含有させることも望ましいかもしれない。さらに、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの、吸収を遅らせる薬剤を含有させることにより、注射可能な製剤の持続的吸収を実現することができる。
場合によっては、薬物の効果を持続させるために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは水溶性が低い結晶性物質または無形性物質の液体懸濁液を使用することにより達成することができる。その次に薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、その溶解速度は結晶サイズおよび結晶性形状に依存することができる。あるいは、非経口的に投与される製剤の持続的吸収は、薬物を油性媒体に溶解させるかまたは懸濁させることにより達成される。
注射可能な徐放性剤形は、対象化合物のマイクロカプセル封入材をポリラクチド-ポリグリコライドなどの生体分解性高分子中で形成することにより作出される。高分子との薬物の比率、および利用される特定の高分子の性質に応じて、薬物放出の速度を制御することができる。他の生体分解性高分子の例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射可能な徐放性処方物は、薬物をリポソームまたは生体組織と適合するマイクロエマルジョンの中に閉じ込めることによっても調製される。
本発明の調製物は経口的に、非経口的に、局所的にまたは経直腸的に投与することができる。それらは、もちろん、各投与経路に適した剤形によって投与される。例えば、それらは錠剤またはカプセル剤形で、注射、吸入、点眼剤、軟膏剤、坐剤などによって投与され、注射、注入または吸入によって投与され、ローション剤または軟膏剤によって局所投与され、および坐剤によって直腸投与される。経口投与および/または静脈内投与が好ましい。
本明細書において用いられる「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、経腸投与および局所投与以外の、通常は注射による、投与方法を意味し、静脈内の、筋肉内の、動脈内の、くも膜下腔内の、嚢内の、眼窩内の、心臓内の、皮内の、腹腔内の、経気管の、皮下の、表皮下の、関節内の、被膜下の、くも膜下の、脊髄内の、および胸骨内の注射および注入を含むが、これらに限定されることはない。
本明細書において用いられる「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」および「末梢に投与される」という語句は、中枢神経系に直接にではなく患者の系に入り、従って、代謝および他の同様の過程にさらされるような、化合物、薬剤または他の物質の投与、例えば、皮下投与を意味する。
これらの化合物は、例えば噴霧によるように、経口的に、経鼻的に、散剤、軟膏剤または液滴によるように、経直腸的に、経膣的に、経口的に、大槽内におよび局所的になど、口腔におよび舌下になど、いずれかの適当な投与経路により治療を目的にヒトおよび他の動物に投与されてもよい。
選択される投与経路とは無関係に、適当な水和物の形で使用できる本発明の化合物、および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の従来法により薬学的に許容される剤形に製剤化される。
本発明の薬学的組成物における活性成分の実際の投与量は、特定の患者、組成物、および投与方法に対し、患者にとって有毒とはならない、所望の治療反応を達成するのに有効な活性成分量を得るために変化させてもよい。
選択される投与量は、利用される本発明の特定の化合物またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、利用される特定の化合物の排泄速度、処置期間、利用される特定の化合物と併用される他の薬物、化合物および/または物質、年齢、性別、体重、症状、処置される患者の全般的健康および以前の病歴を含む種々の要因、ならびに医学の分野において周知の同様の要因に依存するであろう。
当技術分野における通常の技術を有する医師または獣医師は、必要とされる薬学的組成物の有効量を容易に判定して、処方することができる。例えば、医師または獣医師は、薬学的組成物に利用される本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を達成するのに必要とされるよりも低いレベルで始めて、所望の効果が達成されるまで投与量を段階的に増やすことができるであろう。
一般に、本発明の化合物の適当な日用量は、治療効果をもたらすのに有効な最も低い用量となる化合物の量であると考えられる。そのような有効な用量は、一般に、上述の要因に依存するであろう。一般に、患者に対する本発明の化合物の静脈内および皮下の用量は、示されている鎮痛効果に使われる場合、1日当たり約0.0001〜約100 mg/kg体重、より好ましくは1日当たり約0.01〜約50 mg/kg、およびさらにより好ましくは1日当たり約1.0〜約100 mg/kgの範囲であると考えられる。有効量は、ウイルス感染症を処置する量である。
必要に応じて、活性化合物の有効な日用量は、1日を通じて適切な間隔で別々に投与される2回、3回、4回、5回、6回またはそれ以上の回数の亜用量として、任意で、単位剤形で投与されてもよい。
本発明の化合物は単独で投与されることが可能であるが、薬学的組成物として化合物を投与することが好ましい。
XI. 併用療法を用いた処置の方法
本発明はさらに、がんを有する対象におけるMEK耐性突然変異の出現を抑制する方法について記述する。このような方法は、MEK阻害剤(例えば、第一世代MEK阻害剤または第二世代MEK阻害剤)およびRAF阻害剤の併用投与を伴う。従って、本発明は、MEK阻害剤およびRAF阻害剤の投与を含む、がんの症状を処置または予防するための併用療法を提供する。本明細書において用いられる「併用療法」という用語は、二つまたはそれ以上の治療用物質、例えば、MEK阻害剤またはRAF阻害剤の投与をいう。MEK阻害剤はRAF阻害剤の投与と同時に、その投与の前に、またはその投与の後に投与されてもよい。本明細書において記載される場合、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を伴う併用療法は、MEK阻害剤またはRAF阻害剤のいずれかの単独の投与よりも高い程度にMEK耐性突然変異の出現を抑制する。MEKおよびRAF阻害剤の標準的な投与量はまた、本明細書において記述される併用療法に適している。併用療法で処置できる例示的ながんとしては、本明細書において記述されるもの、例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫、がん腫、転移性がん、肉腫、腺腫、神経がんおよび泌尿生殖器がん、例えば、黒色腫、骨髄異形成症候群、白血病、膵臓がん、卵巣がん、腹膜がん、非小細胞肺がん、および乳がんが挙げられる。
例示的なMEK阻害剤としては、第一世代および第二世代MEK阻害剤が挙げられる。特定の態様において、併用療法に有用なMEK阻害剤には、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物A、および化合物Bが含まれる。併用療法に有用な例示的なRAF阻害剤としてはpan-RAF阻害剤、B-RAFの阻害剤、A-RAFの阻害剤、およびRAF-1の阻害剤が挙げられる。例示的な態様において、併用療法に有用なRAF阻害剤には、PLX4720、PLX4032、BAY43-9006 (ソラフェニブ)、ZM336372、RAF265、AAL-881、LBT-613、およびCJS352が含まれる。例示的なRAF阻害剤としてはさらに、PCT公開第WO/2008/028141号に記載の化合物が挙げられ、この全内容が参照により本明細書に組み入れられる。例示的なRAF阻害剤としてはさらに、PCT公開第WO/2006/024836号に記述されているキナゾリノン誘導体、およびPCT公開第WO/2008/020203号に記述されているピリジニルキナゾリンアミン誘導体が挙げられ、この全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
従って、本発明は、本明細書において記述される、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を含む併用療法を施す段階を含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。いくつかの態様において、この方法はさらに、MEKにおける一つまたは複数の突然変異の有無を検出するために対象をスクリーニングする段階を含む。好ましい態様において、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を含む併用療法は、MEKにおける一つまたは複数の突然変異が検出されない対象に対して選択される。そのような対象において、併用療法はMEK耐性突然変異の出現を有利に抑制する。本発明はさらに、本明細書において記述される、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を含む併用療法を対象に施す段階を含む、がんを有する対象におけるMEK耐性突然変異の出現を抑制する方法を提供する。従って、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を含む併用療法は、一つまたは複数のMEK耐性突然変異が検出される対象に施すことができる。そのような併用療法は、MEK耐性突然変異を含む細胞の成長を抑制する。いくつかの態様において、この方法はさらに、MEKにおける一つまたは複数の突然変異の有無を検出するために対象をスクリーニングする段階を含む。これらの態様において、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を含む併用療法は、例えば、MEK耐性突然変異が検出されなかった対象に、または、例えば、MEK耐性突然変異が検出された対象に与えることができる。
本発明の別の態様において、薬学的組成物は、(a) MEK阻害剤およびまた、(b) RAF阻害剤を含むことができる。いくつかの態様において、MEK阻害剤は第一世代MEK阻害剤または第二世代MEK阻害剤であることができる。いくつかの態様において、RAF阻害剤はpan-RAF阻害剤、B-RAFの阻害剤、A-RAFの阻害剤、およびRAF-1の阻害剤であることができる。例示的な態様において、MEK阻害剤はCI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物Aまたは化合物Bであることができ、RAF阻害剤はPLX4720、PLX4032、BAY43-9006 (ソラフェニブ)、ZM336372、RAF265、AAL-881、LBT-613およびCJS352であることができる。特定の態様において、薬学的組成物は、(a) AZD6244およびまた、(b) PLX4720を含む。
本発明の別の態様は、本明細書において記述される薬学的組成物を投与する方法に関する。ゆえに、本発明は、MEK阻害剤を対象に投与する段階; およびRAF阻害剤を含む薬学的組成物を対象に投与する段階を含む、がんについて対象を処置する方法に関する。MEK阻害剤およびRAF阻害剤は、連続的にまたは同時に対象に投与することができる。連続投与は、(a) MEK阻害剤を最初に投与する段階、その後で(b) RAF阻害剤を投与する段階を含む。代替的な連続投与は、(a) RAF阻害剤を最初に投与する段階、その後で(b) MEK阻害剤を投与する段階を含む。同時投与は、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を同時に、または実質的に同時に投与する段階を含む。
投与が、本明細書において記述される第一の化合物(例えば、MEK阻害剤)および第二の化合物(例えば、RAF阻害剤)の個別投与(例えば、連続投与)を伴う場合、これらの化合物は所望の治療効果を及ぼすように時間的に十分に近づけて投与される。例えば、所望の治療効果を生じうる、各投与の間の時間は、数分から数時間に及ぶことができ、効力、溶解性、生体利用性、血漿中半減期および動力学的プロファイルのような、各化合物の特性に基づき判定することができる。例えば、それらの化合物は互いに約24時間以内にまたは互いに24時間未満の任意の時間内に任意の順序で投与することができる。
MEK阻害剤およびRAF阻害剤が連続的に投与される場合、それらを別々に処方し、任意の順序で提供することができる。しかしながら、MEK阻害剤およびRAF阻害剤が同時に投与される場合、それらは別々に処方されても、または同じ処方物中で組み合わされてもよい。同じ処方物中で組み合わされる場合、MEK阻害剤およびRAF阻害剤は、同じ時点でまたは異なる時点で対象へ放出されるように処方することができる。MEK阻害剤もRAF阻害剤もともに含む処方物の放出プロファイルには、以下が含まれる:
A) MEK阻害剤の放出および生体利用性の後にRAF阻害剤の放出および生体利用性;
B) RAF阻害剤の放出および生体利用性の後にMEK阻害剤の放出および生体利用性;
C) RAF阻害剤の放出および生体利用性と同時に(または実質的に同時に) MEK阻害剤の放出および生体利用性。
別の態様において、本明細書において提供されるのは、MEK阻害剤とRAF阻害剤とを含む組成物を対象に投与する段階を含む、がんの処置を必要とする対象においてがんを処置する方法である。別の態様において、本明細書において提供されるのは、MEK阻害剤とRAF阻害剤とを含む組成物を対象に投与する段階を含む、がんの処置を必要とする対象においてがんを処置する方法であって、がんが、白血病、リンパ腫、骨髄腫、がん腫、転移性がん腫、肉腫、腺腫、神経系がん、および泌尿生殖器がん、例えば、黒色腫、骨髄異形成症候群、白血病、膵臓がん、卵巣がん、腹膜がん、非小細胞肺がん、および乳がんからなる群より選択される該方法である。
本明細書において記述される化合物の組み合わせ(例えば、MEK阻害剤およびRAF阻害剤)は、抗がん活性の相乗的増大をもたらすことができ、またはこのような増大は付加的であることができる。本明細書において記述される組成物は、典型的には、組成物中の各化合物の投与量がいっそう低く、それによって化合物間の有害な相互作用および/または有害な副作用、例えば、類似の化合物について報告されているものを回避する。さらに、組み合わせて投与される場合の各化合物の正常量は、単独で使用される場合に各化合物に反応しないか、またはわずかしか反応しないかのいずれかの対象においていっそう高い効力を提供することもできよう。例えば、組み合わせて投与される場合、MEK阻害剤およびRAF阻害剤は各化合物が単独で使用される場合よりも高い程度にMEK耐性対立遺伝子の出現を抑制する。
相乗効果は、例えば、Sigmoid-Emax方程式(Holford, N. H. G. and Scheiner, L. B., Clin. Pharmacokinet. 6: 429-453 (1981))、Loewe相加性の方程式(Loewe, S. and Muischnek, H., Arch. Exp. Pathol Pharmacol. 114: 313-326 (1926))および半数効果方程式(Chou, T. C. and Talalay, P., Adv. Enzyme Regul. 22: 27-55 (1984))などの適当な方法を用いて計算することができる。上記の各方程式を実験データに当てはめて対応するグラフを作成し、薬物の組み合わせの効果を評価するうえで役立てることができる。上記の方程式に関連した対応するグラフは、それぞれ、濃度-効果曲線、アイソボログラム曲線および組み合わせ指数曲線である。
ある種の態様において、本発明は、本発明の組成物のいずれかの薬学的組成物を提供する。関連する態様において、本発明は、本発明の組成物のいずれかおよびこれらの組成物のいずれかの薬学的に許容される担体または賦形剤の薬学的組成物を提供する。
一つの態様において、本発明は、パッケージ化されたがん処置を含む。パッケージ化された処置には、意図した目的に本発明の組成物の有効量を使用するための指示書とともにパッケージ化された本発明の組成物が含まれる。他の態様において、本発明は、対象におけるがんを処置する医薬の製造のための本発明の組成物のいずれかの使用を提供する。
本発明の別の態様において、MEK阻害剤およびRAF阻害剤は、がん処置を受けている対象に通常投与される他の薬学的な薬剤と連続的に(任意の順序で)または同時に投与することができる。このような他の薬学的な薬剤には抗嘔吐薬、食欲を高める薬剤、他の細胞毒性剤または化学療法剤、および痛みを緩和する薬剤が含まれるが、これらに限定されることはない。CDA基質および式I〜VIIIのいずれか一つの化合物は、そのような他の薬剤とともにまたは別々に処方されてもよい。
XII. キット
様々なキットを本発明の一部として組み立てることができる。キットは、MEKにおける突然変異をアッセイして、MEK阻害剤を用いた治療に対する耐性を発現するリスクについて特定の患者を評価するための成分を含むことができ、従って、臨床医が、患者のための代替的な処置が必要とされるかどうかを判定することを可能にすることができる。このようなキットは、MEK阻害剤(例えば、CI-1040)に対する耐性に関する関連した表現型の顕在化と相関性がある突然変異を評価するためのプライマーセットなどの、突然変異を評価可能にする試薬を含むことができる。例えば、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3の全部または一部に相補性または同一のプライマー(またはプライマーの対)をキットの一部とできるものと考えられる。好ましい態様において、プライマーを用いて、以下のアミノ酸残基: 67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328Gおよび399Hの一つもしくは複数の位置に突然変異を含んだ変異体MEK1ポリペプチド、または以下の残基: 71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316Mおよび336Gの一つもしくは複数の位置に突然変異を含んだ変異体MEK2ポリペプチドをコードする核酸分子を特異的に検出または増幅することができる。他の態様において、プライマーを用いて、以下のアミノ酸残基: 56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pおよび368Eの一つもしくは複数の位置に突然変異を含んだ変異体MEK1ポリペプチド、または以下の残基: 60Q、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pおよび376Eの一つもしくは複数の位置に突然変異を含んだ変異体MEK2ポリペプチドをコードする核酸分子を特異的に検出または増幅することができる。例示的な態様において、プライマーは、以下の突然変異: 67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>Lおよび399H>Dの一つもしくは複数を含んだMEK1ポリペプチド、または以下の突然変異: 71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>Lおよび336G>Rの一つもしくは複数を含んだMEK2ポリペプチドをコードする核酸分子を特異的に検出または増幅する。他の態様において、プライマーは、以下の突然変異: 56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>Kの一つもしくは複数を含んだMEK1ポリペプチド、または以下の突然変異: 60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>Lおよび376E>Kの一つもしくは複数を含んだMEK2ポリペプチドをコードする核酸分子を特異的に検出または増幅する。他の態様において、キットは、MEKポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を増幅するためにSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3の全部または一部に相補性または同一のプライマーを用いるための指示書を含む。
他の態様において、キットは、一つまたは複数の耐性突然変異を含んだ変異体MEKポリペプチドを特異的に認識する抗体のような、突然変異を含むMEKポリペプチドを検出するための組成物を含む。例示的なポリペプチドとしては、以下のアミノ酸残基: 67D、74L、103I、106A、107I、111I、115L、119H、124P、128G、129F、167G、203E、211V、247W、258V、260R、276G、286G、302M、303D、308M、328Gおよび399Hの一つもしくは複数の位置に突然変異を含んだ変異体MEK1ポリペプチド、または以下のアミノ酸残基: 71D、78L、107I、110A、111I、115I、119L、123H、128P、132G、133F、171G、207E、215V、251W、262V、264R、280G、310M、311D、316Mおよび336Gの一つもしくは複数の位置に突然変異を含んだ変異体MEK2ポリペプチドが挙げられる。他の例示的なポリペプチドとしては、以下のアミノ酸残基: 56Q、99I、104K、113R、120E、128G、133F、215L、237G、326Pおよび368Eの一つもしくは複数の位置に突然変異を含んだ変異体MEK1ポリペプチド、または以下のアミノ酸残基: 60Q、103I、108K、117R、124E、132G、137F、219L、241G、334Pおよび376Eの一つもしくは複数の位置に突然変異を含んだ変異体MEK2ポリペプチドが挙げられる。他の態様において、変異体MEKポリペプチドは、以下の突然変異: MEK1中の67D>N、74L>Q、74L>R、103I>N、106A>T、107I>M、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、128G>D、129F>L、167G>R、203E>K、211V>D、247W>G、258V>G、260R>G、276G>E、286G>E、302M>R、303D>A、308M>L、328G>L、328G>R、379I>Lおよび399H>D; ならびにMEK2中の71D>N、78L>Q、78L>R、107I>N、110A>T、111I>M、115I>N、119L>R、119L>P、123H>P、128P>L、128P>S、132G>D、133F>L、171G>R、207E>K、215V>D、251W>G、262V>G、264R>G、280G>E、310M>R、311D>A、316M>L、336G>Lおよび336G>Rの一つまたは複数を含む。他の態様において、変異体MEKポリペプチドは、以下の突然変異: MEK1中の56Q>P、99I>T、104K>N、113R>S、120E>D、128G>D、133F>L、215L>P、237G>V、326P>Lおよび368E>K; ならびにMEK2中の60Q>P、103I>T、108K>N、117R>S、124E>D、132G>D、137F>L、219L>P、241G>V、334P>Lおよび376E>Kの一つまたは複数を含む。
上記の特定の方法によってMEK変異をアッセイするのに必要とされる不可欠な材料および試薬の全てをキット中に集めることもできる。キットの成分が一つまたは複数の液体溶液中で提供される場合、液体溶液は好ましくは、水溶液であり、無菌の水溶液が特に好ましい。
本発明はさらに、第二世代MEK阻害剤を含む組成物(例えば、薬学的組成物)を含むキットを提供する。このようなキットは、例えば、対象におけるがんを処置するために、本明細書において記載の方法のなかで使用することができる。従って、キットはさらに、がんの処置のための組成物の使用について記述した指示書を含むことができる。
本発明は同様に、MEK阻害剤およびRAF阻害剤を伴う併用療法で用いるのに適した組成物を含むキットを提供する。このようなキットは、例えば、MEK阻害剤を含む組成物とRAF阻害剤を含む組成物とを含むことができる。このようなキットはさらに、MEK阻害剤もRAF阻害剤もともに含む組成物を含むことができる。このキットはさらに、がんの処置のための、および/またはがんを有する対象におけるMEK耐性対立遺伝子の出現を抑制するための組成物の使用について記述した指示書を含むことができる。この指示書は、RAF阻害剤の投与と同時に、その前に、またはその後にMEK阻害剤を含む組成物を投与することについて記述することができる。
キットの成分は乾燥されまたは凍結乾燥された形態で提供されてもよい。試薬または成分が乾燥された形態として提供される場合、再構成は一般に、適当な溶媒の添加によるものである。溶媒は別の容器手段中で提供されてもよいものと想定される。
本発明のキットはまた、典型的には、委託販売のために厳重に密封したバイアルを含むための手段、例えば、そこに所望のバイアルが保持される、射出成形または中空成形されたプラスチック容器を含む。容器の数または型に関わりなく、本発明のキットはまた、試料採集および評価を補助するための器具を含むか、またはそれとともにパッケージ化されうる。このような器具は、例えば、吸入器、注射器、ピペット、ピンセット、計量スプーン、点眼器または任意のこのような医学的に認可された送達ビヒクルでありうる。
本発明のキットはまた、特定の突然変異が患者において特定された場合に提案される代替的な治療法の概要を示した指示書を含むこともできる。例えば、本発明のキットに含まれる指示書は、変異体MEKポリペプチドが特定された、障害、例えば、がんを有する患者が第一世代MEK阻害剤での処置を中断するか、第一世代MEK阻害剤での処置の間に再発がないかモニタリングするか、高投与量で第一世代MEK阻害剤での処置を継続するか、または第二世代MEK阻害剤での処置を開始するかを推奨することができる。本発明のキットに含まれる指示書は同様に、変異体MEKポリペプチドが検出可能でない障害を有する患者が、標準的な投与量で第一世代MEK阻害剤での処置を継続することを推奨することができる。例示的な態様において、第一世代MEK阻害剤はCI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、化合物Aまたは化合物Bである。
本発明を以下の例によってさらに例証するが、それらは、限定するものと解釈されるべきではない。本出願の全体を通じて引用されている全ての参考文献、特許および公開された特許出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
実施例1:第一世代MEK阻害剤に対する耐性を付与するMEK突然変異の同定
黒色腫におけるRAF/MEK依存性およびMEK阻害に対する、「標的における」耐性の重要性を調べるために、ランダム突然変異誘発スクリーンを大規模並行配列決定と共に使用して、MEK阻害に対する耐性を伴う変種の範囲を見出した(図1に概略を述べた)。ここでは、BRAFV600E突然変異を有し、MEK阻害に対して感受性の高いA375黒色腫細胞に、MEKI突然変異の飽和cDNAライブラリを導入した。ジアリールアミンMEK阻害剤(例えば、AZD6244またはC1-1040)の存在下でこれらの細胞を4週間培養した後、耐性クローンが出現したが、そのうちのおよそ1000個をプールし、大規模並列配列決定によりまとめて特徴づけた。さらなるクローン100個を、サンガー法により配列決定した。耐性クローンおよそ1100個のこの併用解析は、以前の突然変異誘発研究の範囲を大幅に上回り、MEK/媒介薬物耐性の不偏的な特徴づけの包括的枠組みを提供した。
次に、各MEK1ヌクレオチド位置にわたる耐性対立遺伝子の候補の分布、および結果として生じたMEK三次元構造内のアミノ酸置換を調べた。ほとんど全ての非同義ヌクレオチド突然変異は、「Cヘリックス」および隣接疎水性残基、ならびにキナーゼ活性化ループの大部分をコードするMEKのエクソン3および6内に密集していた(図2a)。顕著なことには、これらの対立遺伝子は、ATP結合モチーフに隣接する新規アロステリック部位と関わる、ジアリールアミンベースのMEK阻害剤の公知の結合ポケットに密接に対応した(図2b)。さらに、いくつかの高頻度MEKアミノ酸置換は、疎水性残基を荷電残基に変換するか、またはCヘリックスの近位面にプロリンを導入した(図2c)。そのような変化は、立体障害またはCヘリックス構造の変化のいずれかにより、薬物結合を破壊しうる。少数の突然変異はMEK1の他所に位置したが、予備的な機能的研究により、これらは顕著な耐性表現型を発現する可能性が低いことが示唆された。前述のデータから、MEK1エクソン3および6は、MEK阻害に対する耐性の臨床的出現の有望な遺伝子座の候補であることが示される。図3aは、MEK1コード配列にわたる突然変異の頻度を示す。高頻度対立遺伝子に関して、対応するアミノ酸を示す。図3bは、耐性MEK1対立遺伝子を発現するA375細胞におけるpERK1/2、pMEK1/2、およびα-チューブリンの相対レベルを示す。
実施例2:AZD6244耐性転移性黒色腫において獲得されたMEK1突然変異
MEKエクソン3および6が、MEK阻害に対する耐性の出現の候補である可能性が高いという仮説を試験するために、MEK阻害剤AZD62445の第II相臨床試験に参加した患者に由来する黒色腫ゲノムDNA中のMEKI遺伝子座を調べた。表1に、調べた患者の関連する臨床的特徴を要約する。本治験において、AZD6244処置は、テモゾロミドと比較した場合に臨床転帰を改善しなかった;しかしながら、本発明者らは、AZD6244で一次的な疾患安定とそれに続く再発を経験した7名の患者を同定した(患者1〜6において安定疾患期間の平均値 = 55 +/- 18日)。これらの患者のうち5名は、処置前および再発後生検の両方に従う皮膚転移を含み、3名はBRAFV600E黒色腫を有した。BRAFV600E黒色腫を伴う患者1名(患者7)は、AZD6244で長期にわたる疾患安定を経験した。
MEK阻害剤に対する、標的における耐性の臨床的関連性を調べるために、再発患者に由来する腫瘍DNAにおいて、MEK1エクソン3および6をPCR増幅した。全患者からのPCR産物をプールし、大規模並行配列決定に供した。この解析から、P124L置換をコードする、MEKIエクソン3におけるC > T転位が同定された(図4a)。MEK1コドン124はまた、別のアミノ酸が選択されたものの(P124S;表2)、MEK阻害剤CI-1040を用いるランダム突然変異誘発スクリーンにおいてもサンガー配列決定によって意味づけられた。個々の処置前および再発後黒色腫試料の配列決定から、MEK1P124Lが患者#7に由来する再発後腫瘍DNA中に出現したが、この突然変異は対応する処置前腫瘍試料中には存在していなかったことが明らかになった(図4b)。
MEK1P124L対立遺伝子は、臨床試験参加の時点で肺および骨格病変を含む転移性黒色腫を伴う55歳男性において同定された。この患者は、経口テモゾロミドで処置したが、縦隔リンパ節腫脹および肺浸潤を特徴とする進行性疾患を発症した(図4c)。AZD6244処置群に切り換えたところ、左腋窩リンパ節転移を除く全ての疾患部位の退行または安定化が起こり、この転移はS100腫瘍マーカーの同時上昇と共に16週かかって拡大した。この転移の外科的除去により、S100レベルの顕著な低下が生じた;MEK1P124Lはこの標本中に検出された。切除後、この患者はAZD6244での処置を継続し、RECISTスコアの着実な減少および腫瘍量の28%の全体的減少を含む、長期にわたる疾患安定(>44週)を示した(図4c)。
MEK1P124L、およびランダム突然変異誘発によって同定された推定上のMEK1耐性対立遺伝子の機能的効果を確認するために、いくつかの代表的な変種において生化学的および薬理学的研究を行った。最初に、患者#7のAZD6244耐性転移物からエクスビボ黒色腫培養物を導出し(M307)、これらの細胞におけるMEK阻害の効果を調べた。AZD6244のGI50は、処置未経験BRAFV600E黒色腫培養物では10〜50 nMであったが(WM3482およびWM3457;表3)、AZD6244耐性転移物に由来する細胞では2μMを上回った(M307;図5a)。同様に、処置未経験株では、およそ400 nM AZD6244への16時間の曝露後に、ERKリン酸化(p-ERK)の顕著な生化学的阻害が達成されたが、耐性細胞では、10μM AZD6244においてさえp-ERKは依然として強いままであった(図5b)。関連するMEK阻害剤C1-1040の研究においても、同様の結果が観察された(表3)。
(表1)患者の特徴
Figure 0005651125
(表2)阻害剤耐性MEK1対立遺伝子の概要
Figure 0005651125
(表3)細胞株およびMEK1対立遺伝子のGI50
Figure 0005651125
実施例3:変異体MEK対立遺伝子の薬理学的および生化学的特徴づけ
次に本発明者らは、P124Lおよびいくつかのさらなる耐性対立遺伝子の候補を野生型MEK1の配列中に導入し、A375黒色腫細胞においてこれらの変種を発現させた。変種構築物は全て、匹敵するレベルで過剰発現した。野生型MEK1または恒常的に活性のある対照(MEK-DD)を発現するA375細胞は、野生型A375に匹敵するAZD6244の GI50を示した(およそ50 nM;図5c)。対照的に、P124LおよびP124S対立遺伝子ではAZD6244およびCI-1040のGI50が5〜10倍上昇した;MEK1 Cヘリックス(I103N、I111N、L115P/R、H119P)、薬物結合ポケット(F129L)、または活性化ループ(V211D)中に位置するいくつかのさらなる対立遺伝子では、GI50がおよそ100倍上昇した(図5c)。両薬物の生化学的解析により、これらの知見が実証された(図6)。これらの結果から、耐性関連MEK1対立遺伝子の機能的関連性が検証された。
実施例4: RAF阻害に対する交差耐性を付与するMEK突然変異
MEK1突然変異がRAF阻害に対する交差耐性を付与しうるかどうかを判定するために、本発明者らは、上記の培養黒色腫株において選択的B-RAF阻害剤PLX4720の効果を調べた。AZD6244耐性初代黒色腫細胞(M307)はPLX4720に対して著しい耐性を示し、G150は処置未経験株における50〜70 nMと比較して> 20μMであった(図5d)。これらの知見は、B-RAF阻害後のMEKリン酸化(pMEK)の生化学的研究において反映された(図5e)。A375細胞においていくつかのMEK1耐性対立遺伝子を発現させたところ、この化合物によるp-MEK減少が匹敵するレベルであるにもかかわらず、PLX4720 GI50レベルは3〜4倍穏やかに上昇した(図5fおよび表3)。興味深いことに、恒常的に活性のあるMEK-DD変種はPLX4720に対する強力な耐性を付与し、BRAFV600E黒色腫におけるRAF活性化MEK活性への特異的依存性が示された(図7)。このように、MEK耐性対立遺伝子は、MAPキナーゼ依存性がん細胞においてRAF阻害に対するいくらかの交差耐性を付与しうる。
実施例5:薬物耐性変種の出現の抑制
MAPキナーゼ経路阻害の厳密性が、MAPキナーゼがん遺伝子依存性を有する細胞において、標的における耐性変種の出現に影響を及ぼしうるかどうかを次に調べた。野生型MEK1またはMEK1突然変異cDNAのライブラリ(上記)のいずれかを発現するA375黒色腫細胞を、AZD6244またはPLX4720(1.5μM)の単独でのまたはそれらを組み合わせた存在下で4週間培養した。予測通り、AZD6244への曝露により野生型MEK1を発現するA375細胞の増殖は完全に抑制されたのに対し、突然変異誘発MEK1発現細胞を含むプレート上にはAZD6244耐性クローンが出現した(図5g)。これらの条件下において、野生型および変異体MEK1発現細胞の両方からPLX4720耐性クローンが出現した。顕著なことには、AZD6244およびPLX4720の両方への同時曝露により、耐性変種の出現は完全に抑制された(図5g)。このように、RAFおよびMEKの組み合わせ阻害は、MAPキナーゼ依存性がんにおける獲得耐性を回避するのに役立ちうる。
方法論
実施例と関連して、以下の材料および方法を使用した。これらの材料および方法は一例にすぎず、限定を意図するものではない。
MEKI発現構築物
MEK1 cDNAを組換えクローニング(Invitrogen)によりpWZL-Blastベクターにクローニングして、pWZL-Blast-MEK1を作製した。QuikChange II部位特異的突然変異誘発(Stratagene)を用いて、特異的突然変異をMEK1 cDNA中に導入した。
MEK1ランダム突然変異誘発スクリーン
MEK1 cDNAを、Gatewayクローニング技術(Invitrogen)によりpWZL(Blast)にクローニングした。ランダム突然変異ライブラリを作製するために、DNA修復遺伝子MutS、MutD5-、およびMutT-が欠損している大腸菌(XL1-Red、Stratagene)内でプラスミドを増殖させ、そのようにしてプラスミド中にランダム突然変異を導入した。次いで細菌から抽出されたDNAをXL1-Blue(Stratagene)に形質転換して、ライブラリを増幅した。突然変異誘発させたMEK1プラスミドまたは突然変異誘発させなかった対照を用いて、A375黒色腫細胞を感染させた。ブラストサイジンによる選択後、細胞を15-cmディッシュ上にプレーティングし、耐性クローンが出現するまで、MEK阻害剤(AZD6244またはC1-1040;それぞれ1.5μMまたは2μM)の存在下で4週間培養した。
ライブラリ内の突然変異誘発のおよその包括度を判定するために、pDNR-1r-SacBベクターを用いて並行実験を行った。SacBの発現は、スクロース含有培地中で致死的である。このベクターを、製造業者のプロトコールに従ってXL1-red内で複製させた。形質転換後、細菌を異なる希釈で三つ組の+/-スクロース中にプレーティングした。次にコロニーを定量して、突然変異の頻度を推測した(コロニー数-スクロース/コロニー数+スクロース)。この方法によって測定された頻度は過小評価である:終止コドンが最も多くスコア化され、サイレントおよび有害でない突然変異は検出され得ない。実際の突然変異率は、このアッセイ法によってスコア化されたものの4倍の値に達すると想定することができる。15 cmプレート当たりのMEK1含有大腸菌の数を定量し、次にライブラリを作製するためのプレートの数を算出して、およそ60×の包括度を生じたが、これは各塩基がライブラリ全体において突然変異を受ける60回の個々の機会を有する可能性があることを意味する。これは、40×15 cmプレート(プレート当たりおよそ54 000個コロニー)から細菌を回収することにより達成された。
MEKIポリメラーゼ連鎖反応
MEK 1エクソン3は、フォワードプライマー
Figure 0005651125
およびリバースプライマー
Figure 0005651125
を用いて増幅した。MEK1エクソン6は、ゲノムDNA 10〜20 ng、フォワードプライマー
Figure 0005651125
、およびリバースプライマー
Figure 0005651125
を用いて増幅した。各エクソンについて、熱サイクリング反応は以下の通りであった:95℃/5分、次に(95℃/15秒、52℃/20秒、68℃/30秒)の30サイクル、次に68℃/10分。MEK1 cDNAは、フォワードプライマー
Figure 0005651125
およびリバースプライマー
Figure 0005651125
を用いて増幅した。熱サイクリング反応は、95℃/5分、(95℃/15秒、66℃/60秒、68℃/90秒)を35回、68℃/10分であった。いずれの反応もpfxポリメラーゼ(Invitrogen)を用いて行った。
MEK1 DNAの配列決定
ランダム突然変異誘発スクリーンから出現したAZD6244またはCI-1040耐性細胞をプールし、ゲノムDNAを調製した(Qiagen DNeasy)。5'および3'末端における隣接ベクター配列に特異的なプライマーを用いて、ゲノムDNAからMEK1 cDNAを増幅した。別個の実験では、黒色腫腫瘍試料からゲノムDNAを調製し、MEK1由来のエクソン3および6を増幅するイントロンプライマーを用いてPCRを行った。PCR産物をゲル精製し、プールし、製造業者の指示書に従ってIllumina 3G装置を用いる単一分子配列決定に供した。製造業者の指示書に従って、品質測定基準に基づいて配列読み取り(レーン当たり200万〜300万個の36塩基対配列)にフィルタをかけ、変種スコアを割り当てた。
大規模並行配列決定の解析
大規模並行配列決定レーン(Illumina)からの生データを、「次世代」配列決定解析パイプラインを用いて解析した。ヌクレオチド配列、塩基当たりの品質尺度、検出された変種、およびcDNA参照配列に対するアライメント(ELANDアルゴリズムによるアライメントによって決定される)を表すデータファイルからの出力を、各ランについて統合して処理した。包括度(すなわち、cDNA参照の各塩基を含む断片の数)を全塩基について測定し、変種対立遺伝子を個々のDNA断片から参照配列上にマッピングした。各非野生型対立遺伝子について変種の頻度を測定し、問題になっている位置および変種対立遺伝子に関する全品質スコアの平均値として「平均変種スコア」を算出した。全てのコード突然変異を翻訳して、もしあればアミノ酸変化を決定し、高頻度(> 0.5%)、高品質(AVS > 7)突然変異のデータをCCGD結果データベースに取り込んだ。
患者および試料
AZD62445の第II相臨床試験に参加した患者から、処置前および再発後転移性黒色腫試料を採取した。生検の前に全患者から、承認されたバイオバンキングIRBプロトコール(University of Zurich、no. 647)に従って同意を得た。
細胞株および初代黒色腫培養物
A375黒色腫細胞および293Tレトロウイルス産生細胞(ATCC)は、10%ウシ胎仔血清(Gemini)を添加したDMEM(MediaTech)中で培養した。AZD6244耐性転移性腫瘍に由来する初代培養物(M307)は、新たな生検材料を37℃にてDispaseで4時間、およびコラゲナーゼで3時間処理することにより作製した。細胞を洗浄し(リン酸緩衝生理食塩水)、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI培地(MediaTech)中に播種した。処置未経験BRAFV600E黒色腫初代培養物(WM3482およびWM3457)は、Dr. M. Herlyn(Wistar Institute)により供与され、RPMI、10%ウシ胎仔血清、ならびに1%ペニシリンおよびストレプトマイシン中で培養した。
レトロウイルス感染
Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて、293T細胞(70%コンフルエント)にpWZL-Blast-MEK1およびpCL-Amphoパッケージングベクターをトランスフェクトした。ウイルスを含む上清を0.45μmシリンジに通した。A375細胞にウイルスをポリブレン(4μg/ml、Sigma)と共に16時間感染させた。感染の48時間後に、選択マーカーブラストサイジン(3μg/ml)を導入した。
薬理学的研究
CI-1040はShanghai Lechen International Trading Companyから購入し;AZD6244はSelleck Chemicals Co., Ltd.から購入し、PLX4720はSymansis, Inc.から購入した。増殖阻害解析のため、培養黒色腫細胞を96-ウェルプレートに播種し(A375細胞について、5000個細胞/ウェルまたは3000個細胞/ウェル)、16時間接着させた。その後、MEKまたはRAF阻害剤の段階希釈物を含む培地を添加し、DMSOの最終容量が1%を超えないことを確実にした。細胞を薬物の存在下で96時間インキュベートし、CellTiter-Gloアッセイ(Promega)により生存度を測定した。実験当たり6つの反復物である3回の独立した実験の複合物から、曲線およびGI50値を生成した。
薬理学的増殖阻害アッセイ
3000個の細胞を播種したA375を除いて、全細胞株について、培養細胞を5000個細胞/ウェルの密度で96-ウェルプレートに播種した。通常そのために一晩の期間が割り当てられる細胞の接着後、化合物の段階希釈をDMSO中で100倍で行い、次に細胞に移して、結果的に100μM〜1×106μMの範囲の希釈物をもたらし、DMSOの最終容量が1%を超えないことを確実にした。使用した化合物には、MEK阻害剤CI-1040(Shanghai Lechen International Trading Coから購入)およびAZD6244(Selleck Chemicals Co., Ltd.から購入)、ならびにBRAF阻害剤PLX4720(Symansisから購入)が含まれた。薬物の添加後、細胞を96時間培養した。続いて、CellTiter-Glo生存度アッセイ(Promega)を用いて、細胞生存度を測定した。生存度は、バックグラウンド減算後の対照(未処理細胞)の割合として算出した。それぞれの細胞株および薬物組み合わせ実験について最小数が三つの反復物を作製し、実験全体を3回繰り返した。薬理学的増殖阻害アッセイからのデータを、S字形用量反応との非線形回帰曲線適合を用いてモデル化した。Windows用のGraphPad Prism 5(GraphPad Software)を用いて、これらの曲線を表示した。50%点に隣接するデータ点をつなぐ線の勾配を決定することにより、GI50を算出した。各MEK対立遺伝子のGI50を2標本スチューデントT検定を用いてA375と比較し、M302を処置未経験短期培養物と比較した。HA(対立仮説)を使用した;A375または未経験短期培養物の平均GI50よりも大きな平均GI50、α=0.05、片側検定。P値の算出は全て、MATLAB統計ツールボックス(MATLAB Version 7.1)、the MathWorks, Inc.を用いて行った。
ウエスタンブロット解析
標準的な手順を用いて、免疫ブロット研究を行った。簡潔に説明すると、黒色細胞を、プロテアーゼ阻害剤(Roche)、NaF、およびNaVO3(各1 mM)を含むTNN緩衝液中で溶解した。溶解物を定量し(Bradfordアッセイ)、変性させ(95℃)、SDSゲル電気泳動により分離した。タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、p-ERK1/2、p-MEK1/2(Ser217/221)、MEK1/2、およびα-チューブリンを認識する一次抗体(Cell Signaling Technology;1:1000希釈)でプロービングした。適切な二次抗体(抗ウサギまたは抗マウスIgG、HRP結合;1:1000希釈)(Cell Signaling Technology)とのインキュベーション後、化学発光(Pierce)を用いてタンパク質を検出した。様々な濃度の薬物に16時間曝露した後に回収した細胞溶解物のウエスタンブロット解析により、MEKまたはRAF阻害の生化学的効果を評価した。
均等物
本発明を、特定の実施例および態様のみを参照して本明細書において説明してきた。本発明のあらゆる可能な実施例および態様を徹底的に説明するためには、何の努力も行っていない。実際に、当業者は、以下の特許請求の範囲に挙げる本発明の意図する精神および範囲から逸脱することなく、上記の実施例および態様に対して様々な追加、削除、改良、およびその他の変更がなされ得ることを理解するであろう。そのような追加、削除、改良、およびその他の変更は全て、以下の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。

Claims (15)

  1. MEK活性を有する変異体MEKポリペプチドをコードする単離された核酸分子であって、該変異体MEKポリペプチドが、MEK1(SEQ ID NO: 2)と比較して少なくとも一つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含み、該少なくとも一つのアミノ酸置換が、一つまたは複数のMEK阻害剤に対する耐性を変異体MEKポリペプチドに付与するものであり、該少なくとも一つのアミノ酸置換が、115L、111I、119H、103I、124P、129F、および211Vからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる、単離された核酸分子。
  2. MEK活性を有する単離された変異体MEKポリペプチドであって、該変異体MEKポリペプチドが、MEK1(SEQ ID NO: 2)と比較して少なくとも一つのアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含み、該少なくとも一つのアミノ酸置換が、一つまたは複数のMEK阻害剤に対する耐性を変異体MEKポリペプチドに付与するものであり、該少なくとも一つのアミノ酸置換が、115L、111I、119H、103I、124P、129F、および211Vからなる群より選択される一つまたは複数のアミノ酸位置において起こる、単離された変異体MEKポリペプチド。
  3. なくとも一つの置換が、103I>N、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、129F>L、および211V>Dからなる群より選択される、請求項1記載の核酸分子。
  4. 少なくとも一つの置換が、103I>N、111I>N、115L>R、115L>P、119H>P、124P>L、124P>S、129F>L、および211V>Dからなる群より選択される、請求項2記載の変異体MEKポリペプチド。
  5. MEK阻害剤が、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-4-(4-フェノキシ-フェニルアミノ)-キノリン-3-カルボニトリル、および4-[3-クロロ-4-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イルスルファニル)-フェニルアミノ]-6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-キノリン-3-カルボニトリルからなる群より選択される、請求項1または3記載の核酸分子。
  6. MEK阻害剤が、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-4-(4-フェノキシ-フェニルアミノ)-キノリン-3-カルボニトリル、および4-[3-クロロ-4-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イルスルファニル)-フェニルアミノ]-6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-キノリン-3-カルボニトリルからなる群より選択される、請求項2または4記載の変異体MEKポリペプチド。
  7. 少なくとも一つのアミノ酸置換が、一つまたは複数のRAF阻害剤に対する耐性をさらに付与する、請求項1、3、および5のいずれか一項記載の核酸分子。
  8. 少なくとも一つのアミノ酸置換が、一つまたは複数のRAF阻害剤に対する耐性をさらに付与する、請求項2、4、および6のいずれか一項記載の変異体MEKポリペプチド。
  9. 請求項1、3、5、および7のいずれか一項記載の核酸を含む発現ベクター。
  10. 請求項記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  11. 変異体MEKポリペプチドが細胞によって産生されるように、請求項10記載の宿主細胞を培養する段階を含む、変異体MEKポリペプチドを産生する方法。
  12. 核酸分子をアッセイする方法であって、
    (a) がんの細胞から核酸を抽出する段階;および
    (b) MEKポリペプチドをコードする核酸分子を配列決定する段階、または試料をPCRに供し、MEKポリペプチドをコードする核酸分子のヌクレオチド配列を同定する段階
    を含み、
    SEQ ID NO:2の103I、111I、115L、119H、124P、および211Vからなる群より選択される一つもしくは複数の位置におけるアミノ酸に対して、コードされたMEKポリペプチドの一つもしくは複数のアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更するヌクレオチドの存
    より、MEK阻害剤およびRAF阻害剤で対象を処置する必要性が示される、方法。
  13. 以下:
    (i) がんを有する対象の処置を最適化すること;または
    (ii) MEK阻害剤およびRAF阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定すること;または
    (iii) 第一世代MEK阻害剤による処置中に再発するリスクが高い、がんを有する対象を同定すること;または
    (iv) 第一世代MEK阻害剤による処置に反応しない、がんを有する対象を同定すること;または
    (v) 第二世代MEK阻害剤による処置から恩恵を受ける可能性が高い、がんを有する対象を同定すること;
    のためのキットであって、
    (a) SEQ ID NO:2のMEKポリペプチドの増幅に有用な核酸プライマー;および
    (b) 請求項12記載の方法を説明する指示
    含む、キット。
  14. MEK阻害剤が、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-4-(4-フェノキシ-フェニルアミノ)-キノリン-3-カルボニトリル、および4-[3-クロロ-4-(1-メチル-1H-イミダゾール-2-イルスルファニル)-フェニルアミノ]-6-メトキシ-7-(3-モルホリン-4-イル-プロポキシ)-キノリン-3-カルボニトリルからなる群より選択される、ならびに/またはRAF阻害剤が、PLX4720、PLX4032、BAY 43-9006(ソラフェニブ)、ZM 336372、RAF 265、AAL-881、LBT-613、およびCJS352からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
  15. 対象ががんを有しており、がんが白血病、リンパ腫、骨髄腫、がん腫、転移性がん腫、肉腫、腺腫、神経系がん、泌尿生殖器がん、および黒色腫からなる群より選択される、請求項12または14記載の方法。
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